2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

2015年おすすめ作

2015年おすすめ作(本)

無料ブログはココログ

« 2009年9月 | トップページ | 2009年11月 »

2009年10月31日 (土)

Steely Dan的なサウンドが楽しいSean Wayland

Pistachio "Pistachio" Sean Wayland (Seed)

ブログのお知り合い、oza。さんが取り上げられていたので、気になって購入したアルバムである。Sean Waylandは彼のWebを見ると結構な数のアルバムを発表しているようだが、私にとっては初めての人である。よって、oza。さん同様、私もメンツ買いであることは間違いない(まぁリズムを見れば理由はわかる)。

これはWayland本人のレーベルからの発売作である。oza。さんも書かれているとおり、出だしからSteely Danのようなイントロだし、ヴォーカルもそういう感じである(但し、上手なシンガーかというと決してそんなことはないが...)。へぇ~って感じがしないわけでもないが、一方でこれはWaylandのディスコグラフィを見ればある意味当然のことのようにも思えてきた。よくよくWebを見ると、Waylandは1995年にStolen Vanというバンドで、Steely Danを含むするポップ・チューンのジャズ・アダプテーションをやっているからである。そちらは試聴する限りはそれほどSteely Danって感じはしないのだが、それでも影響を受けているのは間違いないだろう。日本には私の同僚、こやぎ@でかい方さんも参加するスティーリー初段というSteely Danの見事なコピー・バンドがあるが、名前の付け方もジャズマンってのは...と思ってしまうような命名だよなぁ。

それはさておき、このアルバムは上述のとおり、冒頭からSteely Dan色濃厚である。歌いっぷりもDonald Fagenぽいのが笑わせてくれるが、エレクトリック・ピアノがまさにそういう感じなのである。それを支えるKeith Carlockの小技がまたまた楽しい。しかし、ヴォーカル入りの曲が強烈にSteely Danを感じさせる一方、インスト曲は必ずしもSteely Dan的というわけではない。4ビートの曲もあれば、ファンクっぽい曲もあって、それらはコンテンポラリーなジャズって感じである。それでも全編をつらぬくルースなグルーブがそれっぽいと言えばそれっぽいと言うことができるかもしれない。

このアルバム(特にヴォーカル曲)を聞いて楽しむぐらいなら、本家Steely Danを聞いてりゃいいじゃんという気がしないわけでもないのだが、時折聞かれるAdam Rogersの結構いけてるソロや、それよりも何よりもCarlockのドラムスで、このアルバムを聞いてしまったというのが正直なところではあるが、それなりに楽しめた一作である。星★★★☆。

Recorded in April, 2008

Personnel: Sean Wayland(p, key, org, vo),  Adam Rogers (g), James Muller (g), Tim LeFebvre (b), Matt Clohesy (b), Keith Carlock (ds), Ronnie Cooter (vo)

2009年10月30日 (金)

出張はつらいよ(09/10-11編):その3

ワルシャワからロンドンへ移動した。結局ワルシャワの街の雰囲気は何となく感じられた程度で、ローカル・フードやローカル・ドリンクにあまり触れることができなかったのは残念だった。また再訪の機会があればいいと思うが、ワルシャワの街は渋滞がひどく、インフラストラクチャの整備を迅速に進めないとまずいだろうなぁと思わせたのは事実である。

その一方で、ロンドンのホテルにチェックインして問題発生である。私が滞在しているホテルは、ネットのアクセスはワイヤレスで無料でできるっていうのはいいのだが、私のチェックインのステータスがシステムに登録されていないらしく、何度もログインをしようとしても、システムが私の部屋と名前を認識できないのである。また、中央集中制御はいいのだが、チェックイン・ステータスが認識されていないから、部屋のミニバーはあかない、電話のコントロールはうまくいかない等、さまざまな問題に直面してしまった。受付に文句を言っても、システム・トラブルだと言い張るばかりで、埒があかない。

これはシステム化による一括制御方式の問題点を明らかにしたものである。昔の方式ならこんな問題は発生しなかったはずなのである。システムによる高度な管理方式もいいが、システムが機能するという前提が崩れれば、顧客の満足度は下がるという最たる事例である。移動で疲れていたので、私はさっさと寝てしまったが、翌朝には問題は解決していたとは言え、ネットにアクセスできず、かなりイライラさせられたのは事実である。ただでさえ、肉体的にきついところに、精神的にもフラストレーションがたまるとは、やっぱり出張はつらいのである(しつこいようだが、本当である)。

いずれにしてもシステムは万能ではないということを強く感じさせたエピソードであった。

2009年10月29日 (木)

こういうポスターは日本では見られないよねぇ

Photo ポーランドという国に来たのは今回が初めてだが、音楽はショパンなり、ポーランド・ジャズなりで結構縁があるんだよなぁなんて思いつつ、やはりこういうポスターを見かけると、おぉっ、やっぱりポーランドに来たんだなぁと思ってしまった私である。

ご覧頂ければわかるとおり、ECMレーベルやSimple Acoustic TrioでおなじみのMarcin Wasilewskiのライブの告知である。これはたまたま業界のイベントが開催された会場で見かけたものだが、そこは(廃)工場を改装してライブ・ハウスにした場所だったらしい。何でこんなところでビジネス・イベントなんだと思うような、ある意味小じゃれた場所だったが、なかなかポーランドもやるわいと思った私であった。

ちなみに、このポスターの横にはTomasz Stankoのポスターは貼ってあるところが、やっぱりポーランドだと思ってしまった。ちなみに仕事で一緒になったポーランド人と英国人のスタッフに、「俺ってこの人好きなんだよねぇ」なんて話をして、Marcin Wasilewskiだよってフルネームで呼んだら、なんでやねんという目で見られてしまった。普通はそうなのかもねぇ...。

2009年10月28日 (水)

Meshell Ndegeocello色濃厚なJason Lindnerのファンク作

Jason_lindner "Jason Lindner Gives You Now Vs Now" Jason Lindner (Anzic)

私の中ではJason LindnerってのはSmalls等を拠点としてビッグバンドで活動しているっていうイメージが強いのだが、音源についてはこれまで聞くチャンスがなかった。しかし、LindnerのWebサイトを見ると、このバンドもレギュラーでやっていそうなことは見て取れる。それでもそれだけでは私の購入意欲は刺激しなかったはずである。

しかし、本作は私が結構ひいきにしているMeshell Ndegeocello(今でも彼女の"Peace Beyond Passion"は最高だと思っている私である)がプロデュースということで購入となったわけだが、本質的なLindnerの音楽がどういうものかわからない中で、これは相当にNdegeocello色が濃厚に出ているように思うのはきっと私だけではないはずである。そもそもこのNow Vs Nowというバンドがキーボード、エレキ・ベース、ドラムスという編成だから、ある程度ファンク色が強くても当然とも言えるのだが、これは私の予想をはるかに越えるファンク度を持つアルバムであった。それでもって、Jason Lindnerに対する思い入れや、予備知識がない私にとっては、これはかなりいけているアルバムとなった。

正直言ってしまえば、これをジャズにカテゴライズするにはかなり無理があるのではないかと思うし、そのあたりが評価のわかれ目になるような気もするのだが、それでもこれをライブの場で聞いたら、相当興奮してしまうのではないかと思わせる。敢えてラップと言わず、ポエトリー&ライムというクレジットでの参加もあるが、それもやはりファンク度を高めている要因のように思えるし、ゲストで参加するプレイヤーもかなりカッコいいのである。一曲で参加しているKurt Rosenwinkelはそんなに目立ってないように思うが、Avishai Cohen(トランペットの方)は、鋭いフレーズを聞かせて、このアルバムの魅力向上に貢献度大である。

いずれにしても、私にとっては聞いていて高揚感を覚える音楽として評価したいのだが、それでもやはりこれはジャズというよりファンクだなぁ。そういう音楽が好きなリスナー、あるいはMeshell Ndegeocelloのファンには確実に受けるのではないかと思う。やっぱりライブで体感してみたいバンドである。星★★★★。

尚、11/23にはNYCでこのバンドのライブが予定されているようである。Avenue AにあるDromって場所らしいが、Avenue Aってのが渋いねぇ。やはりイースト・ヴィレッジの音ってことになるのかなぁと思うが、それが私を刺激する理由かもしれない。

Recorded in August & September, 2008

Personnel: Jason Lindner(p, key, vo), Panagiotis Andreou(b, vo), Mark Guiliana(ds), Kurt Rosenwinkel(g), Meshell Ndegeocello(b, vo), Danielle Negon(vo), Baba Israel(poetry), Frances Velasquez Guevara(poetry), Claudia Acuna(vo), Yosvany Terry(chekere), Avishai Cohen(tp), Anat Cohen(ts, pandeiro), Pedito Martinez(perc, vo)

2009年10月27日 (火)

出張はつらいよ(09/10-11編):その2

日本で我が家を出て約24時間、ようやくポーランド、ワルシャワに到着である。これだけかかったのは、コロラドにスキーに行くのに30時間近く掛かって以来と言ってもいいかもしれない。まじで遠いし、まじで眠い。これを書いているのは日本では早朝だから当たり前だが。

ワルシャワの空港はフレデリック・ショパン空港(!)と言うらしい。さすがショパンの生地だけのことはあるが、そんなエキゾチックな思いにふける前に、前途多難を思わせる事態発生である。

空港でタクシーを拾おうと思って、荷物を引っ張って歩いていたら、横断歩道のところにちょっとした傾斜があって、そこが濡れていたせいで、まともに滑ってこけてしまった。痛いやら、カッコ悪いやらだが、何よりもこけた時に左手をついて、手首が痛めたのにはまいった。更にズボンは汚れるわで、こういうときだけ「なんでやねん」と関西弁で悪態をつく私であった。

初めて訪れる土地にしては、出足が悪過ぎるが、これ以上悪くならないことを期待して、仕事に備えたいと思う。それにしても眠くてだるい。ユンケルを持ってくればよかったと思ってもあとの祭りである。それにしても情けない。先が思いやられる。

それでもって、テレビをつけたら、リバプールとマンチェスター・ユナイテッドの試合をライブでやっているのは欧州ならではだが、実況がポーランド語では何を言っているのかさっぱわややなのは仕方ないな。

面白い読み物だが,いい加減さも残る「ジャケ裏の真実」第2弾。

Photo「ザ・ブルーノート,ジャケ裏の真実-4000番台」 小川隆夫(春日出版)

1500番台に続く第2弾である。私はこの本を出張時の友として持っていったのだが,飛行機や移動時間中の時間つぶしにはちょうどよい読み物であった。また,ライナーに書かれていることを咀嚼して,ちゃんとした読み物に仕立てるところは大したものだと思うし,へぇ~と思わせるような記述が満載で,結構楽しめた。ということで,書籍としては星★★★☆ぐらいは付けてもいいと思う。

私としても書籍そのものに文句はない。しかしである。4091番のSonny Clarkの"Leapin' & Loapin"のところの記述には猛烈な違和感をおぼえた私である。何を重箱の隅を突くようなことを言っているのかという指摘もあるだろうが,敢えて書かずにはいられない。

そこには「六一年には,ソニーはいくつかのイースト・ヴィレッジのクラブ,とりわけ西10番街の「ザ・ホワイト・ホエール」(ハーマン・メルヴィン乞許諾)というコーヒー・ショップで演奏していた」とあり,その後に小川は「ハーマン・メルヴィンが誰かはわからないし,なぜ彼の許諾をギトラーが必要としていたのかも知らない」と書いている。私はここに小川隆夫という人の限界を感じるとともに,出版元の編集/校正者のいい加減さを感じるのである。

普通,文学をある程度かじった人であれば,「ハーマン・メルヴィン乞許諾」が「メルヴィン」ではなくて,Herman Melvilleの"Moby Dick(別名"The Whale",しかも邦題は「白鯨」である)"に引っ掛けたシャレを示すことは想像がつきそうなものである。ライナーの執筆者であるIra GitlerがそもそもMelvilleをMelvinと間違っていたのかもしれない(アルバムを持っていないのでわからない)が,それぐらいの指摘をするのは書物を書く人間としては当り前ではないのか。あるいは出版社に勤める編集/校正者ならそれぐらい気がついてもよさそうなものである。大体,イースト・ヴィレッジにあるクラブがなんで西10番街なのだ?これはおそらくEast 10th Streetだから東10丁目と書いて欲しいものである。通常,何番街というのは南北に走るAvenueを訳したものだということぐらい,NYC在住が長い小川が知らぬわけはあるまい。この辺に,この人の物書きに対する取り組みにおける画竜点睛の欠如を感じてしまうのである。ほかにも私が気付かないだけで,こうしたおかしな記述はまだまだあるかもしれない。

まぁ,これ以外は特に文句はないのだが,読んでいるときの強烈な違和感はぬぐい去れないのである。だから面白い読み物だったとしても,もろ手を挙げて絶賛する気にはなれないのであろう。つくづく惜しいねぇ。いずれにしても責められるべきは春日出版だろうが。そして純文学の権化のような平野啓一郎が全部読んで絶賛したのかも疑問に感じられてしまった私である。

こんなことを書いている私はマニアックなのだろうか...。まぁそんな固いことを言うような本ではないが。

2009年10月26日 (月)

出張はつらいよ(09/10-11編)

今回の出張の最初の目的地はワルシャワである。ということで、今回はロンドン・トランジットで現地に乗り込むのだが、成田発の便は早いわ、ロンドンのトランジットは結構長いわで、最終目的地までの行程はほぼ24時間である。家を5:30に出て、今はロンドンのラウンジでWi-Fiにつないでいるのだが、ワルシャワ行きのフライトまではまだまだ時間があり、暇を持て余す私である。ロンドン~ワルシャワはまた2.5時間のフライトだし、やっぱり出張はつらいなぁ。

まぁまだ今回はラウンジを使えるだけまだましなので、また飲んだくれる以外に選択肢はないってところである。ということで、いきなりブラディ・マリーを手作りして飲んでいる私...。

またもやJoe Henryが放った傑作

Joe_henry_2 "Blood from the Stars" Joe Henry(Anti)

このブログを見て頂くと,向かって右側に2009年おすすめ盤というのがあって,アルバム・カバーが載っている。そこにあるうち,Ramblin' Jack ElliottとAllen Toussaintの2作はJoe Henryプロデュースによる傑作だったと評価している。そこで期待したいのがJoe Henry本人によるアルバムだったわけだが,前作"Civilians"から約2年を経てリリースされたのがこのアルバムである。このアルバムも出ると同時に入手していたのだが,随分と記事をアップするのに手間取ってしまったが,これまた,期待通りの傑作である。

今回のアルバムはブルーズがどうのこうのと書かれることが多いようではあるが,決してブルーズだけのアルバムではない。もちろん,前掲2作のプロダクションの成果を踏まえて制作されたものであるから,そうしたフィーリングは出てくるのは当然であるが,ブルーズが持つ情念的なものを表出させた音楽と言うべきなのではないかと思う。

アルバムとしてはJason Moranのピアノが印象的な"Prelude"に始まり(ここでJason Moranを登場させるというのもかなり渋い),最後は"Coda: Light No Lamp"で締めるということで,これはある意味でコンセプト・アルバムと言ってもよいが,ジャケ裏面の曲の並びの表示や,パーソネル表示のところにキャストなんて書いてあるのを見ると,Henryが目指したのは3幕の芝居のようなイメージだろうか。これをいつもHenryを支えるメンバーを中心としたバック・バンドと演じるということであるが,非常に重々しいイメージを持った音楽であり,聞いていて楽しいって感じでは決してない。よって,この音楽に対する好き嫌いは大きく分かれるはずだが,それでもこれだけの深いエモーションを感じさせる音楽ってのはあまりないということは評価しなければならないと思う。いずれにしてもこれはかなり深いアルバムであり,聞くにはそれなりの心の準備がいると言っては言い過ぎか。これは決して売れるタイプの音楽とは思えないが,非常に優れた音楽であることは間違いない。星★★★★☆。

やはりJoe Henry,恐るべしである。だいたいこんな音楽を5日で仕上げられるミュージシャンが今のロック界にいるだろうか?ある意味ありえない世界である。

Recorded during March 16 and 20, 2009

Personnel: Joe Henry(vo, g), Jay Bellrose(ds, perc), Keefus Ciancia(key, p, vib), Levon Henry(ts, ss, cl), David Piltch(b), Marc Ribot(g, banjo, cor), Patrick Warren(p, org, key), Jennifer Condos(b), Mark Hatch(fl-h), Marc Anthony Thompson(vo), Jason Moran(p)

2009年10月25日 (日)

このメンツにしては穏やかなスタンダード集

Another_nuttree"Something Sentimental" John Abercrombie / Jay Anderson / Dave Liebman / Adam Nussbaum (Kind of Blue)

新橋にあるテナーサックスの聖地,Bar D2のマスターがブログでご紹介されていたアルバムである。しかし,本作,店頭でもネットでもあまり見かけることがなく,やきもきさせられたのだが,ようやく入手することができた。それにしてもなんであまり本作に関する情報があまり流通していないのだろうか?非常に不思議である。

前作Nuttree QuartetはサックスがJerry Bergonzi,ベースレスでオルガン入りという編成だった(記事はこちら)が,今回はサックスがLiebmanに代わり,オルガンに代わってベースが参加したということで(Another)Nuttree Quartetとなっているわけである。選曲は超有名スタンダードばかりだが,このメンツで"All of Me"をやるとは思わなかった(これはやや意外というよりも,この人たちに合っているとはあまり思えないが...)。

ここでのLiebmanは"Besame Mucho"の冒頭でウッド・フルートを吹く以外はソプラノに徹しているが,時折Liebmanらしいフレーズも登場する中で,比較的穏やかな演奏に終始している。それはこのバンドが,そもそも2007年4月に亡くなったAdam Nussbaumのお母さんをしのぶ会で演奏した(Nussbaumのライナーによれば,お母さんは葬儀よりも「お祝い」を所望していたそうである。)のが発端というところもあるのかもしれないが,ある意味では「音楽の捧げ物」という感覚があるからかもしれない。Liebmanだけでなく,ほかのメンツもいつもよりはコンベンショナルな演奏だと言ってもよいかもしれない。

そうした演奏であるから,非常に落ち着いた感覚があるのだが,それでも凡百のスタンダード集となっていないところはこのメンツたる所以であろう。前作も悪くなかったが,私としてはどちらかと言えば,こっちの方が好きかなぁという感じである。いずれにしても,このアルバムは名手による演奏を,肩ひじ張らずに聞くべきものであるというものであろうが,それでも結構楽しめてしまったのが,彼らの実力を示している。星★☆。

Recorded in September 2007

Personnel: John Abercrombie(g), Jay Anderson(b), Dave Liebman(ss, w-fl), Adam Nussbaum(ds)

2009年10月24日 (土)

告知:しばらく更新が滞るかもしれません

最近、仕事の関係で海外出張の回数が急増していて、9月半ば、9月下旬から10月上旬に続いて、またまた来週から出張である。

今回は欧州~米国と回らなければならないので、西回りで世界一周である。私もそれなりに出張回数も経験も多い方だと思うが、世界一周出張は初めてである。いつも書いているように加齢により、時差ボケ調整能力がどんどん低下する中、今回はどんなことになるのか?

とか何とか言いながら、ロンドンではWayne Krantz参加のライブがあるなぁ、NYCではTom HarrellがVanguardに出ているなぁ、Pat MartinoがBirdlandに出るなぁ等とそういうのだけはチェックしているのだから、我ながら困ったものである。

ということで、今回ばかりは、更新が相当疎かになる可能性ありである。まぁ仕方のないことなので、ご了承を頂きたいと思う。

2009年10月23日 (金)

Fred Herschと10人のヴォーカリストによるベネフィット・アルバム

Hersch_2_hands_10_voices "2 Hands, 10 Voices" Fred Hersch (Broadway Cares/Equity Fights Aids)

Fred Herschのサイトを見ていて,彼がベネフィット・レコーディングを行っているということを知った。HerschがHIVポジティブであり,HerschがAIDS対応のチャリティや資金集めにも積極的に取り組んでいることは皆さんもご承知のとおりであろう。ベネフィット・レコーディングもAIDS撲滅のための資金集めの活動の一環として行ったものである。

Herschが残しているベネフィット・レコーディングは4種類あるらしいが,現在,それらの発売元であるBC/EFAのサイトでは2種類のアルバムが入手できる。そして私がそこでゲットしたのがHerschが10人の女性ヴォーカリストと共演した本作である。伴奏がHerschのソロ・ピアノであることに加え,ここで聞かれる選曲に魅かれたことも購入の動機であった。

ここに参加しているヴォーカリストは日本でも著名な人たちも含まれているが,あまり聞いたことがない人でも,アルバムを出していたり,ブロードウェイの舞台で活躍している人たちのようである。ジャズ・ヴォーカルの範疇かなぁと思ってしまう歌唱もないわけではないが,それでもこれが結構楽しめてしまうのは,やはり私がHerschのファンだからだろう。どの曲がベスト・トラックかは難しいところだが,私としてはNorma Winstoneとの"Embracable You"を挙げたい。次点が,意表を突いてゆったりしたテンポで演じられながら,朗々とした歌唱も印象的なAnn Hampton Callawayとの"Will You Still Love Me Tomorrow?"(そう,Carol King作のあれである)あたりか。

本作は,ベネフィット・アルバムなので,今回は評価の対象外とするが,Hersch好きなら間違いなく満足できる作品だと思う。ヴォーカリストには好みはあっても,Herschのピアノの美しさは一貫しているからである。ちなみに,私はHerschの資金集めに協力する意味も込めて,Herschのサイン入りアルバムを$25+送料で購入したが,サインなしでよければ$10(安っ!)+送料で買える。ご関心のある方は下記のURLをクリックしてみて下さい。
http://broadwaycares.stores.yahoo.net/compact-discs-three.html

Personnel: Fred Hersch(p), with Ann Hampton Callaway, Kate McGarry, Jessica Molaskey, Luciana Souza, Judy Blazer, Norma Winstone, Hane Monheit, Carol Sloane, Karrin Allison, and Janis Siegel(vo)

2009年10月22日 (木)

ちょっと季節はずれな感じのValle/Fonseca

Valle_fonceca "Pagina Central" Marcos Valle / Celso Fonseca(Biscoito Fino)

ブラジル音楽界の大物二人による共演作ということで,その筋の音楽が好きな人には見逃せない組み合わせと言える。私はCelso FonsecaがRonaldo Bastosとやった"Paradiso"を聞いてまいってしまい,それ以降,Fonsecaのアルバムを結構聞いているとは思うのだが,"Paradiso"を越える作品には出会っていない。この作品の前に出たライブ盤は結構楽しいものだったが,それでもやっぱり私には"Paradiso"なのである。

一方のMarcos Valleはもはやヴェテランの領域に達していると言ってよいが,私が保有しているのは"Samba 68"ぐらいだろうか。それも久しく聞いていないが,この二人ということではやはりFonsecaにつられて買ったというのが実態である。

それでもって結果はどうだったか(最近,こういう書き方が多いなぁ。マンネリ気味か...)。とにかく冒頭から展開される明るい音楽には驚かされる。さわやか系ブラジリアン・ライト・フュージョンみたいだというのが正直な感想である。その後,インストとヴォーカル曲が交互に現れるようなかたちで,音楽は進んでいくが,こりゃ~軽いって印象が強い。

こういうのは真夏に聞くともっと気持ちがいいのだろうが,これから夏を迎えるブラジル音楽の新譜なのだから,北半球の日本では季節はずれで当たり前である。ストリングスも使って,結構金の掛ったつくりとも言えるが,それでもやっぱりこれは私にはちょっと感じが違うなぁ。確かに聞いていて心地よいのは事実である。でも残念ながら心に響いてこないのである。ある意味,イージー・リスニングだと割り切って聞けばいいのかもしれないが,"Paradiso"が好きなウェットな私には軽過ぎた。音楽としてはもう少し評価してもいいかもしれないが,私の求めるところとのギャップが大きいので,星★★☆。もうこれは完全に趣味の問題なので,この評価は無視して頂いても結構である。尚,1曲に懐かしやAzymuthが客演しているが,このバンド,ECMのAzimuthとごっちゃにされることが多いが,似たような名前でありながら,これほど対極的なバンドというのも珍しいなぁ...,と思わず余談に走ってしまった。

Personnel: Marcos Valle(vo, key), Celso Fonseca(vo, g) and many others including Azymuth: Jose Roberto Bertrami(key), Alex Malheiros(b), Ivan Conte 'Mamao'(ds)

2009年10月21日 (水)

Towner / Fresuはやはり録音していた

Chiaroscuro 以前,このブログで/Ralph TownerとPaolo Fresuがデュオ・ツアーをやるようだと書いたことがある(記事はこちら)が,やはりこのご両人,レコーディングを済ませていたようである。

先日,某ショップで2009/2010年版のECMのカタログを入手したのだが,そこにはばっちり彼らのレコーディング作"Chiaroscuro"としてカバー・アートも掲載されているし,番号もECM2085と決まっている。録音は2008年10月ということである。これは発売され次第,速攻でゲットせねば。私にとって本年度,最高の期待作と言っても過言ではない。

また,このカタログを見ていると面白いことにも気が付いた。最近ECMからは過去の作品をボックス化したものがいくつか出ている(Keithのスタンダード・トリオ,CoDoNa,Burton & Corea,Steve Kuhn,Manfred Schoof等)が,このシリーズ,これらだけでなく,これからもいくつか出るようである。カタログによれば,次のようなボックスが掲載されている(カッコ内は収録作)。

Arild Andersen("Clouds in My Head"/"Shimri"/"Green Shading into Blue")

Chick Corea Solo Piano("Piano Improvisation Vol.1 & 2/"Children's Song")

Jan Garbarek("Dansere"/"Witchi-Tai-To"/"SART")

Terje Rypdal("Whenever I Seem to Be Far Away"/"Odyssey"/"After the Rain")

Eberhard Weber("Yellow Fields"/"Silent Feet"/"Little Moutain")

これらの音源が,未CD化音源を含むかどうかまではちゃんと調べきれていないのだが,いずれにしても注目に値することは間違いない。また,これまで未CD化の(と思しき)作品にも,"In Preparation"の文字が。ECMもますます奥が深くなるねぇ。

2009年10月20日 (火)

抑制された中にスリルを感じさせるJohn Patitucci

John_patitucci"Remembrance" John Patitucci Trio (Concord)

Chick Coreaのバンドでメジャーになって以来,結構な年月が経過して,今やJohn Patitucciも堂々たる中堅(表現が変?)である。しかし,リーダー・アルバムになるとちょっと評価が難しいかなぁなんて思っていたのも事実である。Concordに移籍してからはBrad Mehldauが参加しているからという理由だけで"Communion"を買っただけだし...。しかし,今回はメンツがメンツだけに躊躇することなく注文した私である。

正直に言ってしまうと,私はPatitucciのエレクトリック・ベースが好きで,GRPの初期3作なんてカッコいいもんだと今でも思っている。特に"Sketchbook"でのJohn Scofieldとのバトルは楽しかったので,あの路線が私の中では理想である。もちろん,アコースティック・ベースの腕も一流であることはよく承知しているが,Akoustic Bandでの弾きまくりのイメージが強過ぎて,どちらかと言えばエレクトリックの方が好みであることは間違いない。

しかし,今回は基本のフォーマットがピアノレス・サックス・トリオだからアコースティックに絞るのかと思ったら,あにはからんや,エレクトリックも何曲かで弾いているではないか。それがまずは意外だったが,このエレクトリックを弾いている曲がアルバムの中で違和感がないところがまずはよい。

Patitucciがリーダーなので,ベースのバランスが強いのは仕方ないとしても,まぁ邪魔にはならない程度だから気にすることはない。その上で,このアルバムの魅力を高めたのはJoe Lovanoその人だと言い切ってしまおう。Lovanoの音色というのは決してけばけばしいものではなく,どちらかというと地味目なトーンのように思えるのだが,ここでは何とも素晴らしいフレージングを連発して,Patitucciとやり合っている。それでも,Bladeもガンガン叩くこともないので,やはり全体としては非常に抑制されたサウンドであることは間違いないだろう。このメンツならもっと丁々発止でもいいように思うが,逆に彼ららしいと言えば彼ららしいのかもしれない。Lovanoも同じ編成で"Trio Fascination"というアルバムを吹き込んでいる(記事はこちら)が,そちらもHolland~Elvinという重量級リズムながら,結構淡々としていたように思えるから,Lovanoというのはそういう人なんだろう。

まぁ,それでもこれはなかなか魅力的な演奏集であり,静かな中にもジャズ的なスリルは十分に味わえると思う。星★★★★。尚,偶然の一致だろうが,録音日が上述したLovanoの"Trio Fascination: Edition One"と全く同じである。偶然にしては出来過ぎ?でもやっぱり偶然だろう。

Recorded on September 16 & 17, 2008

Personnel: John Patitucci(b), Joe Lovano(ts, a-cl), Brian Blade(ds), Rogerio Boccato(perc), Sachi Patitucci(cello)

2009年10月19日 (月)

切なくなるようなメロディ満載のPrefab Sproutの新作

Prefab_sprout "Let's Change the World with Music" Prefab Sprout(Sony Music)

Prefab Sprout久々の新作である。Prefab Sproutと言って,どのぐらいの人が反応するのかはよくわからない。しかし,80年代後半から90年代前半にかけて,彼らの音楽の魅力にはまった人は日本でも少なくないはずである。このセンスはおそらくブリティッシュ特有のものであって,アメリカ人にはなかなかその良さは理解できないだろうことは,彼らの音楽のアメリカにおけるチャート・アクションを見ていれば明らかである。まぁ,それはそれで仕方がないことであるが,このウェットさも私には捨て難い。

この作品はPrefab Sprout名義とはなっているが,実際はPaddy McAloonによるワンマン・レコーディングなので,敢えてバンド名称でリリースする必要もなかったという気がしないでもない(この状態,Greenによる宅録となったScritti Politti直近作と同じだと言ってもよい)。しかし,McAloonがライナーでも引き合いに出しているように,Beach Boysの"Smile"になぞらえているところもあるし,もともとは"Jordan: the Comeback"の次作としてThomas Dolbyプロデュースのもと制作が開始された作品らしいという経緯を踏まえれば,まぁそれはそれでよかろう。

それにしても,何と青臭いタイトルであろうか。これがPrefab Sproutでなければ噴飯ものと言ってもよいが,逆に言えば,これはPrefabだからこそ許されるというところではないか。また,ここに収められた胸を締め付けられるようなメロディ・ラインはなんだ。これは中年オヤジでもまいってしまっても仕方がないレベルである。もちろん,宅録ゆえのアレンジメントや響きのチープさは否めない部分はあり,そこは残念ではあるが,このメロディに免じて許す。最初のラップなんか結構驚くけどねぇ。

McAloonがライナーにも書いているが,本当ならこのアルバムは,元のメンバーたちと作りたかったというのはMcAloonの本音ではあろう。しかし,去ってしまったメンバーは戻らないが,曲を埋もれさせるのも惜しいから,結局自分だけで作ったということであろうが,そんな事情は置いておいても,Paddy McAloonの作曲のセンスがピークにあった頃の作品集と考えて,ここは曲を楽しむこととしたい。

こうした音楽を聞いていて胸キュン(死語!!)となってしまう私も青臭いが,それでもいいものはいいのである。歌詞もなんじゃそりゃの部分もあるのだが,それでもこれを聞けば,私と同じような感覚に陥るリスナーはきっと多いはずである。まずはこのアルバムが出ただけでも喜んでいいのではないかと思う。私としては"Jordan"の方がはるかに好きだが,それでもちょっと甘めの星★★★★としたくなるような作品である。

Personnel: Paddy McAloon (Vo, All Instruments)

2009年10月18日 (日)

追悼:森聖二氏(ロス・プリモス)

先日,このブログでロス・プリモスの「ヘッド・ライト」と取り上げたばかりだが,本日,突然,ロス・プリモスのリード・ボーカル,森聖二氏が心不全で亡くなったとの訃報が飛び込んできた。私が記事にしたのが変な前触れとなったようにも思えてしまい,だから珍しいことをするものではないと感じ入る次第である。

ご冥福をお祈りしたい。

編成も渋いが,やはりEd Bickertはしぶい。

Three_for_the_road"Three for the Road" Rob McConnell / Ed Bickert / Don Thompson (Concord)

このブログでも何度も書いているが,私はEd Bickertのファンである。この人のリラクゼーションたっぷりの演奏を,この人独自のテレキャスターの音で聞かされたら,私は無条件でOKみたいなところがある。

一時期,Ed BickertはConcordレーベルと契約をしていて,何枚かのリーダー作を発表しているが,ことごとくが廃盤状態で,マーケットでは結構な高値で取引されている。そもそもしぶいギタリストだから,そんなに枚数がさばけるタイプの人ではないとしても,これはやはりもったいないことである。しかも,現在,Ed Bickertはリタイア状態のようであるから,新作が出るわけでもないし,最近は大企業となったConcord(昔のGRP状態だと言ってもよいだろう)が,あまり売れる見込みのないアルバムを流通させるとも思えず,買い漏らしたアルバムは中古などでせっせと捜すしかないのである。このアルバムは先日のまとめ買い大量購入時にゲットしたものだが,1,000円しない値段で買えたのは嬉しかった。

それはさておき,この編成である。ヴァルブ・トロンボーンにギター,ベース(ピアノも掛け持ち)という編成,しかもこのメンツならば,聞く前からどんな演奏が展開されるかは想像できるというものだ。そして聞こえてきた音はやっぱりしぶいわ~。

ここでの3人は全てカナダ人ミュージシャンだが,この人たちによる演奏がどうしてこれほどの渋さを持つのかというのは全く謎だ。彼らが本拠としたであろうカナダはトロントの"Bourbon Street"が今も健在かどうかはわからない(ググってもトロントの同店が引っ掛からない)のだが,そこでのインティメートな雰囲気(私も一度,ナイアガラ観光ついでに,食事だけするためにわざわざトロントまで行ったことがあるが,そのときにこの店に行ったときもMcConellが出ていたと記憶している)が彼らの演奏に何らかの影響を与えたと考えてもいいかもしれない。

Rob McConnellはライナーで,ここでの演奏(特に本人)は完璧からは程遠いなどと謙遜しているが,これはこれで十分に楽しめるのだからいいのではないか。まぁ確かに刺激に乏しいってことは事実だが,このメンツに刺激を求める人間はおらん!と言っておこう。ナイトキャップにはこういう音楽があると嬉しいのである。尚,本作では珍しくもメドレーが3曲(1曲はHenry Manciniメドレーである:「いつも二人で」/「ピンクの豹」からRoyal Blue/「ピーター・ガン」からDreamsvilleってのがまた渋いなぁ。)も入っているが,うまくアレンジされていると思う。いずれにしても,とにもかくにもこの人たちらしい演奏である。星★★★★。

Recorded on October 11 & 12

Personnel: Rob McConnell(v-tb), Ed Bickert(g), Don Thompson(b, p)

2009年10月17日 (土)

久々の歌謡曲ネタ:「ヘッド・ライト」

Photo「ヘッド・ライト」 黒沢明とロス・プリモス(日本ビクター)

当ブログへコメントを下さる蛇尾さんから,最近のオヤジ色の強まりを受けて,「次は歌謡曲か」とコメントを頂いたからというわけではないが(いや,やっぱりそれが理由か...),久しぶりの歌謡曲ネタである。

当たり前だが,黒沢明と言っても映画監督ではない。

ロス・プリモスと言えば,最大のヒット曲は「ラブユー東京」(もともとはB面だったらしい)というのが一般的だと思うし,私ももちろんそれも歌えるが,私にとってより印象深いのは1969年リリースのこの曲の方である。私がまだ子供のころ聞いたこの曲の冒頭の「ヘ~ッド・ライトに~」というメロディ・ライン(皆さんは覚えているだろうか,歌えるだろうか)がどうして頭を離れないのである。なぜなのかはいまだによくわからないが,さすが筒美京平先生作品だけのことはあると思わざるをえない。

私は常々,筒美京平をBurt Bacharachと結びつけてしまうのだが,やはりBacharachに比肩しうる日本屈指のメロディ・メイカーであると久々にこの曲を聞いても思ってしまった。最初の数小節だけで,年端もいかぬ子供の記憶にとどめてしまうっていうのはやはり凄いことである。だいたい,この曲だって,そんなに大ヒットしたわけではなく,チャートでは23位が最高に過ぎないのであるが,大昔,TVで数回見た(聞いた)だけのはずの私が,いまや中年になっても「ヘッド・ライト」ってあったよなぁ~などと思っていることですら驚くべきだろう。

もちろん,私はこの曲のシングル盤を持っているわけではないので,筒美京平作品のコンピレーションの大傑作「Hitstory」の中の一曲として聞いているに過ぎないが,それでもこの曲が収録されていることからすれば,同作のプロデューサーあるいは筒美京平本人としても何らかの思い入れがあったのかもしれない。曲は典型的ムード・コーラスと言えばその通りかもしれないが,やはり冒頭のメロディが今聞いても何とも素晴らしい。今度カラオケで歌ってみよう(爆)。それにしても凄いジャケットである。

2009年10月16日 (金)

懐かしのTom Waitsデビュー作

Closing_time "Closing Time" Tom Waits(Asylum)

私はこのアルバムはLPで保有しているのだが,実家に置いたままなので,音は何年も聞いていなかった。しかし,突然,本当に突然なのだが,無性に"Ol' '55"が聞きたくなってしまったので,CDを購入と相成った。まぁ値段も安いし,いいかって感じだったのだが,"Ol' '55"だけ聞きたきゃ,Eaglesでもいいじゃんという話もある。しかし,私はEaglesの大ファンでもあるが,それでも私にとってはこの曲はTom Waitsでなければ雰囲気が出ないのである。

それでもって久しぶりに聞いたのだが,やっぱりこれはいいわぁ。素晴らしい渋さである。アコースティックなセッティングの中で,トランペットが非常に利いていて,どこかのスモーキーな酒場で飲んでいるような感覚さえ覚えてしまうと言っては大袈裟だろうか。これはWaitsが弾くピアノがまさにそうした場所にありそうなアップライト・ピアノの音を出しているからというのもあるかもしれないが,ゆったりとしたテンポの,またこれが聞けば聞くほど味が出るような佳曲が立て続けに紡がれていくような様は,まさに素晴らしい音楽に満ちた居心地のいい酒場の乗りである。

最近のWaitsは再ブレイク,再評価の機運が高いが,私にとってはやはりこのアルバムこそが彼の本質だと思っているし,最も愛着を感じるものだ。何年かぶりに聞いた"Ol' '55"はやはり心に染みたし,全12曲がどれをとっても素晴らしいというのはある意味奇跡的でもある。ウイスキー片手に楽しみたい傑作。星★。

しかし,このアルバムのカテゴリーは何がいいのかよくわからなくて迷ってしまった。まぁジャズ的フレイバーの濃厚なSSWだろうなぁ。この素晴らしい音楽の前ではどうでもいいことだが。

Personnel: Tom Waits(vo, p, g), Delbert Bennett(tp), Tony Terran(tp), Shep Cooke(g, vo), Peter Klimes(g), Jesse Ehrlich(cello), Bill Plummer(b), Arni Egilsson(b), John Seiter(ds, vo)

2009年10月15日 (木)

しぶ~いモダン・スイング

Dave_mckenna"No Holds Barred" Dave McKenna(Famous Door/Progressive)

このアルバムは先だってまとめ買いディスカウント付き大量購入したもので,しばらく積んどく状態になっていたものである。本作が吹き込まれたFamous Doorレーベルと言えば,リラクゼーションたっぷりのモダン・スイングあるいは中間派的な作品を発表しており,私はZoot Simsの"Zoot At Ease"やらButch Milesの"Miles And Miles of Swing"やらを結構愛聴してきた。このアルバムも下のメンツを見れば,それだけで音が聞こえてきそうなものだったので,即購入となったものである。

聞こえてきた音は,全くもって私が想定したものだったし,大いに楽しんでしまった私である。一聴して古臭い音だと言ってしまえば,その通りであるが,スイングの楽しさってのはこういうのを聞いて欲しいもんだと思いたくなるのも事実である。いいねぇ,この緊張感のなさ。コンテンポラリーな感覚のジャズに慣れ親しんだリスナーには物足りないぐらいのものかもしれないが,ジャズって楽しいよねぇと思わせてくれるのは結構こういう音源だったりするのではないかと思う。

Milt Hintonのベースの増幅した音は趣味じゃないなぁと思うのも事実だが,それでもこれはやっぱり楽しい。肩ひじ張らず,酒でも飲みながら聞いたら,更に魅力は倍増するのではないかと思う。まぁカクテル・ジャズだって言ってしまえばそれまでだが,こういうモダン・スイングも捨て難いし,こういうテンションを感じさせない(いい意味でである)演奏をたまに聞くと,疲れた体には実はいいように感じるのである。星★★★☆。ちなみにこのアルバムが吹き込まれた当時はScott Hamiltonは20代前半とか半ばあたりのはずだが,その段階から完全に若年寄化したサウンドでやっぱり笑える。昔からこうだったのよねぇ。

それにしても,こんなジャケのアルバムを買っているような私のような輩ってのは,やっぱりどう見てもオヤジだよなぁ...(実際オヤジなのだからどうしようもないが)。

Personnel: Dave McKenna(p), Scott Hamilton(ts), Al Cohn(ts), Warren Vache(tp), Milt Hinton(b), Butch Miles(ds)

2009年10月14日 (水)

朗報!! Joni Mitchellのライブ音源が発掘されるらしい。

AmchitkaJoni Mitchellに関する情報サイトjonimitchell.comを見ていたら,何と11月にグリーンピースのファンディングのために,Joniの未発表ライブが発売されるとの情報が出ていた。以前記事にしたRhinoのボックス・セット(記事はこちら)は一時11月にリリース予定とされていたのだが,Rhinoのサイトでもjonimitchell.comでも,全く情報がアップデートされていない。ということで,そちらは予定より遅れているものと考えられるが,それに代わる嬉しいニュースである。

もちろん,私はグリーンピースの活動全てを肯定するわけではないので,彼らのファンディング目的ということには若干躊躇がないわけではないのだが,この音源はPhil Ochs,James Taylor,そしてJoniの1970年のライブということであるから,これは買わないわけにはいくまい。今から発売が待ち遠しいが,グリーンピース独占販売だそうである。まだ発売方法等の詳細情報は明らかになっていないが,11/10にリリース予定だそうである。それにしてもこのメンツ,この曲目(jonimitchell.comより転載)なら文句なく買いである。本件については改めて記事をアップしたいと思う。それにしても"
Carey / Mr. Tambourine Man"のメドレーって無茶苦茶気になるよなぁ。値段がバカ高かったらどうしよう...。とか何とか言っても絶対私は買うだろうが。

DISC ONE
Phil Ochs
1.  Intro Irving Stowe
2.  Intro Phil Ochs
3.  The Bells (E. A. Poe/P. Ochs)
4.  Rhythms of Revolution
5.  Chords of Fame
6.  I Ain't Marching Anymore
7.  Joe Hill
8.  Changes
9.  I'm Going To Say It Now
10. No More Songs

James Taylor
11.  Intro James Taylor
12.  Something In The Way She Moves
13.  Fire and Rain
14.  Carolina In My Mind
15.  Blossom
16.  Riding On A Railroad
17.  Sweet Baby James
18.  You Can Close Your Eyes

DISC TWO
Joni Mitchell
1.  Intro Joni Mitchell
2.  Big Yellow Taxi / Bony Maroni (Larry Williams)
3.  Cactus Tree
4.  The Gallery
5.  Hunter
6.  My Old Man
7.  For Free
8.  Woodstock
9.  Carey / Mr. Tambourine Man (Bob Dylan)
10. A Case Of You
11. The Circle Game

2009年10月13日 (火)

出張中に見た映画(09/09-10編):その6

Photo「トランスフォーマー: リベンジ(Transformers: Revenge of the Fallen)」('09,米,Paramount)

監督:Michael Bay

出演:Shia LaBeouf,Megan Fox,Josh Duhamel,Tyrese Gibson,John Turturro

私はこの映画の前作を娘を連れて劇場に見に行ったのだが,その時は娘もCGと音響に目がくらみ,耳をだまされたか,めずらしくも最後まで見ていたことだけが私の記憶に残っている。しかし,映画としては,壮大な金の無駄遣いとしか思えないようなくだらない作品だったと
 いうのが正直な感想である。本作も監督は前作と同様Michael Bayだし,Michael Bayと言えば,あのどうしようもない愚作「パール・ハーバー」の監督であるから,最初から期待できるわけはない。しかし,そうは言いつつもほかに選択肢がないから見ただけである。キャリアもエンタテインメントはもっと考えろと言いたくなってしまった。

結果としては,私は本当に途中で何度見るのをやめようかと思ったほどくだらない。こんな映画をあえて実写で撮影すること自体に何の意義もないし,シナリオを含め,ばかばかしくて評価する気にもなれないのである。もちろん,この映画を作ったのがDreamWorksというしょうもない映画集団(Spielbergも地に堕ちたと言っておきたい)だから,仕方がないと言えばその通りだが,この映画を見て,本当に楽しむ人間がどれぐらいいるのか。感覚的に言えば,全編の8割ぐらいがCGではないのかと思わせるのが映画なのだとすれば,役者も監督も必要ないだろう。アニメで十分である。

とにかく,壮大な金の無駄,見る方にとっては時間の無駄遣い。本当にくだらないから,レンタルで借りるのも金と時間の無駄だと言っておく。こんな映画の続編が更に企画されているということだけで不愉快である。ということで評価対象外として無星。これなら日本のアニメ映画の方が百倍レベルが高いわ。比較するのも失礼だが,「名探偵コナン」の劇場版なんて,娘は寝ていたが,私はきっちり見たし,はるかに楽しめたぞ。

2009年10月12日 (月)

出張中に見た映画(09/09-10編):その5

123「サブウェイ123 激突("The Taking of Pelham 123")」('09,米,Columbia)

監督:Tony Scott

出演:Denzel Washington,John Travolta,Luis Guzman,John Turturro,James Gandolfini

音楽に戻ったと思ったら,また映画ネタである。

実は私は今回の出張において,機内エンタテインメントとして最も楽しみにしていたのがこの映画を見ることだった言っても過言ではない。私はこの映画の元ネタとしての「サブウェイ・パニック」をこのブログでも取り上げて満点をつけた(記事はこちら)のだが,それがどのようにリメイクされているからに関心があったからである。よって,本来ならば私は劇場にこの映画を見に行っていたはずなのである。

私は前作に関する記事で,新作は監督がTony Scottだから期待できないと書いたが,結果からすれば予想よりはずっとよかったということだろうか。もちろん,Tony Scottの映画にありがちなシナリオ上の破綻はこの映画でもあるし,不必要なシークェンスを入れることで,映画が冗長化したという批判も可能である。

だが,私としてはWashingtonとTravoltaという適材適所というべきキャスティングによって,随分とスリリングな展開が可能になったと思うし,飛行機の中でのエンタテインメントとしては十分に楽しめたと言っておこう。これなら日本の劇場でこの映画を見ていても,文句は大して言わないだろうなぁというぐらいの出来である。

だが,おそらく全然金の掛っていないオリジナル版と比べてどうなのよと言えば,私は圧倒的にオリジナルを評価せざるをえないのである。そもそもがTravolta以外の悪役に魅力がないのも問題だが,私は余計な要素を入れたシナリオをこそ問題視したいと思う。例えば「誤発砲」なんてのも問題だし,市長の描き方も気に入らない。犯人たちが降りたあとの列車の動きも説明不足である。あるいはラストに向けての凡百のアクション映画のような展開も面白くない。このあたりが,もう少しうまく描かれていたら,私のこの映画に対する評価はもっと上がっていただろう。そうは言いながらも星★★★☆ぐらいは主演の二人に免じてつけておくぐらいは楽しめた。

この映画を見て,面白いと思った人がいるのであれば,是非オリジナル作品を見てもらいたいと思うのは私だけではないだろう。あっちはもっといいでっせ,と言っておきたい。

2009年10月11日 (日)

Jerry Bergonzi本人のFavorite Albumはこれだ

Lineage"Lineage" Jerry Bergonzi(Red)

本人が語ったところによると,Jerry Bergonzi本人のファイヴァリット・アルバムはRedレーベルから発売されたこのアルバムだそうである(
Laieさん,情報ありがとうございました)。しかしながら,廃盤となって結構手に入りにくい状態が続いていたので,私は今まで聞いたことがないのだが,このたび,ジャケットを変更して新たにRedから再発になった。新盤(上)と旧盤(下)でどちらのジャケが好きかって議論はあろうが,まぁどっちもどっちかねぇ。私は色がビビッドな分,新盤もマンガチックながらいいのかなぁとも思うが...。まぁこれは完全に好みの問題であるが,大した問題ではない。

Lineage2と言いつつも,出張疲れで音楽を聞いている余裕がなく,今日は情報のみ。早いところ聞いてみたいものである。そもそも1曲目が"Inner Urge"ってのも渋いしなぁ。いずれにしても,本人のお気に入りアルバムが,ジャケは変われども入手しやすくなったのはめでたい限りである。

2009年10月10日 (土)

時差ボケの2乗

先日,欧州の出張から帰国したものの,今回の時差ボケはかなり辛い。現地で時差ボケを解消した頃に日本に帰ってきたものだから,そのネガティブな効果たるや絶大である。

朝の電車では倦怠感は強いのに眠れない。しかし,夜の帰りの電車ではまるで徹夜明けのように深い眠りに落ちるということの繰り返しである。

これからの三連休でこうした状態は脱却できるとは思うが,昔に比べるとボディ・クロックの調整が難しくなったことは間違いない。人生の黄昏というか,歳を痛切に感じてしまった出張であった。明日からは音楽ネタに復帰できればいいが,さて結果やいかに。

2009年10月 9日 (金)

ロンドンで仕入れたJohn Etheridgeはカッコよかった。

John_ethridge "In House" John Etheridge / Arild Andersen / John Marshall (Dyad)

先日,このブログの記事でも書いたが,私はロンドン滞在中にJohn Etheridgeのライブを見ることができた。そのときのバンドが,どちらかというとオーセンティックなピアノレスのジャズ・クァルテットながら,リーダーのギターはロック・フレイバーが強いもので,そのギャップは面白かったことは面白かった。しかし,演奏を聞きながら,私はむしろよりジャズ・ロック的なフレイバーの演奏の方がいいなぁと漠然と思っていたのは事実である。例えば,サックスともっとキメの鋭いユニゾンを展開するのも一つの施策であったはずだ。ところが,件のバンドのサックスが今イチって感じだったのもあって,楽しめるのだけれでも,高揚しないという感じが残ったのは事実である。

そんな私が,現地で売っていたEtheridgeのCDを仕入れてきたのだが,ここで展開されている音楽こそ,彼にぴったりの音楽だと思ってしまった。ここに収められている演奏は生で聞いた演奏よりはるかに刺激的で,テンションも高い。そもそもロック畑出身のEtheridgeであるから,ジャズにこだわる必要はないのである。ちょっと感じは違うかもしれないが,Terje Rypdal的な感じがするのは,ここでArild Andersenを迎えているせいかもしれない。浮遊感も感じさせながらも,鋭いフレージングを連発していて,これはかなりよい。日本への帰りの道すがらの友となったことは言うまでもない。ブリティッシュはやはりこういう感じでやって欲しいと思ってしまった私である。

こういう演奏を聴いていると,Gil Evansと共演したことがある英国人ギタリスト,Ray RussellがGilのバンドにおいても,鋭いロック的な感覚を放出していたことを思い出すが,このブリティッシュ特有のサウンドは,私がいかにアメリカン・ロック指向が強くても,時としてしびれてしまうのである。このメンツで来日なんてありえないだろうが,一度見てみたいバンドである。いずれにしても,サイン付きで10ポンドは超お買い得だったというところへの感謝も含めて星★★★★★である。いやいやこれはまじでカッコいいわ。

ところで,このアルバムが録音されたPizza Expressというところは,全然ジャズ・クラブっぽくない名前だが,Jerry Bergonziが出演したこともあるし,近々Wayne Krantzがおそらくは地元のベーシストのバンドで出ることもわかっている。たまたま私はそのときにロンドンにまたまた出張の予定なので,何をおいてもKrantzを見に行かねば。と,話が脱線してしまった。

Recorded Live at Pizza Express Jazz Club, London on January 13 & 14, 2007

Personnel: John Etheridge(g), Arild Andersen(b), John Marshall(ds)

2009年10月 8日 (木)

出張中に見た映画(09/09-10編):その4

Bonnie_clyde 「俺たちに明日はない("Bonnie & Clyde")」('67、米、Warner Brothers)

監督:Arthur Penn

出演:Warren Beatty, Faye Danaway, Gene Hackman, Estelle Parsons, Michael J. Pollard, Gene Wilder

この映画を見るのは何年振りだろうか。本当に久しぶりに見たような気がするが、この映画、ラスト・シーンが強烈過ぎて、ほかをあまり覚えていなかったというのが事実である。そんな中で印象に残っていたのはBeattyの兄を演じるHackmanの粗野なキャラクター設定であったが、Estelle Parsonsのヒステリックな役柄や、Gene Wilderのとぼけた演技など、新しい発見もあった。更に、大いに感心したのはMichael J. Pollardの癖のある演技である。こんな演技をしてしまうと、ほかの役がつかなくなるよなぁと思いながら、彼がその後に出た映画ってなんだっけって考えてしまった私である。

そうした役者陣の演技もあろうが、この映画の最大の勝因はその中でFaye Danawayの現状の退屈な生活にフラストレーションを感じるBonnie Parkerにぴったりの配役があったと私は思う。Clyde Barrowと行動を共にしていても、彼女の別の意味での(Clydeに起因する性的な)欲求不満は解決することはないのだが、その中で強盗に快楽を見出していく感じに痺れてしまった。しかし、彼女が母親に会いに行くシークェンス等、本当に必要だったのかと思える部分もあるほか、話は淡々と進んでいくわけだが、それを打ち破るのがやはりあのラスト・シーンである。このシーンを見ていて、個人のプライドを傷つけられた私怨の恐ろしさというのを感じてしまったが、本来は殺さなくてよい人間を殺してしまってから、完全に何でもありの強盗生活に突入した彼らの末路を鮮やかにこれほど鮮やかに描いたラストはあるまい。

余談ながら、もう一つ面白かったのはBonnieとClydeが自分の職業を説明するのに"We rob banks."と言っているところである。なんとストレートな...。

結局のところ、この映画はラスト・シーンによって記憶されることは間違いないとしても、久しぶりに見てもやはり良くできた映画だったと思う。星★★★★☆。それにしても、この映画もよくカテゴライズされる「アメリカン・ニュー・シネマ」ってのは何だったのかなぁ。今でもよくわからんカテゴリーである。

2009年10月 7日 (水)

出張中に見た映画(09/09-10編):その3

Photo_2 「眼下の敵("Enemy Below")」('57、米/西独、FOX)

監督:Dick Powell

出演:Robert Mitchum, Curd Jürgens, David Hedison, Theodore Bikel

先日、このブログで「真夏のオリオン」について書いたとき、やっぱり潜水艦と言えば「眼下の敵」だよねぇなんてことを書いたが、往路の機内エンタテインメントのプログラムが前回出張と同じと変わっていないこともあって、見るものがないと判断し、今回はDVDを持参して、この映画を機中で見た私である。

実はこの映画も見るのは結構久しぶりのことだったが、駆逐艦艦長のMitchumとUボート艦長のJuergensの腹の探り合いは間違いなく「真夏のオリオン」に影響していると思わざるをえなかった。細かいことはさておき、確実にストーリーには類似性が見受けられる。しかし、映画の出来としては全然違うと言っておきたい。この映画には全く女性(はっきり言って、「オリオン」の北川景子なんて、どうでもいいキャラである。)が登場しないし、ストーリーは単刀直入である。そこに私は潔さを感じるのである。

もちろん、製作年代の古さもあって、特撮なんてかなりちゃちいと言えばその通りであるが、実写による爆雷投下のシーンは俯瞰でのカメラ・ワークも交えて、かなりの迫力である。この映画、シネマスコープで撮られているが、シネスコの大画面だったら更に迫力が増しただろうなぁ等とPCの画面でこの映画を見ながら思っていた私である。

いずれにしても、この映画はMitchumとJürgensの対決とそこに芽生える友情のようなものを描いて、骨太な戦争映画の傑作と判断してよい。男の中の男だよねぇ。そもそも「真夏のオリオン」とはレベルが違うのである。星★★★★★。

2009年10月 6日 (火)

出張中に見た映画(09/09-10編):その2

60 「60歳のラブレター」('09、松竹)

監督:深川栄洋

出演:中村雅俊、原田美枝子、井上順、戸田恵子、イッセー尾形、綾戸千恵

3組の還暦付近のカップルの話を同時進行させる形で描いた映画である。今回の出張では、前回の出張で映画を見過ぎて、はっきり言ってみたい映画がなくなってしまって、何を見ればいいのか悩んでいたののだが、私もおっさんだし、まぁいいかということで選んだのがこの映画である。

きっとこの映画をみて泣いている観客が多いんだろうなぁなどと冷めた目で見ていたが、イッセー尾形には私も泣かされてしまった。これは素直に認めなければならないだろう。

しかし、ほかの2組の話は何だろうか?あまりにステレオタイプな造形の中村雅俊、更にはあまりに演技が下手くそで失笑せざるをえない井上順ははっきり言って噴飯ものである。中村雅俊と別れる奥さん役の原田美枝子が非常に魅力的なのに、中村雅俊のそもそもの人物設定があまりにも面白くないため、私は彼のセリフの一つ一つや一挙手一投足を見るだけで馬鹿馬鹿しい気持ちになってしまったのである。そこに割り込んでくる石黒賢がまたまた下らない役回りで笑ってしまうが、この映画を見ていて、一体イッセー尾形/綾戸千恵コンビを除いて、どこでこの映画で泣けというのだろうか。とは言え、イッセー尾形の逸話だってありがちと言えばその通りなのであるが、マーチンD28に免じて許す(と言ってもこの映画を見ないとわからないだろうが...)。

結構、この映画をほめている人がネット上にはいるが、彼らは本当に映画として感動しているだろうか?TVドラマに毛の生えたようなものであれば、わざわざ映画館に足を運ぶ必要は感じないと思うのは私だけだろうか。私は映画にはより静かな感動を求めたいと思うので、この映画は全く評価できないのである。ということでイッセー尾形に免じて星★★。

2009年10月 5日 (月)

Weekend in London:中年音楽狂の週末

"Weekend in LA"と言えばGeorge Bensonだが、私、中年音楽狂は今回、Weekend in Londonである。サラリーマン生活を送っている限り、週末をまたいで海外出張することはほとんどないのだが、今回は久々に週末を外地で送ることができた。

Tate_modern 私は今から20年ほど前、ロンドンに仕事で都合2か月ぐらい滞在したことがあるのだが、ゆっくり街を歩く時間を得られたのはその時以来かもしれない。ということで、今回は前回来た時にはなかったTate Modernにモダン・アートを見に行くことにした。旧Tate Gerllaryは今でもTate Britainとして健在だが、そちらはそちらで見事なTurnerのコレクションがあるから、今回もちょっと見てみたい気はしたが、せっかくだから行ったことがないTate Modernに行ったのである。Tate Modernはもともと発電所だった場所を美術館に変えるというまぁ何とも凄いコンセプトで作られているのだが、それはそれは充実したコレクションで、見て回るだけで疲れてしまった私である。今回はポップ・アートの特別展覧会もやっていたが、あれで12ポンドはちょっと高いんじゃない?と思ったのは事実である。まぁそれなりには楽しめたが、私にはどうして村上隆があんなに世界的に評価されるのかは全く謎である。私のセンスが鈍いということなのかもしれないが、本当にあれが芸術なのかねぇ。Andy Warholと同列に並べられても、私には納得できないなぁ。

Photo_3 その後、いろいろ買い物をしようと、ロンドンの目抜き通りであるRegent Street界隈に出没したが、結局は旅の終わりはパブですかという感じで、ビールをかっ食らった私である。ロンドンのパブは日本の喫茶店だよなぁと思うのは私だけだろうか。結局、飲むものが違うだけで、場所の提供という観点では、私はロンドンのパブは喫茶店と同じだと思っている。まぁ雰囲気は全然違うし、ロンドンにもたくさんスタバやらその他もろもろのコーヒー・ショップはあるが...。

Photo_4 それでもって、夕食はなぜかコロッケ定食である。日本を離れて一週間もすると、日本食が恋しくなるが、なんでコロッケ定食なのか。まぁそれは同行している出張者の紹介だったわけだが、値段はリーズナブルな割に、コロッケが3個もついてくるのはイギリス仕様かっ!とも言いたくなってしまった。それでもコロッケそのものの味は悪くなかったので文句はないが、ご飯は明らかに炊いてから2日は経っているだろうというしろもので、これを炊きたてのご飯を出せば、この店はロンドンでブレイクできるのにと思ってしまった私である。

London_001 しかし、私の週末はこれで終わらないのである。食事をした後、地下鉄とタクシーを乗り継いで到着したのはロンドン北部にあるVortexというジャズ・クラブである。目当てはJohn Etheridgeである。彼がサックス入りのピアノレス・クァルテットで出演ということで、Ronnie Scott'sのNigel Kennedyと606のBobby Wellinsを袖にして、こちらに駆け付けた私である。John Etheridgeと言えば元ソフト・マシーンである。また、Andy Summersともアコギのデュオを出しているし、最近はクラシック・ギターのJohn Williamsともコラボをしているらしい。しかし、今回のバンドは冒頭がいきなりOrnetteの"Turnaround"だし、レパートリーはNat Adderleyだ、Wayne Shorterだ、ジョンスコだ、更にはMethenyの"James"だとはっきり言って無茶苦茶というか、何でもありである。それでもって、リーダーのギターはどう聞いてもロックだし、こいつは不思議なバンドである。でも"James"をやっているときはほとんどMetheny化していたのは微笑ましかった。いずれにしても、こんな不便なクラブにわざわざ出掛ける物好きな日本人はそう多くはなかろうが、10月の半ばにはKenny Wheelerも出るらしいし、下旬にはなんとEvan Parkerも出るらしい。何とも深~いクラブである。

John_ethridge そこでEtheridgeのCDを売っていたのでゲットしてきたが、なんとベースはArild Andersen、ドラムスはJohn Marshallによるライブである。なんちゅうメンツじゃと思いつつ、これはやっぱり気になるよねぇ。CDに関しては別途報告とするが、結構楽しんでしまった私である。

ということで、ライブがはねてホテルに戻ったら深夜を過ぎていたが、たまにはこういうのもないとやってられませんわな。でも、仕事はちゃんとやっているので、誤解なきようにお願い致します~。

2009年10月 4日 (日)

Oktoberfest!!

本当にたまたまだったのだが、こんな時期にミュンヘンに出張で滞在することとなって、大きな役得となったのがオクトーバーフェストというものを体験できたことである。

Oktoberfest_003 Wikipediaによれば「オクトーバーフェスト(Oktoberfest)とはミュンヘンで開催される世界最大の祭り」だそうである。ほんまかいなと思って、同地での仕事が終わった後、祭りの開催地Theresienwieseに行ってみたのだが、これは大変なことだと真剣に思ってしまった。おそらくこの期間だけのために巨大なビアホールが軒を連ねているのである。これはある意味壮観と言えばその通りであるが、ほとんど遊園地状態の現地にビアホールが沢山あるってのは不思議な感じであった。

Oktoberfest_002 そこにあるビアホールのスケールがまた異常である。テントと言われるその会場が立錐の余地もないほど混み合っているのはまさに驚きである。ドイツ人と言えば、日本人同様勤勉、まじめというイメージが強いが、どうしてここまで大騒ぎできるのか???この写真だけではあまりイメージがわかないかもしれないが、まさに体育館あるいはそれ以上のスペースに、机が並べられ、そこでみんながどでかいジョッキでビールを飲み、ローカル・フードを食しているのだ。

Oktoberfest_004 一体一晩にどれだけのビールが消費されるのかと思ってしまうが、並んでいるジョッキ(1ℓサイズだろう)の数からして尋常ではない。しかし、それを越える人間が集まってしまっているから、驚いてしまう。本当の話だが、あれだけの場所がありながら、座る場所が見つけられなかった。

しかも、音楽が鳴り出すと、ドイツ人のおばちゃんを中心にいきなり踊りだすのである。まさしく「飲めや、歌えや、踊れや」だ。なんで私が付き合わなければならんのかと思いつつ、私も国際親善のために椅子の上で踊ってしまったではないか。なんだかなぁ~とは思いつつ、これはやっぱり強烈である。一時の祭りのためだけに、こんな場所が出来上がってしまうこと自体も驚きならば、こんなに盛り上がってしまう人々も驚きなのである。

Oktoberfest_001 ドイツ人は日頃まじめで勤勉な生活をしているから、羽目をはずすとこわいのだろうなぁなどと冷静に考えてしまったが、まぁいい経験をさせてもらったと言っておきたい。まさしく百聞は一見にしかずである。しかし、私は実際に見たが、急性アルコール中毒で救急隊のお世話になっているおっさんもいれば、まだ夕方だというのに千鳥足で前後不覚のにいちゃんもいた。私はその仲間入りはしなかったが、あそこまで飲めればある意味幸せだろうねぇ。

2009年10月 3日 (土)

マニフェストは何のため?誰のため?そしてシカゴと東京の敗退に思う。

自民党の谷垣禎一総裁が八ツ場ダム建設中止を表明している鳩山政権を「議論がまだ尽くされていない。最初にマニフェストありきというのは通用しない」と批判したそうである。

工事継続を要望する地元住民の気持ちはわからないでもないが、国政選挙におけるマニフェストってそんな軽いものではないだろう。民主党のマニフェストに対してそれを支持して民意として投票した国民は谷垣にとっては何なのか。

民主主義は最後は多数決の世界である。谷垣が言うように「最初にマニフェストありきでない」ならば、義理人情を重視して無駄な金を使い続けるのか?そんなやり方に多くの国民が辟易としていることを、前回の衆議院選の結果は如実に示したはずであるが、それを否定するというのでは選挙に負けたことによる学習効果は自民党にはなかったのだとだけ言っておこう。所詮はマニフェストなんて自民党という政党にとってはどうでもいい存在なのだろう。

そして、本日の驚きは2016年の五輪招致レースでシカゴが第1ラウンドで敗退したことであった。Barack Obamaが出席することでオッズでは本命視されていたシカゴがいとも簡単に敗退したのは驚きであったはずである。特にアメリカ人にとっては。

Photo_3 しかし、私はObamaのスピーチを聞いていて、あんまり面白くないなぁと思っていたし、それに先立つ結構お涙頂戴的なObama夫人のスピーチを盛り上げるものでなかったのは影響が大きかったのではないだろうか。いずれにしても人の気持ちはうつろいやすく、読みにくいものだとつくづく思ってしまった。まぁそれでも今回、東京には勝ち目がなかったということははなから明らかだったというのが正直な感想である。そもそも日本からの代表団が来ていたあのライト・グレーのユニフォームは何なんだろうか?誰のデザインだとケチをつけたくなったのは私だけではないはずである。あれじゃ目立ちようがないだろうが。あのユニフォームで一体何を訴えようというのか。演出も何にも考えていないとしか言えない、この仕事の主のどこかの広告代理店は東京都民の税金を無駄遣いしたことに対して何と申し開きをするのかねぇ。それ以前に、石原慎太郎はどう責任をとるのか見ものであるが、彼のことだからどうせ開き直るだろう。あ~馬鹿馬鹿しい。

日本から離れてみると、どうも日本はおかしなことばかりである。

出張はつらいよ(09/09-10編):その2

Photo 出張の道すがら、念願かなってオーストリアの地を踏んだものの、仕事での訪問ではせっかくのリンツの美しい街並みを楽しむこともかなわなかった。車からみたドナウ川の周りに広がるリンツの市街はきれいだなぁと漠然と思っただけである。

それにしてもリンツの空港ってのは、こんな静かな空港があっていいのかってぐらい人はいないし、閑散としていた。これじゃ絶対赤字なのではないかと心配になってしまった。この写真は搭乗開始時刻の30分前の姿である。ほとんど信じられないぐらいの静けさである。あまりに閑散としていて眠くなりそうだったので、Deep PurpleをiPodで結構な音量で聞きながら、うろうろ歩きまわって目を覚ました私である。それにしてもなんだかなぁ。

でもやっぱりウィーンとザルツブルグに行ってみたかった...。出張者にはあるまじき発言ですな。

2009年10月 2日 (金)

今日のCNNはIOC総会のニュースばかりである

現在、ミュンヘンに滞在しているのだが、当地でCNNを見ていると、2016年夏季五輪の開催地を選ぶ国際オリンピック委員会(IOC)総会のニュースばかりである。やたらにBarack Obamaがさっき到着しただの、これからプレゼンだのとかまびすしい。

今回候補に残っている4都市ではビッド・メイカーによれば、今のところ賭け率はシカゴ、リオ、マドリッド、東京の順番になっている。何でも賭けの対象にしてしまうのがすごいが、それよりも何よりも東京が、欧州連続開催は難しいとされるマドリッドにさえ及ばないというのが現実だということを石原慎太郎はどう考えているのであろうか。東京都民、あるいは日本国民のサポートが足りない以前に、別の問題があるはずである。私なら森喜朗を招致委理事として前面に出すようなことはしないが。これはマーケティング、あるいはプロモーションの問題のようにも感じるなぁ。

まぁニュースでは最後の最後までわからないというトーンだとしても、CNNではシカゴとリオの一騎打ち、シカゴが負けると、Obamaの指導力に影が差すなんて論調である。いずれにしてもほとんどお祭り状態である。

出張はつらいよ(09/09-10編)

毎度おなじみ「出張はつらいよ」シリーズである。今回の出張では欧州各地を転戦しているが、今回はエジンバラからオーストリアのリンツに飛んだ。そう、あのモーツァルトの交響曲36番のタイトルにもなっているリンツである。というと文化の香りが漂うような気がするが、ここまでたどり着くのが大変であった。

リンツはオーストリア第三の都市らしいのだが、それでも人口は20万にも達しないぐらいの街なので、そもそも飛行機が少ない。更に時間を有効活用しようと思って、エジンバラを出る時間を若干遅くしたものの、ロンドン~フランクフルトで2回乗り換えという移動で、時間が掛かること甚だしいのである。結局8時間以上掛かってしまった。直線なら大したことないのにねぇ。ということで、相変わらず出張はつらいのである。

リンツに到着したのは夜遅くだったものだから、街の様子はこの記事を書いている段階では全くわからない。しかし、ホテルへの道すがらでの感じは何にもないってところである。とは言うものの、私は従来からオーストリアという国に来たくて来たくて仕方なかったので、今回の出張機会を活かし、時間があれば見られるものは見たいとも思うが、本命のウィーンやザルツブルグではないから、一体何があるのやら...。そもそも街を見る時間なんてあるのだろうか?何らかの報告ができればいいのだが。まぁ乞うご期待ということで。

2009年10月 1日 (木)

エジンバラ再訪

私は出張の機会が多いため、国内外のいろいろなところに行けるのはある意味役得の一つである。そんな私でも、滅多に行けないだろうなぁ、あるいは二度と来ることはないだろうなぁなどと考える場所も少なくない。

St_giles_cathdral 今回、私はスコットランドのエジンバラを3年ぶりに訪れることになったわけだが、街そのものが世界遺産のこの街をまた訪れる機会があるとは思わなかった。しかし、今回久々に訪れてみて、夜の街を徘徊しただけでもやはり魅力的なところだというのは十分理解できる。iPhoneで撮った割にはよく撮れた夜のSt. Giles Cathedralの写真をアップしておくが、大聖堂フェチの私としては昼間時間があれば、絶対に訪れたくなるような立派な建物である。そんな時間も取れないのは出張者の宿命だが、これは立派である。本来なら中からステンドグラスを見てみたかった。

Haggis_3 また、前回のエジンバラ訪問時に食することができなかったスコットランドの伝統料理"Haggis(ハギス)"にも今回ようやくありつくことができた。"Haggis"とは「羊の腸の中にミンチしたレバーや内臓類、丸麦、玉ねぎ、香辛料などを詰めて蒸したもの」らしいのだが、まぁそれだけ聞けばちょっとした癖があっても仕方がないと思わせるようなものである。しかし、これが何ともうまいのである。安い赤ワインと一緒に食しても、全然問題なし。だからローカル・フードはやめられない のである。ちなみに手前に写っているのはウィスキー・ソース。スコッチの本場だけはあるが、いずれにしてもスコティッシュ料理を馬鹿にしてはいけないと痛感した一夜であった。

町に着いたのも遅かったので、いただいたスコッチの量はほんの少しだったが、う~む、今度は仕事ではなく、遊びで来てみたいなぁと思わせるエジンバラであった。まぁそれはかなわぬ夢であろうが...。

« 2009年9月 | トップページ | 2009年11月 »

Amazon検索

2016年おすすめ作

2016年おすすめ作(本)