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2012年1月 9日 (月)

中年音楽狂が一肌脱ぐシリーズ(第14回):Sarah Vaughan編

Sarah "Crazy and Mixed up" Sarah Vaughan (Pablo)

「お店に並んでいそうでジャズをこれから聴いてみようかなぁという人にお薦めというのがありましたらご紹介ください。」というリクエストにお応えするという趣旨のこのシリーズ,あまりジャズ・ヴォーカルを聞かない私でもこれなら確実に推薦できるということで本作をチョイスである。

Sarah Vaughanのキャリアのピークは1970年代後半から1980年代前半だと思うが,まさに人間国宝級の歌唱を繰り広げていたと言っても過言ではない。何を出しても絶好調,何を出しても物凄いというような感じだったと思う。そうした中で,私がジャズ的に聞いてもこれは凄いと思ったのがこのアルバム,中でも「枯葉("Autumn Leaves")」の激唱である。冒頭の"I Didn't Know What Time It Was"から素晴らしい歌唱なのだが,「枯葉」があまりに強烈過ぎて,このアルバムと言えば「枯葉」みたいになってしまう部分があるのは否定できない。しかし,もちろんそれだけではない。全てが素晴らしいのである。

バックも敢えてホーンを入れずに,やや地味と思わせるメンツが揃っているが,見事な助演ぶりである。しかし,はっきり言ってしまえば,何よりもSarahの歌唱があればいいのである。そういう意味で全てがかすんでしまう名唱の数々である。

なのではあるが,それでも「枯葉」なのである。Joe Passのギター・ソロから入り,急速調で展開されるこの演奏には,あの「枯葉」のメロディは一切出てこない。そしてSarahはスキャットだけで歌い切ってしまうという離れ業を展開しているが,これこそジャズのスリルと思わせるような演奏である。この演奏をするためにはホーン・プレイヤーが不要だったというよりも,Sarahがその役割を見事なまでにこなしてしまっているのだ。これぞプロデューサーたるNorman Granzの慧眼と言わずして何と言うか。とにかく,これは凄い。

そして,Ivan Linsの"Love Dance"や"The Island"まで歌いこなしてしまうこの懐の広さ。日本に美空ひばりあれば,米国にSarah Vaughanありみたいな感じである。ジャズ・ヴォーカルがまさにジャズのカテゴリーであることを痛切に感じさせてくれる傑作。星★★★★★。いつ聞いても凄い作品である。

でもジャケだけはいつまで経っても購買意欲は高めないが(爆)。

Recorded March 12, 1982

Personnel: Sarah Vaughan(vo), Joe Pass(g), Roland Hanna(p), Andy Simpkins(b), Harold Jones(ds)

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ジャズ(2012年の記事)」カテゴリの記事

コメント

Toshiyaさん、こんにちは。

先日は、ビデオのコメントを御丁寧に頂きまして、有難う御座いました。サンウンド・オブ・ザ・ミュージックの裏話は、とても興味深かったです。

本日のお題のSarah Vaughan ですが、私は、アメリカに居た時に買ったガーシュインの歌集が手元にあります。当時、演奏のクラスのお題が、「ガーシュイン」でした。アメリカで、最初の舞台、聴衆の目の前で歌ったThe man I love は今でも想いでの曲です。

何年か前に、日本の親友が、ジャズでお勧めの歌い手を紹介してほしい、と言われたことがあり、その時は、Ella Fitzgerald を紹介したのですが、Sarah Vaughan でも間違いなく良かったな、と思っています。

何れにしろ、二人とも、ほとんど同時期に活躍された往年の大歌手のはずなので、これからの時代も、聴かれ次がれていってほしいです。

EVAです、おはようございます。
懐かしいジャケットが目に入りましたのでコメントさせて頂きます。
私はSarah Vaughanが大好きで結構な枚数持っています。
勿論このアルバムもCDですが持っています。
久しく聴いていないので見付かったら聴いてみようと思います。(爆)
世間一般ではElla Fitzgeraldを推す人が多いですが、私は素人なので玄人判断とは違うのかなー、と常々思っていました。
彼女はポップスもやるのでジャズオンリーの人から見ると邪道に写ったのかも知れませんね。
彼女を思い出させて頂き有難うございました。

Laieさん,こんにちは。おっしゃっているのはMichael Tilson Thomasとやったアルバムでしょうかね。今や件のアルバムも凄く安く手に入るので,聞いてみたくなってしまって,発注してしまいました(笑)。

EllaはEllaでいいんですけど,私はSarahの方が好きかなぁ。微妙なところですが...。

EVAさん,こんにちは。

記事にも書きましたが,Sarahはジャズの範疇を越えた曲もものにしてしまうところが凄いと思います。そのあたりはEllaと指向が違うんでしょうが,どちらが好きかって言うと私もSarahの方が好きですよ。私が美空ひばりになぞらえたのはSarahのそういう進取の気性にあると思います。

Toshiyaさん、こんにちは。

MTT懐かしいです!SF滞在中は、学生の特権を利用して、少なくても、シーズン中、毎月1回は(多い時は3回)、SFシンフォニーへ出向いていました。舞台袖から、登場する際、MTTの前髪がフワフワなびいていたのを思い出します。

CDですが、"The Gerorge Gershwin Song Volume 2" というものです。

"Someone to watch over me" は、当時、学業で忙しく?兄の結婚式に参加できず、サプライズ・ビデオレターを作成し、式場宛に郵送した曲で、やはり、思い出の曲になっています。"Summertime"は、ロータリー財団で、高熱があったのにも関わらず、若さで乗り切って?歌っちゃいましたね~。。(苦笑)こちらも忘れられない思い出のナンバーになっています。

でも、私の一番のお気に入りは、" My Heart Belongs to Daddy"かもしれません。

こんにちは。
今年は ヴォ-カルものも どんどん聴いてみたいと思っていましたので サラ・ヴォ-ン ご紹介 うれしいです。

このアルバム 有名なので いつも目にとまるのですが 聴いたことないんです。

今年は ぜひ聴いてみたいと思います♪

Laieさん,こんばんは。お聞きになっていたのは結構古い音源ってことですかね。いずれにしても,MTT(笑)との共演盤はあまりに安いので発注してしまいましたが,まじで安いですよ。値引き込みで700円を切っています。ひぇ~って感じですよね。円高さまさま。

また届いたら改めて取り上げたいと思います。

マーリンさん,こんばんは。ヴォーカル物としてこれが最初でいいのかって気がしないでもないのですが,こりゃ~凄いやってのから選んでみました。

もちろんElla Fitzgeraldからでも,Anita O'Dayからでもいいんですけど,いずれにしても私はジャズを強烈に感じさせてくれるヴォーカリストが中心みたいです。昔はRosemary ClooneyとかAnn Burtonもよく聞いたんですけどね。

まぁ,一度お聞きになってみて下さいね。

こんばんは。
ジャケットで購買意欲そそらず、
は全く同感ですね。エラも同じ理由であまり買わないです。
なんかECMいいよねって音と正反対ですからねえ。

とはいえ、晩年のI love Brazilなんかはさすがなのでありますが。

kenさん,こんばんは。おっしゃる通り,PabloレーベルやXanadoレーベルのジャケのセンスのなさには辟易としますよね。ECMの欧州的な美学と全然違いますもんね。

ECMではミュージシャンが顔を出すこと自体まれで,KeithとかDeJohnetteのアルバムぐらいしか思い出せません。ほんとに対極ですね。"I Love Brazil"はそのブラジル盤"O Som Brasileiro De Sarah Vaughan"をこのブログでも取り上げました。あれもいいですねぇ。

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