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2011年12月31日 (土)

2011年:私のベスト3+α

これまで,2011年5回に渡って回顧してきたが,音楽に限って,2011年の私のベスト3は何だったかを明らかにしたい。

Loureedmetallica_lulu これまでの記事をご覧頂けば,ある程度想像はつくかもしれないが,今年,私にとってナンバー1となったアルバムはLou Reed & Metallicaの"Lulu"である。この作品がデリバリーされて,初めて聞いた時の衝撃というか,私は電撃を受けたように感じてしまったぐらい,この作品には最初からまいってしまった。とてつもない深みを音楽から感じたのは久しぶりの体験だったと思う。よって,今年のナンバー1はこれだとその時から決めていた。

Live_in_marciac_2 "Lulu"があまりにも強烈だったので,ほかの2作が悩みどころになるわけだが,次席はBrad Mehldauの"Live in Marciac"にしたい。ソロ・ピアノではあるが,強烈にジャズを感じさせる演奏として,このアルバムは強く印象に残っている。本作を含め素晴らしい作品をリリースしたBrad Mehldauであるが,私としてはつくづくBrad Mehldauのファンでよかったと思った1年である。今後,彼はどこへ向かっていくのかと心配にもなるが,真の実力者であるとともに,年を追うごとに凄みが増してきている。多くのリスナーがそうであるように,そろそろトリオでの吹き込みも期待したいところではあるが,この創造性を維持してくれるなら,文句は言うまい。これからも彼の活動は追い掛けていきたいと思う。

Maria_rita そして,もう1枚は今年のマイ・ブームを作り出したMaria Ritaの"Elo"である。私はこれまで彼女の音楽を聞いたことがなかったことをまさに恥じた一枚。慌てて,逆時系列で彼女の作品を聞いていった私である。Maria Ritaのファンにとってはこの作品は最高ということにはなっていないようだが,私にはこのシンプルなバックで,素晴らしいグルーブを生みだすこれぞブラジル音楽という魅力を感じてしまった。

これらが2011年を代表する作品であるとは限らないが,私にとってはさまざまな要素を含めてこの3作をベスト作とすることにしたい。

Ondrej001 そして,本来は本年の回顧(ジャズ編)で取り上げるはずであった,チェコのテナー奏者Ondrej Stveracekを改めて紹介しておきたい。その記事を書いたとき,完全に失念してしまったのだが,まさに今年最大の発見,あるいは今年のRising Starとでも呼びたいテナーサックス奏者である。スタジオ盤もよかったが,私を更にしびれさせてくれたライブ盤をここにはアップしておこう。CDの入手は楽とは言わないが,ネットで注文もできれば,iTunesでダウンロードもできる。是非多くの人に聞いて欲しいという思いもこめた。

ということで,今年は震災もあれば,職場の環境の変化等,私にとっては辛くもいろいろ考えさせられることが多かった。そうした中で,音楽は私の生活の支えになっていたことは間違いなく,音楽によって救われたことも多々あった。来年はもう少しましな1年になることを期待しつつ,今年の音楽界は豊作だったなぁと改めて振り返る大晦日である。

読者の皆さんには,本年もしょうもないブログにお付き合い頂きましてありがとうございました。来年は6年目に突入するこのブログですが,引き続きよろしくお願い致します。

では,皆さん,よいお年をお迎え下さい。

2011年12月30日 (金)

Claudio Filippini:これが今年最後の新譜である。

Claudio_filippini "The Enchanted Garden" Claudio Filippini(CAM Jazz)

年末もいよいよ押し詰まってきて,新譜が出るようなシーズンではないし,ショップに出掛けている暇もないので,これが2011年に取り上げる最後の新譜となる(残り2日なのだから当たり前だが...)。このアルバムはEnrico Pieranunziがライナーを書いていることからもわかる通り,基本的にはEnrico系の美しいピアノが聞けるアルバムである。だが,この28歳のピアニストにとって,メンターはEnrico Pieranunziだけではないことも明確に表れている作品である。

そうした感覚が最も顕著なのは4曲目の"Flying Horses"であるが,これは誰が聞いてもわかる通り,E.S.T.の影響大である。逆に言えば,この演奏がアルバム全体の中では非常に浮いているという言い方も可能であるが,まだ28歳だからいろいろな要素を吸収すること自体は悪いことではないし,今後の飛躍に向けてはこういうのもありだろうと思う。だが,浮いているものは浮いているので,次作以降のプロダクションには検討の余地があるだろう。

それにしてもクリアなタッチの人である。こういうトーンで演奏する限りは結構なファンも付くのではないかと思うが,私はLorenzo Tucciの"Tranety"でこの人を聞いていたことを思い出した(同作については記事はアップしていないが...)。そちらのアルバムでもクリアなトーンとフレージングが魅力だと思ったのだが,それを踏まえれば,私はこの人はアコースティック一本でも勝負できると思ってしまうがゆえに,一本筋が通った制作姿勢が重要だと考えるわけである。私としては「筋を通した」"Tranety"の方が好感度が高いということもあり,惜しいなぁと思いつつ星★★★。決して悪くないのだが,演奏や音楽の方向性は一本に絞っていくべきだと言っておきたい。

Recorded on February 14, 15 & 16, 2011

Personnel: Claudio Filippini(p,key), Luca Bulgarelli(b), Marcello Di Leonardo(ds)

2011年12月29日 (木)

2011年を回顧する(その5):音楽(ジャズ)編

2011年を振り返ってみれば,ジャズ界はかなりの豊作だったと言っていいように思う。特に今年前半から中盤にかけての,良作ラッシュは記憶にないほどのものだった。私のブログには2011年おすすめ作なるフィールドが右側にあって,ここを見ていれば,今年,私が気に入ったアルバム(星★★★★☆以上の新譜)はすぐにわかるわけだが,2010年よりもはるかに掲示している作品数が多いことがお分かり頂けるだろう。そういう意味では,ジャズに限らず,作品的には充実した一年だったと言えるように思う。

Live_in_marciac そうした中で,改めて振り返ってみれば,今年の私にとってのジャズでの最高作はBrad Mehldauの"Live in Marciac"ということになってしまうように思う。録音は5年前に遡るが,その時点で極めて高いレベルの演奏を展開していたBrad Mehldauにはまさに驚かされたというか,ソロでこのような演奏をしてしまえば,聴衆が熱狂するのも当たり前だと思ってしまう。私がBrad Mehldauのコンプリートを目指すということを差し引いても,この作品は極めて高く評価されて然るべき作品だと思う。Mehdauと言えば,もう1枚,Kevin Haysとの美しいデュオを聞かせた"Modern Music"も忘れ難い。ついでに年末に出た「トリオの芸術」ボックスの未発表ライブ音源も嬉しいものであり,まさにMehldauファンにとっても忘れられない1年だったと言ってもよいかもしれない。更に,MehldauのメンターであるFred Herschのヴァンガードにおけるソロ・ライブもよかったことも追記しておこう。

Prysm 一方,インパクトという観点ではPrysmの"Five"にとどめを刺す。彼らにとっては久々のアルバムとなった本作が,多くのブロガーの皆さんの支持を集めるのは,この強烈なインパクト,スピード感に対して感じる快感ゆえではないかと思う。このアルバムに関する記事を書いたとき,私は「火傷に注意」と記したが,それぐらいの高揚感をおぼえるある意味ハード・ロック的なアルバムである。

Michel_polga また,同じくインパクトが強い作品としては,Fabizio Bossoがモーダルにラッパを吹きまくったMichele Polgaとの"Live at the Panic"は私のBossoに対するイメージを覆した作品であった。正直言って,お気楽ハードバップでもいいのだが,こうしたよりハードボイルドな路線は本当に歓迎したいと思ってしまう私である。やりゃできんだからさって感じであるが,期待以上の音が聞こえてきて嬉しくないリスナーはいないのである。とにかくこれはよかった。また,サウンドというよりも,音楽としての面白さという点では,Nguyên Lêの"Songs of Freedom"が魅力的だった。

Faithful 静謐系ではMarcin Wasilewskiの"Faithful"がECMレーベルらしい美しさ炸裂ということで,やはり今回も期待に応えてくれたと思う。とにかく,最近の彼らの音源にははずれはなく,透徹な美学というのは彼らの音楽のためにあるとさえ言いたくなってしまうような素晴らしさである。ポーランドってのは冬は物凄く寒いところだが,あの寒さに耐えながら,音楽を生みだすというところは,北欧にも通じる部分があるのかもなぁなんて思ってしまう。それにしても,本当にこの人たちがアルバムを出すたびに,まいった,まいったと連呼する私である。

Gravity また,Wasilewskiとはちょっとスタイルは違うがJulian & Roman Wasserfuhrの"Gravity"がロマンティシズム溢れる演奏で,思わずおぉっ!となってしまった。ドイツのミュージシャンから,このようなロマンティックなサウンドが聞けるとは思っていなかったので,これは純粋に驚いたと言ってもいいだろう。"Five"や"Live at the Panic"と同列で,こうした作品をベスト作に挙げる私はやはり精神分裂症なのか...(苦笑)。しかし,Mehldauを除けば,これらの作品をリリースしているのがみんな欧州のレーベルだということに気がつく私。アメリカ・メジャーにはあまり期待できないのかもしれないなぁなんて思ってしまう。

そうは言いながらも米国系のレーベルにもPar Martinoの新作,James Farm,Gary Burtonの新バンド等,光る作品がないわけではない。だが,欧州系レーベルの「わかってるね」感が一歩も二歩も上回っているように感じている私である。米国メジャーに期待するのであれば,MilesのBootleg Seriesのような発掘が中心になっていくかもしれない。

Gretchen_parlato 尚,私が日頃あまり手を出さないジャズ・ヴォーカルだが,今年聞いた中ではGretchen Parlatoの"The Lost And Found"が非常によかった。私はこのアルバムを取り上げた時,「サウンドがずっとコンテンポラリーなので,私にはカテゴリーなど関係ない女性ヴォーカルとして聞けてしまった」と書いたわけだが,結局,ジャズ・ヴォーカルを前面に押し出していない感覚が私が気に入る理由なのだろうと思う。こうしたところに私の嗜好が如実に表れているなぁなんて感じてしまったが,いいものはいいのである。

ということで,ほかにもまだまだいいアルバムはあったと思うが,記憶に残った作品ということでは上述のような感じだろう。そしてJazz Man of the YearはBrad Mehldauということにしよう。また贔屓目強過ぎと言われそうだが,今年の作品はLee KonitzたちとのBirdlandでのライブも含めて,どれも優れていたのだから,文句は出ないだろう。

最後に,自分だけのレーダーだけではいくつかの作品には出会っていないはずであり,こうした作品をご紹介頂き,新しい音楽に触れる機会を与えて頂いたブログのお知り合いの皆さんに感謝したいと思う。

2011年12月28日 (水)

2011年の回顧(ジャズ編)は1日延期させて頂きます。

年末のバタバタで,記事を書いている余裕がなく,本年の回顧(ジャズ編)は明日,記事をアップする予定です。もう暫くお待ち下さい(誰も待っていない?)。

しかし,記事をアップしようと思って,どうしようか考えていたら,悩んでしまったのも事実。記事をアップできないのは忙しいだけではないかもなぁ...。

2011年12月27日 (火)

2011年を回顧する(その4):音楽(ジャズ以外)編

いよいよ年末も迫ってきたので,2011年の回顧シリーズも音楽編に突入である。今回はジャズ以外の音楽を取り上げるが,最終的にはジャズも含めた全カテゴリーの中から,私のベスト3を選ぶことにしたいと思う。

書籍編でも書いたが,今年は通勤環境が変化したため,通勤時間帯とは言え,音楽を集中してきくことが難しくなったのは事実である。そのため,記事のアップに時間が掛かってしまったり,ちょっと聞き方が浅いかなぁなんて思うことも多々あったのは事実である。来年の春先あたりになれば,少しは環境が改善すると思われるが,それまでは我慢,我慢である。また,震災の影響もあって,音楽鑑賞に身が入らないこともあったし,また,私にとってはダウンロードへの依存度がこれまで以上に高まったことなど,これまでにない音楽生活だったかなぁなんてことも思っている。

そうは言いながらも,今年もいろいろな音源を耳にしてきたと思うし,よくもまぁノン・ジャンルで何でも聞けるわと,自分でも呆れてしまうほどである。しかし,以前からこのスタイルは変わらないし,おそらくは今後も変えようがないだろう。ということで,マルチ・カテゴリーで私が今年気に入ったアルバムをまとめたい。

Lulu ロック:ロックでは何と言ってもLou Reed & Metallicaの"Lulu"にまいってしまった私である。このアルバムには賛否両論であるが,「否」の方は多くがMetallicaのファンの訳のわからない批判であるように思う。また,Lou Reedのファンにとってもこれが最高傑作かと言えば違うというような論調も多い。しかし,私が今年聞いたロックの中では,本作が最も私を感動させたものだと言ってよい。とてつもなく深い音楽だと思えたこの作品は,ロック・フィールドにおいて,最高作と位置づけたい。そのほかにはDaniel Lanoisの新バンドBlack Dub,そしてDave Stewartの"Blackbird Diaries"が記憶に残っている。Ry CooderによるRy Cooderらしい作品,"Pull Up Some Dust & Sit Down"も私にとっても久しぶりのRy Cooderとなったが、そんな私にも納得のいく作品であった。

Marsha_ambrosius ソウル/R&B:何と言っても,今年最も私を狂喜させたのはMarsha Ambrosiusの"Late Nights & Early Mornings" であろう。この人の歌のうまさ,まさしく半端ではない。彼女の作品はソウル部門では間違いなくトップだと聞いた瞬間に思ったことも事実である。友人にも呪文のようにMarsha Ambrosius,Marsha Ambrosiusと唱え続け,気味悪がられたこともあった(笑)。そのほかではBooker T. Jonesの"Road from Memphis",Betty Wrightの"The Movie",そして年末ギリギリに記事をアップしたKindred the Family Soulの"Love Has No Recession"だろう。Booker T.もBetty WrightもバックはThe Rootsであるが,彼らがベテランに新しい血を吹き込んだことは間違いのない事実だと思う。

Mariaritaelo ブラジル:今年の私のマイ・ブームはMaria Ritaであった。彼女の新作"Elo"は私をノックアウトするに十分な出来であり,その後,私は彼女のアルバムを速攻で全部揃えてしまった。それぐらい気に入ってしまったのである。こんなことはMarisa Monte以来と言ってもいいかもしれないが,そのMarisaも年末近くになってナイスな新作を届けてくれた。やはりブラジル音楽はいいねぇと思わせてくれた二人の歌姫である。

Kuti ワールド・ミュージック:そんなたくさんのアルバムを聞いたわけではないが,Tinariwenの"Tassili"(記事はアップしていない)が渋い出来だったのには驚いた。ただ,私としては"Aman Iman"の方が好きかなぁって気がする。それよりも何よりも今年,この分野で最も凄かったのはSeun Anilulapo Kuti & Egypt 80の"From Africa with Fury: Rise"である。Brian Enoプロデュースということもあり,"Remain in Light"にもなぞらえることがあるが,このスピード感溢れるファンク・ミュージックには心底参った。

1969 そして今年の特別賞に値するのは由紀さおりがPink Martiniと見事に歌謡曲の世界を再構築した"1969"であろう。各国のチャートも賑わしたということで,様々なメディアにも取り上げられたが,私も昭和歌謡の世界にどっぷりとつかってしまった。尚,先日,飲み会の二次会でカラオケに行ったら,「真夜中のボサノバ」が加えられていたのに反応して,思わず歌ってしまった私である(爆)。歌手としてはオリジナルのヒデとロザンナではなく,Pink Maritniと由紀さおりなのにはちょっと受けてしまった。

2011年12月26日 (月)

2011年を回顧する(その3):映画編

Kings_speech 今年も出張中の機内エンタテインメントで結構な数の映画を見たが,私にしてはまぁまぁ劇場にも行った方ではないだろうか?娘が一緒に字幕で洋画を見てくれるようになったことがその要因ではあるが,映画の趣味は必ずしも一致しないから,私の見たい映画を彼女が見たいと思うとは限らないところがまだまだ厳しいところである。それでも一緒に行けるのは結構うれしい(親バカ)。

それはさておきであるが,今年見た映画の中で,最も感慨深く,心に残っているのは「英国王のスピーチ」だとは思うのだが,オスカーを競った「ソーシャル・ネットワーク」の面白さも捨てがたい魅力があった。こうなったら好きか嫌いかの世界である。どちらもシナリオのよさが抜群だったことは認めなければならないだろう。これらに勝るとも劣らなかったのが「ザ・ファイター」である。この映画でのChristian Baleはマジで凄かった。今年の映画のトップ3はこれで決まりだ。

Socialnetwork_2 そのほかに記憶に残っているのは,震災の影響で上映中止となってしまったが,余韻が心地よかった「ヒア・アフター」,Ben Affleckが監督としての才能も見せた「ザ・タウン」,シリーズものの前日談をうまく仕上げた「X-Men:ファースト・ジェネレーション」あたりである。そして,エンタテインメント系で言えば,モーション・キャプチャー,あるいはそれに基づくCGってのは凄いと思わせた「猿の惑星:創世記」や,ここまでやり切ってくれると爽快だとさえ思わせた「ワイルド・スピードMega Max」も面白かった。ちなみに,娘が「ワイルド・スピード」を喜んで見ていたのは極めて意外。まぁいいんだけど...。

Thefighter 今年も上記のように面白い作品も見れば,まさしくゴミと言うべき作品(「宇宙戦艦ヤマト」,「グリーン・ホーネット」,「カウボーイ&エイリアン」等々)も見てしまったわけだが,玉石混交は避けられないから諦めるしかない。それでも,そんなしょうもない映ですら映画館で見るのが一番いいよなぁと思っている私である。だが,「ヤマト」だけは絶対許せんが(笑)。あれこそ屑の中の屑,駄作中の駄作である。

来年に向けては最低月1本劇場で見ることを目標にしたいと思うが,毎年同じようなことを言っていて,実現したためしはない。是非頑張ろう。尚,今年は劇的に泣ける映画にはあまり巡り会えなかったが,そろそろ涙のカタルシスを感じられるような映画を劇場で見たいものである。

2011年12月25日 (日)

これもぎりぎりになってアップのKindred the Family Soul

Kindredthefamilysoullovehasnorecess "Love Has No Recession" Kindred the Family Soul(Shanachie)

これも随分前に入手していたのだが,アップするのに無茶苦茶時間が掛かってしまったアルバムである。しかし,これがコンベンショナルなソウル・ミュージックのようでいて,現代的なフレイバーを感じさせるナイスなアルバムなのだ。このFatin DantzlerとAja Graydonからなる夫婦デュオを見出したのはこのブログでも新作を取り上げたJill Scottらしいのだが,そのJill Scottよりはるかにいい出来なのは皮肉だ。

このアルバムはRaheem Devaughn,Snoop Dogg,更にはChuck Brownまで含む多彩なゲストを迎えて,ソウル・ミュージックのいいとこ取りをしているようにも感じられるが,スパイスのようにコンテンポラリーな響きを感じさせるところが,単なるコンベンショナル・ソウルとは違う。しかし,そうしたコンベンショナルなソウル・ミュージックを好むリスナーさえも納得させるディープな感覚は失っていないところがしびれる。

正直言って,聞くまではどういうタイプの音楽か不安だったのだが,これは完全に買って正解の優れたソウル・アルバムであった。

またまたミュージシャンは多岐に渡るのでPersonnelは省略するが,ソウル好きなら買っても決して損はしないアルバム。星★★★★☆。しかし,Shanachieというレーベルは私が買った作品ははずれがなくて,好感度高いなぁ。こういうのをレーベル・パワーって言うな。

2011年12月24日 (土)

今年のホリデイ・シーズンはSingers Unlimitedで。

Singersunlimited_christmas "Christmas" The Singers Unlimited(MPS)

世の中はホリデイ・シーズン真っただ中である。そんな時に何を聞こうか迷った時には私の場合はGRPのコンピレーションに依存することが多かったのだが,今年は昨日紹介のMichel Legrandのゴージャスなアルバムと,美しいハーモニーによるその名もずばりの本作だけで終わりである。

この人たちのコーラスは本当に美しいとは思うのだが,発声法はポピュラー音楽そのもの,特にBonnie Hermanがそうであるから,お馴染みの,あるいは馴染みの薄いクリスマス・ソングを聞いていても,宗教くささは感じない。本来,こういう音楽は敬虔な気持ちで聞くべきものだと思うので,私はクラシック的な発声の方がしっくりくるような気もするが,それでもこのコーラスを聞いて心の癒しを得られればいいのではないかとさえ思ってしまう。

本作でもほとんどの曲は彼らの代名詞であるアカペラ(そして多重録音)で歌われるので,変化には乏しいという指摘があっても反論はできないが,多重録音により生み出されるナチュラルなエコー感が彼らの音楽の魅力であり,それにずっぽりとはまっていれば腹も立たない。この音に身を委ねればいいのだと思ってしまう。

いずれにしても,こうした音楽を聞きながら,本質的には神への感謝を捧げるというのが筋であり,ちゃんと神を讃える歌詞にも耳を傾けたい。今年は結構辛い1年だっただけに,こうした音楽でいろいろなことを洗い流してしまいたいと思ってしまうし,それを許してくれる1枚である。音楽がこの世界にあることを感謝したくなる瞬間。このアルバムには採点は不要である。

ということで,Season's Greetings to You All. I Wish You Happy Holidays and a Great New Year!!

Personnel: Bonnie Herman(vo), Len Dresslar(vo), Don Shelton(vo), Gene Puring(vo)

2011年12月23日 (金)

超ゴージャスなつくりのMichel Legrandによるホリデイ・ミュージック

Michel_legrand "Noël ! Noël !! Noël !!!" Michel Legrand(Emarcy)

世の中ホリデイ・シーズンである。この季節ならではの音楽が巷にも溢れているが,今年出たホリデイ・アルバムの中では最も予算が掛かっているだろうと確信させるような作品である。

主役はMichel Legrandであるから,立派なオーケストラ作品に仕立てるだろうことは想像に難くないのだが,ここではゲストで参加するヴォーカル陣が何と言っても目を引く。まぁIggy Popを除けば,想定内って気がしないでもないが,やはりLegrandらしい人選と言うべきだろうか。

そうしたメンツがお馴染みのホリデイ音楽を,それぞれの個性で歌っているが,それでもやっぱり思ってしまうのが,「なんでここにIggy Popが出てくるねん?」という点ではないだろうか。はっきり言って浮いていると言えば,これほど浮いているものはないって気もするが,それでもLegrandの伴奏に乗って,Iggy Popすらそれっぽく聞こえてくるから不思議である。

この豪華さに気を取られていてしまう確率が高く,音楽としての評価がおろそかになってはいかんが,これはこれで王道と言ってもよさそうなホリデイ・ミュージックであると言ってもいいだろう。こういう音楽がバックで流れているだけで,豪華なホリデイ気分が味わえるのではないかとさえ思ってしまう。去年はこの時期,私はカナダでの休暇を過ごしていたが,今回は日本でわびしく過ごしている。そんな中でも,少しはゴージャス感を覚えさせてくれるという意味では相応の存在意義がある作品。星★★★★。それでもIggy Popは浮き過ぎである(我ながらしつこいっ!!)。

Personnel: Michel Legrand(arr, cond) with Jamie Cullum, Mika, Teddy Thompson, Rufus Wainwright, Madeleine Peyroux, Iggy Pop, Carla Bruni, Emilie Simon, Ayo, Imelda May, Renan Luce, Olivia Ruiz, Cœur de Pirate and Many Others...
         

2011年12月22日 (木)

Michal Bugala:今度はスロヴァキア出身のギタリストである。

Michal_bugala001 "!st Touch" Michal Bugala(HF Bratislava)

先日チェコ出身のOndrej Strevacekが凄いなんて話をこのブログに書いたばかりだが,今度はお隣スロヴァキアのギタリストである。リーダーについては聞いたこともないが,バックのメンツは豪華版である。Danny GrissettのトリオにSeamus Blakeを加えたクインテットであるが,正直言って完全なメンツ買いだったにもかかわらず,これがコンテンポラリーな響きを持ったジャズ・ギター・アルバムとなっていて,これはなかなか満足度が高い。

リーダーのBugalaは1982年生まれらしいので,まだ30歳手前というところであるが,フレージングなんかはNYCで活躍するギタリストとの共通項が多いように思える。変拍子も多用していかにも現代的な演奏であるが,まぁメンツからすればそれも当然という気がしないでもない。アコースティック・ギターで演じられる"Nowhere Now"はかなり味わい深く,サウンドがJohn Abercrombieのようだと思ったら,Bugalaはジョンアバのワークショップにも参加したことがあるとのこと。なるほど,影響受けてるのねぇなんて思ってしまった。

このアルバムに関しては先述の通り,バックのメンツにつられて買ったと言っても過言ではないが,このBugalaというギタリスト,なかなかの実力者である。様々なタイプの楽想にも適切に対応したフレージングを連発して,結構な才能を感じさせる。Seamus Blakeとの丁々発止のやり取りも聞きたかったところであるが,ここではSeamusはあくまでもゲスト扱いで全面的な参加ではない。しかし,それを補って余りあるのがGrissettのレギュラー・トリオである。彼のリーダー作にギターが乗っかったようなかたちと考えてもいいように思えるような出来である。Grissettはピアノ,Rhodesともにいけているフレーズを展開して,リーダーを見事にサポートしている。特にRhodesを弾いた"QuadraPop (...What?)"がベストの出来か。

いずれにしても,こういう全く知らない人を聞いて,改めて世界にはいろいろな人がいるものだと感心させられるが,このまま米国で活動を展開すればいいのではないかとさえ思ってしまうようなナイスな初リーダー作。星★★★★には十分値する佳作である。

それにしても,リーダーの弾いているGibsonのセミアコ,インディゴ・ブルーとマリン・ブルーの中間みたいな色ってのは結構カッコいいなぁ。

Personnel: Michal Bugala(g), Seamus Blake(ts), Danny Grissett(p, rhodes), Vicente Archer(b), Kendrick Scott(ds)

2011年12月21日 (水)

2011年を回顧する(その2):書籍編

Steve_jobs 今年はつくづく本を読んでいないなぁと思わざるをえない1年であった。これには4月以降の通勤環境の変化が大きく影響していることは間違いない。今までは座って通勤できていたので,本も読めれば,音楽も結構集中して聞けたが,混雑した電車ではそうもいかないと言うところが大きい。そんな中で,今年最もおもしろかった本は「スティーブ・ジョブズ」をおいてほかにあるまい(記事はこちら)。

記事をアップした時にも書いたが,Steve Jobsは人間としては相当???な人間である。彼のそうした人間性を無視して,メディアは「カリスマ,カリスマ」と持ち上げ過ぎなのは気になるが,この本はその人間性をここまで赤裸々に明らかにしていいのかと思わせるぐらい,素のJobsが見えてしまうところが凄いところである。本人や家族が一切手を加えなかったらしいというのも潔い。ただ,どう考えても上司にはしたくない人であるという私の考えには全く変化はないが(苦笑)。

Limited_edition 本はそれほど読めなかった私だが,一つだけ(私の金銭感覚で言えば)大きな買い物をしてしまった。敢えてそれが何かは書かないが,写真だけはアップしてしまおう。世界で111部(!)しか発行されていない限定版である。無駄遣いと言えば,これほどの無駄遣いはないが,私が死ぬ頃には値段がアップして,家族の小遣いにはなることを期待しての購入である。まさに保有していることに意義があるとしか思えないが,これって邪道と言えばまさしく邪道。でもまぁそういうのもありってことで(苦笑)。カビさせないように気をつけねば。

尚,音楽についてはまだ年内にデリバリーされるものがあるので,もう少し後になってからアップすることとしたい。

2011年12月20日 (火)

2011年を回顧する(その1):ライブ編

Ecsw 2011年も大詰めが近づいた。そろそろ今年の回顧モードに入りたいと思うが,今年は3/11の地震のインパクトが大きかったことと,4月に職場の環境が変わったこともあり,4月末ぐらいまでは非常にブルーな感情に支配されていたと言っても過言ではない。そんな私がようやくふっ切れたのは5月に米国に出張し,NYCでSmallsに2日間通ったことが契機になったように思えてならない。ライブで音楽に触れて,いつまでもウジウジ言っていてもしょうがないよなぁって気分になったからである。まさに音楽のヒーリング効果?

Smallsで聞いたのはLage Lundのライブ・レコーディング(おそらくSmalls Liveシリーズで出るのだろう)とAlex Sipiaginのグループだったのだが(記事はこちらこちら),やはりNYCでのライブ環境は素晴らしいと思わせるものだった。特にSipiaginのグループのメンツは強烈で,私は相変わらずのミーハーぶりを発揮して,CD持参で臨んだのであった(笑)。

それ以降はライブに通う機会は2010年よりは少なく,記事にはしなかったものとして11月に聞いた内田光子のシューベルト後期ソナタ演奏会と,更には先日記事にした12月のClapton/Winwoodのジョイント・ライブぐらいしか行っていないはずである。内田光子は21番のタッチを明確化するために,前半の19番,20番は敢えて軽いタッチ(弱音)で弾いたのではないかと思わせるような演奏スタイルであったように思う。しかし,シューベルトのソナタを続けて3曲弾き切る集中力は見事なものであった。久しぶりのサントリー・ホールであったが,たまにはこういうのも必要だなと思った次第。但し,シューベルトってもっと「個人的な体験」かなって気もするが。

しかし,今年のライブにおけるハイライトはClapton/Winwoodにほかならない。記事(こちら)にも書いた通り,Winwoodのヴォーカルと相俟って,鬼のようなClaptonのギターが聞けたことには本当の幸せを感じた私であった(アップした写真はほかのサイトからの拝借。勝手に転載ごめんなさい)。

ということで,今年はあまりライブに行く機会には恵まれなかったが,行ったものについては相応に印象に残るものであったと言ってよいだろう。来年はもう少し行けたらと思うが,まずは2月のTedeschi Trucks Bandに向けて準備を整えることにしよう。

2011年12月19日 (月)

こいつはまじで凄いぞ,Ondrej Stveracek。

Ondrej001 "Jazz na Hrade" Ondrej Stveracek Quartet(Multisonic)

先日このブログでこの人のアルバムを取り上げた際にも書いた(記事はこちら)が,この人たちのライブ盤を新橋のテナーサックスの聖地"Bar D2"で聞かせてもらい,一発で気に入ってしまった私は,はるかチェコのサイトへと発注をかけたのだが,何とあっという間に到着(プラハから実質4営業日で来たのにはびっくり)である。しかも保険付きの書留便での到着ではないか。これだけでも嬉しくなってしまうカスタマー・サービスだが,音を聞いてまたまた小躍りしたくなってしまった私である。

先日紹介のアルバムは購入意欲をそぐようなジャケだったが,こちらは随分雰囲気があるではないか。この人,年はいくつやねん?という疑問も浮かぶが,ライナーによれば1977年生まれのようである。それにしてはこのジャケは落ち着いた感覚が漂っているねぇと思いつつ,出てくる音は全然違って,まさにハイブラウで,ハード・ドライビングである。スタジオ盤もよかったが,このライブ音源で私はますますこの人にしびれてしまったと言ってもよい。そもそもスタジオ盤で気に入らなかったピアニストの唸りもここではほとんど気にならない(とは言えやっぱり唸っている...)のが嬉しく,音楽鑑賞への集中力をそぐことがない。だからこそ,リーダーのテナーを傾聴できるわけだが,この時代,あるいは77年生まれという年齢を考えて,ここで聞かれるような演奏を展開すること自体が驚きであり,その意外性が望外の喜びをもたらすと言ってよいだろう。

Ondrej 本作はスタジオ盤と多くの曲がかぶっているので,聴き比べるのも一興であるが,私はライブ盤の方が好きである。バンドとしてのまとまりも文句なし。こういうのを眼前でやられていたら点目確実であったであろう。いずれにしても,Ondrej Stveracekという人,そして彼の2枚のアルバムはジャズ・フィールドにおいては今年最大の発見と言ってもよい。びっくり度,興奮度,その他諸々の要素を含めて星★★★★★としてしまおう。これは最高だ。ついでに写真もアップしてしまうが,雰囲気あるよねぇ。この人を教えて頂いたことについては"Bar D2"のマスターには感謝してもし足りないぐらいである。

ちなみにCDは送料込みで1,700円もしないぐらいだったから,それだけでも満足度が高いが,iTunesなら1,050円(但し,日本で理解できる人は少数と思われる冒頭のアナウンスを除けば900円)で入手できてしまう。何ともいい時代である(本作のiTunesのサイトはこちら)。さぁ,皆さん,騙されたと思って聞いてみて下さい。本当に燃えまっせ。

Recorded Live at "Jazz at the Castle" on November 23, 2010

Personnel: Ondrej Stveracek(ts), Ondrej Krajnak(p), Tomas Baros(b), Marian Sevcik(ds)

2011年12月18日 (日)

やはりMarisa Monteはいいのだ。

Marisa_monte "O Que Voce Quer Saber De Verdade" Marisa Monte(EMI)

今年のマイブームとなったのはMaria Ritaであったが,ブラジル音楽で私がアルバムが出れば必ず入手する人にMarisa Monteがいる。本作はMaria Ritaとは全く異なった魅力をMarisa Monteが持っていることを改めて痛感させられたアルバムである。今回,Marisaにとって5年振りとなったアルバムであるが,これがこれまでの作品同様に素晴らしいのである。本当にこの人はレベルが高い。

まず,この人の声が魅力的なこともあるが,それに加え,何ともおだやかでゆったりした音楽がここには溢れていて,それだけでも嬉しくなってしまう。今回のアルバムの特徴はアルゼンチンの音楽に取り組んだことだろうが,それに加えて,米国録音も交えた多彩な音楽性を示している。だが,アルバムとしてはちゃんと筋が一本通っているところがプロデューサーとしてのMarisa Monteを認めなければならないと思わせる。

とにかく,せわしない年末に聞いていてもほっとする瞬間を多数与えてくれる素晴らしき和みアルバム。Marisa Monte,本当に素晴らしいミュージシャンである。あまりに気持ちがよいので星★★★★★を謹呈してしまおう。Maria RitaとMarisa Monteのどちらかを選べと言われたら一体私はどうするだろうか?思わず妄想してしまった。あっ,もちろん音楽の話です(爆)。

尚,Personnelはまたしても老眼でよくデータが読めないので,省略。

2011年12月17日 (土)

Rolling Stones:凄い音源が出てくるものだ。

Therollingstonesbrusselsaffair1973 "Brussels Affair (Live 1973)" The Rolling Stones (Stones Archive Download)

私はStonesの音楽は好きだが,何でもかんでも集めようと思っているわけではない。手持ちのCDなんて,ファンの人に比べれば全く取るに足りないレベルだろう。その程度のリスナーである。しかし,彼らのライブ音源は結構好きで,"Love You Live"は彼らのアルバムの中では今でも一番好きなアルバムと言ってもいいかもしれない。そんなStonesだが,傍系サイトとして"Rolling Stones Archive"を11月に立ち上げたという情報を聞きつけ,更にそこで公開されているのが有名ブートの音源らしいということを知るに及んで速攻ダウンロードに走った私である。

時は1973年,「山羊の頭のスープ」時のツアー音源であるが,さすがに勢いがある。この時のツアーはBilly Prestonの"Live European Tour"という副産物も生んでいる(同作に関する記事はこちら)が,そこにはMick Taylorも参加してギターを弾いていて,「ギターを弾きたいモード」の炸裂を感じさせたのだが,なるほど,この音源でもMick Taylor弾きまくりである。

そして,ここでの音なのだが,Bob Cleamountainがミックスしているからなのか,リストア技術の発展なのか,もともとマスターがあったのかはよくわからんが,すこぶる音がいいのである。こんな優れた音源がFLACで9ドル,MP3でも7ドルってのは一体どういうこと?と言いたくなるような値付けではないか。これはもはやブート対策ということではなく,Stonesも真剣にアーカイブ音源をダウンロード・オンリーでリリースするという宣言のように思える。

それにしてもである。こんな値段で,こんな音源を聞けてしまうことのありがたさというか,何と言うか...。いい時代になったのか,だからCDなんて売れなくなるのだと言うべきなのか。若干複雑な気分にさえさせられるナイスな音源である。いやいや,Stones,カッコええわぁ~。星★★★★★。

Recorded Live at the Forest National in Belgium on October 17, 1973

Personnel : Mick Jagger, Keith Richards, Mick Taylor, Bill Wyman & Charlie Watts with Billy Preston(key, vo), Steve Madaio(tp, fl-h), Trevor Lawrence(sax)

2011年12月16日 (金)

今年3冊目の東野圭吾

Photo 「マスカレード・ホテル」 東野圭吾(集英社)

本年,三冊目の東野圭吾の単行本である。出張の道すがら,手持ちの本を読み終わってしまったので,気楽に読める本はないかと思い,そう言えばこれは読んでいなかったなぁということで,ついつい買ってしまった。そういう力を持っていることは東野圭吾に対する期待,あるいは信頼というものかもしれない。

しかし,この本,何だかなぁって感じである。形式は人間模様が交錯するホテルということで,まさに映画「グランド・ホテル」形式をミステリーに置き換えたものだと言っていいのだが,そのアイディアが平板というか,そもそもありきたりでそこがまず面白くない。また,謎解きの部分も大して驚きがないのが残念。

人間関係や登場人物そのものの描き方は確かにうまいので,面白く読めることは読めるのだが,いざミステリーとして評価しようとすると,そもそものプロットが私には魅力を感じられるものではなかった。おとしまえももう少しちゃんとつけて欲しいものである。

余談だが,登場するホテルに既視感があると思ったら,協力:ロイヤルパークホテルとある。そこはなるほどって感じだったが,小説としては今イチだなぁ。結局のところ,今年出たこの人の連続出版単行本3冊ともに読んだわけだが,水準だとは思いつつ,私にとっては「新参者」のインパクトが強過ぎたというべきか。星★★★。もう暫くは東野圭吾の本はいいかなと思ってしまった。それにしてもこれらの3冊が「このミス」のベスト10に入るって,ほかの作家は一体何をやっているのやらとぼやきたくもなってしまった。

2011年12月15日 (木)

ぎりぎりになってJohn Scofieldの"A Moment's Peace"を聞く。

A_moments_peace "A Moment's Peace" John Scofield(Emarcy)

この作品はブログのお知り合いの皆さんが結構高く評価されている作品である。にもかかわらず,私が最近のJohn Scofieldの活動に関心を失っている(とかいいながら,MM&Wとのライブ盤はアップしているが...)のが災いして,結局買わずに,そして聞かずに過ごしてきたのだが,さすがに年末も近づいて一応聞いてみるかという気分になり,ようやく記事のアップである。

そして本作を聞いてみたのだが,確かにこの作品,深みのあるいい作品であった。テンポはゆったりしているのだが,ジョンスコのまさに歌うかのようなギターの旋律は,この人のイメージを覆すに十分である。私にとってジョンスコと言えば,デニチェンの爆裂ドラムス入りのエレクトリック・バンドということになるのだが,同じ人のギターとは思えないぐらいの違いがあるのだ。ギターのトーンはまさにジョンスコそのものなのだが,ここまで落ち着きを感じさせるジョンスコは初めてだった。そう言えばジャケの雰囲気も落ち着きに溢れているし...。こうした印象を持つのは,私が"Quiet"を聞いたことがないせいかもしれないが,ここでのジョンスコのビター・スイートな感じはかなりよい。繰り返し聞いてもOKの音楽なのだ。リピートにたえる音楽はいい音楽だと私は思っているが,まさにそういう感じである。これなら何回でもいける。

ジョンスコに求める音楽はこんなものではないというリスナーにとっては,若干退屈に響くかもしれないが,ここではムードに流されることなく,ちゃんと個性は打ち出していて,きっちりジョンスコの音楽になっているところが彼の偉いところだと思ってしまった。バックの面々も楚々とした演奏で応えているが,これだけのメンツである。悪いわけはないんだよねぇ。こういう作品をスルーしてきたのはやっぱりまずかったという反省も込めて星★★★★☆。

それにしてもジョンスコが"I Will"を弾くなんて想像した人がかつていただろうか?"I Am the Walrus"とかならわかるが,"I Will"だもんなぁ。意外だが,このアルバムのトーンにはぴったりであった。そして締めくくりの"I Loves You Porgy"の見事な演奏にも全くもって感心させられた私であった。

Recorded in January, 2011

Personnel: John Scofield(g), Larry Goldings(p, org), Scott Colley(b), Brian Blade(ds)

2011年12月14日 (水)

Betty Wrightの新作:The Rootsが関わるとソウル・ミュージックは面白い。

Betty_wright "Betty Wright: The Movie" Betty Wright(S-Curve)

私はソウル・ミュージックの熱心なリスナーというわけではないが,それでも注目に値しそうなアルバムはついつい買ってしまうクチである。そうした中で,The Rootsが関わったアルバムは昨年のJohn Legendといい,今年のBooker T. Jonesといい,ある程度エスタブリッシュされたミュージシャンに新たな魅力を付け加えるという意味で,非常に注目に値すると言ってもよい。今回はそのThe Rootsがベテラン,Betty Wrightと組んだものである。

と言っても,私はBetty Wrightを意識して聞いたことはないが,本作は10年振りのアルバムとなるらしい。ティーンエイジャーの時から活躍し,歌手としてだけでなく,Joss Stoneを見出したり,若い歌手のメンターとして尊敬を集めているとのことである。そしてこのアルバムを聞いてみれば,おぉっ,これは真のソウルを感じさせる魅力的な声である。しかも収められた曲のクォリティの高いことよ。はっきり言って,これにはびっくりである。更に,この人,物凄い声の持ち主で,ハイトーンはMiriah Careyかっ!と思ってしまうぐらいの成層圏(?)ヴォイスである。

更に,The Rootsの面々というのは,ヒップホップ・グループと言いながら,ちゃんとリアルな演奏能力を持っていて,更にビッグネームと共演しても臆するところがないというか,ちゃんと合わせることができる実力を持ったグループだと言える。そうした面々が真っ当な歌手の伴奏をすれば,いいに決まっているというのは先例からも明らかだが,ちゃんとここでもいい仕事をしている。そして,Snoop DoggやJoss Stoneまで華を添えるのだから,これはいいよねぇ。

正直言っていけていないのはジャケだけで,あとは文句の全くない作品である。ソウル・ミュージックが好きなら,まずこの作品はOKのはずだと思う。星★★★★☆。それにしても,The Roots,というか"?uestlove"のプロデュース,いい仕事してるねぇ。信頼できるわ,この人。

尚,参加ミュージシャンが結構多いので,今回は手抜きでクレジットは省略。

2011年12月13日 (火)

Matthew Sweet効果? これは楽しいThe Banglesの新作

Bangles "Sweetheart of the Sun" The Bangles(Model Music Group)

The Banglesと言えば"Walking Like an Egyptian"ぐらいの意識しかない私であるが,メンバーのSusanna HoffsがMatthew Sweetとやった"Under the Covers"シリーズの2枚は楽しいアルバムで,そのポップさが結構気に入っていた(第二弾は記事をアップしている。記事はこちら)。今回のThe Banglesの新譜を私が買う気になったのも,共同プロデュースにそのMatthew Sweetが当たっているからなのだが,これがまたリスナーの期待に背かぬポップな出来で嬉しくなってしまった。

正直なところ,こうした音楽にどうこう言うこと自体意味がないと思えるほどポップなサウンドで,殺伐とした世相や,日頃のフラストレーションを解消するにはまさしく持ってこいのアルバムである。女性の歳をばらしてはいかんが,50歳過ぎてまだまだミニスカで頑張るこの人たち,同世代として好きです~。来日したら,ミニスカ見たさに行っちゃうかも(爆)。

Bangles_live_3 この音楽のよさの源泉として,多用されているギター2本による12弦ギターのような響きがあるように思えるが,Byrdsの持っていたフォーク・ロック的なフレイバーをもたらして,私のような中年の心の琴線をくすぐるのである。曲も結構粒ぞろいで,これはなかなかいけているポップ・アルバムである。"Sweetheart of the Sun"というアルバム・タイトルが示す通り,明るくて,元気が出るアルバム。こういう時代にはこの音楽って貴重だと思ってしまう私が歳なのか...。

いずれにしても,これってやっぱりMatthew Sweet効果なのかと思わせるが,この音楽性,私には非常に心地よかった。何とも嬉しい復活劇である。星★★★★

Personnel: Debbi Peterson(ds, perc, g, vo), Vicki Peterson(g, perc, vo), Sussana Hoffs(g, perc, vo), Derrick Anderson(b), Greg Hilfman(key), Gleg Leisz(g, mandolin), Matthew Sweet(key, b), Jim Scott(p), John Cowsill(vo)

2011年12月12日 (月)

Jill Scott: コンテンポラリー・ソウルって感じである。

The_light_of_the_sun "The Light of the Sun" Jill Scott(Blue Babe/Warner Brothers)

リリースされたのはもう半年近く前だから,これを新譜って呼んでいいかは疑問だが,今年のソウル・チャートでは話題になった一枚である。私はJill Scottについては過去のアルバムも何枚か聞いているが,本作はメジャーのワーナー移籍第1作である。移籍の狙いはきっちり果たしてというか,全米チャート1位まで獲得してしまったのにはびっくりしたが,これは確かに売れる音だろう。

決して売れ線狙いの音楽だとは思わないのだが,音楽がいい具合にラップやヒップホップの要素も織り込み,現代的なフレイバーを持っていて,かなり広い層にアピールしそうな音楽であることは間違いない。逆に言えば総花的に音楽を展開してしまったため,私のようなよりコンベンショナルなソウル・ミュージックが好きな人間にとっては,若干?な部分があることも確かである。ある意味,「新し過ぎ」かなぁって感じである。

しかし,歌のうまさは相変わらずだし,楽しめるアルバムであるが,星★★★★ってところだろう。私は"Beautifully Human"の方が好みだったように思う。そちらもここのところ,全然聞いていないが(爆)。

尚,参加ミュージシャンが多過ぎるのと,老眼でクレジットが読めないため,パーソネルは省略。

2011年12月11日 (日)

Laura Marling: ある意味今年一番驚いたのはこれかもなぁ。

The_creature_i_dont_know "A Creature I Don't Know" Laura Marling(Ribbon Music)

このアルバムをある雑誌で見かけて,気になったのはプロデュースがEthan Johnsということと,Joni Mitchellの影響濃厚という記述であった。Ethan Johns(Glyn Johnsの息子だったのねぇ...)と言えば,Ray LaMontagneのアルバムで私を痺れさせてくれたが,そうした渋い音楽をプロデュースさせれば,Joe HenryやT-Bone Burnetteといい勝負ができるのではないかと思えてしまうほどである。

更に,それに輪を掛けて驚かせてくれたのが,このLaura Marlingという人の声と音楽である。ほんまに21歳か!と思ってしまうほどだが,たばこで声が低くなる前のJoni Mitchellの声を確かに想起させるし,このSSW的な味わいは非常に私にとってはフィット感が強い。ティーンエイジャーでデビューした当時からこうした音楽性を備えていたのだとすれば,それはそれで凄いことである。英国の音楽シーンはAdeleといい,Joss Stoneといい,ある意味「若年寄」的な音楽を聞かせる女性ミュージシャンが多いのが面白いが,それだけ伝統というものについてもしっかり身についているということだろう。

それにしても,シンプルなバックを従えて,トラッド的な要素も感じさせながらの歌唱ぶりには本当に驚かされると言わざるをえない。しかも,音楽性が多彩であり,"The Beast"等は強烈なロック・フレイバーすら感じさせるのである。こんな人を輩出してしまう英国ってのはどういう国なんだ!と思ってしまうが,それほど年齢にしては成熟感のある音楽やり過ぎである。しかも何と渋いジャケ。とにもかくにも味わい深い作品であり,今後の活動への期待も膨らむまさに驚きの21歳。星★★★★☆。

Personnel: Laura Marling, Ruth De Turberville, Pete Roe, Marcus Humblett, Matt Ingram, Graham Brown & Ethan Johns

2011年12月10日 (土)

もはや年末なのにアップしていないアルバム多数で焦る私...

残すところ今年もあと3週間だというのに,今年買ったアルバムでアップできていない作品がかなりの数残っている。その中には出来がよくて,今年のベスト盤候補と言ってもよいものも含まれているだけに,かなり焦っている私である。まじでやばいなぁ。

しかも,今年はかなりの豊作だったので,年末に向けてベスト盤選出には相当悩むことになりそうである。そうは言っても,今年のナンバー・ワン作品は既に決まっているし,それを変える気もないが...。さて何でしょう(笑)。

Ondrej Stveracek:世界にはまだまだいろんな人がいるねぇ...。

Whats_outside "What's Outside" Ondrej Stveracek(Cube Metier)

お馴染みテナー・サックスの聖地,新橋のBar D2で教えて頂いたCDであるが,取り上げるのが遅くなってしまった。しかし,これがジャケは冴えないが,内容はえげつなくいいアルバムである。これには正直痺れてしまった。Ondrej Stveracek,チェコ出身のテナーらしい。チェコと言えばMiroslav VitousとかJan Hammer,George Mrazあたりを思い出すが,サックス・プレイヤーって誰が居たっけなぁって感じだろうが,いるんだねぇ,凄い人が...。

サウンドはColtraneの影響濃厚かなぁって感じなのだが,この人はテナーの音も,フレージングも素晴らしいところが気に入ってしまった。しかし,このジャケである。これだけ見れば,一切購入意欲がわかないところでかなり損をしているのではないかと思ってしまうが,ハード・ドライビングな演奏でも,バラッドでもこの人の演奏能力は折り紙付きである。テナー好きは買って損はしない。

リーダーを支えるバックのトリオも好演なのだが,ピアニストの唸りだけは何とかして欲しいなぁ。発情した山羊のような奇声を聞かされては,その部分については聞く気が失せる。このアルバムの瑕疵はそれだけであって,それを除けば満点をつけてもいいような作品である。星★★★★☆。

しかし,新橋のお店に通っていると,「何じゃこりゃ?」と思わせつつ,強烈に購買意欲を煽るアルバムを聞かせて頂くことが多いが,まさにこれもそんな一枚。先日お邪魔した時にはこの人のライブ盤を聞かせて頂き,これまた一発で気に入った私はチェコのサイトに即,発注をかけたのであった...。

それにしても,ベースを除けば誰ひとりとして名前をどう発音するのかわからんぞ(爆)。

Personnel: Ondrej Stveracek(ts),  Ondrej Krajnak(p), Tomas Baros(b), Marian Sevcik(ds), Radek Nemejc(perc)

2011年12月 9日 (金)

Winwoodの歌とClaptonのギターに感動した夜

Ec_sw1 まさに大幅に期待値を上回るものを見せてもらったと言うべきである。武道館におけるEric ClaptonとSteve Winwoodのライブには正直感動すら覚えてしまった私だが,彼らは本当のプロだと思った。

ロックのライブにしては異様に平均年齢が高く,2階席とは言え,アンコールまで一度も立たずに済んでしまったと言うのも珍しいが,そもそもが私が平均的年齢ではないかと思えるほどだったのだから笑える。しかし,そうした結構年齢層の高い聴衆のほとんどが帰途につく際には私と同じような感慨を覚えていたのではないだろうか。それぐらい素晴らしいライブであったと思う。

私はこれまでも何度かClaptonのライブは見ているので,実のところのお目当てはSteve Winwoodの方だった。彼の歌が非常に素晴らしかったのがまず嬉しかったのだが,Claptonの歌に対する負担が減ることによって,彼のギターへの集中力が高まり,技が冴えるという相乗効果を生みだしていたように思う。よって,ライブを通じて素晴らしいギターを聞かせていたのだが,アンコール前の"Voodoo Chile"でそれがピークに達したのである。まさに鬼神と言いたくなるような強烈なギター・ソロはまさに白眉だったと言える出来であった。私がこれまでライブで接したClaptonのソロよりも優れたものだったと言っては言い過ぎか。しかし,私は座席で思わずのけぞってしまうぐらいの強烈な演奏であった。

バック・バンドではSteve Gaddがシャープなドラミングを聞かせており,二人をよく盛り立てる一方,Chris Staintonのピアノ・ソロはアイディア不足(というか完全なワンパターン)でいただけない部分もあったが,そんなことはどうでもよくなるぐらい,主役の二人が素晴らしかったと言える。

アコースティックでやった"Wonderful Tonight"もよかった。"Gimme Some Lovin'"のWinwoodのヴォーカルも最高だった。Claptonがギターの"While You See a Chance"も味わい深かった。とにかく全編を通じて素晴らしいミュージシャンによる素晴らしい演奏に触れられた2時間であった。

このメンツでもう1回というのは難しいかもしれないが,本当にいいライブであった。

2011年12月 7日 (水)

早くも到着:Brad Mehldauの「トリオの芸術」ボックス!

Mehldautrioartofthetriobox "The Art of the Trio Recordings: 1996-2001" Brad Mehldau Trio (Nonesuch)

いやいや早くも到着である。嬉しいねぇ。以前の記事にも書いたとおり,このボックスはWarner時代の「トリオの芸術」シリーズ全5作の集成ボックスである。いくら私がMehldauのコンプリートを目指すからと言ってそれだけなら買わないが,このアルバム,未発表のVillage Vanguardのライブ音源が7枚目のディスクとして入っているから,買わないわけにはいかないのである。

一昨日のMahavishnuと同じような売り方と言えるが,あちらは買わないで,こちらは買うというのが私のMehldau狂いゆえである。またこうして嵩張る箱モノが増えて,ますます収納は苦しくなる一方だが,それでもこれは値段も安いし,買って損はない。特に未聴の方はVol.1,Vol.3あたりから聞いてみてもらえば,彼らの演奏がいかに魅力的かわかると思う。

ということで,年末年始は改めてMehldauがブレイクしたこのシリーズにゆっくりと耳を傾けることとしたい。ライブ音源については改めて記事をアップしたいと思う。

2011年12月 6日 (火)

Milton Nascimento: "Travessia"か"Courage"か?

Jazzの好きなリスナーにとって,Milton Nascimentoと言えばWayne Shorterの"Native Dancer"と結びつくことが多かろうが,私の場合はSarah Vaughanの"O Som Brasileiro de Sarah Vaughan"の"Bridges"が印象深い。そのアルバムについてはこのブログでも記事をアップしたが(記事はこちら),そこでは結構ビブラートがかかった歌い方をしていたが,Sarahの前で緊張していたか?(笑)

Nascimento_courage Milton_travessiaそれはさておき,本日のお題はそのMilton Nascimentoである。私はブラジル音楽が結構好きだが,それでも彼の音楽を愛聴するってほどではなかった。だが,先日中古でCTI盤"Courage"を入手してきて,それはそれで楽しんでいたのだが,ちょっとした違和感を覚えていたのも事実である。その原因は何曲かで聞かれる英語でのヴォーカルと一部のミキシングにあったように思えるのだが,どうもそれだけではなかったのだ。この作品が彼の第2作であり,曲目が結構かぶる第1作が存在することはその後で知ったのだが,それが"Travessia"で,この2作は似ているようで,かなり違うところが非常に面白いと思ったのである。

端的に言ってしまえば,"Travessia"が土着の魅力を持っているとすれば,"Courage"はやや都会的な装飾を施したという感じだろう。より卑近な表現を使うならば,"Travessia"が田舎の可愛い女の子の「素」の魅力を示しているとすれば,"Courage"はその女の子が都会に出てきて,化粧を施し,万人向けの美人になったという印象を持ってしまった。もちろん,後者とて美人である。悪いわけがない。だが,本当の魅力はすっぴんだろうがなんだろうが感じられるし,真のその子の姿や性格を知っている人間ならば,「素」の方を愛するのではないかと思えるのだ。「木綿のハンカチーフ」に照らして言えば,「都会の絵の具に染まらない」Milton Nascimentoと言えばいいか(なんでやねん!?)。

話がとんでもない方向に向かってしまったが,この2枚を例えて言うならば,この「田舎の可愛い女の子が都会に出る前と出た後」論(そんなもん,あるんかいっ?)が私には一番しっくりきてしまうのだ。こんなことを通勤中のiPodでこの2枚を聞きながら考えていたのだから,私も相当の変態でアホである(爆)。

だが,私の言っていることをご理解願うとすれば,この2枚を聞き比べてもらうしかないのだ。しかし,どちらも楽しめることは間違いないし,これを聞いてSarah Vaughanがまた聞きたくなってしまったのだから,効果絶大なMilton Nascimentoであった。

それにしてもアホな記事だなぁ...。何を書いてるんだか(苦笑)。

2011年12月 5日 (月)

John McLaughlinのファンとしては気になるボックス・セット

Mahavishnu_box John McLaughlinのWebサイトを見ていると非常に気になる情報がアップされている(http://www.johnmclaughlin.com/news/2011/12/01/mahavishnu-orchestra-the-complete-columbia-albums-collection)。

それはオリジナルMahavishnu Orchestraのアルバムを集成したボックス・セットなのだが,それだけなら大したことはないと考えてしまうが,そこについているボーナス・ディスクが完全未発表の"Between Nothingness And Eternity"時の1973年,セントラル・パークでのライブ音源だというのだ。ということは件の「虚無からの飛翔」の未発表テイクだということになってしまい,これはファンは買わざるをえないという結論になってしまうではないか。

しかし,このライブ盤である"Between Nothingness And Eternity"は音がブート並ということもあるので,買うとしてもよほどの好き者に限られそうな気もするが,私は...って感じである。やっぱり買っちゃうのか?未発表音源だけ別売りして欲しいが,このCD不況の世の中である。そんなことを強欲Sony Legacyがするとは思えないなぁ(笑)。

それでもやっぱり気になってしまう私は病気である。あぁ~,買ってしまいそうだ。誰か音源をネットにアップしてぇ~(悲鳴)。

2011年12月 4日 (日)

Jeffrey Deaverが書く007は映像を喚起させる。

Photo 「007 白紙委任状」 ジェフリー・ディーヴァー著,池田真紀子訳(文藝春秋社)

私はJeffrey Deaverの「ロードサイド・クロス」も買ったはずだが,積んどく状態に陥ったままである。それ以外はそもそも彼の本を読んだこともないはずだ。そんな私がこの本を読む気になったのは,007シリーズだからである。このブログにも書いているが,私は映画の007シリーズがかなり好きなので,007に反応してしまったのであるが,Jeffrey Deaverという名の通った作家がこのキャラクターを描くとどうなるのか。

この本を読んでいて思ったのは,非常に映像として喚起しやすいストーリー・テリングだということだろう。これならば映画化してもOKという感じの展開であり,登場人物(特に女性)に誰をあてるかという風に考えながら読んでしまった。なかなかスリリングな展開もあり,悪役も魅力的ということで,これはそこそこ楽しめる出来だったと言ってよいだろう。

もちろん,この展開はさすがにないだろうと思わせる部分がないわけではないが,それは映画の007シリーズとて同じことである。こういう作品は肩肘張らず楽しめばいいのだと思っている。それにしても結構長かったなぁ。面白かったからいいけど。星★★★★。

2011年12月 3日 (土)

おめでとう!柏レイソル

Photo_2 私はJリーグの中でひいきにしているチームは実はあまりないのだが,立場上,柏レイソルのことは気になってしまう(謎)。そんなレイソルがJ2からJ1に昇格して,なんと優勝してしまったというのは快挙と言ってよい。

今日の浦和レッズとの試合に勝てば優勝というのはなかなかしびれるシチュエーションであったはずだが,結果は3-1の完勝である。私はわけあって後半の途中までしか見ていないのだが,それでも前半はレッズに試合をさせていなかったと思う。強力なオフェンスと組織だったディフェンスで,レイソルってこんなに強かったのかと思ってしまった。

いずれにしても,今回のJ1優勝でクラブワールドカップへの出場権も得て,世界の強豪と戦うチャンスを得たことは非常に喜ばしいことであり,ここ暫くはレイソルを応援する機会が増えることになった。

それにしても,今回のチームに仕立て上げた監督のネルシーニョは大したものだが,それに見事に応えたチームも偉い。おめでとう,柏レイソル。更なる活躍を祈る。

やっと通しで聞いたMiles Davis Bootleg Series。

Bootleg_series "Live in Europe, 1967: The Bootleg Series Vol.1" Miles Davis Quintet(Sony Legacy)

今年発売された発掘盤で最も注目されたアルバムは本作と言ってもいいように思うが,一方でブートを買っている人たちからは,何を今さらというような有名ブート盤をオフィシャルにリリースしたものに過ぎないという評価もある。未発表音源も2曲しかないしねぇ。確かにその通りである。

しかし,Milesのブートはロスト・クインテットものと70年代しか買わない私のような人間にとっては,全て未聴の音源だし,かつ黄金クインテットの演奏だから買わないわけがない。しかも円高の効果もあり,無茶苦茶安いし...。

だが,未見のDVDを入れて4枚組みとなると,なかなか通しで聞く機会に恵まれなかったのだが,やや長い移動時間の出張があったのでそこでCD3枚を続けて聞いた。お馴染みのレパートリーが続くのでどうなのかなぁと思っていたのだが,そこはこのメンツである。非常にレベルの高い演奏が続いて非常に楽しめる。特にWayne Shorterが露出度が高いというか,非常に印象に残る演奏を展開していて,Shorterファンの私としてはそれだけでも嬉しくなってしまう。

それにしても,このような演奏をブートレッグだけにしておくのはもったいないわけだが,ちょっとリリースのタイミングが遅すぎるだろうと揶揄されても仕方がない。だからと言ってこのリリースの価値が下がるわけではないが,ソニーにはもっと出し惜しみしないで出せと言いたくなってしまう。いずれにしても,これだけの演奏である。星★★★★★しかあるまい。

Recorded on October 28, 1967 at the Konigin Elizabethzaal, Antwerp, Belgium, on November 2, 1967 at the Tivoli Konsertsal, Copenhagen, Denmark and on November 6, 1967 at the Paris Jazz Festival, Salle Pleyel, Paris, France(データはCDのもの)

Personnel: Miles Davis(tp), Wayne Shorter(ts), Herbie Hancock(p), Ron Carter(b), Tony Williams(ds)

2011年12月 2日 (金)

懐かしいよねぇ。John Abercrombieの"Characters"

Characters "Characters" John Abercrombie(ECM)

正確に言うとこの記事の主題は正しくない。私はECMレーベルの音楽がかなり好きで,相応の枚数のアルバムを保有はしているが,だからこそ持っていることで満足してしまって,ちゃんと聞いていないアルバムも実は結構あるのだ。しかし,それではいかんということで,昨今,せっせとリッピングしているところである。その一環で,iPodに突っ込んだアルバムのうちの1枚が本作である。録音は1977年であるからもう随分と昔のアルバムとなってしまったが,いずれにしてもちゃんと聞いたのはかなり久しぶりのような気がする。久しぶりに聞いた=懐かしいではないので,やはり主題としては不正確かなぁ...(だったら,変えればいいじゃん!と自ずからつっこみを入れる私)。

それはさておき,冒頭からインド音楽(シタールの響きと言えばいいだろうか)のような感覚を覚えさせられて,まずちょっと驚いたのだが,それは冒頭だけで,その後はECMらしい浮遊感のある音楽が続いている。本作はAbercrombieのギターの多重録音によるものであり,前はこういう取り組みがECMには結構あったなぁなんて思うのだが,それも懐かしさを増幅させる要因かもしれない。

リズム隊がいないこともあり,ある意味特異なアルバムなので,本作を1枚聞き通すのはECMファンでないときついかもしれないが,これは特に好き者にとっては鑑賞に耐えうる音楽であることはもちろんだが,アンビエント・ミュージックとしても使えそうな感覚が強い。それがECMレーベルらしい個性とも言えるが,あの頃のECMって感じの音楽である。

アルバムを通して聞いてもいいが,私は曲想の変化や演奏の質から,冒頭の"Parable"が白眉。Abercrombieを聞くならこれからってことはないが,これはこれで楽しめる。星★★★☆。

Recorded in November, 1977

Personnel: John Abercrombie(g, mandolin)

2011年12月 1日 (木)

ありがとうございます。3/4 Million PV。

私のブログにはアクセス・カウンターが付いているが,その区切りは100万PVであることは間違いない。いつ頃になるかなぁなんて思いつつ,カウンターを眺めることもよくある。そして,いつも10万アクセス積みあがる毎に皆さんにお礼を述べているが,今回は例外的に75万PVである。タイトル通り,3/4 Millionなので,一応ご報告させて頂く。

昨今は私の音楽ネタの枯渇が原因なのか何なのかわからないが,1日当たりのPV数は以前よりも減少しているが,それでも多くの方々にアクセスして頂いており,本当にありがたいと思っている。

いずれにしても,引き続き継続できるよう頑張りますので,今後ともよろしくお願いします。

Sealがクラシック・ソウルに挑む第2弾。私はこっちが好きかも。

Seal_soul2 "Soul 2" Seal(Reprise)

Sealがソウルのクラシック・ナンバーに挑んだその名も"Soul"がリリースされたのはあれはあれでよかったのだが,私は伴奏が気に入らないとこのブログに書いたことがある(記事はこちら)。それでもSealの歌唱にはまいった私であった。そのSealが二匹目のドジョウというわけではなかろうが,同一コンセプトのアルバムをリリースしてきた。前作のプロデュースはDavid Fosterだったが,今回はFosterに加えて,Trevor Hornがプロデュースを担当している。

今回のアルバムの中心を形成するのは1970年代のソウル・ミュージックである。The Miracles(Smokey Robinson)の"Ooh Baby Baby"が60年代,Teddy Pendergrassの"Love T.K.O"が1980年の作品である以外は,全て70年代の曲ばかりであるが,これが相当しびれる出来である。

なぜ,こんなにしびれるかというと,ここでのSealはかなりストレートにカバーしていて,それが非常に好感が持てるからだと考えられる。"What's Going On"だけはちょいと仰々しくやっているが,それでもAl Greenの"Let's Stay Together"なんて,まさにいい感じなのである。私はこのアルバムがショップでかかっているのを聞いて,思わず耳をそばだててしまったが,結局はダウンロードでゲットした私である。いつも言っている通り,CDの収納場所にはもはや限界があるので,最近はできるだけダウンロードを多用しているのだ。

それはさておき,これは歌のうまい人がちゃんと歌えばいいに決まっているというのを改めて実証しているが,原曲のよさにも助けられているとは言え,これは相当いいと思った。そんなにいいと思うならちゃんとCDを買え!と言われてしまいそうだが,Sealにそこまで思い入れはないので,ダウンロードで十分なのだ。それでもこれはクラシック・ソウル・ファンならば,結構気に入るのではないかと思えるような出来のアルバム。

ミュージシャンのクレジットが見当たらないので,誰が演奏しているのかわからないが,ストリングスの使い方も適切だし,Sealもいつものようなクセが感じられない歌唱で,前作"Soul"より私はこっちの方が好きだろうなぁ。星★★★★☆。

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