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2013年6月22日 (土)

Keith Jarrettの新作はしびれる出来である。先日のライブよりずっといいぞ...。

"Somewhere" Keith Jarrett / Gary Peacock / Jack DeJohnette(ECM)

Keith_jarrett_somewhere

このトリオの作品が出るたびに購入を続けてきた私だが,さすがに最近はマンネリ気味かなぁなどと思いつつ,ライブにまで駆けつけてしまう(記事はこちら)のだから,結局は好きだというのはバレバレである。しかし,彼らのアルバムを聞いても100%素晴らしいということはここのところなかった。どうしても違和感が残ってしまったり,聞いていても以前のような高揚感を覚えないという感じである。特に"My Foolish Heart"なんてかなりボロクソに書いている(記事はこちら)。だが,それが私の偽らざる心境だったのである。

しかし,本作を聞いた印象は全然違う。はっきり言って,主題の通り,先日オーチャードで聞いたライブよりずっといい。そもそも冒頭の"Deep Space"からして,Keithの近年のソロ・ライブにおけるような現代音楽的なアプローチで入りながら,そこに"Solar"のテーマをダークに被せてくるという技ありのスタートである。そして,トリオとしての演奏が始まってしまえば,そこには至福の瞬間が待っている。これで完全に掴みはOKである。

そしてある意味手あかのついたスタンダードと言ってよい"Stars Fell on Alabama"を非常に美しく響かせ,"Between Devil And The Deep Blue Sea"は軽くバウンスする感じで,リラクゼーションを生み出すというところである。私にとってはこれは若干軽過ぎる感覚がないわけでもないが,それでもその次に現れる"Somewhere"の清冽とも言うべき美しさを盛り上げるためのプレリュードのようにさえ思える。Keithは本作で"Somewhere"に"Tonight"と「ウエストサイド物語」からの曲をやっているが,選曲としては意表を突くものと言ってよいはずだが,これがよい。特にタイトル・トラック"Somewhere"から,以前のKeithのソロでの演奏に聞かれたようなフォーク・ロック的なタッチで演じられる"Everywhere"へ移行していくタイミングにはぞくぞくさせられてしまった。サウンドとしてはどこか懐かしいのだが,こういう展開を私でなくても多くのリスナーが求めているのではないかと思わされた瞬間である。やはりこのトリオはこれぐらいでなければならないと思わせるし,単純なスタンダードの再構築からの逸脱が感じられるところに,私は興奮させられるのである。この感覚はオーチャードでのライブでも同じで,一歩突き抜けた時,この人たちは凄いことになってしまうということを実証したようなものである。

それに続く"Tonight"はノリのいいテンポで演じられて,前曲とのメリハリをつけながらも,Bernsteinの書いたメロディの美しさはきっちり出していると同時に,Keithのソロのフレージングが非常に素晴らしい。これもまじでいい。そして比較的あっさりとではあるが,美しく"I Thought about You"で締めるというのももたれなくていいって感じである。この余韻にまいってしまった私である。

ということで,このアルバムはレベルが高いのに加え,よく計算されて作られているという感じがする。いずれにしても,近年リリースされたこのトリオのアルバムでは間違いなく最高の出来だと思った。これなら星★★★★★である。

Gary Peacockの年齢ゆえに,このトリオでの演奏はもう難しいかもしれないが,30年間,ほとんどレベルが下がっていないというのが驚異的。でも彼らには"Never Say Never Again"と言っておこう。

Recorded Live at KKL Luzern Concert Hall on July 11, 2009

Personnel: Keith Jarrett(p), Gary Peacock(b), Jack DeJohnette(ds)

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コメント

全く同感です。

 toshiyaさんにも好評ですね。 ^^)
 私はキースの場合はインプロヴィゼーションを重要視しいてます。そんな意味でもこのスタンダード集は、その点のバランスが良いと言うことで成功しているのでしょうかね。
 しかしゲイリー・ピーコックには頑張ってますね。そのあたりもこのアルバムに生きています。

こんにちは〜
わたくしも ぽちっとして届きました♪
まだ 聴いていないのですが 閣下のレビューを読んだらワクワクしてきました!
ジャケットは なんだか暗いですねぇ… ECMだからかな。でも「Stars Fell On Alabama」とか「Tonight」とか 夕闇〜夜の雰囲気の感じなのか??

このアルバムは また、みなさま 盛り上がりそうですね(^-^)♪

カビゴンさん,おはようございます。ありがとうございます。そうですよねぇ(笑)。

風呂井戸さん,おはようございます。TBありがとうございます。

このアルバムは本当によかったと思います。Keithのタッチは完璧ですし,記事にも書きましたが,よくプロデュースされていると思いました。やはり素晴らしいトリオです。

Marlinさん,おはようございます。

これはSuzuckさんもお薦めされていましたが,絶対に期待を裏切りません。保証します(きっぱり)。夕闇~夜って感じではないと思いますが,まさに凛とした響きと言いますか,Keithのピアノの粒立ちが素晴らしいです。PeacockもDeJohnetteも好演で応えていますので,やはり間違いない(笑)。

記事のアップお待ちしてます~。

今’09年の演奏を出してきたということは、まだまだ未発表音源が眠っているわけで、今後も何か出てくるのを待ちながら、当分このアルバムで楽しんでいこうと思います。ECMのことだから、次も一定水準以上の音源を出してくると思います。

TBさせていただきます。

910さん,こんにちは。TBありがとうございます。

ECMとしてどれぐらい録音しているのかはわかりませんが,これ以上の出来のものも眠っているかもしれませんね。"Sleeper"の例もありましたからねぇ。

楽しみに待つこととしましょう。

閣下、、

こういった方々の宿命と言うか、、普通にオーソドックスなピアノトリオの演奏だけならば、、素晴らしくてあたりまえ、、でも、、この方たちでなくてもいいのですよねぇ。と、言われてしまうのですよねぇ。

芸寿的な部分と、美しく流麗でしかも、ジャズの熱さを感じさせる部分と、、ぜんぶ、ないとファンが納得しないんだもん。
で、いいアルバム でしたよねぇ。やっぱり、凄いと思いましたよ。

でも、わたしはこのアルバムはそういう人たちも満足させるアルバムだと思いました。。
今から、年間ベストが悩ましい気分です。、、、。。。

こちらからもトラバいたしました。
トラバありがとうございました。

こんにちは〜
聴きました〜
とってもいいアルバムでした!

わたくしも 4曲目『Somewhere 〜 Everywhere』にやられました〜
美しすぎて涙が出るって こういうことか と思いました。
『Tonight』も良かったですね☆

みなさまのように まだキース・ジャレットを たくさん聴いていないので いろんなアルバムやコンサートと比較したりは出来ないのですが 素直に「良かった!」です。

トラバがわりに URL貼り付けさせてください♪

http://blog.goo.ne.jp/tm-0117/e/a20e4a1f98156ce03f1c99461fd2c6d6?guid=ON

Suzuckさん,こんばんは。出張中なので返事が遅くなりました。

これなら日頃辛口の私でも全然問題なかったです。全部ないと納得しないファンも黙らせる素晴らしいアルバムでした。今から年間ベストは気が早い気もしますが,候補には絶対残るなって言っても間違いないです。Shorterもお忘れなく。でもあっちはこれほどリピートできないのが辛い...。

Marlinさん,こんばんは。

甚だ生意気ですが,Marlinさんもジャズに関する審美眼を磨かれたなぁなんて思ってしまいました。もう「一肌脱ぐ」必要はなくなりましたね。素晴らしいです。

追ってこちらからもTBさせて頂きます。

日に何回も聴きたいと思うアルバムは少ないですね。生きている奏者となれば、本当にいない。
このアルバムは現世の奏者として最高の一枚じゃないだろうか、と思いながら聴いています。キース、ピーコックは言わずもがな、なのですが、デジョネットのドラムに美しさを感じる瞬間にぞくっとしますね。彼らとともに、いずれ何かが消えるのだろうな、って寂寥感も。モチアンが消えたように。
そんなことを思いながら聴いています。
スタンダードトリオには、常に違和感があったのですがねえ。

kenさん,こんばんは。

「スタンダードトリオには、常に違和感があったのですがねえ。」ってのはよくわかりますね。私も近年の彼らのアルバムには強い違和感をおぼえていましたから。

しかし,これは違います。絶対にいいですね。素晴らしい作品をまだまだ作れるということを実証したと思っています。

音楽狂さん、こんばんは。TBありがとうございます。
ここのところのKeithのTrioはもうちょっと駄目かな・・って勘ぐっていましたが起死回生の一発でした。
おっしゃるとおり、#1で掴みはOK、#4でぞくぞくでした。何度も言ってしまいますが贅沢とはいえ、もう1曲ググッと欲しかったのも正直なところ、でも今このバンドでこのクオリティが復活できるのは嬉しい限りでした。
そういう意味では音楽性は違いますがMehldauの集中力は桁違いなんだなって思ったりもしました。
こちらからもTBさせていただきます。

とっつぁんさん,こんばんは。TBありがとうございます。

誰しもがこのトリオにはマンネリを感じていたのは事実でしょう。私もそうでしたが,この作品は違いましたねぇ。不遜な言い方覚悟で言えば,やりゃあできんじゃんってところですよね。

むしろ,これまでの音源については,そんなにいいと思えないものまで出してきたEicherの責任って気もしますね。どれも水準は保っていることはわかっていても,リスナーは贅沢ですよね。

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