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2012年6月15日 (金)

バンド・メンバーをフィーチャーしたくなるのもわかるTom Harrellの新作

Number_five "Number 5" Tom Harrell(High Note)

5月から6月に掛けての怒涛のようなミュージシャン来日ラッシュにあって,Tom Harrellもそこに含まれていたのだが,私はほかのライブとの天秤にかけざるを得ない状況の中で,彼らのバンドを見逃したのは残念だった。現在のTom Harrellのクインテットは非常に優秀なメンバーを集めており,バンドとしてのレベルが高いだけに今回も見ておきたかったのだが,私は以前,Vanguardで見たこともあったし,今回は若干優先順位を落とさざるをえなかったのである。

今回の来日は新作のリリースと相前後して行われたので,ここからの曲も演奏されたのではないかと思うのだが,本作はHarrellがバンド・メンバーの実力を世に更に知らしめたいという思いが込められているように感じてしまった。レギュラー・メンバーによるレコーディングが5作目ともなれば,多少のマンネリズムが発生することは致し方がない部分もあろうが,ここはHarrellは視野をメンバー全体に向けることによって,それを回避したと言ってもよいかもしれない。

まず,冒頭の"Blue 'n' Boogie"からHarrellとJohnathan Blakeのデュオでこれでびっくりさせるが,その後の展開がなかなか見事である。2曲目"Right as Rain"をしっとり聞かせて,バンド全体をフィーチャーするタイトル・トラック"Number 5"でスイング感抜群の演奏を聞かせる。このバンドにとっては全員が#1でありながら,#5としての役割も果たせると言っているかのようなドライブ感である。そして,"Journey to the Stars"ではGrissettの繊細なタッチを活かしたデュオを聞かせ,"GT"ではフリー一歩手前の雰囲気まで醸し出し,Miles60年代クインテットの雰囲気さえ感じさせる。そして,それに続く"Present"はGrissettのRhodesと相俟って,Harrellのリリカルなソロが炸裂と言った具合である。

続いて,スタンダード"Star Eyes"はHarrellの無伴奏ソロ,"Preludium"はピアノとドラムスが抜けたトリオで,Okegwoのベースをフィーチャーし,次はベース,ドラムスが抜けた"The Question"である。このトリオ編成の2曲は映画音楽に使いたくなるような楽想。そう,例えて言えば"Dirty Harry"あたりに使うと合いそうである。そして,ようやく"Melody in B-Flat"でクインテットに戻り軽快なサウンドを聞かせて,ラストの"A Blue Time"を再びHarrellの無伴奏で締めるという構成である。

こうした構成はよく言えば「変化に富む」が,悪く言えば「捉えどころがない」という印象を与えるところはあるものの,本作については演奏レベルの高さが,そうした「捉えどころのなさ」をカバーしていると言ってよいと思う。私としては演奏としては十分に楽しめる作品だと思うが,クインテットでの演奏はもう1~2曲あってもよかったなんて思っているのだから,リスナーなんてわがままなものである。それでも甘めだとしても星★★★★には値するとは思える作品。

こういう演奏を聞かされるとやっぱりこのバンドのレベルの高さを思い知らせれ,ライブに行っとけばよかったなんて思ってしまうが,後悔先に立たず。

Recorded on December 30, 2011

Personnel: Tom Harrell(tp, fl-h), Wayne Escoffery(ts), Danny Grissett(p, rhodes), Ugonna Okegwo(b), Johnathan Blake(ds)

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コメント

音楽狂さん、こんにちは。TBありがとうございます。
前作はある意味ぶっ飛んでしまった内容だったのでなかったことにしたとしても、これは今までの流れと違って"個"を打ち出そうとするハレルの意志が見て取れるような作品ですね。バントととてもさくっと軽くではなくカッチリとした演奏を次の作品は期待したいと思います。
TBさせていただきました。

とっつぁんさん,こんばんは。TBありがとうございます。

私としても,今回でチェンジ・オブ・ペースは完了したので,グループとしての表現を今一度突き詰めて欲しいなぁなんて思っています。我ながら勝手ですよねぇ...(笑)。

おはよございます。
毎日暑い日が続きますが、閣下はお元気ですな。
メルドーは微妙だったそですが、、羨ましくみてました。


今回のハレルさまの新譜は、ブルーのジャケットを見たときから、内心で期待してたんです。ハレルさまのすることにもんくはないのですが。。前作はブログにあげなかったんで。
ジャケットのイメージのような、、内省的で陰影のある作品で、登り調子のメンバーの各自の特徴をつかんだ構成で、流石!と思う反面。。次もあるのか心配になりました。
ハレルの独奏、ダニグリとのデュオ。。
そういったものにひかれつつ、バンドの息のあった演奏もニンマリしました。ハードバピシュな演奏でも派手なサウンドではなくヒートアップしてて好きだわ。

おたがいに歳ですので、ジャズで熱中症にならないよに。(笑)

すずっくさん,こんにちは。TBありがとうございます。

私は夏風邪をひいてしまいまして,かなり不調です。サントリー・ホールでも咳をおさえるのが大変でした。

それはさておき,今回のHarrellが考えていたのはチェンジ・オブ・ペースでしょう。なので,一回ここでリセットをかけて,次作への創造力を高めるって感じではないかと思います。私も本作は結構好きですよ。

ということで,こちらからもTBさせて頂きます。それにしても体調が悪いところにオリンピックの中継では,よくなるわけがないですね。

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