2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

2015年おすすめ作

2015年おすすめ作(本)

無料ブログはココログ

« 2010年3月 | トップページ | 2010年5月 »

2010年4月30日 (金)

Clifford Jordan:どういう理由で買ったのか,記憶にない(爆)

Cliff_jordan"In the World" Clifford Jordan (Strata East)

最近,手持ちの音源をリッピングする作業をしていると,こんなCD持ってたっけ?なんていうアルバムに遭遇することがある。このアルバムもそうした一枚である。とにかく,どういう理由で買う気になったのか,全く覚えていないのである。どなたかのブログに影響を受けたというわけでもないし,中古で仕入れたのかも実は記憶にない。しかし,日頃の私の購入パターンからすれば,おそらく中古でリーズナブルな価格だったので買ったものと思われる。大体,CDを買ったときの心境や,買った店なんかは覚えていることが多いのだが,本作に関しては完全に記憶が欠落しているのである。これも歳の成せる業なのか。いずれにしても,私が積極的に購入するタイプの音楽ではないから,非常に不思議な感覚があったのである。

それはさておきである。こういう音楽は往時のジャズ喫茶を思い起こさせるサウンドというべきであろう。おそらく,ジャズ喫茶空間でこのアルバムがかかっていれば,耳をそばだててしまうことは確実であろう。それでもって,おそらく掛かるのはA面ばかりということになっていたのではなかろうか。

いずれにしても,不思議なメンツによるアルバムである。晩年のWynton Kellyが参加しているのも珍しければ,2ベースだったり,2ドラムスだったりの演奏もあるという編成も珍しい。更にはJordanとは資質が異なるようなDon Cherryが参加しているというのも意外である。しかし,そのCherryの起用がズバリ当たっているというべきではないかと思うのである。おそらく,本作の人気曲"Vienna"におけるCherryの鋭いフレージングが,この演奏の緊張感を高めたようにも思えるからである。

まぁ,こういう音楽って,我が家で聞いていると不思議な気分になってしまう(大体どういうタイミングで聞けばいいのかよくわからん)し,そもそもボリュームを上げられない状況では,本作の良さは実はわからないのではないかとも思えるが,1960年代の後半の空気感をうまく切り取ったような演奏と言えばいいだろう。暑苦しいと言ってしまえばその通りであるが,これはやはりジャズという音楽を強烈に発散していると言うべき演奏なのである。私がこのアルバムを聞いたのは久々のことだったはず(あるいはちゃんと聞いていなかったのかもしれない)だが,全編を通じて,暑苦しさを楽しんでしまった。人気のあるのはA面だったかもしれないが,後半の演奏も楽しめるとちゃんと言っておこう。星★★★★☆。

Recorded in Spring, 1969

Personnel: Clifford Jordan(ts), Don Cherry(cor), Keny Dorham(tp), Julian Priester(tb), Wynton Kelly(p), Wilbur Ware(b), Richard Davis(b), Albert "Tootie" Heath(ds), Roy Haynes(ds), Ed Blackwell(ds)

2010年4月29日 (木)

「第9地区」:これがオスカー作品賞ノミネートとは...

9「第9地区(District 9)」('09,米/ニュージーランド,TriStar)

監督:Neil Blomkamp

出演:Sharlto Copley,Jason Cope,David James

この映画が南アフリカを舞台にしているのはアパルトヘイトに対する皮肉だと思うが,そうした点は評価に値するとしても,描写はかなりエグい。本作は「ロード・オブ・ザ・リング」の監督であるPeter Jacksonが製作に関与している以外は,監督も役者も不勉強にして全く知らない人ばかりであるが,そうしたインディな感じがこの映画への評価を高めさせた要因かもしれない。

だが,本当にこの映画って,オスカーにノミネートされるほど優れた映画なのだろうかと思ってしまう。演出もしつこいぐらい撃たれて吹っ飛んだエイリアンの肉片とかをカメラにぶつけてくるし,エイリアンそのものの造形も「えび(Prawn)」と呼ばれるに相応しい気味の悪さである。

最後はなんだか,「エイリアン2」でのパワーローダーみたいのまで飛び出し,一体なんのこっちゃと思わせる展開であるが,結末からして,続編を作る気なのかなぁと思わせる。いずれにしても,カルト的な臭いがプンプンする映画だと言ってもよいかもしれないが,いずれにしても,あまり見ていて気持ちのいい映画だったとは言えない。

まぁ,構成としてはうまく書けているのかなぁとも思えるが,このえげつなさはちょっとなぁ...。私はもう少し社会派のタッチが強い映画かと思っていたが,予想とは異なる展開に驚き,ある意味呆れてしまった。まぁ,これはこれで悪くはないが,私としては星★★★が精一杯だろう。本当にこの映画が昨年米国で公開された映画のトップ10本の一つなのかというと甚だ疑問だと言わざるをえない(もちろん全部見たわけではないとしてもだ)。

ごめんなさ~い。

皆さん,こんばんは。本日は真っ当に記事を書ける状態にありませ~ん。ということで,本日は開店休業。これならTwitterで十分じゃん(爆)。

明日はもう少し真面目に書きたいなぁ...。

2010年4月28日 (水)

沢尻エリカの悲喜劇

以前,このブログで映画「クローズド・ノート」について書いたことがある。映画云々を語る前に,沢尻エリカの「別に...」発言が物議をかもしてしまった不幸な映画である(記事はこちら)。

そんな沢尻エリカのゴシップが喧しく語られている今日であるが,そもそも彼女の不幸は,高城剛なんていうわけのわからん男に引っ掛かってしまったことにある。ハイパーメディア・クリエイターなんて実態の伴わないどこそこのぼんぼんに口説かれたこと自体がこの人の不幸の発端だとしても,男に対する審美眼を持ち得なかったこと自体に罰が当たったということである。本人はそれをまず反省した方がよかろう。

それにしても,「早朝に都内の実家を出て行方をくらました上、携帯電話の番号も変える」ということ自体,相変わらず行動パターンが幼いままで笑ってしまうが,いずれにしても,今後も結婚やこの騒ぎの前の人気の状態に彼女が戻れることはありえないだろう。美人なのに馬鹿げた話だが,これこそ「自業自得」である。それに比べれば,日経の「私の履歴書」における有馬稲子なんて潔いものだ。あの潔さを見習えば,別の世界も開けるかもしれんなぁ。

私なら沢尻には「尼寺へ行け」って感じだが,それにしても本当にもったいない話である。

2010年4月27日 (火)

本日の買い物:Booker Ervinの"The In Between"

Booker_ervin今日はこのアルバムのオリジナル盤が、私に「おいで、おいで」をしていた。一方の私は、このアルバムの何とも言えないアンバー・カラーに一目惚れをしてしまった。万一音源に満足できなくても、このジャケの色でOKと言ってしまうだろう。

アンバー=琥珀色=ウイスキーという単純な発想以上の痺れるジャケである。素晴らしい。

Merrill_beckもう一枚買ったのはHelen Merrill+Gordon Beck。こいつもしぶい。でもいつ聴くのやら…。それにしても買うアルバムに一貫性のないこと甚だしい私。でもいいのよ。酔っ払ったうえでの大人買いだし...(爆)。

よい子の皆さんはこういうことはやめましょうね。

2010年4月26日 (月)

Eric Claptonと私の出会い

461_ocean_boulevard "461 Ocean Boulevard" Eric Clapton (RSO)

思えば,私がEric Claptonのアルバムで初めて買ったのがこのアルバムである。もう35年以上経ってしまったというのが信じられないが,やはり初めて聞いた時の印象は強烈に残っていて,Claptonと言えば,私にとっては今でもこのアルバムということになってしまう。もちろん,後追いで"Layla"やらその他のアルバムも聞いてきた私だが,その印象には変化はないと言ってもよい。

このアルバムを初めて聞いたとき,Claptonがいかに麻薬でヘロヘロだったかなんてことは知らなかった私だが,何ともゆったりしたというかレイドバックした雰囲気が良かったなぁなんて記憶している。そうは言いながら,冒頭の"Motherless Children"で聞かれる強烈なスライドに,私は相当興奮させられたことだけは間違いない。もちろん,シングルとして"I Shot the Sheriff"がヒットしていたのをきっかけとして私はこのアルバムを買ったはずなので,ああいうトーンが支配的なんだろうと思っていたところに,この冒頭の一撃だったから,それは強烈だった。

思い起こすに,その頃はレゲエなんて全然意識していなかったし,Bob Marleyも知らなかったから,私は純粋にこのシングル・ヒットを「ええなぁ」なんて思っていたはずなのだが,アルバム単位で聞いても,基本的にはゆったりした感覚が強い曲が多い。これは録音されたのがマイアミだったということも影響したかもしれないし,Claptonが麻薬から立ち直って,こういう音楽にアイデンティティを求めたというか,こういう音楽をやりたかった,あるいはこういうものしかできなかったのかもしれない。しかし,いかにもマイアミという健康的な(実はマイアミは健康的なだけとは言えないような土地柄だが,昼時は太陽が燦々と照っており,イメージは極めてヘルシー...)場所が,このアルバムの軽さ,明るさに何らかの影響を与えていることは間違いはなかろう。ジャケからして健康的だし。

いずれにしても,このアルバムが契機になって,私は結構なClaptonファンになったのだから,このアルバムには感謝をせねばなるまい。懐かしさと,その後のClaptonとの付き合いへ導いたことも含めて星★★★★★。まぁ私にとっては"Layla"と双璧であることは間違いない。まぁコアなClaptonファンからすれば,私みたいなのは邪道かもしれないが,人それぞれに歴史ありってことで...。

尚,私が現在保有しているのは2枚組デラックス・エディションのCDだが,2枚目のHammersmithでのライブはさておき,1枚目のリハ・テイクのような演奏ははっきり言って蛇足だろう。私はこのアルバムのオリジナルの曲だけで十分である。

Recorded in April & May, 1974

Personnel: Eric Clapton(vo, g), Yvonne Elliman(vo), Albhy Galuten(key), Dick Sims(key), George Terry(g, vo), Carl Radle(b), Jamie Oldaker(ds, perc), Al Jackson, Jr.(ds), Jim Fox(ds), Tom Bernfeld(vo)

2010年4月25日 (日)

Paul Motian:異色のメンツ,異色の演奏,でも好き。

Lost_in_a_dream"Lost in a Dream" Paul Motian(ECM)

先日,このブログでEnrico PieranunziとPaul MotianのデュオにChris Potterが客演したアルバムを取り上げたが(記事はこちら),ピアノをJason Moranに変えたアルバムである。Piearnuzi盤がどちらかというとクリポタ客演曲にダイナミズムを持たせていたのとは異なり,このアルバムは,ECMレーベルらしい静謐さが支配的である。途中にフリー的なアプローチも聞かせるものの,これはやはりリーダーとしてのMotianの特性に基づいて展開されたのだろうと思わせる。

しかし,こうした静謐な雰囲気の中でも,クリポタが繰り出すフレーズは刺激的で,雰囲気はクリポタ・ファンが求める世界ではないとしても,彼の演奏は楽しめるはずである。また,Jason MoranはJaki Byard,さらにはMuhal Richard Abrams,Andrew Hillに師事しただけあって,こういう雰囲気はお手の物かもしれない。そもそもMoranって,Charles Lloydともベースレスのトリオで来日もしたことがあるはずであるから,このフォーマットは決して苦にならないのだろう。通常の感覚では変わった編成(だって初代山下洋輔トリオの構成だ)であることを意識させない演奏を展開していて,大いに評価したくなってしまう。また,MoranはDave HollandのOvertone Quartetにおいては,クリポタとバンド・メイトだったこともあり,ここでもかなりの相性の良さを示しているのではないだろうか。

いずれにしろ,ジャズらしい「熱さ」というものをほとんど感じさせない音楽であるが,それでもここでの緊張感あふれる演奏を聞けば,録音されていた日にVanguardに来ていた聴衆が確実に満足して帰路についたことは想像に難くない。Paul Motianと言えば,Bill EvansのRiverside4部作においてドラムスを担当していたことばかりが話題になりがちであるが,そういう要素をサトルなドラミングの中に感じさせながらも,より自由に演奏に参加することをよしとしているように強く感じるのである。

その辺りが,まさしくPaul Motianらいしいと言えばその通りであるが,一般のリスナーの好き嫌いはかなり大きく分かれるのではないだろうと思われう作品である。しかし,夜遅くなってから,この作品を聞いてみれば,そうした時間にフィットしたアルバムであることはわかって頂けるのではないかと思っている。ということで,私はこのアルバムを否定できない見解を持つがゆえに,星★★★★。万人向けの音楽とは思わないが,確実に夜には合うはずだ(眠気を誘うという話もあるが,それは音楽としてよいから眠くなるのだ,と強弁したい)。

いずれにしても,途中で拍手などが入らなければ,Vanguardでのライブってことを忘れてしまいそうである。聴衆もこのライブに関してはおとなしいものであるが,ローカルの聴衆がこの音楽を生で聞いて,実際のところ演奏中にはどのように感じたかは非常に興味深い。ここに旅行客が混じっていたら,面喰ったんだろうなぁ,なんて考えてしまうが。

Recorded Live at the Village Vanguard in February 2009

Personnel: Paul Motian(ds), Chris Potter(ts), Jason Moran(p)

2010年4月24日 (土)

Pierre de Bethmann:Brian Blade Fellowshipへのフランスからの回答?

Cubique_bethmann"Cubique" Pierre de Bethmann(Plus Loin Music)

先日,Moutin Reunion Quartetの演奏を聞いたとき,そこでピアノを弾いていたPierre de Bethmannに関して「この人のアルバムも同じレーベルから去年出ているようだから,そっちも聞いてみたい なぁ」なんて書いたばかりだが,ラッキーなことに未開封盤を900円でゲットである。

それでもって聞いてみたところ,Moutin Reunion Quartetとはだいぶ趣が違っていて驚いてしまったが,編成が近いということもあって,これは私は,フランスからのBrian Blade Fellowshipへの回答ではないかと思ってしまった。

私はBrian Bladeのバンドが相当好きなので,それでも全く問題はないのだが,Fellowshipはジャズ的な要素が必ずしも濃厚でないバンドであるから,当然ここでの演奏も好き嫌いが分かれるサウンドであろう。しかし,ここでの音楽はBladeの音楽の持つ米国の原野あるいは荒野を感じさせる部分はあるものの,やはり欧州的なもう少しクローズドな感覚が残存していることも事実であり,そこが面白い。ヴォイスの効果もあるし。

しかし,Moutin Reunion Quartetでの弾きっぷりを考えれば,Bethmannはここではピアニストとしてよりも,バンド・リーダーに徹しているという考え方もできるわけで,そのあたりには欲求不満が残るリスナーもいるのではないかと思える。また,私はBethmannと言っても,Prysmの音楽を聞いていないので,そうした事前のデータがないところで聞いているから,ある意味,事前の擦り込みがないということなる。だからこそ私は結構満足度が高かった。

私としては,気まぐれで入った中古盤屋で,思わぬ安値で入手できて,それで尚,音楽はしっかり作られていたのだから,私としては全く問題なしである。Bethmannのシャープさはあまり感じられないとしても,Rhodesによるグルーブと,Fellowship的なサウンドの心地よさもあり,おまけも含めて星★★★★。そうは言いながらも,やはりこの人のフレージングは十分魅力的だった。ちなみに,曲が一時期のWayne Shorterっぽいかなぁなんて感じたのは私だけ?

Recorded during June 15-17, 2009

Personnel: Pierre de Bethmann(rhodes), Jeanne Added(vo), Stephane Guillaume(as), David el-Malek(ts), Michael Felberbaum(g), Vincent Artaud(b), Franck Agulhon(ds)

2010年4月23日 (金)

どうしても耳につく「ブラックワンダ」のCM(ついでに口ずさむ私!)

この主題を見てピンと来る人はMXテレビの円谷劇場を見ているか,特撮モノ好きか,あるいは私と同年代の人に違いなかろう。

何と言っても,件のCMで使われているBGMは「帰ってきたウルトラマン」におけるMATのテーマである。そこで聞かれるワンダバ・コーラスと商品名ワンダを掛けるところに思わず受けてしまった私だが,まぁ何とも懐かしいのである。

「帰ってきたウルトラマン」と言えば,ドラマの中で,ヒロインである榊原るみとその兄役,岸田森がナックル星人に殺されてしまうというありえない展開に,子供心にも驚かされてしまった私であるが,ウルトラ・シリーズの中でも,飛びぬけた暗さを持っていたように思う。そしてそこで聞かれるワンダバ・コーラスもマイナーな響きを持っているが,冬木透らしい曲ではある。まぁ私としては「ウルトラセブン」における"Ultra Seven"の方が好きだが。曲がわからないって方は,下のYouTubeをクリックしてみて下さいね。歌詞も付けちゃうので,みんなで歌おう!(アホかっ!)

でもやっぱり,これってカッコいいよなぁ。それにしても何でもありのYou Tubeである。凄い世の中になったものだ。

(one, two, three, four.……) Come on Seven
(one, two, t
hree, four.……) Ultra Seven
Attack the
Hawkmissile
Fighter Se
ven
Ultra Seve
n

(one, two, t
hree, four.……) Let's go Seven
(one, two, t
hree, four.……) Ultra Seven
Strike the
Eyeslugger
Hero Seven

Ultra Seve
n

2010年4月22日 (木)

元祖Orchestrion発見?

Orchestrion_2先日,中国出張した時に,厦門(アモイ)の某所で,おぉっ,これってOrchestrionの元祖ではないのかというものを見掛けてしまった。私が撮った写真はピンボケ甚だしいので,同行したこやぎ@でかいほうさん撮影の写真を添付する。せっかくこういうものがあるのだったら,実際に音を出してみる方が,集客効果があるのではないかと思うのだが,一切音は出ないようになっていたようである。しかし,これはピアノ・ロールのようなもので制御するという,極めてアナログな作りで,どんな演奏が聞けるのかなぁなんて今でも思っている。

Orchestrion_1 それにしても,こういうものを収集してしまう人がいるのだから凄いわ。下の写真の左下に写っているのがロール紙で,この穿孔パターンで楽器の制御をしているはずである。右手に写っているのはオルガンだが,これは空気が出て鍵盤を押す仕組みのように見えた。いやいや,やっぱり面白いわ。Pat Methenyが見たら,何と言うだろうか。興味あるなぁ。

2010年4月21日 (水)

"Highway Rider":これはBrad Mehldauの新機軸である(ようやくアップ)

Highway_rider "Highway Rider" Brad Mehldau(Nonesuch)

私がこのアルバムを初めて聞いてから,結構な時間が経過してしまった。聞いてすぐに記事もアップしたのだが(記事はこちら),その時には,この音楽と対峙する時間がもう少し必要だと感じて,ちゃんとレビューはしなかった。

それから,しばらく時間が経って,何回か聞いたこのアルバムであるが,"Largo"に続くJohn Brionとのコラボ作とは言え,Mehldauのファン層をロック/ポップ・ファンにも広げたと思しき"Largo"との接点はあまり感じられないままである。一部,雰囲気が似ている部分もあるが,"Largo"の方が選曲にポップなところもあるのに比べれば,こちらは全編オリジナルだし,オケも入っているのだから違って当然である。そして,何度か聞いてみてこのアルバムについて思ったことは,Mehldauがここで目指したのは,一ピアニストからの逸脱と作編曲への取り組みの強化ということである。

先日,前回の記事に対して,ブログのお知り合いである910さんからコメントを頂き,その返信として「Brad Mehldauはカーネギー・ホールから2010-11年のシーズンの常任作曲家というポジションに任命されています。実はこのアルバムの収録曲も,その オープニングとして今年の11月にライブで演奏されることが決まっているというのが,このアルバムを解釈する上での鍵になるのだと思います。」と書いたばかりである。常任作曲家という表現が正しいかはわからないが,委嘱を受けて作曲に取り組むことを示したものであろう。そんな事実からしても,私はこれは書かれた音楽として,再演も意識した上での作品ではないかと考えている。

よって,前回一聴して映画音楽のようなイメージを持ったのもそうした部分と重なる部分が出てくる。しかも,MehldauはClaus OgermanとMichael Breckerをひな形の一つにしているという意外な事実からしても,そうした感覚が強くなるのである。そしてメロディの主題とそれに対する応答フレーズというモチーフをどう活かすかというところに腐心したようにライナーから読み取れることからしても,私の感覚にはそう大きなずれはあるまい。

だからこそ,ソロイストとしてのJoshua Redmanがここではサックスを吹くまくることはないし,書かれた音楽のバリエーションとして,即興を楚々として展開していると思えてくるのである。結論としては,本作をこれまでのMehldauの音楽の延長線上,あるいは純粋なジャズとして捉えると,やや違和感を覚えるリスナーがいてもそれは不思議ではないと思う。だが,これはBrad Mehldauが作編曲家として新たな一歩を踏み出したことを示す作品として,そのチャレンジを私は高く評価したいと思う。もちろん,これが彼の最高傑作だとは思わないし,私が最も好きな作品でもない。しかし,今後の作編曲家としての展開にも期待を込めて,ちょっと甘いかもしれないが星★☆としておこう。

いずれにしても,カーネギー・ホールもしくはそれに付随する小ホールで本作の音楽が再演されるときに,どのような演奏が展開されるのかは興味津津である。尚,こちらをクリックしてもらうと面白いものが見られるので,是非お試しを。相当なレベルまでちゃんと譜面が書かれていることが手に取るようにわかる。

Recorded on February 16–28 and May 12–19, 2009

Personnel: Brad Mehldau(p, org, key, perc, vo), Jeff Ballard(ds, perc, vo), Joshua Redman (ss, ts, vo), Larry Grenadier(b), Matt Chamberlain(ds, vo), Dan Coleman(cond), The Fleurettes(vo)

2010年4月20日 (火)

ようやく入手したGil Evans British Orchestra完全版

Gil_evans_british_2"The British Orchestra: The Complete Concert" Gil Evans (TAA)

以前,このアルバムについてはLPについて書いたことがあるのだが,3曲追加した完全版CDがあることがわかっていて,ここでの演奏に感じられるブリティッシュ・ロック的なフレイバーが好きだった私は,いつか買いたいなぁと思っていた。しかし,結構安くはない値段で流通していたので躊躇していたのだが,やはりこれは聞きたいと思って,海外からゲットしてしまった。日本なら輸入盤CDが2~3枚買える値段だから,決して安くはなかったが,これはこれで仕方があるまい。

このCD版に追加されているのは"Stone Free","Gone","Here Comes the Honeyman"の3曲だが,オクラ入りさせるには勿体ない演奏群であり,ここでもブリティッシュ風味が効いた演奏が聞けて私は嬉しくなってしまったのである。特に"Gone"なんて相当熱い。私は聞いていて思わず燃えてしまったではないか。

前回,LP版をレビューしたとき,当時の状況からしてドラムスはSimon Phillipsのはずだと書いたが,今回入手したCDにはドラムスはJohn Marshallだと書いてある。そうなのかなぁと思いつつも,John Marshallならありえるなぁというところで,今回のメンバー表記はそれに従うことにするが,そんなことでこのアルバムの価値が下がることはない。

まぁ,ここでの演奏は,当時のMonday Night Orchestraと違って,Lew Soloffのようにバックで即興リフをコントロールする番頭格がいないこともあり,その辺りもいつもと響きが違って聞こえる理由かもしれない。しかし,John SurmanやJohn Taylor等の参加が嬉しいことは間違いのない事実であるし,Surmanのソロなんて相当にいけている。更にMNOにも参加していた英国出身のChris Hunterにとっても,母国への凱旋のようなところもあったのではないかと思わせるようなソロを聞かせる。

このアルバムを聞いていて,Gil Evansという人が英国のミュージシャンからも大きなリスペクトを寄せられていることがわかって嬉しくなってしまうが,改めて今回聞いてみても,私はこのアルバムは相当にいいと思っている。そのサウンドの要がRay Russellの鋭くかつロック・フレイバーのきいたギターだという思いにはいまだに変化はない。やはりこれはよい。

いずれにしても,ようやく入手できたことの嬉しさもあって,ちょっと甘いが星★★★★★にしてしまおう。

Recorded Live in Bradford, UK on March 18, 1983

Personnel: Gil Evans(p, key), Guy Barker(tp), Miles Evans(tp), Henry Lowthar(tp), Malcom Griffiths(tb), Rick Taylor(tb), Chris Hunter(as, ss, fl), Stan Sultzmann(ts, ss, fl), Don Weller(ts, ss), John Surman(bs, ss, b-cl, key), John Taylor(key), Ray Russell(g), Mo Foster(b), John Marshall(ds)

2010年4月19日 (月)

ピアノ・トリオによるClifford Brownトリビュートってのは珍しい

Joy_spring "Joy Spring" Bill Carrothers(Pirouet)

このブログでも,Bill Carrothersについてはサイドでの参加を含めて何度か取り上げたことがあるが,基本的には決してメジャーとは言えない人であろう。しかし,これまでのアルバムでも明らかなとおり,かなりの実力を持った人であり,このレーベルでのリーダー作も4枚目であるから,レーベル・オーナーからはそれなりの期待を掛けられているに違いない。そのCarrothersがなぜClifford Brownゆかりの曲ばかりを演奏しようと考えたのかは全く謎である。Clifford Brownへのトリビュートって,ヴァイブのLem Winchesterとか複数のトランペッターを迎えたHelen Merrill等がやっている(後者はゆかりがあるからまぁわかる)が,ピアノによるものってあるのかなぁなんて思ってしまうが,まぁいずれにしても珍しい。

まぁ元の素材がBrownieだけに,冒頭の"Junior's Arrival"なんて軽快に始まって,結構コンベンショナルな路線かと思わせながら,このアルバム,実は一筋縄ではいかないのである。"Joy Spring"なんてこのレーベルらしい(何と言ってもMarc Coplandのアルバムをバンバン出しているPirouetである)と言うか,何とも静謐な演奏で,とても"Joy Spring"と思えぬような演奏であり,へぇ~(あるいは何じゃこりゃ)と思わせる。また,"Jordu"なんてリズムをひねり過ぎではないかと思わせるような演奏で,これがこのアルバムの評価を難しくする要因にならないかと私は感じてしまう。ある意味では,Bill Carrothersの本質が掴めないというか,この人のこのアルバムにおける本心がよくわからないのである。

まぁ,ひたすらスイング感を打ち出してしまえば,凡百のプロダクションだという可能性もあろうが,Brownieという素材のよさがあるのだから,現代におけるインタープリテーションとかあまり考えずに,ここは素直に直球勝負でもよかったのではないかと思う。なぜならば,本作においては,スイング感を漂わせる演奏の方がはるかに魅力的だからである。ということで,私にとってはこのアルバムは悪くはないのだが,全面的には支持しづらいというのが本音である。"Powell's Prances"なんて,Bill Stewartもカッコよくて,この路線でもっとやればよかったのになんて思ってしまった。ラストの"I Remember Clifford"はしっとりとしていながらもいい演奏だが...。星★★★☆。

このアルバムはリズムがMarc Coplandの"Night Whispers"と同じということもあって,ついつい比較してしまうわけであるが,本音を言ってしまえば私としてはプロダクションの方向性が明確なMarc Coplandの方に私は魅力を感じてしまうなぁ。あぁ,それは私がネクラだからって話かも...(爆)。

Recorded on January 25 & 26, 2009

Personnel: Bill Carrothers(p), Drew Gress(b), Bill Stewart(ds)

2010年4月18日 (日)

大自然の驚異:アイスランドの火山噴火

Photo海外出張の機会が多い私にとっては,飛行機の欠航や大幅な遅延というのは結構厳しいものがある。以前,米国に出張した時,日本への台風直撃で,帰りの機材が来ず,サンフランシスコ近郊レッドウッド・シティで丸2日間足止め,結局ヴァンクーバー経由で日本に辿り着いたことも懐かしい。そのせいで引き受けていた結婚披露宴の司会に急きょ代役を立てる羽目になってしまったという苦い思い出も...。

Photo_2 しかし,今回のアイスランドの火山の噴火による欧州各地の空港のシャットダウンというのは,それどころの話ではない。これだけの航空網のマヒは9・11以来であろうが,今回は,火山灰が飛行中のエンジンにクリティカルな影響を及ぼす可能性が否定できないという理由によるものらしい。確かに写真を見るだけでも噴煙が凄いわ。この火山にとってはおよそ2世紀ぶりの噴火らしいのだが,もし富士山が噴火したら,一体日本はどうなってしまうのかと思わされる事象である。まぁジェット気流は西から東に流れるから,今回ほどの航空網への影響は日本以外にはないのかあなぁなどと想像しつつも,これはやはり凄い。まさに大自然の驚異である。いずれにしても,現在,欧州出張中の日本人の皆さんにはご苦労様としか言いようがない。また,火山は氷河の下にあるらしく,アイスランドでは噴火で溶けた氷河による洪水も心配されているようである。現地の皆さんにはお見舞いを申し上げたい。

Icelandvolcanoashfromspace 今回の火山灰の様子は,国際宇宙ステーションからも見えるらしく,現在宇宙に滞在中の野口聡一氏が撮影した写真がネット上で見られるので,それも貼り付けてしまおう。真ん中のボーっとした帯のようなものが火山灰である。

こういうのを見ると,ますます大自然のパワーは凄いなぁと思わされるが,その一方では,季節外れの雪に見舞われた東京である。エルニーニョが影響しているとかいないとかいう話もあるが,出張先の中国から戻ってきたら,現地と成田の気温差が20℃ってのにはさすがに参った。いずれにしても,人間は自然の前ではあまりに無力であることを悟らされるような出来事であった。ネット時代を反映して,凄い映像がYou Tubeにアップされていたのでそれも貼り付けておくが,これってマジで凄い。どうやって撮影したのよ。もしかして命知らず?スノー・モービルとか映ってるし,噴火している前で呑気に立っている人間って
一体何を考えとんねん?と突っ込みたくなるのは私だけではあるまい。

2010年4月17日 (土)

Tom Harrellの新作:演奏最高,でも曲が...

Tom_harrell_roman_nights "Roman Nights" Tom Harrell(High Note)

昨年の"Prana Dance"からほぼ1年というインターバルで届けられたTom Harrellの新作である。私はこの間,出張中のNYCはVillage Vanguardにおいて彼らのライブを見ているから,全く久しぶりという感覚はない。いずれにしても,Vanguardでの演奏も素晴らしかったし,最近のTom Harrellはバックのメンバーにも恵まれて,創造力の高まりを示しているものと解釈したい。

だが,私は前作が出た時に,このブログで「本作に収められた彼のオリジナル曲にHarrellらしいハッとするようなメロディを見出せないのは誠に残念」と書いた(記事はこちら)が,全く同じことが本作にも当てはまってしまうのが何とも微妙である。テーマが終わって,アドリブに入った段階で,彼らは素晴らしさを存分に発揮してくれるのだが,いかんせん,曲があまりにも面白くないのである。ピアノとのデュオで演奏されるタイトル・トラックなんて,いかにもHarrellらしいメロディ・ラインだとは思うが,これが普通なのである。これに比べれば,ほかの曲はあまりに魅力に欠けやしないか。

だが,演奏は本当に最高である。Harrellは相変わらず,ミッド・レンジの音を中心にしながら,いいソロを聞かせるし,バックのメンツも実力を発揮していて,ジャズ的なスリルも感じることができるのである。だからこそ,Harrellにはもう少し曲を磨いて欲しいのである。アンサンブルもバックからのプッシュもきっちり決められるメンバーなのだから,これで曲がよければ...と思うのは私だけではないはずである。

ライブで聞いた時には,あまりそういう問題を感じなかったのは,ライブ特有の雰囲気もあるかもしれないし,韓国焼肉を食した後だったので,焼酎でできあがっていたのかもしれない(爆)。だが,改めてこのCDで聞いてみると,曲の弱さばかりが印象に残ってしまったのは事実である。だが,Harrellとバンド・メンバーの名誉のために書いておくが,演奏は極めて高いレベルである。だからこそ惜しいのだ。星★★★☆。

しかし,よくよく読み返して気付いたが,"Prana Dance"の時に書いた記事と,トーンが全く変わらないのは,我ながら芸がないなぁ...。

Recorded on November 27, 2009

Personnel: Tom Harrell(tp, fl-h), Wayne Escoffery(ts), Danny Grissett(p, el-p), Ugonna Okegwo(b), Johnathan Blake (ds)

2010年4月16日 (金)

中年音楽狂 in 厦門(アモイ)

Photo_2 現在,中国に出張中である。今回やって来たのは厦門(アモイ)である。アモイってどこよ?って私自身も思っていたが,場所は台湾の向かいあたりである。よって,気候は温暖である。4月の平均最高気温は24℃ぐらいらしいから,はっきり言って仕事で来るよりも,バカンスで来たいところだ。街並みも空気も結構きれいで,北京とは明らかに趣が違う。ローカルの人からすれば,日本で言えば沖縄に行くようなものではないかと想像させる場所である。この写真では雰囲気がつかめないかもしれないが...。

今回は仕事は実質半日なのだが,移動手段がないため結局3日がかりの出張なのはちょっと微妙だが,これも役得ということにしておこう。それでも成田からの直行便があるってのは凄いが...。こちらに来るときのフライトも満席である。どういう人たちなのかよくわからん。ビジネス客も少数ながらいたようだが,あくまでも少数派のような気がする。

今回は中国四千年の歴史の中でどのような食にありついたかについては追ってご報告することとしたいが,何を食してもうまいというのが凄い。生ガキなんてのもあったが,多少の不安を抱えながら食したところ,これがフレッシュでうまいではないか。う~む。中国恐るべし。次回の出張は内モンゴルらしい。どこまで中国に染まるのか,中年音楽狂。

ちなみに,この街の日本の姉妹都市は佐世保だそうである。まぁ海沿いってところは共通しているが,アメリカの姉妹都市がボルチモアってのはちょっと違うんとちゃうと突っ込みを入れたくなるような街であった。

2010年4月15日 (木)

WR色濃厚なMoutin Reunion Quartet

Soul_dancers "Soul Dancers" Moutin Reunion Quartet(Plus Loin Music)

私がMoutin Reunion Quartetの"Red Moon"をこのブログで取り上げた時,「これは一般的な4ビートというよりも,ロックを経験してきた(あるいは通り抜けてきた)世代による新たなジャズ」なんて書いた(記事はこちら)のだが,今回の彼らの作品はWeather Report色が相当に濃厚である。冒頭の"Sold Answers"から3曲目までは,まんまWRだと言っても過言ではない。やはり,この人たちはこうしたコンテンポラリーな指向を持っているということだろうが,いきなりWRとは思わなかった。しかし,これがかなりいけている。

しかし,彼らが単にWRをコピーしようとしたわけではないことは,アルバム全体を聞いていると明らかになってくる。4曲目はベースとドラムスの兄弟デュオによるMonkメドレーだし。だが,その後はエレピが効いている5曲目"Mr. N.R."(このN.R.はNorman Rileyって人らしい。詩人のようだ)からコンテンポラリーな響きに戻り,6曲目はずばりジャコパスに捧げられている。Francois Moutinはアコースティック・ベース専業なので,サウンド的にはJacoって感じではないが,曲はそこはかとなくそういう感じなのである。そして,それ以降は,比較的アコースティックな響きになっていき,前半とはだいぶ雰囲気が変わる。

よって,このアルバムは,この人たちの多彩な音楽性を示したものと言えるし,何でもできてしまうことを実証したものである。しかし,プロデュースとしては,LPならA面とB面で,音楽性に違いを持たせたような感じだろうが,どんな演奏をしてもレベルは高いのだから,私ならどちらかの路線で統一した方がいいのではないかと思ってしまうのも事実である。

そうした疑問は抱えつつも,演奏は十分にスリリングで,これはかなり楽しめるアルバムだと言える。星★★★★。その中で,私にとってのこのアルバムでの最大の収穫はPierre de Bethmannである。ブログのお知り合いの皆さんからは今頃何言ってんのって声も聞こえてきそうだが,今まで聞いたことがないから仕方ないのである。だが,この人大した逸材である。何と言ってもフレージングのキレが非常によい。この人のアルバムも同じレーベルから去年出ているようだから,そっちも聞いてみたいなぁ(爆)。

Recorded between September 27-30, 2009

Personnel: Francois Moutin(b), Louis Moutin(ds), Pierre de Bethmann(p, key), Rick Margitza(ts)

2010年4月14日 (水)

手持ちのCDをiPodに全部入れるには一体何ギガ必要なのか?

いつも書いていることだが,私が音楽を最も聞いているのは往復の通勤の時間帯である。以前はポータブルCDプレイヤーで,CDを再生するというやり方をしていたが,聞く音楽に偏りが出てしまうという欠点は否めない事実であり,結局は新譜しか聞かなくなってしまうように感じていた。しかし,iPodという音楽好きにとっては神器のようなものが出てきて,私もせっせと手持ちのCD群をリッピングすることで,聞く音楽も新譜ばかりではなくなってきたというのはいいことだと思っている。また,保有していることすら失念していたアルバムに出会うこともできるのである。そういう意味では,今年は温故知新でいくという年頭の目標はiPodなしには実現していないのである。

まずは好きなミュージシャンやアルバムからリッピングしようと思っていたのだが,それをひとまず一段落させ,現在は原則アルファベット順にいろいろリッピングし始めたところである。しかし,ジャズにしろ,ロックにしろ,遅々として進まず,まだ"B"とか"C"までしか行っていないような状態である。あまりに歩みが遅いので,取り出しにくい紙ジャケットCDから対処するかなんていう寄り道を始めてしまうと,ますます歩みは遅くなっていくのである。

それでもって,私が使っているのはiPod Classic 160GBであるが,残りもほぼ100GBぐらいになってきた。基本的に私は192BPMでリッピングしているので,使用する容量も多くなるのは仕方がないとしても,5,000曲余りで40数ギガバイトを使っているような状態で,私が保有しているCDを全部リッピングするとしたら,あとどれぐらいの容量が必要なのだろうかと考え出すと不安になってくる。おそらくはiPodクラシック160GBがあと何台か必要ということになってしまいそうである。

だからと言って,新譜を買うのをやめるかと言えば,多分そんなことはないだろうし,どうすればいいのかと思ってしまう。そもそもリッピングした音楽を蓄積しておくハード・ディスクの増強がその前の課題となることは間違いない。少なくとも現在の住環境においては,当面オーディオ・セットをガンガン鳴らすということはなさそうなので,通勤時間が私の音楽鑑賞時間であることには変わりはないとしても,CDの収納スペースにも限界が近づいてきており,今後の対応を真剣に考えなくてはならない時期にきているのかもしれないと思う今日この頃である。

私は,CDのプラケースははずして,収納スペースを増やす施策を取っているが,最近はデジパック仕様のCDが増えて,そういう対策も打てないことが多くなってきていて,本当に悩ましい。皆さんはどうしておられるのだろうか。まぁ,もっと広い家に引っ越せよということになるんだろうが,先立つものがねぇ...。宝くじでも買うか(爆)。

2010年4月13日 (火)

Seamus Blakeが光るJoel Haynesのライブ盤

Joel_haynes_2"Transition" Joel Haynes Trio + Seamus Blake (Cellar Live)

ブログのお知り合い,crissさんが記事にされているのを拝見して,大変気になっていたアルバムである。なんてたってSeamus Blake参加のワン・ホーン・クァルテットである。ほかのメンツを知らなくたって,期待したくなるのが人情である(爆)。

このアルバムが吹き込まれたThe Cellarはヴァンクーバーにあるジャズ・クラブのようであるが,そこのオーナーであるCory Weedsが立ち上げたのがCellar Liveレーベルである。Weeds自らもテナー・プレイヤーで自身のアルバムもリリースしているようであるが,こうしたマイナーからの動きで,日頃あまり日の当たらぬマイナー・ミュージシャンへの注目が高まることはいいことである。Smallsも同様の動きを示しているが,ミュージシャンのマイナー度はこちらの方が上のはずである。

それはさておきである。このアルバム,Seamusに注目が行ってしまうのは仕方がないとしても,それだけではほかの3人がかわいそうなぐらい,なかなかに優れた演奏である。メンバーのオリジナル曲も悪くないし,聞きどころは多々あると思う。Joel Haynesは派手さはないものの,しっかりしたかつステディなドラミングである。むしろピアノのTilden Webbにより強い才能を感じると言ってはリーダーに失礼かもしれないが,一聴してそういう感じである。

しかし,そうした中でも,Seamus Blakeである。全編に渡って,ソロのフレーズは素晴らしく,エレクトロニクスも使っていないので,この人のテナーの実力を知る上で,非常にいいアルバムになっているのではないかと思う。とにかく,どの曲でも絶好調と言うべきであり,やはりこの人はワンホーンに限ると言いたくなるのは私だけではあるまい。ミュージシャンも手のつけられないぐらい調子のいいときってのはあるんだなぁと思わされる出来である。まぁそうは言っても,曲としてはOasisの"Champagne Supernova"だけは相当浮いてはいるが...(苦笑)。

いずれにしても,メンバー全員の好演により,Seamus Blake目当てで買った私も,大満足の一枚であった。星★★★★☆。こういう演奏を埋もれさせてはいけないと思うが,それにしても,Cellar Liveのサイトで買えば$9.99のCDが,某ネット・サイトでは無茶苦茶な値段に化けるのか不思議で仕方がない。こんなものは,カナダに発注すれば,郵送料込みでも\2,000しないで入手できるはずである。この記事を読んで,ご関心のある方はCellar Liveのサイトで注文しましょう。このアルバムのURLは下記のとおりである。

http://www.cellarlive.com/discography.php?section=Discography&page=53

Recoreded Live at the Cellar Restaurant / Jazz Club on February 1-3, 2008

Personnel: Joel Haynes(ds), Jodi Proznick(b), Tilden Webb(p), Seamus Blake(ts)

追伸:crissさんからのTBが相変わらず不調なので,crissさんの記事のURLを貼り付けておきます。

http://jazzlab.blog67.fc2.com/blog-entry-1263.html

2010年4月12日 (月)

結構な高値で中古市場に出回るRon McClure Trio

Inspiration "Inspiration" Ron McClure Trio (Ken Music)

先日,某中古ショップをうろついていたら,このアルバムが売られていて,その値段を見て,へぇ~っと思ってしまった。結構高い。しかし,このアルバム,持っていたはずだと思って探索を開始したら,あった,あった。

このアルバムを購入したのも私がNYCに住んでいた頃だと思うが,McClureとBeirachと言えば,QUESTのバンド・メイツだし,ドラムスもNussbaumだから,おかしな演奏にはなるまいと考えて購入したはずである。選曲もMcClureとBeirachのオリジナルに,モダン・ジャズ・オリジナルやスタンダードを交えてなかなか魅力的だし,そうしたところが,中古市場でもそこそこの値段で取引される理由かもしれない。

まぁ,しかし,そうは言いながらも,このアルバムの魅力ってのはRichie Beirachによるところが大きいのではないかと感じる私である。もちろん,McClureのソロ・スペースも十分に用意されているが,聞きものはBeirachらしいピアノ・タッチということになるのではないだろうか。加えて,硬軟取り混ぜたバランスもよい。ということで,全編,結構楽しめる出来なのだが,私として気に入らないのが"On Green Dolphin Street"のアレンジである。私がこの曲が好きだということもあるのだが,ちょっとこれはイントロ~テーマが技におぼれたって気がしてしまうのである。アドリブ・パートなんて,結構ゴリゴリ弾いていていいのに,これはちょっと惜しいような気がする。

こうした欠点もありながら,ピアノ・トリオとしてはモダンな感覚も十分感じさせて,結構楽しめるアルバムであった。星★★★★。それにしてもこれも久しぶりに聞いたなぁ。たまにはこういう家庭内発掘も楽しいものである。また,よくよく調べてみると,Ken Musicって廃盤の作品もあるものの,まだちゃんと販売しているというのは驚きであった。制作はもうやめたのかもしれないが...。

Recorded on April 10 & 11, 1991

Personnel: Ron McClure(b), Richie Beirach(p), Adam Nussbaum(ds)

2010年4月11日 (日)

追悼,井上ひさし

井上ひさしが亡くなった。ヘビー・スモーカーで有名だった井上だが,肺がんでの死である。

私が若い頃は,彼の小説が好きで,「偽原始人」,「下駄の上の卵」,「吉里吉里人」等で大いに楽しませてもらった。遡れば,井上ひさしと言えば,「ひみつのアッコちゃん」のテーマ・ソングの作詞を思い出す。オープニング・テーマもクロージング・テーマも私は今でも完璧に歌えるが,子どもの頃の思い出として,非常に懐かしいし,魅力的かつ個性的な歌詞だったと思う。更に遡ると「ひょっこりひょうたん島」になってしまうが,こうなると私の歳がバレバレである。

いずれにしても,作家として,戯曲家として優れた人を日本の文壇は失ったことになる。ご冥福をお祈りしたい。

欲求不満の解消にPotter~Hollandデュオ

Chris_potter_dave_holland002"The Duo" Chris Potter & Dave Holland(Megadisc)

私はDave Hollandの新作"Pathways"を評価しながらも,編成拡大によるソロ・スペースの減少がちょっともったいないと昨日書いたばかりである(記事はこちら)。そこにはやや欲求不満気味の私の気持ちを「クリポタ~Hollandのデュオのブートを注文せざるをえない」なんて書いたが,そのブートが早々と到着した。これが強烈な音源である。

私は常々書いているが,できるだけブートレッグはこのブログで取り上げたくないと思っている。しかし,どうしても聞きたい音源が公式に出てこなければ,ブートに頼らなければならない時もあるのは当然だ。私がこのブログで取り上げたブートはMichael Breckerの完全ソロ・ライブ,Keith Jarrettのソロ,Dave Liebman,John McLaughlin,David Sanborn with Maria Schneider,Miles Davis等が挙げられるが,買っているブートレッグの枚数は実はこんなものではないのである。特にMilesなんて,結構買っているしなぁ。しかし,本質的にはミュージシャンの権利を守るためにも,ブート音源をほめたり,大々的に取り上げたりしたくないというのが本音なのだ。だが,これは例外措置やむなしである。

何分,クリポタとHollandのデュオである。当然のことながら,クリポタが吹きまくっているが,凶悪というか,クリポタらしい変態的なフレージング満載である。しかもそのバックでHollandがフリー的なアプローチを交えながら,相当にクリポタを煽っている。私としてはこれでドラムスが入っていたら,失神していたのではないかと思わせるが,ドラムスなしでもこれは悶絶ものである。

これはおそらくスペシャル・ライブっていう位置づけだろうが,こういう編成でライブをやってしまうところにHollandのクリポタへの信頼が感じられるが,これだけパートナーが吹きまくってくれれば,ベーシストとしてのHollandも満足するに違いないと思わせる演奏である。バスクラを地味に吹いている瞬間はあるものの,基本はテナー1本でブイブイ言わせているというのが,ファンの心をくすぐるしなぁ。いずれにしても,これはクリポタ・ファン必携,必聴のブートレッグである。編成は地味でも,きっと聞いてしまったリスナーは悶絶するはずだ。ブートだけに星は付けたくないが,演奏としては星★★★★★である。聴衆の熱狂ぶりを聞けば,私の感覚もわかってもらえるはずだ。

Willisau しかし,この演奏が録音されたWillisauって街は人口7,000人余りのスイスの小都市らしいのだが,こんなところで,こんな凶悪な演奏をしてどないすんねんと突っ込みたくもなる。しかも,この街の風景は右の写真のようなものである。はっきり言って,街の景観とこの演奏は雰囲気的に全く合っておらんっ!だが,よくよく調べてみると,この音源は,2007年同地で開催されたジャズ・フェスの時の実況のようである。その時の出演者を見て目が点になった私である。スイスのジャズ・ファンも奥が深いわ。以下はその一部だが,これってどう見ても濃いよなぁ【Louis Sclavis New Quintet, Chris Potter's Underground (Chris Potter, Adam Rogers, Scott Colley, Nate Smith), Jan Bronnimann's Brinkmanship with Nils Petter Molvaer, Dave Douglas with Misha Mengelberg, Band of Gypsies Reloaded (Melvin Gibbs, Jean-Paul Bourelly, Cindy Blackman), Marc Ribot's Ceramic Dog, Dave Douglas and Brass Ecstasy, Kenny Wollesen with Himalaya その他...】

Chris_potter_dave_hollandついでにその時のこのご両人のライブの模様の写真も発見したので,そちらも貼り付けておこう。こんなもん聞いたら,燃えるの当たり前でっせ。

Recorded Live in Willisau, Switzerland on September 1, 2007

Personnel: Chris Potter(ts, b-cl), Dave Holland(b)

2010年4月10日 (土)

Dave Holland:バンド拡張による結果はどうか

Daveholland_pathways"Pathways" Dave Holland Octet (Dare2)

前作"Pass It On"ではRobin Eubanksを除いて,メンバーを入れ替え,鉄壁のクインテットは解散かと思わせたDave Hollandであったが,今回の新作はそのクインテットに3管をプラスしたオクテット編成のライブ盤となった。一体,前作のセクステットはなんだったのかと思わせるが,そこに参加していたHart,Sipiaginは続いての参加ということで,クインテットを核にしながら,バンドとしてはハイブリッド型を目指したということか。Dave Hollandのサイトでは,管を追加することで作曲上のオプションを増やせると語っているが,分厚いサウンドで,緻密なアンサンブルを聞かせるという点では,その狙いは果たせているのではないかと思う。

しかし,管が増えることによって,各人のソロ・スペースが減少してしまうから,例えばクリポタを聞きたいと思ったリスナーには,やや欲求不満を感じさせるような結果になってしまっているのは仕方がないことかもしれない。

各人のソロのレベルは高いが,曲によってソロイストが変わるから,こんなメンツを揃えていても,アンサンブルだけで終わってしまうのはやはり何だか勿体ないような気がする。だが,ソロイストにこだわりを持たず,トータルな音楽として捉えれば,このアルバムの質は極めて高いと言える。そう思うからこそ,このアルバムへの評価は微妙になってしまうという,何ともアンビバレントな気分である。星★★★★。

今回,このバンドを聞いていて強く思ったのが,Steve Nelsonのヴァイブが特異な空間を形成しているということである。これまでクインテットの演奏を聞いていて,そんなに強く感じたことはなかったのだが,「間」や「アクセント」を作りだすのに,このSteve Nelsonの音をDave Hollandは必要としたのではないかと思うのである。これは確かにピアノでは出ないし,このバンドをほかのバンドと差別化しているポイントの一つとしてNelsonの存在が非常に強く感じられる演奏であった。

いずれにしても,とっくに還暦を過ぎたHollandであるが,その創造力は老いてますます盛んと言うべきであろう。こうなったら,やはりクリポタ~Hollandのデュオのブートを注文せざるをえないなぁ。

Recorded Live at Birdland, NYC on January 7-11, 2009

Personnel: Dave Holland(b), Antonio Hart(as, fl), Chris Potter(ts, ss), Gary Smulyan(bs), Alex "Sasha"Sipiagin(tp, fl-h), Steve Nelson(vib, marimba), Nate Smith(ds)

2010年4月 9日 (金)

Peter Asplund:オーケストラとの共演でBernsteinに挑んだ大作

Asplund_meets_bernstein"Asplund Meets Bernstein" Peter Asplund (Prophone)

私がPeter Asplundを強く意識したのは彼の前作"As Knights Concur"であった(記事はこちら)わけだが,それから2年を経て,ついに彼の新作がリリースされた。メンツは前作と同じクァルテットだが,オーケストラがバックについている。しかも演奏するのは全曲Leonard Bernsteinの曲という,チャレンジングな大作である。

なぜチャレンジングかと言えば,Bernsteinの書く曲は,必ずしもジャズ化に適したものばかりとは言えないからである。"Some Other Time"は例外的に演奏されることは多いが,一般には曲が妙にスイート("Somewhere"や"Tonight"なんて典型的)だったりして,アダプテーションが難しいように感じるのである。それに挑むのだから,並大抵のことではないはずである。よって,全編ジャズによるBernsteinの曲の演奏に取り組んだ例ってのはBill Charlap以外はあまり記憶にない(私が知らないだけかもしれないが)。

そんな思いを抱えながら,このアルバムを聞いてみたわけだが,冒頭のオケのやや仰々しい音を聞いて思わずのけぞった私である。しかし,全編を通じて聞いていくとAsplundは健闘,Jocob Karlzonも適切かつ優れたバッキングやソロを聞かせている。オケのアレンジもまぁ適切だろうと思う。ということで,全体のレベルは高い。

だが,Peter Asplundの音楽として,Bernsteinというチョイスが適切だったのかどうなのかについては,若干疑問を感じている私である。もちろん,Asplundは朗々とラッパを鳴らしており,この演奏は少なくとも失敗はしていない。だが,やはりBernsteinの曲が,ジャズの素材としてはかなり難しいのは事実であり,やや甘い方向に流れることは致し方のないところである。もちろん,鋭いアドリブ・フレーズにジャズ的なスリルを感じることはできるのであるが,それでも私としてはAsplundにはもう少しビター・スイートな感覚でやってもらえるとよかったようにも思える。何分,前回Asplundを聞いたのは
Jesper Bodilsenの新作(記事はこちら)だったので,よりジャズ的なアプローチをAsplundに求めてしまって,こういう感想になるということは差し引いて考えなければならないとしてもである。

それでも,スウェーデンという国のジャズのレベルの高さは十分に感じられる佳作ではある。そこはちゃんと評価する必要があると思うので星
★。でも私は"As Knights Concur"の方が好きなことは間違いない。

Recorded on January 13-15 and February 4, 2010

Personnel: Peter Asplund(tp, fl-h), Jacob Karlzon(p), Hans Andersson(b), Johan Lofcrantz Ramsay(ds) & Dalasinfoniettan Conducted by Mats Halling

2010年4月 8日 (木)

これはやっぱり期待しちゃうよねぇ:Liebman Plays Ornette Coleman

Turmaround"Turnaround: The Music of Ornette Coleman" Dave Liebman Group (Jazzwerkstatt)

心あるジャズ・ファンがこのアルバムについて噂を聞けば,聞きたくなるのが人情という作品である。LiebmanはColtraneの影響が顕著だとしても,フリー的なアプローチも得意なミュージシャンであるから,彼がOrnette Coleman集を吹き込むという話を聞けば,Liebmanファンの私が鋭く反応したことは言うまでもない。

Ornette Colemanの音楽については,私はそれを「ど」フリーだと思ったことは実はない。彼の音楽はフォーク/カントリー・フレイバー,あるいはアーシーな感覚が強いジャズという気がするのである。正直に言ってしまうと,私はColtrane命のLiebmanが,Colemanの音楽と合うかどうかについては全く自信がなかったのだが,私はLiebmanがColemanをどう料理するのかという興味一点のみでこのアルバムを聞いたと言っても過言ではないのだ。では,結果やいかに。

このアルバムをよくよく聞いてみると,私の感覚なんてどうでもいいやっていうぐらい,Dave LiebmanはColemanの世界を彼らしいやり方で見事に再構築したと言うべきではないだろうか。そう。これがかなりよいのである。成功の要因は,LiebmanがColemanの音楽性の再現にこだわらなかったことに尽きる。私の考えではColemanの音楽はかなり癖があるものである。それを一聴して「いい」と思うのが難しいのは,誤解を恐れずに言えば,Duke Ellingtonの音楽と共通するものではないかと思う。しかも演奏しているのはLiebmanである。ある意味,知性が先走ってしまうことがあっても,全く不思議ではないのである。だが,ここでのLiebmanはColemanをあくまでもも素材として捉えて演奏しているように思えるのだ。

やはり素材がColemanであるから,かなり癖があるのは事実だが,聞きにくいという感覚はほとんどない。逆に言うと,Colemanの音楽が持つ自由な音楽性が,Liebmanにポジティブな影響を与えたのではないかと思える。特にミディアム以上のテンポの曲において,そういう感覚が強くなる。

いずれにしても,最近のLiebmanのアルバムの中では相当に楽しめる一枚だったということは評価しなければならないし,少しでも多くのリスナーの耳に届けてもきっと罰は当たらんだろうと思えるような佳作である。だからと言って,これが万人受けしたら怖い気もするが。しかし,今後、ライブで見てみたいという期待を込めて星★★★★としておこう。

しかし,やっている音楽がColemanだけあって,ギターのVic JurisがColeman大好きのPat Methenyのように聞こえる部分があったのはご愛嬌と言うべきか。まぁでも面白かったな,このアルバム。

Recorded on January 5 & 6, 2009

Personnel: Dave Liebman(ts, ss, wooden-fl), Vic Juris(g), Tony Marino(b), Marko Marcinko(ds)

2010年4月 7日 (水)

ここはどこ?私は誰?今はいつ?と思わせるThe Little Sisters

Living_sisters"Love to Live" The Living Sisters (Vanguard)

先日のThe Bird & the BeeのHall & Oates集が凄くよかったと思ったら,そのバンドのInara Georgeの別プロジェクト,The Living Sistersのアルバムが店頭に並んでいたので,興味津津で購入した私である。ジャケからしてガール・グループのような乗りだが,開けてびっくり,聞いてビックリのアルバムであった。

このグループの奏でる音楽は,まさしくノスタルジーの世界である。現代の喧騒とか,煩わしさを忘れるにはもってこいの音楽だと言ってもいいのではないかと思う。もちろん,Inara GeorgeがThe Bird & the Beeでやっている音楽を期待したら確実に裏切られるが,それでも私はこのアルバムを聞いていて,いい意味でのほほんとした気持ちになってしまったのである。

今の日本で言えば,女性3人組と言えば,誰が何と言おうとPerfumeってことにはなろうが,見た感じはPerfumeと似たイメージを持つ彼女らがやっている音楽は,その対極だというのが面白い。The Bird & the BeeはエレクトロニクスとInara Georgeの声の絶妙なバランスが売りだとすれば,このバンドは,生音にこだわりながら,敢えて現代,あるいは現在,更にはテクノロジーさえも拒絶しているのではないかと感じさせるのである。

私はこのアルバムを聞いていて,私が過ごしている同時代というのは一体いつなのかと思わされてしまうぐらいだったのだが,でもこれが結構楽しいのである。決して懐メロ的ではない。曲にはオリジナリティも感じられる。だがサウンドはどこか温かみを感じさせるという点で,何とも嬉しくなってしまったのである。

もちろん,刺激はほとんどないから,つまらんというリスナーもいるだおる。しかし,この音楽,聞き流すには最適で,私などは通勤電車でこれを聞きながら爆睡してしまったことを告白しなければならないが,それは決してけなしているのではない。心地よいから寝てしまったのである。

逆にそうした音楽であるから,ケチをつけようと思えばいくらでもOKだということはわかっていても,何となく私はこの音楽を支持してしまうのである。だって,これほどわかりやすい英語で歌われたら,学生諸君や新人会社員諸君の英語のヒアリング教材に勧めたくなってしまうほどなのである。歌われている歌詞はしょうもないと言えばそのとおりだが,それも何かOld Fashionedな感覚でいいではないかと思った私である。

いずれにしても,Inara Georgeは複数プロジェクトで色々な顔を見せるところが極めてユニークな存在として認めたくなるような一枚である。しかも中ジャケには妊娠XXか月(臨月直前って感じである)の姿でジャケに写真が載っていること自体が,今までのミュージシャンとは違うわと思いつつ,彼女の活動は何となくサポートしちゃうよなぁと思ってしまった私であった。是非,元気なお子さんを生んだ後は日本に来て欲しいものである。星★★★★。でも私はちょっと意地悪そうなEleni Mandellが好みかなぁ(爆)。

Personnel: Inara George(vo, g), Eleni Mandell(vo, g), Becky Stark(vo), Jeremy Drake(g), Aaron Embry(key), Steve Gregoropoulos(key), Danny McGough(key), Sheldon Gomberg(b), Barbara Gruska(ds), Don Heffington(ds), Dave Ralicke(sax), Joshua Grange(pedal steel)

2010年4月 6日 (火)

祝John Mayer来日&追加公演:ライブに向けて学習せねば...

John_mayer_2 この5月にJohn Mayerがやってくる。ブログのお知り合いであるすずっくさんからは「既にチケットとったんだろうなぁ・・。。いいなぁ。。」なんて書かれていた私だが,今回はどうしようか迷った挙句チケットをゲットしていなかった。しかし,今般,追加公演がアナウンスされて,ついに重い腰を上げてしまった。

私は前回の来日時に恵比寿のガーデンホールで彼のライブを見たのだが,オール・スタンディングでおっさんの腰にはきつかったものの,歌って弾けるJohn Mayerの技に釘付けになってしまったのも懐かしい。あれからもう4年も経ってしまったのかと思うとちょいと恐ろしいような気もするが,今回はホールでのシーティング公演だから,少しはゆっくり聞けるかなぁなんて思っているが,甘いか。

これからライブに向けて,彼のアルバムをiPodで聞きまくることにするが,また歌いながら,信じられんギター・フレーズを連発する様を想像しながら,公演当日を待ちたい。最新作"Battle Studies"もまともに聞いていないような状態だから,私も相当けしからんが,彼のアルバムはEPは除けばほとんど全部("As/Is"とか"The Village Sessions"等も含む)持っているぐらいなので,そこそこのファンではある。やはり今回のライブも楽しみである。

いずれにしても,私としては,公演日に出張やおかしな仕事が入らないことを祈るのみである。

2010年4月 5日 (月)

Pieranunzi~MotianデュオにChris Potterがゲストって...

Doorways "Doorways" Enrico Pieranunzi + Paul Motian(CAM)

このアルバムには3曲でChris Potterがゲストで加わっているから,編成ははPaul Motianの新作と同じってことになる。しかし,そちらのデリバリーが遅れていたので,比較ってことはまだできていないのだが,まぁそれはさておきである。Jason MoranとEnrico Pieranuziではだいぶ違っていそうだとは思いながらも,非常に気になるところではある。しかもよくよく考えれば,この編成って第1期山下洋輔トリオと同じではないか。う~む。どんなことになってしまうのか。

本作は基本的にピアノとドラムスのデュオなので,聞く前から通常のPieranunzi的な美しいメロディ・ラインは期待できないだろうなぁとは思っていたが,予想以上の激しさである。かなりフリーに傾斜している部分もあると言ってよい。常々,私はPieranunziの音楽の多様性というものについてもこのブログで書いてきたが,この人はBill Evans直系のピアノを弾く「だけ」の人ではないと思ってきた。時折見せるフリーなアプローチには,そうしたEvans直系のピアニズムを期待するリスナーはとまどいを覚えるはずである。もちろん,そうした音楽性に対して,リスナーが好き嫌いを感じるのは当然のことではあるが,所謂Pieranunziらしい美しいピアノというのは,多様な音楽性を吸収してきた上で到達したものなのだと認識すべきではないかと思う。

それは,以前は(ケルンの頃である)美しいピアノがトレード・マークのように言われていたKeith Jarrettが,Miles Davisのバンドではどれだけ激しい演奏をしていたか,更には近年にはソロで弾くと,現代音楽的なアプローチが増えていると言った事実と相通ずるところもあるのではないかと思う。これをPieranunziに当てはめると,通常の個性としては美しいピアノが基本となりつつも,編成によっては,いざピアノを弾きだすと,いろいろな要素が顔をのぞかせるということになるのではないだろうかと思えてしまうのである。

この作品でも,相当スポンテイニアスな展開に驚かされるが,ピアノとドラムスであれば,まぁそうなっても当然である。ここでの演奏もモチーフだけ決めておいて,あとはほぼ即興で行ったのではないかと思わせる演奏が多く感じる。そうした中で切り込んでくるのがChris Potterなのだから,これはたまらん。ここでは3曲の参加に留まるクリポタであるが,全面的に参加していたら,このアルバムはもっとよくなったのではないかと思えるぐらい,フィットしているのである。

Potter参加の7曲目の"Anecdote"なんて,まさにフリーである。しかし,その後に現れるデュオでの"Suspention Points"はPieranunziらしい美メロ(一服の清涼剤のようである)で強烈なアップ&ダウンのような展開を感じさせるが,演奏としては両方いいとしても,私はやはりここはトリオにこだわりたいような気がする。私はデュオでも相応のスリルは感じることができたが,やはり全編トリオでの演奏を夢想してしまったのである。また,トリオとしては最後に演じられる12曲目のバラッド"The Heart of a Child"なんて聞くと,ゴリゴリであろうが,しみじみであろうが,彼らは絶対相性はいいはずだと思ってしまった私である。

ということで,クリポタとPieranunziの今後の再共演への期待を込めて星★★★☆。Marc Johnson入りのクリポタのワンホーン・クァルテットってのもいいなぁ。誰かプロデュースしてくれないかなぁ。その時はハードなPieranunziでお願いっ♥。

Recorded on December 1-3, 2002

Personnel: Enrico Pieranunzi(p), Paul Motian(ds), Chris Potter(ts)

2010年4月 4日 (日)

地元の桜

957E8789-7F86-4CE0-895C-307054B98743

桜の名所ならずとも、綺麗なものである。今日は肌寒いので、これで熱燗でもあればなぁ。

出張中に見た映画(10/03編):その2

Photo 「ゼロの焦点」 ('09,東宝)

監督:犬童一心

出演:広末涼子,中谷美紀,木村多江,鹿賀丈史,西島秀俊,本田博太郎

中国出張からの帰路で見た映画がこれである。松本清張の原作を映画化するのは2回目,テレビ・ドラマにも何度もなっているからお馴染みの作品と言えばそのとおりである。

この映画を見て,意外だなぁと思ったのは,現代に翻案するのではなく,原作通りの設定で映像化しているということになろう。そのためのセットやら何やらで妙に金が掛っているようにも思えるが,まぁそれは原作の設定を維持するためには仕方ないだろうし,意地悪な見方をすれば,「三丁目の夕日」が当たったということもあっての対応のようにも見える。

いずれにしてもこのストーリーは「砂の器」同様,過去を消し去りたい人物がカギを握るわけだが,細かく書くとルール違反なので,ストーリーについては書くのはやめておこう。しかし,やはり戦後の日本の社会がその背景になっているということからしても,現代への翻案は難しかった,あるいは松本清張へのリスペクトを優先したということと解釈しよう。

で,この映画だが,決定的な難点は広末涼子が明らかなミスキャストだということである。彼女のセリフ回し(それも彼女のかわいい声でである)を聞いていると,なんだか背中がかゆくなってくる感じなのである。この人にはこういう役回りはあまり似合っているとは思えないのだが,それに比べれば,中谷美紀や木村多江,特に中谷なんてさもありなんて感じである。よって,映画を見ながら,広末の役はやっぱり昔の映画版の久我美子のイメージの方が合っているよなぁなんて思ってしまったわけである。

もう一つ気に入らないのが,中島みゆきのエンディングに流れる主題歌である。なんじゃこれはという感じで,映画のトーンと全く合致していないこの曲をなぜ主題歌にしたのか。私は途中でプレイバックをやめたくなるぐらい,違和感があった。私は中島みゆきが嫌いだと言っているのではない。曲が映画と合わないのである。これもこの映画の難点として挙げておきたい。

そうは言いながらも,時代設定をうまくクリアしながら一本の映画に仕立てたというところは評価していいだろうと思うので星★★★ぐらい。しかし,いつもながらの鹿賀丈史のオーバー・アクティングには笑ってしまった。

ちなみに,このポスター,映画の内容と何の関係もない衣装というのはいかがなものかって気がするのだが...。

2010年4月 3日 (土)

疲労困憊...

003 先日,中国は北京~天津と出張してきたばかりなのだが,3/31に一旦東京に戻り,その翌日の夕刻から,今度は沖縄出張である。

私は,移動を伴う出張をあまり苦にする方ではないが,さすがに今回はボディ・ブローのように疲れが蓄積していったのが実感できる。出張先では出張先で,いろいろお付き合いもあるので,慢性的に寝不足気味になるし,だからと言って仕事は待ってくれない。

ということで,私も今回ばかりはかなり疲れたなぁ。でも沖縄でもうまいものを食して,パワーアップを図ったことは言うまでもないが,それでも今回ばかりはちょいときつかった。

しかし,世の中にはまだまだ知らない食べ物があるなぁと思ったのが,沖縄でいただいたお通しのような「パパイアの千切りにポン酢とかつお節をかけただけのもの」。こいつがうまかった~。料理は奥が深い。これならパパイアさえあれば,私でも作れますな。紅芋をオリーブオイルで焼いただけのものもおいしかった。シンプルな作り方でも素材がよければうまいという事例である。でも紅芋って焼くと色が少し赤くなるのねぇ。これも知らなかったなぁ。

2010年4月 2日 (金)

出張中に見た映画(10/03編):その1

2012 「2012」 ('09,米/カナダ,Columbia)

監督:Roland Emmerich

出演:John Cusack,Amanda Peet,Chiwetel Ejiofor,Danny Glover,Oliver Platt

今回は中国出張ということで,飛行時間が短いため,往復一本ずつということになった。そのうちの一本目であるが,世の中,くだらない映画は多々あるが,これほど無茶苦茶なシナリオの映画は滅多に見られまい。

何がくだらないって,何が要因で地球に大災害がもたらされるのかも不明,基本的に選ばれし民と金持ちのみが方舟を模した船に乗り込めるというのも無茶苦茶である。本質的に,ストーリーとして成り立っていないのである。マヤ文明の2012年人類滅亡説があるとしてもである。

結局,そうしたことには全て目をつぶって,CGによる災害シーンをこのアホ監督は作りたかっただけだろう。

 

私はシナリオのいい加減な映画が大嫌いなので,こういう映画には虫酸が走る思いしかしない。私はたまに映画をけちょんけちょんにけなすことがあるが,この映画はその中でも最悪の部類に入る。

 

私としては,制作費の無駄,消費者にとっては時間と入場料の無駄ということで,少しでも金を払っていたら,怒りはこんなものではおさまらなかっただろう。星をつける気にもならない愚作中の愚作。


機内エンタテインメントとは言え,こんな映画を選んでしまった自分を恥じたことは言うまでもない。あ~くだらん!

2010年4月 1日 (木)

中年音楽狂 in Mainland China

年度末の数日間,中国(北京~天津)に出張してきた。中国は昨年香港に行ったが,本土は久しぶりの訪問である。欧米に比べれば,やはり近いものである。これぐらいなら移動も楽ってやつだ。

今回は現地のクライアントと懇親の機会があったのだが,「バイチュウ,バイチュウ(白酒,白酒)」と呪文のように私の同僚から聞かされている理由ががようやくわかったような気がする。

結局,現地の乾杯の流儀は,グラスに注がれた酒をまさに乾すことにあるから,小さなグラスとは言えども,アルコール度数50%超の白酒を一気飲みしなければならないのである。しかも,こちらは日本からの出張者であるから,何度も乾杯をしなければならない(もちろん,先方には悪意があるのではなく,歓迎しているのである)ので,これは二日酔い確実だと思った。

しかし,私が天津でいただいた白酒,よほどよい酒だったようである。あれだけの量をこなした割に二日酔いなしである。しかも宴会の後半には赤ワインに白酒を足された中国版「爆弾酒」(元祖は韓国のウイスキーのビール割か?)まで飲んだにもかかわらずである。これって通常の感覚で言えば奇跡的という気がする。それは,ちゃんと食事もしながら飲んだからかもしれないし,あるいは私はトウモロコシ・ジュースで胃をコーティングしたからかもしれない。もちろん,それよりも何よりも,酒がいいものだったのかもしれないが,日頃飲んでいる酒の品質があまりよろしくないということの裏返しなのかもと思った次第である。

それにしても,中国って何を食べてもうまいなぁ。さすが四千年の歴史。自分でも真似できそうな料理もあったので,レシピでもゲットして,挑戦してみようかなぁ。

尚,今回,北京~天津間を結ぶ中国版新幹線に乗る機会もあったが,最高時速は334kmまで行っただろうか。その割に振動は少なかったのには驚いた。それにしても,広大な平野を走る列車に乗っていて,国土のスケールの違いを再確認してしまった。

30万アクセス(PV)ありがとうございます。

私が中国に出張中に,ブログのPV数が30万を越えたようである。10万PVを上乗せするのに半年強というのがどの程度なのかはよくわからないが,いずれにしても,皆さんのおかげである。この場をお借りして御礼申し上げます。

本日から新年度ということで,職場でもいろいろな変化が発生するわけだが,私も心機一転ではないが,更にいろいろな音楽やら映画を紹介できたらと思う。引き続きご愛顧のほど,よろしくお願い致します。

« 2010年3月 | トップページ | 2010年5月 »

Amazon検索

2016年おすすめ作

2016年おすすめ作(本)