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2015年おすすめ作

2015年おすすめ作(本)

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2010年11月30日 (火)

パリでLiebmanが見られるかもしれない...

先日,ジャカルタから帰国したばかりだというのに,実は11/30(つまり本日である)からマドリッド~ロンドン~パリと仕事で回ることになっている。だったら,ジャカルタから欧州に直接行った方が近いじゃんというご指摘はごもっとも。でも,日本でどうしてもこなさなければならない仕事が一本あったので,こういう無理なスケジュールとなった。

私はスペインが結構好きなのだが,マドリッドは空港近くのホテルで一泊するだけなので,今回ばかりは何もすることはなかろうが,ロンドン,パリに関しては時間次第で何らかの音楽が聞ければいいなぁと思っている。

そんな時に,ブログのお知り合い,crissさんのサイトにパリのクラブ,Sunsideのことが書かれていたので,ちょいと同店のWebサイトを見ていたら,おぉっ!私のパリ滞在中にDave Liebman Groupが出演するではないか。これは行きたいなぁ。何とか時間をやりくりしてでも,Liebman Plays Ornette Colemanを生で見てみたいものである。ちなみにメンツは"Turnaround"と同じだから,ミーハーの私はCD持参でパリに乗り込むことにしよう。でも行く時間があるんだろうか?いや,時間は作ればいいのだ。要は気合いの問題である。急速にモチベーションが高まってきた私である。

2010年11月29日 (月)

出張中に見た映画(10/11編)その2

Farewell 「フェアウェル さらば,悲しみのスパイ("L'affaire Farewell")」('09,仏)

監督:Christian Carion

出演:Emir Kustrica,Guillaume Canet,Fred Ward,William Dafoe,Alexandra Maria Lara

ジャカルタ出張の帰路は夜行便であった。空港に到着した時には既に結構飲んだくれていた私だが,寝るだけというのもくやしいので,1本選んだのがこの映画である。

これは旧ソ連の崩壊の過程で発生したスパイ事件を描いた映画だが,ストーリーに関しては「なんで?」ってところはあるとしても,実話だそうだから仕方がないのである。いずれにしても,「事実は小説より奇なり」ってのを実証したようなストーリーではあるのだが,これがどの程度,実話の範囲から逸脱しているのかは知る由もない。

まぁ,悪く言ってしまえば,サスペンスを盛り上げるタッチはいかにもって感じなので,一方でこれが凄い映画かと言えば,決してそんなことはあるまい。しかし,役者陣(不勉強ゆえ知らなかったが,主役の二人は監督業がメインだそうだ)の健闘もあって,なかなかに楽しめる映画ではあった。もちろん,睡魔が襲ってくる飛行機の中で見続けるには,私にとっても結構厳しいものがあったのだが,それでも見ている間,「へぇ~っ,そうだったんだぁ」なんて思っていのだから,映画としてはまともなものである。

題材が題材だけに,実在の人物がいろいろ出てくるのだが(やっぱりRonald Reaganはアホだったに違いないと思わせるのが笑える),そのつながりは実は完全には描かれていない。しかし,フランス映画だけにというか,CIAはええかっこしぃだと思わせるように,皮肉っぽく描かれているように感じたのは私だけだろうか。

いずれにしても,ソ連崩壊の背後には,こんなことがあったんだということを知るだけでも勉強になった映画であった。星★★★☆。

2010年11月28日 (日)

さすがに今日は無理ですわ...

ジャカルタから夜行便で帰国したものの,当たり前だがな~んもやる気にならん。帰路にも映画を1本だけ見るには見たのだが,情報を仕入れる気力もない。

出張には慣れていると自負している私でもさすがに年齢を感じると言わざるをえないが,こういう時はさっさと寝て英気を養うしかあるまい。

ということで撃沈モードの私である。でも来週はまた洋行(死語!)なんだよなぁ...。だんだんサバイバル・ゲームのような気がしてくるのであった。

2010年11月27日 (土)

一体何が起こったのか?アクセス急増の原因はやはり「山田べにこ」である。

いやいやびっくりしてしまった。私がインドネシア出張中の11/25のアクセス数のことである。日頃の平均的なPV数と全く桁違いの数字なのである。PVも多ければ,ユニーク・ビジターもこれまで見たことがないような数字が並んでいた。

ココログの解析ツールを使って,検索ワードを調べてみたら,やっぱりと言うかまたも「山田べにこ」である。11/25の20~21時の1時間だけで1,000件を超えるPVって,私にとっては凄い(というかありえない)ことなのだが,これはおそらく彼女がプライム・タイムのTV番組にでも出演した以外には考えられない事象である。外地にいたのでテレビ番組をフォローできないが,まず間違いないだろう。

これまでも山田べにこのTV出演時には,彼女は私のブログのデイリーのPV記録を塗り替えてきたのだが,今回ばかりは本当に桁違いである。深夜枠の「クマグス」の時と,全く違う動きである。こういうのを見るにつけ,彼女はやっぱりみんなに受けるのであろうと思わざるをえない。

それにしても強烈に彼女にPV数急増を依存した私としては,またまた微妙な気分になってしまったのであった。日頃から記事は結構真面目に書いてるんだけどねぇ。それだけではアクセスは増えないってことである。ネクラ/オタク・ブログだから当たり前だが(爆)。

まじでびっくりした私である。

2010年11月26日 (金)

「アメリア」が日本公開されるそうだ

Photo_2 以前,「出張中に見た映画」シリーズで取り上げたことがある"Amelia"(記事はこちら)が「アメリア 永遠の翼」として日本でも公開されるそうだ。ジャカルタ出張当日に持ってきた新聞の広告を今更ながら見て思わず驚いてしまった私。

公開タイミングからすれば,お正月映画までのつなぎというところだろうが,この映画が日本で公開される可能性は低いと思っていたので,思わず「へぇ~」と思ってしまった。まぁこれでAmelia Earhartの知名度が劇的に上がるとは思えないが,これを機に,Joni Mitchellの名曲"Amelia"にも今一度注目が集まればいいなぁと思う私である。映画としては,あまり評価しなかった私だが,余韻は爽やかな映画なので,見ても損はしないだろう。

しかし,ポスターにも「アメリア・イアハート」と堂々と書かれているが, この人の名前は前にも書いたとおり,敢えてカタカナで記述するなら「アメリア・エアハート」と書かれるのが正しい(wikipediaにもpronounced /ˈɛərhɑrt/ AIR-hartと書いてある) 。いつも言っていることだが,人名ぐらいはちゃんと発音を調べた上で,記述して欲しいものである。相変わらず頭が固い私と言われようがなんだろうが,Seamus Blakeはシェイマス・ブレイクが一番近いのと同様に,アメリアはアメリア・エアハートが最も近似的なのだ。

まぁ,それはさておき,こういう映画が公開されるってのは,決して悪いことではないだろう。満員御礼,大ヒットになるとは残念ながら思えないが(爆)。

2010年11月25日 (木)

ジャカルタ名物?アヤム・ゴレン

いつも書いていることだが,出張時の楽しみはローカル・フードとローカル・ドリンクしかないと言っても過言ではない。

今回,久しぶりにジャカルタに来てみて,食べたいなぁと思っていたのがアヤム・ゴレンである。何じゃそりゃと言われれば,フライド・チキンにほかならない。インドネシアはイスラム教徒が多いため,豚をあまり食さないこととも関係があると思うが,その代わりなのかは別にしてもチキンが非常にうまいのである。基本的に地鶏しかいないのだから,肉の弾力もあってそれだけでもうまいのだが,この衣が何とも言えずいいのである。

以前来た時には,もう少し衣にはココナッツが効いていたように記憶しているのだが,今回はそうしたテイストはやや薄まっていた。しかし,やはりうまいものはうまい。そもそも私はKFCを好物としているような人間であるから嫌いなわけはないのだが,やっぱりいいわ。揚げ方がいいのか,衣がいいのか,はたまた別の理由か。クリスピーってのとは違うかもしれないが,何ともナイスな味である。

これにビンタン・ビールがあれば,何ぼでもいけますわって感じなので,こんなことをやっているようでは痛風再発も近い?ちょっと恐怖におののく私であった。

2010年11月24日 (水)

出張中に見た映画(10/11編)

Inception 「インセプション("Inception")」('10,米,Warner Brothers)

監督:Christopher Nolan

出演:Leonardo DiCaprio,渡辺謙,Joseph Gordon-Levitt,Ellen Page,Tom Hardy,Tom Berenger,Michael Caine

久しぶりのこのシリーズである。出張そのものが結構久しぶりなのだから当たり前であるが,今回は往路はあまりにも眠くて,映画は1本に留まってしまったが,見たのは本年の結構な話題作と言ってよい本作である。

この映画,見れば見るほど,カルト的な人気を博すだろうなぁと思わせるようなストーリーである。そもそも重層的な夢という発想も物凄いが,さすがに夢と現実が交錯する世界なので,映像も強烈である。そしてちゃんと謎を残していることにより,一度見るだけではなかなか納得させない部分を残すのがうまいと言えばうまい。だからこそ,はまってしまうと,オーディエンスはこの映画を何度も見ないではいられなくなるように思えるのである。このいい意味での「わけのわからなさ」ってのがいいのだと思う。

その一方で,この映画を見て,首を傾げてしまう人も多いだろうなぁと思わせるのも事実である。こんなものをデートで見に行っても,その後の会話が弾むと思えないもんなぁ。よって,この映画は一人で見て,一人でちゃんと考えて,ラスト・シーンの解釈を考えるべきだろう。これこそまさに「夢か現か」なのだ。

私はChrsitopher Nolanと言えば"Batman"シリーズのあの何とも言えない陰気な感じが好きだが,監督としてだけでなく,シナリオ・ライターとしても大したものだと思わせるのが,この映画でも明らかになっている。

まぁこういう映画を,飛行機の小さい画面で見ているのもどうなのよと思いつつ,ストーリーがしっかり作られているから,画面サイズに関係なく楽しめてしまう部分はあると思わざるをえない。これなら,DVDを購入して再見することもそれなりに意義があるのかなぁと思わせるような作品だったと思う。いずれにしても,久々にどう解釈しようか考えさせられたという意味では,刺激的な映画だったと思う。劇場に見に行かなかったことを反省した私である。星★★★★☆。

そうした中で,劇中にはDiCaprioの妻役のMarion Cottillardが登場してくるが,「投影」だとか,あのイメージって「惑星ソラリス」みたいだなぁと思ったのは私だけだろうか。もちろん感覚的なものなのだが,見ながらずっと「ソラリス」のことを思い起こしていた私である。Nolanの考えは違うかもしれないが,どう思おうがそれは私の勝手ということで...(爆)。

ところで,IMDbでキャストを見ていたら,Lukas Haasなんて懐かしい名前を見つけてしまった。そう,あの「刑事ジョン・ブック 目撃者」の子役である。あれから25年も経っているんだからわからないわけだ。私だって25年前とは特に体重では別人だもんねぇ...。

2010年11月23日 (火)

中年音楽狂 in ジャカルタ

久しぶり(と言っても2カ月そこそこだが...)の海外出張中である。今回はジャカルタに来ているのだが,当地にお邪魔するのは約12年ぶりのことである。以前,ちょくちょく出張してきている頃にも,ビルがポンポン建っていく様には驚いたが,その後はどうなのだろう?

到着が夜だったので,雰囲気はつかめないままだが,また明日以降見てみることにしよう。それにしても,さすが熱帯である。暑いったりゃありゃせんわ。赤道直下なんだから当たり前だが。

以前にこちらに出張で来ていた頃は,都合3カ月ぐらいは滞在したので,そこそこ場所についても理解していたが,今や完全にお上りさんモードである。インドネシア語で覚えているのは,ビールの注文方法とかトイレはどこかと聞くぐらいだなぁ。でもどこの国の言葉でも,これだけ覚えておけば,実は生きていけるって話もあるなぁ(爆)。

ということで,音楽その他のネタの更新は若干スローダウンする可能性大だが,悪しからず。

2010年11月22日 (月)

Gergievのボレロって,やっぱり気になるよねぇ

Gergiev"Ravel: Daphnis et Chloe / Bolero/ Pavane" Valery Gergiev & LSO (LSO Live)

最近,クラシックのアルバムを買う頻度は,以前にも増して減少している私だが,それでもValery Gergievが指揮した演奏のアルバムは結構保有している方だと思う。巨匠と言われた人々が次々に世を去って,時代の巨匠って誰なのかという議論もあろうが,チャイコフスキーやショスタコービッチを振った時のGergievは,そんな議論は抜きにしても,リスナーを燃えさせ,納得させる演奏を展開していたと思う。その一方で,ベルリオーズの「幻想交響曲」なんて,やっぱり合わないよねぇと思わせ,フランス音楽との相性に関しては私でも疑問を感じていたのは事実である。

だが,振るのが「ボレロ」となれば話は別である。「ボレロ」と言えば,管弦楽のダイナミズムを発揮するのに適している音楽であるから,Gergievがどのようにこの曲を振るのかという点に私の興味が集中していたことは事実である。であるから,ほかの2曲よりも最後に収められた「ボレロ」を最初に聞いたのであった。

いつも通り,私のリスニング空間は通勤電車の中である。iPodに突っ込んだこの曲をプレイバックしてみたのだが,いかにノイズ・キャンセリング・ヘッドフォンを使っても,この演奏の冒頭のピアノ・ピアニッシモに近い弱音はちゃんと聞こえてこないので,はっきり言ってドキドキしてしまったのだが,途中から徐々に聞こえるようになってくる(当たり前だが...)。Gergievのことだから,派手派手しく,かつ賑々しくやるのかと思ったのだが,この出だしは意外であった。しかも,テンポも決して速いとは言えない。

だが,曲が曲だけに,最後は激しく盛り上がっていくわけだが,それでも,私がGergievならもっとやるだろうというように思えるわけである。なので,演奏としては悪くないとしても,若干欲求不満が残ると言えばその通りなのである。

この「ボレロ」を聞いた後に,私は「ダフクロ」を聞いたのだが,実はこっちの方がはるかにいいではないかと思わせる出来であった。曲としては「ダフクロ」の方が圧倒的に大曲なわけだから,本来のこのアルバムの肝は「ダフクロ」であるべきで,演奏もちゃんとそうなっていたということに後から気づくという聞き方をしている私が悪いという話もあるが,でもそうなのだから仕方がない。「ボレロ」が聞きたくて買ったのに,結局は「ダフクロ」の魅力に気づく私ということで,ちょっと反省してしまった。「パヴァーヌ」はやっぱりGergievには合ってないと思うし,いずれにしても,Ravelを聞くなら別の指揮者(私の場合はDutoitかなぁ...)の演奏をメインで聞いて,この演奏が主となることはないだろうな。それでも決して悪い演奏だとは思わない(というより,予想よりはるかによかった)ので星★★★★。

ところで,せっかくこのアルバムを取り上げたので,ちょっと考えてみたのだが,「ボレロ」という曲は誰もが知っている曲だが,本当の名演って何なんだろうかと思ってしまった私である。これまで,私もいろいろな「ボレロ」を聞いてきたと思うが,最高の演奏って何なのかって悩んでしまうのである。ほかの曲なら,自分の好みもはっきり言えるんだろうが,この曲はなかなか強烈な個性を打ち出すのが難しいのではないかと思わせるのである。それだけ曲の個性が勝っているということかもしれないが,本当に誰の演奏が最高なんだろうか?今にして悩む私である。

Recorded Live at the Barbican in September and December 2009

2010年11月21日 (日)

そんなに言われるほどひどい映画かな?でもやっぱり大したことはないな(爆)。

Photo「インシテミル:7日間のデス・ゲーム」('10,Warner Brothers)

監督:中田秀夫

出演:藤原竜也,綾瀬はるか,石原さとみ,平山あや,武田真治,片平なぎさ,北大路欣也

この映画,ネット上では相当ボロクソにけなされていることが多いように感じられる。もちろん,ケチをつけようと思えば,いくらでもつけられるとは思うのだが,そこまで映画として出来が悪いかなぁという気もする。少なくとも「エクスペンダブルズ」よりひどいということはないと思う。この作品に問題があるとすれば,そもそも原作の力のなさ,更にはシナリオの脆弱さゆえではないのかと思えるのだ。

まぁ,見る人によってはホラーの帝王,中田秀夫の作品ということで,もっと違う観点を期待したのかもしれないが,私は何を見ようかなぁと迷ってこれにしただけで,そもそも期待していたわけではないので,そんなことは気にもならない。しかし,誰が見たって,最初の殺人はそういうことでしょうというのはわかるのに,あぁでもない,こうでもないとやっているところにはシナリオの馬鹿馬鹿しさがあることは否定できない事実である。

その後のストーリー展開も,それはおかしいでしょうというところも結構あるのは困ったものであるし,映像的にもちっともサスペンスも盛り上がらないのは,中田秀夫の責任ということもできよう。よって,この作品が世界各国に配給されるということには違和感があるのは事実である。結局私にとってよかったのは石原さとみの唇だけだったって話もある(爆)が,彼女はどう見てもミスキャストだろう。現在,深夜枠でやっている「霊能力者 小田霧響子の嘘」とのギャップに,私は頭がおかしくなりそうだったと言っておこう。

まぁ時間潰しにはなるが,大した映画ではない。星★★☆。でもしつこいようだが,「エクスペンダブルズ」よりは絶対ましである。

2010年11月20日 (土)

ハード・フュージョン系ミュージシャン総出演みたいなGary Husband

Gary_husband"Dirty & Beautiful Volume 1" Gary Husband(Abstract Logix)

いやいや,それにしても凄いメンツである。よくもまぁここまで集めたねぇって感じのメンバーによるハード・フュージョン・アルバム。さすが,現在のハード・フュージョンを牽引すると言ってよいAbstract Logixレーベルだけのことはある。何てたって,ジャケにもあるように、McLaughlinやAllan Holdsworthは当たり前,懐かしやJerry GoodmanやJan Hammer,さらには何とSteve Hackett,Robin TrowerやらLevel 42のMark Kingまでいるのである。このメンツを見るだけでも,既に音が聞こえそうではないか。

そう言えば,同レーベルのフェスティバル,The New Universe Music Festivalはまさしく11/20,21の開催ではないか。John McLaughlin,Wayne Krantz,Jimmy Herring,Alex Machacek,その他諸々の強烈なミュージシャンたちが一堂に会するイベント,アメリカに住んでいたら絶対飛行機に乗ってでも,ノース・キャロライナまで行っていたなぁと思わせるような企画である。今やハード・フュージョン界における90年代初頭のGRPレーベルみたいな感じと言えばいいだろう。

話がちょっと脱線してしまったが,そんなレーベル・パワーも味方につけて,本当にそうそうたるメンバーが参加しているわけだが,本質的にはリーダーであるGary Husbandのこれまでの活動の賜物あるいは彼の人徳と言ってもいいかもしれない。

演奏も,このメンツから当然想像されるような音の連続で,これは燃える。演奏としては極めてレベルが高く,ハード・フュージョン・ファンならば,大喜び間違いなしのような演奏であり,私もその点には全く文句はない。しかし,これが全面的に肯定できないところが厳しいところである。決定的な問題は,魅力的で記憶に残るような曲がないということである。演奏は最高と言っていいのだが,曲の印象があまりにも薄いのである。もちろん,色々なミュージシャンが参加していることによる若干の散漫さというのもその要因ではあろうが,なんだか勿体ないのである。それが評価をやや下げる結果になったのは何とも残念。それでも,音楽自体にはオマケも含めて星★★★★を付けてしまうのが,私のハード・フュージョン好きってところか。中でも一番燃えたのはJerry GoodmanとHusbandのバトルが聞ける"Between the Sheets of Music"かなぁ。

このアルバム,Volume 1と題されているが,中ジャケにはVolume 2は2011年春にリリースと書いてある。本作に若干不満がないわけではないが,次も買うだろうなぁ(爆)。しかし,次作ではこのわけのわからんジャケは何とかして欲しいものである。

ところで,このGary Husband,私は元来キーボード・プレイヤーとして認識していたのだが,このアルバムでも完全にドラムスとキーボードの二足のわらじ状態である。私がWayne Krantzも参加したロンドンのライブを見た時(記事はこちら)には,「一方のHusbandはやっぱり本職はキーボードだろうと思わせるようなドラムス」なんて書いてしまったが,ここではドラマーとしてもかなりタイトな仕事をしていて,私の評価はちょっと違っていたかなぁと思わせる。ごめんね,Gary...って感じである。

Personnel: Gary Husband(key, ds), Allan Holdsworth(g), Robin Trower(g), John McLaughlin(g)< Steve Hackett(g), Steve Topping(g), Jan Hammer(key), Jimmy Johnson(b), Laurence Cottle(b), Steve Price(b), Mark King(b), Jerry Goodman(vln)

2010年11月19日 (金)

Dave Liebmanのこれぞワンマンショーって感じである

Lieb_plays_the_blues_la_trane "Lieb Plays the Blues à la Trane" David Liebman Trio(Daybreak / Challenge)

本当にDave Liebmanは多作なので,追っかけるのは相当大変である。よって,私も全部聞いているわけでもないし,今年は買ったまま,まだレビューもしていないビッグバンド作もあったしなぁ(聞いてはいるんだが...とちょっと言い訳モード)。まぁ,今年のLiebmanの最高作はEvan Parkerとの共演作で決まりだと思っていたが,この時期になって,それと肩を並べると言ってもよい作品を出してきた。

タイトル通り,John Coltraneゆかりのブルーズ・ナンバーをピアノレス・トリオのライブで演奏するというところからして,期待は高まってしまうわけだが,これがまた,Liebmanが吹く,吹く。よくもまぁここまで吹くわと思わざるをえない演奏なのである。主題にも書いた通り,これはLiebmanのワンマンショーと言っても過言ではない。リズム隊はちゃんと演奏しているが,53分余りの演奏時間の中で,Liebmanは50分は吹いているのではないかと思わせるほどだから,はっきり言って,彼らには悪いが刺身のつまのようなものである。

逆に言えば,それだけLiebmanは気合が入っている。LiebmanとColtraneと言えば,Live Under the SkyのWayne Shorterとやったトリビュートが懐かしい(そう言えば,あの頃Liebmanは松葉杖だったなぁ...)が,そもそもLiebmanがジャズに目覚めたのはColtraneのライブに遭遇したためだそうだから,やはり思い入れが違うのである。しかもブルーズに絞ったところが,リスナーの心をくすぐるところでもある。しかし,Liebman本人のライナーによれば,意欲満々で取り組んだというよりも,たまたま演奏することにしただけの話のようなのである。それでこんな演奏が出てきてしまうのだから,嬉しいハプニングと言うべきだろう。

収録されているのはかなりお馴染みの曲と言ってよいが,冒頭の"All Blues"はエンディングであぁそうだったのねぇと感じさせるぐらいのものであり,モチーフとして使ったって感じだろうが,それでも最初のこのLiebmanのソプラノを聞いた瞬間から,相当ぞくぞくしてくるような快感を覚える。しかも前述の通り,全編に渡って,Liebmanがソプラノ,テナーを吹きまくっているのだから,これはたまらん。"Mr. P.C."なんて,小節数を間違えた?と思わせるような部分が感じられなくもないが,そんな瑕疵には目をつぶればよい。とにかく偶然の産物として出来上がった作品で,多くのリスナーが燃えてしまうのだから,こういうところに音楽の強い力を感じてしまった私である。

このときのベルギーのライブ・ハウスにいた聴衆は幸せな人たちである。発売済みのCDのレパートリーであるKurt WeillやAlec Wilderの作品をやっていたら,ここまでの演奏が聞けたかどうか...。でもこっちとしてはちょっとジェラシーを感じてしまうなぁ。星★★★★☆。

Recorded Live at De Singer, Rijkevorsel, Belgium on April 3, 2008

Personnel: Dave Liebman(ts, ss), Marius Beets(b), Eric Ineke(ds)

2010年11月18日 (木)

やっと読了:伊坂幸太郎の新作

Photo「マリアビートル」 伊坂幸太郎(角川書店)

別に私は伊坂幸太郎のファンってわけではないが,「ゴールデンスランバー」は面白く読ませてもらったので,この新作も買って読み始めたのだが,どうもページの進みが芳しくなかったのはなぜだろうか。

最大の要因は登場人物としての中学生「王子」の人物造形の嫌らしさではないかと思える。こんな奴が本当にいたら,「首絞めたろか」と思いたくなるような感じなのである。それがおそらくは伊坂の狙いでもあったのかもしれないが,読んでいて相当な不快感をおぼえていた私である。そんなこんなでこの本はPage Turnerとはならなかったのだが,ようやく私がこの本を読むペースが上がってきたのは400ページを過ぎたあたりと言ってもよいような感じである。つまりはある登場人物の効果により,思わぬ方向に話が展開し始めてからなのだが,遅きに失していると言えばそのとおりのようにも思えてしまう。

まぁ「ゴールデンスランバー」もありえない展開の話だったが,これまた輪をかけてありえないストーリーだと言ってもよいだろう。東北新幹線というクローズドな空間で展開される格闘シーン等,イメージがあまり喚起されないのは,私が映画「ロシアより愛をこめて」のSean ConneryとRobert Shawの格闘シーンに強烈なイメージを持っているからかもしれないが,どうも私にはサスペンスってものが感じられなかったのである。いろいろな小道具も出てくるし,騙し合いのようなところもあるが,本当に脇として出てくる殺人者等の造形もよくわからないまま放置されているのである。

普通だったら,こういう話なので,映像化するなら役者は誰がいいだろうかと,普通の私なら考えそうなものなのだが,この本に関してはそういうところは残念ながらあまり感じられなかった。それは私がこの本の前篇とも言うべき「グラスホッパー」を読んでいないから,人物像がピンときていなかったからかもしれないが,それでもやはり今イチ没入できなかったのは残念である。また,作者は伏線を張ったつもりで書いていながら,結局最後までそのネタが使われないままに終わっているところもあり,このあたりには推敲不足とも言うべき中途半端さを感じる。

最後のオチは結構笑えたと思うが,それでも私としてはこれなら「ゴールデンスランバー」の方が面白かったかなぁと思わざるをえない。星★★★。これも相性ってやつだろうな。度々登場する機関車トーマスのネタも,私は昔子供の影響でトーマスを結構見ていたので,かなり笑える部分もあったが,わからない人には何のこっちゃで終わりになるだろうなぁ。

2010年11月17日 (水)

やっぱりCassandra Wilsonは最高だっ!

Silver_pony"Silver Pony" Cassandra Wilson(Blue Note)

Cassandra WilsonつながりのMarvin Sewellが参加したKellylee Evansのアルバムを昨日の記事で結構ほめたばかり(記事はこちら)だが,今度は本家のCassandra Wilsonの新譜が届いた。最近のCassandra Wilsonにはあまりピンと来ていない部分もあった私なのだが,これがまぁ何とも素晴らしい作品ではないか。はっきり言ってこれはたまらん。本作の前ではKellylee Evansなんてまだまだ大したことないと思わされてしまうような傑作である。

本作はライブ音源とスタジオ録音がミックスされた構成となっているが,なぜこういう形が取られたのかは定かではない。しかし,そんなことはどうでもいいと思いたくなるぐらいなのだ。これはもはや完全にジャズ・ヴォーカルというくくりを越えていて,私はあまりのよさにある種の感動を覚えてしまったのである。そもそもがジャズ・レパートリーの方が少数であり,ほぼ半数の曲はバンドによる共作,あるいは編曲となっているし,その他の曲もStevie Wonderあり,Lennon / McCartneyあり,そして最後にはJohn Legendのオリジナルである。そして演奏も,歌唱もジャズでもソウルでもブルーズでも,そんなカテゴリー分けが全く無意味と思わせるような出来なのだ。

Cassandraの歌唱が素晴らしいのはもちろんなのだが,バンドとのコラボレーションの緊密度が半端ではない。レギュラーでやっている強みと,そのディープな音楽性が相俟って,私は完全にメロメロされてしまったと言っても過言ではない。例えばライブで録音されたインスト曲"Live in Seville"からスタジオ録音の"Beneath a Silver Moon"への流れであるとか,"Saddle Up My Pony"に聞かれるブルージーな感覚が私の心を鷲掴みにしてしまうのである。更にはMuddy Watersのレパートリーである"Forty Days and Forty Nights"等にディープ・サウスな感覚が如実に表れているのは最近,Cassandraはニューオーリンズに居を構えた(というか戻った)らしいのと決して無関係ではないだろう。そして,最後のJohn Legend作"Watch the Sunrise"で落涙寸前となった私である。素晴らしい余韻を残すエンディングである。

はっきり言ってしまえば,私が今年聞いたヴォーカル入りの新譜では,ロックもソウルも含めて,間違いなく最高の作品だと言い切ってしまおう。やはりCassandra Wilsonは凄いシンガーであることを見事なまでに実証している。ジャケはライナーに説明が詳しいものの,若干???であることは認めざるをえないとし,やや後半にゆるくなるかなぁという瞬間もあるにはあるが,ここは純粋に音楽だけで星★★★★★を謹呈してしまおう。褒め過ぎかなぁ?

Recorded in Spain in November 2009(Live) and in December 2009

Personnel: Cassandra Wilson(vo, perc), Marvin Sewell(g), Reginald Veal(b), Herlin Riley(ds), Jonathan Batiste(p, el-p), Lekan Babalola(perc), Ravi Coltrane(ts), Helen Gilet(cello, viellle), John Legend(vo, p), Luke Laird(g), Brandon Ross(g)

2010年11月16日 (火)

ジャズ・ヴォーカルの範疇を越えてよいKellylee Evans

Kellylee_evans"Nina" Kellylee Evans(Plus Loin Music)

いつも書いているが,私はジャズ・ヴォーカルに関してはあまり聞いていないのだが,そんな私がこのアルバムを購入する気になったのは,バックのメンツによるところが大きい。いずれにしてもKellylee Evans,今回,初めて聞いた。

そのタイトルからもわかる通り,Nina Simoneのレパートリーを集めたアルバムである。そもそもNinaがジャズとソウルを越境していたような人だったが,このアルバムもバックの演奏もあって,そうしたクロス・ボーダーな感覚が強い。私にとっては,典型的なジャズ・ヴォーカルというよりも,こうした雰囲気はむしろ大歓迎で,かなり気に入ってしまったのである。それはギタリストがCassandra Wilsonとの共演でもお馴染みのMarvin Sewellであることからしても想定できたのだが,これが予想を上回る良さだった。

Kellylee Evansは2004年のThelonius Monkコンペのヴォーカル部門第2位となっている人だから,歌がうまいことはわかってはいるが,声に関してはディープさにはやや欠けている。だが,この声がこのアルバムでは幸いしているというか,ちょうどジャズとソウルの中間的な歌唱に向いていたというか,もたれることのない丁度いい塩梅なのだ。それを支えるMarvin Sewellがアコースティックに,エレクトリックにといい味を出しているし,Ceccarelliは比較的地味めだが,François Moutinの腰の据わったベースもよく,これはヴォーカルだけでなく,演奏も楽しめるアルバムだと言ってしまおう。

よって,これは典型的なジャズ・ヴォーカルを期待して聞くと裏切られるものの,私のような雑食系リスナーには本当にちょうどいいのである。スタンダードもあれば,"Don't Let Me Be Misunderstood"もあり,更にはJacques Brel作"Ne me quitte pas(行かないで)"まであるという選曲もいいねぇ。"Don't Let Me Be Misunderstood(悲しき願い)"は私だと,Animalsか,Santa Esmeralda(!)か,はたまた尾藤イサオ(!!)かって感じ,ついでにJohn LegendもKnitting Factoryのライブで歌ってたわねぇってことになるのだが,Nina Simoneがオリジナルだったとは知らなかった。ついでに「行かないで」を聞いていると,どう聞いても弘田三枝子の「人形の家」がこの曲をパクったのは明らかだよなぁ。まずいだろう,川口真!(爆)

と話が脱線してしまったが,そんなことは抜きにして,このアルバムは楽しめる。ということでちょっと甘いかもしれないが,星★★★★☆。これならば,多分ソウル・ファンにも受け入れられるだろう。

Recorded in December 2009

Personnel: Kellylee Evans(vo), Marvin Sewell(g), François Moutin(b), André Ceccarelli(ds)

2010年11月15日 (月)

これは相当いい:Eric Harlandの初リーダー作

Voyager"Voyager: Live by Night" Eric Harland (Space Time)

おそらくはダウンロード音源としての流通を考えていたのではないかと思われるアルバムである。元々はiTunesでの流通がかなり早かった(8月ぐらいには出ていたようである)はずだが,現物まで発売されたのは,おそらくiTunes上での好評があったからではないかと勘繰っている私である。皆さんがご指摘のように,レコーディングとしてのクォリティは必ずしも高くないところもそう思わせる一因なのだが,そんなことはさておいてもこれは楽しめるアルバムだと断言できる。ぶっちゃけ言ってしまえば,リスナーを燃えさせることができる作品であり,これで燃えないで,何を聞いて燃えるかと言っても過言ではない。

既に本作については,ブログ界でも話題騒然という感じだが,私がひいきにするBrian Bladeを筆頭として,先日取り上げたAntonio Sanchezといい,このEric Harlandといい,最近は優秀なドラマーとしてだけでなく,リーダーあるいはトータルなミュージシャンとしての資質を感じさせるドラマーが増えてきたように思える。もちろん,Eric Harlandは様々なアルバムで,プッシュするところはプッシュし,抑制すべきところは抑制するという優れた演奏スタイルを示していたわけだが,リーダーとしてもここまでいけていたというのは私の想像をはるかに上回るものであった。

本作は,Harlandのバンドによるパリでのライブの実況だが,これが現代ジャズをもろに体現するような演奏の数々で全く嬉しくなってしまう。私はAntonio Sanchezのアルバムを評価しながらも,絶賛はできなかった(記事はこちら)のだが,本作はSanchez盤を上回る評価に値する作品だと聞いた。何がいいかと言えば,演奏のスリルは維持しながらも,決して一本調子にならず,演奏としてのメリハリがあることである。インタールードとして挟み込まれる"Intermezzo"3曲によって,そうしたメリハリがはっきりしたようにも思える。私は曲名をチェックしながら音楽を聞くタイプではないのだが,どうもそのように聞こえるのである。そういう意味では,ライブ盤ではありながら,よく考えられた構成ではないかと思えるのである。

いずれにしても,この演奏が単調に陥ることなく,緊張感を持続させつつ,素晴らしい演奏を聞かせているところは本当に大したものである。テナーのWalter Smith IIIにしても,ギターのJulian Lageにしても,更にはピアノのTaylor Eigstiにしてもレベルの高さを十分感じさせる演奏である。ベースは初めての人だと思うが,もう少しミキシング・レベルを上げてもらわないと,よくわからないかなぁと思いつつ,プレイには全く問題がない。やはりプレイヤーの層が広いと思わざるをえないような出来である。今年はストレート・アヘッドなジャズに,結構ハイブラウで優れた作品があったが,この作品もそれらに勝るとも劣らない作品。

とにもかくにも,これでEric Harlandからますます目が離せなくなったと言ってよいであろう。星★★★★☆。

Recorded Live at Sunside Club, Paris on October 19-22, 2009

Personnel: Eric Harland(ds), Walter Smith III(ts), Julian Lage(g), Taylor Eigsti(p), Harish Raghaven(b)

2010年11月14日 (日)

本日は開店休業

本日は訳あってリモートでの投稿となった。家にいないので,音楽についてはパーソネルを確認できないし,映画についてもスタッフ情報をゲットできる環境にもない。ということで,本日は開店休業。

話は変わるが,Brad Mehldauがロックのレパートリーを取り上げることはよく知られているが,John Mayerとデュオをやっている映像がYouTubeにアップされていて,本当にロック好きなのねぇと感じる私である。もちろん,Mehldauはクラシックにも造詣が深く,そういった多様性が彼のピアノを更にいいものにしているんだろうなぁと感じる次第。

2010年11月13日 (土)

Brad Mehldauの新作は1/11発売だそうである

Mehldauliveinmarciac今年,ビルボード東京で聞いたBrad Mehldauのソロは素晴らしい演奏であったが,次のMehldauの新作はピアノ・ソロのライブ盤だそうである。しかもNonesuchからリリースされるのは2CD+DVD版ということで,すかさず予約をしてしまった私である。

今回の作品は2006年8月のフランスでのライブ・レコーディングだが,なぜ4年前の音源を今頃出してくるのかということについては謎だが,Mehldauのオリジナルに,ロック畑の曲を交えた選曲がいかにもMehdauらしく,期待が高まってしまう私である。しかも今回はDVD付ってのがうれしいねぇ。アルバムに送料及び320kのMP3ファイル付きで$30.99は安いよなぁ。早く来い来い来年の1月11日。

2010年11月12日 (金)

コピーしたくなるフレーズ満載:Pat Martino

East"East" Pat Martino(Prestige)

このアルバムは典型的な「ジャケで損をしているアルバム」だと思う。これを見て購買意欲をそそられる人はそうはいるまい。しかし,このアルバムを一旦耳にしてしまえば,これが比類なき傑作であることは理解できるはずである。

このアルバムの優れているところは,何よりもアドリブのフレーズである。ここに収められたあらゆるフレーズが,ギタリストの心を刺激するはずだと思えるぐらい素晴らしい。しかも一聴,自分でも真似ができるのではないかと思えるような感じなのだが,多分,私には無理だ(爆)。例えば,Wes Montgomeryのフレージングはコピーは絶対無理だと思わされてしまうが,これだったら頑張ればと思わせてくれるところが,Pat Martinoのえらいところである。ある意味で親しみが持てるのである。もしここでのフレージングをコピーできれば,ジャズ・ギタリストとしてのボキャブラリーをかなりのレベルで確立できるのではないかと思えるほど,優れたセンスを爆発させているのだ。これは凄いことである。

もちろん,全体を通じてみれば,Eddie Greenのピアノなんて,どう聞いてもしょぼいアップライト・ピアノの音で,そこからは格式だとか,重厚さを感じることはできない。しかし,誰が聞いても,これこそ「ジャズ・ギター」だろうと感じさせてくれる雰囲気を持っていることが素晴らしい本作は,ジャズ・ギターを語る上では欠かすことが難しいと感じさせるような傑作だと思う。

私は大概のPat Martinoの作品は気に入ってしまうクチではあるが,本作は特にその中でも強力なシンパシーを感じる作品だと思う。歴史的傑作だとは思わないが,個人的愛好作として星★★★★★。最高なのである。電車の中でiPodで聞きながら,思わず乗ってしまった私であった(爆)。

ジャケの悪趣味には目をつぶってでも,買って損はしないと断言しておこう。

Recorded on January 8, 1968

Personnel: Pat Martino (g), Eddie Green (p), Ben Tucker (b, tambourine), Tyrone Brown (b), Lenny McBrowne (ds)

2010年11月11日 (木)

ちょっと気分を変えて「美しき水車小屋の娘」でも

Schubert "Franz Schubert: Die Schöne Müllerin(美しき水車小屋の娘)" Peter Schreier(tenor) & Konrad (g) (Angel)

私はジャズ・ヴォーカルもあまり聞いていない方だが,クラシックでも声楽に関してはあまり聞いていない,というかほとんど関心がない。唯一の例外が本日ご紹介するシューベルトの歌曲,「美しき水車小屋の娘」のギター伴奏版である。通常,この曲の伴奏はピアノで行われるのだが,このギター版は,私がギタリストのはしくれということもあるが,昔から私が大好きな作品である。この曲に関しては,同じScherierとSchiffによるピアノ伴奏版も保有しているが,どうもそちらは何度聞いてもピンとこないのは,このギター版が好き過ぎるからかもしれない。

Schubert_2本作は現在ではCDの廉価盤で,入手は難しくないのだが,やはりここはLPのジャケの方がいい感じなので,そちらを探してみたものの,唯一ネット上で見つけられたのが,上にアップした写真である。まぁ収められている音楽は同じなのだから,別にいいではないかという話もあるが,見た目ってのも重要なのである。私は現在のCDのわけのわからん色使いとかが気に入らない(敢えてそちらのイメージもアップしておくが,これを見れば,私の言いたいことが分かってもらえると思う)ので,やはりこの作品はLPで聞きたい(というより愛でたい)。

今にして思えば懐かしいのだが,私が大学の卒業旅行で欧州ツアーに出掛けた時,この曲を録音したテープを持参し,ウォークマンで睡眠導入音楽として使っていた。まさに時差ボケ解消の友である。たまにバスで移動するときなども,運転手に頼んでかけてもらったら,一緒にツアーに参加していた連中も気持ちよさそうに眠っていたのも懐かしい。それぐらい落ち着ける音楽,Schreierのソフトな声,そしてRagossnigのギターの音なのである。

それから約四半世紀の時を経過しても,このアルバムの持つ心地よさは不変である。Wikipediaによれば,「美しき水車小屋の娘」は希望に胸を膨らませて旅に出かけた若者が恋によって次第に変化してゆく姿が生き生きと描かれたいわば「青春の歌」とも称されているが,詩を噛みしめながら聞けば,また別の感慨もあろうが,私はあくまでも「サウンド」としてこの音楽を楽しんでしまっている。だが,それでもいいのである。こういうのを人生に潤いと落ち着きを与える音楽と言う。

いずれにしても,ここに収められた音楽は,世知辛い世の中とは言っても,あるいはストレスフルな生活を送っているとしても,人間を癒す効果があるということを明確に感じさせてくれるものである。そうした意味も含めて星★★★★★。もちろん,私が言っていることは音楽を実際に聞いてもらわないと理解はしてもらえまいが,本当にこれがいいのである。未聴の方は騙されたと思って是非。と言っても,お気に召さなくても責任は負いかねます(爆)。

2010年11月10日 (水)

これもアップするのに時間が掛かってしまったGilberto Gil

Gilberto_gil "Banda Dois" Gilberto Gil(Warner)

主題のようなセリフはしょっちゅう書いていて,またかと思われる方もいらっしゃることであろう。しかし,事実なのだから仕方がない。このアルバムも夏に買ったまま,iPodに入れたものの,全然聞かずに放置してきたものをようやくアップである。よくよく考えると,今年はブラジルものは2枚しかアップしておらず,そのうち1枚はBrad Mehldau狙いのVinicius Cantuaria,もう1枚はJoyceの旧作であるから,今年はまともにブラジル関係のアルバムを買っていないと言っても過言ではない。そんな中で,これはGilberto Gilが息子のBem Gilと基本的に二人で演奏したライブ盤である。

私はGilberto Gilに関しては,別に思い入れがあるわけでもなく,正直言ってしまうとほとんど聞いたことがないと言ってもよいぐらいなのである。ではなんでこのアルバムを買ったのかと言えば,ジャケの雰囲気がいいのと,何よりも値段が安かったということが大きい。しかし,ようやくこのアルバムをちゃんと聞いてみれば,何とも渋くも優れた作品だということに今更のように気が付く私であった。

何が良いと言えば,Gilの声に尽きるが,伴奏のギターの朴訥な感じも,雰囲気を感じさせるのに間違いなく貢献している。曲もなかなかの粒揃いだが、私にとって一番よかったのが、Maria Ritaが加わった"Amor Ate o Fim"である。Mariaの声がまた何とも素晴らしく,さすがElis Reginaの娘だけのことはあると思わせるが,Gilとの共演も何ともいけている。

まぁ全体に見れば,若干地味な作りということもできようが,でもこの歌声,やはり大きな訴求力を持つものだと思う。聴衆が一緒に歌うのは結構笑えるが,そういう歌手なのだということであろう。だからと言って,DVDで映像まで見たいとは思っていないが(爆)。星★★★★。

Recorded Live at Teatro Bradesco, Sao Paulo on September 28 & 29, 2009

Personnel: Gilberto Gil(vo, g), Bem Gil(g, perc), Maria Rita(vo), Jose Gil(b)

2010年11月 9日 (火)

Fourplay:メンバー・チェンジの結果やいかに。

Fourplay "Let's Touch the Sky" Fourplay (Heads Up)

Fourplayの新作が出た。今回,ギターがLarry CarltonからChuck Loebに代わるという事前情報が流れたときに,へぇ~と思ったのはきっと私だけではないと思うのだが,Lee Ritenour→Larry Carltonというフュージョン界の2大巨頭から比べれば,Chuck Loebが小粒に感じられることは仕方がないとしても,今回のアルバムでの注目点は,それによってFourplayのサウンドがどう変わるかという一点に尽きると言っても過言ではない。

正直に言ってしまうと,私はLarry Carltonが加入してからのFourplayのアルバムをあまり評価できなかった人間である。サウンド的にどうもしっくりこない感覚が強く,絶対Ritenour時代の方がよかったと思っており,結局は最近ではアルバムも買わなくなってしまっていたのである。そこへ来てこのメンバー・チェンジであるから,どのような変化がもたらされるのか,それが改善なのか,はたまた改悪なのかが,初期のRitenour時代のアルバムを愛する人間としては気になり,今回久々に彼らのアルバムを購入したのだ。

結果的に見れば,今回のChuck Loebの加入は,少なくとも私にとっては吉と出たと言ってよいと思う。Chuck Loebには強烈な個性はないが,なんでも弾きこなしてしまう器用さがあり,ブラジリアン・テイストもOK,ゆるいファンクもOK,バラッドもOKという感じなので,大人向けのフュージョン・ミュージックとしてのFourplayにはかなりフィットしていると言ってよいように思う。そもそもChuck LoebはStan Getzともやれば,サックスのBill Evansとのライブではかなり激しいギターを聞かせるという幅の広いプレイヤーだから,そう聞こえても当たり前って気がしないでもない。

曲もこれぞFourplayというようなものが並んでいて,ファンは結構喜ぶのではないかと思わせる出来である。ヴォーカル入りの曲もナイスだし,何よりもLoebのフィット感というか,バランスのよさが嬉しい。これはまさにRitenour時代のFourplayを彷彿とさせるような演奏なのである。Chuck Loebの加入は,私はFourplayの演奏を原点に立ちかえらせる効果があったように思えてならない。これは私にとっては極めてポジティブな反応であり,これははっきり言って嬉しかった。

まぁそれでもFourplayはFourplayなので,革新的な演奏とか,超弩級のスリルとかそういったものとは全く無縁の世界である。どこまでも心地よく,そして非常に落ち着ける。喧騒に満ちた世界であるからこそ,こういう演奏を求める人も多いはずである。久々に私の求めるFourplayの音楽を聞けたように思える。ということで,繰り返しになるが,Ritenour在籍時のFourplayが好きなリスナーは間違いなく気に入るものと確信する。星★★★★。これなら次作も期待できるな。

そう言えば,以前,NYCに出張した時に,IridiumにChuck Loebのライブを見に行ったなぁなんて急に思い出してしまった。ネットで調べてみると,LoebにEric Marienthal (Sax), Jim Beard (key), Josh Dion (ds, vo), Anthony Jackson (b)なんていう結構なメンツである。客席にはWill Leeがいて,ねぇちゃんをはべらせていたが,客の入りは芳しくなかったなぁ(笑)。更にLoebと言えば,Metroというフュージョン・バンドもあったが,今回のFourplay加入により,Metroで演奏する機会はもうないんだろうなぁ。可哀想なMetroの相方,Mitchell Formanって感じか(笑)。

Personnel: Bob James(key), Nathan East(b, vo), Chuck Loeb(g), Harvey Mason(ds, perc), Ruben Studdard(vo), Anita Baker(vo)

2010年11月 8日 (月)

ひどい映画を見てしまった

Photo「エクスペンダブルズ("The Expendables")」('10,米,Lions Gate)

監督:Sylvester Stallone

出演:Sylvester Stallone, Jason Statham, Jet Li, Dolph Lundgren, Eric Roberts, Micky Rourke

これはくだらない。実にくだらない。大量の火薬を使用した映画として,派手なドンパチは多いが,ストーリーは無茶苦茶,映像も首や体が吹っ飛ぶなど,趣味が悪いこと甚だしい。

そもそもこのポスターにもあるように,Bruce WillisとArnold Schwarzeneggerは登場しているものの,彼らは実際の映画上はクレジットされていないので,あくまでもキャメオ出演と考えるべきであるし,大した出番もない。そんな彼らを売りにしようとするようなこのポスターの商魂がそもそも許せない。しかもシュワちゃんが登場するStalloneとのシーンは明らかに合成とわかるひどい代物である。

これははっきり言って,Stalloneが道楽で作った映画としか思えないが,私はあまりのくだらなさにこの映画を見に行くことにした自分の選択を呪いたくなってしまった。全くの金と時間の無駄。エンド・ロールに流れる日本版主題歌,長淵剛の「絆 -KIZUNA-」が,ハードロックを真似ただけのような曲で,こいつも笑止千万。

結局最後までアホくさくてやってられんわというものであった。星★。今年見た映画の中でも最低の作品である。

2010年11月 7日 (日)

分厚い音の中から聞こえてくるBryan Ferry

Bryan_ferry_olympia"Olympia" Bryan Ferry (Virgin)

これは久々のBryan Ferryによるオリジナル・アルバムである。前作はBob Dylanのカバー集(記事はこちら)だったから,オリジナルとしては2002年の"Frantic"以来ということになる。大体,前作からも3年半以上が経過しており,本当に久しぶりって感じである。

それでもって,この新作だが,ジャケットのKate Mossのポートレートを見ただけで,おぉっ,Roxy Musicかっ!と思ってしまう(余談だが,ブックレットの中のKate Mossの白黒のポートレートは無茶苦茶綺麗である)が,音を聞くと実は結構びっくりさせられる。バックの演奏が相当分厚くて,その中からFerryのヴォーカルが浮かび上がるような感覚なのである。例えはちょっと違うかもしれないが,Phil Spectorの"Wall of Sound"のように感じてしまった私である。もちろん,全編を通してこういう感じなので,これが意図的なものであることはわかるのだが,これには最初は戸惑ってしまった私である。しかし,何度か聞いていると,これも結構ありなのかなと思えてくるところが不思議なところである。

とにかく,参加しているミュージシャンの質量を見れば,Bryan Ferryという人の英国音楽界におけるポジションが見て取れるようなものになっているが,The Bandとクレジットされたコア・メンバーだけでもギタリストが3人もいるのだから,音が分厚いのは当たり前である。そこにゲストとして加わるのがGilmour,Manzanera,Greenwood等だし,EnoやらレッチリのFleaまで加わるという重量級メンツと言ってよい。

サウンドは良くも悪くもブリティッシュって感じであるが,例えばFerryでは"Boys & Girls"のような作品が好きだとすると,この作品はかなり雰囲気が違うので,受け入れられ方も随分変わってくるのではないだろうか。私も最初はピンとこなかったのだが,徐々によくなってくる感じなのである。しかし,このサウンド・プロダクションはやはり違和感があって,ここまでやらなくてもいいのではないかと感じるのも一方では事実である。私はもっとシンプルなバックでも十分魅力的な演奏になると思うのだ。ある意味装飾過剰なのである。そうしたところは個人的には減点対象となるのだが,最後に収められた"Tender is the Night"をしっとり聞かされてしまうと,Ferryはこういうのがいいねぇと思わざるをえない。ここにAttractionsのSteve Nieveを連れてくるところがFerryの趣味の良さっていうやつなのである。

ということで,非常に評価の難しいアルバムだとは思うのだが,少なくともBryan Ferryが新しい音に取り組む姿勢は衰えていないことは感じられるアルバムだと思う。そういう点はある程度評価しなければならないと思うので,星★★★☆。でもやっぱり微妙である。

Personnel: Bryan Ferry(vo, p, key), Oliver Thompson(g), Nile Rogers(g), David Williams(g), Marcus Miller(b), Tara Ferry(ds), Andy Newmark(ds), Frank Ricotti(perc), John Monkman(electronics), Seweuse Abwa(vo), Hannah Khemoh(vo), Aleysha Gordon(vo) with David Gilmour(g), Phil Manzanera(g), Neil Hubbard(g), Dave Stewart(g), Johnny Greenwood(g), Chris Spedding(g), Steve Nieve(p), Brian Eno(synth), Flea(b), Andy Mackay(oboe) and others

2010年11月 6日 (土)

今日もお休みと言いたいところだが...

普通だったら,今日はお休みですと言って寝てしまいそうだが,今日はそうなる前にどうしても言っておかねばならないことがある。

尖閣問題に関しても,その他の領土問題と同様に私はニュートラルな立場を貫くつもりではいるのだが,今回のYouTubeへの映像流出問題は,誰がやったかという責任問題は別にして,情報は秘匿できないのだということが明らかになっただけである。どんなに当局が抑えようとしても,情報のコピーのスピードは,彼らが思う以上に速いから,情報はあっという間に拡散を続ける。よって,映像の流通を抑制しようとしても,もはや無理なのは誰が見ても明らかである。メディアも平気で映像を流すし...。

であるとしてもである。私は今回の情報漏洩に関して,誰が何を思ってやったかということは別にして,単なる「義憤」と片付けるには問題だと思える。事実が事実であるならば,この映像がなくても,中国を批判することは簡単だったのだが,日本という国がかくも容易に情報漏洩が起こりうるということで,中国に付け入る隙を与えてしまったことは誠に情けない。かくも浅はかで幼稚な発想の人間が当局,あるいは当事者の間に存在することを知らしめることに何の意義があるのか。ただでさえ幼稚な外交と言われる現在の菅政権であるが,今回の映像の流出によって,情報のコントロールすらできないことを改めて国際的に明らかにしただけで,本件が与える「ネガティブなインパクト」は流出させた本人が考えるよりもはるかに大きいはずである。換言すれば,日本は「その程度」の国として,恥をさらしたのである。

多くの人間が事実を知りたいと思っているのが本音だとしても,やはりこれはまずい。ただでさえ,APEC対応の異常な警備で迷惑を被っている我々のような関東在住の人間が,これにより更なる迷惑を被ることになることは必定であり,はっきり言って気分が悪い。一時
的な特定個人のヒステリックな行動が,間違いなく多くの善良なる日本国民を不快ならしめたという典型的な事例。

もちろん,この程度のことを秘匿しようとした現在の日本政府の責任も指弾されるべきであるが,それにしてもである。いずれにしても,日本はその情報管理能力の乏しさゆえに,世界各国から後ろ指をさされることになったことだけは否定しがたい事実である。

2010年11月 5日 (金)

John LennonのMobile Fidelity盤2枚を中古でゲットした

Plastic_ono_band_mf"Plastic Ono Band"/"Imagine"(Mobile Fidelity)

今年で生誕70周年,没後30周年ということで,John Lennonのリマスター盤が発売されており,
巷では賛否両論渦巻いていて相当喧しいようだが,私はそうした喧騒と無縁の世界で生きている。なぜなら,私はBeatlesは好きだが,メンバーのソロ・アルバムとなると,Georgeは結構保有しているものの,JohnとPaulはベスト盤+αぐらいしか持っていないのである(ちなみにRingoも1枚だけ)。まぁそれでも困ったと思ったことはないし,今回のリマスター盤が出たからと言って,敢えて買うというようなことは決してなかっただろう。

Imagine_mfしかし,先日,中古盤屋で新着コーナーを漁っていると,上記の2作のMobile Fidelity 24K Gold盤があるではないか。MF盤は音のよさでは有名だが,プレスの枚数がおそらくは少ないということもあって,かなりの高値で取引されていることが多い。そんな中で,これらの作品は安定した供給が行われているから,MF盤にしては比較的安値で買える作品とは言え,敢えて買うというところまでは踏ん切りがつかない値段がついている。しかし,今回は良好なコンディションのこの2枚で\4,500ぐらいだったので,思わず購入である。

この価格は,私の中古盤に対する値頃感からはちょっとかけ離れたものではあるのだが,いざとなったら転売で売り抜けるなんて邪な考えも持ちながらの購入であったことは正直に告白してしまおう。まぁそれでも,これらは1枚$30出せば新品を買えるので,破格のお買い得ってことはないのだが,中古盤は買おうか買うまいか迷った時は,絶対買いなのである。私は過去に,買わずに店を出たものの,すぐ後にやっぱり気になって店に戻ってみたら,既にブツが売れてしまってショックを受けるなんてことを何度も経験しているから,財布との相談ではあるが,迷ったときは買うべきなのである。今回もそういうことで購入と相成った。

こんなことをやっているから,CDは増えていく一方だし,ますます整理ができない状態になってしまうんだろうなぁ...とは思いつつ,音楽に関する物欲だけは止まらないのである(と開き直る)。

だが,よくよく考えてみると,我が家のしょぼいオーディオ・セットでMF盤の音の良さが理解できるのか実は疑問もある。現在,私はDENONのAVアンプを使っているのだが,以前使っていたSANSUIのプリメイン・アンプ(AU-707だったかな)に比べると音の力がないのは明らかで,常々欲求不満をおぼえているのだが,それでも家人の手前,あるいは居住環境もあり,ヴォリュームを上げて音楽を聞くこともままならない状況では,まぁ仕方がないかなというところもある。こんな状態ではMF盤と通常盤の違いがわかるのか?なんて感じるのもむべなるかなである。しかし,Steely Danの"Aja"のSHM-CD盤が出た時は,音の分離やニュアンスの改善については我が家のオーディオ・セットでも理解できるレベルだったので,MF盤でもそれなりに音の良さは実感できるかもしれない。と言っても,まだ聞く時間が取れていないので,実際にはどうなるかは聞いてのお楽しみである。

それにしても,一体いつになることやら。やれやれ(村上春樹風)。

2010年11月 4日 (木)

Charles Lloyd:これぞ枯淡の境地か?

Mirror "Mirror" Charles Lloyd (ECM)

このアルバムがデリバリーされてから,記事をアップするまで随分と時間が掛かってしまった。よって,新譜と呼ぶにはちょっと時間が経ち過ぎているが,まぁそれはよしとしておこう。こういうことが最近多いのは,買うアルバム,買うアルバムを全部iPodに突っ込んでしまって,聞くのを先送りにしているからだと思う。便利になったのはいいが,自分の音楽を聞くということに対する姿勢がどんどんいい加減になるのは,文明の利器に頼り過ぎというところによるのだろう。「早く聞きたいっ!」という切実感は少なくとも希薄になってきていることは,反省しなければならない。

閑話休題。本作がCharles Lloydにとって,ECMの何作目になるのかわからないが,最初LloydとECMがイメージとしてうまく結び付かなかったのはもはや過去の話。今や,ECMでサックスと言えば,Jan GarbarekかLloydみたいになってしまったのはある意味で驚きである。そのLloydが前作"Rabo de Nube"でJason Moranを迎えたことは意外だった(記事はこちら)のだが,本作も前作と全く同じメンバーで吹き込まれているということは,これが現在のLloydのレギュラー・クァルテットということになるのだろう。若いバックから精気を吸い取る妖怪Lloydって感じだろうか。この作品でも70歳過ぎの老人とは思えないクリエイティブな演奏を展開しているではないか。

まず冒頭の"I Fall in Love Too Easily"から枯淡という言葉を想起させる渋いスタートである。サックス,ピアノ,ベースが絡み合う様は,Lee Konitz~Brad Mehldau~Charlie Hadenのアルバムを思い出させる(彼らのアルバム2作も渋いものだった)。こうした感覚は2曲目以降にドラムスが入ってきてからも大きくは変わらない。そもそもLloydにスイング感を求める人はそうはいないだろうが,ジャズ特有の燃え上がるような部分は感じられない。

しかし,これがつまらないアルバムかと言うと全然そんなことはない。思うに,本作はLloydが72歳にして到達した境地をストレートに打ち出したものではないかと思えるのである。だからこそ,ここに収められた曲が,過去の演奏の再演で占められているのではないか。今の私ならこうやるのだというLloydのステートメントのようなものを感じてしまう。よって,演奏にはギミックなど何もない。あくまでもストレート,時にメランコリックに,時にジェントルにと,これは長年の演奏を経て,Lloydが蓄積してきたものが,ある意味形を変えて吐き出されているのではないかと思えるのだ。

演奏を聞いていて,御年72歳という年齢を全く感じさせない素晴らしい吹奏の数々に目を見張らされる瞬間が何度もあるのは凄い。本来であれば,実力十分のバックにも耳が行きそうなものだが,ここでは私はLloydのサックスを聞いているだけでアルバムが終わってしまったような感覚さえおぼえてしまう。まさにこれこそ「抑制の美学」,あるいは「枯淡の美学」とでも言うべきだろう。こんなアルバムをかくも長期間,放置していた自分を私はまたまた恥じざるをえない。私としてはこれはLloydがECMに吹き込んだ諸作の中でも屈指の傑作と位置付けたい。よって,反省も含めて星★★★★★を謹呈してしまおう。尚,PCで聞いていても音がいいと感じられるのだから,真っ当なオーディオ・セットだったら,この感動は更に上乗せされると言えるだろう。

いずれにしても,ある程度の年齢層以上のリスナーならば,この感動を分かち合えることは間違いないと断言しておく。逆には若い人にはちょっと辛いかもしれない。おかしな例えだが,日経の「私の履歴書」を音楽で再構築したような作品と解釈すれば,「私の履歴書」に必ず目を通す読者って,やっぱりある程度の年齢層以上だろうというのと重なってしまうのである(ほんまか!?)。

Recorded in December, 2009

Personnel: Charles Lloyd(ts, as, vo), Jason Moran(p), Reuben Rogers(b), Eric Herland(ds, vo)

2010年11月 3日 (水)

聞くのがちょっと怖くて,まだ聞けていないBrad Mehldau最新盤

Love_songs"Love Songs" Anne Sofie von Otter / Brad Mehldau(Naive)

まだ手許に届いたばかりで聞いていないのだが,Brad Mehldauの最新作は,クラシック界を代表するメゾ・ソプラノと言ってよいAnne Sofie von Otterとの共演作である。Mehldauは以前,ソプラノのRene Flemmingとのアルバムをリリースしたことがあるし,Otterはと言えばElvis Costelloとのアルバムがあったから,どちらも越境型の活動をしてきたと言ってもよいのだが,その二人が共演するとどういうことになってしまうのか?

ディスク1はMehldauが書き下ろしたオリジナル,ディスク2はフランス系の曲を中心とするポピュラー・ソング集である。ディスク2にはJoni Mitchellのアルバム,"Song to a Seagull"所収の"Marcie"やら,Lennon/McCartneyの"Blackbird"
(Mehldauのレパートリーである)も入っているから,どちらかと言うと今のところ,私の興味はディスク2の方に向いている。

しかし,正直に言ってしまうと,私はクラシック系の女声があまり得意ではなく,アルバムとして保有しているのはJessye Normanぐらいのものである。また,いくらMehldau好きだからとは言え,Rene Flemmingとのアルバムはほとんど聞く気がしないってな感じなので,今回のアルバムにも実は不安が大きいのだが,Mehldauコンプリートを目指す以上は買わずにはおれないのである。いずれにしても,躊躇が先走り,まだほとんど聞いていないこのアルバム,いつ記事がアップされることやら...。記事はなるべく早くアップしたいと思うが,ディスク1の冒頭のMehldauのイントロをちらっと聞いていて,私はFred Herschのピアノを思い出したということもあり,少なくともピアノについては相当期待できそうだとは言っておこう。

だが,その一方でクラシック系女声に対する不安もあり,一体どっちやねんという疑問だけを残して,本日はここまで。

それにしても,このアルバム,2枚組なのに,ネットで買ったら無茶苦茶安かったのはなんでやねん?いずれにしても円高に感謝ってところだろう。

2010年11月 2日 (火)

中年音楽狂が一肌脱ぐシリーズ(第5回):今度はCharlie Parkerだ

Charlieparkerwithstringsthemasterta "Charlie Parker with Strings: The Master Takes" Charlie Parker(Verve)

この「お店に並んでいそうでジャズをこれから聴いてみようかなぁという人にお薦めというのがありましたらご紹介ください。」というリクエストにお応えするという「一肌脱ぐ」シリーズ,大体月1回ぐらいのペースで続けていければと思うのだが,実は盤の選定が相当悩ましい。今回はアルト・サックスにしようというのはさっさと決めていたのだが,Art Pepperにしようか,意表を突いてPaul Desmondにしようかとも迷っていた。しかし,ここは敢えてCharlie Parkerにすることにした。

Charlie Parker,誰もが知るジャズ史上最大の巨人と言ってもよい。だが,現代の一般のリスナー(特にこれからジャズをお聞きになろうという皆さん)にとっては,録音の古さ(≒音の悪さ:一部例外がないことはないが...)ゆえに,なかなか手が出にくい代物となっているのも一方では事実である。しかし,Parkerを聞くことなくジャズを語ることは無理なのよということを認識して頂くためにも,私がここでParkerの演奏を取り上げることには,大した影響力なんてないとしても,これまでParkerに触れたことがない方にとっては多少は意義があると思いたい。

そこで選んだのがこの"With Strings"なのだが,この演奏には様々な批判が伴っているのも事実である。バックのストリングスがしょぼいだの,Parkerのアドリブの凄みが感じられないだの,まぁ実際にいろいろあるわけだ。正直言って,Parkerのアドリブを聞きたいならば,サヴォイあるいはダイアルのセッションでも聞いていればいい(ダイアルなんて,今や名演集が999円で買える! 買おうかな...)と私も思うわけだが,では私がこのアルバムを選んだのは,「歌心」とは何かということをこれほど痛切に感じさせるものはないと思えるからである。伴奏がしょぼかろうがなんだろうが,名歌手の歌が心に響くように,ここでのParkerの吹奏は心に突き刺さるのだ。

収められている曲は,著名なスタンダードばかりで,馴染みのメロディがぼんぼん出てくる。しかし,そこにかまされるParkerのアドリブ・フレーズ(イントロに出てくる数小節でもOKだ)は,短いけれども何とも鮮烈なのだ。そして何よりも歌っている。しかも音がでかかったであろうと想像させるに十分な吹奏である。

確かに,Parkerのインプロヴァイザーとしての本当の凄みはここには感じられないかもしれないが,それでも肩ひじをはらずにParkerに接することができるという意味ではこのアルバムは貴重である。まずはここでParkerに触れて,これまでParkerをお聞きになっていない皆さんに更なる深みにはまって頂けるなら,それこそ私としても本望である。本作はコンピレーションなので,録音時期の違いで演奏の感じにだいぶ違う部分があるが,まずは最初の14曲を聞いて頂ければと思う。私がここで書いていることが多少はお分かり頂けるはずである。やっぱりParkerは凄いのだ。星★★★★★。

ただ,このアルバムが通常のリアル・ショップで簡単に買えるかというと若干疑問なのがこのシリーズの主旨からするとちょっと問題だ。しかし,ネットならすぐ買えるので,気になる方はネット・ショップでどうぞ(と開き直る)。こうして記事にするために本作を久々に聞いたのだが,全く温故知新とはこのことである。今の私に魅力的に響いてきたのは,それは私がそういう年になったからなのかもしれないが...。でもいいものはいいと改めて言っておこう。

Recorded in 1947, 1949, 1950 & 1952

Personnel: Charlie Parker(as) & Many More...

2010年11月 1日 (月)

これで納得したAvishai Cohen

Avishai_cohen_tp"The Trumpet Player" Avishai Cohen(Fresh Sound New Talent)

先日,Avishai Cohenの "Avishai Cohen Introducing Triveni"をこのブログで取り上げた時(記事はこちら)に,私がこの人の実力は認めながらも,いかんともし難いフラストレーションを感じていたことのは行間のみならず,記事そのものかも読み取れたかもしれない。だが,それはブログのお仲間の取り上げ方からの期待値の高さを示していたと思うのだが,それでも私には完全に納得できる出来だったとは思っていない。

その記事を書いた際にもいろいろな方からコメントを頂いたり,私からコメントをさせて頂いたりというのがあったわけだが,Cohenに関しては,どうも"Triveni"だけを聞いてわかったような気になっているだけでは駄目だというは私でもわかった。結局のところ,Avishai Cohenというトランペット・プレイヤーの本質は最新作ではなく,今日取り上げるアルバムでなければ捉えきれないということらしいのである。信頼する皆さんからそこまで言われてしまうと,いかに私がこのアルバムのジャケが気に入らない(何とも不思議な,キッチンで胸毛を出しながら,ラッパのバルブをタオルで拭く姿という構図を誰が喜んで見たいというのだろうか???)とは言え,音だけは聞かざるを得ないと感じてしまったのである。よって,ジャケのセンスのなさは別にして,取り敢えずこのアルバムをゲットしたのである。

それでもってCDをプレイバックしてみると,なるほど,確かにこちらの方が絶対いいだろうと思わせる出来である。逆に言うと,私は本作よりも"Triveni"を先に聞いておいてよかったと言えるのではないかと思えるのである。もし,私がこの作品を聞いて,Cohenを評価した上で"Triveni"を買っていたとすれば,その落差への失望感ははるかに大きかったのではないかと思えるからである。本作を聞かないでCohenを聞くのと,知った上で聞くのではあまりに違いが多き過ぎると言っても過言ではあるまい。

本作と"Triveni"の違いは何だったのかと言えば,私は実はミキシングのバランスではなかったのかと思える。"Triveni"はある意味ではCohenのワンマン・ショー的だが,本作はベース,ドラムスとのインタープレイに主眼が置かれているっていう感じがするのである。新作でのドラマー,Nasheet Waitsはいいドラマーではあるが,本作のドラマー,Jeff Ballardに比べると,フロントを煽る感覚にはちょっと欠けているように聞こえるのだ。多分,実力的なBallardもWaitsも変わらないところで,何が違ったかと言えば,リズムの音の質感だろう。煽られることによる切迫感はWaitsとの演奏からはそう強くは感じられないのだが,Ballardからはそれが感じられるのである。それはWaitsの責任ではなく,私にはミキシングの影響が大きいように思えるが...。

こうした違いが,私の中で本作をより高く評価させる要因になっていると思うが,いずれにしても私はこの作品ならもっとCohenを評価してもいいと断言できる。この全編に渡る緊張感の維持は容易でないことはほとんどのミュージシャンが理解できるはずだが,初リーダー作でここまでやってしまったというのは,ある意味では異常だ。そうした意味で,私はこのアルバムは高く評価することに異存はないのだが,本作がより多くの人から評価される理由となったのはJoel Frahmの存在ではなかっただろうか。Frahmのテナーが持ち込んだ異分子感が,この演奏の緊張感を高めたのは間違いないところである。Frahmってこんなにいいテナーだったかなぁなんて思わせる部分もあり,そういった要素を含めて,私としてもこのアルバムは高く評価したいと思う。そして,絶対こっちの方が作品としてはよいと断言してよいはずである。星★★★★☆。

ということで,ブログのお仲間の皆さんからも,このアルバムを聞くように勧められたわけだが,持つべきものはこうした審美眼を持った方々のアドバイスって感じである。ありがとうございました。

Recorded on November 25, 2001

Personnel: Avishai Cohen(tp), John Sullivan(b), Jeff Ballard(ds), Joel Frahm(ts)

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