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2012年7月23日 (月)

33年の眠りから覚めた"Sleeper"は超弩級の傑作

Sleeper "Sleeper" Keith Jarrett / Jan Garbarek / Palle Danilsson / Jon Christensen(ECM)

音楽を聞いていると,一瞬にしてその音楽の凄みがわかってしまうことがあるが,このアルバムがまさにそんな感じである。1979年に録音されていた音源が,33年の眠りからさめて,世間のリスナーを驚かせるから"Sleeper"というタイトルなのかと思いたくもなる,これこそ超弩級の音源である。とにかくこれは強烈である。

今や,Keith Jarrettがこうした音楽に改めて取り組むことはないであろうという諦念のようなものがこちらにもあるのだが,1979年の段階でこんな演奏をやってしまっては,本人たちにもやり尽くしたという感覚があるのかもしれない。そもそも,この時の来日時の演奏は1989年に"Personal Mountains"としてその一部が既に公開されているが,それはそれで優れた演奏であったとは思えるものの,まだこんなのが残っていたというのがそもそも信じられない。1曲あたりの演奏時間が"Personal Mountains"の方がだいぶ短かったことからすると,あちらは編集が加えられていたかもしれないが,今回の"Sleeper"はおそらくは当日の演奏の模様をほぼ無編集で捉えたものと考えてよさそうである。

それがこのような演奏だったということがまさに信じ難いのだが,美感,テンション,スリル,その他諸々の観点から言っても,本作はこのクァルテットとしてのライブである"Personal Mountains"も"Nude Ants"も完全に凌駕していると言って間違いないように思う。本当にびっくりしてしまうぐらいの出来なのだ。

私は,この当時はジャズを聞き始めてからまだ日が浅く,年齢も年齢だっただけにライブに足を運ぶようなことはなかったわけだが,その一方でこんな演奏が日本において行われていたということは,今の私にとっては残念なことである。Bernstein/IPOによるマーラー9番のライブを聞き逃したことと同じぐらいの後悔の念をおぼえ,かつ衝撃を受けてしまったと言っても過言ではない。それほどこのライブは素晴らしい。

こと細かく比較したわけではないので,"Personal Mountains"と演奏がかぶっているのかはわからないが,ECMのサイトには完全未発表とあるから,そこに偽りはあるまい。ということで,これが完全初発音源だったとすれば,なぜ,このような音楽も長い眠りにつかなければならなかったのかと逆に疑問に思わざるをえないような至高のライブ盤と言ってよい。この演奏を聞いて,何の感銘を受けられないならば,Keithとはどうやっても付き合うことは不可能だと言い切ってしまおう。数あるKeithのライブ盤の中でも確実に上位に入る素晴らしい演奏である。星★★★★★以外はありえない。

こんなアルバムを出されてしまっては,どんなジャズ・アルバムが出てきてもこれを上回ることは,少なくとも今年中には難しいだろうと言いたくなるような作品である。いずれにしても,私としては本作がKeithのヨーロピアン・クァルテットの最高作と位置付けたいと思う。繰り返す。凄い。そして素晴らしい。こんな演奏は滅多に聞けるものではない。私はこの日,その場にいた人に強烈なジェラシーを感じてしまう。ギャグではなく,彼らのスリーパーホールドに落とされた気分だが,これなら大歓迎だ。

Recorded Live at 中野サンプラザ on April 16, 1979

Personnel: Keith Jarrett(p, perc), Jan Garbarek(ts, ss, fl, perc), Palle Danielsson(b), Jon Christensen(ds, perc)

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コメント

実に30年以上ぶりに、ECMとしては珍しい旧録音の発表ですが、テリエ・リピダルのBOXセットにも’70年代の未発表録音がCD1枚分入っていたこともあって、今後もこういう演奏、出てくる可能性ありですね。

また、Personal Mountainsとテイクがダブってない(完全未発表)とECMのサイトに書いてあるなら、Personal Mountainsの国内盤ライナーの文章に書いてあることが違っている可能性がありますね(あるいはそちらは17日の録音分かも)。

何にせよ、素晴らしい1枚です。

TBさせていただきます。

こんばんは。
メセニーのアルバムに続いて みなさまの話題になりそうなアルバムですね。

ヤン・ガルバレクとのクァルテット。
『My Song』も いいアルバムでしたので こちらも良さそうですね♪

910さん,こんばんは。返事が遅くなりました。TBありがとうございます。

Terjeのは私にはまだデリバリーされていませんが,いずれにしてもこういう音源のクォリティなら誰も文句は言わないと思います。素晴らしいです。

とにかく,このクァルテットがこれほど凄いバンドだったということがひしひしと感じられる傑作だったと思います。最高です。

Marlinさん,こんばんは。返事が遅くなりました。

彼らのアルバムはどれもレベルは高いとは思いますが,その中でもこれは一番強烈な印象を与えてくれました。是非一度お聞きになることをお勧めしたい傑作ですよ。

私も「随分旧い音源だけど、まぁKeithだしな」という中途半端な期待で聴いたところ、聴いてびっくりという感じでした。30年以上もリリースされなかったのが不思議な位ですね。いずれにせよ聴けて良かったです。という訳で当方からもTBさせて頂きます。

1irvingplaceさん,続けてこんにちは。こちらもTBありがとうございます。

本当にこのアルバムは想像以上の出来で,びっくりしましたが,まだまだこういうのが隠れているってことだと思います。どんどん出せよ,Eicherと言いたくなってしまいます。

とても30年以上前の作品とは思えない、古さを感じさせない音楽でした。
正直言いましてKeith Jarrettの古い作品に対してあまり思い入れのあるほうではないのですが、この作品は圧巻でした。
あらためて、Keith Jarrettの凄さを認識した感じです。

TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。

oza。さん,こんばんは。TBありがとうございます。

本作の出来は"Personal Mountains"を軽く凌駕していると思ってしまうぐらいの衝撃でした。彼らにとって,この時の日本公演がピークだったのかもしれないなんて思わせるような出来ですよね。これを生で聞けた人は本当に幸せです。羨望...。

遅ればせながら購入しました。
今のキースが失ってしまったものがありますね。
ビル・エバンスの発掘盤はそろそろ掘り尽くしてきた感がありますが、キースは死後百年くらいは毎年出せそうな感じがあります。
ところで、スリーパーってなんぞやとランダムハウスを引いてみると
5、思いがけなく成功する人、予想外に当たったもの、掘り出し物 とありますね。
6、売れ行きの遅い(悪い)商品 てのも。

mmmさん,こんばんは。返事が遅くなりました。今のKeithが失ったものというのはそうかもしれませんね。

Keithも結構ブート音源が出てますから,それを上回る録音をEicherはしているものと思います。それにしてもSleeperっていろいろ意味があるんですねぇ。勉強になりました。でもここは素直な解釈でいいかなぁって気がします。

遅くなってしまいましたが、タイムスリップしてライブに行ってきました。(笑)

パーソナルマウンテンズと随分曲名かぶっているのと、キースずるいぞ、って、気持ちもちょっとあって、、買うのためらったんですが、これは買ってよかったです。

こんなありとあらゆる揺さぶりかけられたら、ライブ中に失神ですわ。
そのまま、Sleeper。。

しかし、パレダニエルソンのベースよかったなぁ。
ヨンクリも美しいシンバル音で、北欧の人だよなぁ、って、つくづく思ったです。
リユニオンを望む声が沢山あるけど、、どうなん。。
夢から覚める事になったりして。

すずっくさん,こんばんは。TBありがとうございます。私は出張続きでヘロヘロで,あっという間にSleeperになりそうです(笑)。

このアルバムはジャズというフィールドにおいては私の中では今年ナンバー1という評価はゆるぎそうにありません。それぐらい興奮し,感銘を受けました。今,彼らが再編したとしてもどうなるかは想像できません。しかし,これを凌駕するのは厳しいでしょうね。それぐらいのクォリティはあると思います。こんなもんを未発表にしておいたEicherもKeithも罪作りな人たちですわ。

東京に戻りましたら追ってTBさせて頂きます。

はじめまして。
以前からのヨーロピアン・カルテットのファンのものです。
スリーパーを検索していて、こちらに辿り着きました。
コメントを読ませていただき、自分と同じ気持ちを持って
いらっしゃる事が嬉しくて投稿させて頂きます。

私は、アルバム「My Song」の冒頭にある、「Questar」
という曲が大好きで、これを毎日聴き続けている間は
ほかのミュージシャンの演奏はまったく聴く気になれなか
ったほどでした。この曲は、テーマのメロディから、コード
進行から、キース、ヤン両名のソロに至まで、徹底的に
好きで、すべて口ずさめるほどでしたが・・・さてさて、
このスリーパーに出会って、購入してからは、毎日、
身体中が震えるほどの、感動の毎日を送っています。

特に、Quester にも甲乙つけがたい So Tender の素晴らしさ
には、完全に参ってしまいました。ほとんど、毎日聴きっ放し
状態で、仕事も手に付きませんし、ほかの今まで聴いていた
アーチストのアルバムなど、全く聴く気にならなくなって
しまいました。

So Tender, Prism, New Dance の3曲は、繰り返し飽きる事なく
聴き続けています。本当にキースには感謝しています。
出来れば、ECM に、まだまだ眠っている音源があれば、
どんどんリリースして欲しいです。

Prism は曲の構成やメロディも素晴らしくて、キースのオリジナル
の中では、大のお気に入りです。ゲイリーとジャックとの
トリオで演奏しているバージョンがチェンジズに収録されて
いますが、スリーパーのバージョンと交互に聴くと、とても
楽しいので、是非、お試し下さい。

arizoonaさん,はじめまして。コメントありがとうございます。また,返事が遅くなりまして申し訳ありません。

ヨーロピアン・クァルテットは今にして思えば夢のようなメンツですが,時代が合わず,私自身彼らの生を見られなかったことは誠に残念と痛感させられるような演奏だと思います。

こんな音源がまだまだ眠っている可能性はあると思いますので,Eicherにはもっと蔵出しをして欲しいものです。"Prysm"はiPodで試してみます。

ともあれ,引き続きよろしくお願いします。

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