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2012年1月20日 (金)

村上春樹のクラシック音楽への深い洞察が表れたインタビュー集

Photo_2 「小澤征爾さんと、音楽について話をする」 小澤征爾×村上春樹(新潮社)

作家,村上春樹が小説の題材としてクラシック音楽を使うことはよくあることであるが,そもそもジャズ喫茶経営で音楽に対する造詣の深さはわかっていたとしても,この人の音楽の聞き方はかなり深いなぁと思ってしまった一冊である。

基本的に村上春樹がレコードを掛けながら,小澤征爾に対してインタビューを行うという形式であるが,そこで飛び出す会話や文章に,私は「音楽的」なものを感じてしまった。これまで小澤が師事したり,付き合ってきた指揮者やミュージシャンの姿が活写され,へぇ~,そうなんだ~と思わされたことも何度もあったし,よくもまぁ,いろいろなレコードを保有したり,ライブの演奏を聞きに行ったりしているもんだと感心したくなってしまうような逸話の数々である。

私も在米中は,やれカーネギーだ,エイブリー・フィッシャー・ホールだ,METだ,タングルウッドだとクラシックのライブに通う機会はあったが,日本ではなかなかそうもいかない中,作家という仕事柄というのもあるとは言え,村上春樹が音楽に充てている時間が相当あるということは誰が読んでもわかってしまう。そして,音楽理論と離れた観点から,音楽を聞いていることには,自分も同じだなぁなんて感じて嬉しくなってしまうのである。理屈ではなく,感覚で音楽を捉えることの楽しさを再確認させてくれるが,だからこそ,プロの音楽家としての小澤征爾との違いが浮き彫りになって非常に面白いとも言えるわけである。

そういう意味では,村上春樹は一人の作家として,多くの音楽ファンの立場を代弁し,小澤征爾にインタビューを試みたとも考えられるだろう。私は通勤時間や出張の移動の合間にこの本を読んでいたのだが,それこそ「時さえ忘れて」って感じで読み耽ってしまったのであった。

いずれにしても音楽と文芸が非常にいい具合に融合した良書である。取り上げる音源が小澤征爾のものが多いことや,話に出るものに古いものが多いのは仕方ないが,できればこの続編として,より現代のミュージシャンについて小澤征爾にインタビューという企画も考えて欲しいものである。ともあれ,私はこの本は大いに楽しめた。二人の偉人が揃って,シナジーを生んだってことである。ちょっと甘いが,クラシックに対する門戸を広める役割も期待して星★★★★★。これは間違いなく楽しめる。

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コメント

Toshiyaさん、こんにちは。

その後、体調は如何でしょうか。自身の場合は、本調子に戻るまで、10日間はかかってしまいました(苦笑)。

以前、小澤さんと数学者の広中氏の対談集「やわらかな心をもつ」を読んだことがあります。全くの別分野で活躍されるお二人のざっくばらんな対談形式で、とても面白かったです。

テーマにされている内容は、文化、習慣、教育など、音楽以外についての内容が多かったと記憶しています。

村上氏と言えば、彼の翻訳した、サリンジャー著の「ライ麦畑でつかまえて」を読んでみたいです。ペーパーバックの原文は、手元にあり、主人は原文で読むことを勧めてくれるのですが、必要以外の本は、やはり、横文字から離れて読みたいです(苦笑)。

Laieさん,こんばんは。私は完全に復調していますが,娘にうつしてしまったようです(爆)。仕方ないですね。

「ライ麦畑」は原語で読まれても,村上春樹の訳で読まれてもいいと思いますが,私も今は敢えて原語にこだわることはないですね(修行中の身でもないですし,そもそも疲れますから...)。村上春樹は,文章においてもリズムを重視していますから,それまでの翻訳との違いに賛否両論あったと思いますが,それはそれで楽しめるのではないかと思います。

TBありがとうございました。こちらからも早々に。
30年前から村上春樹を読み続けているので、多分、「彼が作っている村上春樹像」にすっかり丸め込まれています。本当はかなり複雑なヒトだと思うのですが、素で書いたように読ませる文章はさすがだなあ、と思います。そのパターンのなかの小澤征爾だから楽しくない訳がない。
ふと、だけど本当はどうなのか、少しだけ気になる爽やかな読書感でした。

kenさん,こんばんは。返信が遅くなり申し訳ありません。

村上春樹の頭脳構造ってのは確かに謎ですが,この人がリズムを重視しているのはよくわかる気がします。だからこそ,読者は心地よくページをめくるんだろうと思います。いずれにしても大したものですよね。

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