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2013年6月11日 (火)

予想をはるかに上回ったPat Methenyの"Tap"

Tap "Tap: John Zorn's Book of Angels, Vol. 20" Pat Metheny (Nonesuch)

昨日もちらっと触れたこのアルバム,通しで聞いてみたのだが,これはかなりよい出来である。Pat MethenyとJohn Zornというのは簡単に結びつかないが,本作はPat MethenyがJohn Zornのオリジナルを演奏するというもの。アップ・テンポの曲とスローな曲が交錯するが,アップ・テンポの曲ではジューイッシュ的なメロディ・ラインが顕著に顔を出す。しかし,それはテーマだけであって,アドリブ・パートはそうした雰囲気は希薄になる。その一方でアコースティックで演じられるスローな曲は一聴非常に美しい響きを持つが,そこはかとない毒を忍ばせる。このバランスが何ともいいのである。

そして,それを支えるAntonio Sanchezの変幻自在のドラミングがこれまた素晴らしい。パワー十分,かつその反応は先日のUnity Bandでのライブ同様にヴィヴィッドである。

John Zorn曲集と聞くと,ついついNaked City的な凶暴な音楽を想像してしまうが,John Zornという人の音楽は"News for Lulu"でも明らかな通り,決してそれだけではない。単なるフリーの枠を越えた幅広さを持っているのはわかってはいるのだが,それでもPatの演奏とこれほどフィットするとは思わなかった。

最後の"Hurmiz"におけるPatのピアノは山下洋輔かっ!みたいな感じでご愛嬌だが,このピアノのシャビーな響きが何とも面白い。このアルバム,宅録に近いはずだが,決して音が悪いわけではない中で,この"Hurmiz"のピアノだけが妙に安っぽい音に録れているが,これはその他の楽器の音の録れ具合と比べると,意図的なものを感じる。それにしても,この演奏には結構笑えた。

全体を通して聞けば,いかにもオーケストリオンみたいな音もあるが,ギタリストとしてのPatの演奏を聞くためのアルバムとしても問題はないし,過去の問題作"Zero Tolerance for Silence"のような不快感(まじであれは嫌いだ)はない。もちろん,フリー的な響きもあるが,それでもちゃんとメロディ・ラインがあった上でのインプロヴィゼーションの一部としてのフリー的展開なので,これはこれでありである。

実は私はこのアルバムはあまり期待していなかった(というより怖かったというのが正直なところ)のだが,いい意味で大いに期待を裏切ってくれた快作。繰り返しになるが,美しい薔薇に鋭い棘があるように,この音楽には美的な展開の中にも毒が忍んでいる。あるいはスリリングな展開を更に高揚させるためのフリーがある。ということで,これはさまざまな観点でPat Methenyというギタリストの魅力を引き出したアルバムだと思える。そして,Sanchezの音への貢献が大きい。ということで,私は"Orchestrion"よりこちらの方をはるかに支持する。星★★★★☆。

正直言ってしまえばこのNonesuch盤よりも,同時発売となったTzadik盤のジャケの方が好きだが,こっちの方が安かったから,こちらを購入した私。それでもいいの,いいの(笑)。

Personnel: Pat Metheny(g, g-synth, b, p, bandneon, fl-h, electronics, orchestrionic marimba, orchestra bells), Antonio Sanchez(ds)

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コメント

どどーーん!
閣下、これは痛快でございましたね。好きだわ。

「これはさまざまな観点でPat Methenyというギタリストの魅力を引き出したアルバムだと思える。そして,Sanchezの音への貢献が大きい。」

まったくもって、、その通り。。
と、やっぱり、このあらゆる楽器を制覇しようとする性格は、もっと、オーケストリオンを進化させると思いまっせ。このままじゃ、終わらんな。
いや、、、オーケストリオンが、、好きって言ってるわけじゃないんだけどさ。。(^-^;

まぁ、ちょっと、1年前に書いた戯言もみてくださいな。

http://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/pmg-0084.html

あ、間違い発見。。(爆)びゅーんと、、退散♪

Suzuckさん,続けてこんばんは。TBありがとうございます。

皆,このアルバムについては不安に思っていたはずですが,全くの杞憂でした。いけてますよねぇ。しかし,最後のピアノは一体なんなのやらって気はしますが。

ということで,こちらからもTBさせて頂きます。

ジャケ写を見ると、皆さんノンサッチレーベルで買われたようですが、自分はこだわってTzadikレーベルで入手しました(ちょっと高めだったです)。マニアックなレーベルなんで危惧してましたが、併売できるほどにメセニーのペースで、そしてユダヤ色が濃すぎない程度に味付けされている、って感じでしょうか。ここまで多重録音で凝っているとは、夢にも思いませんでした。

TBさせていただきます。

910さん,こんにちは。TBありがとうございます。

記事にも書きましたが,私もジャケで選ぶならTzadik盤の方がいいと思いますが,価格差がそれなりにあったので,安い方を選びました。音楽は一緒ってことで...。

内容については私の想像よりずっとよかったですし,相当気に入りました。Sanchezの貢献度大ですね。

ということで,こちらからもTBさせて頂きます。

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〜John Zorn's Book of Angels, Vol. 20 寒い朝 [続きを読む]

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このアルバムTzadikレーベルとNonesuchレーベルからの併売になっていて [続きを読む]

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