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2013年5月31日 (金)

Enrico Pieranunziの新作ライブは違和感のかたまり

Enricopieranunziliveatthevillagevan "Live at the Village Vanguard" Enrico Pieranunzi (CAM Jazz)

また昨日も記事を書けなかった。ということで今日はちゃんと書きたいと思う。本作を入手したのは随分前だが,記事をアップするのに時間が掛かってしまった。Pieranunziのファンとしては褒められたことではないが,この作品,何度聞いてもピンとこないのだ。その要因がPaul Motianのドタバタしたドラムスにあることは間違いない。

PieranunziはBill Evans的なピアノから ,フリーに近いものまで,様々な音楽性を聞かせる人だが,一般的には繊細なタッチを期待する人が多いのではないかと思う。だが,ここでの演奏ではMotianのドラムスが音楽に没入するのを妨げるのである。はっきり言って,ここでのドラムスはPieranunziの音楽にフィットしていないし,うるさい。それは音量のことではなく,バッキングとしてはということである。この違和感は冒頭の"I Mean You"から明らかで,2曲目の"Tales from Unexpected"で私の苛立ちは増幅される。ブラシに持ち替える"Pensive Fragments"で改善はするものの,どうも反応がよろしくないのである。

この後,Motianは亡くなってしまうので,死者に鞭打つようなことはしたくないが,全編に渡ってそんな感じなので,ずっと違和感を抱きつつ聞いている感じなのだ。Pieranunziのピアノがスリリングに迫る瞬間,美しく迫る瞬間等,聞きどころもあるだけにどうにも惜しい。私は別にMotianが嫌いってわけではないし,これまで明確な拒絶感を示したこともないだけに,この違和感はこのアルバム固有のことになるように思える。とにかくダメなのだ。本作とメンバーを同じくする"Untold Stories"ではそんなことはなかったはずなので,今回の違和感は不思議と言わざるをえない。これは録音のバランスによるものと判断してもいいかもしれない。

Pieranunziは多作の人なので,作品の質にもバラツキがあるが,本作は残念ながら私の愛聴盤となることはなさそうである(ちなみに私にとって聞かないPieranunziの代表は,一人の狂ったオッサンの奇声が不愉快極まりない"Live in Japan"。それに関する記事はこちら)。ということで,ちょっと厳しいようだが星★★★。

Recorded Live at the Village Vanguard on July 7 & 8, 2010

Personnel: Enrico Pieranunzi(p), Marc Johnson(b), Paul Motian(ds)

2013年5月29日 (水)

今日も記事を書けず...

出張,飲み会,出張,飲み会の循環モードにはまっていて,今週は記事のアップに苦労しそうである。

ということで,今日はお休みです。読者の皆さん,ごめんなさい。

2013年5月28日 (火)

Joey Calderazzoの新譜は悪くはないんだけど...

Joey_calderazzo "Live" Joey Calderazzo Trio(Sunnyside)

私はかなりのJoey Calderazzoファンだと言ってよいと思っている。彼がBlue Noteレーベルに吹き込んだ作品群は今聞いても燃える,いい作品集であった。そこからのCalderazzoはバンド活動としてはMike BreckerのバンドやBranfordのバンドを渡り歩き,サイドマンとしては順風満帆だったと言ってもよいだろう。だが,リーダー作はあまり面白くないと思える作品が増えてきて,どうも長年のファンとしてピンとこない作品が続いてきた。特にMarsalis Musicレーベルからの作品は彼らしいスピード感やシャープなフレーズが影をひそめてしまい,私としてもはプレイバックする機会はほとんどなかったと言っても過言ではない。よって,私の中では,近年のCalderazzoの評価は決して高いものではなかった。

そんなCalderazzoが,レーベルとしては信頼度が高いSunnysideからトリオでのライブ盤をリリースすると知り,これはやっぱり聞いておかねばと思ってしまうところが,ファンとしての性であるが,今回の作品を聞いてもやはりアンビバレントな感覚が残ったというのが正直な感想である。

今回の作品について,どうもピンとこない部分があるとすれば,まず録音状態があまりよろしくないことにより,Calderazzoのピアノのシャープさが伝わってこないところにまず問題がある。バンド全体としてもどうもクリアさに欠けるので,それが印象を悪くしているような気がする。だが,音についてはさておき,ここでの演奏にはかつてのCalderazzoに聞かれたようなスピード感が欠けていると思わせるのはやはり痛い。これを成熟と見るか,加齢による退行と見るかには議論の余地はあるが,例えば70歳を過ぎてもHerbie Hancockがキレたフレーズを繰り出すのと比べると,まだ50前のCalderazzoがコンベンショナルな方向に走るにはまだ若いだろうと言いたくもなる。

そんな私に,おぉっ,これならと思わせるのがアルバムも後半の"Time Remembered"まで待たなきゃならんというのはやはり辛い。それでもこの演奏のCalderazzo感は認めたいと思うし,こういう調子で弾いてくれるのであれば,私も文句はない。最後のPaul Motian作"Trieste"はECM的な出だしでびっくりするが,途中から出てくるCalderazzoらしいシャープなフレージングでほっとして終幕を迎える。私としてはこの終盤2曲だけでもいいやって思えてしまうのが今のCalderazzoの問題である。ジョギングをしながら,CalderazzoのBlue Note時代のトリオ・アルバム,"The Traveler"を聞いていてもそう思っていた私である。残念ながら,もう旬の人ではなくなってしまった印象が強いが,それでもまだ復活の可能性があることを示せただけでも,このアルバムはよしとしなければならないのかもしれない。

ということで,期待も掛けつつ,そうは言っても星★★★☆が精一杯。

Recorded Live at Daly Jazz in Missoula, MO

Personnel: Joey Calderazzo(p), Orlando Le Fleming(b), Donald Edwards(ds)

2013年5月27日 (月)

出張中に見たのではない映画だけれど(笑):「藁の楯」

Photo 「藁の楯」('13,Warner Brothers)

監督:三池崇史

出演:大沢たかお,松嶋菜々子,岸谷五朗,伊武雅刀,藤原竜也

出張中に見た映画ではないが,週末に見た映画である。この映画,カンヌ映画祭のコンペティション部門に招待され,公式上映されたということらしいが,これはダメである。あまりにもシナリオが無茶苦茶である。映画なんてフィクションなんだから,あまり固いことは言いたくないが,それにしても,こんないい加減なストーリーを許すならば,それこそ物語には前後の脈絡も何もなくていいということになる。

孫を殺された経済界の重鎮,蜷川隆興(山崎努)が,その犯人である清丸国秀(藤原竜也)の首に十億円の懸賞金をかけるというのはいいが,それに対して発生する人間たちの動きがあまりにも当たり前過ぎて,行き当たりばったり感のかたまりである。一度危ない目に遭って警察に出頭した藤原竜也を,警視庁までSP(大沢たかおと松嶋菜々子)付きで護送するというのはわかるが,その後の展開で出てくる逸話の数々もあまりに無茶である。「なぜ」,「いつ」,「あの人は結局どうなった」等の疑問だらけなのである。

こんな映画がよしんば招待だからと言って,国際映画祭において公式上映されるということ自体が,日本映画界の恥だという意識はないのだろうか?配給がワーナーだから,外資みたいなもんだとしても,これはやはりまずいだろう。もちろん,こんな映画が国際的に評価されるはずもなく,正直言って,今回の招待が配給元たるメジャー,ワーナー・ブラザースによる話題づくりに向けたロビイングの結果のようにさえ思える。もし,そうしたロビイングがなかったとしたら,これを招待作品に選んだ人間の審美眼を疑わなければならない。

三池崇史は職人として,どんなタイプの映画でも撮ってしまうことは評価するが,職人は職人として生きればいいし,この程度の映画を撮っているようではその職人としての中身にも疑問符がつかざるをえない。とにかくいい加減な映画。真面目に演じた役者陣と藤原竜也の憎々しさに免じて星★とするが,これほど映画を見ていて辟易とさせられたのは久しぶりである。くだらない。実にくだらない。最大の責任者は脚本の林民夫だと言っておく。まぁ,プロデューサーも褒められたものではないが。いずれにしても愚作である。

(筆者註)はいからさんから頂いたコメントに基づき,私の意図に大幅な変化が発生しない程度に,原記事を加筆訂正させて頂きました。はいからさん,ありがとうございました。

2013年5月26日 (日)

出張中に見た映画(13/05編):その1は「オズ はじまりの戦い」

Oz_the_great_and_powerful 「オズ はじまりの戦い("Oz the Great and Powerful")」(’米,13,Walt Disney)

監督:Sam Raimi

出演:James Franco, Mila Kunis, Rachel Weisz, Michelle Williams

毎度おなじみ出張中に見た映画シリーズである。今回は往復で4本。と言っても,4本目は「釣りバカ日誌」シリーズなので,そちらはあくまでも気楽に時間をつぶすためのもの。ということで「釣りバカ」の記事はアップしない。

今回の1本目はいかにもディズニーらしいファンタジー映画である。「オズの魔法使い」のPrequelと言ってもよいかもしれないが,ストーリーにはもちろん連続性はない。ただ,冒頭白黒画面から始まって,オズの世界に入った段階で極彩色になるのは「オズの魔法使い」へのオマージュと捉えればいいが,まぁいかにもって演出である。

話はあまりに他愛のないものなので,真面目にああでもない,こうでもないと書くような映画ではなかろう。視覚的な効果によりそこそこは面白く見られるが,ストーリーが記憶には全然残らない。これはシナリオの弱点だということになるだろうが,James Franco演じる主役たるOzに魅力が感じられないのが決定的敗因。魔女を演じる3人の方が嬉々として演じているように思えてしまうのは仕方ないかもしれないが,それにしても本当に記憶に残らないのである。私が機内で酒を飲み過ぎていたせいもあるかもしれないが,2本目はちゃんと記憶に残っているから,やはりこの映画そのものに起因するんだろうなぁ。

機内エンタテインメントとして気楽に見るには丁度いいが,映画館に見に行っていたら,相当頭に来ていたかもしれない,という程度の作品。星★★☆。

2013年5月25日 (土)

Pat Metheny Unity Band観戦記:そこに見られた光と影?

Unity_band_live 昨年の音楽市場において,ジャズというカテゴリーに属する音楽に関心を持つリスナーであれば,Pat Methenyが久々にホーン入りのバンドを組んだということで,このUnity Bandに対する関心が高かったことは否定しようのない事実である。天邪鬼の私でさえ,そもそもMethenyが好きな上に,ホーンがクリポタでは無視できるはずがない。だからと言って,私は彼らのアルバム"Unity Band"を高く評価しつつも,最高だとは思っていなかったのが事実である。それはその時の記事(こちら)を読んで頂ければいいのだが,それでも彼らが来日するとなれば,どうしても行きたい,どうしても聞きたいと思ってしまうのが人間の,あるいはより限定的に言えば,中年音楽狂としての私の「性」である。

そして,今回,ブルーノート東京に出掛けてきたわけだが,私としては演奏としてはほとんどケチがつけようのないレベルのものだったとは思っているが,主題の通り,いいところである「光」の部分と,納得できない「影」の部分が混在するライブであったと思えるのだ。それはMethenyに起因する部分と,彼には責任がない部分にわかれるので,そこをはっきりさせたいと思う。

まずは「光」である。何よりも,このクァルテットを形成するミュージシャン4名の質が無茶苦茶高いということで,安心して聞けるのは当たり前,Methenyについては平均点と言ってもよい出来だと思うが,私の贔屓目もあるが,クリポタの素晴らしいフレージングにまいってしまった。彼がUndergroundで来た時も興奮したが,今回のフレージングは,私に「く~っ」と言わせるに十分な出来であった。とにかく凄い。それが第1の要素。第2の要素は,Antonio Sanchezの素晴らしい反応能力である。ソロイストのフレーズに対し,これほどビビッドに反応できるのかと思えるほどの素晴らしいミュージシャンとしての身体能力である。ソロは冗長と感じさせたが,Sanchezのバッキングの能力は誰も否定できまい。第3の要素はBen Williamsのベースの音色である。この人はライブでのベースの鳴らし方をわかっている。Ron Carterよりはるかにまともな音色づかいで,この人は極めて有能である。目立たずとも実力は十分。こうした実力者の集結の結果,いい演奏になるのは当たり前だが,そこでのMethenyのリーダーシップも認めなければならないだろう。

だが,今回のライブ,いいことばかりだったとは言い切れない。それが「影」ということになるが,まず言いたいのはとにかく「イェ~」を連発すればいいと思っているアホな聴衆の存在である。個々人が音楽を楽しむことに私は何の文句もないが,タイミングの悪い「イェ~」,そして演奏と何の関係もないところでの何に受けているのかさっぱりわからない「笑い」,更には誰がどう聞いても無駄というか,全く音楽の本質を理解していないような会話(例えば,全然演奏としてはこのバンドに合っていると思えない"James"のイントロでのPatのソロを聞いて,「カッコいいよねぇ~」とか言っている無神経/無知ぶり)の数々にはまじで辟易とさせられた。迷惑でしかない聴衆については,Keithのライブでも批判が集中していたが,今回も根本は同じである。ステージに向かって左側後方の4人がけのボックス・シートに座っていたヒゲのバカ親父は,私を辟易とさせた責任を取ってもらいたいもんだ。バカにつける薬はないが,あれほどのバカはなかなか見られるものではない。音楽の本質もわかっていないにもかかわらず,身勝手に盛り上がる姿はみっともない以外の何ものでもない。私ならあいつは出入り禁止にするわ。とにもかくにももう少し恥を知って欲しいものである。

次に気に入らなかったのが,ライブ盤の制作を意識しているのかと思わせるような人工的なクリポタの音色である。エコーが掛かり過ぎで,ライブ感を損ねていたのは納得できない。サックスやバスクラの響きに,ライブならでは感覚が足りないと思ったのは私だけではないはずだ。クリポタのフレージングが見事だっただけにこれは惜しい。また,このバンドがMethenyのバンドということは厳然たる事実としても,バンドのサウンドとしてバランスが悪い瞬間がかなりあったのは問題だ。特に私の嫌いなオーケストリオンのセットが鳴り出した後,クリポタのサックスがほとんど聞こえなくなったのは論外である。そもそも,これだけ優秀な人材を集めているところに,なぜオーケストリオンが必要なのか私には全く理解できない。Methenyが趣味を開陳するのも勝手だが,それを私は許したいと思わない。Pat本人の趣味に付き合わされるバンド・メンバー,そして聴衆(少なくとも私)にとっては迷惑千万である。全然面白くないのだから,さっさとやめて欲しいものである。

そして,最後に商売っ気出し過ぎのPat Methenyはいかん。アパレルやその他諸々のグッズはよしとしよう。しかし,サイン入りCDを4,000円で販売するってのはどういうことか。普通,印税に貢献したリスナーには,無償でサインに応じるのが当たり前のミュージシャンの姿である。私は,そうした商売っ気を出し過ぎたところには失望さえ感じてしまった。あれは絶対駄目である。その一方でマグカップを土産につける気前のよさがあるので,それで相殺って話もあるが,ならば,アドミッション・チャージを下げることを考えるのもオプションだったようにも思える。

そういうネガティブな要素はあったが,演奏のレベルにはほとんど文句はない。オーケストリオンの使用をやめ,そしてライブとしてのサウンドをもう少しまともに考えれば,完璧だったと言ってもよいのだ。特にクリポタである。あのフレージングに悶絶したのは私だけではないことを私は知っている(謎)。全体的に見れば,影の部分を上回る光に満ちたライブであったが,どうしても影の部分については書いておかなければならないということでのライブ・レポートである。

ついでに書いておけば,クリポタのフルートは真面目な感じで好感度が高かった。そしてバスクラをあたかもテナーのように響かせるのは誠に立派と思った私である。やっぱ,クリポタだよね~。クリポタ,クリポタ,いぇ~い,いぇ~い(笑)。

Live at Blue Note東京 on May 23, 2013 (2nd Set)

Personnel: Pat Metheny(g, g-synth), Chris Potter(ts, b-cl, fl), Ben Williams(b), Antonio Sanchez(ds)

2013年5月24日 (金)

アコースティックになったBob James & David Sanborn

Quartette_humaine "Quartette Humaine" Bob James & David Sanborn(Okeh)

Bob JamesとDavid Sanbornと言えば誰が何と言っても"Double Vision"である。あれこそ歌心を感じさせるフュージョンの到達点と言ってもよいぐらい気持ちのよいアルバムである。"Double Vision"がリリースされたのが1986年であるから,それから27年経過しての両巨頭の再共演である。これは期待するなって方が無理である。

まぁ,そうは言ってもあれから時は随分と流れた。Bob JamesはFourplayで相変わらずのスムーズ・ジャズ系フュージョンを聞かせるが,Sanbornは当時に比べるとアーシーな感じが強くなったように思える。そうした音楽の変化もあって,私は最近はこの二人の熱心なリスナーとは言えなくなっていると言われても仕方がない。それでも,なのである。やはり"Double Vision"で擦り込まれたあの音をどこかで求めている自分は否定できない。

だが,今回届いたサウンドは"Double Vision"とは若干性格を異にする。作品全体がアコースティックなのである。"Double Vision"以来,これまでこの二人が前面に出て共演をする機会はなかったようである。今回の再会へのトリガーになったが東京ジャズ開催時の深夜のジャム・セッションだったらしく,それにより,この二人の再共演への機運が高まったようである。Bob Jamesは再会作はもっと"Double Vision"的なサウンドを想定していた模様なのだが,サウンドに変化を及ぼしたのは,本作の録音一週間前に亡くなったDave Brubeckだったようである。そこでこの二人がBrubeck Quartetの演奏について会話し,今回のクァルテットでの演奏につながったようである。そう言えば,リズム・フィギュアにBrubeckのような変拍子を感じさせる部分もある。"Follow Me"なんて,"Blue Rondo a la Turk"のようだと言われればその通りである。

もちろん,Sanbornの音色はPaul Desmondとは全然違うし,JamesのフレージングはBrubeckとは全然違うものだから,これは彼らなりのやり方で,Dave Brubeck Quartetという稀有なバンドにトリビュートしたってのが正確だろう。想定していたサウンドとはちょっと違っていたとしても,これはなかなか楽しめるアルバムである。ただ,そんな中でやはり私はSanbornに優れた歌心を求めてしまうので,一番いいのは"Sofia"だと思ってしまう。さすが奥方の名前を曲につけるだけのことはある。これぞSanbornである。はっきり言ってしびれます。

だが,"Double Vision"と比較すれば,やっぱりちょっと違うかなぁって気もするところがちょいと残念ではあるが,あれはあれ,これはこれってことにしよう。ただ,最後の"Deep in the Weeds"はちょっとねぇ...(苦笑)。ここは多分Sanbornの孫の名前にちなんだ"Genevieve"で締めるのが正解だったと思うが。ということで,星★★★★。

尚,彼らは今年の東京ジャズに出るらしい。う~む,気になるが,休日にはライブに行けそうにないし,ばっちり海外出張日程とかぶっている(爆)。

Personnel: Bob James(p), David Sanborn(as, ss, sopranino), James Genus(b), Steve Gadd(ds), Javier Diaz(perc)

2013年5月23日 (木)

マレーシア見聞録:その3はBlue Mosque

Blue_mosque_1 今回のマレーシア出張時の記録の3回目そして最終回である。マレーシアは多民族であるがゆえに,信仰する宗教もそれぞれであることは先日の記事にも書いたが,今回ご紹介するのは多くのマレーシア人が信仰し,国教となっているイスラム教関連で,相当大規模なモスクであるBlue Mosqueをご紹介しよう。

正式名称をSultan Salahuddin Abdul Aziz Shah Mosqueというこのモスクであるが,Blue Mosqueと言われるだけあって,その鮮やかなブルーのドームが特徴である。このモスクは1988年に完成したもので歴史としてはは浅いが,マレーシアでは最大,世界で4番目だか6番目に大きいらしい。金曜日のお祈りには24,000人が集結するという大規模モスクである。海外に出張している時に,教会を訪れる機会はあっても,モスクを訪れる機会は少ない(というか,私にとってはこれが初体験である)だけに,非常に勉強になった。

我々が到着した時は,本来はクローズされているはずの時間だったが,気のいいボランティアのオジさんが我々を案内してくれた。モスクの中を見るのも初めてなら,イスラム教のお祈りの作法を教わったのも初めてだが,このボランティアの方々の目的には当然布教の意味合いもあるはずであり,初めて訪れた日本人にイスラムの意義を教えているのだから,所期の目的は果たしているはずである

Blue_mosque_2 それはさておき,このモスク,ドームの外観も立派だが,内部も壮麗である。iPhoneで撮影した写真では解像度は今イチ,色めも本当はもっと綺麗なのをお見せできないのは残念だが,それでも雰囲気はある程度伝わるはずである。教会で言えばステンド・グラスに相当するところの壁面のガラス群が,日光を浴びて,見事に輝くのを見れば,聖地メッカに祈りを捧げたくなる気持ちもわかるような気がした。この写真は撮影可能な最終線上で撮ったものだが,やはりこれだけではわからないな。

しかし,こうした宗教施設を訪れることで,様々な宗教観に触れることは大事なことだと思える。私がボランティアのオジさんの話を熱心に聞いていたら,最後には日本語訳したコーランを手渡されてしまった。イスラム教に帰依することはなかろうが,それでもこれだけ多くの人々が信仰する理由を理解することは相応の意義があると思っている。

ということで,滅多に行けないところに行けたということで,仕事以外の意義も大きい出張だった。体力的にはきつかったけどね...(苦笑)。

2013年5月22日 (水)

今日もお休みです。

日本に帰ってきたと思ったら,親類の不幸の知らせがあり,葬儀だなんだかんだで忙殺され,とてもではないがブログ更新は無理である。

ということで,昨日は予告なしでの休みだったが,今日は言い訳付きのお休みである。明日には復活予定であるが,読者の皆さま,ごめんなさい。まぁ,こればかりは仕方ないということでご勘弁を
...

2013年5月20日 (月)

マレーシア見聞録その2:Batu Caves

無事日本に帰国したのだが,やはり夜行便での移動は体力を消耗するなぁと思うのは,やはり私も歳である(笑)。昔はもう少し体力があったはずだが...。

さて,今回の出張は日程の都合上,土曜日の昼に,結構な自由時間ができたので,マレーシアの観光名所を訪れることができた。本日ご紹介するのはヒンズー教の聖地,Batu Caves(バトゥ洞窟またはバツー洞窟)である。マレーシアは基本はイスラム教の国だが,多民族国家なので,信じる宗教も人それぞれってところであり,様々な宗教にとっての重要なロケーションがあるわけで,ここもお祭り時には100万人ぐらいが集まってしまうというのだから凄いわ。

Caves2 車で現地に到着すると,巨大なMurugan神像がお出迎えであるが,これがまじで巨大である。この写真ではわかりにく
いかもしれないが,その先には強烈に急な階段が272段(写真では神像の左後方),それを登り切った洞窟の中に,様々な神が祀られているという場所である。ヒンズー教徒の皆さんは裸足で登っていたが,これは登るだけでも結構体力が必要である。宗教的には苦行はつきものだが,苦行とまでは言わずとも,なかなか大変である。途中では結構な数の野生の猿軍団が人間さまの食べ物を狙っているし...。だが,登り切ったところにさえ,土産物屋があるのには苦笑を禁じ得なかった

Caves3 だが,この洞窟に入っていくと,自然に入り込んでくる光が,宗教的な感覚というか,神々しさを演出していて,なるほど,これは聖地として考えたくなるということも理解できる場所であった。日本的な感覚で言えば,なぜこんなところにって気がしないでもないが,高野山なも同じように捉えることができるのかもしれないなぁ等と漠然と考えていた私である。だが,こうして,様々な宗教観に接していると,それぞれの特性なり,考え方なりが感じられてそれはそれで勉強になるなぁなんて思っていた。クアラルンプールと言えば,ペトロナス・タワー(ツイン・タワー)のような超近代的な建物がある一方,こうした場所とのギャップがあって,実に興味深い。

Caves1 こうした自然が作り出す神々しい雰囲気の中,右の写真のような雰囲気であれば,祈りを捧げるにもちょうどいいよねぇって感じもしてしまう。やはりそれ相応の雰囲気を作り出すというのは宗教上も重要なんだろうなぁって思いも芽生えてしまった。いずれにしても,訪れるには非常に興味深い場所であった。

2013年5月19日 (日)

マレーシア見聞録?

これから夜行便で帰国するところである。この記事がアップされる頃は私は機上の人となっているはずだが,今回は短い割に結構疲れる出張であった。特に土曜日の社会勉強がきつかったって話もありである。

Photo まぁ,それでも滅多に見られないものを見たので,ブツブツ言っては罰が当たる。詳しくは改めて報告するが,最も強烈だったのはドリアン市場であろう。これだけドリアンが並べば壮観と言わずして何と言うかってところである。

ドリアンと言えばその強烈なにおいが想像されるわけだが,ここで食したドリアンには,臭いという感覚はあまりなかった。新鮮なドリアンはにおいもそれほど強烈ではないということらしいが,私も食したのは十数年ぶりで記憶が曖昧になっているが,前はもっと臭かったと思っているだけにちょっと意外であった。だが,その後で出たゲップは十分強烈だったが(爆)。

ということで次は日本からになる予定だが,またまた「出張中に見た映画」シリーズの出番だろう。

2013年5月18日 (土)

KLは快晴、あとは帰るだけ。

仕事は無事終了して、今晩の夜行便で帰国するだけとなったが、今日の現地は素晴らしい快晴である。

当地は夕立(雷雨)のイメージが強いので、なかなかこれほどの晴天はないって感じなのだが、まじで雲ひとつないのである。今日はフライトまで「社会勉強」(笑)をしようと思うが、まぁ、見聞を広めるのも大事ってことで(開き直り)。

次は日本からか、あるいは空港で記事を書いてアップするかのどちらかだろう。

2013年5月17日 (金)

KL出張中。

最近は仕事の関係でマレーシアに来ることが増えた。今年に入って3度目のKLである。以前はインドネシアに結構な回数出張していたのだが、インドネシアに比べるとマレーシアの洗練度は高い。だが、シンガポールほどは人工的な感じがなくて、日本人には結構いい感じかなぁって気がする。

昔、覚えたインドネシア語もほぼ通じるし、私にも好感度の高い国である。今年はあと何回来るのかなぁ(笑)。

2013年5月16日 (木)

Bob Berg~Mike Stern:それにしてもやかましいバンドである。

Games "Games" Bob Berg / Mike Stern Group (Jazz Door)

Jazz Doorってのはなかなか魅力的なライブ音源をリリースしていた「怪しげ」なレーベルであった。Brad Mehldauの比較的い初期音源を収めたJoshua Redmanの"Captured Live"もここからのリリースであった。私が購入したこのレーベルのアルバムは,比較的音のよいライブ音源が多かったが,実態としてはブートに毛の生えたようなもの,あるいはブートそのものという言い方が適切なレーベルである。

そこからリリースされた本作であるが,録音データとしては,90年に米国におけるライブというクレジットしかないが,まぁ,その頃だったら,NYCのBottom Lineとかにも出ていたなぁなんて思い出す。いずれにしても,Bob Bergにしても,Mike Sternにしてもハード・ボイルドな感覚の演奏が多いわけだが,この二人がバンドを組めば大変なことになることはわかり切っている。それはこの二人がJukkis Uotila Bandに客演したライブ盤でも明らか(同作に関する記事はこちら)でありが,ここでは冒頭の"Games"があまりにも強烈。ここまでやるかという激演が聞ける。激演と言えば聞こえはいいが,とにかくうるさい。やかましい。派手である。まじでよくやるわ。うるさいのはリーダー二人だけでなく,Goinesだって,デニチェンだって一緒だが,このうるささは間違いなく意図的である。

この曲,もとはBob Bergのリーダー作"In the Shadows"に収録されていた曲であるが,同じ曲でも,全然雰囲気が違っている。スタジオ録音はスタジオ録音で十分カッコいいものだったが,ここでの荒っぽさも捨てがたい。

2曲目はがらっと変わって,Sternのリーダー作"Upside Downside"からの"After You"であるが,Sternの長尺のソロから入るここでの演奏はSternのイメージを覆す美しいプレイぶりである。ディレイやコーラスをうまく使った演奏ぶりは素人が真似したくなる響きという感じなのだ。いいねぇ。3曲目は"Games"ほどは激しくない(一般的な観点では十分に激しいが...)"After All"で締めくくるが,これも十分に楽しめる演奏である。全編を通して聞けば,結局のところ,冒頭の"Games"が異常なのだが,これはある意味狂っている,いい意味で(笑)。

いずれにしても,Bob Bergがこのバンドを組んだのはポップ化を強めるMiles Bandからの脱却を図るためだったとも考えられるが,やはりBob Bergにはこういうサウンドが似合うし,Miles時代も84年ぐらいが一番よかったような気がする。SternとともにMilesスクールの卒業生がハードボイルド化を進めるとこうなるという見本みたいなものである。でもやっぱりいいわぁ。私はBob BergもMike Sternも贔屓にしているのだから燃えるのも当たり前。多少音が悪かろうが,演奏が荒かろうがそれはそれで許す。でもブート音源だから点数をつけるのはやめておこう。真面目でよいこのリスナーはBob BergのDenonでの作品とかMike SternのWarner時代の二人の共演を聞きましょう(笑)。

しかし,この音源には映像版もあるようである。それはそれで気になるなぁ(爆)。

Recorded Live in the USA in 1990

Personnel: Bob Berg(ts), Mike Stern(g), Lincoln Goines(b), Dennis Chambers(ds)

2013年5月15日 (水)

Joshua Redmanの新譜が届く前に昨年のJoshua~Mehldauデュオのライブ音源で準備中

Redman_mehldau_france_2012 Joshua Redmanの新譜"Walking Shadows"は既に輸入盤はリリースされているのだが,国内盤は1曲ボーナス・トラックが入っているということで,Brad Mehldauコレクターの私は,聞きたい気持ちをぐっと抑えてひたすら国内盤がリリース,デリバリーされるのを待っている状態である。そんなことをしていると体に悪い(笑)ということで,昨年のパリでのこの二人のデュオ音源をネットからゲットしてきた。これはソースはFM音源と思しきものであるが,フランス語のMC(並びに通訳)は余計だと言えば余計だが,それには目をつぶって音楽を楽しむことにしよう。

Joshua_redman_france_musique

このコンビでは結局来日することはなかったが,古い音源として,この二人のデュオは1994年にプロモーション盤(限定1,000枚,ご丁寧にシリアル・ナンバー付き。これについての記事はこちら)の後半において聞くことができる。それから約20年近く経過してのデュオ再演には驚いたが,それでも昔からの付き合いということもあって,あっても不思議はないと言えばその通りである。だが,新作の録音日がわからないので何とも言えないが,新作の録音あるいはこのデュオ・ツアーが契機となっての演奏ということを考えれば,それはそれで悪いことではない。

そして,この音源,冒頭のアルバム"Highway Rider"からの"The Falcon Fly Again"からMehldauらしいピアノが炸裂し,Joshuaも非常に洗練されたソプラノで応えるという素晴らしい演奏である。そして,演奏の最後は前述のプロモ盤で演じられた"Soul Dance"で締めるという演出が憎い。そんなことを言うのは相当マニアックな人間であることは間違いないが,そう言えば,あのプロモ盤もパリでの録音だったことを考えれば,彼らもそれを多少意識していたと考えても不思議ではないのである。

いずれにしても,このコンビ,なかなかの緊密度である。だてに長いこと付き合っていない。正直言って,つかず離れずって感じの関係であるが,やはりお互いにリスペクトしているからこそのこの共演であろうということで,これはなかなか楽しい。そして,この二人がやると,Monk作の"In Walked Bud"さえが全然Monkっぽく聞こえないのがある意味笑える。ここまでMonkの個性を打ち消せば,それはそれで見事ってことである。ソロ・ピアノもいけているMehldauだけにデュオという編成でも全く問題ないのはわかっていた話であるが予想以上のよさである。これはやはり生で観ておきたかったと思うのは私だけではないだろう。

だが,2時間を越えるこんな音源が簡単にゲットできてしまうネットってやっぱり凄いし,ありがたいものである。

ということで,この演奏を聞いて,一時しのぎをしている私も私だが,やはり新作への期待値は高まるよねぇ。早くデリバリーして欲しいものである。一日千秋の思いってのはこういうものだろうな(苦笑)。

2013年5月14日 (火)

Smalls Liveの新作はWill Vinsonから

Will_vinson "Live at Smalls" Will Vinson(Smalls Live)

私はこのシリーズを全部買っているわけではないが,Smallsというクラブの魅力についてはこのブログでも書いてきた(記事はこちら)し,ライブ録音の場にも立ち会ったことがある(記事はこちら)。キャパとしても適切,雰囲気もよく,かつエスタブリッシュメントではないが,相当の実力者が手頃な価格で聞けるこのクラブは私としても評価が高い。そんなSmallsが同所でのライブ盤をリリースするようになって結構な時間が経過し,カタログも充実してきている。今回も4月半ばぐらいに告知が出て,フィジカルなCDを早速発注した私である。今回は2枚。本作ともう1枚はAlex Sipiaginである。どちらもメンツがいいので期待していたが,まずはWill Vinsonからである。

Will VinsonはCriss Crossからもアルバムをリリースしているが,私が彼を聞いたのは同じSmalls LiveシリーズのAri Hoenig盤のことであった(記事はこちら)。そこでも私はVinsonのプレイぶりに相当感心していたが,彼の音楽を聞くのはそれ以来ってことになる。今回のメンツは特にLage Lundとはしょっちゅうやっているみたいだが,まぁ気ごころが知れたメンバーってところではないだろうか。特にLundの場合,Vinsonのアルトとのユニゾンも目立つし,活躍の機会が大きいように思える。

そして展開される音楽はいかにも現在のNYCっぽいって感じである。変拍子にモーダルなアプローチを加え,極めて現代的な響きが強い。ここでは珍しく,Matt Brewerが一部でエレクトリック・ベースを弾いているのもそうした響きを強く感じさせる要因かもしれないが,やはりこれは「最先端」の音とは言わずとも,今のシーンに多く聞かれる感じだなぁって気がする。そうした中で,スタンダードとして一曲"Stablemates"が入っているが,アドリブ・パートになると途端に自由度が高いと言うか,いい意味でのグシャグシャ感が増してくる。もう1曲Duke Ellingtonの"Morning Glory"という曲も入っているが,不勉強にして私は初めて聞いたかもしれない。ここではVinsonとLundのデュオが展開されている。それ以外はVinsonとLundのオリジナルなので,このバンドはこの二人の双頭バンドだと言ってもよいかもしれないが,いずれにしても,全編を通じて,スリリングな展開と高レベルなソロが聞けて,これはなかなかよい。

まぁ,Smalls Liveの録音は超手作りというか,かなりローファイな感覚で作られているので,音としては大したことはないが,それでもこういう演奏が繰り広げられているのだという十分なドキュメントにはなっている。

昨今はNYCを訪れる機会にも恵まれていないが,やはりこういう演奏はライブで見たいよねぇと思うのが人情である。ますますNYCへの想いは強くなるが,また行きたいなぁと思わせるに十分な音源であった。星★★★★☆。

Recorded Live at Smalls on December 4 & 5, 2012

Personnel: Will Vinson(as), Lage Lund(g), Aaron Parks(p), Matt Brewer(b), Marcus Gilmore(ds)

2013年5月13日 (月)

スムーズ・ジャズの究極?:Chris Bottiの"Night Sessions"

Chris_botti_night_sessions "Night Sessions" Chris Botti (Columbia)

スムーズ・ジャズは毒にも薬にもならないという考え方は可能である。だが,本当に優れたスムーズ・ジャズはリスナーに何とも言えない「心地よさ」を提供する。Chris Bottiのアルバムは大体そういう感覚を与えてくれることが多いが,これもそんな作品である。一時期の米国ではスムーズ・ジャズのFMステーションが多数存在していたが,今やかつての有力局もなくなり,現地においてスムーズ・ジャズがどういう位置づけにあるのかはわからないが,それでもこうした音楽に対するニーズはあるはずだと思うのは私だけだろうか?

それはさておきである。Chris BottiはStingのバックも務めたというキャリアもあるものの,その後のメジャーな活躍ぶりは,その優れた風貌だけでは生まれなかったはずである。やはりこの人の音楽は気持ちよいのである。本作も,長期のツアーから解放されて,限られてはいても音楽制作に取り組む時間があったということで,これもSting絡みのKipperとコラボして作り上げたアルバムだと言ってよいだろう。よって,バックにもStingとつながりのあるメンツが参加しているし,Stingのペンによる"All Would Envy"という曲(これが露骨にStingしているのが笑える)もプレイしている。

しかも,本当か嘘かはさておき,"Night Sessions"のタイトル通り,録音は夜の帳が降りてから,翌朝,陽が昇るまでの時間に録音したものだとBottiがライナーに書いている。だとすれば,ちょっと出来過ぎって気はするが,それでもそういう感じの曲が並んでいて,おぉっ,これぞスムーズ・ジャズの究極って感じなのである。今,この記事を書いている時間(午後10時)へのフィット感は高く,ついつい点も甘くなり星★★★★。

だが,ここでの演奏を口ずさめるほどリピートするかと言えば,決してそんなことはない。これはあくまでもバックグラウンドで流れていてこそフィットする音楽なのだ。そういう意味ではEnoの"Music for Airport"みたいなものなのかもしれない。それにしても,どこまでも心地よく,Bottiに夢中の女子は夢見心地に誘われること確実な曲群である。曲としては"You Move Me"がちょっと感じが違うかなぁと思わせるが,気持ちいいことには変わりない。こんなイケメンに耳元でラッパを吹かれたら,私が女子なら悶絶確実だろう(笑)。オッサンの私が言うのだから間違いない(爆)。そういう意味ではスムーズ・ジャズ界のChet Bakerなんだろうなぁ。

Personnel: Chris Botti (tp), Shawn Colvin, Lani Groves, Camilla(vo), Bill Reichenbach(tb), Kazu Matsui (尺八), Kipper(key, prog), Jeff Lorber, Billy Childs, Jeff Young (key), Dominic Miller, Shane Fontayne, Heitor Pereira, Marc Shulman (g), Christian McBride, Jimmy Johnson, Jon Ossman (b), Vinnie Colaiuta, Abe Laboriel, Jr. (ds), Luis Conte (perc)

2013年5月12日 (日)

Keith Jarrett@オーチャード・ホール参戦記

Keith_jarrett_trio 去る5/9にオーチャード・ホールで開催されたKeith Jarrettトリオのライブを観てきた。昨年のソロに続いて,私はライブの開演に遅れ,1曲目の"All of You"は聞き逃してしまったので,不完全な参戦となってしまったのは残念。

今回のライブにおいてはKeithのピアノは非常に美しく,フレージングも素晴らしかったので,その点については全く文句はない。だが,このライブを聞いていて,私は最近の彼らのアルバムでの演奏に感じる違和感と同様の感覚を覚えたことは告白しておく必要があるだろう。テンポに変化が乏しく,メリハリが感じられない。その結果として,私は「予定調和」的な部分を感じざるを得なかった。特に前半の演奏においてそういう感覚が強かったように思えるし,私としてはGary Peacockのベースの音の今イチ感が強く,Jack DeJohnetteも彼らしいダイナミズムを感じさせてくれなった。

だがそうした感覚が払拭されたのはアンコールで演じられた"Straight No Chaser"においてフリー的なアプローチが取られた時ではなかったか?そして,その感覚が更に強くなったのが終曲"God Bless the Child"が8ビートで演じられた時だったように思える。つまり,彼らが「予定調和」から「逸脱」した時に,彼らの演奏の凄みを感じさせる結果になっていたと思う。その結果,この2曲にはさまれた形の"When I Fall in Love"の美しさが際立つようにさえ感じられたのである。

だからこそ言いたいのだが,Keithのピアノの美しさは認めつつ,私は彼らの音楽に「ゆるさ」を求めるわけではなく,痺れるような緊張感を求めたいのだと思える。それを具現化したのがアンコールだったというのはちょっと惜しい気がする。

今回の日本公演がトリオとしては最後の来日らしいが,その真偽のほどはさておき,まぁ,そろそろいいかなぁという気持ちもありながら,まだテンションを保った演奏もできることを実証したのだから,もうやらないというのも惜しいと思ってしまうのが何ともアンビバレントな私である。尚,鯉沼ミュージックのサイトにも公開されている当日のセットリストは下記の通り。私としては,1stよりも2ndがよく,更にアンコールがよかったと思っている。

もちろん,音楽の捉え方は人それぞれであるから,いろいろな思いがあるのは当然だが,それでも私にはこうした感覚が非常に強かったということで,ご報告である。

1st
1. All Of You
2. I've Got A Crush On You
3. Golden Earrings
4. Come Rain Or Come Shine
5. Joy Spring
6. I'm Gonna Laugh You Right Out Of My Life

2nd
1. Butch And Butch
2. In Your Own Sweet Way
3. Bitter End

Encore
1. Straight No Chaser
2. When I Fall In Love
3. God Bless The Child

尚,余談ではあるが,私はKeithのライブでは結構ついてないことが多い。初めてこのトリオを観た時は,演奏前に大雨が降ったよみうりランドEASTでのライブ。その後,東京芸術劇場でソロを聞いた時は痛風発作で音楽に集中できず,そして,昨年のソロは開演に遅れ,前半はロビーから映像を見ていた。そして,今年も遅参である。つくづく縁がないのかなぁと思ってしまった。

2013年5月10日 (金)

こんなんもありました:Andy LaVerneの"True Colors"

Andy_laverne "True Colors" Andy LaVerne(Jazz City)

つくづく,私もいろいろなCDを保有しているもんだなぁと部屋の片づけをしながら思っているのだが,これなんかは段ボールの中に久しく埋もれていた作品である。よくよく見れば,Jerry Bergonziが4曲参加しているし...。すっかり忘れていた(爆) 。

本作が吹き込まれたJazz Cityというレーベルは増尾好秋とトニー有賀をプロデューサーに,結構な良作をリリースしていて,レーベルとしてはかなり信用できるものだったが,これもそうした良作の一枚。

Andy LaVerneとJerry Bergonziは共演作も結構あるので,メンツとしての意外性はないが,どちらかというとセンシティブな感覚の強いLaVerneとの相性についてはどうなのかなぁって気がしないわけではない。しかし,ここでの演奏を聞けば,このコンビ,決して悪くないということははっきりしている。このアルバムは,それほどハード・ドライビングな演奏を収めたものとは言えないので,Bergonziのテナーが炸裂するってほどではないし,ソロも全体的に短いものだが,それでもBergonzi参加の4曲だけでも聞きどころ十分なものとなっていると思える。

だが,あくまでも本作の主役はLaVerneであって,彼のピアノのタッチを楽しむことに主眼を置くべきである。全体的に歌心溢れるプレイぶりは非常に楽しめるし,"Night & Day"におけるアグレシッブなプレイぶり等には正直驚かされる。そういう意味ではLaverneの多才なところが強く感じられる作品であり,プロデューサーの見る目が優れていることを実証しているようなものである。だからと言って,史上不朽の名盤等という評価を与えるものではないとしても,たまに聴きたくなるというタイプの音楽という言い方が適切な作品であろう。それがこのレーベル作品の美点ということもできよう。ということで星★★★★。

LaverneとBergonziの共演作と言えば"Vertical Reality"も保有しているはずだが,さて一体どこにあったけなぁ...。どこかで見掛けたことは間違いないが(爆)。

Recorded in January, 1988

Personnel: Andy LaVerne(p), Marc Johnson(b), Danny Gottlieb(ds), Jerry Bergonzi(ts, ss)

2013年5月 9日 (木)

今日も懐メロ:Simon & Garfunkelのセントラル・パーク・コンサート

Simonandgarfunkel_centralpark_2 "The Concert in Central Park" Simon &Garfunkel (Warner Brothers)

今日も懐メロである。よくよく見たら,ほぼ4年前にも本作については記事をアップしている。ってことは聞くのもそれ以来かもしれない(爆)。

それはさておきである。1981年に一時的に復活した際のライブ盤だが,これを受けて後楽園球場でライブをやった時には私ははるか彼方からこの二人を見ていたのが今でも懐かしい。その後,私は2009年に彼らが武道館でやった時に,その場に居合わせることができたわけだが,歳を取ったこともあったこともあって,その時の感動は非常に大きかったのが,昨日のように思い出せてしまう(記事はこちら)。やはり素晴らしいデュオである。

本作はベネフィット・コンサートとして開催されたライブであったが,そこに集まった聴衆は53万人だそうである。セントラル・パークだから成り立つって話もあるが,凄い数だ。だが,それだけの人間を集めてしまう魅力がこの二人にはあったってことだろう。

今,このアルバムを録音されてから30年以上経ってから聞いてみても,当時の熱気は十分に感じられるものだと思う。収録されている曲はS&Gのヒット曲が中心でありながら,当時の彼らのソロ・アルバムの曲も挿入して,相応の新しさも作り出しているところが,このアルバムを初めて買った当時は新鮮だった。残念ながらArt Garfunkelのヴォーカルの調子が完璧でないのが惜しいが,それでもこのアルバムはS&Gの音楽への渇望感を埋めるには十分だったであろうし,私も初めて聞いた時は,ほぼリアルタイムで彼らの音楽を聞けることの喜びを感じたものである。

こうした感想が出てきてしまうところが懐メロの懐メロたる所以だが,それでもやはり久しぶりに聞いても懐かしいのである。それでもいいのだと開き直るのが年寄りの特権だということで,久々にこの音源を楽しんだ私である。しかし,久しぶりに聞いても,このアルバムの最も強烈な演奏は,Richard TeeがおそらくはYamahaのエレクトリック・グランドを使って,ゴスペル的なイントロで大いに盛り上げた「明日に架ける橋」だろう。後楽園でも同じようなアレンジだったが,やはりこの解釈は絶対正しいと今でも強く感じさせる名伴奏である。オリジナルが優れていることはもちろんだが,この伴奏は間違いなく,この曲に新しい魅力を付け加えたと思えるのだ。

ということで,懐メロは郷愁を誘い,ノスタルジックなムードにはまるおっさんはついつい点も甘くなり,星★★★★★(笑)。惜しむらくはホーン・セクションが若干弱い。ここはテナーには絶対にMike Breckerを据えるべきだったと思っているのは私だけではないだろう。

Recorded Live at the Central Park on September 19, 1981

Personeel: Paul Simon(g, vo), Art Garfunkel(vo), Richard Tee(key), Rob Mounsey(key), Dave Brown(g), Pete Carr(g), Anthony Jackson(b), Steve Gadd(ds), Grady Tate(ds), Gerry Niewood(sax), David Tofani(sax), John Gatchell(tp), John Eckert(tp)

2013年5月 8日 (水)

Pops Staples:レイドバックってのはこういうもんだ

Pops_staples "Peace to the Neighborhood" Pops Staples(Point Blank)

CDの整理をしていて,久しぶりに見つけて聞いたアルバムである。私の記憶が正しければ,私が本作を購入したのは在米期間を終えて帰国した直後ぐらいのはずである。それ以来,この作品はこの手のサウンドが好きな私にとっての愛聴盤だったはずだが,いつの間にか「一軍」をはずれて,聞く機会が減っていたもの。しかし,今回,久々に聞いてみたのだが,やっぱりこれはいいわ。

本作を聞いていて思うのは,本当の「レイド・バック」したサウンドとはこういうものであろうということである。ここでのPopsによる歌唱全く力が入っていないのだが,リスナーに訴求する力は非常に強いという稀有な体験ができてしまうのが凄い。

本作は,一般のリスナーからすれば,Jackson BrowneとBonnie Raittが参加した冒頭の"World in Motion"とRy Cooderプロデュース/参加の2曲に注目が集まるのは当然だろう。もちろん,それらの曲が優れていることは言うまでもないのだが,それ以外の曲のクォリティも非常に高い。このアルバムが吹き込まれた当時のPopsは,70代も後半に突入していた頃だが,年というのはこういう風に取りたいと思わせるような歌いっぷりなのである。この力の抜け具合は,ある意味達観した境地とも言うべき次元に達していると言ってもいいかもしれない。

私も十分に歳を取ったわけだが,このPopsのようにはなれないことは明らかで,まだまだ若輩者よのぉと言われれば一言も反論できない(爆)。そういうことを反省させるにも十分な「教育的」ブルーズ/ソウル・アルバム(笑)。とても若い人たちには薦められるような作品ではないが,私にとっては老後の指針のようなアルバムとして星★★★★★。

尚,クレジットをよくよく見ていると,ベースにBuell Neidlingerなんて意外な名前が見て取れる。まさしく意外である

Personnel: Pops Staples(vo, g), Thomas Bingham(g), Bonnie Raitt(vo, g), Jackson Browne(vo, g), Ry Cooder(g), Michael Toles(g), Lester Snell(key), Milton Price(b), Hutch Hutchinson(b), Buell Neidlinger(b), Dywane Thomas(b), Steve Potts(ds), Rickie Fataar(ds), Jim Keltner(ds), James Robinson(ds), Debra Dobkin(perc), Wayne Jackson(tp), Andrew Love(sax), William Brown(vo), Bertran Brown(vo), Jackie Reddock(vo), Jackie Johnson(vo), Terry Evans(vo), Arnold McCuller(vo), Willie Greene(vo), Mavis Staples(vo), Yvonne Staples(vo), Cleotha Staples(vo), William Brown(vo)

2013年5月 7日 (火)

これまたかなりの出来と言ってよいGilad Hekselmanの新譜

Gilad_helselman "This Just In" Gilad Hekselman(Jazz Village)

これも久々のショップのぞきで購入したCDである。Gilad Hekselmanというギタリストについては以前のAri Hoenigのアルバムでのプレイぶりに感心してはいた(記事はこちら)ものの,リーダー作まで追い掛けるところまではいっていなかったのだが,今回はショップでちらっと試聴して購入決定である。これもメカニカルな響きも織り込んだ典型的なコンテンポラリー・スタイルのジャズであるが,非常に魅力的な響きを持っている。

Gilad Hekselmanは1983年生まれということで,まだ30歳そこそこってところであるが,テクニックも十分あれば,歌心も備えたミュージシャンということができると思う。このアルバムは3曲でMark Turnerが加わるが,基本はギター・トリオによる演奏で,Hekselmanの実力が十分に感じられるものとなっている。その中で,面白い選曲がAlan Parsons Projectによる"Eye in the Sky"である。この曲をジャズ・アダプテーションしたというのは私の記憶にはないが,私の好きなバンド,そして優れた曲なので,どういうことになるのか非常に興味深く聞いた。そして聞こえてきたのは,Pat Methenyの"James"にも似た響きだったのは意外だったが,これはMethenyへのシンパシーというか,強い影響のようなものを感じるものとなっていた。また,それに続くインタールード的に挿入される"Newsflash #5"がこれまた"The Roots of Coincidence"的なハードな響きを持っていて,やはりMetheny的である。まぁ,現代のジャズ・ギタリストでMethenyの影響を受けていない方が少数派かもしれないが,ここにMethenyへの明確なシンパシーを感じるのは私だけではあるまい。

"Eye in the Sky"のほかに収録されているカバー曲はDon Grolnickの"Nothing Personal"であるが,この曲はMichael Breckerの当たり曲であって,どちらかというとクールな響きを持つMark Turnerが,ここでも決して熱くはならない(笑)が,Breckerのライブよりはややテンポを落とした演奏の中で,いつもよりアグレッシブな感じの吹きっぷりで気に入った。カバー曲ということであれば私は"Eye in the Sky"よりこちらを評価したいと思っている。

この2曲以外がHekselmanのオリジナルで,先述の通り,コンテンポラリー・ジャズ・ギターの代表みたいな曲であり,演奏である。曲間に"Newsflash"という曲が#1~#5として短いインタールードのようなかたちで挿入されているが,その効果のほどはやや疑問があるとしても,このアルバムは共演者の好演もあってなかなか優れた出来を示し,これならほかのアルバムも聞いてみてもいいと思わせる作品である。ついつい星も甘くなり星★★★★☆。

Recorded between December 2011 & January 2012

Personnel: Gilad Hekselman(g, synth, glockenspiel), Joe Martin(b), Marcus Gilmore(ds), Mark Turner(ts)

2013年5月 6日 (月)

GW中に見た映画(その2):「アイアンマン3」

Iron_man3 「アイアンマン3("Iron Man 3")」('13,米/中,Paramount)

監督:Shane Black

出演:Robert Downey, Jr., Gwyneth Paltrow, Don Cheadle, Guy Pearce, Rebecca Hall, Ben Kingsley

今年のGW中に公開されている洋画には正直言って食指をそそられるものがほとんどなく,まぁ見に行っても言いかって思えるのはこの「アイアンマン3」ぐらいのものであった。「アベンジャーズ」も荒唐無稽であったが,たまにはこういう荒唐無稽さも日頃の憂さを忘れるには丁度いいかもしれない。私はこのシリーズのファンってわけではないが,第2作は飛行機で見たし,「アベンジャーズ」は劇場で見ているから,第1作は見てなくてもまぁいいだろう(笑)。

この映画では「アベンジャーズ」を受けて,主人公Tony Starkがパニック障害になってしまうところがまず笑えるが,それもストーリーに織り込むところにシナリオとしてのある程度の「策」が感じられる。そうは言いながらも,善と悪はあくまでも明確な中,CGもアクションもド派手なのは「アベンジャーズ」同様である。そうした中で,悪役を演じるGuy Pearceがまじでにくたらしく,その一方で名優Ben Kingsleyをコミック・リリーフのように使ってしまうというのも面白かった。ということで,荒唐無稽でも,ちゃんと最後まで見ていられるのが,このシリーズのよいところである。

だが,この映画の宣伝文句には「さらば,アイアンマン」とか書いているが,エンド・ロールを見れば"Tony Stark Will Return"と書いてあるし,「アベンジャーズ2」だって製作,公開が決まっているのだから「さらば」なわけはないのだ。このあたりはいかがなものかと言わざるをえないし,クライマックスの戦闘シーンに至っては,これはさすがにありえないと言いたくなるような展開である。だが,いつもこの手の映画を観るとワンパターンの私のセリフとして出てくる「所詮はアメコミだからいいのだ」という感覚でいいのだと思う。荒唐無稽さをなくしたら,このシリーズは面白くなくなってしまうのだから,これぐらいでよしとすればいいだろう。

いずれにしても,本作は,Robert Downey, Jr.がマスクを被っていないシーンが非常に多いのが特徴で,ある意味ではそれを狙って作っているように思える。この映画を踏まえつつ,どう「アベンジャーズ2」につないでいくのかというところが非常に興味深い。星★★★☆。

尚,いつも言っていることだが,エンド・ロールが流れると席を立つ人が多いのには辟易とするが,エンド・ロールの後にもシーンが残っていたことを彼らは認識しえないということをわかっているのだろうか。最近,製作者サイドも意図的にエンド・ロールの後にシーンを挿入する映画が増えているように思えるのは,そうした対応に対するせめてもの反抗のようにも思える。余計なお世話と言われればそれまでだが,映画は劇場内に明かりがついてから席を立って欲しいものである。

2013年5月 5日 (日)

Morten Haxholm:久々にCDショップをのぞいて見つけた注目盤

Morten_haxholm "Equilibrium" Morten Haxholm Quartet (Storyville)

現在の住まいに引っ越す前には,近所にCDショップがあって,会社の帰りなどにものぞいては新譜や中古をゲットしていたのだが,引っ越してからというものの,なかなかショップを訪れるチャンスに恵まれず,情報もほとんどネット頼みとなってしまっていたのだが,GW中に出掛ける機会を使って,ショップをのぞいてみた。正直言って新譜に関しては5月後半にラッシュがやってくる予定であり,大した新譜もないなぁというのが,ロックやソウルに関する感想であった。中古盤についても,某ショップでは収穫なしでがっくりして,別のショップへ移動して,ゲットしたのが本盤及びその他2枚(それらについては改めて書きたい)である。やはり,現物を見ると,おぉっ,これって聞いてみたいという感覚を覚えるものだと改めて思ったが,これ等はその典型的なものである。リーダーは聞いたこともないが,バックを務めるのがJonathan KreisbergにAri Hoenigなのだ。そして,ギター・トリオを基本にテナーが5曲で加わるという編成もこれは!と思わせた理由である。

そして聞いてみたのだが,これがなかなかの佳作である。リーダーのHaxholmはデンマーク出身のベーシストで,現在もコペンハーゲンにあるRhythmic Music Conservatoryというところで就学中らしい。フルネームはMorten Christian Haxholm Jensenらしいが,WebサイトではMorten Christianと名乗っており,それだったら本作もその名前にすればいいものをと思ってしまうが,バックにはフルネームでクレジットされている。なんでやねん。それはさておき,この人,本作でも8曲中6曲を作曲し,いい音のベースを聞かせるのだから,全然知らない人とは言え大したものである。そして,それを支えるKreisbergもHoenigもいい仕事をしているだけでなく,テナーのFrederick Menziesも魅力的なトーンとフレージングを聞かせているのもこのアルバムへの貢献度大である。

まぁ,メンツがメンツだけに,昨今多く聞かれるコンテンポラリー・ジャズだと言ってもよいが,全くノーマークな人からこういうレベルの高い音楽が届けられると嬉しくなってしまうし,やはりショップにはたまに行かないといかんと痛感させられる。ネットだけではなかなかこういう邂逅は難しいからである。ということで,久々にショップに行ってみて,拾ったCDの出来がよいとついつい点も甘くなり,半星オマケの星★★★★☆としてしまおう。

尚,PCで聞いても音がいいと感じるのだから,真っ当なオーディオ・セットで聞けば,更によく思えるかもしれない。

Recorded on February 27, 2012

Personnel: Morten Christian Haxholm Jensen(b), Jonathan Kreisberg(g), Ari Hoenig(ds), Frederick Menzies(ts), William Larsson(rhodes on track 7)

2013年5月 4日 (土)

José Luis Montón:最近全然ECMをフォローできていない中で

Jos_luis_montn "Solo Guitarra" José Luis Montón(ECM)

私はECMレーベルの結構なファンであり,メンツや楽器編成によって新譜も追いかけるようにしているのだが,何でもかんでもというわけではない。ただ,New SeriesでもSchiffのアルバムが出れば買ってしまうし,まぁその都度判断しながら買っているというのが正直なところである。だが,最近,ECMの新譜を仕入れても,すぐに聞きたいという気持ちになれないこともあり,購入したことはわかっていても,積んどく状態になっているCDの何と多いことか。今回,部屋の整理をしていて,つくづく思ってしまった私である。

このアルバムもリリースされたのは昨年の後半だったはずだが,ほぼ半年も積んどく状態を続けていたとは我ながら情けない。だったら買わなきゃいいだろうという家人の言葉が飛んできそうだが,そうはいかないのが悲しい性である。まぁ,それはさておきである。

このJosé Luis Montónという人については初めて聞いたが,バルセロナ出身の1962年生まれということはほぼ私と同年代である。これまでの作品のタイトルには「フラメンコ」と付いていることが多いことからしても,フラメンコを基調とするギタリストであることは間違いない。だが,ここで聞かれる音楽はフラメンコ特有の「情念」や「パッション」を感じさせる響きよりも,はるかにクールなのがECMらしい。バッハをアレンジした曲が1曲入っていることも影響するだろうが,フラメンコというよりも,クラシカルな響きが強いように思える。

だが,そもそものECMの歴史をたどれば,多くのギタリストに門戸を開いてきたレーベルであるから,その目利きに狂いがある訳がないということで,本作品もクラシカルな響きは強いものの,ECMらしいと言えばその通りである。ECMは個性的なギタリストを輩出してきたが,その中では個性に関しては突出したところはないとしても,サウンドは十分に魅力的なものと言える。一方,こういうギターを聞いていると,同じアコースティックを弾いても,Ralph TownerやEgberto Gismontiというのはとんでもないスタイリストだということがはっきりする。

そうは言いつつも,特にフラメンコに関してアレルギーをおぼえることもなく,コンベンショナルとも言える響きも心地よいギター・アルバムとして十分に楽しめる作品だと思う。星★★★★。

Recorded in April, 2011

Personnel: José Luis Montón(g, vo)

2013年5月 3日 (金)

GW中に見た映画(その1):「ジャックと天空の巨人」

Jack_the_giant_slayer 「ジャックと天空の巨人("Jack the Giant Slayer")」('13,米,Warner Brothers)

監督:Bryan Singer 

出演:Nicholas Hoult, Eleanor Thomlinson, Ewan McGregor, Stanley Tucci, Ian McShane

GW中にはどこにも遠出をせず,ひたすら部屋の片づけを行おうと思っていたのだが,さすがにそればかりではいかがなものかということで見に行ったのが,興行終了直前のこの映画であった。私が見たのは3D版である。 

本作は「ジャックと豆の木」と「巨人退治のジャック」を翻案して作られたファンタジー映画であるが,まぁいかにもという感じのCGと,いかにもという感じの3Dなのには苦笑せざるをえなかったが,こうなってくるとテクノロジーの進化が,映像そのものや演技そのものの魅力を削いでしまうようにさえ思えてしまう。

ファンタジー映画としてはそこそこ面白く見られるが,いかにもご都合主義的なシナリオ設定がどうにも痛い。ネタバレを避けるために,詳しくは書かないが,それってある?というような展開が多過ぎるのである。だから,映像だけ見ている分にはいいのだが,よくよく考えるとなんでやねん?と首をひねるシーンがあまりにも多いのである。よって,私としてはあまり高く評価できない映画だと言わざるをえないが,映像が一瞬「カリオストロの城」のように思えたりしたのは私の思い込みってところか。

役者陣ではEwan McGregorを持ち上げ過ぎなのはまぁいいとして,主役のNicholas Houltが魅力に欠けるのはいかんともしがたい。Eleanor Thomlinsonはなかなか可愛いが,役がありきたりな設定なのはちょっとねぇ...。ということで,大人が見ると「なんでやねん」,子どもが見ればそれなりに楽しめるのかなぁと思いつつ,出てくる巨人たちが気持ち悪いので,子どもにも受けが悪いのではないかと思える一作。星★★☆。結論からすれば,Bryan Singerの作品であれば,X-Menを見ている方がずっとまし。ということで,ついつい安いので5枚組Blu-rayのX-Menボックスを発注してしまった私である(爆)。かつSingerが現在撮っている"X-Men: Days of Future Past"にも実は期待もしている。おっと,その前に「ウルヴァリン:SAMURAI」もあるなぁ。私も結構好きねぇ(笑)。

2013年5月 2日 (木)

Iris Ornig:またも有望な女性ベーシスト現る

Iris_ornig "No Restrictions" Iris Ornig(自主制作盤)

このアルバムのことを知ったのはDown Beatの今年の4月における批評だったが,何よりも私が注目したのはメンツである。Kurt Rosenwinkelのギターに,Marcus Gilmoreのドラムスというのが購買理由にほかならない。ついでにフロントでラッパを吹くのはCriss Crossから新譜を出したばかりのMichael Rodriguezだし,ピアノはこのブログでも取り上げたHelen Sung(この人ついてはジャズ界のあき竹城なんて失礼なことを言っている。記事はこちら)という地味ではあるが,相応のメンツが揃っている。Down Beatでも4つ星と高評価だったこともあり,CD Baby経由での購入である。

Iris Ornigという人はドイツ出身で,スイスとロンドンで学び,現在はNYC在住らしいが,昨今はMe'Shell Ndegeocelloは言うに及ばず,EsperanzaやLinda Ohのような女性ベーシストの活躍が目立つ中,またも新たに注目可能な女性ベーシストの登場と言ってよい。

ここで展開される演奏は,正直言ってゴリゴリのジャズ的な「熱」は発しているとは思わないのだが,ソフトでありながら,盛り上げるところはちゃんと盛り上げる演奏になっているところはリーダーの力もあろうが,共演者に依存するところが大きいように思う。特にRosenwinkelの存在が大きいように思える。だが,BjorkとMichael Jacksonの2曲を除けば,リーダーのペンになる曲群は相応の魅力を放っているのも事実であり,この人,なかなかの実力者であると思わせる。その一方で,誤解を恐れずに言えば,このソフトな感覚はやはり「女性的」という表現が適切なようにも思えるのである。例えば,大西順子に感じられるような力強さはこのアルバムからは感じられないので,その辺りがこの音楽を評価する際の一つの分かれ目になるように思える。

しかし,彼女のWebサイトでも見られる映像等を見れば,この人が真っ当なプレイヤーであることは確実に見てとれるし,ベースも結構いい音を出している。本作の冒頭を飾る"Autumn Kiss"のBlue Noteでの映像を貼り付けておくが,日曜日の昼に演奏しているにしてはかなりまともである。ベース・ソロは今イチかなぁとも思えるし,画像の字幕の日付が間違っていたり,編集が粗いのも笑えるが,まぁまぁいい線はいっている。ちなみにこれは2012/11/11の演奏というのが正しい。

繰り返すが,彼女は結構な実力者である。今回はメンツに恵まれたというところもあるかもしれないが,レギュラー・メンバーでやってもそう大きな違いはないだろうと思わせる作品。星★★★☆。次は「女性」ということを意識させない音楽性を聞かせてくれることを期待したいし,期待できるミュージシャンである。

Recorded on August 12, 2011

Personnel: Iris Ornig(b), Kurt Rosenwinkel(g), Mike Rodriguez(tp), Helen Sung(p), Marcus Gilmore(ds)

2013年5月 1日 (水)

Arti & Mestieri:GW中の片付けの中でちゃんと聞いてみた

Tilt "Tilt" Arti & Mestieri(Cramps)

私がロックをまともに聞くようになった頃,このアルバムはリリースされたはずで,雑誌で見たこのアルバムのジャケだけはよく覚えていたが,当時はイタリア・ロックに興味もあるはずなく,その記憶だけで時間を過ごしてきた。しかし,私も歳を取るとともに,聞く音楽の幅が広がって,昔は絶対聞く気にもなれなかったであろうCDにも手を出していることがよくわかる。

だが,今回,ようやくまともに対応を開始した引越し後の片付けの中で,PCで音楽を再生しながら作業を行いつつ,本作を聞いてみたのだが,こんな音楽だったのねぇというか,これっていけてるよねぇなんて思ってしまった私である。

今の耳で聞けば,King Crimsonみたいだとか,もしくはYesみたいだ,あるいはMahavishnuみたいだとか言うのはたやすいことだが,これを同時代的に聞いていたら私はどう思っていただろうかと考えると我ながら興味深い。しかし,リリースからほぼ40年を経過した本作を聞いて,多少の古臭さを感じることは致し方がないとしても,特に私には違和感のない音楽であった。それは私がそういう歳だからということもあるが,ここで展開されている音楽のレベルが高いからだと言ってもよいような気がする。なぜ,イタリアからこういう音楽がって気もするが,これはラテンの国から現れた高レベルのプログレッシブ・ジャズ・ロックであった。特に最も長尺の"Articolazioni(音節)"にその魅力は集約されている。いやいやそれにしても大したものである。星★★★★。だからと言って,今の若い人たちにこれを押し付ける気は全くないが...(苦笑)。

Personnel: Furio Chirico(ds, perc), Beppe Crovella(p, key, org), Marco Gallesi(b), Gigi Venegoni(g, synth), Giovanni Vigliar(vln, vo, perc), Arturo Vitale(reeds, vib)

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