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2010年7月12日 (月)

コンベンショナルな響きが強いEli Degibri~Brad Mehldau共演作

Eli_degibri001"Israeli Song" Eli Degibri(Anzic)

このアルバムが出るという告知が成された際に,私はEli DegbriとBrad Mehldauとの共演ってどんなことになってしまうのだろうという記事をこのブログにアップした(記事はこちら)。そこにも書いたが,この二人の相性がどのようなものか全く想像がつかなかったからである。そのアルバムが発売されたので,早速聞いてみた。

これは私の思い込みかもしれないが,Eli Degibriというサックス・プレイヤーはその風貌からしても,もう少し激しい演奏をするように感じていたのだが,このアルバムにおけるDegibriにはかなりコンベンショナルな響きが強いのである。まず,そこでやや肩透かしを食らうのだが,伴奏がMehldauはさておき,リズムがRon Carter,Al Fosterという大ベテランでは,まぁある意味想定されるところではあるのかもしれない。Al Fosterとは共演していたのは知っていたが,DegibriのWebサイトによれば,Ron Carterとも既に共演経験があったそうなので,本作はDegibriにとっての2人のメンターにBrad Mehldauが加わるという構成ということになる。しかし,Brad Mehldauは基本的に同年代のミュージシャンと共演することが多く,Carter~Fosterのようなベテランと共演することは珍しい(もちろん,Haden,Lloyd,Konitz等の例外はあるが...)から,彼がどういうタイプのピアノを弾くのかも私としては興味深いところではあったのである。

本作は上述の通り,私の想定以上にコンベンショナルな響きが強いが,演奏は悪くはないと思う。演奏もクァルテット,ピアノ/ベース/ドラムスのそれぞれとのデュオ等,プロダクションもしっかりしているとも思う。だが,今ひとつ満足感を覚えられないのは,この4人が集まることによるシナジーが感じられないことにあるように思われる。Degibriのサックスはテナーでも,ソプラノでもそれなりに魅力的なフレージングを聞かせるのだが,どうも高揚感に欠ける嫌いがある。中盤以降にデュオの曲を集め過ぎたのもそう感じさせる理由の一つかもしれないが,その高揚感の欠如が著しいのがFosterとのデュオで演じられる"Bebop"だろう。この曲をドラムスとのデュオでやるなら,もっと激しくやらなくてはと感じるリスナーは私だけではあるまい。ここではテンポの設定がやや遅かったこと,加えてFosterの煽りが足らないように思えるのである。これでは燃えない。

よって,このアルバムを聞いていても,膝を乗り出すような興奮があまり感じられないのがまずは残念である。一方,Brad Mehldauとのデュオは2曲収められているが,その2曲あるいはMehldauのオリジナルである冒頭の"Unrequited"のような曲を代表に,全編でMehldau節が聞けるから,彼のファンである私にとっては大いに結構ということにはなる。また,"Manic Depressive"ではMehldauには珍しいブルーズ表現も聞けて非常に面白いのだが,そうは言いつつも,やはりアルバム全体では,そこはかとなく感じられるDegibri,Mehldauのベテランに対する「遠慮」のようなものが,このアルバムを私が全面的に支持できなくしている理由のように思える。若手の2人が「全開」ではないように感じられてしまうのである。

一方で,Degibriの強面からは想像できないような"Jealous Eyes"のような佳曲もあり,この人は一体どのあたりが本質なのかよくわからなくなってしまった。こういう曲を聞くと,まさに人は見掛けによらないと思わされる。まぁあまり強面,強面と人に言えた義理ではないだろうという声がどこからか飛んできそうだが...。

いずれにしても,メンバーからすれば,本作はジャズ界では相当大きな注目を集めることは間違いないディスクではあるが,同じ楽器編成のJoe Martinの"Not By Chance"とどちらが好きかと言われれば,私にとっての答えは明らかに後者ということになってしまう。

ということで,やや辛口の評価にはなったが,アルバムとしてはそれなりに楽しめるということは繰り返し強調しておきたい。このアルバムに対する期待が大き過ぎただけの話なのである。星★★★。Degibriを既によくお聞きの私のブログのお知り合いの皆さんのご意見を拝聴したいところである。

Recorded on December 22, 2009

Personnel: Eli Degibri(ts, ss), Brad Mehldau(p), Ron Carter(b), Al Foster(ds)

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コメント

音楽狂様
こんばんは。今日ようやく4回目位を聴いていて、後日アップすると思います。良いんですが何点かもやもやしてまして、それが何なのかボンヤリ考えてますよー。ではまた。

ki-maさん,こんばんは。私も何回か聞いたんですけど,ピンとこない部分は残存しています。それはスリルの欠如って感じではないかなぁと思ってるんですが,私にもはっきりしません。まぁでも,もっとハードボイルドな感覚が欲しいかなってのが正直なところでしょう。

ki-maさんの記事をお待ちしております。

これはちょっと微妙な作品でしたね。
やっぱりロン・カーターはミスキャストかと思いますが。偏見かな。

恩師を顔を立てて、とりあえず一枚作っておこうか、ってなノリでできちゃったアルバムにような気がします。

あ、それから、中年音楽狂さんの記事を読みながら思わず懐かしくなり、アル・グリーンの「Greatest hit 」をamaozn に注文してしまいました。先ほど到着したので、これから聴きながら寝ます。先日終了したNorth Sea Jazz Festival でも元気な姿を見せてましたね。既にYoutube にアップされています。

では、また。

crissさん,こんばんは。TBありがとうございます。記事には書かなかったんですが,私もRon Carter嫌いなんですよねぇ。私もミスキャストだと思います。

それにしてもcrissさんの記事も結構辛辣でしたね。ということで,こちらからもTBさせて頂きます。

実はどこかで出くわしていたと思っていた Eli Degibriですが、実質初体験ではありました。他のアルバムの方が現代ジャズしているようですけど、それが分からないため、実質ブラッド・メルドーの方を向いて聴いていた感があります。他のアルバムにも機会があればあたって見たいと思います。

TBさせていただきます。

910さん,TBありがとうございます。

私もはっきり言ってBrad Mehldauが参加していなければ,買っていなかったアルバムです。いずれにしても,いろいろな方もおっしゃっていますが,ここでの演奏はDegibriの本質ではないという感じです。

私もRon Carterが嫌いなので,それもネガティブに作用しているのは間違いありませんね。

こちらからもTBさせて頂きます。

たしかに、これまでのベストとは言えないです。
巨匠との共演ということで、丸く収めよう的な演奏を感じる部分もあります。

でも、巨匠の胸を借りて往年ジャズの薫陶を受けたという経験をしっかり感じさせる演奏だと思いましたし、今後の大化けを期待させる盤になっていると思っています。

TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。

oza。さん,こんばんは。TBありがとうございます。

私がこのアルバムを今ひとつ評価できないのは,Ron Carterのせいと言ってもいいかもしれません。私,Carterが嫌いで,どうしても巨匠と思えないというところがあるんですよねぇ。もしCarterがお好きなら申し訳ないですが,これって最早生理的なレベルみたいなところもありまして...。

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