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2010年8月31日 (火)

猛暑に怒涛のECMリリース・ラッシュの中で,Nik Bartschである。

Nikbartsch001 "Llyria" Nik Bartsch's Ronin(ECM)

日本では猛暑が続いていて本当に嫌になってしまうが,ECMレーベルの音楽というのは,そうした暑苦しさとは対極の,どちらかと言えばクールな音楽が多い。しかし,そんな日本の事情は関係ないのか(当たり前だ!),8月に数多くの新譜がECMからリリースされており,Jason Moran入りCharles Lloydや濃い~メンツのMichael Formanek等,注目すべき作品が発売されている。そんな中で,私がいの一番に聞きたいと思ったのがNik BartschのECM第3作となる本作である。

Nik Bartschの音楽は,楽器編成はジャズ的なのだが,やっている音楽はミニマル・ミュージックであり,そうした意味では現代音楽的な要素も強い。しかし,一般的なミニマル・ミュージックよりもファンク色というか,ビートが明確なところがこの人の音楽の特徴である。私はECM第1作の"Stoa"で一発でこの人たちの音楽が好きになり,それ以来,ECM作だけでなく,結構追いかけている。そもそも私はReich等を筆頭とするミニマルも好きなので,こうした音楽を好む傾向は元からあっただろうが,この人たちのいいところはビートをうまく組み合わせたところなのである。実のところ,価格だけ考えれば,デリバリーが遅くなっても,某サイトでの注文でのまとめ買いでの大幅ディスカウントを取ってもよかったのだが,この人たちは少しでも早く聞きたいと思わせるほどの魅力が私にとってはあるのである。 この音楽をジャズのカテゴリーに入れていいのかは悩むというところもあるが,まぁそれはそれということにしておこう。

このアルバムを聞いてまず感じたこと,それは冒頭からミニマルらしからぬ展開である。これには実のところ,非常に驚かされた私である。ミニマル的なのはバックに響くBartschのピアノだけで,あとは普通の演奏のようにも聞こえる。今回のアルバムはどちらかというと,ミニマル色は比較的抑制されているというのが私の感覚である。それでもアルバム後半に推移するに従って,それっぽい音が増えてくるのも事実であるが...。

しかし,そんなことは別にしても,今,こうしたコンテンポラリーなサウンドで,これだけカッコいい音が出せるバンドはそう多くはないように思える。私にとってはDave Douglas & Keystoneと双璧と言ってもよいぐらいである。今回もそのカッコよさは健在というか,どんどん私の心に浸食してくるのである。それは私がこうした音楽を気持ちよいと感じるからだという気もするが,それにしてもやっぱりいいわぁ。こうした音楽は全くECMらしくないという気もするが,この人たちと契約したManfred Eicherの慧眼に最敬礼をしたいと思う。あくまでも私の嗜好にフィットするということで,甘いかもしれないが星★★★★☆。

Recorded in March, 2010

Personnel: Nik Bartsch(p), Sha(as, b-cl), Bjorn Meyer(b), Kaspar Rast(b), Andi Pupato(perc)

2010年8月30日 (月)

出張中に見た映画(10/08編):その2

Iron_man2 「アイアン・マン2 ("Iron Man 2")」('10,米,Paramount)

監督:John Favreau

出演:Robert Downey, Jr.,Gwyness Paltrow,Scarlett Johansson,Micky Rourke,Don Cheadle,Samuel L. Jackson

これは中国からの帰路で見た映画である。

私はこのシリーズの第1作を見ていないので何とも言えないが,さすがアメコミの世界である。徹底的に無茶なアクションが連続していて,ある意味呆れながらも,楽しく見られる。しかも何とも豪華なキャストではないか。悪役に見事「レスラー」で見事な復活を遂げたMicky Rourkeを据えたのもいい(本当に悪そうに見える)が,Scarlett Johanssonまで出ているのにはびっくりしてしまった。しかも相変わらず可愛いしなぁ...。私は"Lost in Translation"の彼女にまいって,DVDも買ってしまったぐらいなのだが,相変わらず美人には弱いのである。Scarlettになら腕ひしぎ逆十字を決められてみたい(爆)。

それはさておき,これだけ荒唐無稽な映画なので,普通の私だったらボロクソにけなす可能性もなきにしもあらずなのだが,この映画,「比較的」シナリオがしっかり作ってあるので,私は結構楽しんでしまった。おそらくは続編(Avengers)への布石も相当に打ってあるので,次があるなら,もっと激しい映画になりそうである。しかし,それは一方では,商売っ気あり過ぎという批判にもつながりかねないが...。登場キャラも多くなり過ぎて,それこそぐちゃぐちゃな話になる可能性もありであるが,それは見てのお楽しみか。もちろん,この映画でも,エピソードはもう少し減らすことができるし,上映時間も短く出来るはずだというのは,最近の映画にありがちな傾向である。

この映画を見ていて,面白いと思ったのは,上院議員に対する皮肉が強烈なことであろうか。日本でなら国会議員をコケにするようなものである。上院議員を演じるGarry Shandlerもそれっぽくて面白かった。

まぁ,所詮はアメコミを原作とする映画なのだから,あまりうだうだ言うのは野暮ってものだろうが,同じアメコミでも「ダークさ」が顕著なバットマン・シリーズとは異なって,カラっとした西海岸的な感覚という感じか。それにしてもStark Expoの会場となるFlushing Meadow Corona Park(地球儀のオブジェがあるところ)は私の在米中のサイクリング・コースだったので思わずノスタルジックな気分になってしまった。星★★★☆。

2010年8月29日 (日)

ありがとうございます。40万PV。

おかげさまで,8/27にこのブログへのアクセス数(ページ・ビュー)が40万を越えたようである。30万PV到達が3月末だったので,約5カ月で10万PVを上乗せしたことになる。しかしよくよく考えてみると,月間2万PVぐらいのアクセスをして頂いているわけで,それだけアクセスを頂いている皆さんに対して,こんな駄文ばかり垂れ流していていいのかと疑問に思うこともしばしば(常に?か...)なのだが,いずれにしても,皆さんのアクセスが私のブログへのモチベーションであり,改めてお越し頂いた皆さんに感謝の意を表したい。引き続きよろしくお願い致します。

しかし,実はそれに大きく貢献しているのが「山田べにこ」だというのが,私としてはちょいと微妙なのだが,記事にするぐらい私も好きなので,まぁいいか(笑)(爆)。

SJがJJに変わっても...

Jazz_japanSwing Journalの休刊からほんの短いインターバルで,SJ編集部を引き継ぐかたちで,Jazz Japan誌が創刊された。私は近年のSJ誌に対して批判的な態度を取ってきたし,購読も2008年の8月を最後にやめてしまった。今回,SJがJJ(本家のJJがジャズ批評を始めたら,それはそれで画期的だが...)に生まれ変わって,どのような変容を遂げるかが多くの人の関心事であったのではないかと思うが,同じ編集部で短期間に変われるなんてことがそもそも無理だろう。そうは言っても予断で判断しては行けないので,私も創刊号を買ってきた。

私としては,特にアルバム・レビューがどのように変わるかが注目の的だったわけだが,最大の違いは星をつけなくなったことだけで,編集方針や内容にはほとんど変わりがないように思う。まぁ輸入盤の紹介に充てるスペースはかなり増えたのはいいことだと思うが,相変わらず批評性には乏しい。私は常々音楽ソフトが全て出来がいいわけはないと思っているし,それが現実だが,少なくともプロの批評家を名乗るのであれば,何が優れていて,何が不足しているのかをもう少しはっきり書いてもいいのではないか。そうでなければ,審美眼を持たないこれからジャズを聞こうという人々の役には立たないだろうし,ジャズの裾野は広げることも難しいのではないのかと思う。

インターネットの時代になって,前身であるSJが,その提灯記事に対して多くの批判を浴びたことを一番よくわかっているはずの編集部は,まだ新しい編集方針を確立するには至っていないとしても,今後,明確なポリシーを打ち出さない限り,雑誌としての存在意義は上がっていかないように思える。記事としても,SJと大して変わり映えがしないというのもいかがなものかという気がする。結局,広告が減って,オーディオの記事がなくなっただけでは,一度購読をやめた私のような読者が戻るということはありえない。ということで,私はご祝儀として創刊号を買ったということにして,このままでは今後買うことはなかろう。これなら輸入盤紹介の立ち読みで十分なのである。やはりDown Beatのようにはなれなかったのねぇ...。

その一方で,同業のジャズ批評誌はその編集方針の転換を画策しているようにも見受けられ,こうしたメディアが今後どうなっていくのか興味深いが,出版界は極めて厳しい状況の中,ジャズ・メディアはどうなるのか暫くは見守りたいと思う。

それにしても,この表紙のPat Methenyの写真は,どうも見た目が気持ち悪いのだが,そう感じているのは私だけだろうか?

2010年8月28日 (土)

Joni Mitchellの本として,かなりいい出来。

Blue_period 「ジョニ・ミッチェルという生き方: ありのままの私を愛して("Will You Take Me As I Am: Joni Mitchell's Blue Period" ミッシェル・マーサー著,中谷みなみ訳(ブルース・インターアクションズ)

私がJoni Mitchellのファンだということは,このブログでも公言しているし,カテゴリーさえ作ってしまっている。そんな私であるから,この本の原書が出た時から,実は非常に気になっていたのであるが,最近は洋書を読む元気もないので見送っていたら,翻訳版も出ていたのを書店で見つけてゲットである。ソフト・カバーで2,310円はちょっと高くないかと言いたくもなるが,まぁ仕方あるまい。そんなに部数がさばけるとも思えないし...。

ということで読み始めたのだが,これが非常によく出来た本で感心してしまった。本作の作者であるMichelle MercerはWayne Shorterの評伝"Footprints"の作者でもあり,取り上げるミュージシャンの趣味がいいねぇと思わせるが,筆力も大したものである。タイトルからするとアルバム"Blue"期の逸話が中心かと思わせるのだが,MercerはBlue Periodを"Blue"から"Hejira(逃避行)"までの時期と定義している。私がJoniの最高傑作と思っている"Hejira"も含めた時期ということなら,これはきっと面白いに違いないと確信した。もちろん,私小説的だと言われる"Blue"時代の話に興味がないわけではないのだが,私には"Hejira"までというのが重要なのである。

そうした中で,数々出てくるJoni Mitchellの逸話が実際かなり面白い。Joniって天才肌なんだろうなぁと思わせるような話ばかりである。恋愛遍歴を創作の力の源泉としているのではないかとさえ思いたくなるが,逆に言うと,それだけ彼女が男を惹き付ける魅力を持っていたということであろう。また,Joniによるさまざまな辛辣なコメントも,ここまで言ってくれると気持ちいいわいと言いたくなるような感じである。JoniがJackson Browneを忌み嫌っているというのも笑えるしなぁ。よくぞここまで話を引き出し,うまくまとめ上げたものだと言いたい。

そして,非常に面白かったのが巻末に添えられた「ジョニの好きなもの・大好きなもの」のリストが輪を掛けて興味深いものであった。いずれにしてもJoni Mitchellのファンであるならば,読んで絶対損はしない。

そうした本だが,これは明らかな誤訳ではないかと思わせるくだりがあったり,人名/固有名詞の表記に気に入らないところがあったりと,その辺りは若干の減点対象にはなるが,それでも十分にもとは取れたと思う。繰り返し読みたくなるような逸話揃いである。星★★★★☆。

2010年8月27日 (金)

出張中に見た映画(10/08編):その1

Trick 「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」('10,東宝)

監督:堤幸彦

出演:仲間由紀恵,阿部 寛,生瀬勝久,野際陽子,松平 健,佐藤 健,夏帆,片瀬那奈 戸田恵子,平泉 成,藤木直人

またまた中国に出張してきた。今回は滞在も短いものであったが,フライトの短さも相変わらずで,見る映画は確実に限定される。2時間を越えるものは少なくともジェット気流に乗ってしまう復路では見ることはほぼ無理である。往路は若干時間にも余裕があるので,もう少し長い映画でもいいかなと思ったのだが,大した映画がないので,今回選んだのが「TRICK」である。

正直言って,この程度の映画を金を出してまで見たいとは思わないが,よくもまぁこれだけナンセンスなギャグを連発するものだと,半ば呆れて見ていた私である。長年続いているシリーズだから,固定のファン層はいるのだろうが,何の思い入れもない私にとっては,まさに時間潰しにしかならない。機内エンタテインメントでつまらない映画を見ると,いつも同じようなことを書いているが,全く毒にも薬にもならないとはこのことである。まぁただだからいいんだけど...。それにしてもくだらない。このナンセンスさ加減,まさに民主党代表選に立候補する小沢一郎,及びその子分たちの言い分と同じようなレベルと言ってしまおう。


こんなものは映画館で見せずとも,TVの2時間スペシャルでいいではないかと思うのは私だけではないはずだが,それにしてもである。無茶苦茶なストーリーの中で,瑣末な小ネタの組み合わせで笑わせようという下心が見え見えで,私などはむしろ寒々しい気分になってしまった。商魂のたくましさだけが目立つとはこのことである。星★。まぁDVDのパッケージに見られるようなレトロスペクティブな感覚を強調したかったのかもしれないが,空振り,それも見事に空を切ったと言っておこう。

ドラマ「新参者」の阿部寛は評価が高かっただけに,このギャップには戸惑うと言わざるをえない。あ~,勿体ない。

2010年8月26日 (木)

やっぱりこれは強烈だ:Liebman対Evan Parker

Relevance"Relevance" Dave Liebman / Evan Parker / Tony Bianco(Red Toucan)

先日もちらっと記事にしたアルバムである。テナーの聖地,新橋Bar D2において聞かせて頂き,一発でまいってしまった作品について,改めて書いてみたい。

このアルバム,演奏も凄いのだが,私にとってちょっと嬉しかったのは,この作品が録音されたThe Vortexという場所に行ったことがあるということで,あのスペースで録音されたのかぁという感慨を覚えることができたからである。私がThe Vortexに行ったのは昨年のロンドン出張時で,その時は John Etheridgeが出ていたのだが,その時の記事にもEvan Parkerも出るらしいなんて書いているではないか(記事はこちら)。そうした事情もあって,このアルバムは何となく嬉しいものであった。

まぁそれはさておき,本作は,英国人Evan Parkerのお膝元に,Liebmanが乗り込んだというかたちだろうが,ライナーにもLiebmanが書いているとおり,共演してみたいミュージシャンリストのトップ近く("Near the Top of the List"と書いているが,ではトップは誰やねん?と突っ込みたくなるが...)にEvan Parkerはいたそうだから,念願の共演ということになるであろう。そうしたLiebmanの心情もこのアルバムの激演の理由の一つと言ってよかろうが,それにしてもこれは強烈である。

完全なフリー・インプロヴィゼーションのアルバムってのは,世の中捜せばいくらでもあるんだろうが,LiebmanがEvan Parkerとやるとなるとやはり話は違ってくるわけで,両者のテナー,ソプラノがTony Biancoの暑苦しいドラムスに乗って,激しく吹奏される様はまさに壮観である。もし私がThe Vortexのようなスペースでこれを聞いていたらどうなっていたのかと想像しただけでも楽しくなってしまう。演奏の質は違うが,私が若い頃,西荻窪「アケタの店」で坂田明トリオを見た時のような状態になっていたかもしれない。あの時は1stセットでの聴衆のノリがイマイチだったので,サークルの先輩と結託して「意図的に」激しく煽ったという気がしないでもないが,このアルバムに収められた演奏ならば,そんなことは絶対不要だっただろうと感じさせられるものである。とにかく激しい,うるさい,そして熱い。Evan Parker(だろう...)の成層圏ソプラノ(Maynard Fergusonかっ!そんなもんあるのか?)も聞けるしなぁ。あんな音を出していたら血管切れるんとちゃうかと思うのは私だけか。

いずれにしても,世の中にフリー・ジャズ・ファンがどのぐらいいるかはわからないが,このアルバムは全フリー・ジャズ・ファン必聴と言ってしまおう。こういうアルバムが出ることだけで星★★★★★とは大げさかもしれない。でもこれはいいのである。もちろん,この手の音楽に耐性がない人は決して手を出してはいけない。しかし,私にとっては暑苦しい時期にフリー・ジャズを聴くのは,真夏のくそ暑いときに辛いカレーやら極辛カルビクッパやらを食べたくなるのと同じようなものなのである(なんのこっちゃ)。

それにしても,上尾の床屋さんがこのレーベルの日本でのディストリビューターになってるってのは凄い事実である。しかも店頭でライブもやっちゃうってこれは大変なことではないか。サイトを見ると,Barre Phillipsをシャンプーしている写真なんかが出ていて,お茶目~って感じである。世の中,凄い人はいるものである。http://members.jcom.home.ne.jp/barberfuji/

Recorded Live at the Vortex, London on January 27, 2008

Personnel: Dave Liebman(ss, ts, bamboo-fl.), Evan Parker(ss, ts), Tony Bianco(ds)

2010年8月25日 (水)

もっと泣くかと思った「トイストーリー3」だが,これはよい。

Toy_story「トイストーリー3("Toy Story 3")」('10,米,Disney/Pixar)

監督:Lee Unkrich

声の出演:唐沢寿明,所ジョージ,辻萬長,松金よね子,永井一郎

私は実を言えば,この映画を見て,もっと泣けるのかと思っていた。よって,家人をこの映画に誘った時も,大泣きしたらどうしようと思って不安だったのである(爆)。しかし,実のところ,私が流した涙の量は大したことがなかった。その意味では,この映画は私の期待を裏切ったのだが,この映画を見た後の,何とも言えない後味のよさは特筆すべきものである。

冒頭のシーンは「Always 続三丁目の夕日」と同様に,このシーンって必要なわけとか思いながら見ていた私だったが,それを別にすれば,色々な意味で楽しませてもらえる映画だったことは間違いない。特に,私が大笑いして家人の顰蹙を買ったのが,バズがスペイン語モードに変わってしまうところだが,それこそ笑いあり,涙あり,冒険ありと非常にバランスが取れた展開だったと言えるだろう。3Dの効果はそれほどではなかったようにも思うが,いまだ発展途上の技術であるから仕方ないとしても,私は視覚的な効果より,この映画はストーリーそのもので評価したいと思うのである。

とにもかくにも後味がよい。こうなるのかぁという展開は,本当に爽やかであり,シリーズとしてきっちり落とし前をつけているし,この映画を見て,嫌いだという人はそうはいるまいと思わせるようなお話,出来なのである。音楽的にもRandy Newmanのスコアだけでなく,挿入されるChicやGary Wrightなんて,中年以上の層を意識したとしか思えない選曲には思わず頬が緩んだ私であった。

いずれにしても,この映画について,ああでもない,こうでもないという話をするのは野暮である。劇場に足を運んで,私が繰り返した「後味のよさ」というのを体感して頂ければと思う。あまりに気分がよかったので,劇場を出た後,スキップしたくなってしまったというのは大嘘だが,そんな気分にさせてくれるようなナイスな映画であった。星★★★★☆。間違いなく,大人も子供も楽しめるが,受けていたのは大人の方だったかもしれないなぁ。

それにしても,オリジナル英語版のキャストって豪華だよなぁと思うが,原語バージョンでもう一度見てみたいような気もする。

2010年8月24日 (火)

泣かせるメロディ満載:Tore Johansen+Steve Swallow

Tore001"I.S." Tore Johansen Feat. Steve Swallow(Inner Ear)

ToreとRogerのJohansen兄弟が立ち上げたノルウェーのInner Earレーベルは,レーベル・カラーや発表する音楽がECMと相通ずるところがあって,私は当初から注目してきた。しかし,このアルバムでレーベル設立から3年目か4年目でまだ7作目とリリースのペースは決して早いとは言えない上に,日本にもなかなか入って来ないという問題があるのは困ったものである。だいたい,商売っ気がないのか,Webサイトも更新がちゃんと行われていないような状態なのである。それでも,このレーベルのアルバムを全部買っている私のような物好きもいるのであるが,そうした私も,カテゴリーにInner Earなんていうのを作っておきながら,これまで取り上げたアルバムは第3作,Vigleik Storaas Trioだけといういい加減ぶりである(記事はこちら)。

そんなInner Earの中では,結構注目を集めそうなメンツのアルバムが発売された。ブログのお知り合い,すずっくさんならメンツを見ただけで,即「買い」というところだろう。何てたって,Johansenのワンホーンを支えるのがLars Jansson,Steve Swallow,Anders Kjellbergなのである。そして,このアルバムで展開されるのが哀愁メロ炸裂の演奏ときては何をか言わんやである。ただでさえトランペットのワンホーンを好む私である。ここで展開されるメロディには思わず「おぉっ!」と声を上げてしまいそうになったではないか(まじ)。Johansenは中音域オンリーのような吹きっぷりであるが,それがある意味,よりクールな印象を与えていて,この手のサウンド好きにはたまらないものとなっている。

このアルバムは北欧らしいというか,「熱」を感じさせない演奏群であるから,ジャズのエネルギッシュな部分を求めてはならないが,ECM的なクールさ,静謐さが魅力的に響く。また,Johansen,Jansson,Swallowが持ち寄ったオリジナルが,非常にこのメンツにフィットしており,まるでレギュラーでやっているようにも思えてしまうのである。もちろん,Swallowのベースに違和感を全くおぼえないわけではないのだが,それでもこの演奏のメランコリックな響きを聞けば許すと思ってしまうのである。そうは言いながら,Janssonのオリジナル"New Room"はJohansen抜きのトリオで演じられるが,これはちょっと微妙かなぁというところ。このメンバーはJohansenのラッパが入って,サウンド的に均衡するように思えるのである。そうした意味では,全編ホーン入りでやる方が正解だったとは思うが,それでもこの手のサウンド好きには楽しめるものだと言える。とにかく曲調がネクラの私にとってはよかったのであった。日本ではInner Earなんてわめいている人間は少数だろうが,もう少しこのレーベル,あるいはこのアルバムに対する注目度が上がってくれることを期待して,半星オマケで星★★★★☆。

ということで,すずっくさん,反応をお待ちしてます~(笑)。

Recorded on June 2, 2009

Personnel: Tore Johansen(tp), Lars Jansson(p), Steve Swallow(el-b), Anders Kjellberg(ds)

2010年8月23日 (月)

無茶苦茶笑える「スーダラ節」&MJコラボ(?)

たまにはこういうネタも。

とにかく,これは見て笑うしかないだろう。どなたかもTwitterでつぶやいていたが,これを電車の中で見なくてよかった。もしこれを電車で見ようものなら,反応(爆笑,含み笑い,その他なんでも...)ぶりに絶対変な奴だと思われていたこと間違いなし。何回見ても爆笑するわ。それにしても,世の中面白いことを考える人がいるものだ。

2010年8月22日 (日)

名曲揃いのStephen Bishopの"Careless"

Careless "Careless" Stephen Bishop(MCA)

非常に懐かしい音源でありながら,アルバムとして聞いたのは今回が初めてかもしれない。買おう,買おうと思いながら買い逃してきたこのアルバム,ついに中古盤で600円ちょっとでゲットである。Stephen Bishopはこのアルバムからの曲も多く収録されたベスト盤や映画"Tootsie"のサウンドトラックで聞いていたから,聞いた気になっていただけなのだが,発売から約35年を経ても,このアルバムの曲の魅力は全く失せていないのが素晴らしい。

Stephen Bishopの場合,SSWというにはサウンドが洗練され過ぎているから,ロックあるいはポップの範疇で捉えるべきだろう(あるいはAORと言い切ってしまってもよい)が,ミュージシャンとしての実力か,あるいはその人柄ゆえか,その人脈の広さはゲスト・ミュージシャンの豪華さに瞠目させられること。このアルバムにしたって,Claptonのギターだけでなく,バックのヴォーカルを務めるのはChaka KhanとArt Garfunkelだしなぁ。しかし,このアルバム,バックを支えるメンツは豪華であるが,その魅力は演奏だけには留まらない。やはり曲の力である。

チャート・アクションとして,一番売れたのは"On And On"だろうが,曲として魅力が最もあるのは"Never Letting Go"ではないかと思う。Phoebe Snowのカバーも懐かしい(そのアルバムも以前取り上げた。記事はこちら)この曲,なんと以前は石川セリもカバーしていたようだ。わかってるねぇ...。それにしてもいい曲を,Bishopのソフトな声で歌われただけで,参ってしまうリスナーは多いはずである。"Tootsie"の主題歌"It Might Be You"もよかったが,これは本当によい。それに勝るとも劣らないのが,ラストに収められた"The Same Old Tears on a New Background"である。Art Garfunkelが"Watermark"で歌ったバージョンの美しさには及ばないものの,作者自らの歌唱にはそれなりのよさがある。

もちろん,それらの曲だけでなく,アルバム全体を通して,非常にレベルの高い曲群,ナイスな歌唱と伴奏で,もっと早く買っておけばよかったと思わされた好盤。星★★★★☆。

Personnel: Stephen Bishop (vo, g), Eric Clapton(g), Larry Carlton(g), Andrew Gold (g), Lee Ritenour(g), Jay Graydon(g), Michael Staton(g), Jeffrey Staton(g, b), Tommy Tedesco(mandolin), Craig Doerge(key), Barlow Jarbis(el-p), Larry Knechtel(el-p, ofg), Alan Lindgren(synth), Steve Paletta(accor), Mac Cridlin(b), Reinie Press(b), Max Benett(b), Larry Brown(ds), Jim Gordon(ds), John Guerin(ds), Russ Kunkel(ds), Victor Feldman(vib, perc, org), Ray Pizzi(sax), Chaka Khan(vo), Art Garfunkel(vo), Leah Kunkel(vo)

2010年8月21日 (土)

旅の途中で見た映画(4)

Earth 「アース("earth")」('07,英/独/米,Disneynature)

監督:Alastair Fothergill,Mark Linfield

随分と時間が経ってしまったが,これは私が7月に旅行に行った際の飛行機の中で見た最後の映画である。ネイチャーものの記録映画であるから,私はこの手の映像は結構好きなので,それだけでも楽しめるのだが,環境破壊に対するメッセージ性の高い映画だったのにはある意味驚かされてしまった。しかし,このメッセージは真摯に受け止めるべきであろうし,生態系への悪影響に対する落とし前をどうつけるのかを真剣に考えなければならないと思わされる映画であった。

一方で,驚くような映像はあまりない。こうした記録映画ではよくあるパターンの映像なので,びっくりさせられるということがあまりなかったのはちょっと残念。その中で私が一番好きだったのはゴクラクチョウであろうか。とにかくこれは結構笑えた。YouTubeに映像があったので,貼り付けてしまおう。一見の価値はあると思う。尚,私が見たバージョンのナレーターはPatrick Stewartだったが,落ち着きのあるいいナレーションだったと思う。映画としてよりも,映像としての価値を評価して星★★★★。

2010年8月20日 (金)

超嵩張るDelaney & Bonnie "On Tour"ボックス:こいつはヘヴィー級だわ

Db_box"On Tour with Eric Clapton" Delaney & Bonnie (Rhino Handmade)

Rhino Handmadeレーベルから"On Tour"の拡大版4枚組がリリースされた。まだ届いたばかりなので,音源を聞くのはこれからなのだが,このボックス,無茶苦茶嵩張っている。収納だけ考えると,これは相当邪魔と言ってしまえば,それまでなのだが,やっぱり嵩張る。下の写真を見てもらえば,いかにスペースに無駄が多いかは一目でわかるはずである。

Db_box_inside しかし,その一方で,ブックレットには白黒の生写真らしきものが3枚入っていたり,やはりRhinoらしいしっかりした作りなのには感心する。ブックレットはDelaneyの夫人,Susan Lanier Bramletteの手書き文字によるものなので,読むのは疲れるだろうが,ちゃんと読む価値はありそうである。

尚,オリジナルのアルバムはほとんどが,このボックスの4枚目,Fairfield Hallsのセカンド・ショーからのものらしいが,いずれにしても,時間を掛けて聞いてみようと思う。

2010年8月19日 (木)

1955年のGlenn Gould

Goldberg001"Johann Sebastian Bach: Goldberg Variations" Glenn Gould (Columbia)

バッハのゴールドベルク(正確にはゴルトベルクと書くべきだろうが,慣例に従う)と言えば,Gouldの演奏が決定的な演奏ということになるとは思うのだが,リアルタイムで聞いた81年の再録盤と,この55年の初発盤には,同じ人が弾いているのかというほど違いが大きかった。私は81年盤を聞いてから,この55年盤を聞くという逆順パターンで聞いたので,初めて聞いたときはそれはそれは驚かされたものである。

どちらが好きかと言われると答えに窮するのだが,各々には各々の良さがあると思うし,どちらも個性豊かな名演であることに間違いない。ということで,久々のクラシック・ネタはこの55年録音盤である。この演奏が驚きを以て迎えられたことは,クラシックのアルバムとしては異例のセールスを記録したことからも明らかであろう。その時代のクラシック音楽のリスナーからすれば,「こんな演奏聞いたことない」というのが正直なところだったであろうし,それがさまざまなかたちで多くの人に伝播した結果の好セールスになったと考えるべきだろう。

とにかく,「速くてうまい」という表現が適切である。こんなスピーディなゴールドベルクは私も知らないし,例えばほかのピアニスト(チェンバロでもそうだが)がこうしたテンポで演奏しようとすれば,Gouldのコピーだと誹りを受けるのは間違いないところで,誰もこんな演奏には取り組めない(あるいは取り組もうとしない)から,この演奏の突出度は結局のところ維持されるということになる。

それにしても,このときGould 22歳である。まさに才気煥発,向かうところ,怖いものなしって感じである。久しぶりにこの演奏を聞いたが,やっぱり凄いわ。星★★★★★。ということで,81年盤も聞かねば。

Recorded between June 10 & 16, 1955

Personnel: Glenn Gould(p)

2010年8月18日 (水)

どう考えても地味だが,もっと知られていいAlan Broadbentの好盤

Alan_broadbent"Personal Standards" Alan Broadbent (Concord)

私がこのアルバムを知ったのは,某金融機関に出向中の頃のはずである。それはそれはストレスがたまる生活であったので,夕方の休憩時間に会社を抜け出しては,その当時秋葉原にあったディスクマップに速攻で行って,輸入盤を漁るのが唯一の息抜きであった。そんな時,私の目に留まったのが,新譜としてディスプレイされていたこのアルバムのジャケであった。

それまでもAlan Broadbentという名前は聞いたことがあった。一番印象に残っていたのはIrene Kralの伴奏としての存在だったかもしれないが,真っ当に聞いたことがあるわけではなかったから,私がこのアルバムを買う気になったのは,本当に何となくなのである。Concordレーベルだし,ジャケのセンスも結構気に入った
(デザイン的なバランスがいいのだ)こと,更にはドラムスがJoe LaBarberaだったというのが主な購入理由だったと記憶している。だが,聞いてみてびっくり,これが大当たりであった。

このアルバムの特性を一言で言うならば「趣味がよい」ということであろう。このアルバムを聞いて,嫌いだという人はあまりいないだろうと思わせるような一般性を持ちながら,Broadbentの書く曲,あるいはピアノが大変美しいのである。これを昔から馴染みのジャズ喫茶に持参してかけてもらったことがあるのだが,マスターにも気に入ってもらえたのはちょっと嬉しかった。

私がこのアルバムが気に入っていたのは,当時ストレスが結構溜まっていて,こうしたミディアム・テンポ以下の曲を聞いていると心が多少は和むという側面もあったかもしれないが,とにかく本作に聞かれる「落ち着き」が心地よかったのである。この作品は,大音量で聞くような音楽ではなく,小音量でもいいので,落ち着いた空間を作り出したいときには最適なように思う。いつも皮肉っているように,世の中の外食産業ではモダン・ジャズをBGMとして使用するのが大流行であるが,これぐらい趣味のいい音楽を選んでくれたら,私はその店を絶対ひいきにするだろう。こういうことは前にも書いたかもしれないが,滅多やたらにBlue Noteレーベルをかけられても,店の種類によっては,極めてバランスの悪いアンビエンスが生まれることもあるのである。音楽が与える心理的効果は,もう少し考えてもらいたいものである。

そうした意味で,本作は耳をそばだてるもよし,会話のバックで流れるもよし,食事や酒のバックによしと非常に使い勝手のいい音楽だということが言えるだろう。しかも質が高いのがよい。確かにAlan Broadbentは地味なピアニストではあるが,こういうアルバムがあるということはより幅広いオーディエンスに知って頂きたいと思う。星★★★★☆。

Recorded on October 7 & 8

Personnel: Alan Broadbent(p), Putter Smith(b), Joe LaBarbera(ds)

2010年8月17日 (火)

「風の谷のナウシカ」ブルーレイ版について思うこと

Photo「風の谷のナウシカ」(’84,徳間書店/博報堂/東映)

監督:宮崎駿

声の出演:島本須美,納谷吾朗,榊原良子,京田尚子,永井一郎,松田洋治

私は映画館の暗闇で泣くことにカタルシスを感じる人間なので,いろんな映画を見て泣かされているのだが,これまで最も泣かされた映画のうちの1本がこの映画である。確か見たのは飯田橋ギンレイホール(あるいは飯田橋佳作座だったか)での「ルパン3世 カリオストロの城」との2本立てだったはずであるが,私は「ルパン」のラスト近くの銭形とクラリスのセリフで必ず泣いてしまう(ほとんど条件反射である)が,1本目の「ルパン」で心地よく涙して満足していたら,2本目の「ナウシカ」ではもっとやられてしまった。まさに号泣であった。

それは今回購入したブルーレイ・ディスクでこの映画を見ても全く同じで,家人が留守なのに乗じて見たら,やっぱり泣いてしまった。こんな状態ではとても家人の前では見るわけにはいかないので,かなりタイミングを見繕って見たつもりであるが,それにしてもまたも大泣きしてしまったではないか。やはりよく出来た映画だと思える,まさに感動巨編である。ということであるから,映画に関してだけなら今でも星★★★★★である。

しかし,このブルーレイ,巷でも悪評だらけであるが,それにもうなずかざるをえないようなものである。そもそも画像の品質がブルーレイのパワーを最大限に活用できていない。我が家のTVセットはなんと1992年製のクラシックなもの(年末には買い換えないとなぁ...)であるが,それでもブルーレイを再生すれば,それなりに違いはわかるとは思う。だが,この映画を見る限り,劇的な改善というのが見られないのである。なおかつ,ジブリと言えば,以前問題になった「千と千尋の神隠し」における色の赤みがかりの例があるが,本作でも,途中で赤い色ムラが発生しているようにも思えるのである。これはどういうわけなのだろうか。世の中,デジタル・リマスタリングを施すことで,圧倒的な画像の改善事例というのはいくらでもあるにもかかわらずである。

よって,どうも大枚はたいてブルーレイを買ったわりには,それに見合うリターンが得られていないというのが実態であり,今回のブルーレイ化は看板倒れに終わったと言っても過言ではないだろう。おそらくこれに懲りた消費者は,ジブリの作品がブルーレイ化されても,もう買うことはないだろうと余計なことまで考えてしまうが,少なくとも私は買わないだろうなぁ。やはりこのブルーレイについては,どうにも納得がいかないというところである。

2010年8月16日 (月)

これまた久々に聞いたDennis Chambersだったが...

Planet_earth"Planet Earth" Dennis Chambers(BHM)

それにしても,色々なタイプを詰め込んだアルバムである。冒頭のSun Ra作曲のタイトル・トラックから驚いてしまう(ついでにもう2曲,Sun Raの曲が入っている)が,3本のホーン隊とChambersのドラムスという編成があったり,ギター・トリオがあったり,更には典型的ファンクがあったりと,なんでもありの様相を呈している。

そうは言っても,Dennis Chambersの猛爆ドラミングは全編に渡って聞けるので,それだけということであれば,結構満足できるだろう。だが,本人が言うほど,「今までで一番の出来」ってほどのものかなぁって気がしてしまうのである。

私はこのブログで,Dave Wecklの初リーダー作を評して,「多才であることは必ずしも美徳ではない」と書いているが,このアルバムにもそれが当てはまると言ってもよいだろう。基本はファンクであるという点では,Wecklより筋は通っているのだが,それでもこの出てくる音楽の一貫性のなさにはちょっとついていけないような気がする。おかしな曲だなぁと思ったらSun Raだというのは笑えるが,なぜChambersがSun Raやねんっ?という疑問はずっと残ってしまうのは否めない事実である。

よって,ファンク・リズムの洪水に乗せられながらも,ず~っと首をかしげたような状態が続くという何とも言えぬ気持ち悪さが残ってしまうのである。まぁ,これはプロダクションがよろしくないということに尽きるのではないかと思うが,それにしてもである。

もう一点,Dennis Chambersの最大の難点は曲が書けないことであろう。優秀なドラマーには作曲能力に優れた人も多いが,その辺りにこの今イチ感の原因があるようにも思えてしまう。まぁArt Blakeyも書けない人だったが,周りを固めるミュージシャンの資質が違い過ぎってことであろう。Kenny Garrettのソロなんかは結構いいものがあるのだが,総体的には星★★☆ってところか。何だかなぁ~...。

Recorded in October 2004

Personnel: Dennis Chambers(ds), Kenny Garrett(as), Jim Beard(key, org), Adam Rogers(g), Dean Brown(g), Anthony Jackson(B), Will Lee(b), Bob Malach(as, ts, bs, fl), Jim Hynes(tp), Mike Davis(tb), the Borneo Horns: Lenny Pickett(ts), Stan Harrison(as), Steve Elson(bs)

2010年8月15日 (日)

Reichの新作特別オファーは終了した模様

先日お知らせしたReichの新作のオマケが付いてくるプレオーダーは予定数終了となった模様で,CD+MP3音源で$14のオファーに変わっていた。

買い逃した方は残念でした~。そんな好き者は大していないか...。でもPat MethenyはReichの曲も演奏していたり,影響もありだと思うので,ジャズ好きには結構Reich好きも多いように考えているのは私だけだろうか。

いずれにしても,限定250枚ってのは少ないような気がするが,まぁ仕方がないところか。何てたって,Reichはピューリッツァー賞受賞者だもんねl。あぁ~,間に合ってよかった,よかった。

久々にSonny Rollinsを聞いた

Sonny_rollins002"A Night at the Village Vanguard" Sonny Rollins(Blue Note)

知らぬ者はないと言ってもよさそうな1957年のRollinsである。Sonny Rollinsの全盛期が1950年代の後半であったことに異論を唱える人はいないだろうが,それにしてもこの素晴らしさは何だ。

自由闊達なリズムに乗って,溢れ出るインプロヴィゼーションを聞いて,この人が凄いと思わない人はいるまい。私なんか,実を言えば"Saxophone Colossus"よりこっちの方が好きなぐらいだ。とにかく,吹いて吹いて吹きまくるRollinsのよさが凝縮されている。そもそも選曲もアドリブが乗せやすい曲が揃っているように思えるが,それにしてもこれだけ吹いてくれれば満足である。

そんな中で,私は"Sonnymoon for Two"が非常に好きなので,LPでもB面ばかり聞いていた記憶があるが,久々に聞いても後半3曲の方が好きかもしれない。もちろん,全編を通じてRollinsらしさに溢れた名品だが,それでも好みというものはあるのである。CDの時代になって,こういう聞き方はできなくなったし,1枚当たりの演奏時間が長くてなかなか集中力が続かないなんてことはよくあるが,やはりLPというのはメディアとして実は優れた存在だったのではないかと思うのである。

話が脱線した。本作には,おなじみのように,異なったリズム隊が演奏する昼の部,夜の部の演奏が混じって収録されているが,前者は"Night in Tunisia"だけである。そんなことは全く気にならないぐらい統一感は取れているとは思うが,それでもやはりこのアルバムでのもう一つの聞きものにElvin Jonesのドラムスがあるから,よ~く聞いてもう一人のドラマー,Pete La Rocaとの違いを聞きとる楽しみもあるというものである。私の場合,そんなことは全く気にしないで聞いているクチだが,だからと言って全然問題はないのだ(開き直り)。でもまぁ,ElvinとLa Rocaではだいぶ違うのは一聴しただけでもわかるが...。

いや~,それにしても全盛期のミュージシャンとは恐ろしいものである。たった1日のライブ・デイトでこんな演奏を残してしまえるのだから,これはやはり凄いことである。久々に聞いても十分興奮させてもらった大傑作。星★★★★★。

Recorded Live at the Village Vanguard on November 3, 1957

Personnel: Sonny Rollins(ts), Wilbur Ware(b), Elvin Jones(ds), Donald Bailey(b), Pete La Roca(ds)

2010年8月14日 (土)

Steve Reichファン注目!新作のオマケ情報

ReichdoublesextetplusmanuscriptNonesuchレーベルのサイトに行くと,Steve Reichの新作の告知があるのだが,何とその新作をプレオーダーすると,"Doube Sextet"の直筆楽譜のコピーにReichの直筆サインしたものがオマケで付いてくるのだ("The first 250 pre-orders include a very special limited-edition score page from the Pulitzer Prize–winning Double Sextet, printed from a Reich manuscript and then signed by the composer."と書いてあるから,上記の解釈で間違いなかろう)。限定250枚である。CDに320kbpsのMP3音源,それにこのオマケがついて,送料込みでも$25.99である。これを買わずに何を買う。好き者は急げ!!

私は目ざとくこの情報をキャッチし,すかさず発注。楽譜が届いたら,家宝として額に入れて飾ってしまおう。こういう企画,素晴らしいなぁ。さすがNonesuchである。

2010年8月13日 (金)

Vertú:こいつはうるさい!でも好きだ。

Vertu"Vertú" Vertú(Columbia)

これもリッピングをしていて,久々に聞いたアルバムである。いやいやこれは完全なロックである。ここまで激しくやっているという記憶がなかった私が悪いが,これはうるさい。Mahavishnuでもここまでうるさくないのではないだろうと思わせるほどやかましい。

このやかましさの原因は,もちろん,RTF組のClarke,Whiteのせいって話もあるが,このうるささの本質的な要因はRichie Kotzenのギターだろう。これは完全なハード・ロック/ヘビメタの世界である。さすがMr. Bigにいただけのことはあるが,RTF組のへヴィなリズムに対抗するには,これぐらいのギターが必要だったというのはうなずける話である。Al Di Meolaでもここまではできまい。

でもこれが嫌いかというとそうでもないのである。フラストレーションがたまった時なんかには非常にフィットしそうな音楽で,ある意味,ここまで来ると爽快である。こういうタイプの音楽なので,いちいち細かいところに突っ込みを入れるのも馬鹿馬鹿しいぐらいに思えてしまう。しかし,ヴァイオリンのKaren BriggsはYanniと長期に渡って共演してきたとのことだが,なぜこんなアルバムに参加したのかは謎である。Yanniとの軟弱な音楽生活に飽き飽きしていたのではないかと言っては言い過ぎかもしれないが,やはりこれは刺激を求めたとしか言いようがないだろう。

まぁ何だかんだと言って,これはハード・フュージョン,あるいはロックの文脈で見れば結構良く出来たアルバムだったのかもしれない。しかし,1枚で終わったのは,特別プロジェクトの悲哀か,はたまた思惑ほどアルバムが売れなかったかのどちらかか。だが,こういう音楽,結構好きな人間は多いと思うので,今一度,見直してもいいように思える演奏群である。でもやっぱりうるさいが...。それでも好きなので大甘の星★★★★。

Personnel: Vertu: Richie Kotzen(g, vo), Karen Briggs (vln), Rachel Z (key), Stanley Clarke (b), Lenny White (ds)

2010年8月12日 (木)

久々に新橋Bar D2にお邪魔したら...

Relevance先日,随分と久しぶりに新橋のテナーの聖地,Bar D2にお邪魔した。そこで聞かせてもらったのがDave LiebmanとEvan Parkerの共演作。これが,近年,こんなにフリーらしいフリーは聞いたことがないというような「至極真っ当な」フリー・ジャズで思わず嬉しくなってしまった。

元々はBBCの放送音源のようだが,それをカナダのレーベルが権利を買ってCD化したもののようである。いやいや,全編,二人の大バトルであるが,バックはドラムスだけ。サックスが一人なら"Interstellar Space"かっ!!と突っ込みたくなるような感じだが,今夏のくそ暑さを吹き飛ばす激烈フリーである。

このレコード会社,商売っ気がないのか,購入サイトを見つけて,到達するまで
非常に時間が掛ってしまったが,無事注文に成功である。来るのが楽しみであることは事実だが,一体このCDをどこで聞くねん?という疑問は消えていない。少なくとも家人の前で聞いたら,即座にアンプのスイッチを切られること間違いなしだし,電車で聞くのもなんだかなぁ...なのだが,それでも買いたいと思わせるぐらい強烈なアルバムであった。タイトルは"Relevance",ジャケットは掲示の通りである。手許に届いたら,改めてレビューすることにしたいが,これにはまいりました。思わずヘッドバンギングしそうになってしまった私である。よくよく見たら,Bar D2のマスター,随分前にこのアルバムをご自身のブログにアップされている。それで頭には擦り込まれていたのだろうが,すっかり失念していた私である。まぁ,すかさず発注したからいいか(開き直り)。

また,当日いらっしゃった別のお客さんがマスターにシンコ(コハダへ出世前のコノシロの名前である)のお土産をお持ちになっていたのだが,私もご相伴にあずかってしまった。ごちそうさまでした。

2010年8月11日 (水)

夏と言えばボサノバよ,ということでJoyceである

Joyce_2"Astronauta: Songs of Elis" Joyce (Blue Jackel)

私はそこそこブラジル音楽が好きなので,特に夏になるとサンバだ,ボサノバだと,何かとブラジル音楽が聞きたくなることがある。今回,色々なディスクをリッピングしようと思って,それにまぎれて久々に取り出してきたのがこのアルバムである。

本作の制作には日本のオーマガトキ・レーベルが関与しているが,Elis Reginaにゆかりのある曲集というのがいかにも日本的な企画だと思わせる部分があるのはご愛嬌ということにしておこう。しかし,このアルバム,ジャズ・ミュージシャンの参加もあって,結構聞きどころの多い作品だとは思う。

実際によく出来た作品だとは思うのだが,どうも今イチ没入できないのはなぜなのか。聞き流す分にはいいのだが,よくよく聞いているとちょっとリズムが重いような気がするのである。全体的な演奏も歌唱も悪くないと思えるだけに,どうもこのあたりがちょっと惜しい。私がブラジル音楽を聞く上で重視しているのが軽快感だからなのかもしれないが,これはちょっと違和感があるのである。せっかくDori Caymiも入っているのだが,あまりその効果も発揮できていないように感じるし...。以前に聞いたときは感じなかったこうした感覚が,久々に聞いてみると目立つというのはどういうことなのだろうか。今年の夏の暑さで更に頭がおかしくなったという説もあるが,ちょっと微妙な感覚を覚えてしまった私である。

まぁ,それでも,Joyceの声は魅力的,更にはJoe Lovanoのテナーが結構いけていて,そういうところは好きなのだが,でもやっぱり全体的を通して見れば完璧とは言えない作品だろう。しかし,"Essa Mulher"はRenee Rosnesのピアノとも相まって,素晴らしい出来に仕上がっている。私はこの曲が一番いいと思った。星★★★☆。

Personnel: Joyce(vo, g), Joe Lovano(ts), Mulgrew Miller(p), Renee Rosnes(p), Romero Lubambo(g), Dori Caymi(g, vo), Rodolfo Stroeter(b), Tutty Moreno(ds), Guello(perc)

2010年8月10日 (火)

Elvin Jonesのバースデイ・ライブはMichael Brecker入り

Elvin_jones"The Truth Heard Live at the Blue Note" Elvin Jones Jazz Machine(Half Note)

早いものでElvin Jonesが亡くなってからもう6年以上が経過したが,いつになっても生きているような気がしてしまうのは私だけだろうか。ちまたでは辛島文雄~森山威男が"E.J.'s Blues"なんてアルバムを発表し,実は私も購入済みである。本来なら,そちらの記事をアップすればいいのだが,本家の"E.J.'s Blues"を聞いてからにしようなんて天邪鬼な気分になったので,本日はこれである。

NYCにあるBlue Noteは有名ミュージシャンのBirthday Bashってが得意のイベントになっているが,本作もElvinの72歳の誕生日を記念したライブ・シリーズの実況盤である。発売はElvinが亡くなった後になったので追悼盤というかたちになるだろうが,これがまた何とも賑々しいライブである。

本作の目玉はMichael Breckerの客演ということになるだろうが,Michaelの参加は2曲だけである。しかし,そんなことは抜きにしても,いつもより派手なメンツ(でもド派手ではない)のJazz Machineの演奏が全編に渡って収められている。そうは言ってもMichael Breckerである。誰が聞いてもBreckerにしか聞こえない"Body & Soul"をワンホーンで聞かせ,まずはいいねぇと思わせる。もう一曲の参加曲は何と「五木の子守唄」である。なんでElvinがこの曲を"A Lullaby of Itsugo Village"と呼ぶのかは謎だが,これは奥方の思い込みが原因かもしれないなぁなどと思いつつ,なんでやねんの「花嫁人形」とかもやっていたなぁなんて思ってしまう。まぁそれはさておきであるが,ここでのBreckerは全く子守唄モードではなく,スピリチュアルと言ってもいいソロを展開していて,さすがと思わせる。まぁBreckerのファンはこの2曲だけのためにこのアルバムを買っても損はなかろう。

だからと言ってほかの演奏がダメかと言えばそんなことはない。御大は72歳とは思えない相変わらずのドラミングぶりであるし,Breckerのせいで影が薄くなりそうなAntoine Roneyも善戦している。ピアノのCarlos McKinneyもいい線行っていると思うが,その後,この人はプロデューサー業に転じてしまったようである。ピアニストとして活動を継続していたら,どうなっていたのかと思うが,ちょっと惜しいような気もする。ラッパのDarren BarettはThelonious Monkコンペティション優勝らしいから,実力があるのは当たり前だし,トロンボーンはRobin Eubanksなのだから悪いはずはない(但し,出番は少ない)。

いずれにしても,相当暑苦しいアルバムであることは事実であるが,Elvin Jonesってのはそういう人だったのだと改めて思ってしまった作品であった。でも結構楽しいので星★★★★。

Recorded Live at the Blue Note, NYC on September 11 & 12, 1999

Personnel: Elvin Jones(ds), Antoine Roney(ts), Robin Eubanks(tb), Darren Barrett(tp), Carlos McKinney(p), Gene Parla(b)

2010年8月 9日 (月)

非常に心地よく響くManu KatchéのECM第3作

Third_round"Third Round" Manu Katché(ECM)

本作も記事をアップするのにどれだけ時間が掛かっとんねんていうぐらい時間が掛ってしまったが,毎日毎日同じようなことを書いているような気がして皆さんには申し訳ない限りである。私としてもさっさと聞いて,さっさと記事をアップするのが理想なのだが,なかなかうまくいかないものである。せいぜいこの時期にキャッチアップすることにしよう。

Manu Katchéと言えば,もともとはPeter GabrielやらStingとの活動を通じてその名を知られた人であるから,本質的にはロックの人だと思っていたわけだが,そのKatchéがECMからリーダー作をリリースした時には驚いたものである。そうこうしているうちに,彼のECMでのリーダー作もこれで3作目となった。よほど,ECMの総帥,Manfred Eicherに気に入られているということだろうが,この作品を聞いていても「ロック・ドラマー」としてのManu Katchéとしての個性は微塵も感じられない。あくまでもトータル・ミュージシャンとしてのManu Katchéの本質がこういう音楽になるということではないかと思わせるような響きである。

とにかく,この音楽は聞いていて心地よい。メンツとしてはJeff Beckとも共演するJason Rebelloがいたり,The Whoでもベースを弾くPino Palladinoがいても,ここで展開されるのは静謐な音楽である。この静謐さをどう捉えるかによって,このアルバムに対する評価や好みが分かれるのは当然だが,この心地よさは非常に魅力的に響く。こうした音楽が,現在レギュラーとして活動するJan Garbarekの影響かどうかはわからないが,Garbarekの音楽よりもはるかに聞きやすいし,ECM的なフレイバーも希薄である。ある程度ECMらしさを感じさせるとすれば,Tore Brunborgのサックスぐらいか。"Stay with You"のKami Lyleのヴォーカルを聞いて,これがECM作だと認識できる人はそうはいるまい。だって,矢野顕子あるいはKate Bushのような声なのである。これには驚く。

いずれにしても,本作で提示されたManu Katchéの新たなる方向性を私は歓迎したいと思う。こんなサトルなドラミングを聞かされれば,やはりうまいと唸らざるをえないのだ。ゲストで出てくるJacob Youngもいい味を出している。まぁ,ちょっとスムーズ過ぎて刺激に乏しいとも言えるが,これはいいわ。夜の帳が降りた後に,最適なナイト・ミュージックである。星★★★★。

Recorded in December 2009

Personnel: Manu Katché(ds),Tore Brunborg(ts, ss),Jason Rebello(p, key),Pino Palladino(b), Jacob Young(g),Kami Lyle(vo, tp)

2010年8月 8日 (日)

マッチョなAngelina Jolie

Photo「ソルト("Salt")」 ('10,米,Columbia)

監督:Philip Noyce

出演:Angelina Jolie,Liev Schreiber,Chiwetel Ejiofor,Daniel Olbrychski

別に私はAngelina Jolieのファンってわけでもないし,好みのタイプの女優でもない(あれがいいのだと言う人もいるだろうが,私は彼女の唇が苦手なのだ)のだが,二重スパイ物のアクション映画ってことで,見に行ってきた。いずれにしても,全編,マッチョなAngelina Jolieが大爆発というか,ここまでやらなくてもって感じてしまうぐらい,暴れまくっている。だいたい強過ぎである。

結構えげつない描写も多いし,ホワイトハウスってそんな簡単に警備を破れるのかいなとか,疑問を挙げだしたらきりがないが,まぁここは肉体派,Angelina Jolieがよく頑張りましたってところだろう。但し,ネタバレになるので多くは書けないが,二重スパイとして訓練を受けてきた人間が,そう簡単に変心するのかというところに,決定的なシナリオの甘さを感じるのが難点である。アクション映画であるがゆえに,心理描写なども望むべくもないし...。もうちょっと葛藤とかあってもいいんじゃないかと思う私は古い人間か?

だが,まぁ次から次へとなんでやねんというストーリー展開はそこそこ面白く見ることはできたと思うが,本作に限らず,どうも最近の映画は安易に回想シーンを織り込み過ぎるように感じるのだがどうだろうか。こういう手法は,シナリオが安易な方向に流れるだけだと思うのだ。そうした点も減点対象として,星★★★ぐらいか。それにしてもメイクとは言え,流血やら顔の腫れやら,何でもござれのAngelina Jolieの女優魂は認めておいてもよいだろう。よくやるわ。

いずれにしても,最近はこういうマッチョな女性のアクション映画って多いなぁ。だから草食系男子なんてのが出てくるのかもしれないが,これは完全に肉食系女子って感じである。

2010年8月 7日 (土)

Mark Egan:どうも最近は新譜のアップが遅くていかん

Mark_egan"Truth to Be Told" Mark Egan(Wavetone)

実はこのアルバムがデリバリーされたのは随分前のことで,何回も音楽は聞いているのだが,一向に記事に出来ない状態が続いていた。以前,iPodを本格的に使いだすまでは,私は通勤時はCD Walkmanで音楽を聞いていたので,買ったらかなり早いタイミングでプレイバックということができていた(買ったCDを突っ込めばいいだけ)のだが,iPodに依存するようになって,いつでも聞けるわという状態になったがゆえに,どうも記事にするのが遅くていけない。そもそも何をリッピングしたのかも覚えていなかったり,また,次から次へとCDを買っているものだから,リッピングすら追いつかないという体たらくである。これではビビッドなタイミングで記事をアップするなんて無理だよなぁなんて思いながら,ようやく本作を取り上げることになった。

私がこのアルバムを知ったのはAbstract Logixのサイトだったと思うが,このメンツを見れば,フュージョン好きならやはり気になるところであろう。当然,私もそうであった。Bill Evansのバンドか,はたまたElements,更には新Mahavishnuかって感じであるから,あの手のサウンドを期待するのが筋である。

しかし,この作品,何度聞いも高揚感に乏しいのである。私は,このバンドにはもっとタイトでヘヴィーなリズム,あるいはより高速の曲でのキメキメのユニゾンなどを期待してしまうのであるが,どうも同じようなテンポの曲が多くて,今ひとつ盛り上がりに欠けるのが決定的な難点である。もちろん,これだけのメンツなので,演奏としては相応に楽しめるのだが,もう少し押し出しが強くてもいいのではないかと思う。まぁMark Eganの場合は,Pat Metheny Groupの時代から空間をうまく使う感じのベース・プレイヤーであったから,元来がバカテクをこれ見よがしに披露するタイプの人ではない。しかも,彼も来年は還暦だから,そんなもんやってられるかいってところもあるかもしれないが,Bill Evans,Mitch Formanは再編Mahavishnuのメンバーだったりするから,私はどちらかというと,その手の音楽への期待が大きかった。感覚的に言えば,"Rhyme or Reason"のようなテンポあるいはグルーブの曲があと2曲ぐらいあってもよかったようにも思える。

しかし,それは私だけの考えであって,Mark Eganの本質とは違っているのかもしれないし,どちらかと言うと彼の音楽性はこういうものなんだろうなぁという気もするので,ぼろくそにけなす気にもなれず,どうにも微妙(所謂アンビバレントな感覚)なのである。しかもフレットレス・ベースの音や,Formanのエレピの音がいい感じだし...。何だかんだと言って,私も飽きもせずにこのアルバムを何回も聞いているのだから,演奏はやはり悪いわけではないのである。プロデュースにもう一工夫あれば,もっと評価したくなるアルバムだったはずだというところがどうにも惜しい。星★★★。もう半星つけてもいいぐらいなので,この評価はちょっと厳し過ぎるかなぁ。こうやってやっぱりアンビバレントな私である。

それにしても,このアルバムに時折顔を出すインド・フレイバー,なんでやねんと思うのは私だけだろうか?ついでに言うと,"Pepe'"のまるで昭和歌謡のようなイントロ(あくまでもイントロだけだが...)はまたまたなんでやねんと思うのは私だけ???

Recorded between June 15 & 17, 2009

Personnel: Mark Egan(b), Bill Evans(ts, ss), Mitch Forman(key), Vinnie Colaiuta(ds), Roger Squitero(perc)

2010年8月 6日 (金)

アップするのに時間が掛ってしまったが,Baptisete Trotignonはやはりよい。

Baptiste "Suite..." Baptiste Trotignon(Naive)

私は以前から,Baptiste Trotignonに関しては,結構注目してきたつもりではいるが,その割にこのアルバムも買ってから随分と経ってからの記事のアップってのはちょっと冷たいかなぁなんて思わざるをえない。さすがに,これを新譜として扱うのははばかられる。まぁ,それはさておき。

本作は,前作"Share"(記事はこちら)とほぼ同様のメンツを揃えながら,はるかに熱い。ある意味で,Trotignonのイメージを覆すと言っても過言ではないぐらいである。前作もアグレッシブな曲がなかったわけではないが,今回はその比ではないのは,ライブ・レコーディングだからというだけではないように感じる。実はこれこそがこの人の本質なのではないかと思わせるのである。

これは私の思い込みだったのかもしれないが,Trotignonと言えば,トリオやソロのイメージが強く,管とのコンビネーションは,前作"Share"まで敢えて避けてきたのも事実である。それはこの人の"Fluide"のイメージが強過ぎたということもあるのだが,こうして本作なり前作を聞いてみると,どうもそれは私の思い込みに過ぎなかったということになってしまう。非常に硬派の人なのである。そして,音楽にダイナミズムを付加するEric Harlandのドラムス。これは聞きものである。

最後に収められている"I Fall in Love Too Easily"だけがメンツが違うが,フロントは一緒だから,まぁそんなに影響はないな。バラードだし。それまでの激しさから一転して,しっとりと締めるのはにくい演出とも言える。いずれにしても,これはなかなかよくできたアルバムで,推薦に値する。Baptesite Trotignonは総じて,アルバムのレベルが高く,やはりこれからも注目が必要なピアニストである。星★★★★☆。

しかし,このアルバムがロンドンで録音されたってのは不思議である。そして,このときの演奏がYouTubeで見られるので貼り付けておくが,本当に何でもあるねぇ。

加えて,チェーンソーか何かで指を切断しちゃったMark Turner,よくぞここまで復活したものである。よかったねぇ。

Recorded Live at Charlie Wright's, London on July 7 & 8, 2009 and at Sunside, Paris on July 5, 2009

Personnel: Baptiste Trotignon(p), Mark Turner(ts), Jeremy Pelt(tp), Matt Penman(b), Eric Harland(ds), Thomas Bramerie(b), Franck Agulhon(ds)

2010年8月 5日 (木)

アバター載せてみました。

似ているか,似ていないかは別として,アバターをブログに載せてみた。評判が悪ければ,すぐ消そうっと(笑)。今は日焼けを意識して,ちょいと濃い目の肌色にしてみたが,さて,皆さんからの反応やいかに(不安)。

煽られて 買ってしまった ブレッカー(音楽川柳?)

Brecker"Original Album Classics" The Brecker Brothers(Arista)

私の同僚でマイミク,かつ最強のサラリーマン・サックス・プレイヤー(でも最近疲れ気味か?)のこやぎ@でかい方さんが,「心ある人は全員今すぐ購入のこと。」なんてつぶやくものだから,買ってしまったではないか(責任転嫁)。最近,この手のシリーズが続々と登場していて,メジャーどころから,そうでもない人まで相当数が出ているが,確かにこのボックスには食指が動く。

このアルバムには"Brecker Bros.","Don't Stop the Music","Heavy Metal Be-Bop","Detente","Straphangin'"の5作が収められているが,実は私が持っていたのは(多分多くの人と同様に)"Heavy Metal Be-Bop"だけである。よって,かぶりが1枚だけで2,500円程度なら「心ある人」でない私でも,まぁ買ってもいいやってことにはなる。

Brecker Brothersのアルバムは,私が浪人中や学生時代に通ったジャズ喫茶では本当によく掛かっていたので,みんな聞いたような気になっていたのだが,今回,初めて真面目に聞いたってことになるのかもしれない。"Brecker Bros."なんて,おぉっ,Breckerヒット・パレードのようじゃと思ってしまうが,"Heavy Metal Be-Bop"で聞いていたからそう思えるだけかもしれないし...。いずれにしても同作は1975年のリリースだから,既に35年前というのが恐ろしいが,やはり時代は感じさせる音である。まだ,全部聞いていないのだが,"Detetnte"はブラコンかっ!と言いたくなるような音で,はっきり言って異色だろうなぁ。

まぁ追々,一枚ずつ記事にするかどうかはわからないが,それでも温故知新ということではよかったのだろう。こういう機会がなければ,一生聞かずに終わっても,聞いた気になっていたままだったかもしれない。

ということで,ちょっと恨み言を混ぜながらも,煽ったこやぎ@でかい方さんに感謝しておこう。こうしてどんどんCDが増えていってしまうのだ。即リッピングして,どこかに収納しちゃおうっと。あ~あ。

2010年8月 4日 (水)

追悼,今野雄二

今野雄二が亡くなったそうである。自殺というのは信じられないが,やや好みに偏りは感じられるが,的確な映画,音楽批評は信頼に値するものだっただけに残念である。ミュージックマガジンの連載,「ビッグ・スクリーン・バンケット」がもう読めないのかと思うと寂しい。ご冥福をお祈りしたい。

2010年8月 3日 (火)

旅の途中で見た映画(3)

The_bounty_hunter「バウンティ・ハンター(The Bounty Hunter)」(’10,米,Columbia)

監督:Andy Tennant

出演:Jennifer Aniston,Gerald Butler,Gio Perez,Joel Garland

飛行機で見る分には,内容がなくてもまぁいいやって気がしないでもないが,これはいかん。内容としてはあまりにもしょうもなくて,詳細に書く気にもならん。私が見ていたのはJennifer Anistonだけである。John Mayorも惚れるだけあって,典型的なアメリカ人好みのタイプと言ってよい。しかもBrad Pittの前妻だしなぁ。

だからと言って,この映画の中身のなさはいかんともしがたく,笑えない,ハラハラもしない,そして後に何も残らないという三重苦を強いるような映画である。飛行機の中のエンタテインメントでなかったら,更に激しく文句を言っていたかもしれないが,まぁいいか。いずれにしても金を出してみる価値はない。星★☆。


2010年8月 2日 (月)

旅の途中で見た映画(2)

Photo「釣りバカ日誌」(’88,松竹)

監督:栗山富夫

出演:西田敏行,三國連太郎,石田えり,谷啓,山瀬まみ,戸川純

先日の旅行の道すがらにこんな映画も見てしまった。とか何とか言いながら,出張でも見るものがなくなると,なんだかんだでこのシリーズは見ているが...。本作は昨年,「20」を以てファイナルを迎えたシリーズの第1作である。もう20年以上前の作品だけに,みんな若いし,今の東京とは全く風景が異なっている。しかし,バブル期真っ盛りの時期に撮られた割に,バブリーな要素が全く感じられないのは不思議と言えば不思議である。

振り返ってみれば,このシリーズが以前は「男はつらいよ」との併映だったというのも懐かしい。その後,堂々一本立ちした後は,入場料1,000円企画でよく頑張ったものだが,まぁ他愛ないと言えば他愛ない。しかし,キャストを見ていても,懐かしや前田武彦が出ていたり,昔から山瀬まみはキャラが変わってないじゃんと思わせたり,何とも微笑ましい。

そして,映画を見ていて驚いてしまうのが,この映画に不釣り合いなジャズ的BGMが流れてくる瞬間なのだが,何と音楽担当はこれまた懐かしやの三木敏悟である。三木敏悟が今どこで何をしているのかはわからないが,一世を風靡したと言ってもよい彼が,この映画の音楽を担当し,何とも不釣り合いと言えば不釣り合いな曲も提供しているのは意外としか言いようがない。だって,まるでLalo Schifrinみたいなんだもんなぁ。エレピはHancockみたいだし。コメディには合わんような...。

とまぁ映画に関係ないことを書いているが,いいのである。これはフライト中の暇をつぶすには最適な映画。何も考えずに笑っていればよいという,松竹喜劇の王道みたいなものである。まぁ,点数をつけるほどのものではないだろうが,結構楽しんでいた私である。ちなみに,奥さんのみちこさん役は,私は浅田美代子より石田えりの方がはまっていると思うなぁ。

2010年8月 1日 (日)

Fred Hersch待望の新作

Whirl "Whirl" Fred Hersch Trio(Palmetto)

遅れていたFred Herschのトリオ作がようやくリリースされた。今回もファンの期待を裏切らない美しい演奏集である。

私がFred Herschの音楽に魅かれる理由としては,彼がBrad Mehldauのメンターであったことが影響しているかもしれない。卵が先か,にわとりが先かの議論になろうが,Brad MehldauのピアノにはFred Hersch的なものを感じるし,Fred HerschにはBrad Mehldau的なものを感じるのである。HerschがMehldauを指導したのは事実であるから,そうした因果関係があっても当然だが,どちらのピアノにも非常に強力な表現力と,比類のないリリシズムや美しさを感じさせるのである。

Fred HerschがHIVに感染していることはよく知られており,Hersch自らがアンチAIDSの活動にも積極的に取り組んでいるが,それは当然のことながら,Herschの健康状態には常に影響を及ぼすこととなってしまう。そうした事実が,Herschの演奏が常に「白鳥の歌」を奏でているかのような,ぎりぎりの美しさを生み出していると言えるのかもしれない。よって,ここでの演奏を聞いていても,打鍵の力強さは感じられず,紡ぎだすような微妙なタッチが強く感じられるのである。それがHerschらしいと言えば,その通りなのだが,それをいつも以上に感じてしまうのである。このアルバムをレコーディングする前に,Fred Herschは2カ月近い昏睡状態にあったという話もあり,それからのリハビリテーションや,そうした状態を経過したがゆえの表現という要素もあるかもしれないとしても,それでもHerschらしい美しさは健在である。

また,リズムのHébert,McPhersonも楚々としたバッキングでHerschを支えている。Hébert(ニューオーリンズ出身のケイジャンの名前なので,フランス語読みをするらしく,カタカナで書くとアベアという発音が近いと彼のサイトには書いてある)はGerald Cleaverとの活動もあるので,フリーなアプローチもOKだろうし,McPhersonもAndrew Hillとの共演などがあるから,必ずしもHerschのレコーディング・メンバーとしては,ややキャラクターが異なると言ってもいいのかもしれないが,Herschをサポートしようという気概すら感じさせるのである。それがこうした演奏を生み出しているのであるから,彼らの貢献は決して過小評価してはならない。

いずれにしても,この作品は陰影を感じさせながらも美しさを維持した作品として,これまでのHerschの作品同様傾聴されるべきアルバムだと感じる。今後もHerschが安定した健康状態を保ち,これからも私たちに素晴らしい作品を届けてくれることを願わずにいられない。そうした要素も含めて,より多くの皆さんに聞いて頂くためにも星★★★★★としてしまおう。

いずれにしても,Herschにとってはもう来日は難しいかもしれないが,3年前のカザルス・ホールの演奏は素晴らしかった。彼がVanguard等に出演する際に,NYCに出張が入ることを祈るのみである。

Recorded in January, 2010

Personnel: Fred Hersch(p), John Hébert(b), Eric McPherson(ds)

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