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2011年2月11日 (金)

Colin Vallon:期待通りのECMらしさと言うべきか

Rruga "Rruga" Colin Vallon(ECM)

久々の(そうでもない?)ECMレーベルの新作である。私はこのColin Vallonという人の名前は初めて聞いたのだが,既にHatHutにもアルバムを残しており,まだ30歳にしては,トリオでの活動歴は1999年からと結構長いし,現在はスイスのベルン芸術大学で教鞭も執っているらしいから,凄いものである。ただ,活動の拠点が母国スイスということもあり,一般的な注目を浴びることはそれほどなかったと言ってもよいはずである。

そんなVallonのECM第1作であるが,これがいかにもECMらしいというか,現代音楽の要素も含んだナイスなピアノ・トリオ作品である。プリペアド・ピアノを使うととたんに現代音楽っぽくなってしまうのはご愛嬌だが,それ以外ではVallonのピアノは中音域が中心で,かなり落ち着いた響きを醸し出している。そして,時に表出されるはっとするような美しいメロディが刺激的である。さすがにECMレーベルの音楽ということもあって,燃え上がるようなサウンドというのではないが,これはやはり好き者の心はきっちりグリップして離さないものと言えるのではないか。美的なるものと,アバンギャルド的なもののバランスの良さというのを感じさせる音楽となっている。

正直言ってしまえば,私としては全編美的な線で攻めてもらった方がよかったのだが,それでは本人たちもメリハリがないと感じたがゆえのこうした構成かもしれない。ECMでの欧州のトリオと言えば,近年ではMarcin Wasilewski(記事はこちら)とStefano Bollani(記事はこちら)の二人が代表格だと思うが,そこに割って入ってくるだけのポテンシャルは十分感じさせる作品にはなっている。もちろん,この作品が彼らと同格と言うことはできず,あくまでもそれはまだポテンシャルに過ぎないが,それでも今後の活躍が期待できる器である。

とにかく,これだけ中音域を中心に美しく弾く人は最近ではあまり思い浮かばないのだが,その分,ダイナミズムは感じづらいものとなっているのも事実である。でもそれってECMらしいよねぇって考えれば,私には全然苦にならないし,このアルバムも相当好きなのだが。ということで,今回は挨拶がわりってことで,次作の更なる飛躍を期待して星★★★★。

尚,収録曲はメンバー3人がほぼ分け合ったようなかたちなので,これはVallonのリーダー作というよりもメンバー3人によるコラボレーションというのが実態かなという気がする。そうは言ってもバンマスはVallonだろうが。

Recorded in May, 2010

Personnel: Colin Vallon(p), Patrice Moret(b), Samuel Rohrer(ds)

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コメント

こんにちは
そちらでは 雪が降ったようですね。

ところで質問なんですが…
レ-ベル ECMとかビ-ナスとかでしょうか
ひとつのミュ-ジシャンが いろんなレ-ベルで出している というのは なにか意味があるのでしょうか?!
よく JAZZブログを読むと ECMは音がよい とかありますね。
ボラ-ニも ビ-ナスからも出してますが
ECMからも出てるのですね。
ハ-シュのビ-ナスは 音がダメって 以前の記事にもありましたね。

う〜ん どんな違いがあるのでしょう…
よろしかったら 教えてください。
好みの問題?
聴き慣れてないと 違いは分からないのかなぁ…

マーリンさん,こんにちは。ご質問に私なりにお答えします。

今の時代,ミュージシャンと特定のレーベルが専属契約を結ぶこと自体が減ってきていますから,ミュージシャンは複数のレーベルにおいて,リーダー作を発表できるようになっています。BollaniやHerschはそうした例になりますが,一般的には,契約は一定の期間に何枚のアルバムをレコーディングするとか,アルバム単位の単発的な契約が増えているのではないかと思います。しかし,契約の縛りが厳しい場合は,自由を求めるミュージシャンが偽名を使ってアルバムを作ってしまう(あるいは他者のアルバムに参加する)ということもありえるわけです。最近はそこまで縛りがきついというのはあまりないと思いますので,XXXXというミュージシャンがYYYYレーベルと契約関係がある場合,ほかのレーベルの作品に参加した場合,"XXXX appears through the courtesy of YYYY."(XXXXはYYYYのご厚意により登場って感じですね)という記述がライナー上に記載されています。

一方,レーベルにはレーベルのカラーというものがあり,例えばECMレーベルの場合は,プロデューサーであるManfred Eicherの個性が「音」だけでなく,「音楽」そのものにも強く反映されることになります。よって,例えば同じBollaniのアルバムでも,VenusとECMでは相当の違いが出てくるわけです。また,ECMはオスロにあるレインボー・スタジオというところでの録音が多いですが,スタジオそのものやそこのエンジニアの個性も音に反映されてきて,それがECMサウンドを生んでいると考えればいいでしょう。

レーベル毎にそうした個性や違いがあるということを前提とすれば,あとは聞き手の好みということになります。Fred Herschに関して言えば,私はVenusの彼の演奏(というより「音」ですね)が好みではないということになります。

こういうことは数多くの音源に触れることによって段々わかってくることもありますし,別にわからなくたって音楽を楽しんでいればいいという考え方もあります。ということで,最後は聞き手の嗜好次第ってことになるというところですね。

大体おわかり頂けましたでしょうか?ちょっと難しいかなぁ。

こんばんは
説明ありがとうございます。

レ-ベルのカラ- 音の個性 この辺りは上級編になりますね。

好みもありますね。
時々 意識して聴いてみようと思います。
ありがとうございました。

マーリンさん,おはようございます。

上級編というか,枚数を聞いていれば,自然に違いは感じられてくると思いますよ。入り口で留まってしまうか,ジャズ地獄にはまるかの違いもあるかと思いますが(笑)。

ECMはキース・ジャレットを除いて、近年はピアノ・トリオのアルバム新譜が少ないですが、このトリオはレーベルらしいサウンドカラーで気に入りました。ヨーロッパ的とはいえ、独自のカラーを感じます。

現在ECM公式ページのトップの写真もこれなので、けっこうイチオシ的なのかな、とも思いますけど、グループとしての活動歴が長いことは中年音楽狂さんの説明を読んではじめて分かりました。最近のピアノ・トリオではジュリア・ハルスマンも出してますが、そう言えば彼女も他レーベルの録音が以前ありました。

TBさせていただきます。

910さん,こんにちは。TBありがとうございます。

確かにピアノ・トリオって最近は少ないですよね(昔も多かったとは言えないでしょうが)。でも,本作のように,いかにもECM的な感覚っていうのはさすがだと思いますし,私は結構好きでした。でも,記事にも書きましたが,もっと美的ならもっと好きでしたね(笑)。

ということで,こちらからも追ってTBさせて頂きます。

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