今日は困りました。
今日は信じられないことに、ホテルにLANの設備がないため、記事のアップができない。これははっきり言って普通ではない(怒)。ということで記事は明日以降に。すみませ~ん。
Otis Redding: Live at the Whisky a Go Go: The Complete Recordings
Vijay Iyer / Wadada Leo Smith: A Cosmic Rhythm With Each Stroke
King Crimson: Radical Action to Unseat the Hold of Monkey Mind
Dave Holland / Chris Potter / Lionel Loueke / Eric Harland: Aziza
Carla Bley / Andy Sheppard / Steve Swallow: Andando El Tiempo
Bill Evans: Some Other Time : The Lost Session From The Black Forest
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今日は信じられないことに、ホテルにLANの設備がないため、記事のアップができない。これははっきり言って普通ではない(怒)。ということで記事は明日以降に。すみませ~ん。
昨日は睡魔に勝てず,記事を書けなかった大西順子の新作である。私は彼女の復帰作「楽興の時」も高く評価したが,今回の作品は更に輪を掛けて強烈な作品であった。そもそもが蜷川実花撮影によるカバーがすこぶる強烈なカラーで,これまでの大西順子のアルバムと完全にトーンが違うが,音楽的に大きな変化があるわけではなく,あくまでも剛腕,大西順子は健在である。
このアルバムにおける大西順子を何に例えればいいかというと,女猛獣使いって感じか。かなり猛々しいメンツが揃っていて,それに対して一歩も引いていないところがまず凄いと感じさせる。また,ここで強く感じるのはCharles Mingus的なフレイバーと言えばいいだろうか。それは特にJames Carterがバスクラを吹くときに顕著になるように思えるのである。まるでMingusバンドにおけるEric Dolphyが乗り移ったかのような演奏なのである。また,ダブル・ベースにしている曲が4曲あるのは,ベースを強化してMingus並みのサウンドを出すためだったのではないかというのは考え過ぎだろうか?
いずれにしても,冒頭の大西のオリジナル"Tutti"からして緊張感に溢れているが,4曲目と最後に入る大西のソロ・ピアノが「緊張と弛緩」のバランスをうまく取っているように思える。最初から最後までテンションが高い演奏を続けられては,こちらも参ってしまうが,この2曲が絶妙なインタールード及びポストルードとして機能しているのである。ここでの"Stardust"及び”Memories of You"というスタンダードがまるで「猛獣使いの休息」のように響く。
もちろん,74分強というのはちょっと長いかなぁと思わないわけでもないが,アルバムを聞いていてだれるという感覚がないのは立派である。とにかく,ジャズという音楽が持つエネルギーを音として具体的に提示したこのアルバムは,決して万人受けするものではないかもしれないが,非常にレベルの高いものであり,これが日本人ミュージシャンによって生み出されたというのが素晴らしい。やはり大西順子は傑物である。ちょっとオマケも含めて星★★★★★としてしまおう。
そして,このアルバムの出来を更によくした功労者としてJames Carterを挙げておきたい。上述のように,特にDolphyを彷彿とさせるバスクラの響きが最高である。やはり彼も大したミュージシャンであることを実証したと言ってよいだろう。ほかのメンツも好演なのはリーダーの統率力の表れか。さすが猛獣使いである。(ちょっとほめ過ぎ?)
Recorded between March 24-29, 2010
Personnel: 大西順子(p), Nicholas Payton(tp), James Carter(ts, as, b-cl, fl), Wycliffe Gordon(tb), Reginald Veal(b), Rodney Whitaker(b), Herlin Riley(ds), Roland Guerrero(perc)
またも「ECM catalog」に関する話である。この本には「ECMに関する出版物」というコラムが2つあって,"Sleeves of Desire",「ECMの真実」,"Horizons Touched","Windfall Light"と並んで,本書までそこに並んでいる(これはやや手前味噌的に思える)。まぁそれはいいとして,ECMに関する出版物と言えば,もう一冊忘れてはならない重要な書籍があると思うのだが...。
それはKeith Jarrettの"Scattered Words"である。この本には,Keithのバイオ,ディスコグラフィに加え,"Inside Out: Thoughts on free playing"と題されたエッセイ,更には"Scattered Words"として,Keithのコメントを集成したものなど,読みどころの多い本である。更にはスタンダーズ・トリオやソロの演奏風景の写真も収録されており,ファンは必携の本だ。しかもEditor & PublisherはECM Recordsとなっているのだから,「ECMに関する出版物」にこの本を取り上げないというのは,かなりクリティカルな欠落と言ってよいのではないか。それとも,どこかに書いているのを私が見逃しているだけだろうか?
だからと言って,「ECM
catalog」の本質的な価値が落ちるとは思わないが,これだけマニアックかつ一家言を持つ人々が編纂に携わったにしては,このミスはあまりにも痛い。何だか私はこの本にケチばかりつけているように思えてくるが,あくまでもこれはデータを補足するためのものだとお考え頂きたい。
私の記憶によれば,この本を私はECMのサイトで購入したはずだが,その際も品切れ状態がかなり長く続き,入手したのは結構時間が経ってからの2度目のオファーの時だったように思う。それでも今にして思えば入手できてよかった(Joni Mitchellの画集と同じぐらい,購入できてよかったと思っている)。現在,本書は絶版状態にあるようだが,中古/オークション市場で一体どれぐらいの値段で取引されているのかは全くわからない。たかだか80ページ程度の本にしては,定価も決して安くはなかった(記憶は定かではないが,20ドルだか,20ユーロだかだったような...)が,紙質も装丁もいいから仕方がなかろうが,Keith Jarrettのファンならば,これは保有したいと思うはずの本であることは間違いないだろう。せっかくの機会であるから,本書を今一度真面目に読んでみることにするか。
"Memories: Chet Baker in Tokyo" Chet Baker(Paddle Wheel)
私がこのブログでChet Bakerについて取り上げるのはCTIレーベルの"She Was Too Good to Me"以来のことである(記事はこちら)から,ほぼ3年振りということになる。実は,Chet Bakerのアルバムは結構保有しているのだが,それは古い音源がほとんどであった。このアルバムは父の遺品の1枚だが,久しぶりに聞いて,1988年というタイミングでのChet Bakerの好調ぶりにある意味驚かされてしまった私である。
晩年のChet Bakerはそれこそ濫作と言ってもよいほど,多数のアルバムを残しているが,本作は別格の扱いをしてもいいのではないかと思わせるような快演揃いである。本作と同じタイミングで残されたライブ盤"Four"は現在カップリングされた2枚組でリリースされているようであるが,私が聞いているのは1枚ものである。ライブだけあって,演奏は長尺で,一番短くても7分42秒というもので,最長の"Portrait in Black & White"は15分48秒という長さである。"My Funny Valentine"も13分を越えており,Chet Bakerのプレイが十二分に記録されていると言ってよいだろう。やはり"My Funny Valentine"への聴衆の拍手が大きいのは当然ではあるが,本作で私が最もしびれるのは"Almost Blue"である。これぞ,Chet Bakerって感じなのである。もちろん,"My Funny Valentine"もいいが,歌があっても,なくてもここでのChet Bakerはかなりの好調ぶりである。
この作品を聞いていると,Chet Bakerのヴァイタルな部分とソフトな部分をうまく捉えたものだと私には感じられるのである。Chet Bakerと言えば,ユニセックス的なヴォーカルにばかり注目が集まりがちではあるが,トランペッターとしてもまともだったということに改めて気付かされる演奏群である。とても,この翌年亡くなってしまうとは思えないぐらいの好調ぶりなのである。
しかし,死因はホテルからの転落死だが,それもドラッグゆえらしいというところが,この人の人生を物語っているような気がする。この演奏を聞く限りは,58歳での早逝は惜しいとしか言いようがないが,ドラッグに依存せざるをえなかった人間としての弱さはここでは感じられないのである。今一度,Chet Bakerを聞きなおすには丁度よかった一枚である。星★★★★。
Recorded Live at 昭和女子大学人見記念講堂 on June 14, 1987
Personnel: Chet Baker(tp, vo), Harold Danko(p), Hein Van Der Geyn(b), John Engels(ds)
監督:ユン・ジェグ
出演:チャ・スンウォン,ソン・ユナ,リュ・スンリョン,キム・イングォン
ヴァケーションの道すがらというか飛行機の中で,映画を何本か見たので,ここでアップしておこう。私は出張でも飛行機に結構乗っているので,機内エンタテインメントとしての映画はかなり見ているのはこのブログでも書いているとおりである。ヴァケーションとは言え,状況は同じで,また映画を見てしまった。
韓国の映画というのは,徹底したラブコメがあると思えば,非常に陰鬱なムードに満ちた映画もあって,その幅広さにのけぞるよなこともあるが,この映画は確実に後者である。出てくる登場人物が全部陰気な感じというのもある意味珍しい。本作に関しては日本公開はこれかららしいので,ネタバレにならないように書かなければならないのが難しいが,いずれにしても,題名通り,「誰かが何らかの秘密を(多重的に)抱えている」というのが,この映画のポイントである。
それにしても,この映画で最も存在感を発揮するのはリュ・スンリョンである。この人の表情はかなり怖いねぇ。この目で睨まれたら,まさしく「蛇に睨まれた蛙」状態になってしまうぐらいの悪役ぶりである。紅一点,ソン・ユナは美しいのだが,もうちょっと陽気な美人を演じさせたいと思うのは私だけではないだろう(今までどんな役を演じているかは知らんが...)。とにかく陰気。一方,主役のチャ・スンウォンは私にはやや存在感が薄い感じだったのが皮肉な感じである。このポスターでは髭が生えているが,映画では髭がない状態でしか登場しないのは一体どういうわけ?
いずれにしても,飛行機で見るにはちょっと辛気臭い映画だったが,そういうことを抜きにすれば,まぁまぁ見られる映画だとは思う。ただ,シナリオにはちょっと無理があったかなぁ。ということで星★★★。これから見に行く方は,この陰気さには覚悟されたし。
「ECM catalog」 稲岡 邦彌 編・著(東京キララ社)
これまで何度も発売が延期されてきた本書がようやく発売になり,ECMファンの私としては当然速攻で購入したわけだが,既にご報告のとおり,物好きな私はハワイへこれを持って行き,プール・サイドやビーチで暇さえあれば眺めていた。
本書は2009年末までにECMレーベル及びその傍系レーベルJAPO,更にはコンピレーション等まで,廃盤のものも含めてまとめ上げた大カタログである。こうした書物が日本で作られたということには感慨すら覚えてしまうが,発売が延期,延期になったのも仕方がないと思わせるような大労作であることは認めざるをえまい。少なくとも,データ・アーカイブとしての存在意義は極めて高い。また,私はECM好きとは言えども,例外を除いて,New Seriesまではなかなか手が伸びなかったのも事実なのだが,今回本を眺めていて,「これはっ!」というものの再発見につながって,帰国後,さっさと注文しているのだから,ある意味罪作りな本でもある。
その一方で,不満が残らないわけでもない。ジャケットを集成した書物としては"Sleeves of Desire"と"Windfall Light"という決定的な2冊がある。アートワークとしてのECMという観点で,この本が実現しなければならないのは,その2冊との差別化である。その差別化要因として,アルバム単位のデータ,レビューということにはなるわけだが,それならばそれに徹するという手もあったはずである。いずれにしても,前掲の2作を保有している私にとっては,この本の前半にあるジャケットの写真群にはほとんど魅力は感じられない。少なくともすぐれたデザイン事例としてのECMの諸作への言及がもっとあってもよさそうなものである。LPとCDのジャケ違いなどを網羅していることのきめの細かさは認めるとしても,この本にはデザインとしてのECMに対するリスペクトが十分であるとは言えない。私個人としては,アートワーク含めた総合芸術のパッケージとしてECMは評価されるべきだと思うのである。
また,上述の通りデータ・アーカイブとしての価値は認められるものの,各作品に添えられたレビューがあまりに短か過ぎるように感じられるし(より辛辣な表現を使うならば,これはレビューというよりも,コメントに過ぎない),ECMと言えどもすべてが優れた作品ではないにもかかわらず,否定的な論調がほとんどないというのは明らかにおかしいだろう。書籍としての性格上,それはある程度仕方がないだろうが,ECMだったら何でもOKというわけではないはずである。批評性というものに乏しい内容では,この本を購入するであろうコアなECMファンを納得させられないのではないだろうか。逆に言えば,原稿の文字数が少な過ぎるから,中途半端な文章しか書けないとも言えるような気がする。もちろん,長ければいいというものではないと思うのだが,もう少しやりようがあったのではないだろうか。
いずれにしても,この本が日本で何部ぐらい売れるのかは非常に興味深いところではあるが,私にとってはやはりデータとしては機能しても,"Sleeves of Desire"や"Windfall Light",更には"Horizons Touched"のようなECM関連の書籍に比するとやはり不満が残るのである。そこが何とも惜しい。この本が日本で出版されたことが評価できることは大いに認めたいが,私にはやや不満が残ってしまった。しかしながら,「ECMの真実」やその他の書籍とともに保有する価値はあることには間違いない。存在意義と制作されたことも込みで星★★★☆。
何なのだ,この暑さ!帰国早々,ハワイの木陰の涼しいそよ風が恋しくなっている私である。こんな気候では,来週からの仕事が不安である。社会復帰は限りなく難しい...。
帰りの飛行機の中で見た「アース」で発せられたメッセージの深刻性を,この猛暑で更に感じてしまった私である。やはり「異常気象」なのだろう。
尚,「アース」を含めた旅の途中で見た映画についてはまた別途。ちなみに今回は往復で4本であった。今年は機中で一体何本見るのやら...。
悲しいことに,この記事がアップされた数時間後には,既に機上の人となっているはずの私である。私はできるだけ,決められた休み以外にヴァケーションを取るようにしているタイプの人間であるが,こういう休みはリフレッシュのためには絶対必要だと思う一方,終わりが近づくと悲しくなってしまうというところがあるのも事実である。
しかし,今回も思い切り休みを満喫したし,日頃出張で迷惑を掛けている家人にもそれなりに報いることができたことを考えれば,相応に価値はあったと思う。日本は猛暑だと伝え聞いているが,きっと蒸し暑い日本に戻れば,すぐにハワイが恋しくなるに違いないと思いつつ,来週以降の社会復帰に向けて,準備を整えることとしたい。
それにしても,この日焼け,やはり尋常ではないと指摘されることは覚悟しておこう。では次は帰国後に記事をアップすることとしたい。
楽しい時間の過ぎ去るのは早い。私のヴァケーションももはや終盤である。私の滞在しているホテルは,時期的な関係かどうかわからないが,プール・サイドも混雑しておらず,非常に居心地がよい。食事のオプションが少ないのはちょっと痛いが,こういう時は,売店で売っているカップ・ヌードルの偉大さに頭が下がってしまう(爆)。それでも,日本とは味付けが違うので,元祖「日本のカップ・ヌードル」を食べたら,もっと感動してしまうんだろうなぁなんて考えている。ということで,若干,食事に関してはアメリカン・フードに食傷気味の私であるが,それでもプール・サイドの食事とともに供されるフレンチ・フライはかなりうまいなんて思っているんだから,これじゃ太るわい。
今回の私のプール・サイドの友は先日出版された「ECM catalog」である。プール・サイドにいて,水に入っていない時は,ほとんどこの本を眺めているというのが実態で,何度見ても飽きないし,今まであまり関心を持っていなかったNew Seriesでこれは欲しいなぁというものを見つけたりで,今回の旅の友としては大いに役に立っている。この本については思うところもあるので,帰国したら改めて記事にすることとしたい。
でもこんな本を,ず~っとプール・サイドで眺めている日本人って,相当変わっていると思われても仕方ないなぁ。何をしようがこっちの勝手だけど。まぁ、たしかにハワイとECMほど不釣り合いなものはないが...。
ハワイ島と言えば,火山である。前回の訪問時,私はヘリ・ツアーで空から火山の様子を見たり,上空からしか見ることができないワイマヌ渓谷の滝を見たりというのを経験している(インド人のおばさんが,ヘリ酔いで,機内でゲーゲーやっていたのも懐かしい:失礼!!)が,今回は陸から火山へアプローチするツアーに参加してきた。更にはマウナケアの中腹で星を見るというオマケ付きである。前回のヘリ・ツアーでは,溶岩の流れはほとんど見ることができなかったので,ある意味なんだかなぁというところもあったが,渓谷へのヘリによるアプローチ(右の写真のような感じ)はなかなかよかった。今回はどうか?
私としては,本当はマウナケアの山頂まで行くツアーに参加したかったのだが,家族の手前,勝手な行動は許されず(というか,子どもが年齢制限に引っ掛かるので行けない。何せ標高4000m以上だから,高山病が懸念されるのである)ということで,それでも満天の星を眺めたい自称ロマンチストの私(爆)としては,折衷案として,今回のツアーに参加と相成った。
まぁ溶岩については,アイスランドの火山の噴火のようなものを期待してはならないとはわかってはいながら,やはりイマイチ豪快さに欠けるのが難点で,言い方は悪いが,ずっと溶岩台地を見ているだけのようなものである。そこに溶岩がちょろちょろと現れ,自然発火的に森を燃やすというのが,正直な感想。あれは夜に見た方がいいだろうなぁ。ということで,溶岩台地はこんな感じ。
それでもって,星空であるが,あいにく天気がイマイチだったのもあるし,何分月が明かる過ぎて,星がよく見えないという状態であった。それでも,十分に楽しめたが,満天の星空とはいかなかった。昨晩,ホテルから見た星空の方が星が多かったってのはなんだかなぁって感じである。
それでも,ハワイ島の持つエネルギーはある程度体感することはできたからよしとするか。自分で運転して行けるような距離ではないしなぁ。まぁ,やっぱりホテルのプール・サイドでのんびりしているのが一番って気もするなぁ。
私は,リゾートというのは何もしないで,時間を「無駄に過ごす」ことが一番だと思っているのだが,プール・サイドにずっと鎮座していても激しく日焼けしてしまうし,それなりにアクティビティも必要である。昨日はホテルでの「道具を使わずにココナッツを割ってみよう」というイベントに参加してみた。
「ココナッツ・クラッシュ(椰子の実割り)」と言えば,亡きジャイアント馬場の得意技であるが,もちろん膝で割るわけではない。それを説明するのは大変だが,とにかく,まずどうやって皮をむくかというところが肝心である。教わってみると「へぇ~」って感じであるが,ひとつ勉強になってしまった私であった。ちゃんと割りましたという証拠の写真をつけておくが,それだけでは色気も何もないので,レイも掛けておいた。まぁ,それがどうしたって感じであるが...。
とういうことで,私の滞在場所は既にばればれかもしれないが,Big Islandことハワイ島である。私にとっては3度目のハワイ島になるが,やはりいいところである(前回は食当たりでひどい目にあったが...)。帰国が近づくにつれて,帰りたくないなぁと思うのは確実であろう。まぁ,休暇はいつもそうだけど(爆)。
しかし,こんなところまで来て二日酔い(というより,飲み過ぎで胃が痛い)になっている私も私である。ちょっと節制しようっと。
中国出張から帰ってすぐに,ヴァケーションに入った。私のパスポートの入出国記録はおかしいと思われても仕方がないような動き方であるが,仕事は仕事,ヴァケーションはヴァケーションである。
以前,こんなことがあった。私はハワイでヴァケーションを過ごしていたのだが,家族を連れてハワイから東京に戻った翌日からダラスに2泊4日の出張が入っていた。私は妙に黒々と日焼けし,ビジネスでの出張の割に手荷物が少ない(ガーメント・バッグ1個とビジネス・ブリーフケース)ということで,怪しげな入国者とダラスのイミグレーションで思われたようである。それはそれで当然って気もするが...。
イミグレーションの担当者曰く,「なんでハワイから直接ダラスに来なかったのか?その方がよっぽど近いぞ。大体ビジネスにしてはお前の風体は怪しげだな。ちょっと荷物を開けてみろ。」
私はそれに対して,「確かにその通りや。ほんなこと言うたかて,家族が一緒やってんからしゃ~ないやん。だいたい,今回の出張も打合せは一日だけやから,荷物が少ないのは当たり前やねん。荷物はどうぞチェックしてんか~。スーツしか入ってまへんで。風体は日焼けのせいってことにして~な。」というようなやり取りをしたわけだが,結局20分ぐらいはオフィスに留まらされたのである。
ということで,ヴァケーション中はブログの更新が滞る可能性大であるが,できれば珍道中の様子をできるだけお伝えしたいものである。ちなみに,私は今,どこにいるでしょう?(知っている人は知っているが...)
「グリーン・ゾーン("Green Zone")」('10,仏/米/西/英,Universal)
監督:Paul Greengrass
出演:Matt Damon,Greg Kinnear,Amy Ryan,Khalid Abdalla
またまた中国に行った際に機内で見た映画がこれである。私は,劇場にこの映画を見に行きたかったのだが,果たせなかったので,ちょうどよかった。Jason Bourneシリーズでのコンビ,Greengrass監督とMatt Damonの組み合わせであるから,期待してしまうのが筋だからである。
この映画,一言で言うと,「厭戦」映画である。既にアメリカ人の中には「厭戦」気分が蔓延しているので,この映画はヒットしなかったらしいが,リベラルな映画人がどうしても言わずにおれなかったという感じで製作されたようにも思える。いずれにしても保守的な人間から見れば,何と「反米的」とうつるのかもしれないが,これがほとんど事実だとすると,世も末だという気がしてくる。
本作は,イラク戦争における大量破壊兵器の存在に関する謀略をドキュメンタリー・タッチで描いていて,この監督の「ユナイテッド93」を思い出させる。そこにMatt Damonという役者が必要だったかと言えば,必ずしもそうではないという気もするが,何せユニバーサルが,この二人にJason Bourneシリーズ第4作を撮らせるための,交換条件のようなオファーだったらしいという話もあるので,こちらも映画の内容同様「裏」のある話ということになる。しかし,そうした中で,Matt Damonは抑制された演技で好感が持てる。
いずれにしても,これは単なるアクション映画ではなく,真面目に撮られた告発映画であり,そうした点を考慮して見ないと,評価は大きくぶれてしまうだろう。私は日本からの見方で見てしまうので,この映画に対する反応はアメリカ人とは異なるだろうが,いずれにしても「でっち上げ」がどのような結果を招いたかについてはその後を見れば明らかである。この映画を「反米的」と言うのは簡単である。しかし,最終的にこうした事態を生んだのはアメリカ人自身が選挙で選出したGeorge W. Bushであり,結局はアメリカ人の自己責任と捉えるべき問題ではないかと思う。こういうシリアスな映画であるから,はっきり言ってメガ・ヒットは難しいよなぁ。それにしても,「ハートロッカー」といい「グリーン・ゾーン」といい,最近の戦争関係映画は見ていて疲れるわ。でも心意気は認めたいので星★★★★。
「必死剣鳥刺し」('10,東映)
監督:平山秀幸
出演:豊川悦司,池脇千鶴,吉川晃司,戸田菜穂,村上淳,関めぐみ,小日向文世,岸辺一徳
私は西部劇が結構好きなのだが,何を隠そう日本の時代劇も好きだったりする。今回,本格時代劇として,世評も高いこの作品を早速見に行ってきた。
この映画のクライマックスは,終盤の殺陣のシーンということになるが,そこに至る映画の流れは回想シーンを交えつつ,変わりゆく季節の流れなども示していて,非常に丁寧に作られているという印象が強かった。ストーリーとしては,サラリーマン社会に相通ずる部分もあるところが,原作が受ける理由ではないかと思うのだが,映画としては,非常にゆったりした流れで,見ようによっては非常に地味な印象を与える。そうした中で豊川悦司が非常に渋い演技を見せていて,余計な御世話だが,どういう客層が見に来るのかと思ってしまったが,予想通りというか,私よりも上の年代の方が多かった(ほとんどか...)ように思う。まぁ,若者にはこの映画は受けるわけないもんなぁ。
しかし,クライマックスの一部である吉川晃司との対決シーンは,まさに殺気を感じさせるような緊張感に溢れ素晴らしく,こういう映画は若い人が見てもいいんではないかと思わされる。その後に続く殺陣のシーンも,TV時代劇のようなうそ臭さがないところがよい。
だが,「理不尽」を絵に書いたようなストーリーで,決して見ていてスカッとするような時代劇ではない。そうした点に不満を覚える時代劇ファンもいるだろうが,映画としてはかなりよく出来ていると私は思った。豊川悦司がこの映画に関して「静寂と爆発の温度差を出せるように演じた」と述べているが,まさにそういう感じなのである。その点でも,この映画は成功していると思っていいのではないだろうか。星★★★★。
一方で,私としては上映中,日本髪の池脇千鶴が可愛いなぁとず~っと思っていたのだから,全く困ったものである。
またも中国に出張である。中国における酒の飲み方は尋常ならざるものがあるが,今回はクライアントが一緒でなかったにもかかわらず,久しぶりに記憶が飛んでしまうぐらい鯨飲してしまった。
どうやってホテルに帰り,どのように寝たかの記憶が全くないのである。こんなことは初めて韓国を訪れて,現地の酒の飲み方の流儀がわからず,記憶が飛んで以来のことである。韓国では,靴もはいたまま,背広も着たまま,ホテルの部屋の床で寝ていた(爆)のだが,今回は背広も靴も脱いでいたからまだましとは言え,本当に記憶がない。こんなことばかりやっていると長生きはできないなぁと反省する次第。今日はもう日本に帰国である。何やってんだか。
"Invitation" Joe Sample(Warner Brothers)
唐突にJoe Sampleの音楽が聞きたくなることがある。むしろ,それは聞きたいというよりも,彼の音楽に身を委ねたいと思っているだけなのかもしれないが,ある意味,Joe Sampleの奏でる音楽はそうした包容力があると言っていいかもしれない。それは,ショッピング・モールでかかっていてもいいし,リビング・ルームで聞いてもOKという,あまり環境に影響されない万能音楽としての親しみやすさがあるからだと思う。
別に私はJoe SampleをCrusadersから追いかけていたわけではなく,Crusadersのアルバムよりも,Joe Sampleのソロ・アルバムの方が保有枚数は多いということからもわかるとおり,私はJoe Sampleのピアノの音が好きなのである。もちろん,Rhodesの響きもいいのだが,この人の魅力はアコースティック・ピアノの方が明確になるような気がする。本当か嘘かはわからないが,クラシック界の大ピアニスト,Vladimir HorowitzがSampleのピアノ・タッチを褒めたという話もあるぐらいで,そのピアノの美しさはやはり折り紙つきと言うことになるだろう。
そんなSampleがスタンダードを中心とした曲にオケの伴奏をつけてゆったりとしたピアノを聞かせるのがこのアルバムである。いかにもTommy LiPumaらしいプロデュースと言えばその通りであるが,これが何とも心地よいイージー・リスニング・アルバムとなっている。レパートリーがレパートリーだけに,本作のバックを固めるのは,オーセンティックなジャズ・プレイヤーと言うべきMcBeeとLewisであるが,彼らから出てきそうなゴリゴリ感は一切ない。とにかくこれは心地よい。
こういうある意味予定調和的な美しさというものに価値を見出すかどうかが,この手の作品の評価を分けるポイントだと思うのだが,このゆったり感,あるいはまったり感は何とも言えない魅力がある。しかもスタンダードをやっても,ソフトかつ美的なのである。例えば,Horace Silver作"Nica's Dream"がSampleの手に掛ると,これがほんまに"Nica's Dream"かいと思わされてしまうのである。ジャズ原理主義者であれば,「邪道」の一言で片づけてしまいかねないが,人間,こういう音楽/演奏を必要とする時と場合もあるのだということを考えれば,私はこのアルバムを否定できない。
私はこのアルバムをJoe Sampleの最高作だとは思わないが,本当にリラックスしたいときには結構役に立つアルバムだと思う。そういう効能も含めて星★★★★。いや,でもやっぱりこれはイージー・リスニングだよなぁ。好きだけど,刺激はないので為念。
Personnel: Joe Sample(p, synth), Cecil McBee(b), Victor Lewis(ds), Lenny Castro(perc)
4年に一度の祝祭が終わってしまった。ワクワクするような一カ月があっという間に過ぎたという感じだろうか。
決勝戦のスペイン対オランダは,見る側の期待としては,もっと攻撃型の試合だったわけだが,双方初優勝を狙うのでは,ある程度致し方がないとしても,はっきり言ってあまり面白い試合だったとは言えない。今回の主審のHoward Webbのイエロー・カード14枚は出し過ぎかなぁという気がしないでもないが,両チームとも不必要なつまらないファウルが多過ぎた。それが試合の興をそいだのも事実である。 冒頭の10分を見る限り,スペイン~ドイツ戦の再現かと思わせるほど,スペインが支配的だったが,その後,オランダがそれなりに修正してきたのはやはり大したものである。それによって,スペインの細かいパス・サッカーはかなり封じられていた。それは認めつつも,両チームとも決定機を逃したりして,あそこで点が入っていれば,より試合は白熱したものになったに違いないと考えると,決勝戦としてはちょっとなぁという気がする。生中継のなかった3位決定戦の方が試合展開としての高揚感ははるかに上だったはずである。だが,Iniestaの決勝ゴールは完璧だったし,彼のアンダー・シャツの逸話も泣かせるもので,後味は非常にいい試合だったと言えるだろう。おめでとう,スペインと言っておきたい。
それにしても,これでオランダは3度目の準優勝で,「三度目の正直」ならずってやつだが,それでも決勝までの戦いぶりは見事なものだったから恥じることはない。フリーのRobbenが入れてさえいれば...とは思うが,それでも十分よくやったと言えるだろう。あのサイドを広く使う視野の広さは,日本代表の範ともなりえよう。
ところで,夕方になって,決勝戦の視聴率が発表になったが,相撲のダイジェスト番組より視聴率が低いっていったいどういうことであろうか?放送時間も早朝だということもあったし,日本代表の試合と同じようにはいかないとしても,こういう世界レベルの試合を見る人がもっと増えないと,日本のサッカーのレベルの底上げってそもそも無理なのではないかと思うのである。結局,日本代表の試合の視聴率を上げたのは「にわかサッカー・ファン」がほとんどではないのかと皮肉の一つも言いたくなるが,サポーターが見る目を養えば,日本代表のレベルも,Jリーグのレベルももっと高くなるはずだと思うのは私だけだろうか。少なくとも,世界の強豪の試合を見れば,今の日本代表のレベルなんてまだまだだということがはっきりするはずだ。このことだけは異論,反論を覚悟してちゃんと言っておきたい。
大会が終わって,次のブラジル大会までまた4年待たなければならないのかと思うとちょっと寂しいが,次の大会ではブラジルが何が何でも勝ちに来るだろうということだけは予想できる。彼らがどういうチームを作ってくるのか期待しよう。今回はドイツに完膚なきまでに叩きのめされたイングランドの復活も期待したい。
最後に,今大会の影のMVPはタコのパウル君だな(爆)。でも次の大会までは生きていることは難しいらしいから,ホルマリン漬けにして永久保存?(大爆発!)
"Israeli Song" Eli Degibri(Anzic)
このアルバムが出るという告知が成された際に,私はEli DegbriとBrad Mehldauとの共演ってどんなことになってしまうのだろうという記事をこのブログにアップした(記事はこちら)。そこにも書いたが,この二人の相性がどのようなものか全く想像がつかなかったからである。そのアルバムが発売されたので,早速聞いてみた。
これは私の思い込みかもしれないが,Eli Degibriというサックス・プレイヤーはその風貌からしても,もう少し激しい演奏をするように感じていたのだが,このアルバムにおけるDegibriにはかなりコンベンショナルな響きが強いのである。まず,そこでやや肩透かしを食らうのだが,伴奏がMehldauはさておき,リズムがRon Carter,Al Fosterという大ベテランでは,まぁある意味想定されるところではあるのかもしれない。Al Fosterとは共演していたのは知っていたが,DegibriのWebサイトによれば,Ron Carterとも既に共演経験があったそうなので,本作はDegibriにとっての2人のメンターにBrad Mehldauが加わるという構成ということになる。しかし,Brad Mehldauは基本的に同年代のミュージシャンと共演することが多く,Carter~Fosterのようなベテランと共演することは珍しい(もちろん,Haden,Lloyd,Konitz等の例外はあるが...)から,彼がどういうタイプのピアノを弾くのかも私としては興味深いところではあったのである。
本作は上述の通り,私の想定以上にコンベンショナルな響きが強いが,演奏は悪くはないと思う。演奏もクァルテット,ピアノ/ベース/ドラムスのそれぞれとのデュオ等,プロダクションもしっかりしているとも思う。だが,今ひとつ満足感を覚えられないのは,この4人が集まることによるシナジーが感じられないことにあるように思われる。Degibriのサックスはテナーでも,ソプラノでもそれなりに魅力的なフレージングを聞かせるのだが,どうも高揚感に欠ける嫌いがある。中盤以降にデュオの曲を集め過ぎたのもそう感じさせる理由の一つかもしれないが,その高揚感の欠如が著しいのがFosterとのデュオで演じられる"Bebop"だろう。この曲をドラムスとのデュオでやるなら,もっと激しくやらなくてはと感じるリスナーは私だけではあるまい。ここではテンポの設定がやや遅かったこと,加えてFosterの煽りが足らないように思えるのである。これでは燃えない。
よって,このアルバムを聞いていても,膝を乗り出すような興奮があまり感じられないのがまずは残念である。一方,Brad Mehldauとのデュオは2曲収められているが,その2曲あるいはMehldauのオリジナルである冒頭の"Unrequited"のような曲を代表に,全編でMehldau節が聞けるから,彼のファンである私にとっては大いに結構ということにはなる。また,"Manic Depressive"ではMehldauには珍しいブルーズ表現も聞けて非常に面白いのだが,そうは言いつつも,やはりアルバム全体では,そこはかとなく感じられるDegibri,Mehldauのベテランに対する「遠慮」のようなものが,このアルバムを私が全面的に支持できなくしている理由のように思える。若手の2人が「全開」ではないように感じられてしまうのである。
一方で,Degibriの強面からは想像できないような"Jealous Eyes"のような佳曲もあり,この人は一体どのあたりが本質なのかよくわからなくなってしまった。こういう曲を聞くと,まさに人は見掛けによらないと思わされる。まぁあまり強面,強面と人に言えた義理ではないだろうという声がどこからか飛んできそうだが...。
いずれにしても,メンバーからすれば,本作はジャズ界では相当大きな注目を集めることは間違いないディスクではあるが,同じ楽器編成のJoe Martinの"Not By Chance"とどちらが好きかと言われれば,私にとっての答えは明らかに後者ということになってしまう。
ということで,やや辛口の評価にはなったが,アルバムとしてはそれなりに楽しめるということは繰り返し強調しておきたい。このアルバムに対する期待が大き過ぎただけの話なのである。星★★★。Degibriを既によくお聞きの私のブログのお知り合いの皆さんのご意見を拝聴したいところである。
Recorded on December 22, 2009
Personnel: Eli Degibri(ts, ss), Brad Mehldau(p), Ron Carter(b), Al Foster(ds)
"Let's Stay Together" Al Green (Hi)
Al Greenと言えば,未発表音源を集めた"Love Ritual"が発売されたばかりであるが,本日はそのネタではない。
先日,このブログで紹介した映画「ザ・ウォーカー("The Book of Eli")」(記事はこちら)でこのアルバムに収録された"How Can You Mend a Broken Heart"が使われていたのだが,それに関するご質問をnobuさんから頂いて,再度意識したものである。私はてっきり,このアルバムを保有しているものだと思っていたのだが,同じHiレーベルの紙ジャケ・シリーズでも保有していたのはOtis Clayの方だったというのだから,いかに管理や記憶がいい加減かということを痛感させられた次第である。
このアルバムは決してディープ・ソウルというわけではないのだが,ソウル・ミュージックの良さが満遍なく収められているという点で高く評価すべきだと思う。いずれにしても,私にとっては本作のグルーブが何とも心地よい。スイートなだけではなく,ファンク・フレイバーもありながら,Al Greenの歌いっぷりが何とも素晴らしいのである。
このアルバムそのものは何と言ってもタイトル・トラックが有名で,これこそ結婚式や披露宴で歌のうまい人が歌い,英語詞(相当シンプル)を理解できさえすれば,新婦が感涙にむせぶというような曲である。もちろん,私が歌ったら台無しになるから絶対歌わないが(爆)。女性が「バタフライ」や「ハナミズキ」を歌うのもよかろうが,男子にはこういう歌を選んでもらいたい。本来は新郎が新婦の目を見つめながら歌うべき歌ではあるが,これを歌う人がいたら,思わず握手を求めたくなるねぇ。
それはさておき,今回,このアルバムを見直す契機になった"How Can You Mend a Broken Heart"である。これはBee Geesの曲のカバーなのだが,これがまさにAl Greenのために書かれたのではないかと思わせるようなしびれる出来である。飛行機で映画を見ている時には「おぉっ!この曲は...」と思った程度なのだが,ちゃんとこの曲を聞けば,レベルの違うソウル・バラードの魅力に接することができるのである。これは本当に素晴らしい出来である。今回,この曲/アルバムの魅力を再認識するチャンスを頂いたnobuさんにここでお礼を申し上げたい。
いずれにしても,全編,酸いも甘いもかみわけたような,本当のソウル・ミュージックを満喫できる傑作。もちろん,ディープさが足りないと不満に思われるソウル・ファンもいるだろうが,私にとってはこういうのも決して無視できない,というよりこの若干の軽さが大好きなアルバムである。当然のことながら星★★★★★。最高である。
Personnel: Al Green(vo), Charles Hodges(p, org), Teenie Hodges(g), Leroy Hodges(b), Al Jackson, Jr.(ds), Howard Grimes(ds), Wayne Jackson(tp), Andrew Love(ts), Ed Logan(ts), James Mitchell(bs), Jack Hale(tb), Rhodes, Chalmers & Rhodes(vo)
"Against the View" FINE(Elektra)
このアルバムはBrad MehldauのディスコグラファーであるJens Linge氏から教えてもらったアルバムである。私からはEli Degibriの"Israeli Song"をご紹介したのだが,その返信のメールでこのアルバムの存在を初めて知り,慌ててネットでサーチし,すかさずゲットしたものである。FINEはLA出身のロック・バンドであり,このアルバムも完全なロック・アルバムであるが,Brad Mehldauは同じく本作に参加しているScott Weiland(彼の"12 Bar Blues"というアルバムにMehldauは参加している)とのつながりで出馬したものであろう。しかし,このアルバム,実に謎だらけなのである。
ネット・サーフィンをしていると,このアルバムは1999年の2月23日にリリースされたとの情報があることはあるのだが,私の手許にデリバリーされたものには"Advance Promotional Copy"とある。即ちプロモーション盤なのだが,世の中に出回っているこのアルバムは,このプロモ盤しかないように見受けられるのである。レコード会社としては,プロモ盤を作ったものの,メディアやステーションの受けが悪く,実際の発売が見送られた可能性もある。それを裏付けるのがScott Weilandが所属するStone Temple PilotsのWebサイトである。そこにもこのアルバムは"Advance Promo"としか書いていないのである。
更に,このプロモ盤,プロモだけに曲毎のクレジットは記載されていないのだが,アルバムで聞こえるピアノを弾いている可能性があるプレイヤーはBrad Mehldauだけである。しかも,ちゃんと"Brad Mehldau appears courtesy of Warner Brothers."という記載があるから,彼がピアノを弾いているのは確実であろう。そう思って聞けば,そう聞こえないこともないが,所詮はロック・バンドの伴奏でコンピングしているようなものであるから,これはなかなかに微妙なアルバムである。
しかし,コンプリートを目指す私としては,無条件にでもこういうアルバムを購入しなければならないという辛~い立場にあるのである(それは私の勝手であって,普通の人から見れば単なるアホだが...)。それにしても,こんなアルバム,普通なら絶対気がつかないよねぇ。Linge氏はどうやって情報をゲットしたんだろうか。今度聞いてみようっと。ちなみに,このアルバムは値段は1ドル,郵送料が7ドルであった。まぁ大したことないからいいんだけど。これで高かったら,どうしていたことやら...。それでも絶対買っているだろうが(爆)。ほとんど意地だけでコンプリートを目指しているとしか言えないな(笑)。
Personnel: Ashley Hamilton (g, vo), Chris Lloyd (g, vo), Milo De Cruz (b), Michael Chavez (g, vo) with Scott Weiland, Brad Mehldau(p?), Martyn LeNoble, Steve Jones, John Knight
W杯もいよいよ決勝と3位決定戦を残すだけとなった。準決勝2試合目のドイツ~スペインという組合せは,サッカー好きにはまさしく必見のマッチアップだったわけで,私も3:25AMに起床して眠い目をこすりながら試合を観戦した。
これまでのドイツの戦いぶりを見ていると,余りの絶好調ぶりに私はこのまま優勝してしまうのではないかと思って観戦していたのだが,準々決勝のときにアルゼンチンを粉砕したドイツとこれが同じチームかと疑うほどに,完全にスペインに抑え込まれていたのには驚いた。とにかく,あれだけボールを支配されていては,試合としては苦しいし,パスの精度もかなり悪かったと言えるだろう。今大会4得点と好調だったMuellerを出場停止で欠いたとは言え,やはり精彩に欠けたと言われても仕方がないだろう。「1-0」というスコア以上に,両チームの差は明らかだったと言える。
一方のスペインはこれまでの不調ぶりが嘘のように,この試合に向けて調子を上げて上げてきた感が強い。明らかに決定機はスペインの方が多かったが,ややミドル・シュートに頼りがちなのはドイツのディフェンスの固さゆえと言ったところだろうか。いずれにしても,華麗なスペイン流パス・サッカーの片鱗は見られたし,これは決勝でのオランダとの対決が非常に楽しみになってきた。
オランダ,スペインの両チームともオフェンシブなチームであるから,ノーガードによる殴り合いのようなサッカーを期待してしまう私は下品だろうか?また来週の月曜日は眠い目をこすりながら,会社に向かわねばならないと思うと憂鬱ではあるが,やはりこれは見逃せないよねぇ。
「タイタンの戦い(Clash of the Titans)」(’10,英/米,Warner Brothers)
監督:Louis Leterrier
出演:Sam Worthington,Liam Neason,Ralph Fiennes,Gemma Arterton
中国出張の帰路に見た映画である。毎度のことながら,フライトの時間が短いので,尺の長い映画は見られないから,選択肢が限られてくるのは致し方がないが,これははっきり言っていただけない映画だったと最初に言ってしまおう。
もともとが神話に基づく話で,日本人には星や星座の名前でお馴染みの神々(または半神半人)が出てくるが,映画としてはアニメを見ているようなものである。まぁこの映画,もともとがRay Harryhausen大先生製作の1981年の映画のリメイクであるから,アニメのようでも不思議はないと言ってはその通りだが,特殊効果も大したことないし,何よりも最後に出てくる化け物,Krakenが全然怖くないし,メデューサもちっとも怖くないのである(ちなみにポスターでSam Worthingtonが掲げているのはメデューサの首である)。
結局のところ,どうも私たちにとっては「神と人間の戦い」と言ってもピンとこないし,大して面白い話だとは思えないのである。Sam Worthingtonが「ターミネーター4」に出てきたときは,もうけ役ながら,カッコいいなぁと思った私だが,その後「アバター」,そしてこの映画と,この手の映画に欠かせない役者になったというのは,本人にとってはよかろうが,もうちょっと出る映画を選んでもいいんじゃないのかと余計なお節介もしたくなるわけである。
飛行機の小さな画面ではこの映画の魅力を理解できるとは思わないが,それでもこの程度のストーリーであれば,金を払ってまで見る理由はないとはっきり言っておこう。またもしょうもない映画を選んでしまった。反省。星★。まぁ唯一,この映画を認めていい点があるとすれば,2時間半だ,3時間だとなりがちな素材を106分という適切な長さに収めたことだけであろう。
なんだかなぁ...。
"The Imagine Project" Herbie Hancock (Hancock Music)
本作が,ジャズ界において本年屈指の話題作の一つであることに異論をはさむ人は少ないだろう。これはHerbie Hancockが全世界でさまざまなミュージシャンと録音したアルバムであり,そのテーマは"Peace and Global Responsibility"である。Herbieは自身のWebサイトで,このテーマを表現するためにUniversal Languageとしての音楽を利用したと書いている。なるほど,なるほど。壮大なテーマを表現するには,これぐらいの規模のアルバムが必要だったということであろう。確かにここに参加しているミュージシャンや,録音場所を考えれば,予算は相当規模のものになっていることは間違いあるまい。
実は私はこのアルバムを購入するまで,このアルバムに対してかなり懐疑的な立場にあった。例えばHerbieのアルバム"Possibilities"に関してはAmazonのレビューに「全体としては伴奏の域は出ておらず,もっとHerbieのピアノが聴きたいというリスナーは欲求不満に陥る」と書いたが,結局,Herbieはプロデューサーとしての役割をより重視していることになる一方で,Herbieらしさが万全に表現されているわけではなかった。今回のこのアルバムについても,そうした危惧を覚えたのである。
だが,このアルバムは,よりテーマが明確なこともあって,Herbie Hancockのジャズ・ピアノを期待しない限りは相当に楽しめるものとなっている。Herbieが掲げる壮大なテーマはさておき,ジャズ,ロック,ワールド・ミュージックがいい塩梅にミックスされているだけでなく,質の高い演奏を楽しめるからである。私がこのアルバムの購入を決意したのは,某ショップでTinariwenとの共演曲を聞いて一発でまいってしまったからなのだが,その他の曲でも,適材適所と言うべきミュージシャンによる演奏が収められている。もちろん,こういう選曲ってどうなのよってケチのつけようもあれば,ゲストの演奏がもっと聞きたいという欲求もあろう。だが,トータルな1枚のアルバムとしては,各個別のミュージシャンたちが,一つの部品として機能しているというところが,プロデューサーとしてのHerbie Hancockの手腕を感じさせる。そのこと自体は素直に認めてもよいだろう。
もちろん,Herbie Hancockというミュージシャンに何を求めるのかによって,このアルバムに対する評価は大きく変わるはずである。しかし,ここまで来れば,HerbieはもはやQuincy Jones的な位置づけであり,そういうものだと思って聞けば,私にはかなり楽しめた。どの曲もそれぞれに捨て難い魅力は持っていると思うが,やはり私はTinariwenとLos Lobosを共存させてしまった"Tamatant Tilay/Exodus"が一番好きかなぁ。"Don't Give Up"も泣かせる出来で,さすがJohn Legendと思わせる。私のお知り合いの皆さんにはDerek Trucks,Susan Tedeschi夫妻を迎えた"Space Captain"が気になる人が多いかもしれないが,もう少し後半のような盛り上がり方があってもよかったようにも思う。それでもDerekのスライドはここでもキレているが。
いずれにしても,どの演奏も私は楽しめるものの,やはりアルバムとしての評価は難しいところではある。だが,ジャズというカテゴリーにこだわりを持たずに聞けば,全体の統一感は"Possiblities"よりは高く評価していいと思う。ということで,ちょっと甘いかもしれないが,星★★★★☆。
尚,演奏への参加者はあまりに多いので,フィーチャーされる人たちだけを記載しておくが,これだけでも大変である。
Personnel: Herbie Hancock(p, key) Featuring P!nk, Seal India. Arie, Jeff Beck, Konono N°1, Oumou Sangare, John Legend, Cèu, Susan Tedeschi, Derek Trucks, The Chieftains, Toumani Diabete, Lisa Hannigan, Juanes, Tinariwen, K’NAAN, Los Lobos, Dave Matthews, James Morrison, K.S. Chithra, Chaka Khan, Anoushka Shankar & Wayne Shorter
P.S. crissさんからのTBを頂いているのでが,相性悪く入ってこないようなので,リンクを貼り付けさせて頂きます。
"Traction Avant" Alessandro Galati (VVJ)
昨日記事にしたEric Le Lannがはずれの代表みたいなものだとすれば,こちらのAlessandro Galatiは大当たりであった。このアルバムは欧州ジャズのファンの間では結構有名らしい(というか,皆さん既にかなりの取り上げぶりであるから,さすがとしか言いようがないが...)のだが,不勉強な私はリーダーの名前も見たこともなければ,聞いたこともなかった(少なくとも意識していなかった)。そんな私がこのアルバムを購入したのは,たまたま行ったショップで,バックがDanielsson~ErskineというピアノをJohn Taylorに変えればPeter Erskineの欧州トリオではないかというメンツにつられてのことにほかならない。しかもエンジニアはECMでもお馴染みのJan Erik Kongshaugとあっては「あの世界」を期待するのが人情である。その期待に応える音が出てきたので,思わず嬉しくなってしまった私である。これなら全く問題はない。いずれにしても,このジャケからは想定できない抒情的な音の連続である。いいねぇ。
しかし,この人,抒情性だけではなく,結構,毒も隠し持っていることはタイトル・トラックのような曲からも明らかであろう。こういうミクスチャーが,ライナーを執筆するKenny Wheeler(リーダーとは共演経験があるようである)をして,このアルバムを「最高レベルのECMレーベルのアルバムに伍する」と言わしめている部分ではないかと感じられるのである。"Wassily"と言う曲は画家のカンディンスキーにちなんで作曲されたもののようであるが,全然抽象的な部分はなく,美的で繊細な演奏が展開されており,Danielssonのベース・ソロが音も含めて素晴らしい。さすがKongshaugと言いたくなってしまった。このあたりもECM的な感覚を覚えさせる要因であろう。
そして,彼らの手に掛ってしまえば,あのMiles Davis作"Solar"さえもが全く違った響きで迫ってくるのである。こういうタッチの"Solar"はあまり聞いたことがないなぁと思わせるもので,まぁ自分の本質を光らせるようなアレンジと言うべきであろうか(と言っても,若干アルバムでは浮いているかもしれないが)。とにかく,現代音楽的な響きも交えながら,全編を通じてECMレーベル,あるいは抒情派ピアノ・トリオ好きにはたまらない魅力を持ったアルバムと言えるのではないだろうか。このアルバムが吹き込まれた当時,Galatiは20代後半だったはずである。その年齢にしてこの落ち着きってのは,Brad Mehldauがメジャーになってきた頃の雰囲気とかぶるものがあると言っては褒め過ぎだろうか。
いずれにしても,知らぬこととは言え,欧州ジャズは本当に奥深い。このアルバムは上述のとおりメンツ買いの一枚であったが,最終的にはAlessadro Galatiというピアニストは大したもんだと思わされてしまった。星★★★★☆。
Recorded between September 12 & 15, 1994
Personnel: Alessandro Galati(p), Palle Danielsson(b), Peter Erskine(ds)
"Le Lann/Kikoski/Foster/Weiss" Eric Le Lann/David Kikoski/Al Foster/Doug Weiss(Plus Loin Music)
新譜でも中古盤でもいいのだが,見たこともないジャケットを見たり,聞いたことがないミュージシャンのアルバムを見つけると,どんな音楽をやっているんだろうと思ってしまうことはよくあることである。そこで購入につながるかどうかは,値段がそもそも安いとか,あるいはCDショップのポップに騙されることもあれば,参加ミュージシャンやら,演奏曲目やら,あるいはレーベルで判断するということになるわけだが,今は試聴機がだいぶ充実してきたとは言え,試聴機にも載ってこないものを買うとなると,買うとなるとある意味ギャンブル的な要素が強い。もし,ブログのお知り合いの皆さんが褒めているようであれば安心なのだが,そんな情報もないときは本当に困ってしまう。このアルバムも,どうしようかさんざん逡巡した挙句に購入したものである。このアルバムはラッパのワンホーン・クァルテットであることと,バックのメンツ,そしてスタンダードとして"Yesterdays"と”You Don't Know What Love Is"を演奏していること,更にはPlus Loin Musicというレーベルを総合して購入に至ったものだが,結果はどうだったか。
録音はキレもよく,バックの演奏もよいのだが,このアルバム,決定的な欠陥はリーダーのトランペットである。どう聞いてもうまいと思えないのである。私はWynton Marsalisに大した魅力を感じないように,別にテクニックだけがすべてだとは思わないのだが,このLe Lann,音は不安定だし,フレージングも今イチで歌心もないのでは,バックのリズム・セクションが宝の持ち腐れにしか聞こえないのである。リーダーの書く曲にも大した魅力が感じられないのも痛い。なんでこの程度のプレイヤーが何作もリーダー作を発表しているのか,私には全くもって謎としか言いようがないというのが正直な感想である。
アルバムそのものを全面的に否定しようとは思わないのだが,これはやはり大した作品ではないことは明らかである。本作を以て,私にはEric Le Lannというトランペッターにダメという烙印が押されたことは間違いない。もちろん,これは私だけの感想であるから,世の中に存在するEric Le Lannのファンには申し訳ないが,それでもダメなものはダメなのである。リズム・セクションに免じて星★★。Le Lannだけだったら,もっとこき下ろした点数をつけていただろう。
ということで,知らないミュージシャンのアルバムを買うのはやはりギャンブルである。迷った時は,iPhoneでお知り合いが記事を書いていないか確かめるに限ると思わされたアルバムである。まぁ,これだけのCDを買っていれば,全部当たりとはいかないのは当然であるが,これは完全に失敗だった。当たり前の話だが,メンツがいくらよくても,カバーできないものもあると言うことだ。それにしても,まじでガックリきた。しかし,それも私の審美眼が不十分だということでもあり,反省もせねば。
Recorded in October 2008
Personnel: Eric Le Lann(tp), David Kikoski(p, el-p), Doug Weiss(b), Al Foster(ds)
もはやW杯もベスト8の激しい戦いが展開されている中で,既に帰国した日本代表の戦いぶりなんてのは記憶の彼方に吹っ飛んでしまっても仕方がないのかもしれない。そうした中で,時期を逸したとは言え,今一度日本代表とパラグアイとの一戦を振り返ってみると,パラグアイのディフェンスに完全に日本代表のオフェンスは抑え込まれていたと言ってよいだろう。よって,攻撃的にはチャンスらしいチャンスはなかったように私には見えた。
その一方で,日本代表のディフェンス陣の頑張りがあって,延長スコアレスまで行ったのだと思える。特に,中澤がクリアしていなければ得点だったろうというシーンが何度もあった。
しかし,私は試合を見ていて,実はPK戦になった段階で日本の負けを覚悟したのである。日本代表の決定力不足が叫ばれて久しいが,それは日本人のメンタルの部分に依存するところが大きいのではないかと思っているのはきっと私だけではあるまい。どうも我が同胞には「はずしたらどうしよう」というマイナス指向があるように思えるのである。その一方で,パラグアイのPKの質の高さは圧倒的だったと言える。最初の二本はGK川島の読みは当たっていたにも関わらず,指にも触れないぎりぎりを狙ってきていたのである。そういう意味ではその辺のここ一発での勝負力/決定力が違う。もちろん,駒野の失敗は責められない。PK戦の心理的プレッシャーは想像を絶するものであっただろう。全体を通じて,日本代表は頑張ったけれども,だからと言って,パラグアイのディフェンスやPKの質がほとんど語られないのはおかしいのである。パラグアイのサッカーはある意味面白くないサッカーかもしれないが,勝てば官軍である。
だが,今一度言いたいのは勝負は紙一重で,日本代表がベスト8に進出していてもおかしくなかったのである。準々決勝のブラジル~オランダ戦において,前半完全に試合をコントロールし,オランダに何もさせなかったブラジルが,後半の一つのミス(O.G.)から崩壊していったのである。しかもそのいらいらの挙句がレッド・カードでは目も当てられない。あのブラジルでさえそうだったのであるから,日本代表にチャンスがなかったわけではない。いずれにしろ,多くの日本人に一時的にでも夢を見させた日本代表の活躍は認めていいと思う。4年後に向けて,どういうスタイルのサッカーを志向していくのかは,次期監督に委ねられるが,その姿はまだ想像できない。だが,次のW杯予選では日本代表が苦手とする中東諸国との戦いが更に厳しくなっていくと覚悟をしておくべきであろう。
でも誰を次期監督に迎えるんだろうか。興味深いなぁ。
"Helping Hand" Steve Khan(Polydor)
今にして思えば,今は亡きトリオ・レコードはECMレーベルのアルバムをガンガン発売したり,日本人ミュージシャンの佳作アルバムを制作したりと,なかなか骨のあるレコード会社であった。そうした事例の中に,Steve KhanのEyewitnessのアルバム群をリリースしたことも含まれてよいと思う。残念ながら,私は当時のアルバムを購入していたにもかかわらず,審美眼が足らず,手放してしまったのは痛恨事である。それらのアルバムはその後,ポリドールからCDで再発されたが,現在では長きに渡って廃盤化しており,市中ではかなりの高値で取引されている。そんな中,私はなぜかこのベスト・アルバムだけを保有していたのだが,そのことも先日CDの整理をするまですっかり忘れていたのだからひどい話である。
私の記憶によれば,私は本作は中古で仕入れたはずだが,購入した当時はそんな無茶苦茶な値段ではなく,2000円台の半ばぐらいだったと思う。このアルバムはトリオ・レーベルに吹き込んだEye Witnessのアルバムとソロ・アルバム"Evidence"からの選曲に,なぜか東京ガスのために吹き込んだ曲を加えたコンピレーションである。これがなかなかに味わいを感じさせる出来で,コンピレーションとしての寄せ集め感がないのはプロダクションとしてもかなり立派である。
Eyewitnessというバンドは現在の耳で聞いても,結構ハイブラウで,コンテンポラリーな響きに満ちていて,実は大したバンドだったのだということを今更ながら思い知らされてしまう私である。例えば,"The Suitcase"なんて改めて聞けば,Discipline期のKing Crimsonのようでもあり,プログレッシブ・ロック的な感覚を感じさせる部分もあって,これが面白い。そのほかの曲(特にEyewitness関連)でも,このアルバムに収められているような音楽であれば,現在においても十分Steve Khanは評価されると思うのである。私は彼の未発表"The Suitcase"がリリースされた時に高く評価した(記事はこちら)のだが,彼のEyewitnessを中心とする80年代~90年代の活動はもっと評価されて然るべきであり,こうしたすぐれたアルバム群は一刻も早く復刻して欲しいと願わざるをえない。そうした気持ちも含めて星★★★★☆。
この頃に比べると,今のSteve Khanの活動ってちょっと地味だよなぁ...。もったいない。
Personnel:Steve Khan(g), Anthony Jackson(b), Steve Jordan(ds), Manolo Badrena(perc, vo), Bill Evans(ss), Clifford Carter(key), Neil Jason(b), Christopher Parker(ds), Cafe(perc)
上海は大都会だと昨日も書いたが,それを実証するような写真をアップしておこう。機会があって,世界で一番高い展望台があるSWFC(上海環球金融中心)に行く機会があった。下から見ると,このビルはこんな感じ(→)あるが,そこの上の展望台が実はかなり怖い。
なんてたって地上500m近いところにある展望台の床が強化ガラスってのは恐怖心を煽るよねぇ。高所恐怖症の人はここに行っただけで足がすくむはずである。なぜ,ここまでやらなければならんのかよくわからん。今は亡きWTCの展望階も,ガラス張りのところまでいくと足元が見えるという怖い場所だったが,この強化ガラス越しに見える足元の風景の方が明らかに怖かった。
別に私は高所恐怖症ではないのだが,それでもひえ~っと思う感覚を皆さんにご理解頂ければと思う。証拠写真はこんな感じ(→)。これじゃ私が感じた恐怖はわからないかなぁ~。でもこれが展望台の床なのである。趣味が悪いと言えばその通りである。やはり中国恐るべしと言っておこう。
今回は短期出張で上海に来た。またも中国だが,前回は上海はほとんどスルーの状態だったので,今回はもう少し観察できるだろうという期待値込みである。
何が驚いたって,物価高である。北京も十分に高いと思うが,その比ではない。さすが大都会,上海。普通の道をランボルギーニが走っていたりして,これまた驚いた私である。
出張と言えば,機内で映画を見るのが楽しみなのだが,今回は上海航空便で来たもんだから,エンタテインメントはなし,食事は「餌」状態で,なんだかなぁという感じだったが,まぁ沖縄に行くのと時間は変わらないのだから文句は言うまい。
いずれにしても繰り返すが,上海は大都会である。本来ならもう少しのんびりと来たいよねぇなんて思いつつ,この蒸し暑さにはデブの私には無理!かもしれない。でも今日頂いた広東料理は最高にうまかったっす。痛風発作の恐怖におののく私...。
それにしても,ここにアップした写真を見て頂いただけではわからないかもしれない(向かって右側にご注目である)が,街路樹を緑の照明を使って真緑にライトアップするってのが,いかにも中国的色使いってことかもしれないなぁ。
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