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2015年おすすめ作

2015年おすすめ作(本)

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2011年5月31日 (火)

RTF IVのフリー・ダウンロード音源

Rtf_iv 私は最近のChick Coreaの音楽への取り組みがあまりに多様過ぎて,今ひとつ理解できないというか,皮肉な見方をすれば,もうけられるうちにもうけてしまおうと考えているようにさえ思えてしまう。しかしながら,そうは言っても,いろいろな活動にはどうしても目が向いてしまうのだから罪作りな人である。

そんなChick Coreaの最新プロジェクトがReturn to Forever IVである。Al Di Meola入りのRTFの再編アルバムが出た時にも私は疑問の声を呈したわけだが(記事はこちら),今回,彼らのサイト(http://return2forever.com/)でフリーでダウンロードできるライブ音源が提供されたので早速聞いてみた。曲はおなじみ"Senor Mouse"なのだが,実はこれが悪くないのである。

今回のRTFはCorea~Clarke~WhiteにFrank GambaleとJean-Luc Pontyが加わったもので,編成としてはオリジナルMahavishnu Orchestraと同じとなった。ChickはJohn McLaughlinともバンドをやったし,PontyはMahavishnuにも参加経験ありである。そのあたりに,音楽的な交錯が発生するが,それがどう演奏に反映するかが興味深い。一方,GambaleはElektric Bandだしねぇ。一体どうなってしまうのか。

それでもって,1曲だけで判断してはいけないのだが,PontyもGambaleも結構いい仕事をしている。そして,演奏そのものもロック・フレイバーが強く,かなりアグレッシブな感覚を受けるのである。特にStanleyのスラッピングがいいしねぇ。いずれにしてもDi Meolaの時の予定調和感がなく,かなり私には新鮮に聞こえたと言ってもいいだろう。これだったら,ちょっと期待できるかもしれないと思ってしまった私である。

う~む,ライブに行くか迷うなぁ。

2011年5月30日 (月)

ファンも驚愕のECMとテクノのコラボ。

Re_ecm "Re: ECM" Ricardo Villalobos / Max Loderbauer(ECM)

この作品にはびっくりするECMファンも多数いるはずである。ミニマル・テクノのRicardo Villalobos(そう言えば,彼のアルバムもこのブログで取り上げたことがあったなぁ。記事はこちら)とアンビエント・テクノのMax LoderbauerというコンビがECM作品をリミックスするという驚きの企画である。

しかし,よくよく考えてみると,ミニマル・テクノが「リズム,ベースを主に,少数のフレーズを加えたものを反復させる」という音楽である点,アンビエント・テクノも環境系のゆったりした音楽だと解釈すれば,ECMの"The Most Beautiful Sound Next to Silence"という特性と全く合致しないわけではない。

それでもこうしたテクノ・ミュージックとECMが合体してしまうことに驚きをおぼえる人がいても不思議ではないが,そもそもRicardo Villalobosは以前からECMの音楽を素材としたDJも行っていたということであるから,彼らとしては素材にECMを選ぶことには何の抵抗もなかったということであろう。

こうした音楽をどのように解釈すればいいのかというのは,あまり意味がない行為のようにも思える。そもそもミニマルとかテクノとかいう音楽は一種のアンビエント・ミュージックと考えることもできるから,何らかのイベント(美術館でもいいし,クラブでも,バーでも,それこそ空港でもOKである)のバックで掛かっていることを意識させないタイプの音だと思えばいいのだと思う。
私は家で仕事をしているバックでこのアルバムを流していたのだが,一切邪魔にならないというのが,このアルバムの特性を物 語っている。決してこれは鑑賞音楽だと思ってはならないのである。環境と同化する音として捉えればいいのであって,その素材にECMレーベルに吹き込まれ たアルバムが見事に合致していたということになるだろう。いずれにしても,私にとっては,こうしたアルバムを「音楽」という尺度で評価することは無意味の ように思える。

いずれにしても,ECMのオーナーであるManfred Eicherがこのアルバムのリリースを許可したこと自体に,私は彼の進取の気性を感じ取ってしまって,Eicherってやっぱり凄いと思ってしまうのだが,皆さんはどうだろうか。

一般的にはこれは賛否両論確実なアルバムであることは間違いないだろうが,今までECMなんて関心も示さなかったであろうテクノ好きの人々にECMを認知させるという点では十分意味があるだろうし,私はこれは絶対「あり」だということで,「賛」の立場を取りたいと思う。コアなECMファンがこのアルバムにどう反応するのか本当に興味深い。

この手の音楽を取り上げると,どうも私はいつも同じようなことを書いているように感じてしまうが,それでも私はこれでは絶対踊れません(笑)というのは確実である。逆にこれで踊れる人ってどういう人たちなのだろうかと思ってしまう私...。

いやいやそれにしても驚いた。

2011年5月29日 (日)

グルーミーな日に聞くと気持ちが洗われるようなSingers Unlimited

A_capella "A Capella" The Singers Unlimited (MPS)

異常に早い梅雨入りを迎えた日本である。最近では仕事でもストレスがたまっている私だが,そこにこのじめじめした季節がやってくると考えただけで憂鬱になってしまう。そんな日にこのアルバムを聞いていたら,少しは気が晴れるって気がしてくるから不思議なものだ。

人間の肉声のみで構成されたこのアルバムは昔から有名であるが,私にはついぞ縁のないままであった。昔ジャズ喫茶に通っていた時ですら,このアルバムがかかったことはなかったはずである。だが,「縁は異なもの」ってわけではないが,某サイトで現在在庫処分なのか激安(何てったって559円である)で販売されているので,苦節(?)うん年,ようやくの入手となった。

そして,このアルバムを初めて聞いてみて,はぁ~,マントラはこの人たちの影響大だったのねぇなんて感じながら,心地よい感覚に浸っていた私である。BeatlesやJoni Mitchellの曲を含み,更にジャズ的な感覚が希薄と言えるこのアルバムを,ジャズ・ヴォーカルと言ってよいのかは私としては疑問がないわけではないが,そんなカテゴリーなんて正直どうでもいい話だと思ってしまうのである。それほど,ここで聞かれる音楽は純度が高く,そして美しい。ヴォーカリスト4名の声が,更に多重化されて生み出される響きは,本当に世の憂さを忘れさせてくれると言っては褒め過ぎか。

この人たちはこうした無伴奏の録音が何枚かあるが,さすがにそれを全部聞く気にはならないとしても,このアルバムから入って,まずは魅力を認識できたことは非常によかった。ストレスフルな現代人にこそフィット感の強いアルバムとして,音楽的な評価に加えて効能があることを踏まえて星★★★★★としよう。それにしてもこれはいいわ。

Personnel: Bonnie Herman(vo), Len Dresslar(vo), Don Shelton(vo), Gene Puring(vo)

2011年5月28日 (土)

やはり今日も記事を書けなかった。

出張をしていると、その先々でうまいものを食せるのはいいのだが、ついつい飲み過ぎて、記事を書く間もなく眠りに落ちる、または気絶する(笑)ことが多く、記事の更新がままならない。 今日もまさしくその状態、という言い訳である(爆)。皆さん、ごめんなさ〜い。

2011年5月27日 (金)

本日出張中。

現在、出張中である。記事にしようと思っていろいろ音楽を聞いていたのだが、記事を書く余裕なし。単なる飲み過ぎって話もあるが(爆)。明日はどうか?

2011年5月26日 (木)

名曲満載:Scritti Polittiのベスト盤

Scritti_politti "Absolute" Scritti Politti(Virgin)

私はScritti Polittiの長年のファンである。来日公演にも行った。彼らのアルバムは全部持っているし,7インチ・シングルだって何枚か保有しているから,ベスト盤が出たからって言って買う必要はないだろうと言われればそれまでである。しかし,今回リリースされたベスト盤には新曲が2曲収録されているのだから,これは買わないわけにはいかないのである。

彼らの最新作は宅録フレイバー濃厚な"White Bread Black Beer"だったが,もうそれからも5年の歳月が過ぎてしまったというのはにわかには信じ難い。年を取るわけである(爆)。それはさておき,今回の新曲はGreenとDavid Gamsonの共作ということもあろうが,"White Bread Black Beer"の宅録感は薄まっている。やはりいいねぇ。

そうした新曲への注目度が高いのは当然としても,今こうしてベスト盤として,彼らの曲に改めて対峙してみると,やはり名曲揃いである。Rough Tradeレーベルで出した"Songs to Remember"及びその前の音源と,Virginレーベル移籍後では,とても同じバンドとは思えないような感覚の違いを感じさせるのだが,それは曲調や雰囲気が違うというだけであって,Greenの書く曲は今聞いても変わらぬ魅力を放っていることは凄いことである。ジャズ・ファンにはMiles Davisのトランペットが聞ける"Oh! Patti"が何と言っても注目だろうが,そのMilesも取り上げた"Perfect Way"のオリジナルはこの人たちなのである。Miles BandがScritti Polittiの演奏をかなり踏襲していることからしても,Milesが彼らを相当に買っていたのだということを改めて感じさせてくれるアルバムである。

ライブではその見た目と声のギャップに私をのけぞらせたGreenだが,やはり素晴らしい才能である。今でもバンドを継続してくれているだけでも嬉しくなるが,どうせなら久々の新作も考えて欲しいものだ。そうした願いも込めて星★★★★★。前回は7年待ったが,さて今回は...?

ちなみにライナーの文字が小さ過ぎて,Personnel情報は虫眼鏡なしでは解読不能。老眼にはきついので,アルバム情報は省略である。

2011年5月25日 (水)

心地よいグルーブが魅力のBooker T. Jones

Booker_t_jones "The Road from Memphis" Booker T. Jones(Anti)

これはショップをうろついていたら店内で流れていて,一発でまいってしまったアルバムである。特にBooker T.のヴォーカル入りの"Down in Memphis"には痺れてしまった。

本作は,昨年のJohn Legendとの共演も楽しかったThe Rootsの面々が,ソウル界の重鎮バック・ミュージシャン(変な言い方だ),Booker T. Jonesと共演したものであるから,これはそもそも期待が高まるってものである。そして結果は○である。

何がいいかというと,Bookert T.のオルガンと,The Rootsの醸し出すグルーブがいい具合にブレンドしていて,聞いていて気持ちいいのである。ヴォーカル曲は4曲だが,それらが丁度いいアクセントになっていて,全編を通じて飽きることがない。これは一聴して好きになるリスナーが多いだろうと思わせるアルバムなのである。ただ,ヴォーカルが結構重量級なので,インスト曲でのオルガンはやや線が細くすら感じてしまうから不思議なものだが,それでもこれはBooker T. Jonesが現代的なビートとも見事に調和できることを示した快作。しかも最後にはLou Reedをゲストに迎えているが,全く違和感がないのも凄いことである。

John Legendといい,Booker T. Jonesといい,こうした共演者とのアルバムを相応に仕上げてくるThe RootsのQuestloveは大したプロデューサーであり,ドラマーであると認めなければなるまい。これは結構楽しめるアルバムとして星★★★★☆には十分相当する。私はかなり好きだが,Booker T. Jonesのヴォーカルをもう少し聞けたら,というか,ヴォーカル曲とインスト曲のバランスが逆転していてもいいと思えるぐらい"Down in Memphis"が素晴らしい出来なのである。Booker T. Jones,当年とって66歳だそうだが,まだまだ現役である。

Personnel: Booker T. Jones(org, p, chimes, vo), Ahmir "Questlove" Thompson(ds), Kirk Douglas(g), Owen Biddle(b), Rob Shnapf(g, clap), Stewart Killen(perc), Yim Yames(vo), Matt Berninger(vo), Sharon Jones(vo), Lou Reed(vo)

2011年5月24日 (火)

Anita O'Dayの激安コンピレーション

Anita_oday "Four Classic Albums" Anita O'Day(Verve→Avid)

私がこのブログで取り上げた数少ないジャズ・ヴォーカリストの一人がAnita O'Dayである。記事で取り上げたのは"Anita Sings the Most"だったが(記事はこちら),某サイトを見ていたら,それを含む4枚のアルバムを2枚のCDに収めて,何と780円で売っているではないか。私が保有している"Sings the Most"はLPで,しかも実家に置いてあるから,聞きたいときに聞けない。よって,この4枚のうち,CDで保有しているのは"This Is Anita"だけであるから,この値段だからいいやってことで購入である。

このFour Classic Albumというシリーズ,ほかにもいろいろな人のものも出ているが,このAnitaが断トツで安いのはどういうわけだろうか。何て考えているよりも,どっぷりとAnitaのヴォーカルにひたるには丁度いいわ。

とか何とか言いながら,こんなことをやっているから,新譜もろくに聞く余裕がなくなってしまうのである。我ながらアホかっ!と思いつつも,たまにはこういう温故知新も大事なのだ。しばらくは通勤時間の友はAnita O'Dayか?いや,そんなことはないだろうが,仕事に疲れた帰り道にはAnitaがいいかもねぇ。

2011年5月23日 (月)

出張中に見た映画(11/05編):その4

The_mechanic_2 "The Mechanic" (’11,米,Millennium)

監督:Sam West

出演:Jason Statham,Ben Foster,Donald Sutherland,Tony Goldwyn

出張中に見た映画の4本目がこれである。Charles Bronson主演の「メカニック」のリメイク作だが,日本では8月に公開されるらしい。オリジナルの映画は見たことがないから,何とも言えないが,出てくるキャラクターや,ストーリーの基本的な部分をかなり踏襲している模様である。そんなことははっきり言ってどうでもいいというぐらい,この映画は,アクション映画としてとにかくJason Stathamをカッコよく見せることにフォーカスしたものと言っても過言ではない。

まぁストーリーとしてはハチャメチャなので,この映画に目くじらを立てること自体が私には無意味に思えるが,それでもお決まりのようにお色気シーンも挿入して,オジさんの期待に応えるつくりにはなっているが,子どもには到底見せられるような映画ではない。それでも,ある意味笑いながら見られる(コメディとしてではなく,そのハチャメチャぶりにである)という意味では,ある意味効能のある映画である。「グリーン・ホーネット」の中途半端さに比べれば,この映画が潔くさえ思えてしまう。まさにこれぞB級映画なのだ。

Jason_statham_2 私には,日本にJason Stathamのファンがどれぐらいいるかはわからないのだが,現在,Bronson的に男の中の男って感じの役柄を演じさせるには,こういう人が必要ってところではないか。頭の薄さなんかが女性には受けるかもしれないしねぇ(爆)。いずれにしてもB級映画なのだから,小難しいことを考えずに,「よくやるわ」的な感覚で見ていればOKって感じの映画である。私は彼が出ている「エクスペンダブルス」は酷評したが,こっちの方がはるかに「B級映画」としてまともな出来だと思う。星★★★。

ちなみにDonald Sutherlandはあくまでもゲスト的な出演に過ぎないので,念のため。

2011年5月22日 (日)

Argerichに感謝したくなるベネフィット・アルバム

Argerich "Schuman / Chopin Piano Concertos" Martha Argerich / Christian Arming / 新日本フィルハーモニー交響楽団(Kajimoto)

本作に収められた演奏は昨年Martha Argerichが来日し,上記のメンツですみだトリフォニーホールに出演した時のライブ音源である。元々は彼女の生誕70周年記念アルバムとしてリリースされる予定だったらしいのだが,それを今回の震災を受けて,急遽チャリティ・アルバムとして発表されたものである。

残念ながら,このアルバムは流通経路が限定的であるため,必ずしもすぐに入手できなかった人もいるかもしれないが,これは是が非でも入手して,被災地の支援にあててもらいたいアルバムだと断言してしまおう。

そもそも彼女がライナーに寄せているコメントが(ちょいと英語としては違和感があるが)泣かせる。"Please do everything you feel could somehow help the victims of the earthquake. I agree of course the use of the live recordings of Schumann and Chopin. I am so worried and concerned about the situation in Japan. I look all the time the news and feel the incredible pain and courage that the Japanese people endure. My deep love and admiration, hoping to visit Japan very soon, my words cannot express much. Excuse me.  Martha"

もちろん,彼女がこの演奏を展開しているその場では,今回の震災のことなどは想定していなかったわけだが,それでもこうした演奏をベネフィットのためにリリースしてくれるその心意気が素晴らしいと思う。本当にありがたいことである。

Martha Argerichがソリストとしてこれまでも何度も演奏してきたであろうこれらの曲を弾くのだから,演奏が悪いわけはないのだが,それでもここに聞かれるのは,古希目前の人の演奏とは思えぬ力強さである。若かりし頃のArgerichのようなもの凄い感覚というものは影をひそめたかもしれないが,円熟という言葉とは少し違う若々しさやタッチの瑞々しさが感じられるのである。まさにClear & Crispなのだ。やはり凄いピアニストだと思わされる演奏ぶりなのである。

そして,それよりも何よりも,やはりこのArgerichの被災地に寄せる思いはその感動を倍加させるものだと言ってよい。本当にありがたいことである。そうした意味も含めて,このアルバムには星★★★★★しかありえないだろう。皆さんも是非。

Recorded Live at すみだトリフォニーホール on November 28 (Chopin) and December 1 (Schumann), 2010

Personnel: Martha Argerich(p), Christian Arming(cond), 新日本フィルハーモニー交響楽団

2011年5月21日 (土)

ジョンスコ,ジョンスコ...

Electric_outlet 会社と家の間の道すがら,私は久しぶりにJohn Scofieldの音楽を連続して聞いた。今聞いても相当にカッコいい。一番燃えてしまうのはDennis Chambersとの共演時代だろうが,それ以前のGramavisonレーベルに吹き込まれた"Electric Outlet"と"Still Warm"の2枚が,私に彼の音楽を強く意識させたアルバムとして,実は相当好きなのだ。後でちゃんとレビューすることにしたいが,今聞いてもいけている。前者はRay AndersonとDavid Sanbornというホーンとの共演も刺激的だしねぇ。

Still_warm それに比べると,最近はジョンスコへの思い入れがてんでなくなってしまった私である。う~む。

2011年5月20日 (金)

I am giving up…

今夜は無理です。あ〜、きつい。

おやすみなさ〜い。

2011年5月19日 (木)

Joe Henryプロデュースでもダメなものはダメ。

Hugh_laurie "Let Them Talk" Hugh Laurie (Warner Brothers)

昨今のプロデューサーの中で私が最も信頼していると言ってもいいのがJoe Henryである。だから,彼がプロデュースしたアルバムは例外なく買っている私であるが,中には全然知らない人もいるわけで,このHugh Laurieも初耳である。英国では結構名の知れた役者らしいのだが,そんな人がJoe Henryのプロデュースで,ブルーズを歌うっていうんだから,やはり気になってしまい購入である。

しかし,このアルバムにはどうしてもぬぐえない違和感があるのである。バックのサウンドは,いかにもJoe Henryプロデュースらしいルーツ色濃いサウンドであるにもかかわらずである。その根本的な原因はHugh Laurieの声にある。こんな全くソウルを感じさせない声で,ディープ・ブルーズを歌われたって,どうやったってピンと来るわけはないのである。

聞いていて思ったのは,多少歌の歌える役者が道楽で作ったんではないかという感覚であるが,全編を通じて,真面目に演奏に取り組んでいるとは言え,こんな薄っぺらい歌唱では興ざめなこと甚だしい。所詮余芸に過ぎないのだ。そう言えば,Joe Henryのプロデュースにしては,バックのサウンドにも,いつものスモーキーな感じがしない。ピアノの音なんてかなりクリアな辺りにも違和感を覚えるのかもしれない。

私の感覚が顕著になるのはIrma Thomasが登場する"John Henry"という曲である。Irmaの声がまさにソウルであるのに対して,Hugh Laurieの声は...って感じなのである。やっぱりこれはダメだ。Joe Henryはいつもの調子でプロデュースしたのだろうが,この音楽をやるにはHugh Laurieの声は分不相応過ぎた。

ということで,さしものJoe Henryプロデュースとは言え,本作は私にはほとんど評価できない作品であった。星★★。

Recorded on July 26, 27, September 1, October 4-8, and 21, 2010

Personnel: Hugh Laurie(vo, g, p, perc), Jay Bellrose(ds, perc), Kevin Breit(g, mandolin, mandocello), Greg Leisz(g, Weissenborn, mandola), David Piltch(b), Patrick Warren(org, autoharp, accor, key), Craig Eastman(vln), Levon Henry(ts), Robby Marshall(cl, a-cl), Jean McClain(vo), Gennine Jackson(vo), Jo Green(clap), Brian "Breeze" Cayolle(ts, bs), Tracy Griffin(tp), Clarence J. Johnson the 3rd(as), "Big Sam" Williams(tb), Irma Thomas(vo), D. John(vo), Sir Tom Jones(vo), Allen Toussaint(arr)

2011年5月18日 (水)

追悼,児玉清

Photo 日曜日の午後の楽しみは今や絶滅寸前のクイズ番組の中で,しぶとく生き残る「パネルクイズ アタック25」を見ることだったりするのだが,その司会を長年務めた児玉清が亡くなってしまった。ここのところの激やせぶりは誰の目にも明らかだったが,番組を休養してから一月半ほどしか経っていないはずだから,相当ガンが進行していたのかもしれない。

彼の死により,あの「アタックチャ~ンス」のフレーズとあの決めポーズに触れられなくなると思うと,何とも寂しい。私はこの番組の予選敗退組だが,彼の存命中に再チャレンジしたかったなぁ。

謹んでご冥福をお祈りしたい。

2011年5月17日 (火)

出張中に見た映画(11/05編):その3

Green_hornet 「グリーン・ホーネット(The Green Hornet)」('11,米,Columbia)

監督:Michel Gondry

出演:Seth Rogen, Jay Chou, Cameron Diaz, Cameron Diaz, Christoph Waltz, Edward Furlong

いつも書いていることだが,飛行機の機内エンタテインメントなんだから,やたらに小難しいことを言っても仕方がないとは思う。気楽に見られることにはそれなりの効能もある。しかしである。この映画はくだらない。

制作及び主演を兼ねるSeth Rogenが趣味で撮ったとしか思えないこの映画は,はっきり言って見る方も作る方も金と時間の浪費としか言えない凡作である。大体,Bruce Leeを世に出したTVシリーズを今更リメイクすることに何の意味があるかもわからないし,いかにも3Dを意識したようなわざとらしい演出(但し当たり前だが,飛行機内では2Dである)も噴飯ものである。ストーリーも下らないので,最後の方は余りのアホくささに逆に眠くなるような映画である。

こういう映画が悪いというのではない。しかし,アクションならアクションに徹して,もう少しやりようがあるようなものだが,コミックなタッチを何とか作り出そうとする脚本も面白くない。Cameron Diazももうちょっと出る映画を選べよなっ!と言いたくなるような役柄だし,どういう層にこの映画が受けるのか,私には理解不能である。

唯一私が受けたのは,ラスト・シーン近くで,懐かしのTVシリーズの主題曲が流れた瞬間だけである。今にして思えば「熊ん蜂の飛行」と何がちゃうねんというような曲だが,でもこの曲が流れた時だけだけは異様な懐かしさを覚えて笑ってしまった私である。

しかし,それでも映画としてはあまりにもしょうもないので星★★。

2011年5月16日 (月)

"Live at Birdland":今年最も注目すべきアルバムの一つ(少なくとも私にとってはそうだ)

Live_at_birdland "Live at Birdland" Lee Konitz, Brad Mehldau, Charlie Haden, Paul Motian (ECM)

私はこのメンツがNYCはBirdlandに出演するというのを認識していて,日本で臍をかむ思いをしていたのだが,ライブ盤として発売されるという告知を見た時,はっきり言って小躍りしてしまった。それが某ネット・サイトでは「マスター不良により,発売延期」なんてことになって,そんなアホなと思っていたら,別のショップからは入荷情報が届き,一体どうなってんねん!と思いつつ,めでたく近所のショップでゲットである。某ネット・サイトはECMの入荷が遅くていつもイライラさせられるが,今回もこの失態はインパクト大きいよなぁなんて思ってしまった。某サイトは米盤を前提に考えているため,こういう問題が生じたようにも思えるが,それでもECMのようなレーベルがマスター不良なんてのは考えにくいのだが...。まぁすぐにゲットできたからいいが,どうもねぇ。

いずれにしてもである。このメンツであるから,私は本作のリリースを本当に心待ちにしていた。Motianを除く3人はBlue Noteレーベルに"Alone Together"と"Another Shades of Blue"という渋いながらも素晴らしいアルバムをリリースしていて,それらにも本当に痺れていた私であるから,そこにMotianが加わるというまた渋い組合せに期待するなと言う方が無理ってもんである。

そして,ここで聞かれる音楽はというと,3人が既に古希に達しているとは思えぬ自発性の高さというか,この自由度には驚かされる。やっているのはスタンダードなのだが,それはあくまでもモチーフに過ぎないのである。そこからいかに自由に展開するかというところに,この音楽の本質があるように思える。特にKonitzのぶっ飛び具合が凄い。Konitzに比べれば,Mehldauは比較的オリジナルの持つメロディ・ラインを尊重しているようにさえ思えるほどである。そんなMehldauとて,ストレートにメロディを紡ぐということはのではないのである。

確かにこの音楽は,事前の打合せなしで演奏されたと聞けば,なるほどと思わせるようなものばかりだ。そんな音楽であるから,スタンダードとしての演奏を期待すれば,何じゃこりゃと思うリスナーがいても,それは全く不思議ではない。これはかなりハイブラウな出来と言ってもいいから,おそらく好き嫌いはわかれるだろう。しかし,繰り返すが,Konitzは80歳を越え,Hadenは70代前半,Motianも80歳になろうという時期でのレコーディングだと言われても,ほんまかいなと言いたくなるほど,ここでの創造性はとても信じられないのだ。

真に創造的なミュージシャンは,年齢を重ねてもその創造性に衰えを示さないことを雄弁に実証したアルバム,演奏と言えるだろう。いや,それにしても凄い爺さんたちである。そんな老人を相手に一歩も引かないMehldauも立派なものである。そうした点も評価して星★★★★☆。この日,Birdlandでこの演奏を目撃できた人たちが羨ましい。

Recorded Live at Birdland, NYC on December 9 & 10, 2009

Personnel: Lee Konitz(as), Brad Mehldau(p), Charlie Haden(b), Paul Motian(ds)

2011年5月15日 (日)

Jeff "Tain" Wattsの新作はミドル級チャンプって感じである

Family "Family" Jeff "Tain" Watts(Dark Key Music)

ドラマーとしてだけでなく,リーダーとしても傑出した実力を示すJeff "Tain" Wattsであるが,その新作が彼のレーベルであるDark Key Musicから発売された。CDの置き場所に困ってという事情もあるが,最近は私もダウンロードに全く抵抗がなくなって,このアルバムもデリバリーを待つぐらいならということで,MP3での購入となった。しかも安いしねぇ。人間変われば変わるものである。

Jeff "Tain" Wattsは昨年,Branford Marsalis,Terence Blanchard,Robert Hurstという超強力な布陣で来日したが,それに比べれば,ここでのメンバーはミドル級って感じである。もちろん,それは決して悪いとは言えないのだが,そうした感覚を増幅しているのはSteve Wilsonのサックスのように思える。Steve WilsonのサックスがBranfordあたりに比べれば,かなり軽く聞こえてしまうのは仕方がないところではあるが,ピアノ・トリオとのバランスにはやや違和感を覚えると言ってはちょっと可哀想かもしれないとしても,どうもそういう印象がぬぐえないのである。Wilsonには申し訳ないが,彼が吹いていないピアノ・トリオでの演奏なんて,無茶苦茶いいと思えるのだが,Wilsonが吹奏している場面ではやはりちょっと軽さが気になる。そうは言っても"Mobius"のソプラノ・ソロなんていけているし,後半の"A Wreath for John T Smith"や"Torch E-Ternal"のアルトもよかったりと,全体で評価するのが難しいところもある。思うにそうした印象は冒頭のタイトル・トラックゆえかもしれないなぁとも思いつつ...。

しかし,Jeff "Tain" Wattsのオリジナルを集めたこのアルバムは,そうした要因を差し引いてもなかなかの佳作である。Wattsのドラミングは好調そのものであるし,ケチのつけようがないものである。曲として面白かったのは"Jonesin' (for Elvin)"である。曲名からも明らかな通り,Elvin Jonesへのオマージュであるが,"E. J. Blues"のようなフレーズが顔を出し,微笑ましいが,ここでのドラミングなんて,まさにElvinが乗り移ったかのような素晴らしい叩きっぷりなのだ。

いずれにしても,このアルバムにおけるJeff "Tain" Wattsのドラミングは聞きどころたっぷりであり,やはり彼が傑出したドラマー,リーダー,そしてコンポーザーであることは十分実証されている。しかし,個人的な結論としてはJeff "Tain" Wattsはアルト・プレイヤーよりもテナー・プレイヤーのバックでこそ更に光る。それでもこれは悪くないが...(どっちやねん!)。ということで,星★★★★。

Recorded on August 17 & 18, 2010

Personnel: Jeff "Tain" Watts(ds), Steve Wilson(as, ss), David Kikoski(p), James Genus(b)

2011年5月14日 (土)

出張中に見た映画(11/05編):その2

The_tourist 「ツーリスト(The Tourist)」('10,米,Columbia),

監督:Florian Henckel von Donnersmarck

出演:Johnny Depp,Angelina Jolie,Paul Bettany,Timothy Dalton

出張中に見た映画シリーズの2本目は2大スターの競演で話題となったこの映画であるが,まぁこれが,Anjelinaを綺麗にみせることに主眼を置くとともに,ベニス(あるいはパリ等の欧州と言ってもよいだろう)のための観光映画みたいなつくりである。その目的はある程度達成できてはいるが,Johnny Deppがこの映画に出る必然性は全くと言って感じられない。

ストーリーについて書いてしまうと,すぐにネタバレになってしまうのでここには書かないが,いずれにしてもそれってありえないよねぇという展開である。はっきり言ってしまえば,面白く見せるためなら,シナリオなんてどうでもええわって感じなのである。こういういい加減な作りの映画には本当に腹が立つ。

この程度の映画であるから,評判になるはずもなく,製作費の回収も極めて難しいだろうと言わざるをえない。唯一の救いは久しぶりに見たTimothy Daltonの渋さであろうか。彼は007 James Bondの役者としては渋過ぎたとは思うのだが,この映画でのような感じでは非常に魅力的に映ると思ったのはきっと私だけではないだろう。それを含めても星★★が精一杯。まぁお暇ならどうぞってぐらいの映画である。

2011年5月13日 (金)

ようやく出張終了である。

今回の米国出張も本日で終了である。だいたいこれから22時間後には日本の土を踏んでいるはずだが,こればかりはどうなるかわからない。いずれにしてもディレイが発生しないことを祈るのみである。

昨日はシリコン・バレーに来たわけだが,やや肌寒いものの,それは素晴らしい天候であった。正直言って仕事をするよりも,別のアクティビティをしたくなるような快晴だったのだが,そこは仕事,仕事ということで。

2011年5月12日 (木)

出張中の楽しみは...

Waterbar NYCでジャズ・クラブに行ったことなんてのは出張の役得の一つだが,出張中の最大の楽しみは各地のおいしいものをいただくこと,あるいはナイスなレストランに行くことだと言っていいだろう。ダラスで訪れたメキシコ料理の店,Javier'sなんて最高にうまかった。私の人生で食したメキシカンの中でも最高のものと言ってもいいぐらいである。こういうのがあると,ダラスは遠いが,また仕事で行くぞ~というモチベーションが高まってしまう(爆)。

続いて訪れたSFではベイブリッジのすぐそばにあるWaterbarというシーフード・レストランに行くチャンスがあった。これは私の現地の知人から紹介された場所であるが,これがロケーションもいいが,食事もフレッシュで非常においしかった。ここの雰囲気のよさはここに貼り付けた写真を見て頂けばわかるだろう。生牡蠣もうまかったなぁ~。

2011年5月11日 (水)

出張はつらいよ:またまた移動

これはダラスの空港のWIFIを使って書いているが、これからSFへ移動である。またも3時間以上のフライトなので、楽ではないがまぁ仕方がない。しかも、朝の4時前に日本からの電話で起こされたのには参ったが、電源を切らなかった私が悪いな。ってことで、出張は相変わらず辛いのだ。

2011年5月10日 (火)

出張中に見た映画(11/05編):その1

The_fighter 「ザ・ファイター("The Fighter")」('10,米,Paramount)

監督:David O. Russell

出演:Mark Wahlberg, Christian Bale, Amy Adams, Melissa Leo, Jack McGee

出張はつらいが,移動中に映画を見るのは楽しみの一つである。そんな中,今回,いの一番に見たのがこの映画である。それはなぜかと言えば,「英国王のスピーチ」でのGeoffrey Rushを蹴落として,オスカー助演男優賞を受賞したChristian Baleが一体どんな演技をしているのかという点に関心があったからにほかならない。

そして,この映画でのChristian Baleの演技を見ていて,簡単に納得できるものだった。これならオスカーに値すると思えるほど,情けない男を見事に演じている。更に,これに同じく助演女優賞を受賞したMelissa Leoの演技も加わって,映画としての出来が飛躍的に増したっていうところであろう。

これは典型的なボクシング映画であるが,Mark Wahlbergも体重を見事に増減させているところが大したものではあるが,ボクシング・シーンよりもChristian Baleの表情がこの映画のよさを私に感じさせたことは間違いのない事実である。しかもこれが実話に基づくというのだから,事実は小説より奇なりを地で行っていると言ってもよい。最後に出てくる実在のDicky Eklundの喋りっぷりが,Christian Baleと全く同じに聞こえるところも凄い。とにかく,この映画はChristian Baleのためにある映画であるが,映画としても非常によく出来ているので,それは保証する。

それにしても,今年は結構いい映画が多いなぁと思う。「英国王のスピーチ」,「ソーシャル・ネットワーク」と同様に評価できる映画である。飛行機の中で見ていて,本当に嬉しくなってしまったということもあり,星★★★★★。

2011年5月 9日 (月)

記事を書く余裕なし。

現在、米国の友人宅に滞在中である。彼らの家にいると、それだけで国力の違いを痛切に感じざるを得ないが、それにしても立派な家である。 今はネットにつなぐ環境にないし、記事を書く余裕もないので、iPhoneからの投稿となったが、疲労もピークって感じである。こちらの時間の夜にはまた移動なので、またまた身体にはきついが、まぁ仕方がない。

2011年5月 8日 (日)

出張はつらいよ(久しぶりだ)。

多くの人に海外出張っていいですねと言われる。しかし、いつも言っていることだが、移動が多いと出張は決して楽ではない。特に米国の場合、国土が広いので、東から西、あるいは西から東への移動もきつい。今日はNYCから南への移動だか、朝5時起きは時差ぼけの中とは言え、さすがに辛い。フライト中は爆睡確実な状況の中、フライト前にWIFIでこの記事を書いている。

週末は友人宅で過ごすことになっているが、それはそれで楽しみとは言え、やはり移動はきつい。いつものことだが、出張はつらいのだ。ほとんどわかってもらえないが、本当なのだ。それにしてもだるいな〜。

2011年5月 7日 (土)

レベルの違いを見せ付けられたAlex Sipiagin 5

Smalls_alex 昨日に続いてSmallsに行ってきた。まさかのSmallsのはしごだが,本日はAlex Sipiaginのクインテットである。昨日のLage Lundも結構いいなぁと思っていたのだが,本日のバンドはそれをはるかに越えるレベルで,まさに私は興奮してしまった。このバンドに比べれば,Lage Lundはまだまだ甘いと思えてしまうほどだ。

このバンドのフロントは自らもリーダー作を発表するような実力者ばかりであるから,相応のレベルは予想していたのだが,このバンドをプッシュするNate Smithのドラミングにまず目が点である。Nate Smithと言えば,Chris Potter Undergroundのリズムを支える逸材だが,その実力たるや,私が近年見たドラマーの中でも指折りのものと言ってよい。これが本当に凄いのだ。それにプッシュされて,フロントも強烈なフレーズを連発しているばかりか,ベースのBoris Kozlovも弓弾きでもピチカートでもこれまた見事なソロを展開するのだから,全く目を離す暇がないのである。こんな演奏が日夜展開されていると思うだけで,私はNYCへの郷愁が強まってしまうが,それにしてもである。これはまさに現代のNYCを代表するような音と言ってもよいだろうが,Alex Sipiaginのオリジナルも魅力的なら,彼らのソロも本当に強烈であった。Alexは鋭いハイノートを交えながらも歌うようなフレーズを連発する一方,私の期待以上だったのがDonny McCaslinのテナーである。この人のテナーってこんなによかったっけと思わせるぐらい,これまたナイスなラインを繰り出し,本当にこの人を見直してしまったと言ってよいだろう。

更にAdam Rogersである。この人のギターは聞いているだけなら,余裕さえ感じさせるような音なのだが,これまた繰り出すフレーズはメカニカルになり過ぎることなく,まさに適切な感覚を与えるものであった。結局,バンド全員の実力が高いのだから,音楽が悪くなるはずがない。

今回はたまたまこんな素晴らしい演奏を聞けたと言えるかもしれないが,日頃からこういう演奏を展開しているんだろうと思わせる好ライブであった。だが,やはり今回の最大の収穫はNate Smithだろう。この人のドラミングは正直言って突き抜けていた。6月にはVanguardにUndergroundで出演するらしいが,またNYCに出張したくなってしまったではないか。

今回の出張で残念ながらSeamus Blakeを聞くことはできないが,十分それを補って余りある演奏を聞くことができた。最高である。Smallsに感謝,感謝。写真は暗い中でノー・フラッシュで撮ったものなので,ブレブレだが,まぁ雰囲気ということで。皆さんもNYCに行く機会があれば,是非Smallsへ。まじでこの空間は好きである。

2011年5月5日 21:30~0:20 at Smalls

Personnel: Alex Sipiagin(tp, fl-h), Donny McCaslin(ts), Adam Rogers(g), Boris Kozlov(b), Nate Smith(ds)

2011年5月 6日 (金)

Lage LundをSmallsで聞く

Smalls_lage_lund_4 久しぶりのNYCに出張である。GWをつぶして出張しているのだから,多少自分が楽しめる時間を取っても,文句は言われまい。ということで,到着直後で時差ぼけも解消しないまま,巷で話題のSmallsに突入である。

昨日の記事にも書いたとおり,今回はたまたまSmalls Liveシリーズのライブ・レコーディングがあるということで,Lage Lundを聞きに行ったのだが,もし入れなかったら,Jonathan Kreisbergを聞きに行こうと思っていた。しかし,直前になって,Kreisbergはキャンセルになった(ちなみに代わりに出ていたのはAri Hoenigとの共演でもお馴染みのGilad Hekselmanだったが...)ようだったので,これは何としてもLundを聞かねばということになってSmallsに出向いたのだが,何のことはない。徐々に混み合ってきたとは言え,我々が行った時間には楽勝でバー・カウンターの適切な場所がいい具合に空いていた。

今回はライブ・レコーディングということもあって,2セットで曲目がダブっているものもあったのだが,印象はファーストとセカンド・セットでずいぶんと違うものになっていたと言える。演奏としてはセカンド・セットのほうが相当にアグレッシブな感覚が強く,私としては当然,セカンド・セットの演奏の方が楽しめた。もちろん,ファーストが悪いわけではなく,例えばJim Hallのオリジナル"All Across the City"はファーストの演奏の方が優れていると思えた。だが,総じてリズム,特にMarcus Gilmoreのドラミングはセカンド・セットの方が刺激的だったように思える。眠気も飛ぶぜっ!みたいな感じである。

今回,演奏を聞いていて思ったのだが,Lage Lundの書く曲は,かなりメカニカルな響きが強く,例えは違うかもしれないが,Steve ColemanあるいはM-BASE一派の曲のようにも聞こえる瞬間があった。だが,アドリブになると,そうした印象よりも,フレージングの豊かさを感じさせるという気がしたので,この人の作曲能力が高まると,魅力が更に増すのではないかと思えてしまった。先述の"All Across the City"に聞かれるような,ギターを歌わせる技術にはJim Hallの影響も感じさせるものだったように思える(そう言えば,弾いていたギターもJim Hallのものにかたちが似ているように見えた。違うギターだとは思うが...)。

バンドとしては実力者の集まりで,大したものだと思ってしまったが,Gilmoreはもちろん,ベースのBen Streetは立ち居振る舞いもカッコいいだけでなく,実力も想像以上。また,唯一名前を知らなかったピアノのPete Rendeもリリカルなフレージングが魅力的なピアニストであった。さすがNYC,ミュージシャンの実力が違う。

ということで,せっかくのライブ・レコーディングなので,参加したことの証拠の「声」でも残してこようかと思ったが,ひたすら地味に聞いていた私である。やはり年には勝てないって感じだが,いずれにしても,ライブ盤が出れば買うに決まっているな(笑)。

それにしても,面白かったのはこのSmalls Liveシリーズのレコーディングへの取り組みである。ライブ・レコーディングのためのセッティングって感じはほとんどなく,手作り感が溢れているのである。Lage Lundの前にはDavid Berkmanがベースとデュオをぎりぎりまでやっているし,ライブの最中にもピアノやドラムスのマイクのセッティングをいじってみたりと相当いい加減と言えばその通りである。よって,彼らはハイファイな録音を目指しているというより,ドキュメンタリー性を重視しているんだろうなぁと感じた次第である。よって,このシリーズに音のよさを求めること自体が無意味というのがよくわかった一夜であった。でもサイズといい,音といい,いいクラブだったと思う。

2011年5月4日,21:50-0:30 at Smalls

Personnel: Lage Lund(g), Pete Rende(p), Ben Street(b), Marcus Gilmore(ds)

2011年5月 5日 (木)

この記事がアップされる頃には...

この記事がアップされる頃には,何も問題が起こっていなければ,私は出張でNYCに到着しているはずである。GWの途中での出張というのは,業務上の効率としてはいいのだが,家庭内のマネジメントはどんどん難しくなるという問題があって,はっきり言って困ってしまう。そうは言っても,久しぶりのNYCなので,ナイト・ライフもできるだけ楽しみたいなんて考えている私は,相当いい加減なサラリーマンである(爆)。

しかし,NYCでは私は相当悩んでいるはずなのだ。何がって言うと,この記事が日本でアップされるタイミングは現地時間ではまだ5/4なのだが,当日,現地ではJonathan KreisbergとLage Lundがほぼ同じ時間帯に違うライブ・ハウスに出演するのである。私としては,最後の最後まで,どちらを見に行くべきか悩んでいるはずだが,Lage LundはSmalls Liveの録音セッションということもあっておそらくLundの方を見に行くのではないかと思う。しかし,もしSmallsが盛況で入りきれない場合(何てたって予約を受け付けない店だからなぁ...)は,Jonathan Kreisbergを見に行くって感じだろう。

いずれにしても贅沢な悩みだが,こんなことを書いているから,何をしに行っているかわからないなんて揶揄されるのである。まぁこれも役得ってことであるが,それにしてもである。まさに嬉しい悲鳴と言ってもよいが,見たら見たで,結果については改めてご報告したいと思う。

2011年5月 4日 (水)

Karizma:タイトなフュージョンってぇのはこういうもんだ!

Karizma_document "Document" Karizma(Creatchy)

私はMichael Landauというギタリストをかなり高く評価しているが,それはこの人が人を痺れさせるようなフレーズを連発するからにほかならない。正直言ってしまえば,彼は自分のアルバムでよりも,人のアルバムでこそ,その輝きを増す人だと思っているが,その最たる事例がJoni MitchellのライブDVD"Refuge of the Road"(記事はこちら)である。そんなMichael Landauがギターを弾きまくると,こういうアルバムができるという作品と言ってよい。

このKarizmaというバンドはキーボードのDavid Garfieldのバンドであるが,この人はMichael Landauとの相性がよいと見え,ここでもフュージョン好きならぞくぞくしていしまうようなタイトな演奏揃いである。Karizma自体は昔はCarlos Vega等も参加して来日もしたことがあるが,このアルバムでのラインアップは相当強烈というか,メンツを見るだけで期待が高まってしまうが,音を聞いても裏切られることはない。これは痺れる出来である。Landauのギターがいいのはもちろんなのだが,ここではVinnie Colaiutaの超タイトなドラムスが効いている。このコンビ,上述のJoniのライブでも共演しているが,このコンビネーションはやはり強力である。もちろん,リーダーGarfieldもベースのStubenhausもよいのだが,私の関心はどうしてもこの二人に向いてしまうのである。

それにしてもである。このバンドとしてのタイトさは何なのか。曲のカッコよさもあるが,やはりこのメンバーならではの演奏能力が大きいだろう。その中ではMichael Breckerの初リーダー作に収められたDon Grolnick作の"Nothing Personal"が異色に響くが,4ビート的な展開になっても,無茶苦茶カッコいいオッサンたちである。ついでに"Heavy Weather"に入っていたWayne Shorterの"Palladium"なんて曲をやっているところに,彼らの音楽的バックグラウンドもうかがえると言ってもいいかもしれない。

いずれにしても,結局のところ私のMichael Landau好きを改めて実証しているようにも思えるが,ここで聞かれる演奏はまさに,私がMichael Landauに求めるものと言ってよい。少なくとも彼のギターを聞いている限りは星★★★★★(大甘だっ!)。この手の音楽好きにはマストな音源である。やはりLandauは最高なのだ。

ところで,YouTubeで検索したら,彼らのライブ演奏の模様がアップされていたので,それも貼り付けてしまおう。やっぱりタイトなバンドである。タイトじゃないのはDavid Garfieldの体型だけ?(笑)。完全メタボな私としては,人のことを言えた義理ではないが(爆)。

2011年5月 3日 (火)

Randy Breckerの歌ごころ

Randy_brecker "The Jazz Ballad Song Book" Randy Brecker with DR Big Band(Red Dot Music)

昨年,私がジャズのベスト・アルバムの一枚に選んだのがChris Minh Dokyの"Scenes from a Dream"(記事はこちら)であったが,そのアルバムはDoky自身のレーベルからのものだということは特に認識していなかった。しかし,今回,DR Big BandとChris Potterの共演盤が同レーベルから発売されるということもあって,Webサーフィンをしていたら,同時にこのRandy Breckerとの共演盤もリリースされるという情報をキャッチした。

実は私は,それほど熱心なビッグバンドのリスナーではないこともあり,本盤は購入すべきかどうか迷っていたのだが,今回,そのChris Potter盤を買おうと思ってショップを訪れた際に,収録曲を見て,これは買いだと即決したものである。原則,著名なスタンダードや映画音楽をDR Big Bandとデンマーク国立室内管弦楽団のストリングスをバックにRandyが吹くというものである。加えてRandyのオリジナルが2曲という構成だが,"Goldfinger"(そう,あの007のである)みたいな珍しい曲もありながら,魅力的な曲揃いなのである。

それでもって,このアルバムであるが,タイトル通り基本的にはバラッド中心であるが,冒頭の"All or Nothing at All"なんてミディアムに軽快に決めているから,バラッドばかりというわけでもない。だが,そんなことは正直言ってどうでもよくて,このアルバムはRandy Breckerの歌ごころを聞くためのアルバムであると言ってもよい。Randyと言えば,どうしても以前のBrecker Brothersにおけるイケイケの音楽を想像してしまうのが人情であるが,ここにあるのは成熟したトランペッターとしてのRandy Breckerの姿である。そして,これが何とも素晴らしい吹奏ぶりなのだ。

私は2曲目の"Cry Me a River"で完全に参ってしまったのだが,輪を掛けて泣かせるのが"The Immigrant/Godfather"である。そう,あの「ゴッドファーザーPart2」のテーマ曲である。このメロディそのものがそもそも泣かせるものだが,ここでのRandyのフレーズを聞いていてしみじみとしてしまった私である。私としては,ここでの演奏が全曲完璧なものとは思わない(特にRandyのオリジナルはアドリブはいいが,曲そのものは今イチって気がする)が,それでもここでのRandyとBig Bandのコラボレーションは結構なレベルに達しているし,ビッグバンドのソロイストのレベルも高い。だが,それをもはるかに凌駕するRandyの素晴らしいソロである。こんなにいいトランペッターだったのかと今更ながら気づかされてしまった私であった。そうした反省も込めて星★★★★☆としよう。これはやはりよい。プロデュースをしたのはChris Minh Dokyだが,わかってるねぇ~と思わずひとりごちてしまった。繰り返すが,これはRandyの歌ごころを楽しめばいいアルバムだと言い切ってしまおう。

そう言えば,このDR Big Bandは以前,Maria Schneiderをアレンジャー,コンダクターに,更にはDavid Sanbornを迎えて,Gil Evansのオリジナル・スコア再現に取り組んでいた(当該演奏を収めたブートに関する記事はこちら)から,進取の精神に富んだバンドだと言えると思うが,それにしても大したものである。デンマークという国のジャズへの取り組みが非常に高いレベルにあることを実証していると思う。

Recorded in January, 2010

Personnel: Randy Brecker(tp) with DR Big Band: Michale Bojesen(cond), Anders Gustafsson(tp), Christer Gustafsson(tp), Thomas Kjagaard(tp), Mads la Cour(tp), Gerard Presencer(tp), Vincent Nilsson(tb), Steen Hansen(tb), Peter Jensen(tb), Annette Huseby Saxe(tb), Jakob Munck(tb), Nicholai Schultz(reeds), Peter Fuglsung(reeds), Lars Moller(reeds), Uffe Markssen(reeds), Pelle Fridell(reeds), Henrik Gunde(p), Kasper Vadsholt(b), Seren Frost(ds), Per Gade(g) with Danish National Chamber Orchestra

2011年5月 2日 (月)

追悼:Phoebe Snow

Phoebe Snowが4/26に亡くなったようである。昨年,脳卒中で倒れた後の闘病の末のことであったが,まだ60歳,若過ぎる死である。

Phoebe Snowと言えば,このブログでも彼女の"Never Letting Go"を取り上げたことがある(記事はこちら)が,そこにも書いたとおり,NYC的な感覚を強く感じさせてくれるだけでなく,そのソウルフルな歌声も魅力的なシンガーだった。そんな彼女がデビュー・アルバムでは"San Francisco Bay Blues"なんて曲を歌っていたのはちょっと意外なような気もするが,ブルージーでソウルフルなシンガー・ソングライターというあまりいないタイプの歌手であったと思う。デビュー・アルバムにはZoot Simsも参加しているしねぇ。

私は彼女のライブを一度だけNYCのBeacon Theaterで見たことがあるが,その時は"New York Rock and Soul Revue"というイベント性もあって,ちょっと力み過ぎかなぁとも思ったが,それでも彼女の残したアルバムには結構しみじみさせてくれるところが多い。今夜は"Something Real"でも聞いて追悼しようと思ったのだが,どこに行ってしまったのか見当たらない。ということで,気持ちだけでも追悼することとしよう。

R.I.P.

2011年5月 1日 (日)

中年音楽狂,長崎に現る。

Photo 私は仕事の関係でいろいろなところに出張しており,日本の都道府県で未踏の地は秋田,佐賀,宮崎,そして長崎の4県だったのだが,今回,初めて長崎を仕事で訪問する機会があった。長崎には福岡から車での移動となったが,現地に到着するまでは風薫る田園地帯を抜けていきつつ,長崎市内に到着するとがらっと様子が変わるのが非常に面白かった。今回は現地に宿泊していないので,その本質を楽しむところまでは行っていないが,ちょっといるだけでもこれはきっといい街だ思わせる風情がある。坂が多いところや海に面しているところからして,私はベイ・エリアを想起してしまったが,次回はもう少しゆっくりと訪れてみたいと思わせるところであった。それにしても,坂が多過ぎて,自転車に乗れない人が多いという話には思わず受けてしまった。

空港に向かう直前,やはり長崎と言えばということで,元祖チャンポンのお店である四海樓にお邪魔して,皿うどんを食してきた。どうせならチャンポンにすればいいものを皿うどんにするところに私の天邪鬼度炸裂である。本当ならチャンポンの麺を使った太麺皿うどんを食するのが正しいのだろうが,私は一般的な揚げ麺タイプの細麺皿うどんにした。

もちろん味は悪くはないが,珍しいと思ったのは,長崎の皆さんは皿うどんにウスター・ソースを掛けて食べるのだということである。郷に入らば郷に従う私も真似してみたが,確かに悪くない。「芥子+酢」も捨て難いが,ウスター・ソースでもいけるのねぇなんて妙な感心の仕方をしてしまった。皿うどんの「あん」はかなり濃厚な感覚であったが,あれが本来の皿うどんの「あん」なのだろうか。いつも「リンガーハット」の皿うどんしか食していないと,よくわからなくなってしまう(爆)。いずれにしても,全国うまいもの列伝として取り上げるほどのものとは思わないが,それでもローカル風情を楽しむためには欠かせないものだろう。

いずれにしても,次回はもう少しゆっくりと訪れたいと思わせるナイスな街,というのが私の長崎の印象である。

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