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2010年9月25日 (土)

Antonio Sanchez待望の新作

Antonio_sanchez "Live in New York at Jazz Standard" Antonio Sanchez(Cam Jazz)

Antonio Sanchezの初リーダー作が発売されたのは2007年のことであったが,私はその年のベスト盤の一つに選出したぐらい,素晴らしいアルバムであった(記事はこちら)。同作は初リーダー作を祝って,Chick CoreaやPat Methenyも客演したものだったが,久々のSanchezのリーダー作は,ピアノレス・2ホーンのライブというこれまた刺激的だと思わせるようなかたちで登場した。前作に続いて,David Sanchezがテナー,もう1本は前作のChris PotterからMiguel Zenonに交代している。クリポタ不参加は残念だが,ZenonだってDown Beatの表紙も飾る世の中の注目株である。さて,どんな演奏になっているのか。

冒頭から変拍子の不思議な感覚でスタートするが,自由に浮遊するリズムというか,かなり自由度の高い演奏ではあるが,演奏はかなり熱い。コンテンポラリーなジャズ好きはまずこれで膝を乗り出すっていう感じだろう。その後も,全編に渡って相当なレベルの演奏が展開されるており,Sanchezのドラムスのシャープさはもちろんなのだが,ここで瞠目させられるのがMiguel Zenonのアルトのフレージングであろう。この人の実力は相当なものであると聞いた。これまでもどこかで聞いたことがあるようにも思うのだが,これほどの人だとは思わなかった。こんな実力者たちの演奏であれば,悪いはずはないのである。

しかしである。全8曲,約2時間に渡って,この編成を聞かされてはさすがに胸焼けがしそうになるというのも事実である。特にテナーとアルトがパラレルにソロを展開するという同じようなパターンが多過ぎて,ちょっと飽きるという感覚もあった。どうせならもっとストレートなソロのリレーでもよいだろうし,小節交換だってよかったはずであり,この辺がこのアルバムの評価を微妙にしてしまうのである。

この編成で思い出すのは,Jack DeJohnetteのSpecial Editionであるが,あのアルバムに比べれば,本作は正直言ってレベルに相当の違いがあると言わざるをえない。シャープでスリリングではあっても,そもそものテンションが違うため,Special Editionの持つしびれるような感覚はない。本作は注目に値する作品であることは認め,佳作という評価はできても,後世に残りうる傑作だとは思わない。もうひと押しが必要ということで星★★★★。

それにしても,このアルバムが収録されたJazz Standardというクラブ,歴史としてはそれほど長くないし,場所も27丁目のPark & Lexという今までのジャズ・クラブらしくない場所にあるが,Steve Grossmanを出演させたり,Dave DouglasもKeystoneで出演したりと,なかなか面白いプログラムの注目すべきクラブである。Antonio Sanchezは本CD発売記念ライブを先日,こちらでやったみたいだが,その時のフロントはDonny McCaslinとDavid Binneyという,それはそれで面白いメンツだったようである。それでチャージ$20って夢みたいだよなぁ。こういうのを見るとNYCにまた住みたくなってしまう私である。

Recorded Live at Jazz Standard, NYC on June 4 & 5, 2008

Personnel: Antonio Sanchez(ds), Scott Colley(b), Miguel Zenon(as), David Sanchez(ts)

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コメント

このアルバム、ライヴで2枚組ということで、かなり長い時間収録されてますが、彼のやりたいことを表現するとこの時間になってしまった、という感想を持ちました。

あとは聴く人の解釈にゆだねるというか、分かりやすい部分は確かにないので、やはり聴く人の好き嫌いは出てくるかと思います。

個人的にはこのフォーマットでこれだけ聴かせるライヴは最近では他では聴いてないので、けっこう高評価ではありました。

TBさせていただきます。

910さん,こんにちは。TBありがとうございます。

私も評価していないわけではないので星★★★★なんですが,もう少しやり方を変えてもよかったかなぁって感じです。まぁそれでもブログ界ではこのアルバムの受けはきっといいでしょうね。

凄い洞察力と申しますか、聞き込まれ、分析されてますねぇ!
音楽は、観客が居ないと成立しませんし、
聴衆が良い音楽を育てると思います。
Toshiya様のように感性が鋭く、音楽を理解し、
自分の文化として語ることが出来る聴衆がおられること、本当にすごいなぁと驚きます。
ニューヨークに住んでおられたのも、エネルギッシュな生の音楽に浸ることが出来、羨ましい限りです。
ニューヨークの音楽事情など、また教えてください。
突然のコメントで申し訳ありませんでした。

Gonzalesさん,はじめましてですよね。過分なコメントありがとうございます。

私はそれほど分析的な聞き方はしていないとは思いますので,お恥ずかしい限りです。

NYCには学業のために行っていたのですが,実際のところは,ジャズが聞きたいからNYCの学校を選んだようなものです(爆)。しかし,たった2年弱の在米期間中に,一生分ぐらいライブに通ったと言っては大袈裟ですが,自分の中では相当な頻度でライブに行ったなぁと思っています。友人と飲みに行った後,2次会で今はなきBradley'sによく行きましたしねぇ。それぐらい,気楽にライブに行けたのは本当によかったと思います。

いずれにしましても,今後ともよろしくお願い申し上げます。

このアルバムは、個人的には圧倒されっぱなしで、途中ダレる感じもなく一気に聴いてしまったのですが、聴きどころの違いか、読んでなるほどねぇと思っていますです。


TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。

oza。さん,こんばんは。TBありがとうございます。

はい。圧倒的な演奏ではあります。そのことには異議はありません。ただ,ちょっと長いかなって気がしますし,アンサンブルにはもう一工夫,あるいは逆に普通にやった方がよかったんではないかと思っているのも事実です。聞いてから暫くたっても,やっぱりアンビバレントなままですね(笑)。

音楽狂様、こんばんは。この盤、リズムを浴びるのに最高ということに落ち着きました。フロントの二人は熱演には変わりませんがややとっ散らかっている気がしています。でも特にScott Colleyは最高でした。

ki-maさん,こんばんは。TBありがとうございました。

確かにそうですねぇ。リズムを浴びるにはいいと思いますが,一方で音楽はリズムだけで構成されているのではないという複雑な心境でしょうか。サックスは実力者なんですが,そこまで2本でソロを同時にやらなくてもいいでしょって気がしちゃうんです。だからこそ惜しいと思えてなりません。

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