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2010年4月21日 (水)

"Highway Rider":これはBrad Mehldauの新機軸である(ようやくアップ)

Highway_rider "Highway Rider" Brad Mehldau(Nonesuch)

私がこのアルバムを初めて聞いてから,結構な時間が経過してしまった。聞いてすぐに記事もアップしたのだが(記事はこちら),その時には,この音楽と対峙する時間がもう少し必要だと感じて,ちゃんとレビューはしなかった。

それから,しばらく時間が経って,何回か聞いたこのアルバムであるが,"Largo"に続くJohn Brionとのコラボ作とは言え,Mehldauのファン層をロック/ポップ・ファンにも広げたと思しき"Largo"との接点はあまり感じられないままである。一部,雰囲気が似ている部分もあるが,"Largo"の方が選曲にポップなところもあるのに比べれば,こちらは全編オリジナルだし,オケも入っているのだから違って当然である。そして,何度か聞いてみてこのアルバムについて思ったことは,Mehldauがここで目指したのは,一ピアニストからの逸脱と作編曲への取り組みの強化ということである。

先日,前回の記事に対して,ブログのお知り合いである910さんからコメントを頂き,その返信として「Brad Mehldauはカーネギー・ホールから2010-11年のシーズンの常任作曲家というポジションに任命されています。実はこのアルバムの収録曲も,その オープニングとして今年の11月にライブで演奏されることが決まっているというのが,このアルバムを解釈する上での鍵になるのだと思います。」と書いたばかりである。常任作曲家という表現が正しいかはわからないが,委嘱を受けて作曲に取り組むことを示したものであろう。そんな事実からしても,私はこれは書かれた音楽として,再演も意識した上での作品ではないかと考えている。

よって,前回一聴して映画音楽のようなイメージを持ったのもそうした部分と重なる部分が出てくる。しかも,MehldauはClaus OgermanとMichael Breckerをひな形の一つにしているという意外な事実からしても,そうした感覚が強くなるのである。そしてメロディの主題とそれに対する応答フレーズというモチーフをどう活かすかというところに腐心したようにライナーから読み取れることからしても,私の感覚にはそう大きなずれはあるまい。

だからこそ,ソロイストとしてのJoshua Redmanがここではサックスを吹くまくることはないし,書かれた音楽のバリエーションとして,即興を楚々として展開していると思えてくるのである。結論としては,本作をこれまでのMehldauの音楽の延長線上,あるいは純粋なジャズとして捉えると,やや違和感を覚えるリスナーがいてもそれは不思議ではないと思う。だが,これはBrad Mehldauが作編曲家として新たな一歩を踏み出したことを示す作品として,そのチャレンジを私は高く評価したいと思う。もちろん,これが彼の最高傑作だとは思わないし,私が最も好きな作品でもない。しかし,今後の作編曲家としての展開にも期待を込めて,ちょっと甘いかもしれないが星★☆としておこう。

いずれにしても,カーネギー・ホールもしくはそれに付随する小ホールで本作の音楽が再演されるときに,どのような演奏が展開されるのかは興味津津である。尚,こちらをクリックしてもらうと面白いものが見られるので,是非お試しを。相当なレベルまでちゃんと譜面が書かれていることが手に取るようにわかる。

Recorded on February 16–28 and May 12–19, 2009

Personnel: Brad Mehldau(p, org, key, perc, vo), Jeff Ballard(ds, perc, vo), Joshua Redman (ss, ts, vo), Larry Grenadier(b), Matt Chamberlain(ds, vo), Dan Coleman(cond), The Fleurettes(vo)

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コメント

>その オープニングとして今年の11月にライブで演奏される

ほぅ。。
さすが、メルドーおたくだけありますねーー
って、クリックした。(@_@)

11月かぁ。。いけそうにない。(きっぱり)

この作品、説明しはじめちゃうといろんな疑問に突き当たるんですが、、そのまんま受け取ることで、この世界に没頭できちゃいましたよ。
つうことで、トラバしてみました。

すずっくさん,こんばんは。TBありがとうございます。

説明的になるつもりはないのですが,どう解釈すればいいのかわからなくて,記事にするのに時間がかかってしまいました。

まぁ,でも私はこれはちゃんと評価すべきだと思いました。クリックしたら,面白かったでしょ。こちらからもTBさせて頂きます。

ノンサッチレーベルは昔はクラシックや現代音楽中心だったそうなので、彼のこのアルバムの音楽世界を表現するにはうってつけのレーベルだったかもですね。

記譜されている部分が多いということは、このアルバムの制作からはじまって、今後の彼の方向のひとつになるんじゃないかな、なんてことも想像してしまいます。それにしてもスゴいところに行ってしまうんじゃなかろうかと期待もあり、不安もあります。

TBさせていただきます。

こんにちは。私も似た感想です。美しいチャレンジという感じで、印象の良い作品です。あまり頻繁には聴いてないですが、取り出す時はとても良い気分。しかし背景を知るほど違った見方が出来そうでそこをどう考えるか、というところで既に私にとって難しい作品になってます。ちょっと距離がありますね。
リンクの譜面、素敵ですね。これ見ながら聴いているとまた違った印象です。それでは。。。

910さん,こんばんは。TBありがとうございます。

Brad Mehldauが今後どういう方向に進んでいくのかは,私にもわかりません。しかし,ピアニストとしてのアイデンティティは維持して欲しいというのが切なる願いです。もちろん,本作でもちゃんと弾いていますが,もっと弾いて欲しいというのが本音です。

そういう意味では微妙ですね。

ki-maさん,こんばんは。コメントを編集して,お名前とURLを入れさせて頂き,アップ致しました。

このアルバムの音楽は深いんですけれども,今後,こうした音楽を突き詰めていくとどうなってしまうのかという不安はあります。私はピアニスト,Mehldauのファンなので...。

ああ、お恥ずかしや。ありがとうございます。まだまだやらかすかもしれません。トラックバックも始めてさせて頂きました。何はともあれお世話になります。

ki-maさん,こんばんは。

残念ながらTBが入っていないようです。リトライをお願いできますか。たまに,相性の悪いプロバイダーもありますが,gooは大丈夫のはずですので,お手数でもよろしくお願いします。

やらかしました(笑)上手くいったようです。またおじゃまします。

ki-maさん,今回はばっちりです。公開させて頂きました。

おっしゃる通り、"最高傑作"ではないと私も思っています。
が、"最高の問題作"であるとの認識はありまして、("Largo"の影響の延長線上も加味して)今後のJAZZへの影響度は、かなり大きいのではないか?と勘ぐっております。

本人も、毎度こんな作品を作るわけにはいかないはずなので、普段はこの盤の影響下で("Largo"以降と近い)ピアニストとしての活動を続けるんじゃないかと思うのですが..

TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。

oza。さん,おはようございます。TBありがとうございます。「最高の問題作」,確かにそうですね。

今後のMehldauの活動そのものは,記事にも書きましたカーネギーにおける活動と切り離せないのではないのかと思っています。いまだにあのRene Flemmingとやったのは,趣旨はわかるけど,私にとっては微妙なままという前例があるので,ちょっと不安が残ります。

まぁ,注目していきましょう。

中年音楽狂さん、こんばんは。
Brad Mehldauが来日するようですね。
東京は1日、大阪は2日のようですね。大阪のどちらかに行きたいのですが、1st set でカジュアル席で6,900円って、結構高いですね。
東京は残席が少なくなってますね。それに東京の方が安い!!

Martyさん,こんばんは。今回はBrad Mehldauのソロ公演ですよね。スケジュールが合えば,私も行きたいですねぇ。財布と相談が必要です。

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