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2010年10月31日 (日)

追悼,野沢那智

野沢那智が亡くなったそうである。私の年代であれば,ナチチャコ・パック(金パ)のお世話になった人も多いはずである。私は浪人中の生活を東京で送ったが,本当にその時は毎週欠かさず聞いていたのも懐かしい。もちろん,声優としても多くの吹替えをこなして,お馴染みの声だっただけに,惜しい人をなくしたと言わざるをえない。

R.I.P.

Nicholas Folmer:これまたようやく入手,そして燃えてしまった私

Off_the_beaten_tracks "Off the Beaten Tracks Vol. 1" Nicholas Folmer Meets Bob Mintzer(Cristal)

国内で注文しても全然入荷しなかったこのアルバム,しびれをきらしてフランスに注文したら,あっという間に到着である。もしかして,特急便でオーダーしてしまったのか?そう言えば,配送料がCDより高かったのはそのせいだったのだろうか。だとすれば大失敗だが,音の方は大成功である。

私はどうもフランスのミュージシャンに対して偏見があるのかもしれないが,同じラテン系でもイタリアのミュージシャンとフランスのミュージシャンでは,その音楽性に大きな違いがあるように思える。しかし,このNicholas Folmerという人,初めて聞いたが相当熱い。ある意味でこれには驚いてしまったとともに,最初から燃えてしまったではないか。フランスにもいるのねぇ,こういう人,と妙な感心の仕方をする私である。そもそも,正直言って私は共演のBob Mintzerって相性があまり良くないのだが,この演奏なら全く問題なしである。

このアルバムはちょっと変わった構成になっていて,Nicholas Folmer QuartetにBob Mintzerがゲストとして加わった曲が6曲,Mintzer QuartetにFolmerが加わったものが2曲なのだが,大方のリスナーの注目は前者に向かうはずである。何てたってピアノを弾いているのがAntonio Faraoである。まぁ,これで燃えないはずはないのである。しかもドラムスはBenjamin Henocqだし...。だが,Bob Mintzer Quartet + Nicholas Folmerも同じようにいいのだ。特に"Bop Boy"は同じように燃える。以前MintzerがSteve Kuhnと吹き込んだ同曲より,ずっとこっちの方がよいように思えるのだが,気のせいだろうか?これは明らかにNicholas Folmerが持ち込んだケミストリーのように感じてしまうのである。

私がBob Mintzerと相性が悪いというのは上述の通りだが,それがなぜなのかはよくわからないが,どうもフレージングのせいのようでもあり,音色のせいのようでもあり,はっきりしないのだが,何となく苦手なのである。しかし,ここでの冒頭のタイトル・トラックにおけるMintzerを聞いたら,これが本当にMintzerなのかと思わせるような出来。その後に出てくるFolmerのラッパもナイスなフレーズ連発で,まずこれで盛り上がってしまう。その背後で激しく煽るリズム隊もいいねぇ。これを生で見ていたらもっと激しく燃えてしまっただろうなぁ。この1曲を聞いただけで,このアルバムは相当に私の心をヒットしてしまったわけである。その後も全編を通して,これは出来がよいと感じさせる快演の連続で嬉しくなってしまう。勢いだけでなく,スローダウンするところはスローダウンして,ちゃんと曲目としてもバランスが取れているのもよい。

まぁオリジナル曲の出来が全部いいかと言えば,そんなことはないと思うが,それでもそういうことには目をつぶってでも,アドリブの楽しさを満喫できると言ってよいのではないかと思う。星★★★★☆。これならVol.2が出ても買うな。その時はもう少し日本国内の流通に目配りをして欲しいものである。

尚,YouTubeにはこの時のライブの模様の映像も上がっていたので,コピペしてしまおう。でも音の熱さでは明らかにCDの勝ち...。

Recorded Live at the Duc des Lombards on July 17, 18 & 23, 2009

Personnel: Nicolas Folmer(tp), Bob Mintzer(ts), Antonio Farao(p), Phil Markowitz(p), Jérôme Regard(b), Jay Anderson(b), Benjamin Henocq(ds), John Riley(ds)

2010年10月30日 (土)

ようやくゲットした"The Complete John Willimas on EmArcy"

John_williams_front "The Complete John Williams Trio on EmArcy" John Williams (EmArcy)

長年,探していたLPに出会ってしまった。これは日本フォノグラムが2枚組としてリリースしたアルバムなのだが,ついつい買いそびれていたものを本当に長年探していたのである。それを,先日ふらっと立ち寄った中古盤屋で見つけた時には,まさに小躍りした私である。

私はこのEmArcyのJohn Williamsが好きで,オリジナル盤さえゲットしてしまったほどなのだが(こちらの写真はオリジナル12インチ盤のもので,私が今回ゲットしたものとはちょっと異なるが,そちらのイメージは全くネット上でも見つからない。ついでにオリジナル盤に関する記事はこちら),実はその2枚組が見つからないがゆえにオリジナルを買ったようなものなのである。これも変な話と言えばその通りだが,実は私が本当に欲しかったのは,国内盤2枚組の方だったのである。

このLPが出たのはいつだったか思い出せない(多分1985年頃ではないか?)のだが,買い逃したと思った時にはもう入手が難しい状態になっていたので,本当に時間が掛かってしまった。このアルバムは,ジャケはコーティングされているので全く問題ないが,ゲイトフォールドの内側は若干しみがでている。それでも,盤面はほとんど聞いていないのではないかと思えるほど綺麗なもので,これで\2,280ならもうけもの,と言うよりも,もっと高くても間違いなく買っていた。

いや~,それにしても全然期待していないところ(と言いながら,頭文字"J"のコーナーはきっちり漁っていた私...)での突然の出会い。何とも言えぬプチ幸せ感(プチではなく,今回の場合は「グラン」幸せかもなぁ...)を味わった私である。あとには残る探索盤は,ECMレーベルのKenny Kirkland入り"Miroslav Vitous Group"のドイツ盤の美品ぐらいかもしれない。とか何とか言って,高田馬場マイルストーンにお邪魔するたびに,何らかの中古のオリジナル盤をゲットしては悦に入っているのだから,LPを買うのをやめるわけでは全然ないのだが(爆)。これでまた家人の顰蹙確実である。まぁいいや。だって欲しかったんだも~ん。

2010年10月29日 (金)

Dave Douglas Keystoneのピアニストによるソロ・アルバム

Long_gone "Long Gone" Adam Benjamin(Kind of Blue)

私にとってAdam Benjaminと言えば,あのDave Douglas Keystoneのってことになってしまうのだが,これは彼の初リーダー作らしいが,なんとピアノ・ソロである。その後,2作のリーダー作を発表しているようだが,片やPowerBookとMIDIで作られたようなけったいな実験作,最新作はまたまたソロ・ピアノとなんだかよくわからない人である。しかし,Keystoneで聞かせるRhodesの響きは素晴らしい人なので,試しに購入してみた。

このアルバムを聞いていると,まぁコンテンポラリーなピアニストだなぁと思わせ,決して典型的ジャズ・ピアノという感じではない。それは選曲にも表れていて,Beach Boysというか,"Pet Sounds"からBrian Wilson作"Don't Talk(Put Your Head on My Shoulder)"が入っていたり,Tears for Fearsの"Head over Heels"が入っていたりと,このあたりはBrad Mehldauがロック・チューンをアダプテーションするような感覚と似ているかもしれないと思ったら,Mehldauの"Resignation"もやっているではないか。そのほかにMethenyの"Rejoicing"から"Story from a Stranger"なんかもやっている。そう言えば,トラッドの"He's Gone Away"もHaden~Methenyのレパートリーだしなぁ。そのほかにColtraneやらMonkやらOrnetteやらと,一体この人の頭の中はどうなっているのかと思わせるような選曲である。まぁ好きな音楽をやったってことだろうが...。

冒頭は"Giant Steps"からスタートするのだが,何ともミニマル的な展開でまずびっくりさせてくれる。これは一筋縄ではいかんと思わせるのである。その一方で,"Resignation"ではMehldau的左手,"Willow Weep for Me"ではストライド的な展開を聞かせたりして,多才なのはよくわかるんだけど,どうもKeystoneでのBenjaminを期待する私のようなリスナーにはかなり微妙である。正直言ってしまうと,一貫性がないのだ。どうせなら,KeystoneみたいにもっとRhodesをうまく使った演奏をして欲しいなぁと思っていると,最後の最後に,Benjamin作のタイトル・トラックでそんな感覚が現れるに留まるというのはどうにも惜しいような気がする。

繰り返しになるが,この人の多才さについてはよくわかるとしても,アルバムとしてはう~むと首を傾げざるを得ない出来なのである。まぁ一言で言えば分裂症気味な感覚ってところかもしれない。やはりこの人については,Dave Douglas Keystoneで聞くのが一番だと思わせるようなアルバムであった。ちょっと辛めかもしれないが星★★。

Recorded in April, 2007

Personnel: Adam Benjamin(p, rhodes)

2010年10月28日 (木)

廃盤だった理由がわかった"Greenwich Mean"

Greenwich_mean"Greenwich Mean" Wayne Krantz(自主制作)

ダウンロード・オンリーで再発となった本作を一昨日紹介した後,ダウンロードしたのだが,無茶苦茶時間が掛かって,途中で寝てしまったではないか。何ゆえのスピードの遅さだったかはよくわからないが,ちょっと時間が掛かり過ぎである。しかもMP3なのに150MBってのは重いよなぁ。

それはさておきである。このアルバムを初めて聞いてみたわけだが,なぜこれが廃盤になるのかがよくわかった気がした。なぜならば,これは55 Barで録音されたWayne Krantzトリオの演奏のフラグメントに過ぎないからである。だから1曲当たりの演奏時間も短い,と言うよりもインプロヴィゼーションの中で展開されるパターン・チェンジを拾い出したもの,即ち演奏の断片集と言ってもよいかもしれないのである。だから,曲名なんて後から適当につけたに違いないと思わせるし,編集もお世辞にもよいとは言えず,無音部が続いたり,おかしな感じがあるから,これじゃ商品としては厳しかろうということになる。また,録音も何回かの中からテイクを選んでいるはずなので,雰囲気が違うと感じさせる部分もある。

だが,このメンツによる演奏であれば,タイトで変態的な演奏が楽しめることは間違いないのだが,私ならこれを聞くならほかのアルバムを聞くわって程度のものである。実のところ,私はこのアルバムをiPodで聞いた後,Krantzの55 Barでのライブのダウンロード音源を聞いたのだが,圧倒的にそっちの方が私にとっては気持ちよいものだった。結局のところ,編集のまずさも手伝って,本作では聞いていても音楽にのめり込めない,あるいは落ち着かないことによるフラストレーションが高まるのである。

まぁ円高のおかげもあって,800円程度でダウンロードできるのだから文句はないとは言え,やっぱりこれはほかのKrantzの自主制作盤と比べてもちょっとなぁ...と言わざるをえないだろう。こういうのも聞きたくなるのをファンの弱みと言ってもよいかもしれないが,間違いなく言えるのは,Krantzを聞きたいのであれば,これでなくてもほかにあるというのが正直なところである。好き者はKrantzのサイトへなんて書いたが,まぁこれは好き者限定としておいた方がいいように思う。ということで星★★★。

Recorded Live at the 55 Bar in NYC in 1997 & 1998

Personnel: Wayne Krantz(g), Tim Lefebvre(b), Will Lee(b), Keith Carlock(ds)

2010年10月27日 (水)

ブログ界で話題沸騰? Avishai Cohenを聞いた。

Avishai_cohen"Avishai Cohen Introducing Triveni" Avishai Cohen(Anzic)

ブログのお知り合いの皆さんがこぞって取り上げられているアルバムである。名前や存在こそ認知すれども,実は音としてAvishai Cohenを聞くのはこれが初めてである。すずっくさんは私が絶対買っているはずだとおっしゃっていたが,実は私がこのアルバムを購入したのは,そのすずっくさんの記事を拝見した後のことである。はっきり言って,それまではこのCohenという人に全く興味がなかったのだ(爆)。ということで,めでたく(?)私にとっての初Cohenとなった。ちなみにベースのAvishai Cohenの方は,Brad Mehldauが1曲だけ参加している"Adama"(及びChick Corea Originのアルバム)をMehldauコンプリートのためだけに保有しているようなものであるから,ミュージシャンの興味としては同姓同名でも大差ない。

それで,このアルバムを聞いてみたのだが,最初に聞いたときは全くピンとこない。2回目もこれまたピンとこない。ようやく何となく感覚が合ってきたのは4回目ぐらいだっただろうか。私がこの編成に期待したのは,ラッパの力を前面に打ち出すような演奏だったからかもしれないが,何度聞いても感じるのは,この演奏が持つルースな感覚である。それは決して悪いことではないのだが,このアルバムはリラクゼーションを与えようというものではないはずだ。そうした点と演奏の整合性が今ひとつ感じられないところが,おそらくは私の持つ違和感の根源的な要因であろう。よって,常に私がいいねぇ~と思ってしまうのは"October 25th"のような演奏であって,その他の演奏にもこの曲が持つようなテンションがあればと思ってしまうのである。

もちろん,悪い演奏だとは思わない。三者の実力は十分に感じられるが,それでもこの編成で"You'd Be So Nice to Come Home to"はないんじゃないのと思ってしまう。私自身はCohenの演奏は初めてであるから,この人の本質がどこにあるかはわからない。それでも,やはりこの編成は,より自由度が高く,かつよりアグレッシブな演奏ができるはずではなかったのかと思わせるのである。

そうは言いながらも,何回も聞いているうちに段々よくなってきているのも事実というのが我ながら微妙なところなのだが,それでも一方では早く"October 25th"にならないかなぁと思っている自分自身を自覚しているところが極めてアンビバレントなのである。よって,私にとってのCohenの初邂逅盤となった本作を以て,次作は無条件に買おうという気にはなっていない。むしろ皆さんが大絶賛の"The Trumpet Player"を買った方がいいかもしれないが,あのジャケはどうしても私の購入意欲をそそらないのである。ということでこのAvisha Cohenという人は,残念ながら私には縁薄い人なのかもしれないと思った次第である。星★★★☆。

Recorded on December 17 & 18, 2010(???)

Personnel: Avishai Cohen(tp), Omer Avital(b), Nasheet Waits(ds)

2010年10月26日 (火)

ダウンロード・オンリーながら"Greenwich Mean"が再発になった

Greenwich_mean"Greenwich Mean" Wayne Krantz(自主制作)

永らく廃盤となっていたWayne Krantzのアルバムが,ダウンロード・オンリーではあるが,ようやく復活した。値段は$9.95だから安いものである。Krantz~Carlock~Lefebvreのコンビネーションはアルバムとしてはここから始まっているはずなので,私もずっと聞きたくて仕方がなかったのだが,ようやくである。もちろん,中古CDをマーケットプレイスやオークションで探すという手もあったのだが,これに関してはずっと我慢を続けていた。私はどちらかと言うと現物主義なので,本来ならCDでの入手を図りたかったところであるが,まぁこれは聞けるだけでよしとしよう。いずれにしてもめでたいことである。好き者の皆さんは,さっさとKrantzのサイトにアクセスしましょう。

ところで,今月,Wayne KrantzはKeith Carlockと古巣55 Barに出演したようである。ベースはLincoln Goinesというのも興味深いが,てっきり喧嘩別れしたのかと思わせたCarlockとの再共演は見たかったよねぇ。また,Krantz名義で来月にかけて木曜日の出演が2回既にブッキングされている。やっぱりKrantzは55 Barで聞きたい(見たい)よなぁという私のようなファンの声に応えたものなのかもしれない。また,同じ55 Barでは,12月にも
John Escreet,David Binney,Wayne Krantz,Marcus Gilmoreというこれまた興味深いメンツ(本当にベースレスなのか?だとしたら,EscreetはRhodesと書いてあるから,編成はChris Potter Undergroundもどきではないか。)でのギグが予定されていて,またちょくちょく出るのかなぁと期待させてくれるのは嬉しい限り。とは言え,私がNYCに行くチャンスなんて最近はほとんどないが...。

2010年10月25日 (月)

メガ・ブレイク直前のGeorge Benson

Benson"In Concert - Carnegie Hall" George Benson(CTI)

George Bensonがメガ・ヒットを放ってブレイクしたのは"Breezin'"であることに異論のある人はいないだろうが,そのちょっと前にリリースしたのがこのアルバムである。メガ・ブレイクはしていなくても,あのカーネギー・ホールでライブをやるぐらいだから,ある程度のポピュラリティを確保していたことは間違いないが,このアルバムを聞くと,もはや"Breezin'"の方向に行くであろうことは容易に予想させるような演奏を展開しているではないか。

実は私はこのアルバムに収録されている"Summertime"についてはなぜか45RPMの30㎝シングルとして発売されたものをその昔聞いていた(そちらのバージョンには「ツァラトゥストラ」のようなブラスが入っていたような記憶があるのだが,どうだったかなぁ)し,"Anthology"にも収録されていた演奏を聞いて懐かしがっていたのだが,本作をアルバムとして聞くのはそれから30年以上経った今回が初めてのことである。よって,今回,本作を聞いてみて,「へぇ~,そうだったんだ~」という感覚もあるが,まだまだギタリストが本業で,ヴォーカリストは副業状態のBensonが楽しめる。

もちろん,CTIレーベルなので,心地よいグルーブを感じさせる演奏に仕上がっているが,それでもライブということもあり,Bensonはかなりの弾きっぷりである。唯一のヴォーカル曲(ギターとのユニゾンはほかでも聞けるが...)である"Summertime"は昔からいいのはわかっていたが,そのほかの演奏も結構聞きどころが多い。ジャズ・ファンとしては"Take Five"に注目してしまうのは仕方がないとしても,実はこの"Take Five"がアルバムの中では一番つまらないかもしれないと思わせる出来である。そう感じるのは,ここでの曲の並びがオリジナルと違っているためかもしれない。LP通り,"Gone"からスタートして,"Take Five"になだれ込んでいたら,そんなに気にならなかったかもしれないのだが,ここでは冒頭のメンバー紹介の次にこの曲が来てしまうために,気になってしまうように感じられる。この曲順変更はいかなる理由によるものかはわからないが,ほかの曲よりも"Take Five"はいけていないと私には思えるのである。

また,このアルバム,リズム・セクションが冒頭のアナウンスのメンツとは違うメンバーにところどころで入れ替わったりするのは,ライブとしてはどうも違和感があるので,これはオーバーダビングが行われていると判断してよいだろうが,それでもアルバムを聞く上での妨げにはなっていないので,まぁいいか。

いずれにしても,George Bensonはギタリストとして,本当に大した腕を持っていたのだと確信させるような出来。客演のHubert Lawsがまた雰囲気を盛り上げていて最高である。名盤!っとは言わないが,このグルーブ,やはり気持ちがよいのである。星★★★★。

ところで,私が今回入手したのはMosaicレーベルの傍系,Mosaic Contemporaryのものだったが,どうもこのレーベル,早々と消滅してしまったようである。私はFreddie Hubbardの"Super Blue"等もこのレーベルからの再発を買ったのだが,Mosaicレーベルのカラーとあまりに異なってほとんど認められなかったということだろうか。そのせいかどうかは知らんが,このアルバムも注文からデリバリーまで3カ月を要してしまったのである。でもMosaicの丁寧な仕事ぶりからすると,なくなってしまうのはちょっと惜しいような気もするなぁ。

Recorded Live at Carnegie Hall on January 11, 1975 and Additional Recording in 1976

Personnel: George Benson(g, vo), Ronnie Foster(key), Wayne Dockery(b), Marvin Chappell(ds), Hubert Laws(fl) with Will Lee(b), Steve Gadd(ds), Andy Newmark(ds), Johnny Griggs(perc), Ray Armando(perc)


2010年10月24日 (日)

切って切って切りまくれ~

Photo 「十三人の刺客」('10,東宝)

監督 : 三池崇史

出演 : 役所広司,山田孝之,伊勢谷友介,沢村一樹 ,古田新太,伊原剛志,松方弘樹,平幹二郎,松本幸四郎,稲垣吾郎,市村正親

本日の主題,ギャグではない。実際に映画の中で役所広司が放つセリフなのだが,よくやるわっていうぐらい後半は殺陣の連続で,本当に切って切って切りまくっているではないか。これだけチャンバラを延々と見せられると胸焼けがしそうになるが,こんなにバトル・シーンが延々続くのは「赤壁 Part2」ぐらいではないかと思うぐらい長い。

これまでも何度か書いてきたが,私は米国映画なら西部劇が好きだし,日本映画なら時代劇が結構好きなのだが,今年は時代劇が異常に多いように感じてしまう。今年,私は「必殺剣鳥刺し」を見ているし(記事はこちら),現在も「桜田門外の変」やちょっと毛色は違うが「大奥」,「雷桜」等が上映中というのは一体どうしたことだろうか。一時期,時代劇は衰退したと思われたが,昨今の日本映画の活況とともに復活を遂げたということだろうか。だが,この映画も結局はリメイク。まぁ片岡知恵蔵が主演のオリジナルは見ていないからいいが,世界各国でリメイクばやりで,これもかと思うと何だかなぁ~って感じはしながらも見に行ってきた私である。

端的に言ってしまうと,この映画は前半は控えめな映像を中心に構成し,後半の爆発的な殺陣に持ち込むというパターンであるが,正直言ってかなり殺伐とした感じが強いので,見ていて爽快って感じの映画ではない。中にはえげつないシーンも結構あるし,その辺でそもそもの好き嫌いは分かれるはずである。また,「刺客」役の男優陣も,玉石混交って感じで,どうなのかねぇと思わせる。大体,時代劇に出るには現代的な顔の男優が多過ぎるんじゃないのってのも今イチ気に入らない。

だが,その一方で,ジャニーズ事務所がよく認めたと思えるほど,ここでの稲垣吾郎のヒールぶりが徹底していて笑える(但し演技は...。)し,松本幸四郎や内野聖陽が結構地味な役で出ていて,映画を盛り立てている。そうした要素や,決戦の舞台となる落合宿の仕掛け等を見ていると結構楽しめる。脚本としてはオリジナルとどのように違っているかは知る由もないが,CGを入れたりして,視覚的効果を高めていることは間違いないだろう。だが,それが必ずしも成功しているとは言えないところが微妙なところではある。

結局,いいのか悪いのかわからないような書き方になってしまったが,入場料のもとは取ったと思うものの,繰り返し見たくなることは絶対ない映画である。ということで,私としては星★★★ってところだろう。

それにしても,多作家,三池崇史らしいと言えばその通りだが,本当に何でも撮っちゃう人である。この節操のなさはある意味貴重だが,もう少し腰を据えて映画を撮る年齢ではないのかと思っているのは私だけではあるまい。今のような状態を続ければ,才能の無駄使いと言われること必定であろう。

最後に余談を一つ。私はこの映画での松方弘樹の顔を見ていて,どうしても「トイストーリー」のバズ・ライトイヤーを思い出してしまって,映画を見ている間,松方が出てくると思わずにやにやしていたのだが,それって私だけだろうか?あくまでも何となくなのだが,どうしてもオーバーラップしてしまうのであった。

2010年10月23日 (土)

今日はお休みです

完全に飲み会で飲み過ぎてしまった。記事が書けるような状態ではないので,今日はお休みということで皆さん,ごめんなさい。ちなみに,今日食したのはメキシコ料理だが,何が効いたってサングリアだな。調子に乗って飲んでしまったが,結果がこれではこいつは厳しいや。

2010年10月22日 (金)

Ketil Bjørnstad:相変わらずの穏やかさと美しさ

Ketil_bjornstad_2 "Remembrance" Ketil Bjørnstad(ECM)

このアルバムがリリースされたのは今年の梅雨入り前のことだったと思うのだが,記事にするのに随分と時間が掛かってしまった。しかし,このアルバムを聞いていると,梅雨時や今年のような猛暑の中で聞く音楽ではないように思えてきて,「積んどく」状態にしておいて,逆に正解だったのではないかと思いたくなる。この静謐で穏やかな音楽は,まさに深まりゆく秋や,これからの冬にこそ相応しいように思えるからである。

ここに収められている音楽を聞いていると,どこまでが記譜で,どこからがアドリブなのか分からなくなるような感じである。少なくともBjørnstadのピアノからは,ほとんどアドリブ的なものは感じられない。Brunborgのテナーも熱くなる瞬間は皆無と言ってもよいので,全部記譜されたものだと言われてもそうかもなぁと思ってしまっても仕方がないような演奏である。その中で,異彩を放つと言うか,一人でジャズ的なセンスを放出しているように思わせるのがChristensenのドラムスである。明らかにほかの二人とは違うアプローチである。

だが,ChristensenとBjørnstadは長い付き合いであるし,ここでのChristensenの演奏は意図的なものと言えるのではないかと思える。つまりは静謐な演奏の中に,若干のテンションを持ち込む役割を果たしているのではないだろうか。ピアノとテナーだけを聞いていれば,ヒーリング・ミュージックだと言われても仕方がないような響きの中にスパイスとしてのChristensenがうまく効いていて,かろうじてジャズの領域に踏みとどまったと言えるとともに,静謐でもちゃんと聞ける出来になったと思えるのである。これぞ長年の付き合いによる「あうんの呼吸」ってやつだろうか。そうは言っても,一般的な感覚ではちっともジャズ的に響かないところがECMレーベルらしいと言えばその通りだが...。

いずれにしても,Bjørnstadの美しいピアノはここでも健在であり,本当に安心して聞くことができる。こういう演奏を耳にして,Bjørnstadの旧作も引っ張り出して聞きたくなってしまった私であった。Bjørnstadの音楽は大体どれを取っても美しいものではあるが,これからの季節,しんと静けさを放つ雪国などでこういう音楽を聞くと尚更よさそうである。このあたりが北欧のミュージシャンって感じなんだよなぁと今更ながら思ってしまった。星★★★★。

Recorded in September 2009

Personnel: Ketil Bjørnstad(p), Tore Brunborg(ts), Jon Christensen(ds)

2010年10月21日 (木)

Moutin兄弟参加がキモのピアノ・トリオ盤

Ronnie_lynn_patterson "Music" Ronnie Lynn Patterson(Out Note)

このアルバムは,ブログのお知り合い,oza。さんが取り上げられていて,そちらを拝見して私も購入したものである。リーダーのPattersonには悪いが,このアルバムの狙い目はリズムのMoutin兄弟ということは衆目の一致するところであろう。そうは言いつつRonnie Lynn Pattersonについても,前作"Freedom Fighters"のジャケはいろいろなところで気にはなりつつ,結局買わなかったが,そこにもLouis Moutinが参加しているし,そこでベースを弾いているのはこのブログでもアルバムを取り上げたことがあるStephan Kerecki(記事はこちら)ということで,なかなかいいメンツで吹き込んでいる人とは認めることができるだろう。でも,今回は私もMoutin Reunion Quartetに結構しびれた最強双子リズムだからねぇ。期待するのも当然である。そうは言いつつ,最近になってFrancois MoutinがManhattan Jazz Quintetに参加ってのはなんでやねんと思った人は私だけではあるまい。だが,その一方でSmallsにはAri Hoenig / Jean-Michel Pilc / Francois Moutinなんてバンドで出てるし,一体何を考えとるんじゃとも言いたくなる(でも演奏は聞いてみたい)。

それでもって,このアルバムはモダン・ジャズ・オリジナルを含むジャズ・スタンダード集ということで,Moutin兄弟がピアノ・トリオというフォーマットの中で,どのようにスタンダードを処理するのかが注目されるわけである。

冒頭はいきなりColtrane作"Lazy Bird"で来た。これが結構普通に始まって,これはオーソドックスに演奏するのかと思わせる。途中からPattersonが唸りを上げだして(と言っても,ピアノではなく,声の方),ちょっと唸り過ぎだろうという気もしてくるが,それでもフレージングは結構聞かせる。全編を通して,リリカルなものとドライビングなものがうまい具合にミックスして,非常にバランスの取れたピアノ・トリオ作品になっていて,これは結構評価できるものだと思う。

一点残念なのがMonk作の"Evidence"におけるテーマ部分のトリオによるユニゾンによる展開である。この部分についてはLouis Moutinに花を持たせたって感じであるが,その後に出てくるFrancois Moutinのベース音がいいだけに,こんなアレンジにすることなく,もっと普通にやった方がよかったと思わせる。まぁいろいろな取り組みをしたくなるのもわからないではないが,このメンバーならば,小手先のギミックに頼らなくてもいい演奏ができるだろうと言いたくなってしまった。その辺りがやや小賢しい感じで,私は好きではない。そのあたりが減点対象となって星★★★★。とにかく,この"Evidence"のテーマ部分は私にとってはいただけないのである。

また,Pattersonの唸りははっきり言ってうるさ過ぎ。70~80年代のKeithかっ!と言いたくなるが,絶対カッコよくないんだからやめればいいのにねぇ。ナルシスティックに響いて興をそぐのである。尚,私はまだiPodでしか聞いていないが,真っ当なオーディオ・セットで聞けば,このアルバム,結構音がいいだろうなぁと思わせるものであったことは追記しておく。

Recorded on October 16 & 17, 2009

Personnel: Ronnie Lynn Patterson(p), Francois Moutin(b), Louis Moutin(ds)

2010年10月20日 (水)

これまた懐かしいMarc Jordan

Mannequin "Mannequin" Marc Jordan(Warner Brothers)

これまた懐かしいアルバムである。最近,やけにこういう記事が多いなぁと思いつつ,私も年だから仕方がない(と開き直る)。私はこれをカセット・テープ・ソフトで聞いていた(確か新品ながら二束三文で売っていた)のだが,テープそのものを再生する装置が家からなくなってしまった以上,もはやそれは聞くことがないわけだが,今回SHM-CD紙ジャケで再発されたのを期に,久しぶりの再聴となった。それにしても日本のマーケット,前にも書いたかもしれないが,やれSHM-CDだ,Blu-Specだと言いながら,何でもかんでも紙ジャケにして出してくるのはどうなのよと言いたくもなる。諸外国から見れば,これって異常にマニアックな国民性に映るのではないかと思わざるをえないが,それに騙されるように買っている私のような人間がいるのだから,まぁいいか。しかし,そんな私でもほとんどの場合は敢えて買い直すまではいかないが...(もちろん例外はある)。それはさておき。

このアルバムは,Marc Jordanのファースト・アルバムだが,やはり注目はGary Katzのプロデュースということになってしまうのではないかと思う。Katzと言えばSteely Danということで,ここにはDonald Fagenも参加しているのはおそらくそのつながりだろう。サウンドはと言えば,やはりKatzらしいというか,セッションマンを動員した隙のない演奏の上で,Marc Jordanの結構渋いヴォイスが楽しめるって感じだろうか。Jordanはその後もプロフェッショナル・ライターとしてのキャリアを積んだはずだから,曲作りの才能はそこかしこに感じられる。だが,歌手として見れば,このアルバムも結構いいと思えるのに,チャート・アクションは極めて地味だったというのがちょっと可哀想な気もする。まぁ,AORというにはちょっとJordanの声が渋かったっこともあるかもしれないが,それでも冒頭の"Survivor"の誰が聞いてもLarry Carltonのギターやら,心地よいFagenのRhodesの響きを聞けば,もっと売れて然るべきだっと思えるのである。

まぁ,こうしたアルバムが極東で再発されるということは,価値を認める人はちゃんといるということにしておこう。全く今でも聞いていて心地よいアルバムである。星★★★★。こうなったら,私は未聴だが,評判が更によい"Bleu Desert"も買うか(爆)。

Personnel: Marc Jordan(vo), Jeff Porcaro(ds), Harvey Mason(ds), Lenny Castro(ds), Robert Greenidge(perc), Chuck Rainey(b), Jim Hughart(b), Steve Lukather(g), Dean Parks(g), Larry Carlton(g), Jai Winding(key), Donald Fagen(key), Paul Griffin(key), David Foster(key), David Paich(key), James Newton Howard(key), John Capek(key), Tom Scott(ts), Ron Holloway(ts), Clydie King(vo), Brenda Russel(vo), Tim Scmidt(vo), J. D. Souther(vo), Biblical Gospel Singers(vo)

2010年10月19日 (火)

やっぱり買ってしまった赤青盤

Photo "1962-1966"/"1967-1970" The Beatles(Apple)

10/18,世界同時発売と予告されていたThe Beatlesの「赤盤」,「青盤」でお馴染みのベスト盤が発売日を迎えた。私はリマスター・ボックスも買ったクチだから,正直なところ,敢えてこれって買わなくてもいいじゃんという気がしていた。だが,私が洋楽を聞き始めた頃にThe Beatlesに触れたのはほぼこの2セットに収められた曲が中心だったということもあったし,やはりこの曲順が重要なのだという気もしてきて,結局買ってしまった。まぁ結構安かったから許すが,こういうのを家人は無駄遣いと言うのだろう。

Photo_2 まだ買ってきたばかりだから,音の方は未聴だが,ライナーも丁寧に作ってあるし,ちゃんと歌詞もついていて,これだけでも納得してしまう私である。朝の通勤電車では暫くこれをiPodで聞くことになるのだろうが,結局,さまざまなThe Beatles関連のアルバムが発売される毎にせっせと買ってしまう私は,今でも彼らの呪縛から脱することができないんだろうなぁなんて大袈裟に言うこともできれば,いつまで経っても結局は好きなのよん,あるいは忘れられないのよんと開き直ることもできるような気がする。いずれにしても,出るものはみんな聞きたくなるのである。

私としては,リアルタイムで彼らを聞いた記憶があるのが"Hey Jude"であるから,当然,青盤の方に愛着はあるが,赤盤とてナイスな曲揃いではないか。しかも赤盤の方は1曲が2分余りの曲がほとんど(赤盤で3分を越えるのは"Ticket to Ride"だけである)ってところに時代を感じさせるが,ちゃんとそんな短い時間でも,私の記憶に完全なまでに擦り込まれたいることに,つくづく彼らの素晴らしさを感じざるをえない。

今,The Beatlesを聞いていること自体が完全なノスタルジーだと言ってもいいのだろうが,ここに収められた曲順で,彼らの偉業を再度見つめ直すということも,私のような中年にとってはきっと楽しいことだろうし,若い世代にも今なお訴えるものを持っていると信じたい。「懐メロ」と揶揄されようが結構。でも何年経っても曲の歌詞を覚えていて,ほとんど歌えるってのは幸せなことである。こんなバンド,歌手はそうそういないだろう,若者諸君。

このアルバムの選曲をしたのはGeorge Harrisonらしいが,彼の審美眼(誰が選んでもこうなるって考え方もあるかもしれないが,それはこれを聞いてしまっているからそう思うだけだ)と,曲の並べ方だけでも星★★★★★。これを聞いていると,また彼らのアルバム単位で聞きたくなって,ますますほかの新譜を聞いている暇がなくなるな(爆)。それでもいいや。やっぱりこれって最高でしょ。

2010年10月18日 (月)

悩みに悩んで結局買ってしまったSantana

Santana_guitar_heaven"Guitar Heaven: The Greatest Guitar Classics of All Time" Santana(Arista)

私は何だかんだ言ってSantanaが好きなのだが,このアルバムばかりは買うのを相当躊躇していた。このアルバム・アートを初めてネット上で見た時はブートレッグと思ってしまったぐらいのいけてなさだし,更に企画が有名ギター・チューンのカバーとなっては,最近のSantanaのアルバムがゲストを多数迎えて賑々しくアルバムを作るのが通例となりつつあるとは言え,さすがに安易に感じられたからである。よって,実は発売されてから買うまではちょっと時間が掛かっている。だが,ショップでこれを大音量で聞かされてしまっては,そんなもん,どうでもええわという気持ちになってしまったのだ。だってみんな懐かしいんだもんなぁ。これって絶対反則だ。

このアルバムに対して,難しい理屈をこねようと思えば何とでも言える。だが,私のような中年が反応せざるをえないような曲がてんこ盛りでは,気持ちがどうこうではなく,体が反応してしまったのである。だって,Zep,Stones,Cream,Beatles,デフレパ,AC/DC,Doors,Purple,Van Halen,T.Rex,ジミヘン,Jeff Beck Groupですぜ。これが店内で大音量でプレイバックされていて,無視しろってのはやはり無理な相談であった。

もちろん,このアルバムをもろ手を挙げて大絶賛ってことには絶対ならないし,これってSantanaと合っとらんやろって曲もあるのだが,それでもどんな曲でもフレーズはSantanaじゃん!と笑いながら聞いていると結構楽しいのである。ということで,おじさんの私としては相応に楽しめたので甘いと知りつつ星★★★★。もちろん,昔のSantanaと同質と考えてはならないのだが,還暦を過ぎてもロックしまくる爺さんには感心してしまった私である。私もかくありたいねぇ。

ゲストについては私にとっては「誰っ?」って感じで,よくわからん人もいるが,バックを支えるリズムがBenny RietveldにDennis Chambersってのには驚いた。特になんでデニチェンがSantanaバンドで叩いているんだと思ってしまうが,これだけのロック・チューンにはデニチェンのヘビー級ドラムスが貢献しているとしておこう。まぁ輸入盤なら結構安く買えるし,おじさん,おばさんのロック好きにはそれなりに受けるだろう。でも相当うるさいよ。やる気のでない月曜の朝の通勤時間にはもってこいかなぁ(爆)。いずれにしても,皆さん,大笑いしながら聞きましょう!

Personnel: Carlos Santana(g), Dennis Chambers(ds), Tommy Anthony(g), Benny Rietveld(b), Karl Perazzo(perc), Raul Rekow(perc), Freddie Ravel(p, key) with Rob Thomas(vo), Yo-Yo Ma(cello), India Arie(vo), Chris Daugherty(vo), NAS(vo), Chester Bennington(vo), Ray Manzarek(org), Jacoby Shaddix(vo), Pat Monahan(vo), Gavin Rossdale(vo), Joe Cocker(vo), Jonny Lang(vo) and others

2010年10月17日 (日)

何とも濃い~曲の組み合わせ:チョン・ミョンフンのフランス・ローカル・リリース

Chung 「春の祭典/展覧会の絵」 チョン・ミョンフン指揮,フランス国立放送フィル(DG)

この曲の組み合わせとチョン・ミョンフンという名前を見れば,食指が動くクラシック・ファンは多いのではないだろうか。と思いつつ,なんでこれがフランスにおけるローカル・リリースなのだろうかと感じるのも事実である。ドイツ・グラモフォンはこうしたローカル・リリースが結構多いようなのだが,なんだかもったいないなぁと感じるのは私だけだろうか。しかし,よくよく演奏を聞いてみると,インターナショナル・リリースでない理由もあるように思えてくるのである。

これは私の思い込みかもしれないが,チョン・ミョンフンはライブ演奏の評価が極めて高く,こうしたダイナミズム溢れるレパートリーも,実はライブの方がはるかに燃えるのではないかと思わせるのである。チョン・ミョンフンの指揮とすれば,ここに収められた演奏もライブの場であればもっと強烈なものになりえたのではないかとも想像されるところに,ちょっと煮え切らないものをおぼえてしまうのである。そうした要素が,ローカル・リリースに留まった理由と言っては言い過ぎかもしれないが,そのように感じられてしまうのである。

しかし,これだけの組み合わせであるから,おかしな演奏にはなっていないし,十分に楽しめるものとは思う。ただ,これらの曲ならば,私はもっと高揚感があってもよかったんではないかと感じるだけなのである。ある意味,高揚感を求めることは,演奏が下品になることと紙一重という気がしないでもないが,「春の祭典」について言えば,どうせならこっちが求めるような激しさで迫ってくるゲルギエフ盤の方が好きかなぁ。じゃあ「展覧会」はどうなのよって話になると,こっちの期待に応えてくれたのってなんだったかなぁと思ってしまう私である。アバド盤は結構好きだった記憶があるが,結局はEL&P版が一番好きとか言ったら,クラシック・ファンにどつかれるかもしれない(爆)。

まぁそれはさておき,このアルバムはなかなか日本にも入ってこないようだから,ご関心のある方は黄色がやけに目立つショップに行きましょう。星★★★☆。

2010年10月16日 (土)

逢坂剛:イベリア・シリーズ第6作である

Photo 「暗殺者の森」 逢坂 剛(講談社)

1999年の「イベリアの雷鳴」から始まった逢坂剛のイベリア・シリーズも第6作となった。本作で舞台は1945年に突入したので,おそらくは次作が最終作かと思わされる。しかし,まぁ足掛け12年とは長いよなぁと思いつつ,私もよく付き合っているものだ。

以前にも書いたが,逢坂剛の作品には出来不出来があって,このシリーズにも面白くないなぁと思わせた作品もあった。しかし,ここまで来ると本シリーズを全部読んできた私としては,やめるわけにはいかないのである。で,この作品はどうだったか。

この作品は非常に登場人物が多いので,私もだんだん頭がぐちゃぐちゃになっていくが,本作は聯合通信ベルリン支局長,尾形正義の露出が非常に大きく,おそらくはそうしたことを念頭に置いて書かれたものと思える。逆に言えば,それがアクション,あるいはサスペンスといったものを軽量化させたかもしれないが,私としてはかなり面白く読めたと思う。悪役は悪役,ヒーローはヒーローというわかりやすい構図は全く変わりないが,比較的ストーリーが地味に見えるところが逆にいいのかもしれない。その中で話を盛り上げるのが,実在の人物も登場するヒトラー暗殺計画「ワルキューレ作戦」である。これはTom Cruise主演で映画にもなったから,結構おなじみの話かもしれない。

この本来のストーリーとは関係ない実話を挿話として挟み込むことによって,ある程度緊張感が高まったかなぁという感覚を受けた。史実とフィクションをうまくミックスさせた逢坂剛の手腕は認めていいとは思う。まぁそうは言っても,その挿話が長いとか批判もあろうし,かなり無理がある展開というのもないわけではないので,もろ手を挙げて誉めるってわけにはいかないが,それでもそこそこおもしろかったから許す。星★★★★。

いずれにしても,上述の通り本シリーズも大詰めと考えられ,あと1作で完結すると思われるが,実は終戦後の姿も描くとあと2冊って可能性もありかなぁ。でもやはりこれはあと1冊だろうな。本作のエピローグでは意外な展開を示しているので,それにどう落とし前をつけるかも期待して,2~3年後の作品のリリースを待つことにしよう。

2010年10月15日 (金)

懐かしのCrosby & Nashのライブ盤

Crosby_nash_2 "Live" Crosby - Nash(MCA)

ずっと買いたいなぁなんて思っていたのだが,つい買いそびれていたアルバムを中古で見つけると,やっぱり買ってしまう私である。こんなことだから,CDの数は膨れ上がり,未聴盤の山の高さも増してくるという悪循環である。しかし,こればっかりは当面治る見込みのない病気のようなものだと開き直ろう(きっぱり)。

このアルバムも実は昔はLPで保有していたものであるが,当時はピンとこなくて売り払った記憶がある。でもなんだか無性に聞きたいなぁと思う時間が長く続くものの,なかなか店頭で見ることがなかったので,すっかり忘れていたところへ中古盤発見である。まぁ値段としても手頃だったのでいいのだが,あとでネットで調べてみたら,新品を更に安い値段で売っているではないか。ちょっとショックだったが,まぁいいや。見つけた時が欲しい時。これは後悔しないための鉄則。

それはさておきである。そもそも私をアメリカ音楽へ誘ったのは以前にも記事にしたことがあるCSN&Yの"4 Way Street"(記事はこちら)である。私の中では,彼らの関わる演奏と言えば,そのアルバムがひな形になってしまうのは仕方がないことである。たとえNeil Youngがいなくても,彼らと言えば,私にとってはCS&Nの三声によるコーラスが基本なのである。だから,このアルバムが以前の私にとってピンとこなかったのはコーラスが二声であることによるハーモニーの厚みのなさであったかのように思える。

そして,久しぶりに聞いてみても,やはりその違和感は同じかなぁって気がしてしまった。バンドは非常にいいメンツを揃えていて,演奏そのものは強力なのだが,何となく気に入らないのである。まぁそれでもLPに入っていなかった曲も2曲追加されているし,結構楽しめるものだったとしても,比較の対象が"4 Way Street"では相手が悪いって感じだろうか。音源としては5か所の演奏が収められているが,そのあたりの違和感はないので,安心して聞けるのは事実であるが,う~む,やはりちょっと微妙だなぁ。そうした中ではアコースティックで演じられるNash作の"Simple Man"なんかがしみるねぇ。私はこういう路線がやはり好きなのかもしれんな。未発表だった"Bittersweet"もいいしねぇ。星★★★☆。

それにしても,ライナーにNYCのセントラル・パークでのライブの模様の写真があるが,はぁ~,あんなところでやっていたのか~と妙な感心の仕方をしてしまった。後ろにThe Plazaが写っているから,本当にセントラル・パークのサウス・エンドに近いところでやっていたということである。これも何ともレトロなというか雰囲気を醸し出しているなぁと思った次第。

Recorded in August and September, 1976

Personnel: David Crosby(vo, g), Graham Nash(vo, g, p), Danny Kortchmar(g), David Lindley(g, vln), Craig Doerge(p, key), Tim Drummond(b), Russ Kunkel(ds)

2010年10月14日 (木)

今日は記事を書く余裕がないので,バックログのご報告。

相変わらずの飲み会続きで,全然記事を書いている余裕がない。ということで,まだレビューしていない作品を羅列して,お茶を濁してしまおう。

Jazz Italiano Live 2009シリーズの諸作,Leonard Cohenの新作ライブ,ECMレーベルの新作いくつか,Crosby & Nashの中古で拾った作品,LPでゲットしてきたBarry Harris,Mike Nock,Dave Douglasの3枚組。そう言えば,Tom Petty & the Heartbreakersも上げていないし,ほかにも新譜,中古入り乱れてバックログ多数である。

いつになったら記事を書けるのか?というより,いつになったら書くのかという方が正しいな。やっぱりこれって,CD買い過ぎだからこうなるんだろうなぁ。そもそも聞いていないものも結構あるんだから,仕方ないか。でもやっぱりまずいよねぇ...。

2010年10月13日 (水)

中古で拾ってきたDavid Murrayはかなりディープだ

David_murray "Lovers" David Murray(DIW)

David Murrayがジャズ・シーンの注目を集め始めたのは1980年代初頭からと言ってよいと思うが,やけにいろいろなところに露出していたように思う。当時のジャズ喫茶でも,やや尖った音が好きな連中がリクエストしたり,持ち込んでいたりしていたように思うが,私はどちらかというと,まだまだ保守的なジャズを好んでいたので,なかなかMurrayまで行きつくことはなかった。例外はJames 'Blood' Ulmerの"Are You Glad to Be in America?"だけだっただろう。そんな私がMurrayのリーダー作として初めて購入したのはBlack Saintから出た"Morning Song"だったと記憶しているが,それとてMurrayとしてはかなりストレートな作品だったことには間違いない。しかし,そのアルバムでも明らかだった通り,Murrayはフリー一辺倒の人ではなく,ちゃんと吹ける人だったということである。

いずれにしても,私がこのブログでMurrayについて取り上げたのは,Randy Westonとのデュオ作(記事はこちら)だけということからも明らかだが,聞いてないわけではないが,レーダー・スクリーンの中央に出てくる人ではないのは事実である。しかし,本作はそのMurrayのバラッド集というのが非常に気になるところであり,大体予想はつきそうなものの,やっぱり聞いてみたいなぁということで中古でのゲットとなった。こんなアルバムは大して売れそうにないのだから,もう少し安くてもよいだろうと思ったが,おそらくはDIWレーベルの多くが廃盤ということもあり,私としては若干高値だったが入手したものである。

それにしても野太いテナーの音である。Murrayのテナーの音で,こんなスピリチュアルな音楽をやられては,それで参ってしまうと言っても過言ではない。とにかくディープなのである。冒頭の"Teardrops for Jimmy"はドラムレスで演奏されるが,逆にドラムレスであることにより,サウンドの深遠さが増しているように思う。この曲ではビートに頼らない分,外の3者の集中力が上がったのではないかと感じさせるような演奏で,ここからして,これはいいと思わせる。"Morning Song"もストレートな演奏でよかったが,私としては出来はこちらの方が上だと感じる。

もちろん,Murrayのことであるから,バラッド集と言っても,強烈なフレーズも時折顔を出すが,それが決してバランスを崩していないところが私は気に入ってしまった。上には「大体予想はつきそう」なんて書いたが,本作は私の予想をはるかに上回る出来であった。こういうのを20年以上聞かずにきたことを情けなく感じたわけだが,それでも今回こうして聞くことができたのはよかった。これなら多少高くても納得するわ。

とは言え,これからジャズを聞こうなんて人には薦められるものではないものの,このディープ・スピリチュアルな世界,はまるとなかなか抜けられないことは間違いあるまい。私が今まで聞いたMurrayの作品では最も好きな作品となった。星★★★★☆。

Recorded in January, 1988

Personnel: David Murray(ts), Dave Burrell(p), Fred Hopkins(b), Ralph Peterson, Jr.(ds)

2010年10月12日 (火)

Steve Khanのモダン・ジャズ曲集

Lets_call_this "Let's Call This" Steve Khan(Polydor)

Steve Khanのアルバムは日本制作で結構作られたのに,今や廃盤状態が多いというのは誠に嘆かわしいことである。以前にも取り上げたベスト・アルバム(記事はこちら)もそうだが,なぜEyewitnessのアルバムが全部廃盤なのだと改めて声を大にして言いたい。本作も日本のポリドール・レーベルの要請により吹き込まれたものだが,これも廃盤のはずである。Eyewitnessほどではないが,結構な値段で取引されることも多いこのアルバムを先日,中古でゲットしてきた。値段は\1,575だか\1,680ってところだったはずなので,私が買う中古としては高い方だな(爆)。ベースが私の嫌いなRon Carterというのはちょっとなぁというところではあるが,それでもやっている曲を見れば,聞きたくなるはずである。今だったら,Kurt Rosenwinkelあたりにこういうコンセプトでのアルバムを作って欲しくなるって感じのモダン・ジャズ曲集である。

全編を通して,Steve Khanらしい音色で演奏が展開されているので,ある意味では淡々としているように聞こえるかもしれない。しかし,これぞSteve Khanの持ち味とも言うべき,浮遊感のある演奏が展開されており,曲がモダン・ジャズ・オリジナルやスタンダードがほとんどだからと言って,古臭さは一切なく,クールでコンテンポラリーな感覚を十分に残しているところがよい。しかも多くの曲がホーン・プレイヤーの曲で,そうしたミュージシャンやその音楽によるKhanへの影響が窺い知れるようなアルバムになっていると思う。

もともと,このアルバムを制作する契機となったデモ音源は,KhanとJay Anderson,Joel Rosenblattというトリオで作られたものらしいが,ポリドール側から「もっと有名なリズムを使え」という要請があり,このメンツに落ち着いたらしい。だが,私としてはKhanが言うところの"Probably my favorite rhythm section"との演奏も聞いてみたかったなぁと思ってしまう。もちろん,売る側と演る側の思いは違って当然だが,ミュージシャンがやりたいようにやらせるというのも制作側としては重要ではないのかとも思ってしまう。まぁそれでもKhanはここでのFosterによるシンバルをベタぼめしているし,Khanは本作のプロデューサーとして出来にはある程度は満足しているのだろう。だから,私が言っているのは単なるファンの我がままってことなのだが,それでもやはり関心があるものは仕方がないとだけ言っておこう。

いずれにしても,ギターをホーンのように捉えれば,これはピアノレス・トリオという形で,ギターの自由度が高まるフォーマットである。そうした構成の中で,Steve Khanは「ジャズ・ギタリスト」としての実力を示すとともに,モダン・ジャズへのシンパシーを明確に打ち出したアルバムと言えるだろう。星★★★★。

Recorded on January 19 & 20, 1991

Personnel: Steve Khan(g), Ron Carter(b), Al Foster(ds)

2010年10月11日 (月)

信じ難いとはこのことだ:Solomon Burke急死

Solomon_burke本来はこれとは別の記事をアップする予定だったが,急遽変更である。一大事なのだ。

私は行くことができなかったが,今年の5月に来日も果たしたSolomon Burkeが亡くなったというニュースは信じられない。私は本サイトではまだアルバムについて書いていなかったが,Burkeが今年リリースした"Nothing's Impossible"はこれぞディープ・ソウルという感じで気持ちよく聞かせてもらっていただけに,このニュースを聞いた時には「嘘やろっ」という反応しか示せなかった。まさしくこうなってしまうと,今年の来日公演を見に行かなかったことを一生悔いることになるが,それにしてもである。

今回,アムステルダムのスキポール空港で死亡が確認されたということだが,実際はLAからアムステルダムへのフライトの途中で亡くなっていたらしい。だが,まだBurkeは70歳。最終作をプロデュースしたWillie Mitchellも今年の1月に亡くなったばかりで,どうしてこういうことになるのか...。

ちゃんとこの人のアルバムをレビューしておかなかった自分の怠慢も悔いた私である。追悼も込めて,できるだけ早い時期に記事をアップしたい。それにしてもなんてこった...。

R.I.P.

2010年10月10日 (日)

ゴスペル色が濃厚になったLizz Wright

Lizz_wright_fellowship "Fellowship" Lizz Wright(Verve Forecast)

私はLizz Wrightの前作"The Orchard"が出たときも結構ベタぼめした(記事はこちら)のだが,彼女の通算第4作となるアルバムが発売になった。彼女の声に惚れこんでしまった私としては当然の行動であるが,今回のアルバムはこれまで以上にゴスペル色が強くなっているのに驚かされた。相変わらずの声の素晴らしさであるが,これでゴスペルを歌われたら思わず信心深くなってしまうとさえ感じる歌唱ぶりである。

もちろん,ゴスペルだけにとどまらず,Clapton,Jimi Hendrix,Gladys Knightなんかのカバーも入っていて,ソウルやロック好きも納得させる選曲のよさは健在。私は彼女がジャズ・ヴォーカルだとは思わないので,今回もカテゴリーに困ったしまったのだが,Cassandra Wilson同様,ジャンルなんてどうでもいいと思わせるような歌い手だであることは間違いない。冒頭のヘビーなファンク(さすがN'Degeocelloと思わせる)から中盤のゴスペルの連打,そしてAngelique Kidjoとの共演をインタールード的に挿入して,Claptonの"Presence of the Lord"という流れもたまらん。そして最後を"Amazing Grace"で締めるというのはちょっとでき過ぎという気がするが,それでもこの人の声の魅力は十分に伝わってくる。

まぁいろいろなタイプの音楽が混在し,更にはゴスペル色が強いこともあり,ややこれまでのアルバムとはタイプが異なるとも言えるし,ややまとまり的にはどうかと思わせる部分もある。それでも,この人が次代のCassandra Wilsonたりうると評価している私にとっては,今回のアルバムも十分に楽しめるものであった。正直に言ってしまえば,前作の方が好きだが,これはこれで星★★★★には十分値すると思う。それにしてもいい声である。

尚,一部でベースを弾いているNic D'AmatoはWayne Krantzと"Nullius in Verba"(記事はこちら)というナイスなハイパー・フュージョン・アルバムを吹き込んでいるが,随分やっている音楽は違うなぁと感じさせられて面白かった。また,このジャケの写真を見て,ちょっと薬師丸ひろ子みたいだと思ったのは,私だけ?だな(爆)。

Personnel: Lizz Wright(vo), Glen Patsche(p, key, org), Me'Shell N'Degeocello(b), Rocky Bryant(ds), Oren Bloedow(g), Joan Wasser(vln, vo), Nic D'Amato(b), Alfredo 'Catfish' Alias(ds), Robin Macatangay(g), Marvin Sewell(g), Fred Walcott(perc), Todd Sickafoose(b), Bernice Johnson Reagon(vo), Toshi Reagon(vo), Kenny Vanks(p, vo), Mimi Jones(b), Angelique Kidjo(vo), Nacho Arimany(perc), Dave Cook(p), Jano Rix(ds), Josette Newsam Marchak(vo) and Others

2010年10月 9日 (土)

初めて接した北欧ジャズのライブ:Lars Jansson

10/7,我が同僚のこやぎさんの放し飼いライブを袖にして(ごめんね,こやぎさん),Lars Janssonのライブを聞きに,六本木STB139に出掛けてきた。現地ではLJ教のエヴァンジェリスト,すずっくさんとご一緒させて頂くという濃い~シチュエーション。欧州ジャズに関しては私はそれほど多くを聞いているわけではなく,ライブに行くこと自体も今まで想定していなかったのだが,人間変われば変わるものである。いずれにしても,今回はUlf Wakeniusのゲスト参加が非常に気になっての参戦であった。

セットリストがないので、はっきりしたことは言えないが,演奏自体は非常に楽しめたと言っておこう。Janssonのピアノはリリカルなだけでなく,時にハードな側面も見せることは彼のこれまでのアルバムでもわかっていたが,さまざまなビートにも対応しうる器用さというの再度実感させてもらった。さすが,Mike Sternとも共演してしまうだけのことはある。間口が広いのである。

今回は,新作がスタンダード中心だったということもあり,そうした選曲も多かったが,時折交えるJanssonのオリジナルがやはり泣かせてくれるもので,素晴らしいメロディストぶりである。"Hope"なんてやはり美しいものである。また,孫のHildaちゃんに捧げる可愛らしい曲を2曲もやってしまって,相当な「ジジバカ」ぶりを発揮していたが,曲も演奏もなかなかよかったので許してしまおう。

一方のUlfである。なぜかソリッド・ギターを弾いていていたが,出てくる音は完全なジャズ・ギターである。私が見ていて思ったのは,この人は超絶的なテクニックを示すわけではないのだが,出てくるフレーズの一つ一つが非常にジャズ的だったということである。ある意味,フレージングそのものの全てがジャズになってしまっているのには感心してしまった私だが,そうしたところにうまさを感じるのである。Oscar Petersonが彼を共演者に選んだのはそういう要素がはっきりしているからではないのかと思わされるほどであった。ACT盤で聞かせるような音楽性とは違う演奏だと思ったが,これもまた,Ulfの本質と判断していいだろう。

また,彼らを支えるリズムも予想以上の好演だったと思う。ドラムスのPaul SvanbergはJanssonの息子だが,ニュアンスには若干乏しい部分もありながら,ソリッドなドラミングを聞かせていた。ブラシも悪くなかったし,結構いいじゃんと思っていた私である。実はライブに行く前には,親子共演というのにやや不安もあったのだが,聞いている最中には全く問題を感じさせなかった。

いずれにしても,初の北欧ジャズのライブとしては,非常に満足度が高く,気持ちよく帰途につくことができた。尚,余談だが,客層が一般的なジャズのライブ(というより私が行くようなライブ)が随分違っていて,美しいレディースが多かったのも驚きであった。耳でも楽しんだが,一方で目の保養にもなった(爆)一夜であった。もちろん,すずっくさんとの濃い~会話も楽しかった。会場でNeil Youngの新作で盛り上がってる私たちって絶対変な人間に見えただろうなぁ。

とまれ,こうなったら早急にLars Janssonの新譜についてもアップしなければなぁ...。

Venue:六本木STB139 on October 7, 2010

Personnel: Lars Jansson(p), Thomas Fonnesbak(b), Paul Svanberg(ds) with Ulf Wakenius(g)

2010年10月 8日 (金)

久々に聞いたPaco De Lucia

Paco"Castro Marin" Paco De Lucia(Philips)

ジャズを聞いている人でPaco De Luciaを聞くのはAl Di Meola絡みで「地中海の舞踏」で聞いたのが初めて,あるいはその後,Super Guitar Trioで聞いたか,更にはChick Coreaとの共演を聞いたって感じだろう。ある意味,Pacoが弾くフラメンコとジャズは全く相容れないようにも思えるが,それをなじませてしまうというか,スリルさえ感じさせてしまうのがPaco De Luciaの凄いところである。Chick Coreaの"Touch Stone"でのPacoなんて本当に凄かったしねぇ。

実はこのアルバム,発売された当時,LPで買ったものの,とうの昔に売り払ってしまっていたのだが,先日中古CDを見つけて,手頃な値段だったので,懐かしくて買ってきてしまった。いずれにしても,聞くのは20年以上ぶりだったと思う。このアルバムは,Super Guitar Trio(と言ってもAl Di Meolaは参加せず,Larry Coryell,John McLaughlin,そしてPaco)が来日したのを機に,日本で録音されたPacoのソロ・アルバムである。そして嬉しいことにCoryellが2曲,McLaughlinが1曲参加しているのが,Pacoには悪いが多くの人にとっては肝ってことになるだろう。

それでもって久しぶりに聞いても,昔と感覚はあまり変わらなかったという感じだろうか。非常に聞きやすいのである。フラメンコという音楽は,踊りが加わるだけで,非常に情念を感じさせる音楽のように思えるのだが,この音楽はそれほど強いエモーションを感じさせないように思えるのである。それが純粋なフラメンコ・ファンには不満に思えるかもしれないところだが,そもそも大してフラメンコに関心がない私のようなリスナーには丁度よいって感じなのである。

そうは言いながらも,Pacoは抜群のテクニックを聞かせるし,トリオで演奏する"Palenque"なんてさすがに分厚い音を聞かせて楽しめる。Super Guitar Trioと言っても,いろいろなメンツの組み合わせがあったが,PacoはここでのCoryellとの"Convite"が非常に気に入っていたなんて話もあって,今やどの組み合わせが一番よかったのかってのはよくわからないが,ここでの3人は,Di Meolaのようなギミックがない分,結構,真面目な感じで相性がよかったんではないかと思えてくるから不思議なものである。もちろん,Di Meolaが「地中海の舞踏」でPacoを引っ張り出していなかったら,そもそもSuper Guitar Trioなんて企画はなかったかもしれないのだから,Di Meolaをないがしろにしてはいかんが,それでも純粋に音楽的な感覚で聞くと,ここでのトリオは悪くない。

まぁ,こういう演奏を聞かされると,自分をギタリストのはしくれと呼ぶこと自体が恥知らずのように思えてくる演奏の数々で,切れ味鋭いPacoのギターを堪能できる。先述のとおり,サウンド的にはやや軽く響くようにも思えるが,私はこれぐらいが好きだなぁ。ってことで星★★★★。

Recorded on December 25, 26 & 27, 1980

Personnel: Paco De Lucia(g), Larry Coryell(g) on 5 & 6, John McLaughlin(g) on 6

2010年10月 7日 (木)

もう止まらない「中年音楽狂が一肌脱ぐ」シリーズ:今日は意表を突いてトロンボーンにしよう

Dial_jj5"Dial J.J.5" J. J. Johnson (Columbia)

「お店に並んでいそうでジャズをこれから聴いてみようかなぁという人にお薦めというのがありましたらご紹介ください。」というリクエストにお応えするシリーズ第4弾。今日は意表を突いてトロンボーンである。トロンボーンという楽器は私は吹いたことがないからわからないが,絶対コントロールやアーティキュレーションが難しいよねぇと思わせる楽器であるがゆえに,ジャズ界広しと言えどもトロンボーンの名人とか名盤というのは相当数が限定的のように思える。

そんな中ではアルバムとしては,TVコマーシャルにも使われた"Five Spot After Dark"が入っているCurtis Fullerの"Blues-ette"が一番メジャーだろうなぁと思いつつ,それはこのブログで既に書いてしまったし,もう少し別のものがあろうということで,このアルバムである。J.J. Johnsonならトロンボーン・チームのJ&Kがあろうがっ!という声もあろう。しかし,私はChris Connerの伴奏以外,そのコンビのアルバムは保有していないのだ。ということで,選択肢は限られるわけである。そもそも,トロンボーン・プレイヤーのリーダー・アルバムって,J.J.とFullerを除けばほとんど保有していないしなぁ...。そういう楽器なのだ,トロンボーンは。

後年,J.J. Johnsonは映画音楽も書いたりして多彩な活動もしながら,亡くなる前にはジャズ・アルバムを結構残したのは,やはりジャズへの愛着が強かったんだろうなんて思うのは私の思い過ごしかもしれないが,まぁそれでもジャズ界の偉人の一人に数えることには何の問題もなかろう。

このアルバムが注目に値するのは,このリズム・セクションがバンドの楽旅中に欧州で吹き込んだ"Overseas"なんて名盤を生んでしまったことにもよるが,逆に言えば,それだけ質の高いメンバーを揃えていたのだから,悪いものが出来上がるわけがない。まぁ全編を通して聞いても,この時代らしい音がどんどん出てくるので,安心して聞ける。Johnsonがなぜ,ベルギー人のJasperをバンドに加える気になったかについてはよくわからんが,Jasperのテナー,フルートはアメリカ的な感覚とは違うところを聞かせて面白い。正しい表現かどうかは別にして非常に「上品」なのである。このアルバムに収められている全体の演奏も,「ゴリゴリ」ではなくて「上品」なのはリーダーのJohnsonの資質であったのかもしれないが,それでもここには曲も演奏も捨てがたいものが揃っている。

例えば,冒頭のJohnsonのオリジナル"Tea Pot"はJohnsonが吹いている間は,ピアノレスのtb~b~dsという構成で演奏されているのだが,この曲をこのテンポでピアノレスで吹き切るのは相当自信がなければできることではない。この冒頭のチャレンジングな取り組みを聞いて,参ってしまうリスナーは多いのではないかと思う。そういう意味でも大いに楽しめる。

しかし,このアルバムはジャズ史を揺るがすような超名盤というものではない。テンションだってそんなに高くないから,悪い意味でなく,気楽に聞けてしまうのである。だが,トロンボーンという楽器にフォーカスしてみれば,私は史上に残るアルバムだと思うのである。
いずれにしても,バックのメンツも好演しているので,難しいこと言いっこなしで,試しに聞いてもらえればと思う。星★★★★☆(それでも星★★★★★にしない私は頑固だな)。Coltrane配下に入る前のElvin Jonesが聞けるだけでもよしとせねば。

Recorded on January 29, 31 and May 14, 1957

Personnel: J.J.Johnson(tb), Bobby Jasper(ts, fl), Tommy Flanagan(p), Wilbur Little(b), Elvin Jones(ds)

2010年10月 6日 (水)

出た!兄貴の新譜だ!!

Le_noise "Le Noise" Neil Young(Reprise)

日本で「兄貴」と言えば,阪神の金本かショーケンと決まっている(と言って,後者は皆さんに通じるのか?!)が,音楽界の兄貴と言えばNeil Youngである。

ブログのお知り合い,とっつぁんさんのサイトで,Daniel Lanoisプロデュースによるこのアルバムの発売予定を知って,リリースの日を待ちわびていた私であるが,先日遂に発売になったところを即ゲットである。Neil YoungとDaniel Lanoisって合うのか合わないのかよくわからない組合せなので,どんな音が出てくるか興味津々だったのだが,一曲目からこれには心底驚いた。このアルバムを聞いて,「弾き語り」のアルバムだと誰が信じられようか。Lanoisによって施されたエフェクト(もちろん,兄貴のディストーションが効いているって話もあるが...)によって,それが極めて「ロック」なアルバムになっているのである。リズムなしでここまでロックを感じさせるというのは凄いことである。

今回のアルバムは,そうした「歪み」が押し出されているので,サウンド面でのインパクトが強過ぎて,曲や演奏に耳が行かない可能性なきにしもあらずだが,よくよく聞いてみると,今回のNeil Youngによる新曲はかなり出来がいいように思えた。更にその背後でかき鳴らされるギターがこれまたいいのである。アコースティックでもエレクトリックでもそれは変わらないが,兄貴のアルバムで,こんないいフレージングは最近聞いたことがあったっけって感じである。

そもそもNeil Youngは多作の人で,やや捉えにくい部分もあるのは事実だが,「グランジの父」としてのNeil Youngの演奏を久々に聞いたような気がする。そういう意味では"Le Noise"というタイトルに嘘偽りはない。しかし,歪んでいても,音楽性は維持されているという意味では,あの轟音盤"Weld"と同様の感慨を抱いてしまった私である。

もちろん,こういう作品である。問題作ではある。フォーク・タッチのNeil Youngこそ兄貴の正しい姿だと思っているリスナーには到底受け入れられまいが,Neil Youngは轟音炸裂こそあるべき姿だと思っているリスナーには快哉を以て受け入れられるに違いない。そのどちらもがNeil Youngの本質の一つだと思っている私のようなリスナーにとっては,非常に面白いと同時に,この人がまだまだ枯れていないということを実証しただけで嬉しくなってしまった。最近のNeil Youngの新作にはどうもピンと来ていなかった私だが,本作におけるLanoisのプロダクションは,Neil Youngに別の光を当てたということで評価してよいと思う。私は大いにこのアルバムをバックアップしたいというところもあり,星★★★★☆。本当にいけている。

Personnel: Neil Young(vo, g), Daniel Lanois(Treatment)

2010年10月 5日 (火)

中年音楽狂の危機:久々のぎっくり腰である

このブログにも私が痛風持ちだということは何度か書いている。最悪だったのはスキー場で発作が出た時だったが,最近は1年半ぐらい発作から解放されていて,気楽に過ごしていたら,今回はぎっくり腰である。

週末に洗濯物を干そうと洗濯かごを持ってベランダに出ようとした瞬間,いやな感じのチクっとした感じが腰のあたりを走り,これはまずいと思った。私はぎっくり腰の経験者でもあるので,そういう感覚は体で覚えているのである。案の定,夜から痛みが増し,体を伸ばしていないと痛くて眠らない状態になってしまった。

朝になって,通勤のため電車で座ったのはいいものの,ぎっくり腰は同じ姿勢を,特に座位を続けるのが一番こたえるのは経験者ならわかることだが,オフィス最寄り駅に近づく頃には,ほとんど動けない(腰が固まってしまっていると言えばいいだろうか)状態になってしまい,立ちあがるのも難儀するという状態であった。とにかく,その格好たるや情けないことこの上ない。やはり最近の体重増がこんなところにも悪影響を及ぼしているらしい。また運動とダイエットを心掛けないと,次は椎間板ヘルニアに発展してしまうおそれありである。

まぁ,私が初めてぎっくり腰をやったときには,立ち上がった瞬間,一歩も前に進めなくなるような状態だったのに比べれば,今回の症状は軽いとは言え,やはり腰は厳しい。初めてのときは会議が終わって,椅子から立ち上がった瞬間,本当に何の前触れもなく「へなへなへな~」となってしまったのである。心底あれには驚いたが,今回はまだ歩けるのは幸いだった。だが,今回もさすが腰はにくづきにかなめと書くだけのことはあると痛感した次第である。

ということで,今日は音楽について語る気には到底なれず。ということで痛み止め飲んでさっさと寝ようっと。

2010年10月 4日 (月)

「中年音楽狂が一肌脱ぐ」シリーズ:今度はWes Montgomeryだ!

Wes_montgomery "Incredible Jazz Guitar of Wes Montgomery" Wes Montgomery(Riverside)

「お店に並んでいそうでジャズをこれから聴いてみようかなぁという人にお薦めというのがありましたらご紹介ください。」というリクエストにお応えするシリーズ,第3弾。今回はギターである。私もギタリストのはしくれだが,Wesのギターを聞いていると,もともとへぼな私の腕とはそもそも出来が違うと思わされてしまい,ギターを弾くのをやめたくなってしまう。Wesは読譜ができなかったらしいが,そんなことはジャズを演奏するということには全く関係がない。まさにタイトルに偽りなし。「驚くべき」で「信じ難い」ギター・サウンドである。個人的にはWesの最高傑作は怒涛の盛り上がりを含めて"Full House"だとは思うが,それに十分比肩しうるアルバムとして,今回は本作を取り上げることにした。

知っている人にとっては常識であるが,記事の趣旨からしてWesの奏法についてちょっと触れておいた方がよいだろう。Wesの奏法の特徴として,ピックを使わない点と,オクターブ奏法が挙げられるが,ピックを使わず,親指の腹の部分で弦をはじくことによって,非常にソフトな音色が得られる。ただでさえ,Gibsonのフルアコの質感溢れる音が,ピックを用いないことで,すぐにWesとわかる音になっていることがまず素晴らしい。次に,オクターブ奏法は1オクターブ離れた2音を同時に鳴らすこと(ユニゾン)によって,特殊なサウンドを得るものである。例えば3弦5フレットのCの音と1弦8フレットのCの音を同時に鳴らすのだが,その時2弦は3弦を押さえる指でミュートして,余計な音を消してしまうという技である。それだけならまぁ私でもできるが,その奏法を維持しながらフレージングを作り出していくとなると,多少はできても,Wesのようなフレーズはとても私には無理である。更にそれを発展させたようなコード奏法まで飛び出すと,まさしく目が点になる。いずれにしてもWesが出てきたときの業界の驚きは想像するに難くない。とにかく凄いのである。こういう特殊な奏法ゆえに普通のギターの構え方では弾けないのも当然で,Wesのビデオ(短い演奏だが,下のYouTube画像参照)を見るとなるほど,こうやって弾いているのかというのがわかる。座ったまま,ギターを若干傾け,右手は親指以外の4本の指でポジションをキープする役割を果たしているように見える。私の場合,カッコだけ真似しても,絶対あの音やフレーズは弾けない(当たり前だ!)。いずれにしてもめくるめくような左手の動きを注視願いたい。

本作はギター+ピアノ・トリオの形態であるが,意図されているのはWesのギターをワン・ホーンに見立てた演奏ということではないかと思う。とにかくWesの技をきっちり捉えるようにプロデュースされているように感じられるのだ。冒頭のSonny Rollins作"Airegin"を聞いただけで,松田優作ではないが,「何じゃこりゃ~!」と叫びたくなる。とにかく冒頭からスリリングな展開である。私の場合は,Wesではこういうスリリングな演奏が好きだが,それに限らず,ブルーズでもバラッドでもOKである。こうした器用さが後のA&Mでのイージーリスニング路線に活きてきたのではないかとも思える。いずれにしても,全編,Wesの技のショーケースと言ってよい。ギターを弾かない人にとっては,よくわからないかもしれないが,少しでもギターを弾いたことがあれば,それがいかに凄いことかが一瞬でわかってもらえるだろう。

だが,Wesが本当に凄いのは,それが決してテクニック至上ではなく,音楽性がそもそも優れていて,技がその音楽性を更に光らせるという点にある。それは,ごく当り前のように弾いているWesの映像を見ればよくわかることだ。ジャズ・ギタリスト数々いれど,後世のミュージシャンへの影響力という点で,Wesを上回る人はいないと言っても過言ではないだろう。Wesのアルバムが全て素晴らしいとは思わないが,当然のことながら本作と"Full House"に関しては星★★★★★以外にありえない。本当に"Incredible"なのである。

Recorded on January 26 & 28, 1960

Personnel: Wes Montgomery(g), Tommy Flanagan(p), Percy Heath(b), Albert Heath(ds)

2010年10月 3日 (日)

「中年音楽狂が一肌脱ぐ」シリーズ(?):今日はStan Getzである。

Stan_getz_plays "Stan Getz Plays" Stan Getz(Verve)

先日,「お店に並んでいそうでジャズをこれから聴いてみようかなぁという人にお薦めというのがありましたらご紹介ください。」というリクエストにお応えしてBill Evansの"You Must Believe in Spring"をご紹介したら,結構「またやれ!」とのお声を頂き(ほんまか?),調子に乗ってシリーズ化しちゃう私も軽いなぁと思いつつ,温故知新は重要だと開き直ってしまおう。ということで,今日はStan Getzである。私が日頃取り上げるアルバムからすると,私のStan Getz好きというのは意外かもしれないが,「人は見掛けによらない」のである。

実はこのアルバムは,2007年に既に取り上げており(記事はこちら),当ブログでは極めて異例の2度目の登場となるのだが,私がGetzのアルバムで最も好きなのがこのアルバムであるがゆえの再登場である。もちろん,"Stan Getz Quartets"でも,"Getz/Gilberto"でも,あるいは"People Time"でも,その他のアルバムでもよいのだが,どれか一枚選べと言われるとこれになってしまう。そういう事情もあるので,前回の記事と若干リダンダントな表現が出てきてもお許し願いたい。同じ人間が書いているのだから当たり前なのだ(とまたも開き直る)。

ここで聞かれる音楽は,昨今の巷のレストランや飲み屋でかかりまくっているハードバップとは全く異なるタイプの音楽(先日はホテルの宴会場でもこの手の音楽が掛っていて,驚いてしまった。)であり,真っ黒けなサウンド,ゴリゴリなサウンドを好むリスナーにとっては魅力に乏しく聞こえるかもしれない。しかし,ここで重要なのは,テナーとは思えないトーンで,溢れだすようなフレージングを披露するGetzの歌心なのである。どうすれば,このようなアドリブができるのか。Getzが大きな人気を博したのはやはりこうした異能のアドリブ能力だったのではないかと思う。ここでもソロイストはほぼGetzだけと言ってもよいぐらいのワンマンショーぶりだが,Duke Jordanのピアノが楚々として聞こえてしまう(前の記事では「刺身のつま」なんてひどいことを書いている!)ほどであるから,このリーダーの力は強烈である。

一曲当たりの演奏時間は短いのだが,そうした短い時間の中でもアドリブを完全なまでに歌わせてしまうStan Getzというのは,やはり凄いテナー・プレイヤーだったと言わざるをえない。優れた短編小説を読むがごとき趣と言えばいいだろう。曲はお馴染みの曲が多いが,本作には"Tis Autumn"なんて曲も入っていて,これからの秋の深まりのシーズンに聞くには最適のアルバムとも言ってよい。それも是非夜のとばりが降りてから聞いてもらいたいアルバムである。こんなアドリブを聞かされたらそれだけで星★★★★★である。こういう演奏を聞くと,これまで多くのジャズを聞いたことがなくとも,ジャズの懐の深さを実感できるはずだ。

また,音楽とは直接関係ないが,このジャケットである。Phil Sternによるこのポートレート(子供はGetzの息子さんで,Getzが右手に持っているのは形状から想像するにマリファナだろう。)って凄く雰囲気があって,これも好きであるがゆえに,重量盤のLPが再発になった際は,それもを買ってしまった私である。しかし通常はCDで聞いているので,LPはプレイバックしたことがない(爆)が,これは音で愛で,ジャケも愛でたいアルバムである。

Recorded on December 12 & 29, 1952

Personnel: Stan Getz(ts), Jimmy Raney(g), Duke Jordan(p), Bill Crow(b), Frank Isola(ds)

2010年10月 2日 (土)

今日はごめんなさいの日...

今日は下期の第一日だから張り切って書こうなんて思っていたが,上期からの飲み疲れと,更には本日さえもクライアント対応が重なり,もうダメだ。ネタもなければ,体力もない。

まぁこういう時もあるということでお許しを。明日はきっちり復活したいものである。

2010年10月 1日 (金)

凄かった大西順子@オーチャードホール

新作「バロック」が物凄い出来だと感じさせたので,やはりその再現ライブは気になっていた私である。先日,やはり行こうと決意して,チケットを取ってみたら,1Fの11列目なんて悪くない席をゲットである。ということで,余計なお世話かもしれないが,客の入りを心配しつつ,仕事帰りにオーチャードへと向かった。でもまぁ客席はほぼいっぱいだったのではないだろうか。それにしても,私は最近はライブ派とは言えないのだが,今月はこれで3本目のライブなんて,本当に珍しいねぇ。

肝腎の演奏だが,オープニングからクロージングまで,まさにアルバム「バロック」で展開された世界が,更なるダイナミズムを持って迫ってきた。さすがにこのメンツである。燃えた。特に私が感心したのがHerlin Rileyのドラムスであった。シャープで素晴らしい切れ味を示していて,バンドを見事にドライブしていたが,あまりに激しくやり過ぎたのか,終盤で演奏された"The Street Beat"で腕がつったらしく,突然,ドラマーに代打登場である。バンド・メンバーがスーツで決めているのに,代打で出てきたおっさんはジャージ姿のようにも見える完全普段着だったが,問題なく演奏を終了した。誰だと思ったら,楽屋に遊びに来ていたTommy Campbellだったようである。突然のアクシデントだったので,演奏の質は多少落ちたのは仕方がないが,それでもまぁ無事に終わって良かったというところである(Rileyは最後の"52nd Street Theme"で無事復帰)。

フロントの3人はそれぞれ個性があって面白く,ノリノリのJames Carterの横で,Nicholas Paytonは直立不動みたいに行儀よく構えているし,その横でWycliffe Gordonはマイペースって感じであった。私としてはJames Carterに最も注目していたが,Carterに限らず,フロントの3人は本当に達者な人たちである。Gordonのトロンボーンなんて,ハイレベルなアーティキュレーションでうまいわ~と思わず唸りそうになってしまった。ソロにスキャットを交える芸達者なところも楽しく,聴衆からも大いに受けていた。Paytonは何でも吹けるねぇという感じで,ハイノートも見事なもの。そしてCarterであるが,やはり3人の中ではアプローチが最もアバンギャルドに近く,激しく吹きまくっていて,見ているだけでも楽しめてしまった。

もちろん,ライブだけにダイナミズムはありながらも,瑕疵がなかったわけではない。美しいバラードである"Flamingo"のエンディングは明らかに乱れ,Paytonのソロがよかっただけにもったいないと思わせた。だが,全体を通して言えば,これほど熱く燃えさせてくれる演奏はなかなか出会えるものではなく,大いに満足した私であった。

しかしである。これだけは言っておかねばならないが,今回のPAは最悪であった。冒頭なんて大西順子のピアノはほとんど聞こえないバランスの悪さを露呈し,かつトランペットとサックス用のマイクはオーバー・エコーで,まるで風呂場で聞いているような感覚を覚えさせ,居心地の悪いこと甚だしかったのはいただけない。Paytonのトランペットなんて極端で,オフ・マイク気味に吹くと,非常にクリアに聞こえるのに,マイクに向かって吹くと,風呂場状態なのである。これがホールの性質なのか,PA担当者の出来が悪いのかはよくわからんが,それにしてもあれはひどい。トロンボーンは比較的まともに聞こえたので,これはPAのセッティングのミスだろう。ベースも最初は完全にボリューム・オーバー気味だったし,せっかくの演奏のよさを台無しにするPAだったと言えるだろう。

だが,演奏そのものとしては確実に記憶に残る一夜になったと言えるだろう。大西順子も疲れ果てたのか,アンコールにも応えないと宣言して退いたが,ここはアルバムのように"Stardust"でも"Memories of You"でもソロで弾いたら,聴衆の大西順子への好感度はもっと上がったと思うけどねぇ...。でもいいライブだったから許す。しかし,PAは許せん。

Personnel: 大西順子(p), Nicholas Payton(tp), James Carter(ts, b-cl, fl), Wycliffe Gordon(tb, vo), Reginald Veal(b), Herman Burney(b), Herlin Riley(ds), Roland Guerrero(perc)

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