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2012年7月10日 (火)

Material:懐かしいねぇ。これが先鋭的と言われてから30年以上...。

Memory_serves "Memory Serves" Material (Celluloid)

懐かしい音源である。そして突然のMaterialである。先日,中古盤屋をうろついていたら,本作と,これまた懐かしやGolden Palominosのアルバムを発見し,ついつい懐かしくて購入してしまったための本ブログへの登場である。

私が大学在学中,突如としてパンク・ジャズとか,ノー・ウェイブとか訳のわからないムーブメントがジャズ界(あるいはロック界)に起こったのだが,その頃,特にアバンギャルド系のロックを聞いていた人たちにも注目されたのがこのMaterialであった。一方,コンベンショナルなジャズ・ファンからは完全に無視されるか,徹底的に白眼視されたと言ってもいいだろう。

メンツを見れば,とんがった音が聞こえてくるであろうことは今だから言えるのだが,これが出た当時なんてのは一体これは何じゃ?という感覚が強かった。それでもこれはフリー/アバンギャルドというよりもファンク・ミュージックなので,決して聞き辛い音楽だとは思わない。この程度なら正直言って今の耳ならば先鋭的でも何でもなくなってきているところに時の流れを感じざるをえない。

ある意味,これはファンクとフリー・ジャズの境界線を行くようなものだから,70年代Miles Davisのバンドと同質性がないわけではないが,聞こえてくる音楽はMilesほどハイブラウではない。どちらかと言えば踊れてしまう音楽であって,Milesよりはずっと軽い。こうした音楽が何を契機に現れたのかは私としては知る由もないが,ここにも参加しているFred FrithとLaswellのやったMasaccreのようなバンドもあったので,ロフト・ジャズとも同様に,特定のミュージシャンのコミュニティの中で同時多発的もしくは自然発生的に生まれたものだろう。いずれにしても,こういう音が一番似合うのはNYCって感じがする。

これが時代の先端の音楽だったかどうかについては議論の余地はあるとは思うが,その後,Materialのコア・メンバーであるLaswell,Beinhorn,Maherはプロデューサーとしても活躍していくので,そうだったのだと評価してもよいようには思える。何より驚いたのはFred Maherの名前をScirtti Polittiのアルバムにおいて見つけた時だったが,その後,MaherはMatthew Sweetの傑作アルバム"Girlfriend"をSweetと共同プロデュースするに至って,この3人の中で私の嗜好と最も合致していたのはMaherだと思ってしまったのであった。とにかく,Maherの場合,ここでの音楽とのギャップが大き過ぎて笑えるのだが,彼はさっさとMaterialは脱退したはずだからさもありなんて気もする。

いずれにしても,これを時代の徒花と言うのは簡単だろうが,一方のLaswellとBeinhornはHerbie Hancockの"Future Shock"(特に"Rockit")にも関わっていくことを考えれば,やはりその後のジャズ界にもある程度の影響を残したと言ってもよい。もちろん,それは"Future Shock"をどの程度評価するかというところにもよるが,ジャズ界のすそ野は間違いなく広げたはずである。

よって,本作は音楽だけで評価するよりも,その他の要素も含めてより総体的に評価するべきで,そうした点を鑑み星★★★★としておく。繰り返すが,これは基本はファンク・ミュージックであり,ジャズの概念だけで捉えるべきではないと思う。

Personnel: Bill Laswell(b), Michael Beinhorn(key, vo, g, ds), Fred Maher(ds, perc, g), Sonny Sharock(g), Fred Frith(g, vln, xylophone), Olu Dara(cor), Henry Threadgill(as), George Lewis(tb), Billy Bang(vln), Charles K. Noyes(ds, perc)

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コメント

たびたびの書き込みすみません。
これは懐かしい.同世代ですからね。
このあとのアルバム含め,随分と揃えました.
当時のSJ誌の輸入盤レビューではコアメンバー(Bill Laswell, Michael Beinhorn, Fred Maher)のアルバムと認識されず,ホーン陣のパンク・ジャズだと勘違いしていたのが懐かしい.デファンクトと同じような黒人系のムーヴメントと思われたようでした.

kenさん,続けてこんばんは。さすが同世代。反応するところが違う(笑)!

当時のレビューってのは記憶にないですが,情報が少ない中でそういう風にしか書けなかったと好意的に解釈してあげましょう。

しかし,これだけインターネットで情報が取れるようになると,プロの評論家って本当に成り立つのかって思います。持ってる情報量は変わりませんし,むしろブロガーのネットワークの方が競争とかがない分,自由に情報が流通しますし,情報収集力だけならいくらでも優れた人はいますから。

こういう状態ですから,本人は何と言うかわかりませんが後藤某はもう終わりでしょうね。後藤某は何と言うかわかりませんが,本当の強みを持つ評論家って誰なのよって改めて考えてしまいますね。まぁ,彼ではないですが。

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