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2011年3月 9日 (水)

中年音楽狂が一肌脱ぐシリーズ(第8回):そろそろフュージョンも行ってみますか。

Headhunters "Headhunters" Herbie Hancock(Columbia)

「お店に並んでいそうで,ジャズをこれから聴いてみようかなぁという人にお薦めというのがありましたらご紹介ください。」というリクエストにお応えするこのシリーズは,どちらかと言うとコンベンショナルな,モダン・ジャズの名盤についてご紹介してきた。しかし,現代のジャズにおいて,フュージョンも無視はできないということで,8回目でフュージョン・アルバムの登場となった。

ジャズ史を振り返ってみれば,フュージョンの先駆けとして捉えられるアルバムはいくつもあり,今回紹介するものは"Bitches Brew"でも"Weather Report"でも"Return to Forever"でもよかったのだが,大衆性も具備しながら,さまざまな音楽性をミックスした音楽としてこのアルバムを取り上げることにした。

このアルバムこそ,ジャズ・ファンクという概念をリアルに体現したアルバムだと言ってよいと思うが,こうしたHerbie Hancockの方向性はこの作品よりも前から現れていたことは間違いない。しかし,ジャズにこだわりを持たないリスナー等に対してもアピールをしたという点ではほかのHerbieのそれまでの作品,あるいはその他のどのフュージョン・アルバムよりも認められるべきではないかと思う。

まだ,この頃にはスムーズ・ジャズなんていう概念はなかったから,半ばイージー・リスニングのようなインスト・アルバムを作ろうなんて言う土壌は整っていない。よって,ジャズ的なるものと,それ以外のジャンルの音楽のミクスチャーを図るというのがこの当時の流れであった。一般的にはロック・ビート(Return to Foreverの場合はブラジル系だが...)の導入が初期のフュージョンの特徴として挙げられようが,このアルバムはロックではなく,ファンク,あるいはソウル,R&Bの要素を強く取り入れているところが他のフュージョンと異なっていた。何てたって3曲目のタイトルなんかSly Stoneから取ったに違いない"Sly"である。狙いは明白なのである。そうした意味ではMiles Davisでさえもが白人向けのマーケットを意識した中で,Herbie Hancockが指向したのは「黒さ」であったわけだ。こうしたビートは黒人に受けるのは当然として,ロック&ビヨンドを指向する白人(あるいはそれ以外のでもかまわない)リスナーにもアピールしたのではないだろうか。ここにHerbie Hancockの時代を見る目,リスナーにアピールする術を見出すことができると思う(後にヒップホップに傾斜するのも,そうしたHerbieの特性を表わしている)。

そうしたHerbieの狙い通り,このアルバムは多くのリスナーにアピールをしたわけだが,頭の固い原理主義者の多いジャズ界ではある意味顰蹙を買ったというのも事実である。しかし,このアルバムで展開されているグルーブに身を委ねれば,ジャズがどうのこうのか,カテゴリーがどうのこうのとかにこだわること自体が馬鹿馬鹿しくなるはずである。このファンク・ビートの心地よさを堪能すればいいのである。そうした意味では私にとっては"Sly"こそがベスト・テイクである。

ここに収められた音楽は純粋なジャズではないかもしれない。しかし,これも70年代前半という時代の中で生まれた必然的な音楽ムーブメントであったという点で,一度聞いておいても損はない。但し,この悪趣味なジャケである。これを見て購買意欲が失せることも想像に難くないが,音楽については保証しておきたい。

Recorded in September, 1973

Personnel: Herbie Hancock(key), Bennie Maupin(reeds), Paul Jackson(b), Harvey Mason(ds), Bill Summers(perc)

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ジャズ(2011年の記事)」カテゴリの記事

コメント

 Water melon manを初めて聴いた時、アフリカを感じたことを思い出しました。Slyは、サバンナで生きる野生動物の息使いさえ感じますし、楽器が風土感を演出しています。
アフリカの文化がそこに存在し、それを表現しているHerbieはすごいです。
 私は日本人に生まれながら、たぶん自分のDNAの中には、田植えのリズムや、民謡の節回し、美しい日本語を用いた歌詞、色彩感があるであろうに、ワルツのリズムの練習をして、日本古来の音楽についてはほとんど知らないので、いろいろ考えます。
そう思うと、スーダラ節とかは、すごいですよね、そして、何より明るい。以前マイケルのスリラーの映像とピッタリのを見ましたが、日本の文化を愛おしく感じる機会になりました。
 と言いつつ、3月後半NYCに行くことになり、23、24日はiridiumに行く予定です。現地でお会い出来たら、うれしいけど、急な出張ないですかね?

 この Herbie の挑戦こそ、私にとってはリアルタイムにロックを聴いていた世界からの感動でした。特に3年後の「SECRET」では完全に虜になったのです。

こんにちは
ハ-ビ-・ハンコックは 最近も「イマジン・プロジェクト」を出して かっこいい曲に仕上げていましたね。(試聴だけしました)
フュ-ジョンというと Tスクエアやカシオペアなど 昔 聴いてましたが
JAZZより聴きやすいですね。ジョ-・サンプルとか ラジオで流れていて アルバムを買ったこともありますが もともとクルセイダ-ズでしたっけ?
のメンバ-だったんですよね。
ジャケットも おもしろいデザインですね。
聴きたい♪
いろいろ 聴きたいのがあって
お金が…

少しづつ聴いていきます。

ひまわりさん,こんばんは。アフリカ的なものという視点,確かにそうですね。また,あのスリラーonスーダラ節って最高でした。

3/23,24はJLFじゃないですか。いいですねぇ。私はその頃中国に出張しているはずです。ご感想お待ちしております。

風呂井戸さん,TBありがとうございます。

"Secret"のメンバーは"V.S.O.P"のD面に出てくるメンツですねぇ。カッコいいですよね。私はファンク路線のHerbieはジャケのセンスについていけなくて,実際に聞いたのは相当後になってからですが,今聞いても古臭い感じがしないのが凄いですねぇ。

こちらからもTBさせて頂きますね。

マーリンさん,続けてこんばんは。

"The Imagine Project"も素晴らしいアルバムでした。プレイヤーとしてより,プロデューサーとしての手腕が光っていたようにも思えますが...。

Joe Sampleはおっしゃる通りCrusadersの人ですが,私は彼のピアノ・タッチが綺麗で結構好きです。Rhodesもいいですが,どちらにしても相当聞きやすいですね。このブログでも記事にしていますよ。ご参考です。
http://music-music.cocolog-wbs.com/blog/2010/07/joe-sample-8ac7.html

http://music-music.cocolog-wbs.com/blog/2009/01/ashes-to-ashesb.html

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