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2012年7月 8日 (日)

中年音楽狂が一肌脱ぐシリーズ(第16回):もはや異端ではないECMレーベルから

Facing_you "Facing You" Keith Jarrett(ECM)

「お店に並んでいそうでジャズをこれから聴いてみようかなぁという人にお薦めというのがありましたらご紹介ください。」というリクエストにお応えするという趣旨のこのシリーズであるが,前回から随分間が空いてしまった。そもそもこのリクエストを下さったMarlinさんもジャズ経験値が上がってきて,このシリーズももう必要ないかもなぁなんて感じているのも事実である。よって,今回記事をアップしても,次回まで随分と間が空いてしまうかもしれないし,自然消滅するかもしれないが,そこはまぁいいかってことでの今回の記事である。

今回のテーマは,ジャズ界においては,決してコンベンショナルではないし,メインストリームでもないが,どうしても無視することができないレーベルとしてのECMである。そのECMレーベルの作品として取り上げるのが今回の"Facing You"である。

Keithの作品を取り上げるのであれば,ソロであればこれでなくてもいいという気もするし,ソロ以外の編成でもいいようにも思える。ECMには「ケルン」という超人気盤があるから,そっちだっていいのだが,もうこのブログでは記事にしてしまった(かなり古いが記事はこちら)。また,もっとECMらしさを感じさせる作品はほかにもあるのだが,KeithのECMレーベルにおけるキャリアのスタートとなったという点でもこのアルバムにしてしまおう。

そもそもこのアルバムが吹き込まれた頃はKeithはMilesのバンドに在団中であった。その欧州楽旅の間隙をぬって短時間でレコーディングされた作品である。それまでもピアノ・ソロの演奏はあったとしても,完全即興でライブに挑むというのはKeithが最初だろうと考えてもいいわけだが,その端緒となったという点でこの作品は重要なのである。

後の作品とは異なり,1曲当たりの演奏時間もそれほど長くはないし,タイトルもちゃんと付いているから,これが完全即興かどうかについては議論もあろうが,いずれにしてもこれがKeithの初ピアノ・ソロ作品だという点を考えれば,本作の重要性も理解できるというものである。

現在のKeithとは異なり,まだまだゴスペルやフォーク的なタッチが濃厚に見られるところに時代を感じさせるが,"Solo Concerts"もそういうところはまだあったよなぁなんて思い出してしまう私である(今でもKeithにそういうところはないわけではないが...)。振り返ってみれば,録音からは40年以上経過しているのだから,Keithのスタイルに変化があるのは当然としても,この頃はまだまだ瑞々しいって感じがする。巨匠とは異なるスタンスで,いかにもチャレンジしたって感じがするのだ。だが,それでもその後のKeithを想起させるようなフレージングやタッチはこの段階で現れてきていたと言ってよいように思う。

Milesバンドでやっていた音楽と違い過ぎだろうという話もあるが,どちらもがKeithの本質なのだろう。そうしたことを考えるとこの人の頭の中はよくわからないってことになるが,それでもこの音楽を否定できるリスナーはそうはいるまい。いずれにしても,やはりこれはその後のKeithを考える上で重要作であることは間違いなく,それはその後のジャズ界を考える上でも非常に重要な作品だったということになるだろう。それを考えればやはり星★★★★★である。

Recorded on November 10, 1971

Personnel: Keith Jarrett(p)

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コメント

こんにちは。
一肌シリーズ続けてくださってありがとうございます。

初級から やや中級かなっ と思ってみましたが やはりまだまだ でございます(^-^)

いろいろな方に お薦めを聞いて 新たな発見をしているところです。

キース・ジャレットは『JASMINE』が 初聴きですが 一度聴いて気に入ったくらい。 こちらも ぜひ聴いてみたいです。
キースは たくさんアルバムを出していますので 何から聴こうか いつも迷います。
安い再販シリーズは 手軽で良いので こちらもそのシリーズでありそうかな。
探してみます♪

キースが、お元気なうちに一度 生演奏を聴いてみたいです。

Marlinさん,こんばんは。最近,Marlinさんもいろいろな音源を聞かれているので,チョイスにも悩みますよね。

ECM音源も一部は廉価盤で出たように記憶していますが,これは出てたかなぁ...?いずれにしても,どれからお聞きになってもいいとは思うのですが,"Jasmine"以外でもKeithをお聞きになるなら,ECMが一番いいと思います。インパルス・レーベルなら「生と死の幻想」,アトランティック(ヴォルテックス)・レーベルなら「サムホェア・ビフォー」なら問題ないと思いますが,ECMの方が完成度は高くなります(好みの問題もありますが)。

ということで,次回はいつになることやら,と言うよりも何を選べばいいか難しくなりつつありますね。

これって、今となっては異色ですね。だから大切な1枚だと思うのです。ゴスペルやフォーク的なタッチが、ある意味、彼の身体性を感じさせる音だから、だと思うんです。トキとして、新興宗教の教祖のように、あの世に行っちゃう、昨今からすると。

kenさん,こんばんは。TBありがとうございます。返事が遅くなりました。

異色でも異端ではないというのが私の思いです。最近のKeithが失った(あるいは意図的に見せない)部分が感じられていいですね。

但し,自分もそうですが,若い時のことを言われると面映ゆい部分がKeithにもあるんだと思いたいですね

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» [ECM 1017] Keith Jarrett: Facing You (1971) 素朴なfolk songs [Kanazawa Jazz days]
きっと怒濤のようだった、に違いない1971年。このアルバムもオスロでの録音。当時、マイケル・ヘンダーソンを含むマイルス・バンドの一員(つまりファンク時代に突入)であったキースが吹き込んだはじめてのソロ・ピアノ。ソロ・ピアノ、と書いたのは、vortexでソロ・多...... [続きを読む]

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