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2010年12月14日 (火)

出張中に見た映画(10/12編):その4

Photo「悪人」('10,東宝)

監督:李相日

出演:妻夫木聡,深津絵里,岡田将生,満島ひかり,樹木希林,柄本明

この映画,公開時に見に行きたいと思いながら,行けなかったものなので,今回,飛行機の小さな画面でも見られたのはよかった。私は原作者,吉田修一の作品は殆ど読んでいるぐらい好きな作家である。その吉田の作品の中でも,この「悪人」は一際異彩を放った作品と言ってもよいもので,このブログでも小説については大分前になるが,記事も書いたし,その年の書籍ではベストに挙げたものである(記事はこちら)。

その記事にも書いたが,誰が本当の悪人かをわからなくするようなトーンが小説にもあったわけだが,そういう感覚は映画でも踏襲されている。よくあの原作をこの時間に脚色したなぁと思ったら,なんと原作者が脚色にかかわっているではないか。なるほどねぇ。だからこそ,原作のトーンがうまく活かされているわけである。

この映画,見ていて感じるのは「憂い」という言葉である。ストーリーとしてはほとんど救いがないと言っても過言ではないが,そこにいくつかの「救い」を挿入して,主人公たちの救いのない「憂い」からの救済を図っているとい言えばいいだろう。即ち,世の中悪人ばかりではないと思わせる挿話である。だが,本質的には世の中には悪い奴は沢山いるからと言っても,主人公,妻夫木聡が不幸だと思わせることが本作の狙いではあるまい。結局は妻夫木演じる清水祐一だって十分なワルなのだ。でもそれがそうでもないように思えてしまうほど,世界には悪意が満ちているということを原作も,映画も描きたかったのではないか。

そんな映画だから,見ていて楽しいものではない。李相日としても前作「フラガール」には,笑いの要素も織り込んでいたから,かなりトーンには違いが感じられる(私を大泣きさせてくれたし...)が,前作同様の秀作だという評価はしていいと思う。この重苦しいトーンはいかんともしがたいが,「映画を見た~」っていう感覚は十分に味わえた。願わくば劇場で見たかった作品である。星★★★★☆。

ところで,本作で深津絵里がモントリオール映画祭で主演女優賞を受賞したのも,納得はできるにはできるのだが,もうひと押ししていれば,決定的な名演として私も認めたのになぁって感じである。何が言いたいかと言えば,脱ぎっぷりが半端なのである。エロ親父の戯言と思って頂いてもかまわないが,ラブ・シーンのリアリティという点で,これはやっぱり中途半端である。寺島しのぶみたいでなくてもいいが,演出に無理を生じさせたのではないかなぁという点が,ほんの少しだが気になっている。まぁあれがぎりぎりだと言われてしまえばそれまでだが。妻夫木聡はイメージを覆す役を演じて,よく頑張ったと言ってよいだろう。でも一番いいのは柄本明かなぁ,なんて思っている私である。

昔の記事で,原作を映画的だと言った私だが,あながちはずれていなかったかなぁと見終わった後思った私である。まぁそれは吉田修一に聞いてみないとわからないが。

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コメント

こんばんは。これは私も読みました。映画で見ようなんて思ってなかったのですが、見たくなってしまいましたよ。そういえば清水祐一のイメージは何故か完全に速水もこみちだったんですが、塗り替えるのはちょっと大変そう。その位記憶に残ってます。

ki-maさん,こんばんは。返事が遅くなりました。

速水もこみちですか。なるほど。誰を思い浮かべるにしろ,そうした映像的なイメージが強い本でしたよね。映画も悪くない出来ですよ。

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