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2015年おすすめ作

2015年おすすめ作(本)

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カテゴリー「ジャズ(2010年の記事)」の記事

2010年12月22日 (水)

2010年を回顧する(その4):音楽編(ジャズ)

本年を回顧するシリーズも,これが最終回である。今年もいろいろなジャズを聞いてきたが,当然のことながらいいものもあれば,大したことがないものもあった。しかしながら,色々なタイプの音楽を今年も聞けたのではないかと思う。

Baroque そんな私が,今年のベスト作に挙げるのが大西順子の"Baroque"である。このアルバム,メンツの強力さもあったが,大西順子のリーダーとしての統率力やアグレッシブな音楽性について,非常に楽しませてもらった。元来,私は大西順子の音楽は好きだったわけだが,まさに完全復活,大西順子恐るべしを実感させたアルバムである。このアルバムがあまりによかったために,オーチャード・ホールで開催されたライブにも駆け付けたのだが,PAはどうしようもないものだったのは減点材料としても,演奏はライブでも強烈だったと言っておこう。彼女のTwitterは何だかなぁって感じの内容が多かったが,音楽については文句なしである。

Scenes_from_a_dream 一方,私の感情を痛烈に刺激したアルバムがChris Minh Dokyの"Scenes from a Dream"である。例えは変だが,フォーレの「レクイエム」を聞くが如き「天上の音楽感」とでも言えばいいだろうか。私はこのアルバムに関する記事を書いたとき,「夢見心地」と書いたわけだが,このアルバムは年末のせわしなさを和らげる効果もあったと言える。今の私にとってまさにジャスト・フィットとも言うべき音楽だったと言えるだろう。

Mirror 心に沁みたという意味で,今年一番だったのはCharles Lloydの"Mirror"かもしれない。70歳を過ぎたLloydが示す境地というのは,中年の私には非常に沁みた。まさにLloydの心象を映し出す「鏡」って感じなのである。近年聞いたLloydの作品では,最高のものだと思うし,本年聞いたECMレーベルの作品の中でも最高のものと思う。それにしても,このバックのメンツでこんなに枯れた感じの演奏ってのが凄いよねぇ。

Relevanceまた,ガツンと言わせてくれたアルバムとしては,Eric Harlandの"Voyager",Chris Potter入りDaniel Szabo Trio,更にはバスクラ・トリオという変わった編成ながら,非常に優れた演奏を聞かせたThomas Savyなどが記憶に残る。しかし,今年最もガツンときたアルバムはDave LiebmanとEvan Parkerの共演作"Relevance"だったかもしれない。このアルバムで聞かれるフリー・ジャズの快感というのを,私は久々に味わったと言っても過言ではない。あまり日本では流通していないし,相当強烈なフリー・ジャズだけに,万人にはお薦めできないが,これは大変なアルバムであった。皆さんの認知度を高めるためにも,再度紹介しておきたい。

Silver_pony ヴォーカルについては,私はあまり聞いていないので,とても偉そうなことは言えないが,Cassandra Wilsonの"Silver Pony"はジャンルなんてどうでもいいわと思わせるぐらい優れた出来だったと思う。やはり,この人は現代を代表する歌手の一人という位置づけにあると確信させられた作品であった。

Highway_rider そして,私のアイドルであるBrad Mehldauは"Highway Rider"で新機軸を打ち出し,見事なアルバムを出してきたのが嬉しかったし,また,奇跡の生還を遂げたFred Herschの新作もよかった。ということで,来年はどんな音楽が聞けるのかとまた楽しみになるが,年明け早々にはBrad Mehldauのソロ・ライブの発売が控えている。ビルボードでのライブも素晴らしかっただけに,今から楽しみにしている私である。

Whirl でも,その一方で,来年はちょっと新譜,中古含めてCDを買うペースを落とそうかなんて実は考えている。収納スペースに限界が来ていて,収拾がつかないような状態だからである。だからと言って,MP3に依存するのもなぁってことで,どうなることやら...。毎年同じようなことを考えて,実際にそうなったためしはないから,まぁ無理だな(爆)。

2010年12月21日 (火)

2010年を回顧する(その3):音楽編(非ジャズとライブ)

本年の回顧シリーズ,その第3弾はジャズ以外の音楽についてである。今年気に入った音楽については,当ブログの右サイドに2010年おすすめ作として掲示しているので,そこと相当にかぶってしまうのだが,実はブログにアップしていなくても,これはいいわぁっていうのは実はいくつかあるのである。そういう作品も含めてご紹介をしたいと思う。

Le_noise<ロック>今年最大の驚きは兄貴ことNeil Youngの"Le Noise"だったと言ってよい。バンクーバー・オリンピックの閉会式に出てきたり,昨年のアーカイブ・シリーズの発売など,話題に事欠かなかったNeil Youngだが,それでもこの「弾き語り」アルバムは曲のクォリティを含め,私にとって近年の兄貴の新作アルバムの中では一番気に入ったと言ってもよいだろう。Daniel Lanoisがもたらしたケミストリーというものを強く感じた一枚である。このほかに,Tom Petty & the Heartbreakersの新譜もオヤジ・ロックのあるべき姿みたいな形で好きだったなぁ。

The_bird_and_the_bee <ポップ>ポップの分野では何と言ってもThe Bird & the Beeの"Interpreting the Masters 1: Tribute to Hall & Oates"がよかった。これは彼らの演奏,歌唱もいいのだが,Hall & Oatesの曲の素晴らしさを再認識させてくれたという点で評価したいアルバムである。次は何で来るのだろうか?楽しみである。

Carol_king_james_taylor <フォーク/SSW>これはもう懐かしさだけで,
Carole KingとJames Taylorの"Live at the Troubadour"が筆頭である。音楽としてはおすすめ作にも掲載したJohn Mellencampのド渋のアルバムの方が感銘度は高い。しかし,やっぱりねぇ。今年出たアルバムではKing & Taylorがあのバックで歌っていることだけで感涙なのである。

Solomon_burke_nothing <ソウル/R&B>今年,私が最も感銘を受けたアルバムは,惜しくも亡くなったSolomon Burkeの"Nothing's Impossible"ではなかったかと思う。なぜ記事にしなかったのかとお叱りを受けそうだが,タイミングが合わなかったのである。しかし,このディープ・ソウルって感じの歌唱を聞いてしまえば,大体の人はまいることだろう。アムステルダムにおける突然の客死が本当に惜しまれる。

Bettye_lavette でもソウル部門で実は一番好きだったのはBetty Lavetteの"Interpretations: British Rock Songbook"である。ソウルフルな歌唱でロックの名曲を歌えば,そりゃいいに決まっているのだが,それにしてもこのアルバムには痺れた私である。私の場合,やはりこの分野は,メロウなものより魂に響くって感じの方が好きだってのは完全にバレバレであろう。あまりにこのアルバムがよかったので,彼女のほかのアルバムも慌てて買ってしまったことを告白してしまおう。

Samba_carioca <ブラジル>これは完全にVinicius Cantuariaの"Samba Carioca"で決まりである。本作にはBrad Mehldauも参加しているという要素が,購入動機としては強かったのだが,このボサノバを更に現代のフレイバーで演奏するのがたまらなくよかった。梅雨の時期に大変世話になったアルバムである。でも,Deodatoの新譜もブラジル・フレイバーの音楽として非常に楽しかったことは追記しておきたい。

クラシックは残念ながら,ここで取り上げるほど聞けていないのは残念である。その他,歌謡曲等の分野では,韓国勢のパワーが凄かった。オジさんとしては少女時代やらKARAを見て喜んでいるが,彼女たちのせいで,Perfumeが減速したように思えるのは気のせいだろうか。私自身はPerfumeには思い入れはないが,ファンの気持ちは移り気なものだと感じてしまうのだ。でも韓国勢もいつまで続くものやら。でも可愛いよねぇ。

<ライブ>私はあまりライブに熱心な生活を送ってきた方ではないが,今年は結構,ライブの場に足を運んだように思う。Wayne Krantzから始まり,パリでのDave Liebmanで締めるってのはなかなか刺激的であった。Kurt Rosenwinkelを人で一杯のNo Trunksで聴いたり,Fabrizio Bossoを見直したり,Lars Janssonを初めて生で見たりと,いろいろなライブに通えたのはよかった。Brad Mehldauのソロもよかったしなぁ...。PAは最悪だったが大西順子のライブもよかったし,どれか一本というと難しいが,やっぱりここはLiebmanかなぁ。まぁ,こうしてライブに通っていると,生はやはりいいのだと思ってしまうが,次は何に行けるのだろうか。Dave Douglasとか,Chris Potterに自分のバンドで来て欲しいと思っているのはきっと私だけではないはずだ。Marcin Wasilewskiとかも来ないかなぁ(無理?)

2010年12月16日 (木)

中年音楽狂が一肌脱ぐシリーズ(第6回)

Wynton_marsalis "Hot House Flowers" Wynton Marsalis(Columbia)

久しぶりのこのシリーズである。毎度のことながら,主旨は「お店に並んでいそうでジャズをこれから聴いてみようかなぁという人にお薦めというのがありましたらご紹介ください。」というリクエストにお応えするものである。

前回もCharlie ParkerのWith Stringsものだったのに,またかという声も飛んできそうであるが,数あるWith Strings作の中で,私としては実はこの作品が最も優れているのではないかと思っているので,敢えてこのアルバムを紹介する。

Wynton Marsalisのトランペッターとしての実力には疑問を差し挟む余地はないと思えるが,その原理主義的発言が,一部で顰蹙を買っているのも事実だし,彼のラッパがうま過ぎるところに反発すら感じる人々がいることも否定できない。私も彼の言動や,最近の音楽活動には若干疑問を感じているクチであるが,このアルバムの前には,そうした批判は無意味と言ってもよい出来だと思う。また,彼がデビューしてきた頃,世間が大騒ぎしていた時には斜に構えて見ていた私が,彼の実力を本当に理解し,参ったと思ったのがこのアルバムであった。うまい,とにかくうまい。そしてそれがここでは嫌味になっていない。

このアルバムの印象を一言で表すならば「ビター・スウィート」って感じである。With Stringsは甘さに流れる傾向がないわけではないが,ここで聞かれる演奏にはそうした甘さというものがほとんど感じられないのである。ある意味,本作においてメロディ・ラインを紡ぎだすWynton にはストイックな姿勢すら感じてしまう。だからと言って聞きにくい要素なんて皆無なのである。これまでジャズを聞いたことがないリスナーにとっても,クラシックを聞いてきたリスナーにとってもこれなら安心して聞けるのではないかと思えるのが本作を推奨する理由である。

いずれにしても,本作は「大人の音楽」として,長く鑑賞に堪える傑作アルバムである。単なるバラッドだけでなく,"When You Wish upon a Star"ではイントロからスリリングな展開さえ示し,アルバムとしてのメリハリをきっちりつけたプロダクションも立派。ジャズ的な感覚をこれほど持ち合わせたWith Stringsものを私は知らない。Wynton嫌いも認めざるをえない傑作であり,オーケストレーションを担当したRobert Freedmanの功績も大きい。星★★★★★。20代前半の若者の吹奏のレベルでは決してないということは,すぐにおわかり頂けるだろう。

尚,本作の邦題は「スターダスト」なので念のため。

Recorded on May 30 & 31, 1984

Personnel: Wynton Marsalis(tp), Branford Marsalis(ts, ss), Kenny Kirkland(p), Ron Carter(b), Jeff Watts(ds), Kent Jordan(al-fl) with Orchestra conducted and arranged by Robert Freedman

2010年12月15日 (水)

まさに夢見心地:"Scenes from a Dream"

Scenes_from_a_dream"Scenes from a Dream" Chris Minh Doky (Red Dot Music)

これは凄い。こんなリリカルなアルバムはなかなか聞けるものではない。タイトルに偽りなく,夢の断片(決して悪夢ではありえない)を切り取ったらこんな音になるのではないかというような音楽である。

私はこれまでChris Minh Dokyの音楽を聞いたことがないはずである。そんな私がこのアルバムを購入したのは,ブログのお知り合いの皆さんの記事があってこそであるが,このジャケットも何となく雰囲気があって,私に「おいで,おいで」をしているようであったのは確かだ。メンツもいいしねぇ。

そして音楽を聞いてみてびっくりである。こんな音が出てくるとは思わなかった。素晴らしくリリカルなのだ。私はこれを通勤途上にiPodで聞いていたのだが,その時はChris Minh Dokyを「アーティスト」から選択しただけであって,このアルバムのタイトルは全く意識していなかったのだが,何となく「夢見心地」というような音だなぁと漠然と思っていた。そして,よくよくタイトルを見てびっくりである。"Scenes from a Dream"。まさしく言い得て妙ではないか。自分の感覚とアルバム・タイトルがこれほどフィットするってのは極めて珍しいと思うが,これはまさにそんな音である。

そうした夢見心地にさせる最大の要因がDokyの非常に魅力的なベース音とフレージングにあることは間違いないが,GoldingsもErskineも楚々とした演奏で,そうした雰囲気を作るのに大きく貢献しているのがまたよい。そして,「夢見心地」を決定的にするのが,Vince Mendozaによるストリングスのアレンジ。これがまさしく絶妙なアレンジである。決してうるさくならず,目立つこともないが,見事な伴奏効果を示している。これがなければ,この演奏にこれほど感動したかどうか...。様々な要素が相俟って,この夢のような音楽が生み出されたとするならば,これはほとんど奇跡に近い。それほど美しく,私を完全なまでに魅了してしまった音楽である。

ジャズ的な要素は希薄かもしれないが,これは誰が聞いても楽しめる本当に素晴らしいアルバムである。甘甘だと言えばその通り。でもそれで何が悪い!と私は開き直る。一瞬の夢見心地を体験したければこのアルバム,とは言い過ぎかもしれないが,これは選曲,アレンジ,演奏の三拍子そろった演奏である。年の瀬のせわしない時期に,いいものを聞かせてもらった。星★★★★★。但し,興奮はしないので念のため(爆)。

Recorded on May 29 & 30, and July 1 & 2 in 2009

Personnel: Chris Minh Doky(b), Larry Goldings(p), Peter Erskine(ds) with the Metropole Orkest Conducted by Vince Mendoza

2010年12月13日 (月)

Deodatoの新作は気持ち良過ぎるメロウ・グルーブ

Deodato_crossing"The Crossing" Eumir Deodato(Expansion)

突然リリースされたDeodatoの新譜である。前作ライブ盤もその年のベスト盤に挙げてしまうほど気に入ってしまった(記事はこちら)のだが,そこでも聞かれた心地よさは,このアルバムでも健在である。

このアルバムは,イタリアの(お金持ち)グループ,NicolosiファミリーによるNovecentoプロデュースによるものであり,"Summertime"を除けば,彼らやほかのメンツとの共作で占められている新曲集である。NovecentoってのはこれまでもBilly Cobham,Stanley Jordan,Billy Prestonのアルバムをプロデュースしているが,どれも質が高く,心地よいフュージョン・ミュージックとなっていて,私は結構彼ら関連のアルバムは期待してしまっているのが実態である。そこに看板がDeodatoときては,買わずにいられないのは当然である。しかもNovecentoらしく,毎度のことながらゲストも結構豪華である。

冒頭にも書いたとおり,このアルバムはDeodatoのエレピが生み出すメロウな感覚もあって,心地よさ満点と言ってもよいアルバムである。もちろん,メロウさだけではなく,例えば冒頭のAl Jareauをフィーチャーした"Double Face"に聞かれるグルーブ感も,ファンにはたまらんものだ。結局本作を聞いていて思ってしまうのは,自分がDeodatoが好きだってことになってしまうのだが,それでもこの心地よさは本物だと思う。メロウ・グルーブという観点では前作を上回っているように感じるのは,ヴォーカル曲が多いせいもあるかもしれないし,Novecentoのバッキングのせいもあるかもしれないが,これは本当にたまらん。

アルバムのジャケにも掲載されているように,このアルバムにはCTI時代のDeodato人脈と言えるJohn TropeaやBilly Cobham,Airtoもゲスト出演していて,まったくやってくれるものだわいと思うような人選である。 こういうのを見ると,Novecentoってプロデューサー,ミュージシャンであると同時に,Deodatoのファンなのだろうと思いたくなってしまう。だからこそ,Deodatoファンとしての私は鋭く反応してしまうのだと思うが(笑)。

全編を通じて,心地よい音楽がてんこ盛りであるが,問題がないわけではない。例えば唯一オリジナルでない"Summertime"のアレンジは,テーマ部分の演奏はちょっとダサダサだなぁとか,最後に冒頭の"Double Face"がラジオ・ミックスが入っているというのは蛇足だとか,また,タイトル・トラックって"Skyscrapers"みたいではないか等,文句をつけようと思えばつけられる。それでも,私にとっては,この心地よさの方が,そうした瑕疵を上回っていると言わざるをえないのである。ということで星★★★★。

結局,私はエレピの音が好きなのだと思うが,Deodatoの弾くエレピが私へのフィット感ではナンバーワンかもしれない。

Personnel: Eumir Deodato(el-p), Rossana Nicolosi(b), Lino Nicolosi(g), Pino Nicolosi(key), Mimmo Campanale(ds), Marco Fadda(perc), Al Jarreau(vo), Dora Nicolosi(vo), Jimmy Helms(vo) , Jimmy Chambers(vo), William Upshaw(vo), John Tropea(g), Billy Cobham(ds), Airto Moreira(perc), Leonardo Govin(tb), Gianni Virone(ts, fl), Janier Isusi(tp), Chris Wakler(vo), J. Patrick Lundquist(vo), Joe Turano(vo),

2010年12月10日 (金)

Dave Liebmanライブの続報

Liebman_live_3

前回,速報でお知らせしたパリ,SunsideにおけるDave Liebmanライブの模様の続報である。Webサイトの告知では"Plays Ornette Coleman"と謳っていたが,必ずしもColeman絡みの曲ばかりではなく,ベースのTony Marinoのオリジナルも含まれていた。だからと言って,私にはまったく文句がないような素晴らしい出来だったと思う。そうしたオリジナルでも,何となくColeman的に聞こえるのが不思議である。

当日,Liebmanはテナーは吹かず(というより現地にテナーがなかった),ソプラノを主楽器とし,1曲だけWooden Fluteを吹いていた。また,ベースのMarinoは意外にも全曲でエレクトリック・ベースを弾いていたのは若干意外であった。このあたりは楽器の運搬コストを節約したのかという皮肉な見方もできるが,楽器編成上の問題は私にはまったく感じられなかった。そして,LiebmanもJurisもMarinoもアタッチメントを利用することで,かなりコンテンポラリーなサウンドに傾斜していたのが私には驚きであった。ほとんど,Milesのエレクトリック・ファンクのような乗りになる瞬間もあったのである。時にJurisのギターはディスト―ションが掛けられ,へヴィー・ファンク度が強かったのは,アルバムでの演奏とは結構違うと感じさせられた。逆に言えば,そうしたところがファンには非常にうれしいところでもあるのだが,このバンドは相当多くの引き出しを持っていると確信させられた。

それにしても,聴衆はほとんどフランス人ばかりだったというのは前回も書いたが,また平均年齢が無茶苦茶高いって感じなのである。もちろん若い人もいたが,私より同年代あるいは年長の聴衆も数多く見られた。こういう年齢層の聴衆がLiebmanの音楽を聞いて興奮しているってのが,何ともいいよなぁと思ってしまった私である。

Lombards この時のライブが開催されたSunsideがあるRue des Lombardsは,ブログのお仲間crissさんが「パリのニューヨーク52番通りみたいなジャズ・ストリート」とお書きになっているが,確かにライブ・ハウスが多数あり,雰囲気のある通りだったので,その写真もアップしてしまおう。このブログでも取り上げたNicholas Folmerがライブ盤を吹き込んだDuc des Lombardsの告知を見たら,ははぁ,出るわ,出るわって感じで欧州系ミュージシャンの名前が並んでいるではないか。Eric Legniniだ,Aldo Romanoだ,Didier Lockwoodだと,場所柄からすれば当たり前なのかもしれんが,妙な感心の仕方をしてしまった。

Sunside しかし,前回も書いたが,パリにあと数日いればPaolo Fresu Quintetが見られたのになぁってのはちょっと残念。まぁLiebmanを見られただけでも満足しなければならないところで,何言ってんだかという声が飛んできそうである。ちなみに前回私がLiebmanを見たのは,これまた出張中のNYCはBirdlandにおけるライブ時だったはずなので,ある意味私ってラッキーなタイミングで出張しているのねぇなんて思ってしまった(爆)。

2010年12月 8日 (水)

【速報】Dave Liebmanをパリで聞いた!

Liebman_groupかねてからこのブログでも予告していた通り,今回の出張中に,パリでDave Liebman Groupの演奏が見られる可能性があった。仕事の関係で本当に行けるかどうかは怪しいと思っていたのだが,初志貫徹。Lombards通りにあるSunsideクラブに出掛けて,ちゃんとLiebman Groupを見てきた。

今回は,同クラブ10周年記念のイベントの一環ということだったらしいのだが,キャパは100~120人ぐらいの小さな箱(しかも椅子が異常にきつきつ)なのにまずびっくり。思わず「アケタの店」かっ!とひとりごちた私であるが,そんなところでLiebmanを聞けること自体が幸せと言わずして何と言うべきかって感じである。演奏もコンテンポラリーな感覚とフリーな感覚,そしてコンベンションナルな感覚も持ち合わせた素晴らしい演奏であった。私の前にはでっかいおっさんが座っていたので,Liebmanの姿を眺めるにも苦労したのは事実だが,音楽だけ聴いていても十分に元は取ったと言える演奏であった。とにかくレベルが高いバンドである。

今回演奏を聞いたLombards通りの界隈の姿を含めて,詳細については帰国後に改めてご報告ということとしたいが,今回は「ちゃんと行きましたぜっ」という証拠写真として,日本から持参した"Turnaround"にリーダー含めた4人のサインをもらったジャケの写真をアップしておく。あと数日パリに滞在していれば,同クラブにPaolo Fresuのクインテットも来たのになぁってのは残念だが,それは言いっこなし。今回,Liebmanを見られただけでもよしとしなければなるまい。本当に最高の演奏であった。Liebmanは生に限るとつくづく思ってしまったが,あまりにいい演奏だったので,ドラマーのMarkoに「どうして日本に来ないんだ?」と聞いたら,"Good Question!"と言われてしまった。こういうバンドを呼ぼうという心あるプロモーターはおらんのか!!と毒づきたくなるわ。

しかし,客席が99%フランス人,日本人は多分私だけ(かつ英語をしゃべる客も私の後ろに二人いただけ)という完全アウェイ・モードってのもすごく珍しいことではないかと思う。客席の前列で頭を垂れていた日本人っぽいおっさんがいたことはいたが,パリでジャズを聞こうなんて日本人はやはり少数派ってことなんだろう。それに比べれば,Mont Saint-Michelなんて,完全ホーム・ゲームではないか(笑)。

それでもこんな狭い場所で,Liebmanが聞けて,かつ,あのEric Harlandのライブ盤が吹き込まれたってことに,ジェラシーさえ感じてしまった私はやっぱりオタクかなぁなんて思いつつ,パリのジャズ事情,あなどるべからずと思った私であった。まじで,この場所であのHarlandの演奏を聞いたら悶絶したに違いない。もちろん,Liebmanを聞いて私が悶絶したことは言うまでもないが(爆)。

大いに自慢したくなるような夜である。ありがとう,Liebman!!

2010年12月 5日 (日)

想定外の素晴らしさ:Toots Thielemansのライブ盤

European_quartet_live_2"European Quartet Live" Toots Thielemans(Challenge)

久々の音楽ネタ。

本作はToots Thielemansが欧州のミュージシャンと吹き込んだライブ・アルバムである。だからリーダーのTootsも含めてEuropean Quartet。わかりやすいねぇ。録音は2006~2008年に渡っているが,メンツが同じこともあって,一貫性は保たれている。

それにしてもである。Toots Thielemansは1922年生まれだそうだから,直近の録音である2008年の時点でも既に86歳だったことを考えると,この演奏のレベルは凄いと言わざるをえない。実を言うと,私は大して期待して本作を買ったわけではない。購入の最大の理由は「安かった」からなのである。しかし,これが私の期待をはるかに上回る見事な出来であった。こういうのを嬉しい誤算と言う。

Hank Jones亡き今,ジャズ界の最長老の一人となったTootsがこうしたレベルを維持していること自体がそもそも驚異的である。冒頭の"I Love You  Porgy"から泣かせるリリシズムを聞かせたと思えば,"All Blues"を思わせるようなアレンジで演奏される"Summertime"ではそうしたリリシズムだけでなく,力強さを聞かせるところにまたまた驚かされるのである。

このアルバムのいいところは,そうした演奏のよさもさることながら,その選曲の素晴らしさである。特に私がしびれてしまったのが「真夜中のカーボーイ」のテーマである。このJohn Barryが書いた素晴らしいメロディ・ラインを紡ぐThielemansのハーモニカには心底しびれた私である。オリジナル演奏もTootsによるものだが,私はここでの演奏をより強く支持する。こういう曲/演奏を出張中の外地で聞くと,普通に日本で音楽を聞いているのとは別の感慨を生むから不思議だが,これはまじで心にしみた。

バックも好演である。ピアノのKarel Boehleeについては,彼のリーダー・アルバムを酷評したことがある(記事はこちら)が,プロデューサーが違えば,あるいはリーダーが優れているとこれほど違うのかと思わせるほどの大きな違いである。なんてたって酷評したアルバムと,ここでのバックのトリオのメンツは一緒なのだ。なぜこんなに違うのかと私が思ってもそれは仕方がないことなのである。逆に言えば,Tootsがいかにリーダーとして,彼らを統率しているかと考えることも可能ではあるが,彼ら(特にBohelee)に対して,やりゃできんじゃんと言わざるをえなかった私である。

いずれにしても,こんなアルバムが1,000円ちょっとで買えるって,ある意味凄いことである。というより,これは買って決して損はしないと言っておこう。これからもTootsが元気で活躍してくれることを祈る意味も含めて星★★★★☆。本当に心にしみるのである。

Recorded Live in 2006, 2007 & 2008

Personnel: Toots Thielemans(hca),Karel Boehlee(p, synth),Hein Van de Geyn (b),Hans van Oosterhout (ds)

2010年11月30日 (火)

パリでLiebmanが見られるかもしれない...

先日,ジャカルタから帰国したばかりだというのに,実は11/30(つまり本日である)からマドリッド~ロンドン~パリと仕事で回ることになっている。だったら,ジャカルタから欧州に直接行った方が近いじゃんというご指摘はごもっとも。でも,日本でどうしてもこなさなければならない仕事が一本あったので,こういう無理なスケジュールとなった。

私はスペインが結構好きなのだが,マドリッドは空港近くのホテルで一泊するだけなので,今回ばかりは何もすることはなかろうが,ロンドン,パリに関しては時間次第で何らかの音楽が聞ければいいなぁと思っている。

そんな時に,ブログのお知り合い,crissさんのサイトにパリのクラブ,Sunsideのことが書かれていたので,ちょいと同店のWebサイトを見ていたら,おぉっ!私のパリ滞在中にDave Liebman Groupが出演するではないか。これは行きたいなぁ。何とか時間をやりくりしてでも,Liebman Plays Ornette Colemanを生で見てみたいものである。ちなみにメンツは"Turnaround"と同じだから,ミーハーの私はCD持参でパリに乗り込むことにしよう。でも行く時間があるんだろうか?いや,時間は作ればいいのだ。要は気合いの問題である。急速にモチベーションが高まってきた私である。

2010年11月20日 (土)

ハード・フュージョン系ミュージシャン総出演みたいなGary Husband

Gary_husband"Dirty & Beautiful Volume 1" Gary Husband(Abstract Logix)

いやいや,それにしても凄いメンツである。よくもまぁここまで集めたねぇって感じのメンバーによるハード・フュージョン・アルバム。さすが,現在のハード・フュージョンを牽引すると言ってよいAbstract Logixレーベルだけのことはある。何てたって,ジャケにもあるように、McLaughlinやAllan Holdsworthは当たり前,懐かしやJerry GoodmanやJan Hammer,さらには何とSteve Hackett,Robin TrowerやらLevel 42のMark Kingまでいるのである。このメンツを見るだけでも,既に音が聞こえそうではないか。

そう言えば,同レーベルのフェスティバル,The New Universe Music Festivalはまさしく11/20,21の開催ではないか。John McLaughlin,Wayne Krantz,Jimmy Herring,Alex Machacek,その他諸々の強烈なミュージシャンたちが一堂に会するイベント,アメリカに住んでいたら絶対飛行機に乗ってでも,ノース・キャロライナまで行っていたなぁと思わせるような企画である。今やハード・フュージョン界における90年代初頭のGRPレーベルみたいな感じと言えばいいだろう。

話がちょっと脱線してしまったが,そんなレーベル・パワーも味方につけて,本当にそうそうたるメンバーが参加しているわけだが,本質的にはリーダーであるGary Husbandのこれまでの活動の賜物あるいは彼の人徳と言ってもいいかもしれない。

演奏も,このメンツから当然想像されるような音の連続で,これは燃える。演奏としては極めてレベルが高く,ハード・フュージョン・ファンならば,大喜び間違いなしのような演奏であり,私もその点には全く文句はない。しかし,これが全面的に肯定できないところが厳しいところである。決定的な問題は,魅力的で記憶に残るような曲がないということである。演奏は最高と言っていいのだが,曲の印象があまりにも薄いのである。もちろん,色々なミュージシャンが参加していることによる若干の散漫さというのもその要因ではあろうが,なんだか勿体ないのである。それが評価をやや下げる結果になったのは何とも残念。それでも,音楽自体にはオマケも含めて星★★★★を付けてしまうのが,私のハード・フュージョン好きってところか。中でも一番燃えたのはJerry GoodmanとHusbandのバトルが聞ける"Between the Sheets of Music"かなぁ。

このアルバム,Volume 1と題されているが,中ジャケにはVolume 2は2011年春にリリースと書いてある。本作に若干不満がないわけではないが,次も買うだろうなぁ(爆)。しかし,次作ではこのわけのわからんジャケは何とかして欲しいものである。

ところで,このGary Husband,私は元来キーボード・プレイヤーとして認識していたのだが,このアルバムでも完全にドラムスとキーボードの二足のわらじ状態である。私がWayne Krantzも参加したロンドンのライブを見た時(記事はこちら)には,「一方のHusbandはやっぱり本職はキーボードだろうと思わせるようなドラムス」なんて書いてしまったが,ここではドラマーとしてもかなりタイトな仕事をしていて,私の評価はちょっと違っていたかなぁと思わせる。ごめんね,Gary...って感じである。

Personnel: Gary Husband(key, ds), Allan Holdsworth(g), Robin Trower(g), John McLaughlin(g)< Steve Hackett(g), Steve Topping(g), Jan Hammer(key), Jimmy Johnson(b), Laurence Cottle(b), Steve Price(b), Mark King(b), Jerry Goodman(vln)

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