2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

2015年おすすめ作

2015年おすすめ作(本)

無料ブログはココログ

« 2013年3月 | トップページ | 2013年5月 »

2013年4月30日 (火)

Jeremy Peltの新作は映画音楽のようだと言いたくなる...

Jeremypeltwaterandearth "Water and Earth" Jeremy Pelt (High Note)

Jeremy Peltは優秀なクインテットとともに,往年のMilesを彷彿とさせる音楽性を聞かせてきたが,それでも前作"Soul"はちょっとMilesに傾斜し過ぎたかなぁと思わせたものの,出来としてはかなりのものとなっていた(記事はこちら)。しかし,同一メンツでのレコーディングが続いていると,ちょっと違った路線も聞きたくなるのが人情なのは,Tom Harrellのクインテットにも言えるが,今回,そうした期待を感じたのか(?),Jeremy Peltもこれまでとは異なる路線でのサウンドの作品をリリースしてきた。このアルバムのサウンドを彩っているのはずばりRhodesである。

私は,このブログにも何度か書いてきたように,Rhodesの音がかなり好きだと言ってもいいので,今回のアルバムに関する情報が上がってきた時にも結構な期待を寄せていたことは紛れもない事実である。しかし,このアルバムがリリースされてから,結構な時間が経っても記事にできなかったのは,引越しで多忙だったこともあるが,それよりも,音を聞いてずっとピンとこないでいたからなのである。

それはなぜなのかを今一度本作を聞き返して考えていたのだが,それはここで聞かれるサウンドの「ゆるさ」にあるのではないかと思える。私がJeremy Peltに求めるのはよりシャープでアグレッシブな響きであるが,ここで聞かれるのは,まるで70年代のアクション映画のBGMのような感じなのである。それはそれで固有の魅力を持つ音楽であることは否定しないが,そこには緊張と弛緩のバランスがもう少し感じられるはずだ。だが,このJeremy Peltの新作は「ゆるい」という表現が不適切だとすれば,「ゆるやか」と言い換えてもよいような感覚ゆえに盛り上がりに欠けてしまう。"Boom Bishop"のような曲がもう少しあればというところであるが,結局はこれは緊張感のあるグルーブが足りないことを示しているように思える。例えば"Prior Convictions"のようにバックのグルーブはよくても,そこに乗ってくるPeltのラッパがそこから乖離した音色やフレーズを発するのでは,どうにもうまくないのである。

全体的な音楽のクォリティは決して低くはないが,リスナーを引きつける強力な磁力に不足した演奏に留まっているのが私には残念に思えた。ということで星★★★。これならレギュラー・クインテットに戻して欲しいと思ってしまったわがままな私である。

Recorded on September 26 & 27, 2012

Personnel: Jeremy Pelt(tp), Roxy Cross(ts, ss), Frank LoCrasto(key), David Bryant(key), Burniss Earl Travis(b), Dana Hawkins(ds), Jeffrey Hayes(perc), Ra-Re Valverde, Angela Roberts, Fabiana Masili(vo)

2013年4月29日 (月)

"The Vanguard Date":祝再発!でもオリジナルの価格が下がるとは思えんが...。

Vanguard_date "The Vanguard Date" Steve Kuhn(Owl→Sunnyside)

本作の姉妹盤に当たる"Life's Magic"も昨年,同じくSunnysideから再発になっていたはずであるが,それに続いて,中古市場でとんでもない価格がついていた本作までリリースされたのは誠にめでたい。なんせCDが5ケタの値段というのはやはり行き過ぎであり,さすがにそこまで金は出せんという人が多かったのではないだろうか。それが,こうして手軽に聞けるようになっただけで喜ばしい。

本作が「幻」化したのはそもそもの発売元であるOwlのサブ・レーベル,Owl Time Lineがあまり枚数をプレスしなかったからではないかと思われるのだが,"Life's Magic"がKuhnのファンあるいはそれ以外のリスナーにも結構人気があることを考えれば,Owlももう少し商売っ気を出してもよかったのではないかと思えるが,それを差し置いても,このアルバムも"Life's Magic"には及ばないとしても,「幻」化させるには惜しい出来である。全編を通して,Kuhnらしいピアノを楽しめる。

そうは言っても,私はRon Carterのベースの音が本当に嫌いなので,それがなければなぁなんて思ってしまうのだが,ここでもCarterの音は下品極まりない。リアルなベースってこんな音ではないはずであるが,とにかくオーバー・アンプリファイドなのだ。それがどうにも気に入らない。"I Thought About You"なんて雰囲気ぶち壊しと思うのは私だけではないはずである。そうした瑕疵はあるものの,最も長尺の"Music Prayer for Peace"なんていい出来である。

この時期のSteve Kuhnは,ECM期のタッチから後のよりコンベンショナルなスタイルへ移行する端境期だったとは思うのだが,それでもバランスの取れた演奏をしていて,これはこれで十分に楽しめる作品である。

それにしても不思議なのは"Life's Magic"とこの"The Vanguard Date"はプロデューサーもエンジニアも一緒であるにもかかわらず,前者がBlack Hawk,後者がOwl Time Lineという異なるレーベルからリリースされたことである。結局はこれはプロデューサーが切り売りしたってことかもしれないが,それが最終的にはSunnysideというレーベルによって集約されたのだから,めでたし,めでたしということにしておこう。こういう仕事をするから,カタログは地味でも,レーベルとしてDown Beatの国際批評家投票では常に高く評価されるのである。星★★★★。だが,オリジナルに何万も出すほどの作品とは思っていないが...(苦笑)。

Recorded Live at the Village Vanguard on March 27, 28,29 & 30, 1986

Personnel: Steve Kuhn(p), Ron Carter(b), Al Foster(ds)

2013年4月28日 (日)

Seamus Blake,学生バンドに客演す。

Nsujazzensembleoncuethemusicof "On Cue: The Music of Seamus Blake" NSU Jazz Ensemble (NSU Jazz Lab)

これはブログのお知り合い,oza。さんが取り上げられていて,へぇ~ってことで購入してみたアルバムである。私はビッグバンド好きってわけではないので,ここはダウンロードで済ませたが,これが結構面白い。

そもそもNSU Jazz Ensembleというのはオクラホマ州にあるNorth Eastern Universityのジャズ学科の学生によるビッグバンドである。ジャズで学位を取ろうという人たちだから,ちゃんとした勉強をしているんだろうが,それにしてもなんでSeamus Blake集なのか?と思うのが人情である。ここで演奏されている7曲中6曲はSeamusのオリジナルだが,何だか最近Seamusが客演したアルバムより面白く聞けてしまったような気がする。曲そのものが,ビッグバンドのアレンジメントに対するフィット感も結構強いし,ソロイストとしてのSeamusも,学生諸君からのリスペクトを受けて気をよくしたか,非常にいいソロを聞かせているのである。

このNSU Jazz Ensemble,いろいろなミュージシャンとの交流も豊富なようで,最近の共演者にはGeoffrey Keezer,John Riley,Kevin Mahogany,Conrad Herwig,Kenny Werner,Terell Stafford,John Fedchock,そしてChris Potter等の名前が並んでいる。John Riley,John Fedchock以外は多くの人が知るミュージシャン達であろうが,そのJohn RileyやJohn Fedchockもビッグバンド畑では結構知られたドラマー,トロンボーンのようであるから,ここでのミュージシャン招聘には一本筋が通っているように見える。かつこれまで彼らがリリースしているアルバムのゲストにはBobby Watson,Russell Malone,Robin Eubanks等も含まれているのだから大したものである。

だが,こう言っては何だが,結局は学生バンドのアルバムであるから,一般のリスナーの関心はゲストたるSeamus Blakeに向かうのは当然であるが,ここでのBlakeのソロは期待を上回る出来を示したと言える。まぁ,比較の対象が学生諸君のソロであるから,格の違いを見せつけるのは当然とは言え,それでもここでのSeamusはかなり魅力的である。いつもこういう感じで吹いてくれるともっと好きになるんだが...(笑)。

だからと言って,学生諸君がいけていないかというとそういうわけではない。十分頑張っていると思うが,やはりここはSeamusの曲を選んだというのが正解だったように思える。非常にモダンな響きが魅力的なアルバムである。星★★★★。ビッグバンド好きは聞いても損はしないと思う。

ちなみにこのバンドのメンバーは一人を除いて,全員オクラホマ出身。その残りの一人が鹿児島出身の日本人ってのにはびっくりするよねぇ。頑張れ浜田(濱田?)くん on Trombone!(笑)。

Recorded on May 10 & 11, 2012

Personnel: Seamus Blake(ts), Jonathan Rice, Andrew Djahedian(as, fl), Joseph Barger, Chris Beard, Claremore(ts, cl), Nicholas McKinney(bs, b-cl), Timothy Moore, Christopher Greene,   Jared Wallis, Kristen Layne, Sean Ryan(tp), Trevor Moore, Zachary Gunkel, Ryunosuke Hamada(tb), Elijah Sullivan(b-tb), Stephen Schultz(g), Daniel Thompson(p), Eric Schmidt(b), Christopher Wilson(ds), Tommy Poole(arr, dir), Vicky Yang(arr)

2013年4月27日 (土)

出張中に見た映画(13/04編):最終回はあまりにも切ないが,映画としては圧倒的な力を持つ「愛,アムール」

Photo_3 「愛,アムール("Amour")」('12,仏,独,オーストリア)

監督:Michael Haneke

出演:Jean-Louis Trintignant,Emmanuelle  Riva, Isabelle Huppert,Alexandre Tharaud

出張の復路において,今回最後に見た映画が本作である。今年のオスカーで外国語作品賞,昨年のカンヌではパルム・ドール,セザール賞では主要部門総なめという非常に高い評価を得ている作品である。それも当然と思わせる映画であり,非常に優れた演出,脚本,演技が一体化した作品と言ってよい。だが,見ていてこれほど切なくなる映画はなかなかない。この切なさが,主役としてのJean-Louis TrintignantとEmmanuelle Rivaによる劇的な名演に大きく依存しているものであることには疑問の余地はない。

冒頭から,この映画の結末は明らかになり,そこに至る経緯が時間を追うようなかたちで描かれ,そして何とも印象的なラスト・シーンに至るという展開である。映画はほぼ全編に渡って主役二人が暮らすアパートメントにおいてのシーンに終始する。言わば演劇的な設定だと言ってもよい。そこで描かれるシーンには,人間の心の動きを映像で示すような力があり,まずそこで考えさせられる。また,さまざまなメタファーも提示されていて,それをどう解釈するかも観客に委ねられる部分があるのだが,それも決して嫌味なものではないところがよい。

そして,何よりも徐々に機能を低下させていく姿を,演技とは思えぬかたちで示したEmmannulle Rivaはやはり凄いと言わざるをえない。この映画ではRivaが話題になることが多かったように思うが,それはそれで当然としても,一方,その夫を演じるJean-Louis Trintignantも鬼気迫るものがある。高齢介護というある意味では非常にデリケートなモチーフを用いながら,ここで描かれるのはその背後にある人間の心理であるが,その微妙な心理の変化をTrintignantは見事に演じ切っていると言えると思う。

映画としては派手なところもないし,劇的な展開があるわけでもないが,こうした心理を描き切ることの物凄さということを感じざるを得ない。私がどうこう述べるよりもLe Parisienにこの映画の批評として書かれている「このストレートで容赦ない映画に観客は喉元を荒々しくつかまれた気分になるだろう。そこには安っぽい飾りものは一切ない。そうして簡素な作品は、一生忘れられない作品へと変貌する」という評価が私には最も適切なものと思える。まさにその通りである。

そして,この映画を見て感じられる切なさを,自身の人生や考え方に投影してみた時に,この映画の印象は更に強くなるのではないかと思えるのだ。これはおそらく劇場で見ていれば痺れて席を立てなかった可能性がある。ここまで来れば映画はエンタテインメントというよりも芸術である。その辺りに好き嫌いが出るのも仕方のないところだと思うが,私はこの映画には心底感心し,そして感動した。素晴らしい逸品,傑作である。Emmanuelle Rivaが本作について「私はほとんどドキュメンタリーのようだと思いました。たしかに辛い映画ですが、それは人生を濃縮したものだから当然でしょう。こういうテーマを、真実を凝視することなく描くことはできない」と語ったのに大きく首肯した私であった。星★★★★★。

尚,Emmanuelle Riva演じるAnneの弟子Alexandreを演じるAlexandre Tharaudは本物のピアニストであり,本作のサウンドトラックも彼の演奏によるものである。

2013年4月26日 (金)

出張中に見た映画(13/04編):その2は「横道世之介」。原作のトーンをうまく引き継いでいる。

Photo_2 「横道世之介」('13,日活)

監督:沖田修一

出演:高良健吾,吉高由里子,池松 壮亮,伊藤歩,綾野剛,國村隼,きたろう,余貴美子

出張中に見た映画の2本目は「横道世之介」である。私はこの原作について,非常に爽やかな印象が心地よく,2010年の書籍ベスト作の一つに挙げているぐらい好きである(記事はこちら)。よって,この映画が公開された時も見に行きたいと思いつつ,タイミングが合わず見逃していたものなので,今回機内エンタテインメントで見られたのは嬉しかった。

本作は原作からしてもそうなのだが,学生の日常を淡々と切り取った話だということも可能なので,それに160分という尺が必要なのかという議論もあるように思えるのだが,エピソードの積み重ねの中,過去と現在が交錯するストーリーで,全然長いという感覚は与えていないのが立派である。その中で示される過去のエピソードは,私のような年代にも非常にシンパシーの強いものであることもそうした感覚に貢献しているかもしれないが,これがなかなかよく出来た映画である。

モチーフには新大久保駅での転落事故が使われているが,それはモチーフに過ぎない。ここでは監督の沖田が狙った通り,「まるで自分の話のように普遍的な映画」になっていること自体が重要である。また,原作同様に非常に余韻が素晴らしく,見終わった後の心地よさ(そして一抹の悲しさ)が見る者に訴えるところがあるはずである。原作も好きだが,この映画も好きになってしまった私だが,これは多くの人に幸福感を与えるに違いないと確信している。

3 そして,主人公を演じた高良健吾はいかにも「横道世之介」というイメージを作り出していて立派であるが,それに加えて,笑顔はじける吉高由里子のなんと可愛いことよ。彼女のコメディエンヌとしての魅力全開,私がこれまで見た吉高由里子の中でも最も魅力的なキャラクターとなった。

4_2 ある意味,この映画を嫌うという人はそうはいないであろうと思わせるが,実際に多くの好意的な評価が寄せられているのも当然と思いたくなる青春映画である。私はこうした映画こそもう少し興行的に成功すべきだったと思っているし,もっと多くの人に見て欲しいと思えるナイスな映画である。この映画をデートで見に行ったら,隣に座っているガールフレンドの手を握りたくなること必定の映画(汗)。あまりの好感度の高さに点も甘くなり星★★★★★。皆さん,DVD化されたら,後付けでもいいから見ましょうね

2013年4月25日 (木)

出張中に見た映画(13/04編):その1は日本では公開されたばかりの「リンカーン」

Photo 「リンカーン("Lincoln")」('12,米,FOX)

監督:Stephen Spielberg

出演:Daniel Day-Lewis,Sally Field,David Strathair,Tommy Lee Jones,Joseph Gordon-Levitt

今回のマレーシア出張では先にも書いたとおり,往路では本作と「横道世之介」の2本,復路は体調も思わしくなく,「愛,アムール」の1本だけの計3本ということになったが,それぞれに見どころのある3本で,何となくラッキー感の強い私である。これで体調さえよければもう1本というところだったのだが,いかんせん復路は体調が悪過ぎた。

それはさておきである。この映画はDaniel Day-Lewisがオスカーの主演男優賞を獲得したものだが,まぁそれもうなずける演技,というよりもポスターでも明らかな,リンカーンへのなり切りっぷりということができるだろう。だが,映画としてはこれはアメリカ人には相応の感慨を持たせうる映画だとは言え,当時の政治の裏舞台劇のようなところもあるので,他国の人間が抱く感慨はアメリカ人のそれとは違うように思える。それがこの映画の限界と言えば限界のように思える。

映画としてはもちろんよく出来ている。憲法修正13条の可決を得るために,どのような工作が行われたかという地味な話を,ある意味スリリングに盛り上げるところまでにまとめたのはSpielbergの腕と言ってもよい。登場人物が多様なので,ややとっ散らかった印象もあるが,そこはほぼ出ずっぱりのDaniel Day-Lewisの演技で筋を通したということにしよう。

この映画,Daniel Day-Lewisばかりが話題になるが,その他の共演者もしっかりした演技を展開していることがこの映画の成功要因であることは間違いない。Tommy Lee Jonesは日本のCMとは全く違うキャラを作り出しているし,役柄的にも儲け役である。ただ,Jones含め,役者陣の演技はしっかりしているのだが,キャラクターそのものがステレオタイプな感じがする役柄が多いのも事実で,そこは脚色における造形の弱さがあるのが難点だと感じた。

だが,これは米国の歴史においては非常に重要なイベントを描いたものであり,歴史を理解しているかいないかで間違いなく捉え方は違う。逆に言えば,例えは変かもしれないが,「桶狭間の戦い」の歴史上の意義を外国人に理解せよというようなものである。だからこそ,アメリカ人でない私にとっては,ドラマ以上の感慨を与えきれない部分が出てきてしまうわけである。そうした要素もあってやや辛めに星★★★☆ぐらいにしておこう。でも面白い映画であることは事実なので,念のため。

2013年4月24日 (水)

踏んだり蹴ったりの出張はほぼ完了である。

今回のマレーシア出張は踏んだり蹴ったりであった。そもそも痛風の発作を抱えながらの出張であったことは既に記事に書いたとおりであるが,仕事を終えて帰国しようという段になって,薬の飲み合わせがよくなかったのか,軽いじんましんの症状が出てしまった。症状は極めて軽いのだが,局所的にあらわれたじんましんはどうにも気に入らないというか,気持ちが悪い。

仕事そのものはほぼ順調に推移したので問題はなかったが,日頃の行いの悪さが体調に現われてきたような気がしてならない。あとは日本に帰るだけというかたちだが,こうなったら,帰りに機内エンタテインメントで何を見ようか考えて憂さを晴らすこととしたい。

ちなみに往路は「リンカーン」と「横道世之介」を見た私だが,さて復路はどうしようかなぁ。日本では公開されたばかりの「リンカーン」を見られたのはラッキーだったし,「横道世之介」は見たいと思って見逃していたものだが,吉高由里子がどうにも可愛くて参ってしまった私である。

ということで,この記事がアップされる頃には,私は機上の人となり,次は日本からの記事のアップになっているはずである。

2013年4月23日 (火)

マレーシア出張中なのだが...

現在,マレーシアに出張中である。出張前から嫌な感じはあったのだが,どうも痛風の発作を抱えての出張となってしまった。と言っても歩けないほどの痛みではないのでまだ助かっているが,痛いことには変わりはない。

これもひとえに日頃の不摂生ゆえであるから文句は言えない。何とか薬を飲んででも二泊四日の出張を乗り切るしかない。

久々に出張はつらいよと言いたくなってしまった私であるが,今夜には日本への帰途につくから,もう一踏ん張りってことで。

2013年4月22日 (月)

映画好きは確実に楽しめる「ヒッチコック」

Hitchcock 「ヒッチコック("Hitchcock")」(米,'12,FOX)

監督:Sacha Gervasi

出演:Anthony Hopkins,Helen Mirren,Scarlett Johansson,Danny Huston,Toni Collette,James D'Arcy

私は結構なHitchcock好きである。DVDも相当数保有しているし,「北北西に進路を取れ」や「鳥」なんてそれこそ何度見たかわからない。そんな私であるから,この映画についての情報が入ってきた時,これは見たいなぁと思っていた。予告編を見ていると,Anthony Hopkinsはメークで頑張っているものの,あんまり似てないなぁなんて思いつつ,やはりこれは見に行って正解であった。

本作は映画「サイコ」の制作にまつわる裏話に近いものをストーリーの軸にしているが,当時,Hitchcockがどのように捉えられていたのかということを理解できて面白い。その上で,Hitchockと奥方Almaの関係性も明らかになっていて,その恐妻家ぶりが笑えてしまった。私が笑っていた背景には私自身が自他ともに認める恐妻家ということもあろうが,身につまされるやら,笑えるやらってところで,まず感情移入。そして「サイコ」が当時どのように考えられていたのかという点についても非常に興味深いものであった。そうは言っても話全体は相当に他愛ないものだが...。

背景となる映画「サイコ」と言えば,Anthony PerkinsとJanet Leighってことになるが,Perkinsを演じるJames D'Arcyはかなり似た雰囲気を出していて結構笑えたが,ScarlettはJanetには似てはいないものの,本作ではかなりの儲け役って感じがした。そして,映画に関してある程度の知識があると,笑える仕掛けが結構準備されている。

本作は歴史に残る傑作ではないし,シナリオにも冗長な部分がある。そうだとしても,映画好きが見れば,間違いなく楽しめるものだと思えるし,平均年齢の異常に高い観衆(私も含めてである)からは,結構な回数のクスクス笑いが発生したことがそれを裏付けていると思う。若い人にとっては刺激もないし,何のこっちゃってことになりそうだが,私はこの映画は結構好きである。これの前に見たのが「ザ・マスター」ってこともあって,この軽さが貴重に思えることも含めて星★★★★。

2013年4月21日 (日)

新たな名コンビと言いたいJerry BergonziとCarl Winther

Tetragonz "Tetragonz" Carl Winther (Stunt)

体調も回復過程に入ったのでボチボチと音楽や映画についても記事をアップして行きたい。4/19のFred Herschの演奏で十分に癒されたって話もあるが,まぁそれはさておきである。

今回はS字結腸あたりの痛みで,腹も張っていたので,抗生物質と整腸剤,そして下剤を処方され,投薬治療をしていたのだが,腹は絶好調とは言わずとも,ようやく普通に近い状態に戻ってきた。Herschライブ参戦前には,そうした状態で地方出張が入り,新幹線の中で,久々に一枚のアルバムを連続して聞く機会に恵まれた。そこで聞いたのがCarl WintherとJerry Bergonziの共演作である。

近年のJerry Bergonziの演奏の中で,私が最も気に入っている演奏としてCarl Wintherをリーダーとする"Sonic Shapes"を取り上げたのが昨年の4月のことである(記事はこちら)。それから約1年,ほぼ同じメンツによる新作がリリースされたことを知ったのは毎度おなじみ新橋のテナーの聖地,Bar D2においてのことであった。さすが,マスター,情報が早い。ということで,私は私で,毎度のごとく現地から速攻オンライン発注したものが,UKより到着した。

今回の作品は"Sonic Shapes"を初めて聞いた時のようなウハウハ感はなく,一聴前作よりも地味にも聞こえるのだが,作品全体では前作にも勝るとも劣らぬ出来に聞こえる。本作はWintherとBergonziが共同プロデュースしたものであり,そうした二者の間の信頼関係が演奏の端々に感じられるのである。

本作を聞いていて感じたのは往時のBergonziとJoey Calderazzoの関係のようなものである。BergonziはCalderazzoのリーダー作や共演作において非常に優れた演奏を聞かせ,相性の良さってあるなぁと思わせたが,Carl WintherにCalderazzoと同質のものをBergonziが見出しているのではないかと思えるのである。そう思って聞くと,Wintherのドライブ感のあるピアノがCalderazzoのように聞こえてきてしまった私である。この二人の関係はこのアルバムのタイトルにも表れているように思う。"Tetragon"であれば四辺形の意味であるから,ここに参加した四者による緊密コラボのような解釈も可能だろうが,最後に"Z"(ももくろかっ!)が入ると俄然,本作におけるBergonziの位置づけの重要性が増すように思えることは当然だろう。このあたりにCarl Wintherの気配りすら感じてしまう私である。

本作は前作に比べるとやや地味な感じがするというのは前述の通りであるが,よくよく聞いてみるとBergonziのフレーズは非常に魅力的。Wintherのピアノも今のCalderzzoに若干不足していると思えるドライブ感があって,これは楽しい。贔屓目も含めて星★★★★☆。

尚,情報通の方によれば,Carl WintherからBergonziは日本公演を持ち掛けられているという噂もあって,それが実現すれば,絶対行かねばってことになること必定である。過剰な期待はしないとしても,何とか実現して欲しいものである。

Recorded in November 2012

Personnel: Carl Winther(p), Jerry Bergonzi(ts), Johnny Amen(b), Anders Mogensen(ds)

2013年4月20日 (土)

素晴らしかったFred Hersch@Cotton Club

Fred_hersch001 Fred Herschのソロ公演を聴くためにCotton Clubに出向いた。こんなにHerschって人気があったのかってぐらいの客の入りであったが,私の座ったテーブルではダンディズム溢れるジャズ・ブログ界の重鎮,monakaさん,イタリア・ジャズの女神様,rhodiaさんとご一緒させて頂いた。その他にもネット上でのお知り合いも多数ご来場だったようである。

演奏はどれも素晴らしいものだったが,タッチは強靭とまでは言わずとも,生死の境をさまよったとは思えぬ力感を感じさせる演奏もあれば,美しい響きを持つ繊細さを発露する演奏もあるというものであった。

忘れないうちにセット・リストをアップしておくが,Herschのオリジナルとスタンダードや有名ジャズ・オリジナル等を取り混ぜたバランスの取れた選曲であった。 

  1. Funkallero (Bill Evans)
  2. Dream of Monk (Fred Hersch)
  3. Pastorale (Fred Hersch)
  4. Whirl (Fred Hersch)
  5. I Fall in Love Too Easily (Jule Styne, Sammy Cahn)
  6. My Old Man (Joni Mitchell)
  7. In the Wee Small Hours of the Morning (Bob Hilliard, David Mann)
  8. Doce de Coco (Jacob do Bandolim)
  9. Whisper Not (Benny Golson)
  10. Encore 1. Valentine (Fred Hersch)
  11. Encore 2. Lotus Blossom (Billy Strayhorn)

この中で私が一番の出来だと思ったのが"Whirl"であった。バレリーナのSuzanne Farrellにインスパイアされたというその曲は,まさに舞踏を感じさせるメロディとハーモニーであった。この曲もそうだが,Herschの書くオリジナルは本当に美しい。こちらはシューマンにインスパイアされたという3.はクラシカルな響きにまいったし,Monk的な2.でさえ,タイトル通りMonkが夢見るかのような響きだったのには笑みを誘われた。だが,それらの後に演奏された"Whirl"こそまさにHerschの真骨頂っていう感じだったのだ。まぁ,Joni Mitchellの"My Old Man"はHerschをもってしてもハーモナイズが難しかったかなぁって気がしたのはちょっと惜しかったが,"I Fall in Love Too Easily"のようなスタンダードでの美しい響きも素晴らしかった。そして終曲はDuke Ellingtonがビッグバンドでの演奏終了後にソロで弾いたという"Lotus Blossom"で締めくくるというのが,何ともいいセンスではないか。非常に心地よい余韻を残した今回のライブに多くの聴衆が満足して家路についたことは間違いないだろう。CDも相当売れていたみたいだし,よかった,よかった。いずれにしても本当に満足度の高い素晴らしいライブであった。

Herschは次回はトリオで来日したいと言っていたが,ぜひ実現して欲しいものである。終演後のサイン会においては,私からは少なくとも年に1回ぐらいは来日して欲しいと言っておいた。上の写真は戦利品の一枚だが,全部で4枚のソロ・アルバムを持ち込む私はやっぱりオタクである。いずれにしても,現在のHerschの体調はかなりいいようだから,またの来日に期待しよう。monakaさん,rhodiaさん,ありがとうございました。またお目に掛かりましょう。

2013年4月19日,コットンクラブ,2ndセット

2013年4月18日 (木)

日本の政治家に聞かせたいアウンサンスーチーの言葉

Image

体調はまだまだ完全ではないが,徐々に回復しつつある私である。そんな私に大きな感動を与えたのが「報道ステーション」におけるアウンサンスーチー(Aung San Suu Kyi)の一言,一言であった。

言っていることに何のギミックもないが,近年,これほどストレートに政治家のあるべき姿を語った人がいるだろうかと私は思わず涙が出そうになってしまった。

どこかの国のポピュリズム臭たっぷりの政治家諸君には毎日でも見て欲しいような内容だったと言っておこう。日本にこうした政治家が出てこないものかとつくづく思った私だが,利権主義のかたまりでしかない我が国の政治家諸君には到底無理だろうなぁ。

いずれにしてもいいものを見せてもらった。テレビ朝日は今回のアウンサンスーチーの発言内容をWeb上で定常的に参照可能にするべきだと言っても過言ではない。テレビ朝日がやらないなら,誰かYouTubeにアップしてくれないものか。

いずれにしてもまじで感動した。

2013年4月15日 (月)

この倦怠感は何か...

週末から体調を崩している私だが,倦怠感に加え,微熱が続き,私も限界である。ブログは体調回復までお休みします。しかし,海外出張を控えてこの状態はまずいなぁ。

Tony Williams懐かしのL.U.T.S.音源:体調が悪い時に聞く音楽じゃないが...

Tony_williams001 "Live in Tokyo" Tony Williams(Ghost Town: Bootleg)

週末に体調を崩した。腹が痛くなり,それも胃ではなく,腸のあたりが痛み出した。私は胃腸は結構タフで,腹からは常に何かを消化しているような音が聞こえてくるのがいつものパターンなのだが,そうした音すら全く聞こえてこない。機能停止って感じなのである。その結果かどうかはわからないが,熱も出てきて,全く困った週末を過ごしてしまった。そうした時はもう少しおとなしめの音楽を聞けばいいではないかと思うが,たまたまこの週末に,このCDが米国からデリバリーされてしまったので早速聞いてみた。

音源としては既にブートレッグとしてリリースされているものであり,知っている人にはおなじみの音源である。そもそもはFM音源がソースだと思うが,今はなきLive under the Skyがまだ田園コロシアムで開催されている頃,時は1978年の録音である。私はこの時はまだ高校生だったので現場には行っていないが,FMで聞いたはずである。正直言って,これは完全なロックである。ここで行われた演奏のうち"Open Fire"はTony Williamsのアルバム"Joy of Flying"で公開されていたが,当時の感覚を思い出したくなって,音源がないかなぁとあさっていたらあった,あった。今回,デリバリーされたCDはBrian Augerのサイトで発注したものである。一応プレスCDではあるが,Copyright表示も何もないので,ブートレッグであることには変わりはないだろうが,そんなものをサイトで売ってしまうBrian Augerも凄い(笑)。そもそも録音されたのは7月であって,June 1978と書いてしまうこと自体が相当いい加減だし,"There Comes a Time"を"There Was a Time"と書いてみたり,あるいは"Heads Up"と書くべきものを"Open Fire"としたり...。しかし,はっきり言って,そういったことには目をつぶりつつ,音源が聞ければいいのである(笑)。

この時の演奏はBrian Augerの参加に加え,肝はRonnie Montroseの参加である。当時はRonnie Montroseがインスト・アルバム"Open Fire"をリリースしたタイミングとも重なり,そうした音楽性での活動を拡張しようとしていたと思われる頃だが,それにしてもこのメンツは強烈である。しかもうるさい(爆)。だが,当時のLive under the Skyというイベントの特性とは相容れない部分もあった(後には相当クロス・ボーダー化したが,この当時はそうでもなかったはずである)ため,動員はそれほどでもなかったはずだという記憶がどこかにある。まぁ,それでも明確な意図を持って会場にいたオーディエンスにとってはこれほど燃える演奏はないだろうねぇとも思える熱い演奏である。しかも演奏後半にはジャズ界の千手観音,Billy Cobhamまで加わるのだから更に濃い。

もちろん,こうした演奏がフェスティバル的なものであって,鑑賞音楽としてはどうなのよって考え方もあろうし,確かに後半のドラムス・バトルは冗長だというそしりは免れまいが,固いことは抜きにして,このハードロック的なグルーブに身を委ねたい。この演奏を通しで聞いたのはほぼ35年振りってことになるが,それでも十分面白かった。ブート音源ゆえに星はつけないが,お好きな方はどうぞってことで。何だか最近ブート音源についてばかり書いているなぁ。いかん,いかん。

これから暫くはCotton Clubのライブに向けてFred Herschの予習をしようっと(笑)。体調にもよさそうだし(爆)。

Recorded Live at 田園コロシアム on July 27, 1978

Personnel: Tony Williams(ds, vo), Ronnie Montrose(g), Brian Auger(key), Mario Cipollina(b) with Billy Cobham(ds)

2013年4月14日 (日)

「ザ・マスター」:この映画が好きだという人がいればそれは絶対スノッブだと言いたくなるほど,見ていて辛い。

The_master 「ザ・マスター("The Master")」('12,米,Weinstein)

監督:Paul Thomas Anderson

出演:Joaquin Phoenix,Philip Seymour Hoffman,Amy Adams,Laura Dern

これは厳しい映画である。この映画を見て面白いと思える人間はそうはいるまい。逆に言わせてもらえば,この映画を評価する人は相当のスノッブだと言いたくなるような映画である。これは正直言って,オーディエンスに対して極めてチャレンジングな映画だと言ってよいと思う。

これだけ見ていて辛くなるような映画,そしてその中の演技であるから,主要キャストがオスカーの演技部門でノミネートされること自体には私は異論はない。だが,これって映画として面白かったかと言えば,絶対そんなことはない。私は映画は芸術的な表現手段だということも否定はしないが,これほど金を出して見に行って疲れさせられたのではいかがなものかとも言いたくなるのが人情だと言いたい。映像的な美しさは,タルコフスキー的だなぁと思えた「船の航跡」に感じたぐらいで,映像的に感動的ってところもないし,ストーリーもとにかくよくわからん。

それが私の鑑賞能力の低さ,あるいはセンシティビティの欠如だと言われれば反論の余地はないとしても,この映画をほかの人に勧める気には到底なれないのである。「新興宗教」という難しいテーマを扱ったチャレンジ精神には敬服するが,それはあくまでもチャレンジの世界であって,逆に言えば観客不在に陥る危険性をはらんでいるわけで,そうしたリスクがこの映画では明らかに顕在化してしまったとしか言いようがない。

出ている役者陣は立派な演技だと思う。だが,私はこの映画はどうしても好きになれないのである。役者が鬼気迫り過ぎだという気もするし,特にJoaquin Phoenixの狂気は,本当にそうなのではないかと思わせるほど強烈なものであったが,それでもこの映画をもう1回見る気にはなれないのである。冒頭にも書いたが,これは厳しい,いや厳し過ぎる映画であった。星★★★。

敢えて書くが,この映画を劇場に見に行こうという人にはそれなりの覚悟が必要である。その覚悟がなければ,絶対にこの映画は見ない方がいいと言っておこう。スタッフには申し訳ないが,この映画に対して「いい映画」だという評価を私は下すことができない。まじで疲れた。

2013年4月13日 (土)

村上春樹の新作が読みやすいってほんまですか?

4/12に発売になったばかりの村上春樹の新作「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」は読者の渇望感を煽る文芸春秋のやり口にまんまと読者が乗せられた気がしないでもないが,初版50万部って凄いよねぇ。

それはさておき,どう見ても本作についてどうこう語る資格がないだろうって人間まで,メディアで何だかんだとコメントを垂れ流しているのには苦笑せざるを得ないが,私にとってはまだ読みかけのこの本について,「読みやすい」とかいう感想が伝わってくることに,ほんまかいな?と疑問を呈したくなっている。

私は本作はまだ50ページぐらいしか読んでいないが,「1Q84」のシュールな世界に比べれば,そりゃ確かに読みやすかろう(わかりやすかろう)とは思うが,この文体,あるいは書籍の内容は読みやすいというものでは決してないと思えるのである。比較の対象をどこに置くかによっても違うというのは当然だが,今まで村上春樹の小説に触れていなさそうな人々に「読みやすい」とか何だとか語って欲しくないというのが正直なところである。TV局のディレクターが徹夜で読みましたなどと言っていたが,実はほかの作品は読んだことありません等と言われてはがっくりきてしまうのが当たり前である。単なるブームを作り出そうということであれば,アホなメディアがどうこう言わなくても,村上春樹の真っ当な読者はちゃんと買って読むわと悪態もつきたくなるのが人情であり,変に人心を煽るのがメディアの役割ではなかろうとも思わざるをえない。

いずれにしても,今回のメディアの騒ぎ方は尋常ではない。もちろん,村上春樹が新作を出すのは大変なニュース・ヴァリューを持つということに疑念はない。だとしても,今回の異常な騒がれ方に違和感をおぼえる昔からの読者も多いのいではないかと言わざるをえない。そもそも「1Q84」にしても累計で700万部売れるほどわかりやすい小説ではないということを踏まえれば,実際のところ,現在の村上春樹の熱心な読者,あるいはちゃんと読んでいる読者ってどういう層の人たちなんだろうなんて思いたくなる。

とにかく,今回の文芸春秋のやり方も,書店のやり方も常軌を逸して異常である。読書ってそういうもんじゃないと思うんだよねぇ。まぁ,私がどうこう言うような問題でもないか...。

2013年4月12日 (金)

出張に飲み会続きで音楽について書けず...

年度初めということもあり,キックオフだ,歓迎会だ,何だかんだと飲み会が続いている。それに加え,地方の出張もちょくちょくあるため,家庭にいつかないような状態だと思われてしまっている今日この頃である。

Pat_metheny_special_quartet001 移動時間が長ければ,iPodで音楽を聞く時間も増えそうなものだが,どうも集中力が続かない。加えて,引越しにより通勤時間が短くなったのはいいのだが,通勤時間を音楽鑑賞に充てていた私としては,トータルの音楽鑑賞時間も短くなっていて,新譜にもなかなか対応できない状態なのである。ということで,このブログの行く末にも不安を感じさせる今日この頃であるが,今日聞いていたのも結局はブート音源。Pat Metheny,Chris McBride,Antonio Sanchezという後の"Day Trip"トリオにMichael Breckerが加わった2003年の演奏である。PatのMCによると,"Day Trip"トリオはこの時点が初共演だったみたいである。まぁこのメンツであるから,普通と言えば普通,って感じの演奏だが,結局新幹線で聞きながら居眠りしてしまったので,感想はまた改めて(笑)。

2013年4月10日 (水)

日本では聞けそうにないってことで,Mehlianaのブート音源入手。

Mehliana001 "Live in Antwerp 2013" Mehliana Featuring Brad Mehldau & Mark Guiliana(Bootleg)

Brad MehldauのWebサイトには音源や映像がアップされているドラマー,Mark Guilianaとのプロジェクト,Mehlianaのブート音源を入手した。Mehldauのサイトによれば,Mehlianaは欧州ツアー後スタジオ入りし,レコーディング,秋口にはアルバムをリリースという情報もあるが,このデュオ,到底日本には来るように思えない(Mehldauに対して,一般的なリスナーが抱くイメージとは違うしなぁ...)ので,Mehldauオタクの私としてはサイト上の音源やブートに頼らざるをえない。まぁ,それでも3月のライブ音源がブート屋では手に入ってしまうのだから凄いものである。

Brad Mehldauというミュージシャンは優れたピアニスト,コンポーザーであるということに疑問の余地はないが,彼のライブでのレパートリーや,共演相手を見ていると,本当にいろいろな音楽に目配りをしていて,ジャズ原理主義ではないということがわかる。私のような雑食系音楽リスナーがMehldauに惹かれるのはそうした要素も無縁ではないように思えるが,そうしたMehldauの多様性が顕著なかたちで表れたのがこのMehlianaというバンドと言ってよいかもしれない。Mehldauのアコースティック・ピアノにしか関心がないリスナーが聞いたら腰を抜かすような演奏である。

私がこの音源を聞いて思ったのは,ドラムスはやややかましいとしても,六本木のクラブ(アクセントなしで呼ばれる「クラブ」の方であって,「ク」にアクセントのあるクラブではない)あたりで流れていても違和感がないかなという感覚である。あるいはMehldauから繰り出されるフレージングはプログレッシブ・ロック的と言ってもよいものである。私はプログレも好きなので,全然問題がないが,やはりこれがMehldauの楽歴上,異色であることには間違いはない。そもそもNYCでの演奏はJohn Zornが立ち上げたStoneで行われているし,そういう意図を持ってやっているというのが実態に違いない。確かにこれはMehldauのホーム,Village Vanguardには合わない。

私はこのブログでも,Mark Guilianaという人の手数については書いたことがあるが,デュオというフォーマットである以上,多少の手数の多さは仕方ないとしても,やっぱりよく叩くわってところである。しかし,Mehldauもそれに負けないぐらいの電気楽器のフレージングで応戦するシーンもあれば,いかにもシンセって感じのサウンドで笑みを誘う場面もあるというなかなかに面白い音源である。

ここで聞かれる演奏は良質なオーディエンス録音というところだが,彼らの本質はやはりライブもしくは正式音源を聞いてからということにしたい。ただ,Mehldauのサイトにはロンドンでのライブの模様がサウンドボード音源でアップされているから,ご関心のある方はそちらをどうぞということで,ここにも1曲貼り付けておこう。こちらの演奏はロンドンでのライブ音源。いずれにしても好みは大きくわかれるであろうと思わせる演奏だが,私は決して嫌いではない。だが,アルバム・リリースの際には問題作と言われること必至だろうなぁ(笑)。

Recorded Live at De Roma in Antwerp on March 3, 2013

Personnel: Brad Mehldau(rhodes, synth), Mark Guiliana(ds)

2013年4月 9日 (火)

Brad Mehldauの楽歴を振り返る:「番外編」は楽曲提供のみのアルバム。我ながらオタクである。

Metta_quintetgoing_to_meet_the_manj "Going to Meet the Man" Metta Quintet(Koch Jazz)

Brad Mehldauの楽歴を振り返るというシリーズの中で,このアルバムはどうしようか微妙なところもある。なぜなら,Mehldauはここでは演奏に参加せず,2曲を作曲家として提供しただけだからである。しかし,これも「楽歴」ということを考えれば,取り上げておいてもよかろうということで,記事をアップすることにした。しかも,自分では多分弾いたことはないしねぇ。

ここで演奏をしているMetta QuintetとはNYCをベースとするNPOであるJazzReach Performing Arts and Education Associationのレジデント・アンサンブルとして結成されたものであるが,メンバーは流動的だそうだ。確かに第2作では本作とメンツが変わっているし。しかし,この第1作ではなかなかのメンツを揃えており,Mehldauがらみでなくても食指は動くところ。本作品は黒人小説家,James Baldwinの短編集,"Going to Meet the Man"の各エピソードのタイトルをそのままに,Baldwinに対するオマージュ作として制作されたものである。

そこに作曲家として参加したのがMehldauということになるが,その他にオリジナルを提供しているのがKurt Rosenwinkel,Mark Turner,Larry Goldings,そしてGeorge Colliganという面々であり,MehldauとGoldingsは作曲のみということになっている。Baldwinの小説の内容と曲の関連性は何とも言えないが,それでも現代的なジャズという感じで演奏は展開されている。

そもそも,Mehldauがなぜここに参加したのかもはっきりしていないが,それでも参加しているメンツとは共演歴もあるから,そうしたつながりもあれば,Mehldauの文学好きによる部分もあるのではないかと思わせる。

そして,Mehldauが提供したのが"The Outing"と"The Rockpile"の2曲である。それらがMehldauらしいと言えばそうかもしれないが,やっぱりピアノを弾いていないと,「ふ~ん,そんなもんかなぁ」っていう感じのものである。前者は変拍子,後者はちょっと既視感があるバラッドである。演奏自体はMark Turnerがフロントにいるだけに,燃え上がるようなものにはならないが,それでも演奏のクォリティは十分高い。それを作り出したのがMehldauの作曲能力というつもりもないが,こういうバックグラウンドを持つ作品,かつこのメンツでの演奏をお聞きになりたい方はどうぞっていうところだろう。星★★★☆。絶対に悪くはない。

今回,この記事をアップするに当たって,よくよくメンツを見てみれば,昨年,リーダー作をほめたJosh Ginsberg(記事はこちら)がベースを弾いているではないか。この当時からちゃんとしてたのねぇなんて今更ながら思ってしまった私である。

Recorded in April, 2000

Personnel: Mark Turner(ts), Mark Gross(as, ss), Kurt Rosenwinkel(g, p), George Colligan(p, org), Josh Ginsberg(b), H. Benjamin Schuman(ds)

2013年4月 8日 (月)

Brad Mehldauの楽歴を振り返る:その5は豪華メンツによるバラッド・アルバム

American_dreams "American Dreams" Charlie Haden(Verve)

1か月ぶりでのこのシリーズである。これまでは90年代前半のアルバムについて書いてきたが,本作はメジャー・デビュー後しばらくしてからの2002年吹き込みのアルバムなので,ジャズ界でMehldauの名声が確立してからの作品である。

本作はCharlie HadenがMichael Brecker,Brad MehldauにBrian Bladeという豪華なメンツを迎え,オーケストラも従えて演奏したバラッド・アルバムであり,非常にゴージャスなつくりになっている。こんなアルバムをわずか4日間で作ってしまうこの人たち,やはり只者ではない。Brad MehldauとCharlie Hadenというのはなかなか結びつきそうにないようで,Lee Konitzを加えた3人でライブ盤をBlue Noteレーベルに2枚残しているし,後にはECMにPaul Motianを加えたクァルテットでもライブを吹き込んでいる。更にはHadenの奥方Ruth Cameronのアルバムや娘のPetura Hadenのアルバムにも客演しているから,意外に付き合いは深いのかもしれない。

それはさておき,本作は非常に穏やかで心にしみるアルバムである。ムーディなだけではない。ここにもDon Sebesky作"Bittersweet"が収められているが,まさにビター・スイートなサウンドと言ってもよい。また,選曲がいいのである。このメンツで"Travels"や"It Might Be You"というのも凄いが,その他も泣かせる曲が揃っている。終盤のVince Mendozaの"Sotto Voce"やDave Grusin作による"Love Like Ours"なんて,まさにとどめを刺すかのような素晴らしい美メロで,うっとりさせられてしまう。Ornette Colemanの"Bird Food"だけが趣を異にしているが,それはそれでよしとしよう(なんでやねん?)。

このアルバムの主役はHaden,そしてゲストその1がBreckerというのはその通りであるが,Brad Mehldauも楚々としたピアノ・ソロを聞かせてゲストその2にしては見事な客演ぶりである。こういう演奏を聞いていると,本当に何でもできてしまう人だと思わざるをえないが,そのレベルも尋常ではない。Mehldau自身のアルバムとは違うかもしれないが,それでもこれはMehldauの多才さの一面を捉えた演奏群ということができるだろう。本当にオール・ラウンドな人だと思わざるをえない。そしてBreckerだが,彼自身にも"Nearness of You"というバラッド・アルバムがあるが,私としてはこっちの方がいいと思えるぐらいの出来である。

そうしたミュージシャンシップが相俟って,出来上がった素晴らしいアルバム。やっぱりColemanは浮いているのが惜しいようにも思え,星★★★★☆。それでもこのアルバムが嫌いだって人はそうはいないだろうと思わせる。

蛇足ながら,本作の国内盤にはボーナス・トラックとしてLeonard Bernstein作"Some Other Time"が収録されているが,このメンツでこの曲をやって悪いはずがないだろうというところ。なぜこれがボーナス・トラック扱いなのか全くの謎である。ちゃんとストリングスも入っているし,なんだかもったいない気もする。

Recorded between May 14 and 17, 2002

Personnel: Charlie Haden(b), Michael Brecker(ts), Brad Mehldau(p), Brian Blade(ds) with Strings Orchestra

2013年4月 7日 (日)

「世界にひとつのプレイブック」が与えるプチ幸せ感,いいねぇ。

Photo 「世界にひとつのプレイブック("Silver Linings Playbook")」('12,米,Weinstein)

監督:David O. Russell

出演:Bradley Cooper,Jennifer Lawrence,Robert De Niro,Jacki Weaver,Chris Tucker

今年のオスカーではJennifer Lawrenceが見事主演女優賞に輝いた作品である。また,主演,助演の4人が男女カテゴリーで全てノミネートされることも珍しいが,それにもうなずける作品である。監督のRussellは前作「ザ・ファイター」でもいい仕事をしていたが,ここでもまたもやいい仕事を見せている。

話としては他愛のないものだと言ってしまえばその通りである。心に傷を抱える男女がダンスを通して,新しい愛に目覚めるなんてのは臭いと言えば,非常に臭い。しかし,この映画を見終わった後のプチ幸せ感を体験してしまえば,フィクション,それも若干臭い話でもほのぼのとしてしまえるし,私としては大いに楽しんだ。

本作は,本質的にはラブ・コメディってことになるのだろうが,ストーリーは臭くても,嘘っぽさがないところが非常にいいし,ダンスのシーンについても,「素人」っぽさを残すストーリーがまたいい感じを残すのである。ということで,見た後の清涼感が素晴らしいというのが私の正直な感想である。歴史に残る傑作という評価は難しくても,心に残る佳作なのだ。こうしたストーリーゆえに,斜に構えてしまえば,この映画に批判的になることは容易である。だが,世の中にはくだらない映画が多々ある中で,これだけ気持ちよく席を立つことができたというのが,私は嬉しかった。Jeniffer Lawrenceが劇中でどんどん可愛く見えてくるのだが,これがストーリーがもたらすケミストリーってやつである。十分オスカーに値する演技だったと言ってよい

ちなみに本作は,今年のオスカー・レースの予想キャンペーンでチケットが当たったものだが,これは絶対ラッキーだったと思えた作品。私は本作品を全面的に支持したいと思う。星★★★★☆。

2013年4月 6日 (土)

ダウンロード以外の廃盤化が惜しまれるRichie Beirachの代表作の一枚

Image

"Elm" Richard Beirach (ECM)

BeirachとプロデューサーManfred Eicherとの確執により,フィジカルな媒体では廃盤になったままのアルバムである。日本では再発になったことがあるが,現在ではなかなかそれも見つけるのが難しくなっている。だが,iTunesでは買えるようになったことはまだ進歩だと言ってもいいだろう。

それでもって,肝腎の音楽の方だが,決して廃盤にするような演奏ではない。清冽さと激しさを同居させた音楽とも言えるし,美的感覚とジャズ的スリルを共存させた音楽と言ってもよい。いずれにしてもレベルが高いのである。

Richie Beirachというと,リリカルな響きを想定しがちであるが,例えばQUESTでの演奏を聞けば,それだけでないことがわかる。そうしたBeirachの激しさが本作で顕著に出ているのが"Snow Leopard"であろう。BeirachとDeJohonetteの相性についてどうかなと思うリスナーも,この演奏を聞けば納得間違いなしである。と言うよりも,DeJohnetteの存在の必然性が強く感じられる演奏と言っても過言ではない。

久しぶりに聞いたが,この演奏はBeirachのトリオ作としては代表作としてもいいように思える作品。星★★★★☆。

そんな本作も,ダウンロード音源として聞けないことはなくなったのはいいことだが,このレベルの演奏はやはりフィジカルな媒体でリリースすべきと思う。

Recorded in May 1979

Personnel: Richard Beirach(p), George Mraz(b), Jack DeJohnette(ds)

2013年4月 4日 (木)

"The Vanguard Date"再発記念,"Oceans in the Sky"って,なんでやねん(爆)。

Oceans_in_the_sky "Oceans in the Sky" Steve Kuhn(OWL)

巷の中古盤屋ではとんでもない値段で流通していたOwl Time Lineレーベルの"The Vanguard Date"がSunnysideから再発されたのは非常にめでたいニュースである。あの"Life's Magic"と同じタイミングのライブなのだから悪いはずはないのだが,いかんせん無茶苦茶な価格で売られていたので,手も出なかった。それを再発するSunnysideレーベルをほめなければなるまい。

と,ここまで書いておいて,それだったら"The Vanguard Date"について書けよと言われそうだが,それはまた別の機会に譲るとして,今日はどうしても"Oceans in the Sky"の気分だったのである。このアルバムはメンツがメンツだけに,これも悪いはずはないと思わせるものだが,Steve Kuhnのこの当時のアルバムにしては選曲が「まとも」である(爆)。

ECMレーベルでのSteve Kuhnは,どうしても美的感覚優先みたいな感じがしないわけではないが,それでもあの世界にはまれば,それが一番いいと感じさせるようなピアノを弾く人である。だって,アルバム・タイトルが"Trance"だの"Ecstasy"であるからまぁそう思われても仕方がない。だが,後のキャリアも含めて考えてみれば,Kuhnという人は,美的なセンスを感じさせつつ,ちゃんとスタンダードだって弾きこなせることは誰が聞いたって明らかだろう。

そんなKuhnの歌心が本作にはきっちり捉えられていると思うが,そうは言っても,多くのリスナーやファンが,冒頭の"The Island"を即受け入れ可能かと言えば,それもちょっと違うような気がする。だが,ここでの演奏は我々の期待以上に優れた成果を出しているようにも思える。ジャズマン・オリジナルを弾いても,KuhnやRomanoのオリジナルを弾いても,どちらも耳をそば立たせるだけの魅力がある演奏群である。

このアルバムが成功していると思えるのは,日頃は自己主張の強いVitousが,ちゃんと伴奏をしていることにあるのではないか。それによりトリオとしてのバランスが崩れることなく,Kuhnの魅力が十分捉えられたようにも思える。Vitousには悪いが,彼が前面に出てきてろくなことはない。これぐらいの演奏をするのが正しいのだ。逆にこんな演奏を可能にしたプロデューサーが偉いと言い切ってしまおう。Kuhnのアルバムの中でも,優れた方に入れて間違いない快作。それにしてもタイトル・トラック,いいねぇ。甘いのを承知で星★★★★★としてしまおう。

Recorded on September 20 & 21, 1989

Personnel: Steve Kuhn(p), Miroslav Vitous(b), Aldo Romano(ds)

2013年4月 3日 (水)

"Smappies"発見!超絶ファンク 「働く人々」,そしてSMAPベスト盤からは「$10」のBob Berg凄過ぎ!

Smappies 昨日,"Grand Cross"の記事をアップして,そこにも"Smappies"を聞きたいなんて書いたが,あった,あった。そのほかのSMAPのアルバム共々発見である。なんで私がSMAPのアルバムを持っているのか不思議に思われる方もいらっしゃろう。それはカラオケ・ネタとして彼らの歌を習得するのが目的であることも事実だが,それよりも彼らのバックを務めるミュージシャンが凄過ぎなのである。

例えば"Smappies"に入っている"Working People"はSMAPが歌った「働く人々」のベーシック・トラックにBrecker Brothersが新たにインスト・バージョン用にホーンをかぶせたものである。即ち,SMAPの歌の代わりにBrecker Brothersがメロディ・ラインを吹き,更に長いソロを聞かせるというものである。もとから「働く人々」はJames GenusのベースとWilliam "Juju" Houseのドラムスも強烈なファンク・ナンバーだったが,歌なしの"Working People"の方がいいに決まっているというのは私のようなリスナーにとっては当たり前のことではある。いずれにしても,これは強烈である。

このようにSMAPのバックにはキラ星の如きミュージシャンが参加しているのだが,もう1曲,ベスト盤"Wool"にも収録の「$10」はドラムスがDennis Chambers,そしてテナー・ソロがBob Bergである。このBob Bergのソロが実にBob Bergらしく,一瞬にしてSMAPの世界を消し去り,Bob Bergの世界に持って行ってしまうのである。これは燃える。そして今回,よくよくクレジットを見てみると私の持ち歌「たぶんオーライ」のテナー・ソロもBob Berg,「シャンプー3つ」はMichael Breckerてな具合である。これって,ソロを聞きたくて聞く回数が増えて,その結果歌えるようになっているだけではないかって気がしないでもないが,いずれにしても,彼らのようなテナーの音とマッチする音楽をSMAPはやっていたということである。特に90年代半ばから後半にかけてがそういう傾向が強かったということになろうが,これは完全にプロデューサーの趣味だろうっていう世界である。それでもこれだけ手抜きのないプレイを聞かせてもらえるのだから,やはり一流のミュージシャンというのは大したものである。

それにしても,久しぶりにSMAPのアルバムのクレジットを見ていたら,正直目がくらくらしてきた。アルトが出てきたと思ったらPhil Woodsだしねぇ。やっぱり面白いねぇ。と言いつつ,私もよくやるわ。

2013年4月 2日 (火)

こんなアルバムもありましたってことで"Grand Cross"

Grand_cross "Grand Cross" David Matthews(Electric Bird)

これも引越し後のCDの整理中に出てきたアルバムである。このアルバム中の曲は以前CMに使われていたので,それだけでも懐かしい~と思うリスナーがいても全く不思議ではない。だが,このアルバムは懐かしいだけのものではない。メンツがエグいのである。よくぞここまで集めたって感じのオールスターズだと言ってもよいだろう。これと同等なのは私にとっては深町純とNYオールスターズぐらいだ。だってSanborn,Brecker BrothersにLarry Carlton,John Tropea,Marcus MillerにSteve Gaddでっせ。ちょいと弱いのがMatthews込みの鍵盤だけってのがMatthewsにとっても忸怩たるものだろうが,それでもほかのメンツ聞きたさにこのアルバムを買う人間はいくらでもいるから,プロデューサーとしては全然問題ないはずである。

だが,プロデューサー,アレンジャーとしてDavid Matthewsが仕切っている割には,記憶に残るかどうかと言えば相当疑問だと言わざるを得ない。これこそ総花的って感じで,見た目は綺麗で破綻はないが,よくよく見ると今イチいけていないブーケを見るかのようである。そもそも耳触りはよいので,これはこれでいいではないかという言い方もできるのだが,私にとっては「それが?」,あるいは「だから?」という往時の沢尻エリカ様のようなリアクションになってしまいがちな音源だと言ってしまおう。

一方で,このアルバムを評価しなければならないとすれば,この手の音楽のアルバムで,まともにレゲエのリズムを使ったという点だろう。レゲエは私も好きだが,やる人を選ぶ音楽だということも可能なぐらい,合ってる人と,そうでない人のギャップが大きくなりがちだと私は思っているのだが,ここで演奏には違和感はない。むしろ,Sanbornがレゲエ?みたいな多少の意外性を及ぼしたということは楽しいことであった。ということで,いいか悪いかよくわからんアルバムではあるが,私はこれよりSMAPの曲を同じようなミュージシャンが演奏した"Smappies"の方が企画としては上だろうなんて思っている。ということで星★★★。

こうなると"Smappies"が聞きたくて聞きたくて仕方ないのだが,残念ながら行方不明である。引越しの過程で間違いなく一度は見掛けたのだが,今のところ見つかっていない。こういうのがストレスたまるんだよねぇと思いつつ,ゆっくり探すことにしよう。

Recorded between August 19 and October 29, 1981

Personnel: Dvid Mattews(arr, cond, el-p), David Sanborn(as), Mike Brecker(ts), Randy Brecker(tp), Larry Carlton(g), John Tropea(g), Cliff Carter(key, synth), Marcus Miller(b), Steve Gadd(ds), Sammy Figueroa(perc), Frank Floyd(vo), Ullanda McCulloug(vo), Yvonne Lewis(vo)

2013年4月 1日 (月)

ようやくオーディオのセットアップが完了

引越しが完了して3週間が経過したが,家の中はまだ片付いていないままである。その一因となっていたオーディオ,ヴィジュアルまわりの機器のセットアップがようやく完了である。これで更に片付けが進行すればいいのだが,さてどうなることやら。今のところ,まだリアのスピーカーはつないでいないので,サラウンド再生は難しいが,今後はなくてもいいかなぁなんて思っている私である。リアのスピーカーをつけたとしても,スピーカー・ケーブルもみっともないしねぇ。

その一方,私の部屋のCD,DVD,本の山はまだまだ整理がついていない。先日,本は●ックオフに50冊ばかり売却したが,それこそ二束三文のような価格しかつかず,それだったら図書館に寄付をすればよかったわと思った私である。世の中に多少は貢献できることもあるので,今度からそうしようっと(笑)。あとはLP,CD,音楽関係書を多少処分の予定であるが,これは図書館ってわけにはいかないので,別に売却を図りたいと思っている。

« 2013年3月 | トップページ | 2013年5月 »

Amazon検索

2017年おすすめ作

2016年おすすめ作

2016年おすすめ作(本)