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2012年5月18日 (金)

出来のいいピアノ・トリオだが,ECM色は希薄なSteve Kuhnの新譜。でもこれはよい。

Wisteria "Wisteria" Steve Kuhn(ECM)

ECMレーベルのSteve Kuhnのアルバムにはいいものが多く,Joe Lovanoとやった"Mostly Coltrane"も最高な作品だったと思う。そんなKuhnのECMからの新譜だから期待するのが人情。しかもSwallow~Baronとのトリオならおかしなことになるわけがない(きっぱり)。今回のアルバムは3者の名前が並列して書いてあるから,Kuhnのリーダー作であるが,この3者のコラボレーションというところへのこだわりがあるのかもしれないが,やはりこれはいいと思う。

主題にも書いた通り,ECMレーベル色はそれ程濃厚ではない。むしろ希薄と言っていいぐらいに適度にスインギーさも持ち合わせたピアノ・トリオ作となっている。冒頭のイントロこそECMっぽく幕を開けるが,そうしたトーンは継続しない。Swallowがいつも通りエレクトリック・ベースを引いていることがその要因ではなく,アルバム全体としてそういう感じなのだ。だが,ECMというレーベル・カラーにこだわりをもたなければ,これは美しくも楽しいアルバムである。

また,選曲の妙にも触れておく必要がある。Kuhn,Swallowの優れたオリジナルに加え,"Romance"はDori Caimi,"Permanent Wave"はCarla Bley,そしてタイトル・トラックはArt Farmerの作品である。"Romance"や"Wisteria"に特に強く感じられる彼らの美学にはやはりまいってしまう。これらの曲を選ぶにはそれなりの理由があるのだと強く感じさせる出来なのだ。

もちろん,Swallowのエレクトリック・ベースに違和感をおぼえるリスナーもいるかもしれないが,KuhnとSwallowの長年の共演を聞いてきている私としてはこれでいいのだ(バカボンのパパかっ!)。そうでなければ,このアルバムをこれほどリピートして聞きたいと思わないだろうし,聞くたびに別のタイミングで「おぉっ,いいじゃん」と唸ってしまうこともなかろう。いずれにしてもとても3人併せて200歳を越える人たちが作ったとは思えない創造力と美しさだと言っておこう。しびれるような緊張感はないが,これは多くの人が楽しめるアルバムであることは間違いない。星★★★★☆。本当に大した(老)人たちである。

Recorded in September 2011

Personnel: Steve Kuhn(p), Steve Swallow(b), Joey Baron(ds)

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コメント

お久しぶりです。確かにこれはECMらしくないですね。どちらかというとVenusっぽい(笑)。しかし、そこはやはりECM。「Promise Kept」など、おなじみの曲でも、軽やかは軽やかなりに上質のArrangeが為されているので、新鮮味があるように感じました。

音楽狂さん、こんにちは。TBありがとうございます。

Steve Kuhnは老いてもなお前作"Mostly Corltrane"のようなスピリチュアルな作品もあるし、この作品のようにリラクゼーションを提供するような作品も作ったように、芸を超えた域にはいっているんでしょうね。
エレベでECMっていうのもなかなか新鮮ですし。
というわけで長く1軍に残る作品となりそうです。こちらからもTBさせていただきます。

カビゴンさん,お久しぶりです。さすがに私もあのFred HerschすらボロボロにしたVenusと同じにする気はありませんよ。あのレーベルは絶対許せんと思っているのは私だけではないはずです。

それはさておき,ECMらしさは希薄としても,ちゃんとクォリティは維持するところがManfred Eicherの素晴らしいところでしょう。だからこその星★★★★☆ですから。引き続きよろしくどうぞ。

とっつぁんさん,こんばんは。TBありがとうございます。

まぁこの作品を特徴づけているのはやはりSwallowのベースかもなぁなんて思っています。基本的にECMのKuhnのアルバムにはずれはありませんが,これもその一枚ですね。

今まで聴いてきたECMのアルバムの中では、いちばんバップ(4ビート)色の強いアルバムじゃないか、と思いました。キース・ジャレット・トリオはスタンダードを演奏していても、キースの自然発生的なメロディと、ゲイリー・ピーコックの4つをあまり刻まないベースラインとで、記憶違いでなければ、もっとあっさりとした印象でした。

今回マンフレート・アイヒャーのプロデュースとはっきりうたっていて、こういうアルバムが出てきたということは、今後も期待できそうです。

TBさせていただきます。

910さん,こんばんは。TBありがとうございます。

このアルバムといい,John Abercrombieの新作といい,ECMにしてはコンベンショナルというか,正統派モダン・ジャズの香りがしますよね。だからこそECM色は希薄に思えるのだと感じますが,これはこれでよく出来たアルバムですよね。Eicherの心理に変化があったとは思えないのですが,面白いです。

ということで,こちらからもTBさせて頂きます。

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