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2015年おすすめ作

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2011年10月31日 (月)

"Angel Clare":やっぱりこれは名盤である

Angel_clare_2

"Angel Clare" Art Garfunkel(Columbia)

私はArt Garfunkelのソロ・アルバムが結構好きなのだが,どれが一番好きかと言えばやはりこのアルバムか"Scissors Cut"の国内盤仕様ということになってしまう。本作の「天使の歌声」というタイトルはまさに言い得て妙としか言えないが,久しぶりにこのアルバムを聞いても,やはりGarfunkelの歌唱が何とも素晴らしい。

彼の歌声はS&Gでももちろんいいのはわかっているが,Paul Simonのオリジナルから離れた時がこれまたいいのである。特にJimmy Webbの曲との相性は最高と言ってもよいが,このアルバムにおける白眉は冒頭の"Traveling Boy"だと言い切ってしまいたい。Paul WilliamsとRoger Nicholsというソングライター・チームの曲だから,曲そのものもいいってことはあろうが,これこそGarfunkelのために書かれたような曲だと言いたい。そして曲のよさを活かす歌手としての矜持に溢れたとでも言いたくなるような,まさに心洗われるような名唱である。後のベスト・アルバム"The Art Garfunkel Album"ではイントロをカットして収録するという野暮なことをやったが,この曲はちゃんとイントロからエンディングまできっちり聞く価値があると強く言っておきたい。

そして,第二のハイライトはJimmy Webb作の"All I Know"であろう。LPのB面1曲目であったこの曲は全米トップ10入りもしているが,これなら当然だと思わせるような佳曲,名唱である。

アルバム全体を通して聞くと,"Feuilles-Oh/Do Space Men Pass Dead Souls On Their Way To The Moon?"のように,ちょいとやり過ぎではないかと思わせるような部分もないわけではないのだが,それでもやはりこれは1973年を代表するポップ・アルバムの1枚と言っていいのではないかと思う。星★★★★☆。

ゲストも多数で,メンツを書き切れないのだが,"Traveling Boy"でギター・ソロを弾いているのがJ.J. Caleだという説があるものの,私にはこれは絶対J.J.には聞こえないけどなぁ。ピアノは間違いなく,Larry Knechtelだが。私の耳が悪いのかなぁ...(笑)。

2011年10月30日 (日)

またまたX-MENである。

Xmen_the_last_stand 「X-MEN:ファイナル・ディシジョン("X-MEN: The Last Stand")」('06,米,FOX)

監督:Bret Ratner

出演:Hugh Jackman, Patrick Stewart, Ian McKellen, Fameke Janssen, Halle Berry, Anna Paquin, Kelsey Grammer

結局3本目もレンタルで借りてきた私である。結構はまっているものだ。このシリーズ,いろいろなキャラクターが出てきて,頭を整理するのが大変だが,スピンオフを含めて,シリーズを通しての話の上での辻褄はほぼ合うようになっている。

だが,映画として見るとどうか。この第3作はオリジナルのトリロジーの中では,最も出来が悪い。登場人物の多さとストーリーの整理がうまくついていないところが最大の欠点だろう。今回,最も怖いのは前作で湖に消えたJean Grey役のFameke Janssenが制御を失った状態となるPhoenixってことになろうが,それはそれでよいとしても,金門橋をぶっ壊して,アルカトラス島との架け橋にしてしまうというスペクタクルを見せ場にしていいのか,激しい戦闘シーンを見せ場にしたいのかよくわからないのである。

エンディングを含めて,続編への布石は打ったかたちになっているが,肝腎の本編の出来がこれではさすがにいかんだろう。一応3部作の最終作とするならば,もう少しきっちり作るべきだったと思うが,監督がBryan SingerからBret Ratnerに途中交代したことの問題がはっきり顕在化してしまっていると思わざるをえない。それに伴って,Cyclops役のJames MarsdenもSinger監督作"Superman Returns"出演のため出番が減り,途中でシナリオが変更されていることがはっきりした作りなのもいただけない。

折角いい線まできていただけに,これでは画竜点睛を欠いたというのが正直なところである。それでもまぁ面白くは見られたが,ちょっと納得がいかない出来であった。星★★☆。

2011年10月29日 (土)

"Art of the Trio Box"が12/6に発売される

Mehldautrioartofthetriobox Nonesuchのサイトを覗いていたら,嬉しいニュースが。Brad Mehldauの「トリオの芸術」シリーズ全5作に未発表音源を加えた7枚組が12/6にリリースされるそうである。これらのアルバムを全て保有している私としても,未発表音源を集めた7枚目のためだけに買わざるをえない。しかし,7枚組で38ドルって安いねぇ。今のレートでいけば,3,000円ぐらいではないか。

注目の未発表音源はVanguardでのライブ音源で,データは次の通りである。いやいや,これは嬉しいねぇ。今年の私へのクリスマス・プレゼントですな(笑)。

(1) London Blues(January 7, 1999)
(2) Unrequited(August 1, 1997)
(3) Ron's Place(July 31, 1997)
(4) In the Wee Small Hours of the Morning(September 2001)
(5) Lament for Linus(July 31, 1997)

2011年10月28日 (金)

これは凄い!Lou Reed & Metallicaの共演は掛け値なしの傑作。

Loureedmetallica_lulu "Lulu" Lou Reed & Metallica(Warner Brothers)

本作のリリース日はまだ先のはずなのだが,なぜか近所のショップで売っていたので,即ゲットした私である。

Lou ReedとMetallicaが共演と聞いただけで,意外な感じはなきにしもあらずながら,期待しない方が無理だろうと思ったのはきっと私だけではないはずである。その彼らの共演盤"Lulu"が2枚組約78分というボリューム(しかも10曲しか入っていない)でリリースされたのだが,これが凄い。本当に凄い。これを上回るアルバムは今年は出ないと断言したくなるような傑作なのだ。

と言っても,このアルバム,まだ通勤途上で1.5回(笑)聞いただけなのだが,それだけでもこのアルバムの素晴らしさがわかる。ポエトリー・リーディングのような,独白劇のような,そして見事にロックであるLou Reedを完璧にバックアップするMetallicaのコンビネーションが強烈である。また,Metallicaのソリッドな演奏が本当にしびれる出来なのだ。

こういう演奏はもう少し時間を掛けてレビューしたいと思うので,今日はここまでとするが,ジャケはさておき,これは誰が何と言おうとも星★★★★★のマスターピース。これを聞いて興奮しなければ,ロックに縁はない(とは言い過ぎか)。なぜこのアルバムの中の"Junior Dad"でMetallicaのKirk Hammettがなぜ涙したかを探るためには,歌詞をしっかり追うしかない。久しぶりに味わいたいと思ったロック・アルバムである。

繰り返す。これは本当の傑作である。ジャンルを越えて,私にとっての今年のナンバーワン・アルバムはこれに決まったと言ってもいいだろう。このような作品が,海外で結構けちょんけちょんにけなされている(本当にぼろくそに書かれている)のは何とも解せない。ヘビメタの概念でしかこの音楽を聞いていなければきっとダメだろうが,Lou Reedの"Raven"が好きな私にとっては,これまた興奮させられるアルバムなのだ。また続きは別の機会に書きたいと思う。よって,Personnelも今回は省略。

2011年10月27日 (木)

Rachael Yamagataの新作が出たのだが,現物はまだだ...

Rachaelyamagatachesapeake "Chesapeake" Rachael Yamagata(Frankenfish)

私が贔屓にしているRachael Yamagataの新作が(ひっそりと)リリースされた。本作のリリースに当たっては,Pledge Musicでの資金集めを行い,それで制作するという手作り感が強いアルバム。私もそこでCDとTシャツの購入を行って資金調達に若干の貢献をしたのだが,まだ現物は届いていない。まずは先にデリバリーされたMP3での音源で聞いているのだが,前作がメジャーのワーナーからだったことを考えると,そもそも,ポジションとしての落差が大きいようにも思える。しかし,彼女のようなシンガーがどのようなかたちにしても活動を継続できることは私としては大変嬉しいことである。彼女のWebサイトを除いて,ほとんどプロモーションもしていないようだが,ちゃんとファンはついているのだ。そして,現在,彼女はライブ・ツアーを敢行中である。NYCではKnitting Factoryとかに出るんだなぁ...。見たいなぁ。12月にはCity Wineryとかいう多分新しいクラブにも出るらしいしなぁ。いいなぁ。

現物がないので,音だけでの判断になってしまうのだが,相変わらずこの人の声が素晴らしい。私の心を刺激するいい声なのだ。しかし,このアルバムの冒頭の"Even If I Don't"がこの人にしては物凄くポップなサウンドで驚いてしまう。前作の"Elephants...Teeth Sinking Into Heart"が2枚組のコンセプト・アルバムだった(記事はこちら)だけに結構こちらの落差も大きいが,2曲目以降はデビュー・アルバム"Happenstance"(記事はこちら)路線に近い感じもする。

ちゃんとしたレビューは現物が来てからにするが,これってやっぱり魅力的である。そして,プロモーションが行われないのももったいないので,私が多少は助けましょう(ほんまかっ!?)ということでのご紹介である。本当にいい歌い手なのだ。このそこはかとない暗さ,たまりません。だからこそ1曲目が浮いているのだが(笑)。

2011年10月26日 (水)

またしても…

記事を書き損なってしまった。最近、こういうのが多いなぁ。単なる飲み過ぎって話もあるけど。反省、反省。

2011年10月25日 (火)

ジャズ・ファン注目のOpus 5が出た!

Opus_5 "Introducing Opus 5" Opus 5(Criss Cross)

このアルバムのメンツを見れば,膝を乗り出すジャズ・ファンが多いのではないかと思う。何てたって,フロントがSeamusにSipiaginである。期待するなってのが無理だろう。このブログでも取り上げたDavid Kikoskiの"The 5"(記事はこちら)のドラムスをJeff 'Tain' WattsからDonald Edwardsに代えればこのバンドとなるから,人脈的には今回のアルバムが契機となったというわけではなさそうで,通常から付き合いのあるメンツと言ってもよさそうだ。

冒頭からKikoskiのRhodes聞こえてきておぉっ!となるが,そこにKozlovの野太いベースがかぶってくるのはなかなかいい感じである。テーマ部分のフロントの対位法的な絡みは今イチ面白みに欠け,これってどうなのよと思わせるが,その後のソロ(特にKikoski)が素晴らしく,不安を帳消しにする。

演奏としては,まぁこのメンツらしいものと言ってもよいと思うのだが,私がこのアルバムを聞いていて思うのは,もう少しハード・ドライビングな展開(あるいはテンポが速めの曲)があってもよかったということである。特にSeamusにはもっとアグレッシブにやってくれって気がしないでもない。そもそも2曲目の"Tallysman"のような曲にSeamusのソロがないってどういうこと?と言いたくなる。もちろん,Toninho Horta作の"Ton to Tom"におけるSeamusのコクのあるフレージングは,それはそれで優れていると思うが,彼にはもう少しブリブリ吹いて欲しいなぁって気がしてしまうのだ。リスナーなんてわがままなものだとは思うが...。いずれにしても,私としては本作はSeamusのプレイぶりよりも,SipaiginとKikoskiの方がよく聞こえてしまうのだ。

もちろん,水準は上回った作品だとは思いながら,このメンツならではのもう少し痺れるような感覚を生み出せなかったものか。それが少し残念。フロントの2人のオリジナルが入っていれば,多少感覚は違ったかもしれないが,やはりもう一歩弾けて欲しいと思うのは私だけではないだろう。星★★★☆。

Recorded on  January 27, 2011

Personnel: Seamus Blake(ts), Alex Sipiagin(tp, fl-h), David Kikoski(p, rhodes), Boris Kozlov(b), Donald Edwards(ds)

2011年10月24日 (月)

Opus 5について書こうと思ったけど...

今日はSeamus Blake,Alex Sipiagin, David KikoskiほかのコンボであるOpus 5について書こうと思ったのだが,諸事情(???)あって延期である。メンツからすれば,このアルバムへの注目度は相当高いはずだが,明日にはちゃんと書きたいと思うものの,私としてはこのアルバムは微妙と予告しておく。

2011年10月23日 (日)

無茶苦茶懐かしくて思わず買ってしまったAngela Bofill

Angie "Angie" Angela Bofill (Arista/GRP→Buddha)

いやいや懐かしいアルバムである。まだGRPレーベルがアリスタ傘下にあった頃発売されたもので,私はその頃,このLPを持っていた。なんで私がかというと,あくまでもその頃からDave Grusin買いだったのである。当時から,この人のヴォーカリストとしての資質には疑問を感じていて,音程が悪いと思っていたから,結構手放すのも早かったはずだと記憶している。しかもこのジャケだしねぇ。

しかし,GRP10周年コンピレーション(それが出たのももう20年近く前だ!信じられん...。それに関する記事はこちら)にもこのアルバムから"Under the Moon and Over the Sky"が収録されていて,そこでも何とも言えない懐かしさを感じていた私であり,いつかはまた聞いてみようかなぁと思っていた。今回,中古盤屋で見つけたので思わず買ってしまったが,こういうのを無駄遣いと言われても反論は不能だが,まぁいいやってことで(何がや!?)

このアルバムをほぼ30年ぶりぐらいに聞いたことになると思うが,やはり音程の悪さは今でも感じるし,歌手としてはどうなんだろうと思わされる部分も多々ある。はっきり言ってしまえば,私の趣味では決してない。しかし,結局,当時もそうだったのだが,私はバックの面々の演奏を聞くためにこのアルバムを買っているようなところがあるわけで,そっちの方はどうか。一聴して思ったのが,渡辺貞夫の"Morning Island"のサウンドと結構かぶっているなぁって感覚である。Dave Grusinというアレンジャーが同じなのだから,サウンドが似ても当然だが,使われているミュージシャンもかなりかぶっているからそれも当たり前ってところか。それにしても,誰がどう聞いてもGrusinのストリングス・アレンジが飛び出して笑みを誘う。

その中で,"Rough Times"が懐かしのディスコ・ミュージックみたいで完全に浮いているが,それもご愛嬌ということにしておこう。1978年という時代感がプンプン臭うアルバムである。いやいや,それにしても懐かしかった。"Share Your Love"がこのアルバムでは一番好きだが,そこに出てくるGeorge Youngのアルト・サックス・ソロのフレーズを覚えていたのは私も驚きであった。高校生の頃は大してアルバムも買えなかったから,こんなアルバムでも一生懸命聞いていたことの証だろう。それはさておき,アルバムとしての出来としては星★★★が精一杯ってところだが,私のノスタルジーを刺激したことは間違いない。たまにはこういうのも必要ってことで...。

Personnel: Angela Bofill(vo), Dave Grusin(p, key, perc, arr), Eric Gale(g), Richie Resnicoff(g), Francisco Centeno(b), Buddy Williams(ds), Steve Gadd(ds), Ralph MacDonald(perc), Roger Squitero(perc), Dave Valentine(fl), George Young(as), Gwen Guthrie(vo), Patti Austin(vo), Vivian Cherry(vo), Members of the Dance Theater of Harlem Choral Ensemble(vo), and Horns & Strings

2011年10月22日 (土)

さぼり癖はいかん!ということで,今日は"X2"である。

X2 「X-MEN 2("X2")」('00,米,Fox)

監督:Bryan Singer

出演:Hugh Jackman, Patrick Stewart, Ian McKellen, Fameke Janssen, Halle Berry, Anna Paquin

昨日は訳あってと書いたが,今日も記事を書かずにすませてしまうと,自分に甘い私にはさぼり癖がつくということで,アップの時間は遅くなってしまったが,またまたX-Menシリーズである。

私は先日飛行機で見た「ファースト・ジェネレーション」以来,このシリーズに結構はまってしまって,今回はレンタルで2作目を借りてきたが,これも結構良くできていた。映画の第2作は出来が前作よりも落ちるというのが通例である。しかし,この映画に関して言えば,説明的な部分が省けるがゆえに,ストーリーとしては結構すっきりさせながら,人間とミュータントとの関係性を強調しながら,第3作への布石も打つというなかなかよく出来たシナリオであるというのが正直な感想。

私は途中で止めて,2日に渡って見るつもりで,夜遅くに再生を始めたのだが,結局最後まで続けて見てしまい,翌日は寝不足気味でまいってしまったというのが実態である。他愛のない話と言えば,全くその通りであるが,新キャラも登場させつつ,全く飽きないと思わせるのは立派。星★。こうなったら,次は第3作のレンタルだな(爆)。

2011年10月21日 (金)

本日はお休みです

訳あって本日はお休みです。それにしても最近、まともに音楽が聞けていないなぁ。

2011年10月20日 (木)

こうなっていたのか...。Yesの"Fly from Here"

Yes_fly_from_here "Fly from Here" Yes(Frontiers)

ブログのお知り合いのcrissさんがこのアルバムへの違和感を語られているのを拝見して,このアルバムを買うことを躊躇していた私であるが,格安にダウンロードできたので聞いてみた。プロデュースがTrevor Horn,キーボードはGeoff Downesがキーボードってことは"Drama"的なるYesが聞けるのだろうということは想像に難くない。そしてヴォーカリストはJon Andersonではなく,Benoit Davidという,なんじゃそりゃと思わせる名前の男である。昔からのファンならば,まずJon Andersonの不在を不安視することは言うまでもない。

幕開けからミニマルな感じのサウンドが聞こえてきて,まずちょっとした違和感を覚える。その後もよく言えば穏やかな演奏が続く。悪く言えば,Yesらしい緊張感には乏しい。組曲"Fly from Home"中の"We Can Fly"等はまるでAsiaのようでもあるしなぁ。まぁHoweとDownesのAsia組もいるのだから,それはそれで当然だとしても,全曲を聞き通しも,テンションの低さという感覚は変わらない。そしてもう一つ特徴的なのが,意図的に装飾を排除したような原音再生って感じの録音ぶりである。Yesはテクニシャンのバンドだから,そうした対応が必ずしも悪いとは思わないが,これも違和感を覚えさせるような徹底ぶりなのである。

そしてBenoit Davidである。ひっくり返せばディヴィッド・ベノワやんけ!と思うこのシンガー,Yesのトリビュート・バンド"Close to the Edge"(笑)で歌っていたそうだから,Jon Anderson的な部分はある程度感じさせる。だが,ワン&オンリーのJon Andersonと比べるのはやはり可哀想だと言いたくなるが,まずまず善戦はしていると言ってもよい。しかし,ここでの楽曲はどうなのよって感じがやはり私の印象からはぬぐうことはできなかった。

Yesはメンバー・チェンジを行いながら,様々な音楽性を聞かせてきたバンドだから,変化があることは悪いことではない。私は"Relayer"でも"Tormato"でも,更には"Drama"でも何らかの違和感があったのだが,それでもYesの音楽として認められる範囲内ではあったと思う。しかし,彼らの音楽に相応のテンションを求めてしまうことも一方では事実であり,それがファンの期待値でもあると思うわけだ。しかし,この作品には先述の通り,緊張感が乏しく,これが本当にYesなのかとも思えてしまう演奏なのだ。

これをYesだと思わずに聞けば,相応に音楽としての評価できるのかもしれないが,Yesとして聞くと,これはやはり厳しいというのが正直なところである。

Yesの未発表ライブ音源を集めた"The Word Is Live"にはTrevor Horn,Geoff Downes入りの"We Can Fly There From Here"という曲が入っており,これが組曲の"We Can Fly"の原曲と考えてよいが,結局これはアルバム"Drama"から30年以上を経過して,Trevor Hornが放ったリベンジ作だと思えば納得できるものかもしれない。だが,これがYesらしいとはどうしても思えない私である。まぁ,格安ダウンロードで十分と感じさせるアルバム。星★★☆。う~む。

Personnel: Steve Howe(g, vo), Chris Scquire(b, vo), Alan White(ds), Geoff Downes(key), Benoit David(vo) with Oliver Wakeman(key), Treevor Horn(key, vo), Luis Jardim(perc), Gerard Johnson(p)

2011年10月19日 (水)

"Full House"を彷彿とさせるPat Martinoの新作ライブ

Pat_martino "Undeniable: Live at Blues Alley" Pat Martino(High Note)

ジャズ・ギター界の手数王,Pat Martinoの新作が出た。本作が録音されたのが2009年であるが,同年,私は同じメンツでのライブをNYCで目撃しており,そのライブ・レポートをこのブログにもアップしている(記事はこちら)。

その時にもこのバンドのよさを興奮気味に伝えていた私であるが,このアルバムが相当よい。 ここでのMartinoがいいのはもちろんだが,私はEric Alexanderを再評価したくなったというのが正直なところである。非常にアグレッシブなソロを展開しており,Martinoとのユニゾンも相当にいけている。楽器編成は違えども,私がちょっと想起したのがWes Montgomeryの"Full House"である。それにも比肩しうるジャズの熱さというものを感じさせて,非常に心地よいのである。

その熱さを持ち込んだがEric Alexanderのテナーであるように思える。 私がNYCで彼らのライブを見た時は,Jeff 'Tain' Wattsのプッシュぶりが素晴らしいと思っていたのだが,このバンドはメンバー全員がドライブ感溢れる演奏をしているのがこのアルバムでは捉えられている。いつもながらのMartinoが楽しめることはもちろんだが,こんな演奏をされたら,ここでの聴衆の盛り上がりぶりも理解できようというものである。そして特筆すべきは1曲を除いて,これらの曲がMartinoのオリジナルであるということである。作曲者Pat AzzaraはMartinoの本名であるが,曲の魅力があって,更にこの演奏がよく聞こえるというところは否定できない。

とにかくジャズ的な魅力に溢れているのだ。唯一Monk作の"Round Midnight"が曲としては浮いて聞こえさえしてしまうと言っては言い過ぎか。 とは言え,そこでのMartinoのソロがまた最高だったりするが。

いずれにしても,これは予想を上回る出来のライブとして,多くのジャズ・ファンにお薦めしたい佳品である。星★★★★☆。これはまじでいけている。

しかし,よくよく考えてみると,ジャケも"Full House"を意識しているように思えてきたなぁ。これはやっぱり確信犯か?

Recorded Live at Blues Alley, Washington D.C. on June 26-28, 2009

Personnel: Pat Martino(g), Eric Alexander(ts), Tony Monaco(org), Jeff 'Tain' Watts(ds)

2011年10月18日 (火)

ゆるゆるグルーブにはまるRamsey Lewisの「太陽の女神」再演盤

Ramsey_lewis "Ramsey, Taking Another Look" Ramsey Lewis (Hidden Beach)

去る8月にエレクトリック・バンドで来日したRamsey Lewisの新作が出た。本来はそういうツアーは新作が出てからやればいいのにと思うが,先に来ちゃうってところがお茶目と言えばお茶目である。その本作であるが,1974年作の「太陽の女神」のリメイク盤と言ってよい。その「太陽の女神("Sun  Goddess")だけはオリジナルのまま収録しているところがまたお茶目なRamsey Lewisである。

そもそもこのアルバム,ブルーノート東京によるエレクトリック・バンド招請のリクエストが発端となってレコーディングされたらしいのだが,何と本作がLewisの80作目の作品らしい。それはさておき,私にとってはこのゆるいグルーブが何とも心地よい。このゆるさ,Deodato並みと言っても過言ではない(もちろんいい意味でだ)。私はオリジナルの「太陽の女神」も保有しているが,そちらがもはや時代を感じさせるサウンドであるのに対し,このアルバムは敢えてゆるい感覚を打ち出していながらも,もう少しコンテンポラリーに仕上げたっていう感じである。

私がどう感じたのかは,ここに貼り付けたYouTubeの"Living for the City"を見て(聞いて)頂ければわかるはずである。全編こんな感じだと言ってもよい。であるから,このアルバムをどうのこうの批評するよりは,このグルーブに身を任せる方を私は選びたいのである。あぁだ,こうだと言うのは野暮。結構好きだなぁ,このアルバム。でも星★★★☆ってところだが(笑)。それでいいのだ(バカボンのパパになってしまった!)。このライブ,見に行っとけばよかったかなぁ...(後悔先に立たず)。

Recorded in February 2011 and 1974 ("Sun Goddess")

Personnel: Ramsey Lewis(p, rhodes), Henry Johnson(g), Mike Logan(key), Joshua Ramos(b), Charles Heath(ds), Maurice White(ds, perc, vo), Phillip Bailey(perc, vo), Verdine White(b, vo), Johnny Graham(g), Don Meyrick(ts), Charles Stepney(synth)

2011年10月17日 (月)

ついにミュンシュ/パリ管の「幻想」を聞く。

Photo "Hector Berlioz: Symphonie Fantastique(幻想交響曲)" Charles Munch / Orchestre De Paris(EMI)

このブログでチョン・ミュンフンの「幻想交響曲」を取り上げたとき(記事はこちら)にもちらっと触れたミュンシュ/パリ管の「幻想」は,この曲の演奏の決定版として語られることが多い。しかし,生来の天邪鬼である私は人がほめるものを敢えて避けたがる傾向があり,長年,この演奏を聞かずに過ごしてきた。今回,中古盤屋を漁っていて,丁度手頃な価格で売っていたので,まぁいいかということで購入し,ついにこの演奏を初めて聞くこととなった。私が「幻想交響曲」のレコードを初めて聞いたのが高校1年の頃だったと思うので,この演奏を聞くまで35年を要したことになる。思えば長い道のりである。

そもそもシンフォニーの中で「私は幻想が好きです」なんていうこと自体,相当の変人と言われること間違いなしであるが,それも若気の至りというか,ベートーベンでもモーツァルトでも,ましてやマーラーでもなかったのである。若い頃はちっともマーラーなんていいと思わなかったのだが,それが変わったのは生で5番を聞いてからだろうと思う。今やマーラーも結構聞いている(というか,かなりの枚数を買っている)のだから,人間変われば変わるものである。そんな私でも若い頃は人とは違うということを主張したかったのだろうから,私も青かったものだ(今でも成熟からは程遠いが...)。しかも名盤扱いされている本作ではなく,あくまでもジャン・マルティノンの演奏にこだわりを見せたこと自体もかなりの変人である。そのマルティノンの演奏も父のレコードを聞いていたものに過ぎないのに,何とも私にフィットしていたように感じていた。いずれにしても,私にとっての「幻想」のひな型はマルティノンの演奏だったのある。

そしてこの演奏を聞いてみて,確かにスピード感とダイナミズムに溢れ,この曲をこの曲らしく聞かせる演奏であることはわかる。私の感覚からするとかなり速い演奏であり,これは一言で言えば「爆演」だと言ってよいと思う。しかし,どうしてもぬぐえない違和感は第2楽章にあった。今や多くの演奏がコルネット入りの第2楽章を採用している(というか,私が買っているのがことごとくそうなのだ)中,ミュンシュのこの演奏はコルネットがないので,どうにも私には変な感じなのである。初期体験というのは恐ろしいものだと思うが,私にとってはあるべきところにそれがないと,どうしても変なのである。

これだけ飛ばしに飛ばす演奏を聞かされれば,満足感があることは間違いないとは思う。だが,私にはそうした些細なことがどうしても引っ掛かってしまったのであった。だからと言ってこの演奏の価値が低減するとは思わないが,これは完全に好みの問題である。ということで,この演奏には一定の敬意を表する必要はありだと思う。ということで,星★★★★☆。

こんな記事を書いていて,どうしてもエレガントなマルティノンの演奏が聞きたくなって(本当に何年も聞いていないのだ),CDを発注してしまった私はやはり病気である(爆)。

2011年10月16日 (日)

遡って「X-メン」を見る

Xmen 「X-メン("X-Men")」('00,米,Fox)

監督:Bryan Singer

出演:Hugh Jackman, Patrick Stewart, Ian McKellen, Fameke Janssen, Halle Berry, Anna Paquin

先日,機内エンタテインメントで見た「X-Men:ファースト・ジェネレーション」が結構面白かったので,遡ってこのシリーズの第1作をレンタルしてみた。そもそもがマーベル・コミックの作品であるから,内容は推して知るべしである。しかし,この映画,なかなかキャスティングが面白くて,ついつい見入ってしまった。

そもそも私が懐かしく思ったのが,Kelly上院議員を演じるBruce Davisonである。そう,あの「いちご白書」のDavisonだが,確かに面影はあるなぁなんて思い,更にはAnna Paquinである。彼女は「ピアノ・レッスン」(あれは何とも暗い印象の映画だったが...)で,何と11歳にしてオスカーの助演女優賞を取った子役だったのだが,こんなになっちゃったのねぇと不思議な感慨を与えてくれるではないか。こういう役者に加え、「新スタートレック」のPatrick Stewartやら、「ロードオブザリング」のIan McKellenやらと、何とも賑やかなものだ。そして、なんでこんなところにHalle Berry?って感じでご出演だしなぁ。

いずれにしても,こうした賑々しいキャストで,登場人物も多いが,あまり説明的になることなく,うまくまとめた作品と言ってよいのではないか。いかにもワイヤー・アクションって感じの動きが多いのはご愛嬌だが,善玉,悪玉がくんずほぐれつ,やっぱり賑々しい。いろいろなメタファーが隠されているという話もあるが,そんなことを気にしないで見ていても楽しめることは間違いない。たまにはこういう映画を気楽に見るのもいいもんだと思った次第である。当然のことながら,シリーズ化を睨んでの展開が明確であるが,ついつい"X2"が見たくなってしまったではないか。まんまと策略にはまる私であった。星★★★☆。

2011年10月15日 (土)

今年,屈指の話題作と言ってよさそうな"SuperHeavy"なんだけど...

Superheavy "SuperHeavy" SuperHeavy (A&M)

主題の通りである。Mick JaggarがDave Stewart,Joss Stoneとバンドを結成することが話題にならないわけがない。だが,私は非常に優れたDave Stewartの新作が出た時に,このバンドへの不安をこのブログにちょこっと触れた(記事はこちら)。実はこのバンドのデビュー・シングルである"Miracle Worker"のPVが大して面白くなかったからである。だから,本作を買うのを実は躊躇していたのも事実なのだが,聞いてみなければわからないこともある。それなら,わざわざ4曲プラスのデラックス・エディションを買わなくてもいいものを...と思うが,それを買ってしまうのが「性」ってやつである。

そして,ある意味不安は的中ってところであろう。Mick Jaggarが参加しているからと言って,Stonesのサウンドを期待してはならないことは上述のPVからも明らかだったが,これはさまざまなサウンドのミクスチャーであって,一般的なロックの範疇で語ることは難しい。更にMick Jaggarがバンドのメンバーに徹し,露出が大して大きくないこともイメージを狂わせる要因であろう。もちろん,このバンドのコンセプトが,異なるジャンルに属するミュージシャンが会することによって,どのようなサウンドが生まれるかということから生まれていることを踏まえれば,そうしたサウンドや,リスナー側の違和感なんて関係ないのかもしれない。

だが,そうは思っても,なかなか納得がいかないのがリスナーの勝手なところである。だからイメージというのは怖いのだが,Dave Stewartの新作が非常にルーツ・ロック的な響きさえ感じさせるものだっただけに,こちらとしてはそういうサウンドを期待したくなるのが人情というところもある。しかもJoss Stoneまで参加しているのだから,よりソウルフルな展開もありだと思ってしまうわけである。

ここに収められている曲がメンバーの共作となっていることからもわかる通り,ジャムの発展形と考えることもできようが,その自発性は評価できるところがあるとしても,音楽としては大して面白くないという感覚はなかなか消えないのである。そんな中で私のフラストレーションを解消してくれたのが,Jaggar~Stewartの共作により,Jaggarが渋く歌う"Never Gonna Change"なのである。やはり私が求める音ってこれだよなぁって思える瞬間であった。

ということで,このアルバムは,インド的な要素や,過度にレゲエ的な要素が感じられない曲は楽しめるのだが,それ以外は...という極めて微妙なアルバム。正直言って,このアルバムが好きだって人は大しているまい。ということで,ミュージシャンの心,リスナー知らずってところかもしれない。星★★☆。

Personnel: Mick Jaggar(vo, g, hca), Dave Stewart(g), Joss Stone(vo), Damian 'Jr Gong' Marley(vo, prog), A.R. Rahman(vo, prog, synth, p), with Shaia Coore(b), Courtney Dedrick(ds), Mike Rowe(org, p, key, synth), Phillip "Writer" James(synth, p, org), Ann Mari Calhoun(vln, strings), Leon Mobley(perc), Anna Stafford(vln), Christian Lohr(key), Holle Farris(tp), Jeff Watkins(sax)

2011年10月14日 (金)

でかくて重いMyung-Whun Chungボックス到着

Dg_recordings "Myung-Whun Chung DG Recordings 1991-2010" (Deutsche Gramophone)

ボーナス・ディスク込みで33枚組であるから,まぁ嵩張るのは仕方がないが,こんな重量級ボックスだとは思わなかった。宅配ロッカーを開けてびっくりの中年音楽狂である。このボックスが重いのは200ページのハードカバー・ブックレットのせいだが,それにしてもである。このブックレット,韓国語,英語,日本語の3言語で書かれているのはいいが,なぜか曲解説には日本語がないってのはちょいと手を抜き過ぎではないかい?と皮肉の一つも言いたくなる。それでもこれはチョン・ミョンフンがドイツ・グラモフォンに録音したアルバムの集成として,まぁ持っていて損はないと言えるものである。

それにしても,この人のレパートリーってのはちょっと不思議な感じがするなぁと思わせるのは,メシアンのディスクが8枚も含まれているってことに加え,ベルリオーズも4枚あるということではないかと思う。私の中で,チョン・ミュンフンっていう人はダイナミズムに溢れる指揮というイメージが強いが,いかにもというレパートリーではなく,フランス系を重視した選曲というのがユニークなものに感じられるのである。

収められた音楽に取り組むのはこれからだが,これからしばらくはこれだけでもOKかもしれないと思えるようなボックスである。とか何とか言いながら,ほかの新譜もガンガン届いているので,このボックスを年内に聞き終えるのは無理かもしれないなぁなんて思っている私である。

ちなみにこのボックス中,2枚(「幻想」と「春祭」/「展覧会」)は既に購入済みかつ当ブログにも記事をアップ済み(記事はこちらこちら)だったが,これだけのボックスで1枚500円そこそこならまぁいいかって感じで買ってしまった私であった。こういうのは無駄遣いとは言わないよね(と開き直る)。

2011年10月13日 (木)

Lee Ritenourのダイレクト・カッティング再発シリーズの2枚目はこれで行こう。

Friendship "Friendship" Lee Ritenour(JVC)

JVCレーベルにLee Ritenourが吹き込んだダイレクト・カッティング盤が再発になったので,このブログでも"Sugar Loaf Express"を既に取り上げた(記事はこちら)が,結局私は今回以前から保有していた"On the Line"以外の3枚をゲットすることとなった。何だかんだ言ってもRitenour好きの私である(笑)。

ということで,今回のシリーズで取り上げる2枚目が本作であるが,その後,Ritenourが"Friendship"というバンドを結成することを考えれば,その契機となったと考えてもいいアルバムである。そしてこのアルバムの重要な部分はドラムスがSteve Gaddってところだろう。そのGaddらしさが冒頭の"Sea Dance"から顕著に表れているが,その他の曲についてはそれほどGaddでなくてはって感じがしないのはちょっと残念な気もする。

曲としてはこの人たちとしては典型的なものと言ってもよいので,はっきり言って驚きはない。Dave Grusinが書いた"Woody Creek"なんて,どこかの映画で聞いたかのような既視感さえおぼえさせる。それでも,一発録りというプレッシャーの中で,これだけの演奏を残していることはやはり評価すべきなのだろうと思う。ただ,それでも1作目における"Captain Fingers"のような決定的にすげぇと思わせる曲がないというのがこのアルバムの弱点と言ってよいだろう。ある意味で,この予定調和的なサウンドを聞いていると,ダイレクト・カッティングも3作目になり,マンネリ化は避けられなかったという気がするのである。ということで,個人的にはこの演奏のことは 嫌いではないのだが,やはりこの緩さは気になる。ちゃんと評価すれば星★★★ってところが妥当だろう。

Recorded on May 12 & 13, 1978

Personnel: Lee Ritenour(g), Dave Grusin(key), Don Grusin(key), Ernie Watts(ts, ss), Abraham Laboriel(b), Steve Gadd(ds), Steve Forman(perc)

2011年10月12日 (水)

あまりの楽勝に呆れてしまったタジキスタン戦

Havenaar これがアジア3次予選の試合かと疑いたくなるような,全くの楽勝だったタジキスタン戦である。ワールドカップ予選は何が起こるかわからないとは思いつつ,さすがにこの試合は実力差があまりに歴然としていて,全く面白くない試合であった。本来はワールドカップは国と国の名誉をかけた戦いであり,予選とてそれに違いはないはずである。だが,この試合はあまりに一方的過ぎた。

もちろん,日本代表が8点を取ったことは評価に値しよう。見ているサポーターもすっきりしただろう。しかし,タジキスタンはシリアの失格でたなぼたで出場しているんだから,もう少し真面目にやってもよかろうというものである。これほどボール支配率にも違いがある試合は滅多に見られるものではない。だからこそ,こういう相手と戦った後の試合が嫌らしいということになる。日本代表の次戦はアウェーでのタジキスタン戦であるが,その後がこれまたアウェーの北朝鮮戦であることを考えると,とにかく楽勝ムードに気が緩むのが心配である。

今の日本代表ならばそうした心配は無用かもしれないが,それにしても今回の8-0というスコアはやっぱりないよなぁ。ということで,今回はTV観戦していてもちっとも燃えなかった私である。とにかく次のアウェーで2連勝して3次予選突破をさっさと決めてしまおう。

それにしてもハーフナーのヘッドとタジキスタンのディフェンダーの高さの違いに笑ってしまった私である。さすが元々両親がオランダ出身のことだけはあるわ。

2011年10月11日 (火)

「断捨離」がはかどらず,ハードロックに走り,さらにどつぼにはまる

Whitesnake "Whitesnake" Whitesnake(Geffen)

三連休のうち,2日を使って「断捨離」に取り組んだものの,成果としては今イチだなぁと感じてしまった私であるが,なかなか作業が進まないので,その鬱憤を晴らすべくBGMにはハード・ロックを使っていた。そうした中で,久しぶりにこのアルバムが聞きたくなったのだが,ディスクを保有していることをすっかり忘れてダウンロードしてしまった私である。まぁ,値段は安かったし,私の持っているディスクは北米バージョンで,今回ダウンロードしたのは欧州バージョンだからまだいいんだけど。

そんなことで,このアルバムを久々に聞いたが,これはかなりよくできたハード・ロック・アルバムだと言える。もともとDavid CoverdaleはDeep Purple時代から魅力的なシンガーだと思っていたが,それがまたいいバンドとのシナジーを聞かせているし,何よりもここに収められた曲が魅力的なのが素晴らしい。ハード・ロックのよさと,魅力的なメロディ・ラインをうまくミックスさせたと言えると思えるのだ。これなら売れて当然である。多くの曲がCoverdale~Sykesコンビによるものであるが,本当にいい曲書くわ。

こんな魅力的なアルバムであるから,「断捨離」しながら,ついつい音楽に耳が行ってしまい,作業が滞ってしまったではないか。全て自己責任とは言え,罪作りなアルバムである。最初から最後までいい曲が揃い,バンドの演奏能力も高いのだから,安心して聞けることが保証できる傑作アルバム。星★★★★☆。いいねぇ。しかし,「断捨離」はまだまだ先が長い。う~む。

Personnel: David Coverdale(vo), John Sykes(g, vo), Neil Murray(b), Aynsley Dunbar(ds, perc), Don Airey(key), Bill Cuomo(key), Adrian Vandenberg(g)

2011年10月10日 (月)

中年音楽狂,「断捨離」に挑むも撃沈...。

身の回りのもので余計なものを処分するという取り組みをしない限り,家の面積は有限なのだから,いつか限界が来ることは自明である。私は本は読み終わると原則として,寄付か処分してしまうから,問題はCDである。かと言ってCDは捨てられない。いや,捨てられる(売れる)ものは多々あるのだが,その踏ん切りがつかない。

そこで,まずは身の回りのいらないものの代表である洋服の整理をするのが一番いいのだが,所謂「断捨離」に取り組むべく,まずはCD周りの整理をしていたら,これが全く終わらない。かなりの時間,PCの周りにうず高く積まれたCD,及びDVDの整理をしていたのだが,全然ダメである。それだけでほぼ1日終わってしまったというのが実態では,相当厳しい。ということで,もう1日,今度は本当に衣服の整理をしないと永遠に状況は改善しないという感じである。

それでもかなりCDの整理はできたので,結構すっきりしたが,それでもラックに入りきらないCDが増え続けているという事実には何の変化もない。とにかく,もう収まりがつかないのである。やはり聞かなくなったCDはさっさと売ってしまうというのが正しい選択なのかもしれない。だが,売るなら売るで,どれを売るかと考え出すと無茶苦茶時間が掛かりそうだから困ったものである。しかも,収納スペースを増やすため,私はプラ・ケースを全部はずして捨ててしまっているので,これも問題だ。

以上のような状況や,我が住宅事情を踏まえれば,今後は媒体を買うものと,ダウンロードで済ませるものの区別をしっかり付けていくというのが正しいやり方なのだろうなぁと思いつつ,次は服の整理に挑むこととしよう。私は物持ちがよ過ぎて,かなり前に買ったTシャツとかをいまだに着ているということが問題なのである。何てたって,NYC時代に買ったTシャツをまだ着ているってのは我ながら異常だろう。その辺はもうさすがに処分だよなぁ。

2011年10月 9日 (日)

ベタな企画だが,結構楽しめるJohnny Winterの新作

Johnnywinter_roots"Roots" Johnny Winter(Megaforce)

本作はJohnny Winterが影響を受けたクラシック・ブルーズをゲストを迎えて演奏するという企画としてはかなりベタなものだと言ってよいのだが,出てくるメンツとJohnny Winterの元気の良さにより,予想以上に楽しめるアルバムとなった。

そもそも一発目からゲストで登場するのがSonny Landrethである。わかってるねぇというチョイスではないか。Derek Trucksさえ現れなければ,現代スライド・ギターの最高峰はこのLandrethをおいてほかになかったはずである。私はTrucksも好きだが,Landrethも好きなので,このゲストとしての登場がまず嬉しい。そして期待に応えるプレイぶりである。

その後もお馴染みのブルーズ曲が続くので,ここまでいくと「おい,おい」とも言いたくなるが,Johnny Winterから繰り出されるヘヴィーなフレージングはそんなことはどうでもええわと思わせるようなかたちになっているし,ゲストも好演である。Susan Tedeschiは歌だけでなく,ギターでもガッツのある姉御ぶりを示し,Derek TrucksはElmore Jamesの"Dust My Broom"で思わずひえ~っとなってしまった「ぶちかまし」スライド・フレーズ炸裂である。Vince Gillとやった"Maybelllene"がほかに比べてちょっと軽くて,私には違和感があったのだが,それでもWinterのギターと,Gillのいかにもカントリーっぽいギターとの対比が楽しめることは間違いないのだ。

全ての曲が最高とは思わないのだが,それでもこれは全編を通して結構楽しめるアルバムであることは間違いない。冒頭のLandrethもよかったが,それでもやっぱりDerek Trucksは凄いねぇと思わされたというのが実感である。Johnny Winterについては,67歳の爺さん,よくやるわと感心させられたことは言うまでもない。星★★★★。

Personnel: Johnny Winter(vo, g), Paul Nelson(g, perc), Mike DiMeo(p, org), Scott Spray(b), Vito Liuzzi(ds), Sonny Landreth(g), Vince Gill(g), Jimmy Vivino(g), Warren Haynes(g), Derek Trucks(g), Susan Tedeschi(vo,g), Frank Latorre(hca), John Popper(hca), John Medeski(org), Edgar Winter(sax), Joe Meo(sax)

2011年10月 8日 (土)

この歳にして,"Erroll Garner Plays Misty"を初めて聞く。

Erroll_garner_plays_misty "Plays Misty" Erroll Garner (Mercury)

長年音楽を聞いていても,縁のないミュージシャンというのは少なからずいるものである。私にとってErroll Garnerはその代表格と言ってもいいかもしれない。大昔,"Concert by the Sea"を買ったことはあったが,売り払ってから幾星霜,全然記憶にない。それ以降,Garnerの音楽はほとんど耳にしたことはなかったはずである。私の中でのGarnerはClint Eastwoodの「恐怖のメロディ("Play Misty for Me")のタイトルの中の"Misty"の一部としてしか記憶にない人だったと言っても過言ではない。

よって,このアルバムを実はこの歳にして初めて聞いたのだが,それは中古盤屋で安く売っていたからというだけの理由である。このジャケからしても,ハイブラウなジャズというより,リラクゼーションに溢れたより大衆受けする音楽であろうことは容易に想像できるが,まさに想定通りの音と言ってよい。カクテル・ピアノだと言われればその通りである。だが,スイングする局面はちゃんとスイングし,しっとり聞かせるべきところは徹底してしっとりというこのメリハリは多くの聴衆に受けたに違いないと思わせる。

Erroll Garnerと言えば"Behind the Beat"だと言われるが,これはGarnerが左利きであることにより,左手のリズムがリードとなり,それを右手のフレーズがフォローするというかたちで出来上がったものであろう。今の耳で聞けば,そんなに珍しいことかなぁって気がしないでもないが,"Love in Bloom"のようなソロでの演奏を聞けばなるほどこういうことかという気分になる。いずれにしても,複数の録音場所で録音されているようで,雰囲気やサウンドが随分違うと感じさせる部分もあって若干の違和感を持たせるが,それでもこれは音量を絞って,夜中に聞いていればそれなりに雰囲気を醸し出す音楽だと言っておこう。これも一つのジャズであるということで,星★★★☆。

Recorded on July 27, 1954, etc.

Personnel: Erroll Garner(p), Wyatt Ruther(b), Eugene "Fats" Heard(ds),

2011年10月 7日 (金)

完全に予定が狂った私…。

完全休肝日の予定が、またも酩酊状態に陥った私である。辛いなぁ…ってことで今日はお休みです。皆さん、ごめんなさい。

2011年10月 6日 (木)

Bill FrisellによるJohn Lennonトリビュートは結構味わい深い

Bill_frisell001 "All We Are Saying..." Bill Frisell (Savoy Jazz)

これは意外な組み合わせと言ってもいいのではないだろうか。Bill Frisellのギターと言えば,独特のアンビエンスを生み出すサウンドが特徴的であるが,そのFrisellがJohn Lennonと対峙するとどうなってしまうのか。興味はその一点に集中していた...,実際に聞くまでは。

しかし,このアルバムを聞いてみて感じたのは,非常にストレートにLennonのメロディを紡ぐBill Frisellだったのである。アドリブは最小限に留め,John Lennonが書いたメロディの素晴らしさを,Bill Frisellならではのサウンドでかなり真っ当に再構築するという印象が強いのである。私としては,このストレートさにLennonへのリスペクトを感じてしまうのである。このメロディ・ラインの前ではギミックは不要だと言っているかのようなのである。

そうした演奏なので,大きな驚きはない。しかし,このサウンドでこのメロディってのはなんとも和むのである。ややイントロ部で緊張感が高まるのは"Mother"ということになるが,それでもメロディをしっかり弾くという基本スタンスはちゃんと守られている。Bill Frisellはライナーにこう記している。

"The songs are part of us. In our blood."

そうなのである。彼らの人生の中で,これらの曲が肉体の一部と化してしまったからこそ,それを自然に発露させれば,こういうサウンドになるということなのだと思う。

ある意味,こうした演奏スタイルは潔ささえ感じさせて,私としては相応に評価したくなる。もちろん曲のよさに救われている部分もあるかもしれない。だが,本作を通じて,私はJohn Lennonの書いた曲のよさを再確認することができたのだから,それはそれでいいことなのである。そして最後に演奏される"Give Peace a Chance"は平和へのアンセムのようにさえ響いている。この締めくくり方は非常に感銘深いものであった。

本作を傑作だとは評価はしないが,いろいろな思いをリスナーに喚起させることができるという点ではその存在意義を認めたくなる佳作である。やはりLennonの書く曲は素晴らしかったのである。星★★★★。

Personnel: Bill Frisell(g), Greg Leisz(g), Jenny Scheinman(vln), Tony Scherr(b), Kenny Wollesen(ds)

2011年10月 5日 (水)

中年音楽狂が一肌脱ぐシリーズ(第12回):Eric Dolphy編

Eric_dolphy_at_the_five_spot_vol1 "At the Five Spot, Volume 1" Eric Dolphy(Prestige)

「お店に並んでいそうでジャズをこれから聴いてみようかなぁという人にお薦めというのがありましたらご紹介ください。」というリクエストにお応えするという趣旨のこのシリーズ,段々ハードルが上がってきて,今回はEric Dolphyである。

これからジャズを聴いてみようという人にとって,Eric Dolphyはややハード過ぎるかなぁと思いつつ,やはりこのアルバムは避けて通るべきではない。既にこのシリーズで音の悪い「バド・パウエルの芸術」さえ取り上げている私である。ハードな音源でも,推奨に値すると信じているので,自信を持って本作を取り上げることにする。

Eric Dolphyは特異なフレージングやら,Ornette Colemanの"Free Jazz"への参加等から,「なんとなく」フリー寄りのミュージシャンだと思われがちなのが,Dolphyの音楽へのハードルを高くしている部分があるようにも思えるが,本質的にDolphyはフリーの人ではないというのが一般的な認識である。しかし,フレージングにおけるアップ&ダウンが結構強烈なので,一聴変わっているなぁという印象は与えるかもしれない。それでもここで演奏される音楽は,Dolphyのリーダー作でも屈指の演奏として認めるべきものである。もちろん,"Last Date"から聞いてもいいし,"Out to Lunch"から聞いてもいいのだが,それらのアルバムは既にこのブログで取り上げてしまった(記事はこちらこちら)から今日は本作なのである。だからと言って,本作がそれらの作品に劣後するものではなく,同格に優れた作品であることは言うまでもない。とにかく,このときのDolphy,凄いのである。

Dolphyとここでコンビを組むBooker Littleがコンベンショナルに響くほど,ここでのDolphyは普通ではない。まず音がでかい。そしてフレージングの組み合わせ方が尋常ではない。断片を切り取ればコンベンショナルでも,組合せの方法が違うだけでDolphyの音楽は全くほかの音楽と違って聞こえるということのように思える。それがDolphyを異能のミュージシャンたらしめているところであるわけだが,それに加えてアルト・サックス,バス・クラリネット,フルート(ここでは吹いていないが...)の3種の楽器を完璧に使いこなすことも素晴らしい。

これまで耳触りのよいジャズしか聞いていないリスナーにとってはまさしく「何じゃこりゃ~」の世界かもしれないが,私はここにこそジャズの真髄が聞いて取れると思うのである。まさに傑作の名に相応しい。共演者もすべからく好演。特にLittleは本当にいいラッパである。星★★★★★。これにはまれば次はJohn ColtraneのVanguard Live Box (記事はこちら)のDolphyを目指すしかあるまい(笑)。

Recorded Live at the Five Spot on July 16, 1961

Personnel: Eric Dolphy(as, b-cl), Booker Little(tp), Mal Waldron(p), Richard Davis(b), Ed Blackwell(ds)

2011年10月 4日 (火)

Steve Reichの新作はかなり重い

Reich001 "WTC 9/11"Steve Reich (Nonesuch)

Steve Reichの新作がNonesuchからリリースされた。早期予約者(確か250名だったか)特典としては今回はインナー・スリーブへのReichのサインである。私はReichの音楽がかなり好きなので,今回もすかさず予約して特典ゲットだったが,前作"Double Sextet"でもReichのサイン入り楽譜を特典に付けるNonesuch,いいレーベルである。

それはさておき,今回のReichの新作はテーマが9/11だけにタイトル・トラックの響きはかなり重苦しい。もともと,Kronos Quartetから人間の声と弦楽四重奏の組合せで曲を委嘱されたらしいのだが,ここで使われている録音された人間の声とKronos Quartetの弦楽四重奏がシンクロして,沈痛なテーマを奏でており,私が知るReichの曲とは明らかに異なった響きを持つ音楽である。ライナーによれば,9/11発生時,グラウンド・ゼロからわずか4ブロックのところにReichの家族がいたということであり,彼にとっては「メディア・イベント」ではなかったという事実,更には"WTCとはWortld Trade Centerであるとともに,World to Come"だというReichの言葉が重くのしかかる。

しかも今回の曲は,単に声と弦楽四重奏というだけでなく,2組の事前に録音された四重奏とライブの四重奏を重ねるという手法で,これまた特異な響きを作り出しているのだが,ご丁寧にこれをライブで再演するなら,弦楽クァルテットが3組必要だなんて書いているが,そうした仕組みがReichによって説明されているのは大変興味深い。また,作曲中,Reichはこの曲をもっと大曲に仕立てようと試みたらしいが,インパクトを重視し,15分程度のピースに仕上げたということである。確かにこれほど重いReichを長い時間聞かされれば,こちらの緊張感が持たなかったかもしれない。

それに比べれば"Mallet Quartet"や"Dance Patterns"はReichらしいミニマルな響きが聞けて,タイトル曲の緊張から解放をしてくれる。いずれにしても,"WTC 9/11"はReichが狙った通りのインパクトを有する音楽となったことは間違いない。もちろん,Reich好きのリスナーに受けるかどうかは別の問題だが。だが,これはこれでちゃんと評価すべき作品だと思う。星★★★★☆。

Personnel:

(WTC 9/11) Kronos Quartet: David Harrington(vln), John Sherba(vln), Hank Dutt(viola),
Jeffrey Zeigler(cello) Recorded on February 21-24, 2011

(Mallet Quartet) Sō Percussion: Eric Beach(vib), Jason Treuting(vib), Josh Quillen(marimba), Adam Sliwinski(marimba) Recorded on March 22, 2011

(Dance Patterns) James Preiss(vib), Thad Wheeler(vib). Frank Cassara(xylophone), Garry Kvistad(xylophone), Edmund Niemann(p), Nurit Tilles(p) Recorded on December 13, 2004

2011年10月 3日 (月)

予想をはるかに上回る出来のBrad Mehldauの新譜

Mehldauhayeszimmerlimodernmusic "Modern Musuc" Brad Mehldau / Kevin Hays / Patrick Zimmerli(Nonesuch)

Brad Mehldauの新譜がリリースされた。今回はKavin Haysとのピアノ・デュオというのも話題だが,彼らのオリジナルのほかにReichやOrnette Coleman,更にはPhillip Glassまでやりながら,一番多いのがPatrick Zimmerliのオリジナル4曲+彼のアレンジというのが目を惹く。このZimmerliという人については今回が初めてだが,Brad Mehldauの高校の先輩らしく,作編曲だけでなく,Emergenceという弦楽クァルテット入りのバンドではソプラノ・サックスも吹いているとのことである。しかし,Webサイトにも"Composer"と書いてあるから,本業はあくまでも作曲家ということのようである。

Brad MehldauとKevin Haysも旧知の間柄らしいのだが,キャリア的にも似ているところもあり,お互いに同質性を認めている。そんな二人がピアノ2台で共演するということで,一体どんな音楽になるのか期待してしまう。我々の年代で言えば,ピアノ・デュオと言えば,Herbie HancockとChick Coreaのコンビを思い出すわけだが,ここでの演奏はかなり毛色が違っているというか,ジャズ的な色彩はかなり薄い。しかし,ここで表出されるピアニズム,あるいはサウンドの美的な感覚はHerbie~Chickを上回っていると言ってもいいだろう。

そして,何よりも素晴らしいのがピアノ2台による響きである。Reichの「18人の音楽家のための音楽」を見事にアダプテーションして,何とも言えないアンビエントな雰囲気を生み出したり,ピアノが絡み合うようなラインを示したりと,このコンビネーション,何とも美しい。もちろん,これをジャズの範疇で捉えることには躊躇がないわけではなく,ほとんどが「書かれた」音楽であるようにも思える。ライナーによれば,左手は書かれていて,そこに右手のアドリブを乗せるというような試みはあるが,タイトルが物語る通り,「現代音楽的」な響きが強いと言ってもよいかもしれない。しかし,出てくる響きは本当に美的な感覚に溢れていて,ジャンル分けなんてまるで無駄だと言いたくなるような音楽である。

こうした音楽はジャズにこだわりが強いリスナーにとっては「何のこっちゃ」にしかならないはずだが,ここはここに満ちた美しい響きに身を委ねるべきだろう。私はこの音楽を完全に支持するということで,星★★★★★である。やはり私はBrad Mehldauに甘いのかもしれないが,これは予断を持たずに聞けば,その響きにやられること必定の楽興に溢れていると言い切ってしまおう。

ピアノ音楽好き,ミニマル音楽好きならば,抵抗なく受け入れられるはずである。素晴らしき47分43秒。

Recorded on October 13 & 14, 2010

Personnel: Brad Mehldau(p), Kevin Hays(p), Patrick Zimmerli(composer, arr)

2011年10月 2日 (日)

ここまでいくと痛快な「ワイルド・スピード Mega Max」

Fast_five 「ワイルド・スピード Mega Max ("Fast Five")」('11,米,Universal)

監督:Justin Lin

出演:Vin Diesel,Paul Walker,Jordana Brewster,Dwayne Johnson

久しぶりに家族ともども映画を見に劇場に行った。この映画を選んだのは私だろうと思われるかもしれないが,実はこの映画に行きたがったのは娘である。なんでやねん。

それにしても無茶苦茶な映画である。ありえない展開,ありえないアクション,ありえないカー・スタント等,見ていてビックリしてしまうような映画である。あまりのバカバカしさに私は呆れるのを通り越して大笑いしてしまった。

どうせやるならここまで物量たっぷりにやれば,見ている方も満足ってところだろう。私はこのシリーズの映画を今まで見たこともないのだが,この映画はとにかく笑える。ある意味マンガ的だと言ってもよいが,それにしてもよくやるわ。

この手の映画に関して,どうこう難癖をつけるのは簡単であるが,それこそ野暮って話である。シナリオの瑕疵も気にならないぐらいにアクションが強烈なので,それはそれでいいのではないかと思える。それにしても上映時間が長過ぎるのは気になるが,きっちり次回作への布石も打って,商売上手ったらありゃしないって感じである。

ということで,娘も大満足のこの映画,評価するなら星★★★ってところだろうが,この映画を見ていて大笑いしていた自分を踏まえれば☆追加してもいいぐらいである。こういうのを痛快アクションと言うのだろう。それにしても何台の車を壊したのか誰か数えて欲しいものだ。フラストレーションのたまっている人(私も含めて)にお薦め。

2011年10月 1日 (土)

Wynton MarsalisとEric Claptonの共演の結果は...

Wm_ec_play_the_blues "Wynton Marsalis & Eric Clapton Play the Blues" (Reprise)

この2人の共演だから,聞いてみたくなるのが人情である。だが,昨今のジャズ原理主義者的な音楽を展開するWynton Marsalisに対しては私としては微妙な感覚があり,この共演には若干の危惧があったことも事実である。

そしてその危惧は現実のものとなったと言わねばなるまい。"Play the Blues"というタイトルのもとに,多くのリスナーが期待するのは,よりモダンな感覚のブルーズであろう。しかし,ここで展開されているのはあまりにもトラッドな感覚が強い音楽であり,これではClaptonの強烈なブルーズ・プレイを期待するリスナーは確実に肩透かしを食うこと間違いなしである。

音楽としての質が低いとは言わない。しかし,私にはClaptonの魅力を活かしているとは思えないのである。ギターはそこそこ弾いているとしても,ヴォーカルも魅力が薄く,ゲストで登場するTaj Mahalの方がはるかに魅力的に聞こえるのはやはり納得できない。もちろん,伝統音楽としてのブルーズへのリスペクトはあるのだろうが,Wynton Marsalisというミュージシャンが日本で近年更に人気が出ないのは,伝統をあまりにも重視し過ぎた姿勢により,リスナー不在になっているからだと言ってもいいのではないか。

オマケのDVDで映像を見れば,また違った感慨もあるのかもしれないが,私はこのCDを聞いても全然楽しめなかった。聴衆に一番受けているのが"Layla"であるということも,私と同じ感覚をオーディエンスも感じていたということのように思える。結論から言えば,ClaptonはWyntonなんかと共演するよりも,もっと別の選択肢があったということにならざるをえない。星★★。

こうした辛い点数をつけざるをえないほど,私にとってはこのアルバムは面白くないのである。もっとディープなブルーズを聞かせて欲しかったのだ。

Recorded Live at Jazz at Lincoln Center on April 7-9, 2011

Personnel: Wynton Marsalis(tp, vo), Eric Clapton(g, vo), Victor Goines(cl), Marcus Printap(tp), Chris Clenshaw(tb, vo), Don Vappie(banjo), Chris Stainton(key), Dan Nimmer(p), Carlos Hernandez(b), Ali Jackson(ds), Taj Mahal(vo, banjo)

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