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2011年8月21日 (日)

「ツリー・オブ・ライフ」:これは難しい!

Tree_of_life 「ツリー・オブ・ライフ("The Tree of Life")」('11,米)

監督:Terrence Malick

出演:Brad Pitt,Sean Penn,Jessica Chastain,Hunter McCracken

今年のカンヌ映画祭で最高賞パルムドールを受賞した話題作である。TVコマーシャルだけ見ると,親子関係を軸にした人間ドラマだと思っていたら,これが全く違っていてある意味びっくりさせられてしまった。これは親と子,生と死に絡めて,地球の誕生や生命の進化まで描いてしまった映像詩なのである。ドラマの部分と関係のない哲学的な描写が多いため,とてもではないがエンタテインメントとは言えない。よって,話題性のみでこの映画を見に行った多くの観客が???という顔で劇場を出て行くこと必定である。

私もこの映画を見ていて,何度か睡魔に襲われる瞬間があったのだが,それでも最後まで何とか持ちこたえたというのが正直なところである。結局はシナリオはあるにはあるものの,非常に観念的なので,ストーリーを理解することは一筋縄ではいかない。そして全く説明的でないシナリオ,一瞬ブラックアウトする編集,いかようにでも解釈可能な抽象的な映像等,観客を戸惑わせる仕掛けが多数で,やはり面喰った人が多いように思えた。しかし,これは見る側の解釈の余地を与えるという点では,昨今のやたらに説明的な凡百のシナリオに比べればはるかに深い。

そして,この映画の解釈を難しくしているのが,西洋的な宗教観ではないかと思えるのである。シナリオには"Grace"という言葉が何度も登場してくるが,字幕では「恩寵」と訳されていたこの言葉,「キリスト教で、人類に対する神の恵み」という意味だそうであるから,こうした宗教観を踏まえて見る必要を強く感じていた私である。

こうした映像詩としての感覚ゆえに「2001年宇宙の旅」を引き合いに出して比較するというのはある意味でわかりやすいのかもしれないが,いずれにしても,映像の物凄さに感心はしつつも,私のような凡人の理解ははるかに超えた非常に難しい作品であったことは間違いのない事実である。

Thetreeoflifemovieposter 私にとっては近年稀に見る難しい映画であったが,映像の美しさには何度も驚かされたこの映画をプロデュースするなんて,Brad Pittもある意味では大物である。Sean Pennはセリフもほとんどないような感じだが,表情だけで演技をしてしまうところが,この人の凄いところだと思った。そんなこんなで評価は非常に難しいところであるが,映像の美しさ込みで星★★★ぐらいか。だって一回で理解するには難し過ぎるんだもの...。本当に疲れる映画であったが,この映画に相応しいのは日本版のポスターではなく,本国版の映画の中のシーンのコラージュのようなポスターだと思えるのは私だけだろうか。イメージの喚起度という点では,本国版の勝ちだと思うので,そちらのイメージもアップしておく。

いずれにしても,当初パルムドール効果で集客は図れても,それは長続きはしないだろうと思わされる問題作。

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