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2011年4月30日 (土)

Metroのライブ盤:この心地よいファンク

Metro"Live at the A-Trane" Metro (Marsis)

Metroと言えば,今やFourplayのと呼ぶべきChuck LoebとサックスのBill Evansとのライブも懐かしいMitchel Formanの双頭バンドであるが,そこにドラムスのWolfgang Haffnerを加えたのが固定メンバーである。ベーシストだけは変わっているものの,一応パーマネントのバンドとして活動しているようである。そんな彼らのライブ・アルバムがネットで結構安く売られていたので買ってみたが,これが非常に適切かつ心地よいファンクネスを体現したアルバムで思わず嬉しくなってしまった。

このアルバムはそもそも彼らのWebサイトでCD-Rで発売されていたという話を聞いたことがあるが,それがプレスされて公式リリースされたものらしい。ということで,録音はかなり前にはなるが,新譜として取り扱わせてもらう。実を言うと,私が今回本作を購入したのは抱き合わせでのディスカウントをゲットするために,何に買おうかと迷っている最中に本作を見つけただけのことだったので,購入の動機は相当に不純である。しかし,そんな不純な動機でも,アルバムの出来がよければ結果オーライで嬉しさ倍増って感じだ。

このアルバムのいいところは,ハード・フュージョンまではいかずとも,決してスムーズ・ジャズではないという,本来のフュージョンの持つよさを示しているところではないかと思う。ハード過ぎず,ポップ過ぎず,いい塩梅なのである。こういう感覚はJeff Lorber Fusionを聞いている時の感覚に近い。以前,私がChuck LoebのライブをNYCのIrridiumで見た時には,サックスをEric Marienthalが吹いていたから,メンツ的にもJLF的なものに近いところがあると言ってもいいのかもしれない。

そもそもMetroというバンドがデビューしたのは,ドイツのフュージョン専門レーベルと言ってよいLipstickから出た同名のアルバムによる1994年だから,キャリアとしては随分と長くなっているが,現在もライブはやっているようである。こんな演奏が聞けるなら,生で是非聞いてみたいと思うのは私だけではないだろう。私もLipstickからの2枚は保有しているが,このライブ・アルバムが今までの彼らの作品では一番気に入ったと言ってもよい。実は彼らはライブで光るミュージシャン(もちろん,スタジオでもOKだが...)なのかもしれないが,それにしてもこれはかなりよい。彼らのオリジナル曲も魅力的なものが揃っており,ちょっとオマケもしたくなるようなアルバムということで星★★★★☆。

Recorded Live at A-Trane in Berlin on November 16 & 17, 2000

Personnel: Chuck Loeb(g), Mitchel Forman(key), Jerry Brooks(b), Wolfgang Haffner(ds)

2011年4月29日 (金)

60万PVありがとうございます。

一昨晩、通算のページ・ヴューが60万を越えたようである。50万PV到達が今年に入ってすぐぐらいだったから、ほぼ4ヶ月での10万PV上乗せってことになる。

途中、東日本大震災で、音楽や映画についての記事を書く余裕もない日々が続いたこともあり、アクセス数は減少傾向にあったので、もっと時間が掛かると思っていたが、これも偏にアクセスして下さった皆さんのおかげである。

震災発生後、私の中で何かが変わってしまったことは自覚していて、記事も若干トーンが変わってきているかもしれないが、最近サボることが多い記事のアップは、徐々に以前のペースに戻して行きたいと思う。

皆さん、これからもよろしくお願いします。

2011年4月28日 (木)

Metroのライブ盤について書こうと思ったのだが...

今日はChuck LoebとMitchel FormanのバンドであるMetroのライブ盤について書こうと思っっていたのだが,出張中の深酒がたたり,ギブアップ。明日以降にまた書こうと思う。何だかなぁ...。ちょっとだけ書いておくと,非常に心地よいファンクネスが感じられるライブ盤であるとは言えるだろう。To Be Continued...

2011年4月27日 (水)

本日も出張中につき。

本日は福岡に出張中である、飯はうまいし、ねえちゃんは綺麗だって、「帰ってきたヨッパライ」のようになってしまうが、事実だから仕方がない。いやいや天国みたいな場所である。単身赴任でもここなら全く問題ないって言ってしまいそうである。

I Love 福岡ってことで。

2011年4月26日 (火)

これぞ究極!Joni MitchellのSHM-CD盤はジャケの精度が凄い。

Hissing_of_summer_lawn遂にというか,ようやくというか,Reprise/Asylum時代のJoni Mitchellのアルバム群がSHM-CD/紙ジャケットされて再発となった。昨今の日本のレコード会社の紙ジャケットのレプリカ度へのこだわりは,はっきり言って尋常ならざるものがあるが,今回のJoni Mitchellの作品においてもそれは健在である。オリジナルの手触り感はもちろん,エンボスにまでこだわった再現度ははっきり言ってオタクの世界と言っても過言ではない。これでは従来のジュエル・ケースでは我慢できなくなっても仕方がない。私にとっては財布には相当厳しいものだったが,これならまぁ納得せざるをえまい。

そうした中で,今回は発売されていないライブ盤2種:"Miles of Aisles"と"Shadows & Lights"はどうなるのだとか,Geffen移籍以降のアルバムはどうなるのかといったところにも興味は尽きない。いずれにしても,出たらまた買ってしまうんだろうなぁと思わざるをえない。音はまだ聞いていないが,Steely DanのアルバムのSHM-CD盤を聞いているので,そこそこ期待していいだろうと思っている。しかし,本当に無駄遣いだよなぁと思うが,Joniのアルバムならば致し方があるまい。ということで,エンボスの見事さという意味ではこの「夏草の誘い」が圧倒的かな。"Blue"の手触りや,"Court & Spark"のエンボスも見事なものだが...。

ここまで来ると,紙ジャケ・レプリカも完全に「文化」の領域と言ってもよいかもしれない。まぁ,裏返せば,こうでもしないとCDはもう売れない時代なのであり,買い手も相応の層に限定されてしまうんだろうなぁ。それにしてもマニアックである。

2011年4月25日 (月)

そうだったのかぁ,ラトル/ベルリン・フィルの「ラインの黄金」。

Rattle主題だけ見れば何のこっちゃであるが,私は以前書いた記事に,Sir Simon Rattleが指揮したベルリン・フィルとの「ラインの黄金」をベルリンでゲットしたということを書いたことがある(記事はこちら

現在,H●VのWebサイトでは,読者アンケートで「ベスト・マーラー録音はこれだ」というイベントを開催しているが,このCDがその景品の一つになっているので驚いてしまった。同サイトによると,このCD,「《ラインの黄金》は、2006年にベルリンで行なわれた演奏会形式上演のライブ録音で、ドイツ銀行の特別エディションとして特別に制作されたもの。市場にはまったく出回っていない極めて貴重なCDであり、コレクターには垂涎ものの1枚です。クラウス=ペーター・グロス、エーバーハルト・ヒンツによる明瞭で雰囲気豊かな優秀録音、184ページのブックレット付きの豪華な装丁も魅力。日本で所有する人はほぼ皆無と思われる、超レア盤です。」だそうである。そうだったのかぁなんて今更思ってしまった。私がこのCDをたまたま出張中のベルリンのドイツ銀行の新店舗で見つけて買った後,市場に出回った様子がないのはそういうことだったのねぇ。

ということは私は「ほぼ皆無と思われる」このCDの日本人保有者の一人だったわけである。そもそも,件のドイツ銀行の店舗に見学に行く人間は相当いるだろうが,トレンド・ショップで目ざとくこんなものを見つけて買う奴(i.e. ある程度の音楽好きで,これが珍しいと感じる人間)はそうはいないだろうしねぇ。また,ツアーでベルリン・フィルを聞きに行く日本人は数多くいても,そんな人はドイツ銀行の店舗に興味があるはずないし...。

こういうのを偶然が重なりあって起こった幸運というのだろう。今回もプレゼントは5セットだけらしいから,日本で保有しうる人間はまだまだ少数ってことだが,ドイツ銀行の店に行けば,まだ買えるのかなぁ...。今回のプレゼントの提供元もドイツ銀行って書いてあったので,まだ買えるってことだろうが,eBayに出したらいくらになるのか興味津々(爆)。

2011年4月24日 (日)

収められた楽曲の質に驚かされる"Songs in the Key of Life"

Songsinthekeyoflife"Songs in the Key of Life" Stevie Wonder(Tamla)

出張の道すがらの新幹線の中で,iPodでこのアルバム全曲を聞いた。このアルバムを全曲通しで聞いたのは本当に久しぶりのことだったが,収録曲のクォリティの高さに改めて圧倒されてしまった。

70年代のStevieに関してはもう誰も止められないという感じで,その創造力もピークにあったことに異論を差し挟む余地はないと思うが,それにしても,このボリュームである。LP時代は2枚組+7インチEPという変則的なフォーマットでのリリースとなったが,物量的にも凄いが,ミュージシャンも結構強烈である。Herbie Hancockはいかにも彼らしいRhodesを"As"で聞かせているが,"Another Star"でのGeorge Bensonなんて,楚々としたリフを聞かせるだけというある意味もったいないような使い方である。それでも参加したいと思わせる魔力が往時のStevieにはあったと解釈せざるをえない。

このアルバムからは"I Wish"と"Sir Duke"というNo.1ヒットも生まれているが,それに限らず,強烈な楽曲群がこれでもかっていう感じで収められているが,逆に言えば,創造力がぶっ飛んでいて,いろいろな曲や音楽がごった煮のように収録されていると考えることも可能かもしれない。しかし,湧き出るような創造力を抑制することなく,よくぞここまでという感じである。短い人生の中で多くの曲を残したMozartとも重なると言っては言い過ぎかもしれないが,まさに泉のように曲が湧いてきていたとしか思えない。

久々に聞いても,この音楽の持つ魅力は不変だと思ってしまったが,天才というのはこういうものなのだろうなぁなんて,二日酔いながら漠然と考えていた私であった。この作品のリリースから約20年後,Coolioが"Pastime Paradise"をサンプリングして,"Gangsta's Paradise"として蘇らせたところにも,この音楽の普遍性を感じてしまう。よって,この音楽には星★★★★★しかありえないというのが結論である。素晴らしい。

それにしても,このPersonnelの入力は...って感じであった(笑)。

Personnel: Stevie Wonder(vo, key, hca, ds), Michael Sembello(g), Sneaky Pete Kleinow(pedal steel), George Benson(g, vo), Ronnie Foster(org), Herbie Hancock(key, clap), Dean Parks(g), Greg Phillinganes(key), W.G. "Snuffy" Walden(g), Nathan Watts(b, vo, clap), Greg Brown(ds), Raymond Lee Pounds(ds), Hank Redd(as, ts), George Bohannon(tb), Ben Bridges(g, sitar), Dorothy Ashby(harp), Bobbi Humphrey(fl), Howard "Buzzy" Feiten(g), Steve Madaio(tp), Trevor Lawrence(ts), Glen Ferris(tb), Jim Horn(sax), Deniece Williams(vo), Minnie Riperton(vo), Gary Byrd(vo), Michael Wycoff(vo), Larry Scott(effects), Carol Cole(perc), Bobbye Hall(perc), Jay Boy Adams(vo), Nathan Alford, Jr.(perc), Henry America(vo), Linda America(vo), Baradras(vo), Brenda Barnett(vo), Khalif Bobatoon(vo), Starshemah Bobatoon(vo), Sudana Bobatoon(vo), Charles Brewer(perc, prog, vo), Shirley Brewer(perc, vo), Berry Briges(vo), Cecilia Brown(vo), Eddie "Bongo" Brown(perc), Jean Brown(vo), Rodney Brown(vo), Colleen Carleton(perc, vo), Addie Cox(vo), Agnideva Dasa(vo), Duryodhana Guru Dasa(vo), Jayasacinandana Dasa(vo), Jitamrtyi Dasa(vo), Vedavyasa Dasa(vo), Cinmayi Dasi(vo), Yogamaya Dasi(vo), Carolyn Dennis(vo), Bhakta Eddie(vo), Doe Rani Edwards(vo), Jacqueline F. English(vo), Ethel Enoex(vo), Al Jocko Fann(vo), Barbara Fann(vo), Melani Fann(vo), Shelley Fann(vo), Tracy Fann(vo), John Fischbach(perc, prog, vo), Susie Fuzzell(vo), Carmelo Garcia(perc), Anthony Givens(vo), Audrey Givens(vo), Derrick Givens(vo), Mildred Givens(vo), Michael Lee Gray(vo), Mimi Green(vo), Susaye Greene Brown (vo), Bhakta Gregory(vo), Renee Hardaway(perc, vo), John Harris(effects), Jeania Harris(vo), John Harris(prog), Troy Harris(vo), Nelson Hayes(perc, effects, vo), Terry Hendricks(vo), Don Hunter(prog, effects), Adrian Janes(vo), Josie James(vo), Calvin Johnson(vo), Carol Johnson(vo), Patricia Johnson (vo), Madelaine Jones(vo), Bhakta Kevin(vo), Phillip Kimble(vo), James Lambert(vo), Linda Lawrence(vo), Irma Leslie(vo), Kim Lewis(vo), Carl Lockhart (vo), Gail Lockhart(vo), Raymond Maldonado(perc, tp), Carolyn Massenburg(vo), Artice May(vo), Charity McCrary(vo), Linda McCrary-Campbell(vo), Lonnie Morgan(vo), Kim Nixon(vo), Lisa Nixon(vo), Larri Nuckens(vo), Larry Latimer(perc, vo), Amale Mathews(perc, vo), Edna Orso(perc, vo), Marietta Waters(perc, vo), Josette Valentino(perc, vo, clap), Gwen Perry(vo), Gregory Rudd(vo), Rukmini(vo), Yolanda Simmons(vo, clap), Keith Slaughter(vo), Rosona Starks(vo), Dennis Swindell(vo), Sundray Tucker(vo), Gary Veney(vo), Sheryl Walker(vo), Mary Lee Whitney(vo), Syreeta Wright(vo), Michael Gray(vo), Susaye Greene(vo), William Moore(vo), Fountain Jones(prog), Aisha Morris(crying)

2011年4月23日 (土)

追悼,スーちゃん

出張中,新聞やニュースを見る余裕がなかったのだが,田中好子が亡くなったという記事を見て驚いてしまった。キャンディーズにおいては当初のリード・ヴォーカルはスーちゃんだったのだが,ブレイクしたのは蘭ちゃんがリードに代わってからのことであったから,彼女としては心理的に辛かったところもあるのではないかと想像する。そんな彼女はキャンディーズ解散後はメンバーの中では,女優としてもっとも大きな成果を上げて,その溜飲を下げたのではないだろうか。女優としては「黒い雨」という決定的なキャリアを持ち得たことも素晴らしいことであった。そんな彼女が乳がんだったとは知る由もなかったが,それにしても55歳とは若過ぎる死である。誠に惜しいことである。

ご冥福をお祈りしたい。

2011年4月22日 (金)

出張中につき

現在、出張中につき、記事を書く余裕がない。というより、毎夜毎晩飲んだくれていてホテルに戻ると即死というのが実態である(爆)。ということで、今日は開店休業。皆さん、ごめんなさい。

2011年4月21日 (木)

楽天ブログの暴挙

ブログのお知り合い、すずっくさんがお使いの楽天ブログがTB受付機能を停止するというのは知っていたのだが、まさか過去のTBまで消すとは思わなかった。

これははっきり言って「暴挙」にほかならない。TBはインターネットという仮想空間上において、ブログ間を連動させ、ブロガーがコミュニティを形成するための手段の一つであるはずである。それを「スパム」防止という理屈だけで受付を停止するばかりか、過去のTBまで消去するとはいったい何事か。

そもそもスパム防止を目的とするならば、ブログの機能としてコメントやTBの公開承認機能を提供すればいいはずである。楽天ブログでは公開承認機能は保持していたはずであるから、そもそも今回の受付停止には明確な論理が存在しない。一方、楽天ブログは流入するスパムは防止できないという理屈を振りかざすかもしれないが、私が使っているココログには、スパムに関しては「ニフティに通知して削除」するという機能があり、それによりスパムと認識されれば、おそらく次回以降は同種のスパムは独立したスパム・フォルダに格納されることになっていると思う。無秩序に流入するスパムが問題だと言うならば、楽天も同じような仕組みを提供すればいいだけの話だが、自分の基本的な機能不足は顧みず、過去の承認されたTBまで消すというのは行き過ぎも甚だしい。つまりは楽天の一存で、ブロガーが形成したコミュニティを破壊していいということにもなってしまうわけである。

今回の処置の背景に何があったかはわからないが、ブロガー不在の今回のやり方には激しい憤りをおぼえる。楽天ブログは、もはやユーザはブログからTwitterに移行していると考えたのかもしれないが、140文字という制限があるTwitterとブログではそもそも表現の質が違うのであり、ブログにはブログのよさがあるはずである。そもそも、どちらを選ぶのもそれはエンド・ユーザの勝手である。

今回の暴挙によって、楽天ブログは多くの離反を招くことは確実だが、引越しツールさえ提供していないのだから、新規ユーザを獲得する気もないということだろう。震災を受けて東北楽天イーグルスを応援したいのはやまやまだが、楽天ブログについてはネット社会から抹殺したいとさえ思ってしまう。ユーザ不在の今回の対応により、確実に彼らは痛いしっぺ返しを食らうはずである。今回の対応はユーザから激しい反発を食らうだろうが、それを予想して、一度消去した過去のTBを復活させられる手筈を整えていたらそれこそ笑ってしまう。一度離反したユーザを取り戻すことは極めて困難であることは、まともなマーケティングのセンスを持っていればわかるはずである。今回の処置は、楽天ユーザばかりか、そこにTBした他のブログ・ユーザの怒りも買うことも確実であり、私ごときが抹殺したいと思わなくても、楽天ブログにはもはや未来はないだろう。

ハーバードMBAの大富豪のオーナー様は本件につきどう申し開きをするのかねぇ。傘下の企業がこんなことをしていることは知らないのかもしれないし、あるいは彼の意思によるものかもしれんが...。いずれにしてもひどい会社である。

2011年4月20日 (水)

Allan Holdsworthのアルバムと言っても通りそうな"Forty Reasons"

Forty_reasons"Forty Reasons" Chad Wackerman(CMP)

現在でもAllan Holdsworthとの共演が続くChad Wackermanであるが,これは彼がHoldsworthを迎えて,今は亡きCMPレーベルに吹き込んだ初リーダー作である。私がこのアルバムを買ったのは在米中のことであるが,それにしても何でこのアルバムを買う気になったのかは記憶に定かではないが,おそらくHoldsworthの参加ということに魅かれてのことであったと思う。

だからと言って,私はHoldsworthのファンってわけでもないので,それよりもFrank ZappaのドラマーとしてのChad WackermanとAllan Holdsworthの組み合わせに関心があったと考える方が筋かもしれない。

それでもってこのアルバムであるが,Allan Holdsworthのリーダー作だと言われれば,誰もがそう思ってしまうと感じさせるほど,Holdsworthが弾きまくっている。それをChad Wackermanのタイトなドラムスが的確にサポートするという感じなのである。よって,このアルバムはWackermanには悪いが,Allan Holdsworthファンこそ必聴と言うべきアルバムだと思う。相当タイトなハード・フュージョンとしての魅力は今でも下がっていないし,私が今はHoldsworthをそこそこ聞くようになった契機となったアルバムとして評価したいアルバムである。星★★★★☆。これに比べるとCMP第2作"The View"はかなり落ちる。まずはこれからであろう。

それにしても,このCMPというレーベルは,今にして思えばよくわからないレーベル・ポリシーだったと思う。Joachim Kuhnの素晴らしいトリオ・ライブがあると思えば,David Torn/Mick Karn/Terry Bozioという不思議な組合せの傑作ジャズ・ロック作"Polytown"があったり,このブログでも取り上げたことのあるTrilok Gurtuの作品があったり(記事はこちらこちら)と,よくわからん。こうしたことはTrilok Gurtuの記事にも書いていて,いかにも私の記事がワンパターンだということがバレバレになるが,本当にそう思うのだから仕方がないのである(と開き直る)。

Recorded in June 1991

Personnel: Chad Wackerman(ds), Allan Holdsworth(g), Jim Cox(keys), Jimmy Johnson(b)

2011年4月19日 (火)

Robbie Robertson,13年振りの新譜は私にとっては20年振りの彼のアルバム

How_to_become_clairvoyant "How to Become Clairvoyant" Robbie Robertson (429 Records)

今年のロック界の新譜で,私が最も待っていたのはこのアルバムかもしれない。何と言ってもRobbie Robertsonにとっては13年振りのアルバム。私にとっては,彼のアルバムを購入するのは私の在NYC時代に買った"Storyville"以来だから,何と20年振りなのだ。私はThe Bandのアルバムは好きだが,Robbie Robertsonのアルバムに感じられる暗さがネックになり,"Storyville"以降のアルバムには手を出さなかったのである。しかし,今回はEric Claptonとのコラボレーションあり,Steve Winwoodの参加ありと,私の心の琴線をくすぐるメンツとの共演ということでは,やはり期待してしまうのが筋である。

そして,聞いてみると,これまで私が聞いたRobbie Robertsonのアルバムよりも,レイドバックしつつも楽しげな音楽が多いことに気づく。ある意味では,私の感覚よりも健康的なRobbie Robertsonの音楽と言ってもいいかもしれない。Claptonとの共演は想定通りって感じだが,その中では私はSteve Winwood参加曲に魅力を感じた。その一方,Robert Randolphのペダル・スティールが何とも言えぬ渋さを醸し出していたりと,ゲストは適材適所だと思える。そして,Robertsonの書く曲も悪くない。これなら何度でも聞きたくなるというか,適度なグルーブに思わず足が動いてしまい,娘に相変わらずの「パパ,乗ってるし...」という指摘を受けてしまった。

ヴォーカリストとしてのRobbie Robertsonは決して魅力的な存在とは言えないが,ここではギタリストとしての頑張りが目立つのもなかなかよい。レイドバックしているからと言って,サウンド的に古臭いという感覚はそれほど感じないし,この手の音楽好きにはやはりこたえられない作品ではないかと思う。それを支えるのが全編でリズムを担当するPino PalladinoとIan Thomasのコンビの作り出す心地よいグルーブ感だとも思える。そうは言ってもインストで演奏される"Madame X"のような曲は私には蛇足のように感じられる。そうしたことも踏まえれば星★★★★(心情的にはあと半星つけたいが...)としておこう。でも,これは悪くないし,買っても損した気分にはならないはずである。

しかし,この訳のわからんジャケは何とかならなかったのかと思うのはきっと私だけではあるまい。このジャケとタイトルの"Clairvoyant(千里眼,もしくは洞察力のあるの意)"とどういう関係があるのか,私にはさっぱりわからない。

Personnel: Robbie Robertson(vo, g, key), Eric Clapton(g, vo),  Robert Randolph(g), Tom Morello(g), Steve Winwood(org), Martin Pradler(el-p), Marius de Vries(key), Pino Palladino(b), Ian Thomas(ds), Jim Keltner(ds), Dana Glover(vo), Angela McCluskey(vo), Angelyna Boyd(vo), Rocco Deluca(vo), Daryl Johnston(vo), Taylor Goldsmith(vo), Michelle John(vo), Sharon White(vo), Natalie Mendoza(vo), Trent Reznor(additional textures), Eldad Guetta(horn), Frank Marocco(accor), Anne Marie Calhoun(vln), Tina Guo(cello)

2011年4月18日 (月)

これは絶対買うだろうな:「総天然色ウルトラQ 」

このカテゴリーの記事を書くのは久し振り(ほぼ1年振り)のことだが、これは書かずにはいられないビッグ・ニュースである。記事の主題からもおわかり頂けるように、あの「ウルトラQ」がデジタル・リマスターされるだけでなく、着色までされて発売されるのだ。この番組はあくまで白黒でというのも、一方では事実だが、どうカラーがリストアされるか興味深く感じない特撮ファンはいないだろう。今回発売されるバージョンには白黒映像もつくらしいから心配はいらない。ちょっと財布には厳しいが、ここはブルーレイ版を購入することになろう。

私がこの番組にこだわるのは、これが私の原体験に近いものだからだが,子供ごころにこの番組を見ていた記憶は,自分の人生の中でもかなり古い部類に入るのである。今でも「悪魔っ子」は怖くて見られなかったことなどを鮮明に思い出せるぐらいだ。だからこそ,当時の映像がカラーライズされたときにどのように見えるかは極めて興味深いのである。特に夜のシーンがほとんどだったケムール人のエピソード等は早く見てみたい。

YouTubeにこのBD/DVDの予告がアップされているので貼り付けてしまうが,これを見たら私の年齢層の人は欲しくなるよねぇ。

2011年4月17日 (日)

「アガルタ」と「パンゲア」の真実ねぇ...

Photo「マイルス・デイヴィス『アガルタ』『パンゲア』の真実」 中山康樹(河出書房新社)

ここのところ,怒涛のごとくMiles関連の新書を発売していた中山康樹が,単行本としてこの本を出したことにどういう意味があるのかはよくわからないが,中身が薄い割には値段が高いのが難点である。

ここに書かれていることは確かに事実の積み重ねかもしれないが,本当なのかなぁと思わせるような話ばかりである。Teo Maceroが映画「卒業」のサウンド・トラックをヒットさせたからと言って,それがMilesのバンドによるレコーディング活動を活性化させたなんていうのは,どうもこじつけにしか思えない。それだったら,あのロスト・クインテットはスタジオで録音するものではなく,ライブの場での演奏に過ぎなかったのかなんて話にもなるわけだが,そんなことはここでは語られていない。

確かにCBSソニーが様々なミュージシャンの来日ライブ盤をリリースしていたことが,「アガ/パン」の制作につながったというのはそうかもしれない。だがS&Gの逸話をMilesに展開するというのはやや悪乗りが過ぎるように思えるのだ。

もちろん,読み物としてはそれなりによくまとまっているとは思うが,この唐突感はいかんともしがたい。結局一番面白かったのは横尾忠則へのインタビューって気がしてしまうのも,ストーリーとしての唐突感や仮説からの無理な展開というところにあるのかもしれない。本書も新書で出しておけばよさそうなものを,税込2,415円はどう考えても高いだろう。ということで,あんまり評価したいとも思わないし,評価もできない。星★★☆。

2011年4月16日 (土)

Marcin Wasilewskiの新作:これは最高だ。

Faithful_2 "Faithful" Marcin Wasilewski / Slawomir Kurkiewicz / Michal Miskiewicz (ECM)

近年聞いたピアノ・トリオの中ではかなり好きな部類と言ってよいのがMarcin Wasilewskiである。彼のトリオの待望の新作にしてECMレーベルにおける第3作がリリースされたので早速聞いてみたが,これがまた素晴らしい出来である。こういうのを期待を裏切らないと言う。

冒頭から,まさにこれぞECMサウンドと言いたいような響きにまいってしまうECMファンは私だけではないはずだが,これが美しいだけでなく,彼らとしてはかなりコンテンポラリーな響きも共存させて,非常にバランスも取れている。このアルバムを聞いていると、特にテンポが早めの曲では、Brad Mehldauとの同質性を強く感じてしまった。私がMehldauのファンだからということもあるが、こうした点がますますこの作品を魅力的に響かせる。最近、Mehldauがトリオ作をリリースしていない渇望感を埋めるには最適とも思えてしまうと言ってはWasilewskiに失礼か。

いずれにしても,ECMレーベルにおける前2作に勝るとも劣らない傑作として,これは強く推薦したい。3曲目のタイトル・トラックである"Faithful"は何とOrnette Colemanの曲だそうだが,Ornetteのオリジナルにはこうした美しさも共存しているということをこれほど強く感じさせる演奏はない。

本当にこれはいい。私が多くの言葉を弄するよりも,聞いてもらうのが一番だが,ピアノ・トリオという観点では,本年のベスト作入り確実と断言したい。それほどの作品として星★★★★★。Marcin Wasilewski恐るべし。生で観てみたい!

Recorded in August, 2010

Personnel: Marcin Wasilewski(p), Slawomir Kurkiewicz(b), Michal Miskiewicz (ds)

2011年4月15日 (金)

今泉千絵を応援する

Photo "A Time of New Beginnings" 今泉千絵(Capri)

私が今泉千絵を知ったのは,米国DownBeatのEditors' Pickにこのアルバムが選ばれていたからなのだが,何が気になったかって,ここに参加しているメンツである。これだけのメンツを集められるという事実には何らかの理由があるはずだと思ったのがまずは第一の注目ポイントである。普通ならばこれだけのメンツであるから,日本のショップでも大々的に取り上げられてもよさそうなものだが,そういう事実があったとは認識していない。確かにオンライン・ショップで検索をかければ,引っ掛かることは引っ掛かるが,扱いは地味なものである。ということで,私はこのアルバムを試聴して,彼女のサイトへ直接発注をかけたのだが,メールでのレスポンスは丁寧,1枚1枚ちゃんとサインをして送ってくれるところがまず好感度が高い。

しかもこの人は,作編曲家として生きていくことを選んだというのがまた潔さを感じさせて,なんだか応援をしたくなってしまうのである。このアルバムでもあくまでも作編曲と指揮に徹しているっていうのは結構凄いことだと思う。

この人の音楽を聞いていると,非常にポジティブな感覚が強く,一般的なジャズの持つブルージーな感覚などは皆無と言ってよいかもしれない。その辺が好みのわかれるところではあるだろうが,これはこれで,閉塞感に満ちた現代においてはあってよい類の音楽のように思える。そして,ジャズ界の中堅勢揃いみたいなメンツによる演奏には,重々しさとかは全く感じられないが,いかにも日本的な旋律と言ってもよさそうな歌謡曲的メロディ・ラインが満載である。もちろん,それがベタに感じられるというのも事実ではあるし,特にリズム的なアプローチではよりジャズ度を強めた曲が欲しいかなぁという気もする。

だが,日本の女性が単身渡米し,こうしたアルバムを作っていることことを私は応援したくなる。このメンツならではの演奏かと言えば,もっとジャズ色濃厚なアルバムも作れたはずである。しかし,参加しているミュージシャンが今泉千絵の才能を評価するがゆえに,こうした演奏にも取り組んだということだと思うのだ。このアルバムで一番いいのはゲスト参加のRandy Breckerが素晴らしい,最もジャズ的な"Information Overload"なので,是非次作ではこうしたジャズ的なスリルを感じさせる路線を更に打ち出して欲しいと思う。いずれにしても,今後の彼女の更なる活躍を祈りたい。このブログの読者の皆さんには,このアルバムを全面的にお薦めするということではないが,今泉千絵という人がこういう活動をしているということだけでも知っておいて頂ければと思う。繰り返すが,それにしても結構なメンツである。

Personnel: Chie Imaizumi(cond./arr.), Rancy Brecker(tp, fl-h), Greg Gisbert(tp, fl-h), Terell Stafford(tp, fl-h), Steve Davis(tb), Steve Wilson(ss, as, fl), Scott Robinson(ts, cl, ss, sn, fl), Gary Smulyan(bs, b-cl), Mike Abbott(g), Tamir Hendelman(p), John Clayton(b), Jeff Hamilton(ds), Paul Romaine(ds)

2011年4月14日 (木)

懐かしのBlood Sweat & Tears

Bst"Blood, Sweat & Tears" Blood, Sweat & Tears (Columbia)

これは相当懐かしいアルバムである。私が初めてこのアルバムを聞いたのはかなり昔のことだし,曲として本アルバムに収録されたヒット曲"Spinning Wheel"をラジオで聞いたのは更にその前のことになり,40年近く前にはなるだろう。以前,私はこのアルバムを保有していて,とうの昔に売っ払ってしまったのだが,中古盤屋でCDを見つけて懐かしくて買ってしまったものである。

Blood, Sweat & Tears(BS&T)と言えば,Chicago,Chase等と並ぶブラス・ロックの代表格である。ポピュラリティではChicagoが断トツだったであろうが,BS&TにはBS&Tの,ChaseにはChaseなりの魅力もあったはずである。だが,Chaseは"Get It On(黒い炎)"だけだって話もあるし,BS&Tについては私にとってはこのアルバムだけ。これ以外は聞いたこともない(爆)。今回,このアルバムを久しぶりに聞いてみて,同じJames William Guercioがプロデュースしていながら,Chicagoとは明らかに違うよなぁって思ってしまった。

私から言わせれば,Chicagoは適度なポップさがあって,より万人受けする音楽だと思うが,BS&Tはそれに比べると,ジャズ的な濃度が高いのである。そうした中で,このアルバムがヒットしたのはDavid Clayton-Thomasのソウルフルなヴォーカルあってのことだという説もあるし,Clayton-Thomasもそう思っていたはずである。しかし,アルバムを聞いていれば,他のメンバーのジャズ的な指向と,Clayton-ThomasのR&B的な指向が噛み合わなくなるであろうことは,このアルバムでも既に現れているように思える。おそらくClayton-Thomas以外のメンバーの本音は"Blues, Pt.2"のような演奏にあるはずであって,基本はジャズ的なものなのだったと思う。ボートラとして収められた"Smiling Phases"のオリジナルの3.5倍近くに及ぶライブの演奏時間なんかはまさにジャズ的ではないか。後にJoe HendersonやLarry Willis,更にはJaco Pastoriusまでがこのバンドに在籍したというのもそれを裏付ける。

Chicagoは「ブラス・ロック」という範疇を越えたポップさを打ち出すことで,長い間,人気を維持したのとは異なり,BS&Tのやっていた音楽はかなり時代に紐づいていた感覚が強く,こういう音楽はブームが過ぎれば,時代の徒花となってしまうことはある程度仕方がなかったことなのかもしれない。もちろん,他の作品を聞いていないので何とも言えないが,このアルバムを聞いていても,その後のBS&Tの凋落ぶりを見ていても,そうした見方はあながちはずれてはいないのではないかと思うのだ。

だが,このアルバムでは,Laura Nyroの"And When I Die"をちょっと不思議なアレンジで取り上げているが,徐々に勢いを増す演奏はなかなか楽しめる。最初に聞いたときはサティのジムノペディのアレンジから始まることにびっくりしてしまったが,今にして思えば,冒頭と最後をサティでというのは悪くないアイディアであったように思う。私にとって最も魅力的な曲は"Blues, Pt. 2"であることは間違いないが,このアルバムは"Spinning Wheel"に負うところが多いのは事実だと思う。David Clayton-Thomasはそうした意味ではAl Kooperが去った後のバンドを維持する推進力にはなったと言えるが,ほかのメンバーとはうまくいかなかったんだろうと想像している私である。

決定的な名盤というものではないが,時代を切り取ったアルバムとして,相応の価値は認めるべきアルバムだというのが現在の評価である。星★★★★。それにしても彼ら,まだ現役でやっているってのが凄いよなぁ。Jeff Lorber Fusionのアルバムにもホーン・セクションが参加したし...。

Personnel: David Clayton-Thomas(vo), Steve Katz(g, hca, vo),  Bobby Colomby(ds, perc, vo), Jim Fielder(b), Fred Lipsius(as, p), Lew Soloff(tp, fl-h), Chuck Winfield(tp, fl-h), Jerry Hyman(tb), Dick Halligan(org, p, fl, tb, vo), Alan Rubin(tp), Lucy Angle(footsteps)

2011年4月13日 (水)

文章のうまさとストーリーテリングは比例しない

Photo 「きことわ」 朝吹真理子(新潮社)

第144回芥川賞を受賞した作品である。もう一人の芥川賞受賞者である西村賢太とのその出自のギャップが話題になったのも記憶に新しい。私は基本的に女性の手による純文学を読むことは稀(それは感情移入できないことが多いからである)なのだが,この本はなぜか読んでみようかなと思わせる作品であった。読んでから時間が経過してしまったが,一応取り上げておきたい。

正直に言ってしまうと,これほどページをめくるのに苦労した作品は近年珍しいと言いたくなってしまった。たかだか140ページぐらいの本を読了するのに,一体どれだけの時間を要したか。普通なら一日の通勤時間の往復で読み終わるべきボリュームなのだが,一向にページが進まない。面白くないのである。

確かに文章の表現力や,文体にはうまいと思わせる部分は多々あるのだが,フィクションの世界で人を引き付けるストーリーを構築する力はこの朝吹真理子という人にはまだないと断言してしまおう。結局のところ,淡々と話が進んで,淡々と終わる。カバーの絵のように,淡色系というか,パステル系というか,どうもはっきりしない。主人公二人の間に心理的な葛藤があるようで,それが一体なのか全然わからないのである。私が最近,所謂純文学から遠ざかって,エンタテインメント系の本ばかり読んでいるからということもあるかもしれないが,それでもおもしろいか,つまらないかぐらいはわかるというものである。これは女流だからどうのということではない。本当に面白くないのだ。単に私に読解力がないと言えばそれまでだろうが,読み続けたいという意思を与えられないというのはいかがなものかと思える。

芥川賞の選考は作家が行っているから,彼らの審美眼と私のそれでは大きな違いがあるのは当然だろうが,この程度の作品が評価されていいいのかと正直思ってしまった。面白い本なら直木賞受賞作を読めばいいのだと言われればそれまでだが,日本の古典純文学はもっと読者をひきつける力を持っていたはずだろう。ということで,私としてはほとんど評価できない作品として星★★。西村賢太は未読だが,あっちを買っておけばよかった?

2011年4月12日 (火)

Stingに詫びを入れたくなった好ライブ

Live_in_berlin"Live in Berlin" Sting(Deutsche Grammophone)

私がこのアルバムを買おうと思ったのは,実は震災ベネフィット・アルバム"Songs for Japan"に収められた"Fragile"を聞いたからである。何とも味のある演奏を聞かせたその曲を聞いて,このライブを買わなかったのは間違いだったのではないかと思ったというのがその動機である。私はかなりのStingのファンだと思っているが,このアルバムのベースとなった"Symphonicity"をショップで試聴した時,全く私にフィットしなかったということもあって,このアルバムも無視してきたものである。だが,それは明らかに誤りだったと1曲目から反省した。これはかなりよい。

私がこのアルバムをいいと思うのは,オーケストラがバックについてはいるが,あくまでもそれが従的なポジションでの演奏をしているからだと言ってもよい。バランスとして適切なのである。よって,Stingのオリジナルの魅力を高めることはあっても,下げることはない。私はスタジオ盤はもう少しオケの主張が強かったように感じたし,ロックとしてのノリも不足しているように感じたのだが,違っていたのだろうか?これぐらいなら全く問題はないではないか。これを聞いて,武道館のライブを見に行かなかったことを今更のように悔いた私である。

映像は未見だが,そもそもこのアルバム,DVDのオマケとしてCDが付いているという感じに思えるので,映像から見るのが筋のように思うが,ここでは音楽だけの評価。それにしても,Stingの書く曲はいい曲が揃っており,演奏のよさも相俟って星★★★★☆には十分値しよう。ちょいと好みでないアレンジもあるものの,やっぱりこれはライブに行っておけばよかった(涙)。

ちなみにここでバックを務めるのはThe Royal Philharmonic Concert Orchestraとなっているが,これはRPO版のBoston Popsのような位置づけのようである。RPOは昔,Crusadersの"Royal Jam"やら,更にはDeep Purpleとさえも共演して,いろいろなポピュラー音楽のバックを務めているが,このアルバムは彼らにとっても最高のポピュラー作品となったと言っていいのではないかと思う。

Recorded Live at O2 Arena on September 21, 2010

Personnel: Sting(vo, g), Dominic Miller(g), Jo Lawry(vo), Ira Coleman(b), Rhani Krija(perc), David Cossin(perc), Branford Marsalis(sax) with the Royal Philharmonic Orchestra conducted by Steven Mercurio

2011年4月11日 (月)

追悼,Sydney Lumet

Sydney_lumet Sydney Lumetがリンパ腫で86歳で亡くなったそうである。この人は職人監督でありながら,質の高い作品を提供し続けたという点で,稀有な存在だったと思う。「12人の怒れる男」,「質屋」,「セルピコ」,「狼たちの午後」,「ネットワーク」,「評決」等骨太の作品が多く,所謂社会派という名声もありながら,「オリエント急行殺人事件」のような映画も撮ってしまうところが,この人の凄いところである。

活動のピークは70年代だったとは思うが,何度もオスカーにノミネートされながら,結局受賞には縁がなかったものの,最終的には名誉賞というかたちで,映画アカデミーが応えたというのはいい話である。それぐらい尊敬を集める優れた監督だったと言ってよい。この写真なんか,いかにも監督然としたところが素敵だ。人の心を打つ作品を残したことで,多くの人の記憶に残るべき人である。

R.I.P.

2011年4月10日 (日)

あまりにも腹が立つので書いておく

新銀行東京とかいう銀行を設立させながら大赤字,オリンピック招致にも大枚の金をはたいて失敗,今回の震災を「天罰」だと言った不届き者が知事に再選される東京都というところは一体どういうところなのか?

今回の震災で争点がぼけたという理由はあったとしても,あんな男が知事としてあと4年も居座ると思うだけで,東京都民の身としては虫酸が走る。まぁ,私自身はそれに対抗していた日和見主義の東国原某が当選するのも我慢がならんと思っていたが,じゃあ誰に投票すればいいのよと思っていた都民も結構いるのではないかと考えてしまう。「都民は変化より安定を指向した」という考え方もあろうが,それよりも候補者間で何が違うのかが全然わかっていなかったという都民が多いのが実態ではないか。結局,今回の震災で漁夫の利を得たのは,「天罰」男だったってことになる。それが本当に不愉快である。

それにしても,開票速報が始まった瞬間に当確が付くというのも何だかなぁ。あまりにバカバカしくなって,即刻TVを消した私であった。

吉高由里子が可愛い

Photo_2最近,妙に露出が多くなった吉高由里子だが,その風貌とは異なるキャラが非常に愉快で,私としては好感度急上昇中である。

私はTVドラマを見ないので,演技そのものはよくわからんが,この人のキャラが気になり始めたのは「トリスのハイボール」のCMからだろう。決定的になったのは先日の「新・堂本兄弟」である。それにしても可愛い。最近の日本の女優でいいと思うのはこの吉高由里子と成海璃子で決まりだな。だからと言って「GANTZ」を見に行く気はないが,「婚前特急」はかなり見たい。相変わらず美人が好きな中年音楽狂ということで(笑)。

2 私の好きな吉高由里子はこちらのイメージの方が近いかも,ということで,もう1枚写真をアップ。随分感じが違うよねぇ。

2011年4月 9日 (土)

中年音楽狂が一肌脱ぐシリーズ(第9回)

Study_in_brown"Study in Brown" Clifford Brown Max Roach Quintet(Emarcy)

「お店に並んでいそうでジャズをこれから聴いてみようかなぁという人にお薦めというのがありましたらご紹介ください。」というリクエストにお応えするという趣旨で始めたこのシリーズも9回目である。いつまで続くか分かったものではないが,まぁできるだけってことでいいのだが,今回はまたもや歴史的名盤に回帰することにした。

ジャズ・トランペットの歴史的な偉人は何人もいるが,ジャズ的なフレーズを見事なまでに吹き切るという点で,Clifford Brownを上回る人はいないのではないかと思う。もちろん,ぎりぎりまで締め上げるような痺れる感覚は,ここでの音楽からは感じられないかもしれない。しかし,スイング感と適度なスリルが絶妙にブレンドしていて,ある意味でのジャズ的な快楽に溢れていると思えるのだ。

このバンドにおいてはリーダー二人ばかりが目立ってしまうが,その他の3人だってかなりの実力者である。Richie Powellなんて,兄貴のBud Powellの一種病的な凄みはないが,このバンドの音楽にぴったりのピアノを弾いていて,兄貴がBud Powellだから目立たないってだけのことである。Harold Landだってちゃんと好演している。そうしたバンドの実力があってこそのこの演奏群だという話もあるが,それでも耳をそばだててしまうのはClifford Brownのラッパってことになってしまう。このアルバムが吹き込まれた時にはまだ24歳だったなんて誰も信じられないような成熟したフレージングを聞かせていて,これぞ天才って思ってしまう。

このアルバムの多くの曲は,メンバーによるオリジナルだが,何だかスタンダードのようにも聞こえてしまうのは演奏レベルの高さゆえって感じである。だが,このアルバムの白眉は冒頭に収められた"Cherokee"であろうとは思う。これぞモダン・ジャズって感じの演奏でありながら,決して聞きづらいものではなく,そして楽しささえ感じさせるというところが素晴らしい。これは十分な名盤だとは思うが,ちょっとアレンジがなぁ...と思える部分がないわけでもないので星★★★★☆とするが,初心者の方にも安心して勧められるものであることは間違いない。

それにしても,私がこのブログで,Clifford Brownを取り上げるのは今回が初めてってのもちょっと意外だったが,確かに最近はあまり聞いていなかったので,今回,この記事を書くために聞きなおすことができて,それはそれで意義があったと思う。まさに温故知新である。

Recorded between February 23-25, 1955

Personnel: Clifford Brown(tp), Harold Land(ts), Richie Powell(p), George Morrow(b), Max Roach(ds)

2011年4月 8日 (金)

出張中に見た映画(11/03編_第2回):その3

Photo 「最後の忠臣蔵」

監督:杉田成道

出演:役所広司,佐藤浩市,桜庭ななみ,山本耕史,伊武雅刀,安田成美,片岡仁左衛門

広州出張の帰路で見た映画はこの1本だけだったのだが,また忠臣蔵かい,また役所広司かいと悪態もつきたくなったのも事実であるが,見ていてこれほど大泣きさせられたのは「フラガール」以来ではないだろうか。

この映画においては「忠臣蔵」の討ち入りのくだりはモチーフに過ぎないため,チャンバラ映画を期待すると完全に肩透かしを食うが,忠義を重んじる武士の姿を描いた人間ドラマとして見るとかなりよくできている。そして泣かせる。はっきり言って,機内エンタテインメントで見ながら,機内の照明が完全に落ちていない状態だったので,大泣きしていたのはキャビン・アテンダントにばれていたはずである。う~む,情けないが,感動していたのだから仕方がないのだ(と開き直る)。

Photo_2 それにしても桜庭ななみが可愛い。彼女の嫁入りのシーンで,まじで私の涙は歯止めがきかなくなってしまったのだが,それぐらい感情移入をさせる(したくなる)美少女である。この白無垢を見て何も感じないおじさまはそうはいるまい。いいねぇ~。

こういう映画を見ていると,何だか得をしたような気分にさせてくれたが,何を見ようか迷って,えいやっ!で選んで本当によかったと思った。ちょっと人形浄瑠璃の使い方がくどかったり,田中邦衛が出てくるのは,監督,杉田成道との「北の国から」つながりかいっ!と突っ込みを入れたくなるが,そういうことは置いておいても,納得のできる質の良いドラマだったと思う。星★★★★。

2011年4月 7日 (木)

復興への機運に冷や水を浴びせるような地震

震災から4週間が経過し,徐々に復興への機運が高まりつつあるとは言え,被災者の皆さんにとってはまだまだ心や体の傷も癒えないところに,どうしてマグニチュード7.4の地震がまた起こるのか...。しかも震源は宮城県沖って...。被災地の皆さんに影響がなかったことを祈るのみであるが,神は不在なのかとひとりごちたくなってしまった。

調子に乗って…

飲み過ぎたのが明らかなのはかなり恥。最近、こういう記事の頻度が高いのはブロガーとしてもう限界なのか?

2011年4月 6日 (水)

久しぶりに幻想交響曲を聞く

Photo "Hector Berlioz: Symphonie Fantastique(幻想交響曲)" Myung-Whun Chung / Orchestre de l'Opera Bastille(DG)

私のクラシックの趣味はかなりバラバラで,はっきり言って一貫性もポリシーも何もないって感じなのだが,昔からなぜか好きな曲というのはあって,この「幻想」なんてその代表と言ってもいいかもしれない。なんでこの曲が好きなのかってのは自分でもよくわからないのだが,演奏を通して,結構なダイナミズムを保持できる曲だからというのはあるとは思う。しかしながら,この曲で一番好きなのは第2楽章のワルツだってのも相当変わり者だとは思うが...。

そんな私なので,昔から「幻想」のLPやCDは結構な枚数を保有していて,若い頃は,どの演奏がああでもない,こうでもないなんてよくやっていたものである。一般的に言えば,この曲の演奏ではミュンシュ/パリ管が決定的と評価されているが,天邪鬼の私はマルティノン/フランス国立放送管の演奏が最高だなんて言ってきた。その後もいろいろな演奏を聞いたわけだが,マルティノン盤に比肩しうるのはアバド/シカゴ響盤かなぁなんて思っている。その後,私がこの曲を聞く機会も年とともに減少していったのだが,それでも何だか無性に聞きたくなって,珍しくも中古盤屋のクラシック・コーナーを漁っていて見つけたのがこのアルバムである。

このアルバムも以前,1995年のレコードアカデミー大賞を受賞しているってことは,その年の最優秀レコードと認知されているということだが,そんなことは露知らず聞いてみたところ,確かにこれは優秀な演奏だと思った。オケはパリのオペラ座のオーケストラということだろうが,チョン・ミュンフンの指揮と相俟って,その演奏能力も私の想像以上に優れていたことが実証されている。とにかく,この曲を活かすためのダイナミズムに第1楽章から溢れているところが素晴らしい。これはかなり興奮させられる出来だと第1楽章から私は確信してしまった。私にとってはいくら好きだとは言っても,この曲の鬼門は冗長さを感じさせる第3楽章にあるのだが,この演奏では終盤にかけてのテンションが高いので,その3楽章が丁度良いインタールードに聞こえると言っては言い過ぎか。いずれにしても,静と動,緩と急を見事に使い分けた演奏である。ここまではっきりした演奏はあまり記憶にないのである。よって,多くのリスナーにこの演奏が評価されるのも首肯できるものであり,これはやはり強烈な名演と言ってよいものだと思う。

これがライブだったら,第5楽章を終わった瞬間,「ブラボー~!!」確実な演奏と言ってよい。いやいや,それにしても,凄い演奏をこれまで聞かずにすませてきたものである。お見それしました。ということもあって,星★★★★★。マルティノンの演奏とは対極にあると言ってもいいだろうが,これはこれでこの曲の魅力を極限まで引き出したと感じられる激演で,本当に素晴らしい。

最後に,よくよく考えてみると,私が好きな「幻想」の演奏って,全部2楽章にコルネットが入っているなぁ。偶然かもしれないが...。

2011年4月 5日 (火)

出張中に見た映画(11/03編_第2回):その2

Austin_powers「オースティン・パワーズ ゴールドメンバー("Austin Powers in Goldmember")」('02,米,New Line Cinema)

監督:Jay Roach

出演:Mike Myers,Beyonce Knowles,Michael Caine,Michael York,Robert Wagner,Seth Green

広州出張の往路2本目は「オースティン・パワーズ」である。実は私は在米中からMike Myersが結構好きで,Saturday Night Live(SNL)でも非常に彼の出番を楽しみにしていたクチである。当時は"Wayne's World"だったが,その後,SNLから独立し,人気コメディアンの道を歩んだことは皆さんご存知の通りである。そのMyersの人気キャラ,「オースティン・パワーズ」はそのバカバカしさが何とも楽しく,私は何回見てもそのお下劣さにゲラゲラ笑ってしまうのだが,今回も飛行機で笑いを噛み殺すのに必死だった私の姿を見てキャビン・アテンダントはどう思っただろうか?

それはさておき,この映画はシリーズの第3作にして,最終作であるが,私の中ではシリーズ中,一番出来がよくないと思っている作品である。それはおかしなかたちで日本が舞台として出てくることに対する違和感からかもしれない。しかしである。そうは思いながら,なぜここまで笑わせてくれるのかと文句も言いたくなるような映画であった。とにかく下品ではあるが,このような映画にTom Cruise,Stephen Spielbergから今やCBSニュースのアンカー・パースンとなったKatie Couric,その他見ているだけで目がくらむような大量のキャメオ出演が見られるところに,この映画の米国での人気が見て取れる。皆,出たいと思っていたに違いないのである。それぐらい遊び心には溢れた作品なので,やはり見ていて面白いのは事実。このバカバカしさが日本で受けるかどうかは別にして,私のような相当なSNL好きにとってはやはりたまらないのである。

それにしても,何役もこなすMike Myersの達者さは見事なものだが,あちこちに散りばめられた007のパロディも元ネタを知っていると,相当笑わせてくれる。映画として評価すれば大したことはないということになってしまうのかもしれないが,それでもこれだけ笑わせてくれれば,私にとっては全く問題なしである。星★★★。いやいや,それにしてもお下劣なことこの上ない。こんなお下劣な映画でゲラゲラ笑っていたら,ガールフレンドとのデート中だったら,顰蹙を買うかもしれないので要注意ってやつである。でも飛行機の中での私は笑い過ぎ(それも「いっひっひ」系の笑い)だったな(爆)。

2011年4月 4日 (月)

出張中に見た映画(11/03編_第2回):その1

Morning_glory「恋とニュースのつくり方("Morning Glory")」('10,米,パラマウント)

監督:Roger Michell

出演:Rachel McAdams,Harrison Ford,Diane Keaton,Jeff Goldblum,Patrick Wilson

ちょっと間が空いてしまったが,去る3月には2度目の海外出張として中国の広州に行ったことはこのブログにも書いた。広州は香港に近い場所なので,中国の中でも比較的飛行時間が長いフライトになり,往路は2本,復路は1本の都合3本を機内のエンタテインメントで見ることになった。

とは言っても,前回の出張で既に5本見てしまったので,帰りは何を見ようか迷ったが,その1本目がこの映画である。気楽に見られること重視というのがバレバレのチョイスと言ってもいいかもしれない。本当は「カサブランカ」を見たかったのだが,吹替え版しかなかったので,今回は見るのはやめた。今の機内エンタテインメント・システムならば,言語のチョイスがあるのだから,吹替え版オンリーというのはやめて欲しいし,「カサブランカ」のような名画ならば尚更である。とちょっと話がそれた。

この映画,日本での売り文句は「ノッティングヒルの恋人」の監督と「プラダを着た悪魔」の脚本家による作品となっていた。前者は未見だが,後者はAnne Hathawayが可愛く,Meryl Streepが結構笑えるなかなか楽しい作品だったが,まさにそのテイストを引き継いだ作品だと言える。ストーリーとしては他愛ないと言ってしまえばその通りなのだが,典型的な女性のサクセス・ストーリーものとして,コミカルな感覚を交えながらというのは「プラダを着た悪魔」とほぼ同種/同質の作品である。私が見ていて感じたのは,Harrison FordとDiane Keatonが楽しみながら演技していると見えるのが非常に面白かったということである。特にDiane Keatonはよくやるわってとこまでやっていて,お笑い感を増幅させたのは彼女だと思えるぐらいである。

飛行機の中で気楽に楽しむにはこれほど適した作品はないと言ってもよいような作品であり,小難しいことをどうこう言うようなものではない。それでもNYCのシーンが出てきて,おぉっ,あそこだなんて思っていたのだから,私も単純なものである。私としてはRachel McAdamsよりAnne Hathawayの方が好きだなぁなんて,映画を見ながらずっと思っていたのだから,不謹慎そのものである(笑)。星★★★☆。半星はDiane Keatonのおかげ。でも,この映画の音楽のセレクションは大変よかったと思っている。それも重要な要素だよなぁ。

但し,この邦題は何なのかとも思える。昨今はカタカナ・タイトルばかりで辟易とするのも確かだが,原題"Morning Glory"は「朝顔」という意味である。まさに映画の内容を踏まえたタイトルであるこの原題をうまく使ったタイトルを考えるのが筋って気もする。まぁどうでもいいことだが...。


2011年4月 3日 (日)

Jonathan Kreisberg:多様なスタイルを吸収していることを実証しているアルバム

Shadowless"Shadowless" Jonathan Kreisberg (New for Now Music)

今年発売されたアルバムでAri HoenigのSmalls Liveはかなり興奮させられる出来であった(記事はこちら)が,そこで非常に重要な役割を果たしていたJonathan Kreisbergの新作がようやくリリースされたので,早速聞いてみた。Hoenigのアルバムも,現在のNYCを感じさせると評した私だが,このアルバムも,やはり現代のミュージシャンによるアルバムと感じさせる部分が非常に強い作品だと言える。ある意味では,様々なスタイルを吸収しているので,どのあたりにJonathan Kreisbergの本質があるのかはややつかみづらい部分があるのは事実である。しかし,どのようなスタイルでも,非常にレベル高くこなしているところは結構凄いことなのではないかと思う。どうりでお仲間のブロガーの皆さんの注目度が高いわけである。

本作では,時にAllan Holdsworthのようにメカニカルに,時にPat Methenyのギター・シンセサイザーのような音も交えながら,スリリングに展開される音楽を聞いていれば,かなり熱くなるリスナーも多いことは想像に難くない。私自身はJonathan Kreisbergの演奏は上述のSmalls Live盤と,同じくAri Hoenigの"Bert's Playground"ぐらいしか聞いたことはないが,モダン/コンテンポラリーなギタリストの中でも相当に注目に値することは感じさせることは明らかであったし,本作でもその実力を見せたと言ってよいだろう。

彼が今後,独自のスタイルを確立することで,そのポジションは更に上がるものと思われるが,ここでの多様な音楽性は,彼がまだ発展途上にあると考えるのが妥当とは思うが,それでもここで聞かれる演奏は十分にカッコいいものである。"The Common Climb"なんて終盤は完全にロック化し,オヤジでも燃えてしまう。また,Will Vinsonの客演ぶりが素晴らしく,切れのいいアルト・フレーズを随所で聞かせているのもよい。様々な意味で,現在のNYCのジャズ・シーンが見てとれるような演奏ということで,私は相応に評価したいと思う。星★★★★。

こういう人がしょっちゅうレギュラーとしてVillageの比較的マイナーなクラブに出ているのだから,やはりNYCはジャズを聞く環境としては素晴らしいよなぁと今更ながら思ってしまった私である。また住むことはないだろうが,まめに行きたいなぁ...。

Recorded on April 26 & 27, 2010

Personnel: Jonathan Kreisberg(g), Will Vinson(as), Henry Hey(p), Matt Penman(b), Mark Ferber(ds)

2011年4月 2日 (土)

上原ひろみの新譜はSimon Phillips買い。

Voice"Voice" 上原ひろみ The Trio Project(Telarc)

私は先のグラミー賞騒ぎではしゃぎ過ぎの上原ひろみに,正直言って不快感を覚えていたので,彼女の新譜が出ると言っても,普通なら買わなかったかもしれない。しかし,今回はドラムスがSimon Phillips,しかも上原がJeff BeckとPhillipsの共演を聞いて,今回のバンドへの参加を要請したという話があったので,"There & Back"が背景にあるのかと考えたからである。

Simon Phillipsと言えば,今やJeff Porcaro亡き後のTOTOにも参加していて知名度も大幅に上がったが,私の中では何と言っても"801 Live"(記事はこちら)での演奏と"There & Back"(記事はこちら)での"Space Boogie"等での演奏が記憶に残っている。本当にタイトで,いいドラマーである。そんなPhillipsに御大Jacksonを加えた演奏となれば,単なるジャズになるわけがない。

冒頭のタイトル・トラックは結構おとなしい出だしで意外感を醸し出すが,すぐにプログレッシブ・ロック的なサウンドに変貌を遂げ,やっぱりこうなるよなぁと思わせる。全体的に見れば,思ったよりは音数も多くなく,非常にバランスのいい演奏集で,かなり楽しめると言ってよい。そこで大きな役割を果たしているのは,私にとってはSimon Phillipsということは間違いない。

リーダーである上原はさすがにピアノをうまく操っていて,やはりこの人はうまいと思わせるのだが,その一方で,シンセサイザーの音色があまりにしょぼく,私ならばピアノ1本で勝負させたかったところである。この人のピアノなら,このリズムにも負けない強力さを持つはずなので,敢えてシンセサイザーを使う意義が感じられないのだ。その点はどうしても惜しい。しかし,"Haze"のようなクラシカルと言ってもよい美しいバラード表現を展開しているのが収穫でもあり,全面的に肯定はできなくとも,決して悪くはない演奏集というところ。ということで星★★★★ぐらいってところにしておこう。

Recorded between November 9-11, 2010

Personnel: 上原ひろみ(p, synth), Anthony Jackson(b), Simon Phillips(ds)

2011年4月 1日 (金)

新年度ではあるが…

仕事の異動もあって、バタバタで新年度を迎えてしまった。音楽もろくに聞けていないので、新年度のスタートというのに、記事が書けないのが情けない。 明日からは通常のペースに戻せればと思っている。

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