未聴盤の山の中から:今日はOve Ingemarssonである
"New Blues" Ove Ingemarsson Quartet(Spice of Life)
ちょっと早い夏休みなどを取ってしまって,そのしわ寄せが仕事に出てくるとなかなかゆっくりと音楽を聞いている時間がなくなってしまった。その一方で,聞く時間を上回るペースで届く注文済みのCDや新たに仕入れてくる中古盤ということで,完全にオーバーフローしている感も強い。その結果,未聴盤はうず高くつまれることになってしまう。徐々にそうした状態を解消しなければならないのだが,なかなかそうもいかないというのが実態である。Egberto Gismontiの新譜なんか早く聞かねばと思いつつ,ずっと聞けないままである。
そうした中で取りだしたのがこのアルバムである。私は欧州ジャズは聞き始めて時間が短いので,ほとんどのアルバムは後付けで聞くことになっているが,このアルバムは中古盤屋で見つけて,バックのメンツで買ってみたものである。よくよく見てみると,ブログのお知り合いの皆さんはとっくにこのアルバムを取り上げられていて,これまた何を今さらだが記事にしてみることにした。今も継続されているスカンジナビア・コネクション・シリーズの第13回開催時,2002年青山でのライブである。
Ove Ingemarrsonは私はこのアルバムで初めてというわけではないのだが,まともに聞いたことがあるとは言い難い。世の中ではMichael Brecker度の高さが言われているようであるが,まぁそう言われてみればそう聞こえるのは事実であろう。音色やフレージングのそこかしこにそういう感覚は確かにある。それよりも私が驚いてしまったのはLars Janssonのハードな伴奏ぶりである。Janssonも私は大して聞いているわけではないが,Janssonと言えばまず思い出すのは"Hope"(これも記事にしていないなぁ...)である。そこで聞かれたJanssonのイメージ(美旋律ってやつだ)とは本作はかなり違うのである。Janssonのオリジナル(特に導入部)にそういう瞬間がないわけではないが,やはりここでのJanssonはメロディアスでありながらもハードである。この人,Bob Berg~Mike Sternと共演した時は超ハードなフュージョンもやっていたが,つくづく間口が広い人だなぁと思ってしまうような演奏である。Enrico Pieranunziはフュージョンはやらないが,彼にも間口の広さを感じる私としては,欧州のピアニストってのはそうなのかとも思わせるような演奏である。
全編を通じて,演奏は快調そのものであり,ここでもやはりスウェーデン・ジャズのレベルの高さを認識させられるのだが,その思いを更に強く感じさせるのが曲のクォリティではないかと思う。このアルバムは,最後の"Softly"を除いて参加メンバーのオリジナルであるが,一聴して彼らの書く曲の魅力を感じてしまうものである。大したものだと言いたい。星★★★★。
Recorded Live at 青山ボディ&ソウル on August 6, 2002
Personnel: Ove Ingemarsson(ts), Lars Jansson(p), 森泰人(b), Anders Kjellberg(ds)
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自分のブログで、検索してトラバしちゃいました。(爆)
そう、ヤンソンって、ハードなところではハードですよね。
耽美的なものばかりでは、無いのですが、、
でも、ホープあたりがあまりに強烈な印象だったため、ちょっと意外に思ったりしちゃうかもしれませんね。
投稿: すずっく | 2009年8月16日 (日) 23時39分
すずっくさん,こんばんは。コメント,TBありがとうございます。
「自分のブログで、検索してトラバしちゃいました。(爆)」っていうのは思わず笑ってしまいましたが,欧州のミュージシャンの多面性というのはやはり面白いです。
こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2009年8月17日 (月) 00時00分