2019年8月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

2017年おすすめ作

無料ブログはココログ

« 買って,売って,また買って(アホや~) | トップページ | ここのところアクセスが増えたと思ったら,またも山田べにこである。 »

2011年2月 8日 (火)

中年音楽狂が一肌脱ぐシリーズ(第7回)

Kind_of_blue "Kind of Blue" Miles Davis (Columbia)

1月はさぼってしまったこのシリーズである。毎度のことながら,主旨は「お店に並んでいそうでジャズをこれから聴いてみようかなぁという人にお薦めというのがありましたらご紹介ください。」というリクエストにお応えするものである。と言っても,本作ならもうお持ちかもしれないが,しかし,私がMilesのアルバムを取り上げること自体がブートレッグ以外はまれなので,まぁいいかということで...。

今更,このアルバムについて何を語ればいいのかというと困ってしまうような,ジャズ史を代表するような名盤である。さぁ,Milesのアルバムを1枚だけ選べと言われれば,"Bitches Brew"か本作で相当悩んでしまうと思うが,"Bitches Brew"が編集の素晴らしさも多々あることを踏まえれば,「本来の」ジャズという条件をつけるならば,本作を選ばざるをえまい。

このアルバムの魅力を語るとすれば,色々な点が挙げられるのだが,Bill Evansが墨絵になぞらえたライナー・ノーツにこそこの作品の特性が雄弁に語られているように思う。曰く:

Miles conceived these settings only hours before the recording dates and arrived with sketches which indicated to the group what was to be played. Therefore, you will hear something close to pure spontaneity in these performances. The group had never played these pieces prior to the recordings and I think without exception the first complete performance of each was a "take."

意訳すれば「Milesはレコーディングの数時間前にこのコンセプトを編み出し,スタジオでは,グループに演奏すべき要素のスケッチのみを提示した。従って,ここでの演奏には純粋な自然発生に近い何かが聞き取れるはずだ。グループが収録曲をレコーディング以前に演奏したことはなかったし,ここでの演奏は例外なく,完奏されただけで「テイク」(中年音楽狂註:一発OKと言えばよりわかりやすいだろうか)となりえた最初の演奏と言えるのだ。」ってなことになろう。

この作品が重視されるのはモード手法によるアドリブの自由度を高めたという点もあるのだが,そんなこと以上に,このBill Evansのライナーは,"Spontaneity"の重要性を示しているように思えるのである。リハーサルも何もなしで,こんな音楽が生まれてしまうことには感動すら覚えてしまうが,Milesのコンセプトを見事に体現したバンドも見事の一言に尽きる。これこそ最優秀ジャズ・ミュージシャンの実力と言えるだろう。(但し,このライナーが書かれたことにより,昔はこのアルバムには別テイクは存在しないと誤解されてきたようにも思えるが,実は違うということは後のブートレッグの発掘により判明したのはよく知られたことである。)

誤解を恐れずに言ってしまえば,このアルバムを聞いて,この音楽が気に入らなければ大概のジャズはお気に召さないだろうと思えるほど,ジャズの特性やスタイルを完全なまでに実現してしまっているのである。だからこそ,このアルバムをこのブログで取り上げることには抵抗がないわけではないし,米国内だけでも400万枚以上が既に売れていることが,このアルバムの影響力を雄弁に物語っているはずだ。

演奏のムードからしても,曲からしても,これほどジャズを濃密に(決して「濃厚」ではない)感じさせるアルバムはそうはないはずだ。だから,私がごちゃごちゃと述べるよりも,とにかくこの音楽に耳を傾け,身を委ねればそれでOKということになってしまうのである。

何を今更ではあるのだが,完全無欠とはこのアルバムのためにあると言ってしまおう。星★。

Recorded on March 2 and April 22, 1959

Personnel: Miles Davis(tp), Julian "Cannonball" Adderley(as), John Coltrane(ts), Bill Evans(p), Wynton Kelly(p), Paul Chambers(b), Jimmy Cobb(ds)

« 買って,売って,また買って(アホや~) | トップページ | ここのところアクセスが増えたと思ったら,またも山田べにこである。 »

ジャズ(2011年の記事)」カテゴリの記事

コメント

こんばんは
忘れずに このコ-ナ-続けてくださって ありがとうございます。

3ヵ月にいっぺんでも 大丈夫です。楽しみにしてますよ♪
はい (^-^)/
これ 持ってます。
大好きなアルバムです。 ビル・エヴァンスやコルトレ-ン キャノンボ-ル・アダレイ etc…
JAZZの世界 勢揃いといった感じですよね。
『So What』は かっこいい♪
NHKで坂本龍一さん 山下洋輔さんが
学生にJAZZを教える番組が 昨年 放送されていたのですが
この時にも このアルバムが取り上げられていました。

このアルバムは 大切にしたいです。

ジャズ批評の前号は、初心者にお勧めの一枚、でした。

わたしは、、これ。こういうときには、奇をてらわない。
つうか、自分が大好きなものをすすめますね。
この空気を退屈というヒトもいるようですが、へそ曲がりだ。と、おもってしまうけど、ま、ヒトはそれぞれです。
おすすめぽいんとは、やはり、現代ジャズの神髄がつまってる、とでもいいましょうか。。
緊張感があるのに、聴く側は無重力に浮かんでいるような開放感がある素晴らしい作品です。
そして、マイルス、コルトレーン、エヴァンスと、時代をひっぱるスターがそろっていて、次の一枚に進みやすいということです。

ピアノトリオは、聴きやすく、特にクラシックからなどの方々に受け入れやすいとおもいますが、」ジャズは基本は管がある編成が受け入れる事ができるか、、いなか?そこが、ジャズ好きの分かれ目な気がします。
とか、いうと、、ばしばし叩かれそうだから、ここで書く。(爆)

マーリンさん,こんばんは。やはりお持ちでしたね。まぁでもいいですわ。こういう機会でもないと,多分書かなかったですから。次の選盤に苦しみますが,乞うご期待ってことで。

すずっくさん,こんばんは。なるほどねぇ。「緊張感があるのに、聴く側は無重力に浮かんでいるような開放感がある素晴らしい作品」とはいいこと言いますなぁ。さすがだ。

初心者に何を勧めるかって,このシリーズを始めてから,結構難しいなぁなんて思っていますが,自分がジャズを聞くのにどういう路線を歩んできたかを振り返ることができるという効能はあるかもしれませんね。

確かにピアノ・トリオは聞きやすさ,受け入れやすさの点ではいいんでしょうけど,それでもBud PowellとかJoachim Kuhnとかは初心者には推薦されないだろうなぁ(笑)。

こんばんは。ススメテ当然の一枚ですよね。
例の有名な流出モノのbootを聴くと、このアルバムが奇跡的な一枚だと思えるのです。
ボツのテイクを聴くとBill Evensと他のメンバーが水と油。ソリが合わないのです.そして、ふっと気持ちが合って、水に油が溶けた瞬間がKind of Blueの公式テイクでした。だから,Kind of Blueが名盤であり,Bill Evansが在籍した期間がとても短かった理由もなんとなく分かりました。

kenさん,こんばんは。まぁ確かにこれを薦めずに何をって気もします。だからこそ,若干抵抗もあったのですが,それでも私にしては真っ当な記事を書いたかなぁなんて思ったりして(笑)。

やはり凄いとしか言いようがない名盤でした。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 中年音楽狂が一肌脱ぐシリーズ(第7回):

« 買って,売って,また買って(アホや~) | トップページ | ここのところアクセスが増えたと思ったら,またも山田べにこである。 »

Amazon検索

2018年おすすめ作