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2013年9月15日 (日)

赤裸々な話満載の「安部公房とわたし」

Photo 「安部公房とわたし」 山口果林(講談社)

私にとってのアクシデントであった親族の病状は,当初よりははるかに改善し,心配も薄れたということで,通常の記事のモードにできるだけ戻していきたい。

これはブログのお知り合いのkenさんが取り上げられていて,非常に興味深いと思って手に取った本である。私のブログのプロフィールにも書いてあるが,私の好きな作家の筆頭に位置づけられるのは実は安部公房であり,私は老後の楽しみのために,大枚はたいて「安部公房全集」全30巻を購入してあるのである。

その安部公房と山口果林の関係については,この本を読むまでは知らなかったが,山口果林と言えば,私の年代で言えば「繭子ひとり」である。いまの「あまちゃん」とは全く違うタイプのNHKの連続テレビ小説であったはずである。そうした彼女がなぜ安部公房スタジオなのか?と不思議に思っていたことはあるが,本書を読んでそうだったのねぇと思わせる。確かにスタジオの主宰者と役者という関係性はあったとしても,普通には結びつかないところがあるように思えるのだが,事実は小説よりも奇なりって感じだろう。そもそも「繭子ひとり」出演中には既に安部公房とできていたってのも凄い話である。

この本を読んでいると,おいおい,そこまで書いていいのかと思える部分もあるが,それでも私の知らない安部公房の一面がヴィヴィッドに捉えられていて非常に面白かった。こうした赤裸々な話については,不快感を催す読者がいることも事実だろうが,山口果林の人生において安部公房の果たした部分を強く感じさせることこそが私にとっては興味深いのである。安部公房は他界する前,ノーベル文学賞最有力と言われていながら,受賞することなく亡くなってしまったのはもったいないことではあったが,新潮社の担当者がノーベル賞受賞までは本妻である安部真知と離婚するなと言っていたというエピソード等,今の時代では嘘のような話である。ここまで離婚が当たり前の時代が来ると,安部公房は想像していたのだろうかなんて思ってしまう。

いずれにしても,読み物としては非常に面白く,安部公房のファンであれば,読んでおくべき本だろうと思う。もちろん,山口果林はプロの作家ではないが,この本には単なる暴露話を越えた魅力があると思う。おかしな言い方であるが,さすが,昔,原稿書きに安部公房のアドバイスや推敲を受けた人はそれだけでも違うわってことにしておこう。私が相当の安部公房のファンということもあり,ついつい点も甘くなり星★★★★☆。

尚,全くの余談だが,私の手許には安部公房が私の通っていた大学に講演で来た時にもらったサイン付きの「方舟さくら丸」があるのだが,それが私の書籍としての家宝の一つであることは言うまでもない。「方舟さくら丸」が出版されたのは1984年11月だから,あれは私が卒業するちょっと前だったってことだな。今更ながら懐かしいねぇ。

それにしても,山口果林は髪の毛は白くなっても,今でも魅力的な女性だと思うが,若い頃はなかなか可愛かったんだねぇなんてついつい思ってしまった私である。

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