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2010年7月14日 (水)

無性に聞きたくなることがあるJoe Sample

Invitation"Invitation" Joe Sample(Warner Brothers)

唐突にJoe Sampleの音楽が聞きたくなることがある。むしろ,それは聞きたいというよりも,彼の音楽に身を委ねたいと思っているだけなのかもしれないが,ある意味,Joe Sampleの奏でる音楽はそうした包容力があると言っていいかもしれない。それは,ショッピング・モールでかかっていてもいいし,リビング・ルームで聞いてもOKという,あまり環境に影響されない万能音楽としての親しみやすさがあるからだと思う。

別に私はJoe SampleをCrusadersから追いかけていたわけではなく,Crusadersのアルバムよりも,Joe Sampleのソロ・アルバムの方が保有枚数は多いということからもわかるとおり,私はJoe Sampleのピアノの音が好きなのである。もちろん,Rhodesの響きもいいのだが,この人の魅力はアコースティック・ピアノの方が明確になるような気がする。本当か嘘かはわからないが,クラシック界の大ピアニスト,Vladimir HorowitzがSampleのピアノ・タッチを褒めたという話もあるぐらいで,そのピアノの美しさはやはり折り紙つきと言うことになるだろう。

そんなSampleがスタンダードを中心とした曲にオケの伴奏をつけてゆったりとしたピアノを聞かせるのがこのアルバムである。いかにもTommy LiPumaらしいプロデュースと言えばその通りであるが,これが何とも心地よいイージー・リスニング・アルバムとなっている。レパートリーがレパートリーだけに,本作のバックを固めるのは,オーセンティックなジャズ・プレイヤーと言うべきMcBeeとLewisであるが,彼らから出てきそうなゴリゴリ感は一切ない。とにかくこれは心地よい。

こういうある意味予定調和的な美しさというものに価値を見出すかどうかが,この手の作品の評価を分けるポイントだと思うのだが,このゆったり感,あるいはまったり感は何とも言えない魅力がある。しかもスタンダードをやっても,ソフトかつ美的なのである。例えば,Horace Silver作"Nica's Dream"がSampleの手に掛ると,これがほんまに"Nica's Dream"かいと思わされてしまうのである。ジャズ原理主義者であれば,「邪道」の一言で片づけてしまいかねないが,人間,こういう音楽/演奏を必要とする時と場合もあるのだということを考えれば,私はこのアルバムを否定できない。

私はこのアルバムをJoe Sampleの最高作だとは思わないが,本当にリラックスしたいときには結構役に立つアルバムだと思う。そういう効能も含めて星★★★★。いや,でもやっぱりこれはイージー・リスニングだよなぁ。好きだけど,刺激はないので為念。

Personnel: Joe Sample(p, synth), Cecil McBee(b), Victor Lewis(ds), Lenny Castro(perc)

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