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2010年11月 4日 (木)

Charles Lloyd:これぞ枯淡の境地か?

Mirror "Mirror" Charles Lloyd (ECM)

このアルバムがデリバリーされてから,記事をアップするまで随分と時間が掛かってしまった。よって,新譜と呼ぶにはちょっと時間が経ち過ぎているが,まぁそれはよしとしておこう。こういうことが最近多いのは,買うアルバム,買うアルバムを全部iPodに突っ込んでしまって,聞くのを先送りにしているからだと思う。便利になったのはいいが,自分の音楽を聞くということに対する姿勢がどんどんいい加減になるのは,文明の利器に頼り過ぎというところによるのだろう。「早く聞きたいっ!」という切実感は少なくとも希薄になってきていることは,反省しなければならない。

閑話休題。本作がCharles Lloydにとって,ECMの何作目になるのかわからないが,最初LloydとECMがイメージとしてうまく結び付かなかったのはもはや過去の話。今や,ECMでサックスと言えば,Jan GarbarekかLloydみたいになってしまったのはある意味で驚きである。そのLloydが前作"Rabo de Nube"でJason Moranを迎えたことは意外だった(記事はこちら)のだが,本作も前作と全く同じメンバーで吹き込まれているということは,これが現在のLloydのレギュラー・クァルテットということになるのだろう。若いバックから精気を吸い取る妖怪Lloydって感じだろうか。この作品でも70歳過ぎの老人とは思えないクリエイティブな演奏を展開しているではないか。

まず冒頭の"I Fall in Love Too Easily"から枯淡という言葉を想起させる渋いスタートである。サックス,ピアノ,ベースが絡み合う様は,Lee Konitz~Brad Mehldau~Charlie Hadenのアルバムを思い出させる(彼らのアルバム2作も渋いものだった)。こうした感覚は2曲目以降にドラムスが入ってきてからも大きくは変わらない。そもそもLloydにスイング感を求める人はそうはいないだろうが,ジャズ特有の燃え上がるような部分は感じられない。

しかし,これがつまらないアルバムかと言うと全然そんなことはない。思うに,本作はLloydが72歳にして到達した境地をストレートに打ち出したものではないかと思えるのである。だからこそ,ここに収められた曲が,過去の演奏の再演で占められているのではないか。今の私ならこうやるのだというLloydのステートメントのようなものを感じてしまう。よって,演奏にはギミックなど何もない。あくまでもストレート,時にメランコリックに,時にジェントルにと,これは長年の演奏を経て,Lloydが蓄積してきたものが,ある意味形を変えて吐き出されているのではないかと思えるのだ。

演奏を聞いていて,御年72歳という年齢を全く感じさせない素晴らしい吹奏の数々に目を見張らされる瞬間が何度もあるのは凄い。本来であれば,実力十分のバックにも耳が行きそうなものだが,ここでは私はLloydのサックスを聞いているだけでアルバムが終わってしまったような感覚さえおぼえてしまう。まさにこれこそ「抑制の美学」,あるいは「枯淡の美学」とでも言うべきだろう。こんなアルバムをかくも長期間,放置していた自分を私はまたまた恥じざるをえない。私としてはこれはLloydがECMに吹き込んだ諸作の中でも屈指の傑作と位置付けたい。よって,反省も含めて星★★★★★を謹呈してしまおう。尚,PCで聞いていても音がいいと感じられるのだから,真っ当なオーディオ・セットだったら,この感動は更に上乗せされると言えるだろう。

いずれにしても,ある程度の年齢層以上のリスナーならば,この感動を分かち合えることは間違いないと断言しておく。逆には若い人にはちょっと辛いかもしれない。おかしな例えだが,日経の「私の履歴書」を音楽で再構築したような作品と解釈すれば,「私の履歴書」に必ず目を通す読者って,やっぱりある程度の年齢層以上だろうというのと重なってしまうのである(ほんまか!?)。

Recorded in December, 2009

Personnel: Charles Lloyd(ts, as, vo), Jason Moran(p), Reuben Rogers(b), Eric Herland(ds, vo)

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コメント

おはようございます。EVAです。
このアルバム良さそうですね。
Charles Lloydは名前を知っている程度ですが、渋いts聴いてみたいです。

なんだか、いっちゃったけど、心配だから、もう一度。。
二個コメントになっていたら、最初を消してね。

>若いバックから精気を吸い取る妖怪Lloydって感じだろうか。

うーーん、、彼の場合は、妖怪って、感じはないですねぇ。
わたし的には、この手の妖怪は、、、エンリコラヴァかなぁ。
彼の場合は、あきらかにこれが当てはまると思いまーーす。

って、真面目に抗議してどうーーすんだ、、なんだけど、、、、
やっぱり、ロイドには、妖怪のイメージはないです。「仙人」ですよ。スゲェ、ストイックだしなぁ。

で、、これはほんとうに味わい深いです。
かけると、しばらくはまってしまうので、、今はかけたくないな。。

メンバーも各人は結構な暴れん坊揃いだったりするのですが、ここではロイドとECMの美学にそった演奏でサポートしてます。でも、それがフラストレーションたまる演奏か、っていうと、全然そんなことなく、、、
これだけの素晴らしいメンバーがほんとうに一生懸命で、レジェンドとの演奏に真剣に向き合ってます。
それが、、また、この盤にひかれる要素でもある気がします。
そう、彼ら目立つことはしてないです。

つうことで、トラバしました。
しかし、これも、あまり話題にならなかったですよねぇ。
山田ベニコ強し。。

EVAさん,こんばんは。

このアルバムはきっとお気に召すと思います(駄目だったらごめんなさい)。この演奏,渋いというか,沁みるんですよね。普通の私だったら,最後の曲に収められているヴォイスなんかには駄目出しをしそうですが,この声さえもがこれまた何とも沁みるんです。何ともいいエピローグにさえ感じさせ,これはいいです。褒め過ぎですかね。

すずっくさん,こんばんは。TBありがとうございます。

はい,はい,その通り。妖怪ではなく,仙人の方が適切でしたね。さすがだ。

いずれにしても,私には珍しい星★★★★★。心に沁みますよね。ということで,こちらからもTBさせて頂きます。今晩は是非お楽しみ下さい。私は体調不良で苦しんでいます。

音楽狂様。大丈夫ですか?妖怪にやられたわけじゃ、、、?ないですね。仙人ということで。真夏には合わないかもしれないですが今から冬に向けて活躍しそうです。そういえばヴォイスも全然違和感ありませんでした。トラバさせていただきます。

すずっくさん。ラヴァが妖怪。なんか、もうそうとしか聞こえなくなりそうです(笑)。でもkenさんのところで自分もそんなこと書いちゃいました。共感です。

数えてみて間違いがなければECMは’89年録音の「Fish Out Of Water」から数えて14作目になると思います(共演作も含む)。ちょっと前のことだと思ったら、もう長いんですねえ。

初期の頃にボボ・ステンソンなどの北欧メンバーなどと演奏していたのも個人的にはいいですが、やっぱりこのメンバーのこのアルバムを、っていうのがあって、私も同じ心境でしょうか。

TBさせていただきます。

ki-maさん,TBありがとうございます。

仙人を妖怪と呼んだ罰が当たりましたかね(笑)。ちなみにすずっくさんがRavaを妖怪と呼ぶのは風貌じゃないかと思っていますが...。音楽もですかねぇ。

いずれにしても,これも秋から冬の方が合いますよね。ECMは全体的にそういうところはありますが,これから年末にかけて,結構聞く回数が増えそうな気がします。

ということでこちらからもTBさせて頂きます。

910さん,こんばんは。TBありがとうございます。

そうですか。もう20年以上もECM専属になってしまうんですね。月日の経つのは早いものです。何だかんだと言って私もLloydのECM作はほとんど購入しているはずですが,Brad Mehldau参加の2作を除けば,愛聴するところまではいっていませんでした。

しかし,これは違いますね。私にとっては突き抜けたって感じです。それにしても,私,本作を異様に高く評価してますね。でも本当に言いと思ってしまいまいた。

>すずっくさんがRavaを妖怪と呼ぶのは風貌じゃないかと思っていますが...。音楽もですかねぇ。

もちろん、風貌もなのですが、風貌だけなら、、ロイドにも、、資格がありそうです。(笑)
若い人たちとやったときの演奏の感じですよ。
まさに、ラヴァって、相手のエネルギー、その他をダイレクトに演奏に跳ね返してる感じがすんです。あくまで、個人的な感じだけどネーー。

すずっくさん,こんにちは。

なるほどねぇ。でもその個人的な感覚って重要ですね。直情的な私は,もっと単純に考えてしまいますが(笑)。

中年音楽狂さん、日本に戻られましたか。
お疲れ様です。
昔ロイドに入れあげる世代のため、その後のECMはほとんど聞いていませんでした。
評判がよいので久しぶりにきいて、とても楽しくすごせました、というよりもう少し時間を省みてしまいました。

>思うに,本作はLloydが72歳にして到達した境地を>ストレートに打ち出したものではないかと思えるの>である。

そこに、同じような年月を経たこちらも、まるでミラーの間にいるような不思議な感覚をおぼえたのです。

monakaさん,こんにちは。TBありがとうございました。

私はLloydのECMのアルバムはほとんど所有していると思いますが,本作はその中でも屈指の出来と思いました。レパートリーとしては懐古的なんでしょうが,演奏には懐古的なノスタルジーというよりも,一本筋が通った姿勢が感じられました。私は「枯淡」という言葉を記事では使いましたが,ちょっと違ったかなぁと今にして思っています。

帰国は木曜日になりますが,仕事はほぼ完了です。帰国後にTBさせて頂きます。

この盤も、皆さんの評判を知っていながら、さらに慎重な吟味の上と、かな~り遅れて入手しています。
が、枯淡かもしれませんが、さすがに圧巻の圧倒される演奏は素晴らしいモノがありました。

と、皆さんが絶賛してれば、慎重になる必要ないのですが、懐具合と相談しながらになってしまうのが悲しいところであります。

TB(すいません、入っていないようです。)ありがとうございます。逆TBさせていただきます。

oza。さん,TBありがとうございました。また,こちらからのTB未着申し訳ありません。リトライ致しましたが,今回はうまくいったようです(と思います)。

このアルバムは本当に素晴らしかったです。私の想定をはるかに越えていました。やはりバックのメンツもいいことも好影響でしょうね。それにしてもJonathan Kreisberg,早いですねぇ。私は3月を待っている状態です。記事を拝見してますます聞きたくなりました。

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