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2012年10月31日 (水)

二日続けてサボれない(笑)

単なる飲み過ぎなのだが,二日続けて更新が滞ると,皆さんにご心配をお掛けしそうなので近況アップである。

よせばいいのに毎日大量のアルコールを摂取し,ほとんど死にかけなのは事実だが,ここ数日がひどい(笑)。だったらやめろやってところだが,馬鹿は死ななきゃ治りません(開き直り)。ってことで今日も終電を逃した私である。あ〜あ。

2012年10月29日 (月)

Whitesnakeの前にDonald Fagenを:なんでやねん!(笑)

Sunken_condos "Sunken Condos" Doanld Fagen(Reprise)

本当ならば,Whitesnakeの"Slide It In"について語るはずの今日の記事だったのが,どうしてもそういう気分になれない。よって,巷で話題のDonald Fagenを今日は取り上げることにする。ということはWhitesnakeは先送りである。いつまで経っても記事にできないBob Dylanの新譜とちょっと状況は違うが,どっちも早いところ記事にせねば(笑)。

ということでDonald Fagenだが,私の世代でDonald FagenあるいはSteely Danの音楽が嫌いって人には滅多にお目に掛からないのではないかと思う。無茶苦茶高度なことをやっていたり,歌詞にも癖はあるにもかかわらず,そうした部分を補ってあまりある,非常に普遍性の高い音楽をやっていると思えるからである。そんなFagenではあるが,私は"Kamakiriad"も"Morph the Cat"も全然ピンとこないままで,実はずっと"The Nightfly"の幻影を追い求めてきた気がする。

そんなFagenであるが,間もなくMichael McDonald,Boz Scaggsと"The Dukes of September Rhythm Revue"として来日するに及び,このアルバムも結構日本で売れているというのは大したものだと思う。だが,これが売れるのは当然のような気がするのは,それが"The Nightfly"と同質性の高い音楽をここで聞かせているからだと言ってもいいように思える。それが私の考える普遍性とも結びつくように思えるのである。

前述の3人が共演したのは別に今回が初めてではなく,私は約20年前の彼らのライブをNYCで見ている(記事はこちら)。その体験は今となっては私の自慢になってしまうのだが,その時の印象はロックとソウルを結びつける感覚が強いというものだったが,来日直前だからと言ってそうしたトーンを感じさせると言うよりも,今回の新作から"The Nightfly"的なものを強く感じてしまった私である。特にWilliam Garrisonによるハーモニカがそういう感覚を強めているように思える。だからこそ,"The Nightfly"を偏愛するファンにとってはこのアルバムは結構評価が高いのではないのかと思える。一聴して"Kamakiriad"や"Morph the Cat"よりも絶対にフィット感が高い音楽なはずである。それは曲ごとのリズム・フィギュアも"The Nightfly"に似ているように感じさせるからとも思える。

一方で,この音楽が今の時代と同時代性を持つかと言えば,それは違うと思う。しかし,私の年代あるいはそれに近い層には間違いなく訴求力が高いはずなのである。ということで,万人向けではないかもしれないが,40代後半以上の洋楽に親しんできたリスナーに向けては間違いないという感じで星★★★★☆。これはおそらくMichael Leonhartという共同プロデューサーを迎えた(そしておそらくLeonhartはSD及び"The Nightfly"のファン)ことの効果だと言ってよいだろう。万人が求めるFagenの音楽が再現されていると言ってよいのである。

いずれにしても,私にとってはFagenのアルバムとしては"The Nightfly"以来のヒットと言ってよい作品。回顧趣味でOKというリスナーはすぐに買いましょう。私,もちろん,好きです...(笑)。

Personnelは別途記述することとして,今日は省略。いずれにしても,現行SDのバックバンドと思ってよい面々である

2012年10月28日 (日)

あまりの違いに驚くWhitesnakeの"Slide It In"の英/米バージョン(予告)

Slide_it_in "Slide It In" Whitesnake(EMI/Geffen)

このアルバム,昔LPで持っていたなぁなんて思いつつ,先日久しぶりに聞きたくなって,ダウンロードしたのがUSヴァージョン。しかし,いろいろ調べてみるとUKヴァージョンとの違いが大きいらしい。ということで,媒体を入手したのがUKヴァージョン。これは確かに違う。というか違い過ぎる。

ということなのだが,本日は諸事情あり,記事を書いている余裕がないので,詳しくは改めて書きたいと思う。

2012年10月27日 (土)

McLaughlinらしいハード・フュージョンだが,またもRanjit Barotのドラムスに辟易とする私...。

Now_here_this "Now Here This" John McLaughlin and the 4th Dimension(Abstract Logix)

John McLaughlin,当年とって古希の爺さんがやる音楽とはとても信じられないぐらいのハードさである。この人,どういう体力をしているのかと思ってしまうが,いつまでも若々しくかっ飛ばす姿はそれはそれでOKである。アルバムもいかにもMcLaughlinらしいフレージング満載で,ファンはそれだけでも嬉しくなるだろう。

だが,私はこの作品を聴いていて,本当に辟易とさせられていたのである。主題にも書いた通りだが,ここでドラムスを叩いているRanjit Barotのせいである。私は以前McLaughlinのアルバム"Floating Point"でも,この男のドラムスが嫌で嫌で仕方なかった(それについての記事はこちら)のだが,Barotのリーダー作"Bada Boom"でこいつを見直したなんて書いた私がバカだった。やっぱり駄目なものは駄目である。

何が許せないか。力まかせに叩きゃいいってもんじゃないだろうと言いたくなるこのドラムスのうるささは私にとってはノイズでしかない。McLaughlinのパワーに対抗するためには,バンド・メンバーもそれなりにパワフルでなければならないということはないとは言えない。"Floating Point"においても触れたが,Mahavishnu OrchestraにおけるBilly Cobhamを思い出せばよい。バンドにはCobhamという超絶ドラマーを擁していたが,そこでのCobhamはパワーだけでなく,時として繊細ささえ感じさせるセンスに溢れたドラミングを聞かせていたのと,このRanjit Barotの「単細胞ドラミング」とは大違いである。

こうなってくると,坊主憎けりゃ袈裟まで憎いという感じになってきてしまった私である。とにかく,聴いていて不愉快。その後,全く聞く気も起こらなくなり,もはやどこにあるかもよくわからん"Floating Point"と同じ道を歩むことは確実である。この一本調子なドラムスのせいで,どの曲を聞いても同じに聞こえてしまうように感じさせられてしまったのだから仕方がない。

ということで,私はMcLaughlinのファンではあるが,これは私が繰り返し聞くアルバムとはならない。これを聞いて(というよりもBarotのドラミングを聞いて)不愉快になるぐらいだったら,ほかのアルバムを聞いている方がはるかにましである。もう私はRanjit Barotが参加している限り,それがMcLaughlinのアルバムであろうとも買うことはなかろう。私にそこまで思わせた罪作りなアルバムである。あまりの不快感に無星でもいいぐらいだが,それではほかのメンバーたちにあまりにも失礼と言うことで,星★。とにかくこんな音楽では私は高揚感は得られない。まじでドタバタうるさいだけで,下品極まりないドラムスのせいでボロボロになった失敗作。McLaughlinももう少し考えてミュージシャンを選べよと言いたい。

Personnel: John McLaughlin(g, g-synth), Gary Husband(p, synth, ds), Etienne M'Bappe(b), Ranjit Barot(ds)

2012年10月26日 (金)

これぞパワー・トリオ:このメンツによる"D Flat Waltz"ほかのレパートリーとは反則だ!

Hbc "HBC" Scott Henderson / Jeff Berlin / Dennis Chambers(Tone Center)

Tone Centerレーベル得意の格闘技系ハード・フュージョンである。このメンツを見れば,その手の音楽が好きな人間は確実に手を出すはずだが,今回はレパートリーにWeather Reportの曲を多く取り上げているのが特色ながら,サウンドはこの3人らしい極めてハードなものとなっている。

私がこのアルバムを最初に聴いたとき,冒頭の"Actual Proof"の変拍子的アプローチ(換言すれば,よくわからんデニチェンのビート)に面喰って,どうもグルーブ感が今イチ出ていないのではないかと思った。これでは"Flood"における同曲のHerbieの演奏には絶対勝てないと思ったのだが,聴き進めるうちにそんなことはあまり気にならなくなってきた。そして,逆にこれはいいわぁと思ったのがWeather Reportのアレンジメントを踏襲したととも言うべき"D♭ Waltz"を聞くに及んだ時と言ってよいだろう。これがえげつなくカッコよい。オリジナル(と言うよりも,Live Under the Skyで聴いたWRによる演奏)からしてカッコよかったが,ここでの演奏も12分近い長尺を強烈なグルーブでかっ飛ばすって感じである。

そして,私は数少ないオリジナル"Wayward Son of Devil Boy"のどブルーズにまいってしまった。シンプルなブルーズであるが,Scott Hendersonの時として現れるブルーズ指向が強烈に打ち出されていて,ほかの曲とは印象が違うが,短いながらもこれはこれで燃える。思わずく~っとなってしまった。そして最後は"Stratus"だもんなぁ。こうした選曲はやはり反則である。

私がこのメンツが来日していたことさえ認知していなかったのは全くの恥だが,ライブでの演奏を積み重ねてのレパートリー化と思われ,急造バンド的な感覚はない。もちろん,実力者,テクニシャンの集まりだから,これぐらいできて当たり前って話もあるが,それにしても絶対生で見ておきたかったメンツと言ってよい。まぁ,でもこうしてアルバムが出ただけでもよしとすべきかもしれないが,またツアーで来日しないものか?現在,欧州ツアー中のようだが,次こそは絶対に行くと宣言したくなるようなアルバム。星★★★★☆。

だが,このジャケットはないよねぇ。こういうセンスのなさが星を半分減らさせる要因なのである。CDとは言え,トータルなパッケージとしてもう少し考えがあってもよさそうなものである。もったいない。

Personnel: Scott Henderson(g), Jeff Berlin(b), Dennis Chambers(ds), Sanya and Angela Henderson(vo)

2012年10月25日 (木)

Deacon Blue:11年振りの新作は最高にポップで何とも素晴らしい。

The_hipsters "The Hipsters" Deacon Blue(Edsel)

いや~,これはいい。Deacon Blueが"Homesick"以来11年振りにリリースしたアルバムはブリティッシュ・ポップの良さが強く感じられる出来で,本当に嬉しくなってしまう。

Deacon Blueはその名前がSteely Danの"Deacon Blues"に由来することは明らかであるが,Steely Danのようにひねりは効いていない。しかし,Steely Danよりはるかにポップな音楽性を持つバンドである。このポップさには私はPrefab Sproutとの同質性のような感覚もおぼえるが,いずれにしても,心の琴線をくすぐる素晴らしいメロディ・ラインの数々である。なぜ,こうしたバンドが日本でいまいち人気が出ないのか私には不思議で仕方ないのだが,それはさておきである。

6人のオリジナル・メンバーのうち,4人が現在のDeacon Blueとなっているが,本作はそこにサポート・ミュージシャンを迎えて録音されている。そして,このアルバムには私がこれまで聴いたDeacon Blueのアルバムよりもポップな部分を強く感じてしまった。このバンドはこんなにポップだったのかと今更ながら思ってしまった私だが,これは過去のアルバムも今一度聴き直してみなければならないとさえ感じさせた。このアルバムは全11曲,約40分弱というまるでLPの時代を思わせるようなコンパクトさであるが,そのコンパクトさの中に,曲の魅力を強く感じさせるのが本当にいいと思えたのである。このRicky Rossの書く曲に心底しびれてしまった私であった。

時としてこうしたポップな感覚に身を委ねることの気持ちよさというのを久しぶりに感じさせてくれたアルバムとして,私にとっては非常に重要なアルバムとなったと言ってもよい。音楽にテンションを求めることも,それは時に重要なことであるが,だが小難しいことを言わず,曲や歌唱を楽しむというのは,私がBurt Bacharachの音楽を聞くときの感覚と似ているかもしれない。このアルバム,まじで好きである。星★★★★★を喜んで謹呈してしまおう。

Personnel: Deacon Blue: Lorraine McIntosh(vo), James Prive(key), Ricky Ross(vo, p), Douge Vipond(ds, vo) with Gregor Philip(g, vo), Lewis Gordon(b), Greg Lawson(vln, vla)

2012年10月24日 (水)

Breckers Brothers Reunion Bandのブート音源を聞く

Brecker_brothers_reunion

"The Brecker Brothers Band Reunion New York City 2012" (Bootleg)

ネット上を徘徊していると,いろいろな音源に接することができるが,これもそんな音源の一つである。Brecker BrothersがサックスにAda Rovattiを迎えてリユニオンするという話は聞いていたが,そんな彼らがNYCのBlue Noteに出演した時のおそらくはオーディエンス録音だが,結構よく録れている。Ada Rovattiは現在のRandy Breckerの嫁はんであるが,このリユニオンは彼女がどこまで頑張れるかってところが鍵になるだろうなんて思ってしまった。

そして,この音源を聞く限りは,バンド・サウンドとしてはこのリユニオンはかなりいけていると思えた。Ada RovattiはMichael Breckerの代わりになることはそもそも無理だとしても,そこそこ健闘しているって感じだが,バンド全体としてはメンツがメンツだけにかなりタイトで,結構面白いのである。Randyは間もなく67歳になるはずだが,そんな年齢を感じさせない吹きっぷりで,ラップまでやってしまうのには驚いてしまった。そのラップがGo Go的で,Chuck Brownを彷彿とさせるのがへぇ~って感じであったが,いずれにしても若々しいとしか言いようがない。

このリユニオン・バンドはGRPレーベルでの再編Brecker Brothersのメンツを中心にしているが,その中でMike Sternの活躍ぶりが著しいことも私が気に入ってしまう理由かもしれない。全編に渡って弾き倒しているが,ディストーションの踏み込みは抑制したようだ(笑)。

いずれにしてもMCでRandyが言っているように,来年にはこのバンドでCD/DVDがリリースされるらしいから,相応の期待はかけてもよさそうである。まぁ,それでもライブの方が楽しそうには思えるが...(苦笑)。

Recorded Live at the Blue Note, NYC on September 13, 2012

Personnel: Randy Brecker(tp), Mike Stern(g), Rodney Holmes(ds), Ada Rovatti(sax), George Whitty(key), Will Lee(b), Oli Rockberger(key)

2012年10月23日 (火)

これは素晴らしい:Fred Hersch渾身のライブ盤

Fred_hersch_trio_vanguard "Alive At The Vanguard" Fred Hersch Trio (Palmetto)

アップするのに非常に時間が掛かってしまったが,Fred HerschのトリオによるVillage Vanguardにおける2枚組ライブ盤である。Fred Herschと言えば「病魔と闘う」というイメージが強く,タッチそのものも力強さというよりも,リリシズムとか繊細さという感覚が勝る人であろうと思っている。特に生死の境をさまよった云々の逸話が聞こえてくると,更にそうした感覚が強くなるのが人情である。

しかし,このアルバムを聴いて驚かされるのが,そのHerschに非常に力強さが戻っていることである。Herschの前作は同じくVanguardにおけるソロ・ライブであった(記事はこちら)が,それはそれで優れたものと思えたが,今回のトリオ・セッティングにおいてはヴァイタルささえ感じさせる演奏となっているのである。これには本当に驚いた。

だからと言って,力強さだけの一本調子かと言えば,決してそんなことはなく,Herschのよさはちゃんと示されている。タッチが私が思うよりも強力なだけで,フレージングはまごうことなきHerschである。

そしてチャレンジする姿勢も示しており,Ornetteの"Lonely Woman"とBill Evansの"Nardis"をつなげるという普通では考えられない試みも行いながら,この2曲の持つ美しさの同質性をあぶり出しているのは見事としか言いようがない。"Lonely Woman"は多くのミュージシャンに取り上げられる名曲ではあるが,それでもOrnetteのという枕詞がついてしまうことは避けられない。それを"Nardis"と結びつけたのはHerschが最初であろうが,これが全然違和感がないのである。こうしたところにもHerschの洞察の深さが表れているように思える。そして素晴らしい"From This Moment On"のような演奏を聴いて,私はため息さえもらしてしまった。

いずれにしても,2枚組,2時間弱の長丁場ながら,どこから聴いても楽しめてしまうという非常に優れたライブ盤。レギュラー・トリオの緊密度も上がり,これは今後の活動にも期待できる。是非,健康には留意して,今後とも出来る限りの創造力を発揮してもらいたいと願わずにおれない傑作。いずれにしても本年屈指のピアノ・トリオ・アルバムの一つになろう。星★★★★★。

Recorded Live at the Village Vanguard on February 7-12, 2012

Personnel: Fred Hersch(p), John Hébert(b), Eric McPherson(ds)

2012年10月22日 (月)

なかなか楽しめた「ボーン・レガシー」

Bourne_legacy 「ボーン・レガシー("The Bourne Legacy")」('12,米,Universal)

監督:Tony Gilroy

出演:Jeremy Renner, Rachel Weisz, Scott Glenn, Edward Norton, Stacy Keach, Joan Allen

私はMatt DamonによるJason Bourneシリーズが非常に好きで,そのデリバティブとしてのこの作品も当然気になる存在であったので,劇場に駆けつけた(と言っても公開からはちょっと遅れたが...)。

なぜこの作品がデリバティブかと言えば,ストーリーはJason Bourneシリーズと並行して進み,登場人物も多少かぶっているからである。つまり,本家のシリーズをちゃんと見ていればわかるが,それを見ていないと若干話がわかりにくい部分が出てきてしまうのは仕方がないところだろう。しかも監督,脚本は本家の脚本を書いていたTony Gilroyであるから,おそらく彼の頭の中では,本家のシリーズとともにこのストーリーを考えていた節がある。よって,意図的に説明的な部分をそぎ落としてしまった感があるのに戸惑いをおぼえる人も結構いるのではないか。

だが,独立したアクション映画として見れば,スピード感もあるし,アクションのキレもあって相応に楽しめると思った。昨今,いろいろなところに出てくるJeremy Rennerが主役として最適かと聞かれれば若干微妙なところもあるが,それでもリアリティを持たせるという観点ではRennerぐらいでいいようにも思えた。少なくとも私にとっては「アベンジャーズ」のHawkeyeよりもこちらの方がフィット感が強かった。ただ,日本でということなるとちょっと厳しいかもなぁって感じが劇場の客入りにも表れていたようにも思う。しかし,本国含めた興行収入では予算を軽々回収しているし,いかにも続編作るぞというシナリオもあって,このシリーズとしての継続も決まったようである。

きっと続編ができれば,またきっと見に行ってしまうだろうが,多少ストーリー・ラインを整理して見せた方が更にヒットの確率は高まるのではないかと思えた。今後のプロットは,Jason Bourneシリーズと同じような「逃亡」をベースとしたものにならざるをえないだろうが,次はどのようなストーリーに仕立ててくるかは楽しみではある。ただ,本家の第2,3作を撮ったPaul Greengrassがこれの監督もしていたら,更に優れたアクションになっていたように思えなくもないということで,星★★★☆。でも結構好きだが。

2012年10月21日 (日)

トロント・ライブを除けばPaul Desmondのリーダー作で一番好きな作品かも。

Paul_desmond_first_place_again "First Place Again" Paul Desmond (Warner Brothers)

私はこのブログにおいてPaul Desmondのファンであることを何度も書いてきた。彼のアルバムで最も好きなのは70年代に入ってからのトロントにおけるライブ作であることは間違いないところであるが,それ以外の,あるいはスタジオ作の中で最も好きな作品はこれと言ってよいかもしれない。もちろん,同じくJim Hall入りのRCAレーベルの諸作も愛聴しているが,このアルバムの選曲のよさが何と言っても魅力である。

この作品はDesmondがPlayboy誌の人気投票で2年連続アルト部門で1位になったからということで,このタイトルになっているはずだが,これは当時のDave Brubeck Quartetの人気による部分も大きかろう。50年代の様々な雑誌の読者投票でDesmondはポール・ウイナーとなっているが,逆にそれほど人気があったということが,今の時代からはなかなか想像しにくい部分があるのも事実である。しかし,そうしたDesmondがWarnerというメジャーで唯一の録音をできたのもその人気のおかげと言えば,それはそれでOKである。しかもいいメンツを迎えて,いい曲を吹くことで出来上がったこのアルバムが悪いわけはない。バックはJim HallにMJQのリズムであるから,ただでさえノーブルなDesmondの音楽が,更に上品さを増すと言える。このメンツで"Greensleeves"をやったら,Coltraneのそれとは全然違う音楽になるのが当たり前である(笑)。

ある意味,これほど刺激の少ないジャズってのも珍しいという言い方もできそうに思うが,私がPaul Desmondに求めるのが,こうした音楽による究極的リラクゼーションなのであり,それは全く問題にならない。それよりもこうした音楽を通じて得られる幸福感を私は大事にしたい。傾聴もできれば,聞き流すこともできるというのはいい音楽の条件である。Paul Desmondの場合,それを多くのアルバムで実現してくれる私にとっては重要なミュージシャンであり,その特性が色濃く現れた作品である。星★★★★★。

私は本作のLPも保有しているが,今回,廉価でCDが再発されたのを機に購入したものである。これで心おきなくiPodでも聴けるってものである。しかし,こんなアルバムが1,000円で買えるって幸せな時代になったものである。国内各社が旧盤の廉価盤化を図っているが,こういうのなら大歓迎である。まぁ,今までが高過ぎたって話もあるが...。

Recorded on September 5-7, 1959

Personnel: Paul Desmond(as), Jim Hall(g), Percy Heath(b), Connie Kay(ds)

2012年10月20日 (土)

また今日も来てしまったボックス・セット...

昨日もヴェルディのオペラ・ボックスについて書いたばかりだが,また来てしまったボックス・セット。今日届いたのはHogwoodのモーツァルト交響曲全集(19枚組)とHilliard Ensembleのフランドル楽派の音楽8枚組である。ということで,ヴェルディのオペラと合わせて2日で41枚のクラシック・アルバムが届いてしまったのだが,実は届いているのはそれだけではないという完全病気モードである。だが,言い訳をしておけば,今日届いた計27枚は合わせて8,000円弱である。一生楽しめて約1枚300円だと思えば全然後悔はない。な~んて言うと開き直りだと家人に怒られるだけだが。

いずれにしても困ったような嬉しいような...。でも聞くのは楽しみなんだよねぇ。

追記:画像の貼り付けがうまくいかないので,画像を消去して再アップ。なんでやねん? 

2012年10月19日 (金)

買ってしまったAbbadoのヴェルディのオペラBOX

Verdi_6_operas "Verdi 6 Great Operas" Claudio Abbado指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団/BPO(Deutsche Grammophon)

毎度毎度CDばかり買っていると,家人から「一体いつ聴くんだ?」とか「一生のうちあと何回聴くわけ?」とか小言を言われ続ける私だが,またまたいつ聴くねん?というボックス・セットを買ってしまった。そうは言っても今回は14枚組だからそれほどハードルは高くない(ほんまか?)。しかもAbbadoが振ったVerdiのオペラの箱物である。

正直言って,私はオペラのまともな聞き手だとは思っていない。子供の頃,宝塚歌劇を見に連れて行かれて以来,どうも歌劇というものに馴染めないのである。そのくせミュージカル映画が好きなのは一体何やねん?と言われればその通りであるが,映像とライブの違いが私にとっては結構大きな要素なのである。だったらこのボックス・セットだってそうだろうって気もするが,最近は私もオペラに抵抗がなくなったと言うか,むしろ時折無性に聴きたくなることがあるのだから人間何があるかわからない。

このボックスはAbbadoがドイツ・グラモフォンに吹き込んだ6つのヴェルディのオペラを集成したものであるが,ポイントは6つのうち,5つのオペラがスカラ座のオケ(残り1つはベルリン・フィル)ということだろう。やはりイタリア・オペラはイタリアのオケがって気がしてしまう私だが,「椿姫」もなければ「リゴレット」もないこのボックスはどうなのよと言われればその通りかもしれない。でもまぁそれはそれってことで,ここに収められた音楽を純粋に楽しめばいいじゃんとしか思えない私である。

ということで,出張の道すがら「仮面舞踏会」を聴いて,おぉっ,これはやっぱりいいねぇなんて思っていた私だが,全部聴き通すまで一体どれぐらい時間が掛かるのやら。しかし,これはAbbadoがスカラ座を振っていた頃の遺産として長く聴き続けられるべきものと「仮面舞踏会」だけでも思ってしまった私である。次は「シモン・ボッカネグラ」に挑むことにしよう。

でも出張の道すがらで聴いていると,心地よい眠りに誘ってくれるんだよねぇ。「シモン」の前に,「仮面舞踏会」の第3幕はもう1回ちゃんと聴き直さねばなるまい(笑)。いずれにしても聴き通すのが本当に楽しみなボックス・セットである。ちなみに「アイーダ」はMuti盤とどっちが上なんだろうか。それも興味津々。

2012年10月18日 (木)

トリオ編成によるLarry Carltonのライブ盤

Larry_carlton_paris_concert "The Paris Concert" Larry Carlton (335 Records)

先日,中古盤屋をうろついていたら,まぁまぁ納得できる値段で売っていたので,思わず買ってしまったアルバムである。私は正直言って,Larry CarltonのアルバムはLee Ritenourのものに比べるとクォリティとしてはちょっと落ちるかなぁなんて思っているのだが,それでも結構な枚数を保有している。だが,全部買おうなんて思ってはいないし,Carltonは人のバックで取るギター・ソロにこそその実力を最大に発揮すると考えている。だったら,これだって買わなきゃいいじゃんという話もあるが,このアルバムのポイントはトリオでの演奏という点にあった。Carltonがトリオで弾くとどういうことになるのか。興味はその一点である。

トリオ・アルバムということは当然のことながら,Carltonが演奏において果たさなければならない役割は,いつものバンド演奏よりも大きくなるはずである。よって,ファンとしてはギターを弾きまくるという姿を期待するのは当然である。だが,その一方で,キーボードがバンド・サウンドに与える彩りを取ってしまうと若干地味になってしまうことも考えられるわけで,そこがこのアルバムを聞く際のポイントになってくると思われた。

一聴して感じるのは,トリオ編成は地味だとも言えるし,悪くないとも言える。私としてはやはりキーボードは入れた方がよいのではないかと思えるが,ポップさをできるだけ排して,この編成にフィットした曲は選んでいるかなぁということは言えると思う。アルバムとしては"The Prince"~"Last Nite"~"Room 335"当たりの流れにピークを設定し,ちゃんと盛り上がるようにしているのはライブの演出としては正しいよねぇなんて感じさせるのは立派だが,やはりここはもう少し華やかさが欲しいというのも事実である。

本作はDVDもリリースされているので,映像を見ながらという方が正しいのかもしれないが,私はどちらかというと音中心の人間なので,そうした部分はこのアルバムは不利な部分もあるかもしれない。まぁ,それなりに楽しめるので中古盤の元は取れたと思うものの,やはりちょっとこれは渋過ぎるだろうと感じている私である。星★★★。

尚,ベースを弾いている息子くんはなかなか健闘している。ギターではオヤジには勝てないと思ってベースにしたのかねぇ,なんて思いつつ,親子の共演というのは微笑ましい。

Recorded Live at New Morning in Paris in 2008(?)

Personnel: Larry Carlton(g), Travis Carlton(b), Toss Penos(ds)

2012年10月17日 (水)

枯れた味わいを示すRickee Lee Jones:これは渋い

The_devil_you_know "The Devil You Know" Rickie Lee Jones(Concord)

昨日はやんごとない事情で記事をアップできなったが,それもほぼ解決し,取り上げるのが本来昨日アップしようと思っていたこのアルバムである。

Rickee Lee Jonesと言えば,Warner Brothersからの第1作であるセルフ・タイトル作と第2作"Pirates"(特に後者)が私のお気に入りであるが,ある意味,癖のある声,歌い方なので,好き嫌いがわかれる可能性はあると思う。だが,私は何だかんだと言って,ほとんどの彼女のアルバムを保有しているはずで,それぐらいのファンである。だが,近年は真剣に追っ掛けるって感じでなくなっていたのも事実であるが,今回はBen Harperプロデュースのカヴァー・アルバムということではやはり気になっての購入であるが,これが無茶苦茶渋い。

前述の通り,彼女の声には多少の癖があるが,冒頭の「悪魔を憐れむ歌」からして,その声にだいぶ年齢を感じさせるものになっていたのは,彼女が還暦手前ということからすれば仕方がないかもしれない。だが,聴いているうちにそれも気にならなくなってくるから不思議なものだ。

Rickie Lee Jonesのカヴァーと言えば,"Pop Pop"や"It's Like This"のようなアルバムもあるが,本作はもっとルーツ音楽的な感覚が強い。非常にシンプルな伴奏の中で彼女が歌うのがStones,Neil Young,The Band,Van Morrison,Tim Hardin,Rod Stewart,Donovanといった面々のレパートリーである。伴奏がシンプルかつビートを効かせた音楽ではないだけに歌のうまさは間違いなく求められるところであるが,相変わらず癖のある歌いっぷりながら,ちゃんと歌いこなしている。

選曲も渋いが,一聴して,枯れた味わいとでも称すべきサウンドのものであるから,刺激を求める向きにはフィットしない音楽だと思えるが,この渋さにはまれば抜けられなくなる私のようなリスナーも相当数いるのではないか。これはプロデューサーとしてのBen Harperの手腕の勝利という気もするし,それに応えたRickie Leeも偉いと言っておこう。それにしても「悪魔を憐れむ歌」である。原曲のイメージをそこはかとなく(あくまでもそこはかとなくである)感じさせながらも,完全にRickie Lee Jonesのカラーに染め上げたのは大したものである。この1曲を聞いただけで,実はこのアルバムにまいってしまった私であった。星★★★★☆。サウンドとしては枯れたところを感じさせても,彼女のミュージシャンシップは全然枯れていない。今更ながら9月末に来日した時のライブに行っとけばよかった。

そして嬉しかったのはDavid Lindleyがヴァイオリンで参加していることだと付け加えておこう。

Personnel: Rickie Lee Jones(vo, g, p, perc), Ben Harper(g, vo, ds, perc, vib, b, org), Sheldon Gomberg(b), DJ Bonebrake(vib), Jamie Elman(p), Larry Godings(p, org), Jesse Ingalls(p), Chris Joyner(org), Jason Yates(org), David Lindley(vln)

2012年10月16日 (火)

やんごとない理由により...

誠にやんごとない理由により,本日はお休みです。また,皆さんのコメントへの返信も若干時間が掛かるかもしれませんが,悪しからずご了承下さい。いつものように飲み過ぎとかそういう理由ではなく,本当にやんごとない理由ですのでどうかご勘弁を...。

2012年10月15日 (月)

Lee Ritenourの新譜:質の高い演奏集であることは間違いないが...

Rhythm_sessions "Rhythm Sessions" Lee Ritenour(Concord)

私はLee Ritenourの結構なファンだと思っている。アルバムも結構な数も保有しているし,いまだにプレイバックの頻度はかなり高い。若い頃からテクニシャンとしてのポジションは確立していたが,演奏についてもソロ能力は高いし,アルバムも平均点が高い人だったと思っている。

そんなRitenourの新作であるが,タイトル通りというか,リズム・セクションが曲ごとに代わるような印象すら与えるアルバムである。ある意味ではキラ星のごときメンツである。そして演奏する曲もオリジナルに加えて,Dave Grusinはわかるとしても,Brad Mehldauでもお馴染みのNick Drake作"River Man",Herbie Hancock,Chick Corea(本人も客演),そしてE.S.T.の曲が2曲というのはどういう選曲?って思わせる。そしてもう1曲"Maybe Tomorrow"なる曲が採用されているだが,これが謎である。クレジットを見る限りはこの曲はAgent Sparksというバンドのものということになっているが,これはStereophonicsの同名曲である。こんなことでは印税関係もおかしくなってしまうように思えるが,一体どうなっているのやら...。

それはさておきである。演奏そのものはRitenourらしい安定感のあるフュージョンだと言ってよい。件の"Maybe Tomorrow"に登場するZamajobeという南アフリカ出身のヴォーカリストも魅力的。全く失念していたが,この人とはRitenourは既に"Smoke 'n' Mirrors"で共演してたのねぇ。だが,全体を通じて聞いてみると,昔のように彼の音楽を聞いていても高揚感がない。いい意味でも悪い意味でも落ち着き感が強過ぎるのである。Ritenourという人はそういう人だと言ってしまえばそうなのかもしれないが,私はGentle Thoughtsによる"Captain Fingers"や武道館ライブにおける"Countdown"のようなノリが忘れられないのである。もちろん,あれから長い年月が経過してしまっているから,あのようにはいかないのかもしれないが,それでももう少しチャレンジングでぐわ~っとくる感じが欲しいのである。

曲のヴァラエティが富んでいるので,それにより本質が捉えにくく感じられる部分があることも,このアルバムにのめり込めない要因かもしれないが,やはり私としてはそれに加えてもう少しスピード感のある曲ががあってもよさそうに思える。まぁ,これは大人のフュージョン・アルバムだとも言えないこともないが,アダルト度としてはFourplayほどではなく,相応にいろいろやろうとしているところがRitenourらしい。ということで星★★★☆。

Recorded between January 2012 and June 2012

Personnel: Lee Ritenour(g), George Duke(rhodes, moog), Dave Grusin(rhodes), Patrice Rushen(p), Deron Johnson(rhodes), Chick Corea(p), Alan Pasqua(p), John Beaseley(p), Demetrius Nabors(p), Larry Goldings(org), Hans De Wild(org), Stanley Clarke(b), Nathan East(b), Marcus Miller(b), Melvin Lee Davis(el-b), Christian McBride(b), Chuck Berghofer(b), Tal Wilkenfeld(b), Michael Frinberg(b), Dave Weckl(ds), Will Kennedy(ds), Oscar Seaton(ds), Wesley Ritenour(ds), Peter Erskine(ds), Sonny Emory(ds), Vinnie Colaiuta(ds), Selim Munir(ds), Munungo Jackson(perc), Ariel Mann(g, synth, prog), Bob Bacon(g), Kurt Elling(vo), Zamajobe(vo)

2012年10月14日 (日)

誰がどう見たって胡散臭い男

Photo 虚言癖の人間というのはどこにでもいるが,虚言なら虚言でもう少しまともな嘘をつけないものか?

この森口尚史という男の顔,発言,更には所作(インタビューでのあのうつろな目
を見て,まともな人間と思えるかを見れば,誰がどう見たって胡散臭いのは明らかであって,この程度の輩に騙される読売新聞の記者も底の浅さが露見したようなものである。

こんな男にも養う家族がいるとすれば,それは全くの不幸であるが,どうも独身だったらしいからあとは全て自己責任として対処すればよい。いずれにしても,これだけの虚言癖,あるいはこの顔,発言では女性を口説けるとも思えんが。もともとの頭はよかったんだろうが,人間としての間抜けさ加減はいかんともしがたい。

いずれにしても,追求そのものは必要であろうが,毎日,毎日この男の映像がニュースに出てくるだけで不愉快になる。事実関係が明らかになった段階(もはや明らか)で,完全にメディアも無視すればいいだけの話である。これ以上は,メディアがカヴァーすればするほどまたこいつの虚言が出てくるという悪循環だろう。

今更「研究者としてはもうやっていくのは無理だと思う」(当たり前だ!!
と語るこんな男に研究費の名のもとに血税が使われていたのかと思うだけで腹が立つわ。社会から消えてもらって当然の人間である。こういう男のために"Shame on You!!"という表現があるのだと言っておこう。

クリポタ参加のClarence Penn盤:ハードボイルドだど(古っ!)

Clarence_penn "Dali in Cobble Hill" Clarence Penn (Criss Cross)

小曽根真のトリオでの演奏でも知られるClarence Pennは既にCriss Crossからリーダー作をリリースしているが,今回の作品が私にとっては初のリーダー作購入である。その動機はリーダーには悪いがそのメンツということになる。だって,Undergroundの2トップ,クリポタにAdam Rogersである。期待するなって方が無理だろう。

デリバリーにはちょっと時間が掛かったが,ようやく到着したので早速聞いてみたが,やはりこの2トップだけに期待を裏切らないと思わせうる。とにかくハードボイルドである。だが,一聴してわかる通り,Undergroundとはだいぶ趣が違って,ファンク度,変態度はやや薄い。さすがにこの辺りはクリポタ~RogersコンビもリーダーであるPennを立てた感じがする。しかし,昨今のNYCではよく聞かれるであろう変拍子てんこ盛りみたいな感じであるところが,コンテンポラリーな感覚をおぼえさせるが,それでもUndergroundよりはずっとオーソドックスに聞こえてしまう。このメンツを見ていると,あるいは音を聞いていると,Smallsあたりでライブをやっても不思議ではないって感じか。そうした感覚こそ,このアルバムを首を長くして待っていたリスナーの求めるものであり,見事にそれに合致していると言ってよいのではないかと思う。

このアルバムを特徴づけるものとして2曲挿入されるスタンダード,"I Hear Music"と"My Romance"があるが,特に後者がペースを転換する効果抜群と言ってよい。それまでのテンションの高い演奏の中から浮かび上がる”My Romance"におけるクリポタの吹奏にはまいってしまうリスナーはきっと多いはずである。この演奏のテンションが低いわけではないし,これだって十分ハード・ボイルドだが,このビター・スウィートとでも表現したくなるクリポタのバラッドには思わず「く~っ」となってしまった私である。

それ以外はClarence Pennのペンになるものだが,昨今のドラマーというのは本当に音楽性が高いというか,作曲能力にもたけた人が多い中,Pennも同様だったというのには驚きを隠せない私である。本当に大したものだが,そうした中で"Dali"なんて,かなりアブストラクトな響きを生み出していて,画家のDalini倣ったのかとさえ思わせ,へぇ~,こういう曲も書くのかぁ~なんて思ってしまった。いずれにしても,変拍子を多用した今らしいコンポジション群と言ってよい。それをこの強力なクァルテットでやられてしまっては文句はない。やっぱりハードボイルドなのだ(笑)。星★★★★☆。半星はUndergroundとの差と思って頂ければいいだろう。

Recorded on February 2, 2012

Personnel: Clarence Penn(ds, perc), Chris Potter(ts, ss, b-cl), Adam Rogers(g), Ben Street(b)

2012年10月13日 (土)

夜も更けた。さっさと寝よう。

主題の通りである(笑)。Clarence Pennのアルバムについては別途書くことにしよう。それにしても,まるでTweetですな。

2012年10月12日 (金)

人生二度目のAyler体験:まさに正調フリー・ジャズ

Spiritual_unity "Spiritual Unity" Albert Ayler Trio(ESP)

私が生まれて初めてAlbert Aylerの音源を聞いたのは去年のことであった。本ブログにも記事をアップしたが,そこには非常にスピリチュアルな部分を感じた私である(記事はこちら)が,フリー・ジャズの範疇では非常に魅力的な音楽として捉えていた。そんな私であるから,もう少しAylerの音楽を聴いてみたいと思っていたのだが,なかなか踏ん切りがつかない。中古で見つけたら考えようと思っていたのだが,その狙いは今回取り上げる"Spiritual Unity"に絞っていたと言ってもよい。先日,中古盤屋をうろついていたら,中古にしてはやや高めではあったが発見したので即購入と相成った。

聴いてみれば,これは正調フリー・ジャズ,あるいは定冠詞"The"のついたフリー・ジャズだと言ってもよい演奏である。私は結構フリー好きなので,こういう演奏は大歓迎だが,これぐらいのレベルの演奏であれば,より多くの人にフリーのよさが理解されるのではないかと思ってしまうぐらいこれは優れた演奏だと思う。ピアノレスのトリオ編成というのも自由度が高い要因だとは思うが,とにかくAylerから繰り出されるフレーズの一つ一つがまさに「フリー・ジャズ」って感じである。

そして,本作には山下洋輔の演奏でも著名な"Ghosts"が入っているが,山下洋輔の演奏に慣れ親しんだ身としては,オリジナルはこういう演奏だったのかと感じてしまった。ここでのAylerの吹奏にはアメリカ民謡的なものすら感じさせる。私は昨年書いた記事において教会音楽的な響きをAylerの音楽に感じたわけだが,今度は民謡ということで,実はこの人の奥底にはトラッドな感覚,あるいは非常に日常的なものが存在していながら,出てくる音楽が非日常的というギャップが面白いと思わせる。私はこのアルバムを聴いて,ますますAylerが気になってきてしまい,次はImpulse盤を狙うかって思ってしまったぐらいだ。それがいつになるかはわからないとしても,Aylerの音楽はそう感じさせるぐらい魅力的ということである。気が付くのが遅すぎたが,それはそれで仕方ない。だが,この音源も高く評価するとして星★★★★★。

驚くべきは本作のような正調フリー・ジャズが,今や軟弱あるいはワンパターンを絵に書いたようなろくでもないアルバムを下品なジャケで連発するヴィーナス・レコードからリリースされていたということである。昔はずっと骨のある仕事をしていたのに,今の体たらくは何なんだとついつい思ってしまった。

Recorded on July 10, 1964

Personnel: Albert Ayler(ts), Gary Peacock(b), Sunny Marray(ds)

2012年10月11日 (木)

すみません。今日も休みです。

今日は昨日とは全然別の音楽について書こうと思っていたのだが,早くも
ギヴアップである。こんなはずじゃなかったんだけどねぇ...。まぁいいや(笑)。

2012年10月10日 (水)

Fourplayの新作:スムーズ・ジャズの王道だろうなぁ...

Fourplay_esprit_de_four "Esprit de Four" Fourplay(Heads Up)

Fourplayの新作がリリースされたのだが,デリバリーのタイミングもあって,聞くまで結構時間が掛かってしまった。前作の"Let's Touch the Sky"からほぼ2年,ファンにとっては待望と言ってもよいだろう。前作がリリースされた時,Chuck Loebへのメンバー・チェンジは成功だとこのブログにも書いた(記事はこちら)し,次作にも期待と書いた私であるから,相応に期待は寄せていた。だが,ゲスト・ヴォーカルが松田聖子だと知って,おいおいと思っていたのも事実である。私はFourplayがヴォーカルを入れることには異論はない。しかし,松田聖子はないだろうと思ったのだ。昔,松田聖子のファンだった身としては微妙だが,それでもやっぱりって感じなのである。

松田聖子が登場するのは最後の1曲だけだから,それはまずは棚上げしよう。冒頭のChuck Loeb作"December Dream"からして既にスムーズ・ジャズの王道と言っていいサウンドである。安心感100%,懸念ゼロみたいな感じである。前作の記事でも書いた「スリルとかそういったものとは全く無縁の世界である。どこまでも心地よく,そして非常に落ち着ける」という印象はここでも全く変わりない。テンポが遅くても,やや速くてもそんなものは関係ないのである。本当に心地よい。私はLarry Carlton在籍時のFourplayを評価していないが,Chuck Loebに代わって印象はずっとよくなったと本作でも感じている私である。

まぁ,ワン・パターンと言ってしまえばその通りである。だが,人間には予定調和を求めることもあるわけで,その予定調和こそがこのFourplayの音楽の本質である。バカボンのパパではないが,それでいいのだ(笑)。こういう音楽が気に入らないと言うのであれば聞かなければいいだけの話であるが,私はこういう音楽を求めたくなる時があるということで,私には欠かすことができない音楽の一種だと言っておこう。

そうした中で松田聖子だが,なぜ彼女がここに参加したかの経緯についてはライナーにある通りである。そこにもある通り,本作は"A Special Dedication"として3.11後の復興に向けて生きる日本の被災者に捧げられているのだが,その中でも"Put Our Hearts Together"が逸早くBob Jamesが日本のために作曲したもの。これはこれで美しいメロディだと思うが,そこに詞をつけたのがBob Jamesの娘のHillaryである。この親子の連携プレイが何とも麗しい。それを考えれば,Hillary本人が歌えばいいのであって,私は敢えて松田聖子が歌わなくてもよかったのではないかと思うし,彼女の歌いっぷり(英語の発音含む)には,健闘しているのはわかっていても,正直なところ違和感がある。だが,日本復興がテーマである以上,そういう選択もないわけではないということで,ここは文句を言うのはやめておこう。9曲目には"Sugoi"なんて曲も入っていて,Bob Jamesの思いは徹底しているのである。ただ,この曲は何が「凄い」のかはよくわからんが...(苦笑)。

いずれにしても,全体としてはFourplayのアルバムとしては十分楽しめるものだったので,ちょっと甘いとおもいつつ星★★★★とする。非常にハート・ウォーミングな感覚に溢れた作品として,非常に後味もよいのは評価したい。

Personnel: Bob James(p, key), Chuck Loeb(g, synth), Nathan East(b, vo), Harvey Mason(sa, perc, vib, synth), 松田聖子(vo), Lizzy Loeb(vo)

2012年10月 9日 (火)

歌い手としての矜持を感じさせるArt Garfunkelのベスト盤

The_singer "The Singer" Art Garfunkel(Sony/Legacy)

このアルバムのリリースがアナウンスされた時,う~ん,Garfunkelのアルバムは結構持っているし,ベスト盤は"The Art Garfunkel Album"もあるからいいかなぁなんて思っていたのだが,輸入盤のあまりの安さに思わず発注してしまった私である。2枚組で1,000円ちょっとってどういうこと?と思いたくなるが,そして買って正解だと強く感じた私である。

このアルバムの何が優れているか?Artの歌のうまさははなからわかっている。そして,彼の代表的な曲はみんな知っている(と少なくとも思っていた)。しかし,ここにはそれらに加えてS&Gのレパートリー,そのライブ音源,更には新曲も含めて並んでいるのである。これなら間違いなくファンは納得するはずだが,このアルバムの美点はそれにとどまらない。本作に収めれた曲と並びはArt Garfunkel本人によるものである。私がこのアルバムを聞いていて思ったのはその並びの素晴らしさである。そこにArtの意図と強い意志のようなものを感じてしまうのだ。つまり,歌のうまさはもちろんだが,コンピレーションとして極めてよくできていると感じさせるのである。

例えば,Disc 1の2曲目には"All I Know"が入っているが,普通の人間ならここには"Angel Clare"所収の同曲を持ってくると思うだろう。しかし,一聴してあれ,これってオリジナルじゃないなと思っていたら,これは"Up 'Til Now"に収められたJimmy Web伴奏バージョンではないか。この辺りに歌手としてのArt Garfunkelの「歌唱」へのこだわりがあるように思えてならない。そのほかに気がつくのは"Breakaway"からの曲のセレクションの多さである。これはArt Garfunkel本人による同作への思い入れの強さを反映したものと言えるだろう。いずれにしても,この2枚組の収録曲には並々ならぬこだわりを感じてしまい,思わず膝を正して聴いてしまった私である。

本作はArt Garfunkelのキャリアを俯瞰するだけでなく,素晴らしい歌手による歌唱の持つ力を再認識させるという点で,私は強く推薦したいと思う。まだ彼の歌にそれほど接したことがないというリスナーにも最適なアルバムである。星★★★★★。いや,素晴らしい2時間を過ごせること請け合いである。超ハイ・コスト・パフォーマンスの2枚組。

それにしても,輸入盤がこれだけ安い価格で手に入るのに,3,990円を支払って国内盤を買うリスナーがどれだけいるのだろうか?価格差3.5~4倍近くって明らかにおかしいのである。歌詞を調べたければネットで可能なんだし,訳詞なんて必要ないという方には輸入盤をお勧めする。こんな値付けをしておきながら,CDが売れないって言ったってそれは自己責任というものである。そうは言いながら"Scissors Cut"の紙ジャケ盤は発注してしまった私...(苦笑)。だまされてるねぇ(爆)。

2012年10月 8日 (月)

Lee Konitzほか御一行さまによるスタンダードの解体と再構築

Enfants_terribles "Enfants Terribles" Lee Konitz / Bill Frisell / Gary Peacock / Joey Baron(High Note)

Lee Konitzと言えば,昨年,Brad Mehldau,Charlie Haden,Paul Motianという面々でのBirdlandでのライブ盤でスタンダードの解体/再構築に取り組んでいた(記事はこちら)。今度はパートナーをがらっと変えての演奏であるが,狙っているところはほぼ同じではないかと思える作品である。前回も濃いメンツだったが,今回も同じように相当濃厚なメンバーである。しかもいい歳のオッサン集団が「恐るべき子供たち」と命名するのだからジョークも効いている(もしや本気か?)。現在の年齢で言えばKonitz:85歳,Peacock:76歳,Frisell:61歳,そして一番若いBaron:57歳で,平均年齢ほぼ70歳っていうのは半端ではない。歳は取っても創造力は衰えないってことだろうか。私は「恐るべき老人たち」と改題したいぐらいである。

Birdlandのライブが出た時に,私は「やっているのはスタンダードなのだが,それはあくまでもモチーフに過ぎないのである。そこからいかに自由に展開するかというところに,この音楽の本質があるように思える。」なんて書いているが,それはほとんどこの作品にも当てはまると言ってよいように思える。その中でKonitzとFrisellがユニゾンを聞かせる部分もあるので,アレンジをされている部分もあろうが,ほとんどはメンバー同士の自然発生的な対応により演奏は行われているものと推察する。コード進行らしいところは感じさせつつも,一般のスタンダード演奏だと思うとこれは痛い目に会うかもしれないので,経験値の浅いリスナーは要注意である。少なくともKonitzに素のメロディ・ラインを吹く気はないようにすら感じさせるのは相変わらずって感じである。

しかし,こうしたメンツがBlue Noteのようなクラブに出演してしまうところがある意味では凄いが,どういう客層だったのかが非常に興味深い。Gatewayが出た時も一体どういう客層?って思ったのも懐かしいが,正直言ってBlue Noteっぽくないミュージシャン,そして演奏である。ここに観光客たちが集っていたら???となること間違いなしであっただろう。ある程度耳の肥えたリスナーが揃っていたと思いたいが,実際はどうだったのかねぇ。拍手を聞いている限り相応に盛り上がっているように思えるが...。

そうした中で,Konitzが我が道を往くって感じなのに対し,Bill FrisellはKonitzほど崩しの世界には入っていないところが,年齢差ゆえか。FrisellはFrisellで相当のスタイリストだと思うが,そのFrisellでさえがまともに聞こえてしまうところがKonitzの超越ぶりを示していると感じざるをえない。ということで,85歳になってこんな演奏をしている怪物Konitzへの評価も含めて星★★★★。高揚感やハード・ドライヴィングという概念からは遠くても,これはこれで立派なジャズである。

ただねぇ,このジャケだけは何とかならんもんだったか...(苦笑)。

Recorded Live at Blue Note NYC on June 4 & 5, 2012

Personnel: Lee Konitz(as), Bill Frisell(b), Gary Peacock(b), Joey Baron(ds)

2012年10月 7日 (日)

Gato Barbieriはムード歌謡よりフリー・ジャズの方がまだいい

Confluence "Confluence" Gato Barbieri & Dollar Brand(Freedom)

Gato Barbieriのムード歌謡的な演奏を聞いていると,正直言って「下品」という表現しか思い浮かばない。よって,私はGato Barbieriのファンではないし,このブログでも彼のベスト盤にかなりのケチをつけた(記事はこちら)。だったら,聞かなきゃいいじゃんという話もあるが,私にとってはこういうサウンドと,それこそDon Cherryと"Complete Communion"をやっているGato Barbieriとがうまく結び付かないのである。テナーの音は一緒でも,やっている音楽が違い過ぎるのだ。どっちが本質なのよと言いたくなるところへ,中古盤屋をうろついていたら,Dollar Brandとのデュオ盤発見である。怖いもの見たさ(聞きたさ)ではないが,ついつい手を伸ばしてしまった。

聞いてびっくりというか,本作は完全なフリー・ジャズである。ベスト盤に聞かれるような音楽とは全く異なっていて,ますます私はGato Barbieriという人がわからなくなってしまった。どうしてこうも違う音楽を同じ人間が奏でられるのか,私には不思議で仕方がないというところだが,まぁそれはさておきである。全編に渡って,Gato Barbieriはフリーキーなトーンでウネウネと吹いており,そのバックで弾くDollar Brandのピアノはミニマル的なところもあったり,メロディアスな感覚もあったりでこれまたよくわからないのである。

しかし,これはある意味では正調フリー・ジャズとも言えるわけで,私にとってはGato Barbieriはこういう方がまだましだと思わせるものである。むしろ,前述の"Complete Communion"みたいだったら,私はこの人をもう少し高く評価していたかもしれない。路線変更はポピュラティの向上という点ではこの人には好影響があったとも言えるが,その一方で音楽としてのクリエイティビティは完全に低下したと思っているのは私だけではあるまい。それでも"Last Tango in Paris"だけは例外的に認めるが,やっぱりフリー路線の方が正解だと思う。ということで,このアルバムも一般人にとっては何のこっちゃ的なアルバムであるが,私はよくやるわと思いながら聞いていた。星★★★☆。

今回,私が購入したのはCD版であるが,このCDがもろにLP起こしの手抜きCDである。マスター・テープを探すこともなく,この程度の音で本作をリリースし,3,008円という値付けをした徳間ジャパンという会社は相当の恥知らずだと言っておこう。とにかくこれはひどい。LP起こしをするなら,せめてもう少しクォリティの高いLP盤を見つけるぐらいの努力をするのが筋だが,全くそうした取り組みをしていないスクラッチ・ノイズの連発には失笑を禁じ得なかった。

Recorded on March 16, 1968

Personnel: Gato Barbieri(ts), Dollar Brand(p, cello)

2012年10月 6日 (土)

濃い~メンツのDonny McCaslinの新作だが...

Donnymccaslincastingforgravity"Casting for Gravity" Donny McCaslin (Greenleaf)

Donny McCaslinと言えば,昨年NYCに出張した時にSmallsでAlex Sipiaginのグループでライブに接し,その実力に驚かされたのだが,この人のアルバムとなると悪くはないが若干印象が薄い気がする。だから,この人の前作"Perpetual Motion"も悪くないと思いつつ,このブログに記事もアップしなかった私である。

そのMcCaslinの新譜がDave DouglasのGreenleafレーベルからリリースされたのだが,今回の購入動機はメンツである。これを見ればエレクトリック・ファンク系の音がすることは間違いないという見立てである。それでもって出てきた音は予想通りのものだったが,ドラムスがMark Guilianaということだけで,かなり騒々しくなりそうなことは想像がつく。Mark Guilianaと言えば,Brad MehldauとMehlianaというデュオ・ユニットを組んだり,Wayne Krantzともデュオで演奏したことがある。つまり,デュオで彼らに負けないだけの手数,テクニックを繰り出す人だと考えられるからである。そして,それも全く予想通りなのである。

ある意味,全編に渡って同じように演奏されるとも言えるため,騒々しくても時として平板な印象を与えるのは惜しい気もする。特にそうした印象を与えるのが叩き過ぎのMark Guilianaであることには苦笑を禁じ得ないが,こうした音楽としては相応の水準を保っているので,この手の音楽好きには気に入るものとなるだろう。このうるささはJohn McLaughlinの"Floating Point"に近いものを感じるが,あれよりはこっちの方が好きとは言え,私みたいなリスナーには胸焼けしそうな音楽とも言える。よって,時折挿入されるスローな曲で一息ついている感じなのである。

もう一つの問題を挙げておけば,McCaslinの書くオリジナルが今一つ魅力に欠けるという点である。どれも似通った印象なのは演奏,アレンジメントによる部分もあるだろうが,それにしてもなぁって感じである。本作のプロデューサーはDavid Binneyなのだ,彼のアルバムが今ひとつ面白みにかけるのと似たところを感じてしまう。

だが,彼らの名誉のために言っておけば,演奏は人の耳をそばだたせる要素はあると思う。だからこそ惜しいと言えるような作品なのである。もう少しプロダクションを工夫すればもっといい作品になったのではないかと思える。私としてはMcCaslinはリーダーとしてよりも,ソロイストとしていい仕事をするのかなってところである。星★★★。ちなみに本作で最もカッコいいのはリーダーには悪いがJason Lindnerである(笑)。

Recorded in May 2012

Personnel: Donny McCaslin(ts), Jason Lindner(p, el-p, synth), Tim Lefebvre(b), Mark Guiliana(ds), David Binney(vo, synth)

2012年10月 5日 (金)

亡きGary MooreによるJimi Hendrix集

Gary_moore_blues_for_jimi "Blues for Jimi" Gary Moore(Eagle)

ロックをプレイするギタリストであれば(ロックに限った話ではないかもしれないが...),多かれ少なかれJimi Hendrixにはシンパシーを感じる部分があるはずである。よって,Jimi Hendrixのトリビュートと言えば,多くの豪華ミュージシャンが集まったり,単独でもいろんな人がやっている。ジャズ界ではFrancis Lockwoodの"Jimi's Colors"なんてのもあった。

しかし,今回は主役が亡きGary Mooreである。おぉっ,これは聞きたいと思うのが人情だろう。Gary Mooreが亡くなってもう1年半以上が経過したが,こうして生前の演奏,しかもジミヘンのカヴァーが聞けるってのはありがたい。この作品は,元々ジミヘンのモンタレーのライブDVD発売記念イベントでのものらしいのだが,それでGary Mooreが出てきてしまうところがある意味凄い。しかも後半ではジミヘンと共演したBilly CoxとMitch Mitchellまで出って来てしまうのだから驚きである。

そして演奏は,ジミヘンへのシンパシーを十分に感じさせながら,非常に激しい演奏が楽しめる。ここで聞けるのはGary Mooreの素晴らしいギターの技であり,こういう演奏を聞いていると本当に早逝が惜しまれると改めて思った私である。

そうは言ってもトリビュートはトリビュートに過ぎないわけだから,本家を上回れる訳はない。それは当然である。しかし,凡百のミュージシャンがやるのではなく,これはGary Mooreなのだ。その事実こそが重要だと思えばよいと思う。何せこの気合の入り方である。後期はブルーズを中心に演奏するようになっていたGary Mooreだが,ここでの演奏を十分にロックなアルバムとして楽しめるから心配ない。こういうのを聞くと,"Rockin' Every Night"や"Corridors of Power"のようなMooreのロック・アルバムをすぐにでも聞きたくなってしまうと思わせるに十分なアルバムである。星★★★★。

ちなみに映像版も出ているようだが,私はこの音だけで十分楽しんだ。ただ,"Voodoo Child"では歯で弾いているからそれだけはちょいと見てみたいなぁと思ってしまった(笑)。その映像は見ていないが,この時の"Purple Haze"の映像があったので貼り付けておこう。う~む,やっぱりロックだ。

Recorded Live at the London Hippodrome on October 25, 2007

Personnel: Gary Moore(g, vo), Dave Bronze(b), Darrin Mooney(ds), Billy Cox(b, vo), Mitch Mitchell(ds)

2012年10月 4日 (木)

次から次へと新譜が来てしまい,記事のアップが追いつかない

今日こそはBob Dylanについて書こうと思ったのだが,まだ機は熟していないと感じるので,またも先送りである。

で,今日は何を書こうかと思いつつ,次々とデリバリーされる新譜を前に,どれから聞けばいいのかよくわからない状態である。ちなみにECMの新譜はまだ私のところに届いていないし,ほかにも発送待ちのアルバムは多数である。Rickie Lee Jones,Lee Ritenour,Fourplay,Meshell Ndegeocello等がこれから届くし,手許にはありながら聞けていないGary Moore,Bettye Lavette,Dave Douglas...。う~む,これはまずい。これ以外にも中古でいろいろ買ってしまうものだから,もう際限がないのである。

Schiff そんな中,今日聞いていたのがAndras Schiffによる平均律である。SchiffはDeccaでバッハを吹き込んでいるが,昨今はECMでの再録音を行っており,これもその一環である。平均律なんてRichterを聴いてりゃいいじゃんという話もあるが,Deccaの箱物も持っていながらSchiffはついつい買ってしまうのである。何せ4枚組だから,第1巻を聴き終えて,第2巻の途中までしか聞いていないので,まだ記事としては書けないが,平均律を聴きながらの通勤だったので,結構落ち着いた気分で楽しんでしまった。追ってこれも記事にせねば。

Deacon_blue まぁ秋は音楽シーズンだから,続々と新譜が届けられるのは嬉しいのだが,本当に聴いている時間がないって感じである。そんなことを言っていると,今度はDeacon Blueの11年振りの新譜が出てしまったりと,欲望は尽きない私である。本当に次は何を書けばいいのやら...。Bob Dylanの出番はもう少し後になるかもしれないなぁ(苦笑)。

2012年10月 3日 (水)

今日はBob Dylanについて書こうと思っていたのだが...

昨日ブログの記事のアップをほぼさぼるようなかたちになっていたので,今日こそは記事をアップしようと思っていた。そのターゲットはBob Dylanの新譜"Tempest"であり,少なくとも一日の移動の道すがらで3回は聴いたのだが,また今日も飲みすぎて記事を書けそうにない私である。

だが,そんな私でも,本作は派手さは全くないとしても,とても71歳の老人が作る音楽ではないことは間違いのない事実だと言い切る自信がある。レベルが高過ぎるのである。21世紀になってからのDylanのアルバムは,決してロックではないかもしれないが,それぞれに味わいの深いものであるとともに,私はもはや文学だとさえ言いたくなるほどの感覚がある。だからこそ,その詞に込められた意味を把握するためには何度でもアルバムを聞く必要があることは仕方がないが,本作もまじで滋味に富みながら,言葉の意味を確かめたくなるような作品であることは間違いがない。

記事はまた改めて明日以降アップするつもりだが,とにかくBob Dylan,71歳,恐るべき老人である。Leonard Cohenは新作アルバムを聞いてもうよいよいではないかと感じたが,Dylanは完全現役である。一体この人,何を食って生きているのやら...と別の次元での関心を抱いた私である(笑)。

2012年10月 2日 (火)

今日はお休みです。

世の中は下期の期初につき,いろいろ会社のイベントも重なり,今日は記事を書くのは無理ってことで,今日はおやすみです。

というよりも,とある方のコメントへの返信で力をつか果たしたって感じかなぁ(笑)。明日は記事を書けるかと言われるとそれも不安だが,とにかく今日はお休みです。

2012年10月 1日 (月)

ライブでの違和感を完全に払拭したBrad Mehldauの新作

Mehldautriowheredoyoustart "Where Do You Start" Brad Mehldau Trio(Nonesuch)

本作はリリースが遅れていて,店頭にはまだ並んでいないようだが,私のところには結構早く到着し,何度か聴いてみて,ようやく記事のアップである。

私は今年の7月にMehldauのトリオが来日し,サントリー・ホールでのライブを行った際,喜び勇んで参戦した割に,違和感を覚えながら帰途につくことになったのはこのブログでもご報告の通りである(記事はこちら)。そこにも「どうもメリハリや,ライブらしいダイナミズムを強く感じることができないと思えた」と書いているが,このアルバムにおいては,メリハリという点では何の問題もなく,ライブの時と2曲かぶっているものの,ずっとこちらの演奏の方がよく感じてしまう私である。思うにサントリー・ホールというのは彼らにはどうもフィットしていないから,ああいう風になるのではないかと感じられてしまう。クラブで聞けば,やはり印象は違ったはずである。まぁ,そうは言いながら,ロンドンではBarbicanのようなところでもやっているわけなので,日本ならばサントリー・ホールというヴェニューは仕方ないのかもしれない。だが,やっぱり納得がいっていないのは今でも変わらない。それに比べると,選曲によるアルバムの構成自体はこちらの方が優れていると思うリスナーは多いのではないだろうか。

このアルバムそのものは先にリリースされた"Ode"の姉妹編と考えるべきものであることは,録音日が全く同じであることからも明白である。違いは"Ode"がMehldauのオリジナルで占められていたのに対し,こちらは1曲を除いてカヴァー曲であることである。それもロック/ポピュラー系が多数を占めるのが特徴的である。日本でも演奏したSufjan Stevensに加え,Alice in ChainsやElvis Costelloまでもが入っているのがMehldauらしいと思えるが,本当にカヴァレッジの広い人だと言いたくなる。こういうところが音楽に対して雑食性を持つ私のようなリスナーを刺激するという部分があることは間違いない事実である。

そして,Mehldauがそうしたポピュラー曲を演奏する時,彼はそこに内在する曲の美しさを見事なまでにあぶり出す能力を示すというところが素晴らしい。"Ode"でも明らかな通り,Mehldauのオリジナルもいいものが多いが,私はやはりMehldauにはこういうかたちで,いろいろな他人の「優れてはいても,誰もが知るわけでない」曲に対する解釈を提示して欲しいと思ってしまう。Alice in ChainsやSufjan Stevensなんてジャズ原理主義者にとっては名前も存在も知られていないはずだが,Mehldauの解釈により,そうした音楽への認知度が広がりを示すならば,それはそれで間違いなく意味があるはずなのだ。そういう意味でも私は"Ode"よりもこちらを更に推したくなってしまうのである。そして,2曲加わるブラジル系(Chico BuarqueとToninho Horta)の曲と演奏の素晴らしさよ。こういう目配りも素晴らしいと思う。

私が一通り聴いている中ではJimi Hendrixで最も知られるであろう"Hey Joe"のフォーク・ロック的なタッチにKeith Jarrett的なものを強く感じていたのであるが,何度も聴いていると,それよりもElvis Costelloの"Baby Plays Around"やJohnny Mandelが書いたタイトル・トラックの美的な感覚に痺れていった私である。先日アップしたFred Herschといい,Mehldauといい,Johnny Mandelの曲が何とも似合うと思うのは私だけではあるまい。

それに加え,ここで展開される典型的ジャズ曲である"Brownie Speaks"や"Airegin"を聞いて,ジャズ・ピアニストたるMehldauの魅力を否定する人はいるまい。特に"Airegin"がいいねぇ。"Brownie Speaks"は悪くないが,曲想がMehldauにはちょっと合わないかなぁと思わせる。それでも,東京のライブで私がずっこけそうになった"Cheryl"と大違いである。特に"Airegin"ここでのアドリブの聞いてしまえば,間違いなく普通のジャズ・ファンなら反応を示すはずである。

本作はMehldauによるセルフ・プロデュースであるが,"Ode"と2枚組にするとやや冗長に聞こえたかも知れないし,どういう曲の並びにすればいいのかというのも悩ましいところであり,2枚を分売したことは正解だったように思える。いずれにしても,長いこと待たされたMehldauのトリオ作を1年で2枚も聞けると思わなかったが,2作ともに,ファンも,そうでないリスナーも納得しうる作品となったことは素晴らしい。特に私はこちらの方を評価するということで,星★★★★★としてしまおう。いつもながら私はMehldauに甘い?それはファンですからってことで(笑)。

Recorded on November 17, 2008 & April 19, 2011

Personnel: Brad Mehldau(p), Larry Grenadier(b), Jeff Ballard(ds)

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