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2012年10月23日 (火)

これは素晴らしい:Fred Hersch渾身のライブ盤

Fred_hersch_trio_vanguard "Alive At The Vanguard" Fred Hersch Trio (Palmetto)

アップするのに非常に時間が掛かってしまったが,Fred HerschのトリオによるVillage Vanguardにおける2枚組ライブ盤である。Fred Herschと言えば「病魔と闘う」というイメージが強く,タッチそのものも力強さというよりも,リリシズムとか繊細さという感覚が勝る人であろうと思っている。特に生死の境をさまよった云々の逸話が聞こえてくると,更にそうした感覚が強くなるのが人情である。

しかし,このアルバムを聴いて驚かされるのが,そのHerschに非常に力強さが戻っていることである。Herschの前作は同じくVanguardにおけるソロ・ライブであった(記事はこちら)が,それはそれで優れたものと思えたが,今回のトリオ・セッティングにおいてはヴァイタルささえ感じさせる演奏となっているのである。これには本当に驚いた。

だからと言って,力強さだけの一本調子かと言えば,決してそんなことはなく,Herschのよさはちゃんと示されている。タッチが私が思うよりも強力なだけで,フレージングはまごうことなきHerschである。

そしてチャレンジする姿勢も示しており,Ornetteの"Lonely Woman"とBill Evansの"Nardis"をつなげるという普通では考えられない試みも行いながら,この2曲の持つ美しさの同質性をあぶり出しているのは見事としか言いようがない。"Lonely Woman"は多くのミュージシャンに取り上げられる名曲ではあるが,それでもOrnetteのという枕詞がついてしまうことは避けられない。それを"Nardis"と結びつけたのはHerschが最初であろうが,これが全然違和感がないのである。こうしたところにもHerschの洞察の深さが表れているように思える。そして素晴らしい"From This Moment On"のような演奏を聴いて,私はため息さえもらしてしまった。

いずれにしても,2枚組,2時間弱の長丁場ながら,どこから聴いても楽しめてしまうという非常に優れたライブ盤。レギュラー・トリオの緊密度も上がり,これは今後の活動にも期待できる。是非,健康には留意して,今後とも出来る限りの創造力を発揮してもらいたいと願わずにおれない傑作。いずれにしても本年屈指のピアノ・トリオ・アルバムの一つになろう。星★★★★★。

Recorded Live at the Village Vanguard on February 7-12, 2012

Personnel: Fred Hersch(p), John Hébert(b), Eric McPherson(ds)

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コメント

こんばんは。

これは、真っ当、すごい、アルバムでした。
2枚組って、苦手なんですが、あっという間でした。
ライブで、まっこと聴いてみたいなぁ、、と、思いました。
☆彡五つもなっとくでございます。

だから、歌って。(笑)

音楽狂さん、こんにちはmonakaです。
ハーシュのことをみんなで心配しながら聞いてきたので、今度のアルバムは驚きと喜びが詰まった素晴らしいアルバムになりましたね。
演奏自体も気迫と喜びがこもった凄い演奏だと思います。
これだけげんきですから、ハーシュの幅の広さをこれからも見せて欲しいと思います。

TBありがとうございました。

すずっくさん,こんばんは。TBありがとうございます。

ところで,「だから、歌って。(笑)」って何をでしょう...?

それはさておき,このアルバムの素晴らしさは皆さんもよくおわかりだと思いますが,それを更に広めるということが必要なようにも感じます。しかし,Herschがここまで元気な様子なら,再来日も期待したいですよねぇ。次はクラブで聴きたいものです。

monakaさん,こんばんは。TBありがとうございます。

ここでのHerschの元気さはまさに「嬉しい誤算」と言う感じでもあるわけですが,これは本当に素晴らしい作品だと思います。私としては,欧州に楽旅できるなら,是非日本にもと思わざるをえません。このトリオで聴いてみたいですよねぇ。

この調子なら,暫くは彼の健康状態は安泰であると期待しつつ,またあの美しいピアノの響きを我々にも生で聞かせてくれることを願ってやみません。

> 2枚組,2時間弱の長丁場ながら,どこから聴いても楽しめてしまう
という内容
肩肘張らず、だけど渾身を感じさせる演奏というか、良い塩梅の良い演奏を楽しませてもらいました。

TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。

oza。さん,こんばんは。TBありがとうございます。

これは本当にびっくりさせられた作品です。Herschがこんなに元気とは...って感じでしたが,それはそれで非常にめでたいことです。この調子でもっとやってくれい,来日してくれいと思っているのはきっと私だけはないと思います。

TBありがとうございます。ソロの演奏も、Fred Herschの美学が透徹された感じで素晴らしいと思いましたが、トリオになるとそれに躍動感が加わって別の魅力がありますね。ライブでも味わっておられるようで羨ましいです。当方からもTBさせて下さい。

1irvingplaceさん,こんばんは。TBありがとうございます。

Herschは生死の境をさまよったとは思えない復活ぶりで,本当に素晴らしい演奏を連発してくれています。全く彼の音楽を理解していないVenusレーベルからの作品は別にして,ほとんどはずれはないと言ってもいいでしょう。その中でもこのトリオ盤は非常に優れたアルバムの一つだと思います。次回はこのトリオできっと来てくれると期待しています。

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