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2009年8月31日 (月)

まとめ買い値引きセールで大量購入...

Lyrics"Lyrics" Henryk Miskiewicz(Grami)

某CDショップでまとめ買いすると,ディスカウントが付くというセールをやっていて,中古盤を漁っていたら,相当数(敢えて何枚と言いたくない)のアルバムを買ってしまった。今回の購入では見たことがないようなアルバムが結構あって,買い物としては悪くなかったし,値段も悪くなかったのでまぁいいかって感じだが,財務状況は悪化の一途である。まじでやばい。

それはさておき,今回のアルバムは思索に耽るがのごときおねぇちゃんの横で,バスクラくわえたオッサンが写っているというわけのわからんジャケなので,それだけなら即無視なのだが,そこに私の目に飛び込んできたのがSimple Acoustic Trio(以下SAT)の文字だったのである。彼らがホーンのバックをやるのはTomasz Stankoってことになるが,今回はHenryk Miskiewiczという初耳のサックス・プレイヤーである。バックのトリオのドラマーはMichal Miskiewiczだから,もしや血縁者かとも思うが,やはり私がこのアルバムを買う気になったのはSATゆえであることは間違いのない事実だ。

冒頭の"Half Note"からSATらしいバッキングぶりというか,そういう音楽が流れてきて,おぉ,これは買って正解であったと思わずほくそ笑んだ私だが,3曲目なんてMaria Schneiderのオリジナルで,へぇ~って感じである。しかし,私が驚いたのは4曲目の"Furiozi"である。この曲はピアノのMarcin Wasilewskiのオリジナルなのだが,これがイメージを覆すほど激しい。いろんんば音楽性を持っているのだなぁと感心してしまった私である。SATとしてもほかのアルバムのイメージとは違って,これは非常に面白いと思う。ドラムスのMichal Miskiewiczがこれほど激しく叩くとは思っていなかった。もちろん,私としてはECM作品の方が好みではあるが...。

それでもってリーダーのMisikiewiczだが,ソプラノだと途端に甘い感じになるのが不思議だが,アルトは結構鋭い感じもあっていいのではないかと思う。トータルで言えば星★★★☆ぐらいは付けていいだろうと思わせる佳作である。このアルバムが4時間で録音が終わっているってんだから,大したものだ。それにしても世の中,まだまだ知らないミュージシャンやアルバムがころがっているものである。

Recorded on December 3 & 4 (between 10PM and 2PM)

Personnel: Henryk Miskiewicz(as, ss, b-cl), Marcin Wasilewski(p), Slawomir Kurkiewicz(b), Michal Miskiewicz(ds)

2009年8月30日 (日)

知らぬこととはいえ...

Lift"Lift: Live at the Village Vanguard" Chris Potter Quartet(Sunnyside)

このアルバムは多くのブロガーの皆さんが絶賛してきたアルバムである。しかし,タイミングというのか,縁というのか,私はこのアルバムをずっと聞かずにきてしまったのだが,その事実を完全に悔いたアルバムである。

なんなんだ,これは...というのが,私の最初の感想である。それは決して悪い意味ではない。よい意味で,私は本当に心の底から燃えてしまったのである。正直言ってこんな高揚感は久しく感じたことがない。

この作品の素晴らしいのは,参加した4名のミュージシャンがまさしく「猪突猛進」する姿を見事にドキュメントしたということである。確かに"Stella"のようなスタンダードも入っているが,全く普通ではない(あるいは尋常ではない)緊張感に包まれているではないか。もう誰も止められないというモードである。

そもそも冒頭のBill Stewartが書いた"7.5"からして変態な曲であるが,その他も好き者が聞いたら悶絶間違いなしの曲,フレージングの連発である。そしてラストの"Boogie Stop Shuffle"で昇天するのが筋だと強弁したくなるほどこれが凄い。とにかくこのアルバムには多言は無用だ。ただ聞けば私の感覚がわかってもらえるはずである。

実のところ,今まで私はChris Potterはリーダー作ならUndergroundのアルバムを聞いていればいいやと思っていたのだが,本作を聞いてそれが大きな間違いだったと反省されられた。はっきり言ってこのアルバムほど同じアルバムをリピートして聞きたくなったことは,ここ数年なかったことである(少なくとも4回続けて聞いた)。それを勘案すれば,私は少なくと過去5年の間に聞いたジャズ・アルバムの中で最高の一作と言いたくなるような超弩級の傑作と評価したい。誤解を恐れずに言えば,このハードボイルドと言ってもよい演奏ぶりにもろ手を挙げて賞賛したくならなければ,現代ジャズを聞くのはやめなはれと言いたくなるような作品である。まさしく星★★★★★では足りないぐらいだ。

思わず熱くなってしまったが,日本においてこのアルバムを評価したのはブロガーが主体であって,決してジャズ専門誌やジャズ評論家でないという事実は見逃してはならない。今や審美眼は絶対に私の知り合いのアマチュアのブロガーの方が商売っ気がない分,プロより上だと言いたくなってしまった。

とにかくこの作品を未聴の方は一度聞いてみて欲しいものである。欧州ジャズの人気が高い昨今ながら,どっこいアメリカでもちゃんとやっている人はいるし,彼らのパワーには欧州勢が束になっても絶対にかなわないということを実証した作品である。これはまじで最高だ(でも何を今さら言ってんのと言われそうで怖い)。

Recorded Live at the Village Vanguard, NYC on December 13 & 14, 2002

Personnel: Chris Potter(ts, b-cl), Kevin Hays(p), Scott Colley(b), Bill Stewart(ds)

2009年8月29日 (土)

完全にZepp化しているParis

Paris "Paris" Paris(Capitol)

Parisというバンドは私の中ではBob Welchとの結びつきでしか出てこない。Bob Welchについては,何枚かアルバムを持っているし,Welchが参加している時代のFleetwood Macのアルバムも聞いている。そこで聞かれるBob Welchのポップな感覚は結構私の好みであったのだが,今までこのバンドの音源を聞いたことがなかった。これも本来「たまたま」というものだが,今回,リマスター盤を結構安く仕入れることができたので,初めてこのバンドを聞くこととなった。

何よりも驚いたのは,私が持っているWelchのイメージと全く異なる音が出てきたことである。ほとんど演奏はLed Zeppelinのクローンと言ってもよい。もちろん,John Bonhamがいるわけではないから,あのヘビーなビートがここにあるわけではない。しかし,聞こえてくる演奏はギター・リフといい,曲といい,Led Zeppelin色が極めて濃厚なのである。

更に私を驚かせるのがWelchがヴォーカルとギターを掛け持ちしていることである。あれだけのリフを弾きながら歌うってのは,実は大変なことではないかと思うのだが,Welchは楽々こなしているように聞こえてしまうのが驚きである。レコーディングだから出来るって話もあるが,ライブはどうだったんだろうと思わず心配したくなるようなギター・サウンドが聞かれるのである。これは実は物凄いことではないのかと思ってしまった私である。

まぁここまでZeppelinに似ているとオリジナリティがどうのこうのという議論になることは間違いないところだろう(先日取り上げたYesにそっくりなStarcastleと同様である)。しかし,そうしたことを気にしなければ,これはかなりいけているロック・アルバムではないのかと思うのである。曲もいいし,演奏もカッコいいのだから,私には文句はない。

加えて言えば,Bob Welchの多様な音楽性の一面を聞かせてくれるということで,このアルバムはそれなりの価値があるように思う。やはり私にとっては,Bob Welchがこんな音楽をやっていたということ自体が驚きであり,発見であった。星★★★★。

ところで,このアルバムのプロデューサーであるJimmy RobinsonはJimmy Pageその人であるという情報と,別人だという情報があるが,私がこのサウンドを聞く限りはJimmy Pageでしょって思うのだが。それぐらい影響濃厚なのだ。

Personnel: Robert Welch(g, vo), Glen Cornick(b, key), Thom Mooney(ds)

2009年8月28日 (金)

中古で発見:Bergonzi対Hal Galper

Rebop "Rebop" Hal Galper Trio with Jerry Bergonzi (Enja)

中古盤屋をうろついていたら,私の知らないアルバムに邂逅。Hal GalperとJerry Bergonziの共演盤である。Enjaレーベルにしては不思議なジャケットで,危うく見逃すところであったが,めでたくゲットしたものだが,Bergonzi入りのアルバムを見つけるとついつい買ってしまう私である。これもいつもテナーの聖地,新橋Bar D2でマスターに煽られているせいかもしれない(と人のせいにする)。

Hal Galperと言えば,Brecker BrothersやPhil Woodsとの共演が注目されるのが一般的で,本人だけではなかなか訴求力があるとは思えない人だから,まぁ過小評価されているピアニストの代表みたいな感覚がある。とは言いながら,私もこのアルバムを買っているのはBergonzi目当てだったので,偉そうなことは言えない。しかし,本人もWebサイトでご丁寧にMichael Breckerの映像をアップしているぐらいなので,自分の立ち位置もそんなもんなんだろうと自覚しているのかもしれない。

このアルバムはそんなHal Galperがスイスのラジオ局で演奏した際の実況録音である。演奏はGalperトリオもBergonziも冒頭の"All the Things You Aren't(こういう曲名なのだ。もちろん,"Are"のヴァリエーションだが...)"から期待に応えたものと言ってよい(ややバスドラはうるさく感じる)が,4曲目のThelonious Monk作の"Jackie-ing"が何ともかったるい演奏(特にGalperのソロが退屈である)で,雰囲気を壊しているのが残念である。ここでのGalperのアダプテーションにはMonkの音楽の特性である諧謔性が感じられないのである。これはテンポの設定もあろうし,全体的な演奏への取り組み自体がどうも私には響いてこない。それまでの演奏がほぼ快調に推移していただけにこれはやはり惜しい。Bergonziはソロをちゃんとやっているだけに,もう少しなんとかならなかったものか。また,Bergonziが抜けたピアノ・トリオによりボサノバ・タッチで演奏される"A Ghost of a Chance"はリズムがやや重苦しくて乗れないのも残念。敢えてこのリズムで演奏する必要はなかったと思わせる出来。

最後の"Take the Coltrane"での持ち直しを期待するものの,Bergonziの出番は少なく,アンプリファイされたベース・ソロを長々と聞かされるのではう~む,困った。前半3曲と後半3曲の出来のギャップに戸惑いを隠せない私である。ということで,星★★☆。

Recorded Live at Radio RSI, Lugano, Switzerland on August 16, 1994

Personnel: Hal Galper(p), Jerry Bergonzi(ts), Jeff Johnson(b), Steve Ellington(ds)

2009年8月27日 (木)

Roberto Tarenzi:悪くはないんだけどねぇ...,でもやっぱり弾き過ぎだ

Roberto_tarenzi"Dig Deep" Roberto Tarenzi (Music Center)

Roberto Tarenziと言えば,Dave Liebmanとの共演作での彼のプレイぶりをこのブログでほめたことがあり(記事はこちらこちら),私の中では結構注目度の高いピアニストと言うことができる。そんなTarenziのアルバムであるから,期待も高まる中の購入となった。

オリジナルを2曲にとどめ,オールド・スタンダードからJoe Sampleまで新旧取り混ぜたレパートリーはよいとして,これはどう見てもオーバー・プレイングの誹りは免れまい。テクニックが十分というのはよくわかる。また,いろいろなロケーションでの演奏が混じっているから仕方がないというところもあろうが,どうにもメリハリがなくて落ち着かないのである。

Liebmanとの共演作では,ラテン系らしからぬクールさを示すとも,McCoy Tyner的なピアノを聞かせるとも評した私だが,このアルバムでは,うまいのはわかるのだが,演出過剰な"Rhythm-a-Ning"等,本当にこれが成功しているのかと首を傾げたくなるような演奏も含まれている。ということで,どうもLiebmanとやっている時と感じが違うのである。Liebmanというリーダーのバックでは,多少遠慮がちに弾いていたのかもしれないが,さすがにこれはたがが外れ過ぎという気がしてならない。

全体を通じて聞けば,才能あるピアニストということはよくわかるのだが,やっぱり目立ちたがりのラテン系?と言いたくなるような作品である。決して悪い作品ではないが,私にはうるさ過ぎる。星★☆。もう少し大旦那のもとで修業した方がいいのかもしれない。

Recorded Live at Casa del Jazz on April 12, at AlexanderPlatz Jazz Club on September 29, at the Kitano on November 26 and at Bechstein Piano Room on December 1, 2008

Personnel: Roberto Tarenzi(p), Joseph Lepore(b), Francesco Puglisi(b), Paolo Benedettini(b), Luca Santaniello(ds), Roberto Pistolesi(ds)

2009年8月26日 (水)

ワンパターンと言われようが,Wayne Krantzはいいのだ

Krantz "Krantz Carlock Lefebvre" Wayne Krantz/Keith Carlock/Tim Lefebvre(Abstract Logix)

ハード・フュージョン系のアルバムを連発するAbstract Logixレーベルから発売されたWayne Krantzの新譜である。このレーベル,Krantzのイメージとぴったりと言ってもよく,むべなるかなという組み合わせである。それにしてもWayne Krantzのリーダー・アルバムがリリースされるのは随分久しぶりのような気がする。正式には97年のLeni Sternとの"Seperate Cages"以来だろうか?それを未聴の私は更に遡って55Barでのライブ,"Two Drink Minimum"以来ってことになるのかもしれない。それでも,Krantzのサイトで入手できる同じメンツによる"Your Basic Live"等を聞いたり,Chris Potter Undergroundの第1作やTal Wilekenfeldのリーダー作でもKrantzは聞けたので,そんな久しぶりという気はしないのは不思議である。そう言えば,もう4~5年前になるが,NYC出張中にライブも見たしなぁ。

では,音楽はどうだったか。これが全く変わっていないので,ファンとしては一安心である。今回はKrantzがヴォーカルを担当している曲もあるが,歌っているというよりエフェクト的なものであり,基本的には毎度おなじみのギターの弾き倒しである。誰が聞いてもKrantzだと言いたくなるようなフレーズの数々,更にはトリオによる激しいインタープレイを聞いて,笑みのもれないKrantzファンはいないだろう。いろいろなプレイヤーと共演しているKrantzではあるが,このトリオも一緒に演奏を始めて10年ぐらいになるようで,コンビネーションもいいし,Krantzとの相性もよい。

今回のアルバムにはなんと"Jeff Beck"なんて曲も含まれているが,Jeff Beck的かと言うと,必ずしもそうではない。Krantzによれば,これはJeff Beckに演奏してもらうことを念頭に書いた曲で,Tal Wilkenfeld経由でデモ・テープをBeckに渡したらしいのだが,Beckからは返事がないとのことである。でも自分は好きだからここで演奏しているなんていう自虐的とも思えるコメントがKrantzのサイトにあった。でも,そんな事情を抜きにしても,このアルバムは私は好きである。最近聞いたハード・フュージョンの中では,高く評価したい一枚である。

私としてはWayne Krantzの評価はもっと高まって欲しいと思うし,Chris Potter UndergroundやDave Douglas Keystoneと並んで是非来日して欲しいバンドである。そうした意味合いも含めてちょっと甘いかなとも思うが星★★★★☆。

ところで,Krantzのサイトによると,彼は55Barの木曜レギュラーをやめてしまったようである。最近でもたまに出演しているようだが,毎週,彼があそこで演奏しなくなってしまったのは残念である。Krantz,更にはMike Sternには本当にぴったりの場所なのだが。近々Dave Liebman Groupが55Barに出演という信じられないような情報もあるが,David Binneyも出演しているようだし,ブッキングのポリシーが若干変わったのかなぁと思わせる事実であった。これは余談でした。

Recorded in March, 2009

Personnel: Wayne Krantz(g, vo), Tim Lefebvre(b), Keith Carlock(ds)

2009年8月25日 (火)

メンツ買いのDavid Binney

David_binney"Third Occasion" David Binney(Mythology)

多分,私はこの人の音楽は聞いたことがないはずなのだが,なぜか名前には既視感があった。それはBinneyがNYCの55Barにほぼレギュラーのような形で出演しているため,55Barのスケジュールで彼の名前を見たからかもしれない。

そんな私がこのアルバムを購入する気になったのはバックのメンツによるところが大きい。なんてたってピアノはTaborn,ベースはColley,ドラムスはBladeである。リーダーには悪いがやはりこれは気にならざるをえまい。このアルバム,今年の前半に発売されたものらしいが,買おうか買うまいか悩んだ挙句結局購入したが,時間は若干経過しても,新譜扱いとさせて頂く。

私にしてみれば,このバックでBinneyがどういう演奏をするかというところが注目されるのであるが,飛び出してきたのはかなりモーダルなサウンドである。本当に,こういう音楽を「あの」55Barでやっているのかと思うと不思議な気もする。55Barは私にとってはMike SternやWayne Krantzを見る(聴く)ための場所で,そこでサックスが鳴っているのは,NYC在住中に前を通り過ぎた時ですらなかったと記憶している。おそらく55Barに出演するときは,若干違うフォーマットで演奏しているんだろうなぁなどと想像しながらも,思わず「へぇ~」と思ってしまった私である。

このアルバムはクァルテットを中心に,そこにブラスのアンサンブルが加わるというものだが,そうした演奏は悪くないとしても,Binneyのアルトはどこかで聞いたことがあるような感じがしてならないのである。それが誰のサウンドなのかはどうしても思い出せないのだが,いずれにしてもBinneyの明確な個性というには至っていないように感じてしまう。しかし,これだけのメンツであるから,演奏の緊張感は保たれているので,アルバムとしてはちゃんと聞けてしまうところは大したものである。Binneyのサイトで確認してみたら,55BarではRhodesをバックにしているようだから,ここでTabornにRhodesを弾かせたらどうなっていたかと想像したくなるのは私だけではあるまい。最近ではTaborn=Chris Potter UndergroundでRhodesを弾いているTabornと思ってしまう好き者は結構いるはずだ。しかし,ここでの演奏はピアノで正解かなとも思わせるのは事実だが。

いずれにしても,このアルバムは悪くない。ブラスの存在意義は何なんだと文句を付けることも可能なので,この程度の使い方ならクァルテットでやればいいのにとも思うし,もう少し高揚感のある曲があってもいいが,演奏そのものは今のNYCの断面を切り取ったものになっているのだろうと想像させる音楽である。でもあんまり売れないだろうなぁ。星★★★☆。

Recorded on August 4 & 5, 2008

Personnel: David Binney(as), Craig Taborn(p), Scott Colley(b), Brian Blade(ds), Ambrose Akinmusire(tp), Brad Mason(tp, fl-h), Corey King(tb), Andy Hunter(tb)

2009年8月24日 (月)

耳より情報:Brad MehldauとChris Potter共演作が間もなく発売

Not_by_chance"Not By Chance" Joe Martin(Anzic)

ドイツ在住のJens Linge氏はBrad Mehldauのディスコグラファーであるが,彼は私のメル友でもあり,Mehldauに関する情報交換を行っているのだが,そんな彼から嬉しい情報が届いた。

9/15にリリース予定のベーシスト,Joe MartinのアルバムになんとBrad MehldauとChris Potterが全面参加とのことである。いてもたってもいられなくなった私は即注文したが,今から楽しみである。

MehldauとPotterと言えば,これが初共演ではなく,PotterのConcordレーベル時代のリーダー作,"Moving In"でも共演しているが,あれからもう十数年が経過しており,今や絶好調と言ってよいPotterと我がアイドルMehldauの久々の共演には思わず胸が高鳴ってしまった(中年男にも,こうした感覚は必要だよなぁ)。早く来い来い発売日。好き者の皆さんも是非どうぞ。

2009年8月23日 (日)

放し飼いトリオ++ in 沼袋

Photo私の同僚にして,サックス・プレイヤーのやぎ@でかい方さんのレギュラー・バンドである放し飼いトリオが沼袋のオルガンジャズ倶楽部を拠点とするライブ活動を開始して随分と時間が経ったと思うが,私も先日(8/20),久々に沼袋に出掛けてきた。

放し飼いトリオはサックス,オルガン,ドラムスという変則トリオだが,そこに八木ブラザースの弟(やぎ@かめいど)氏が参加した放し飼い+を聞かせてもらうのは今回が初めてである。更に今回は八木ブラザースの長兄,暢之氏も加わった放し飼い++というかたちである。

Photo_2 客席は知り合い多数,更には某人気作家(本当の人気作家である)までいらっしゃるという不思議なアンビエンスの中,相変わらずのこのバンドらしい演奏が展開されていた。途中でぐだぐだになりそうな瞬間があるのが彼ららしいと言えば彼ららしい。ということで,久々に聞かしてもらったのだが,さすがにレギュラー活動が長くなってきて,随分とバンドとしてこなれたという印象が強かったし,何よりもやぎ@でかい方さん,演奏回数が増えて,ちゃんと練習もしているのではと思わせるようなフレージングぶりで,全く会社の同僚にしておくのが惜しいですわ(逆に言うとどちらが本業かわからない)。

それにしても,聴衆とバンド・メンバーがほとんど全て知り合いというのは何ともまったりした空間であった。私はその場の雰囲気に飲まれぬように(嘘),相変わらず飲みまくっていて,ワイルド・ターキーのオン・ザ・ロックスを4杯飲んだら,さすがに店のオーナーも呆れていたようだが。

せっかくなので,画像は荒いが,iPhoneで撮った元祖放し飼いトリオ八木ブラザース勢揃いの写真をアップしておく。

今回はJeff Beckの"Led Boots"もやっていたが,次回は同じBeckでも"Scatterbrain"をやってくれないかなぁ。ギター抜き"Captain Fingers"が出来たなら"Scatterbrain"も出来ないことはあるまい。無理かなぁ?(と煽る私)

Personnel: 八木敬之(ts),仕方ひろむ(org),西尾研一(ds),八木義之(vtb),八木暢之(fl-h)

2009年8月22日 (土)

さんし~ん!

Photoと言っても野球の三振ではない。先日,石垣島にヴァケーションで行った帰り道,那覇に立ち寄って,三線を購入してしまった私である。その三線がようやくデリバリーされてきた。蛇が嫌いなくせに蛇皮の楽器を買うなんて頭がおかしいという話もあるが,まぁ皮だけならいいかということで。

どうも楽器を見ると欲しくなるというのは,悲しい性であるが,これからちゃんと修行せねば。三線という楽器はフレットレスなので,勘所をつかむまでが結構大変かもしれないが,それまでは竿にシールを貼って修行することにしよう。

2009年8月21日 (金)

笑ってしまうぐらいYesしているStarcastle

Starcastle"Starcastle" Starcastle (Epic)

私は中学生の頃プログレが好きで,中でもYesが最も好きなバンドであった。年齢を重ねるに従って,YesからKing Crimsonへと好みは移行していったが,それでもこの年になっても,YesのアルバムはiPodに突っ込んでよく聞いている。

本日,取り上げたStarcastleはYesのクローン・バンドとして結構有名で,私はそれが気になりつつも,CDもなかなか手に入りにくい状態が続いていたのでずっと未聴のままだったのだが,この度,彼らのデビュー・アルバムの新品をを結構な安値でゲットし,早速聞いてみた。まさしくこれはYesのクローン・バンドである。笑ってしまうぐらいに似ているではないか。逆にここまで似ていると潔ささえ感じてしまう。Terry LuttrellのヴォーカルなんてまんまJon Anderson(特にコーラスになると顕著)である。

このバンドが面白いところは,アメリカという国からYesのクローンが出てきたということであろう。Yesはこのアルバムが発売された76年には英国における人気の方が高かったと思うが,その英国ではなく,アメリカからこのバンドが生まれたという事実はある意味かなり意外である。まぁそれでも,結構な人気を誇ったYesだからフォロワーが生まれても当然とは言え,このそっくり度は凄いわ。それでも,コーラス・ワークはYesというよりもCSNっぽいところが,彼らのアメリカ出身という出自を示しているとも言えるが。

70年代の半ばにはプログレ風味を感じさせるアメリカのバンドが結構あった(Kansasあたりが代表格か)が,彼らはキーボードを多用しながら,曲はポップな感覚を残すという特性が感じられた。そうした中で見ても,このStarcastleというバンドは浮いていると感じさせるほど,突然変異的にYesに似ている。ここまでYesに似ている,似ていると言われるのが彼らの本意かどうかはわからないが,似ているものは仕方ない。

これをオリジナリティの欠如と取るか,Yesファンが笑って楽しむためのものと取るかによって,このアルバムに対する評価は大きく分かれると思うが,私は大笑いしながら楽しんでしまったタイプである。まぁ目くじらを立てずにYesファンは聞いて大笑いすればいいのである。私にとっては本家Yesの「海洋地形学の物語」あたりよりはずっとこっちの方が楽しめると思ってしまった。星★★★☆。

Personnel: Terry Luttrell(vo), Gary Strater(b, vo), Stephen Tassler(ds, perc), Herb Schildt(key), Matthew Stewart(g, vo), Stephen Hagler(g, vo)

2009年8月20日 (木)

未聴盤の山の中から:島健スーパーセッション

Photo"Shimaken Super Sessions" 島健(Dreamusic)

それにしても,私もいろんなCDを買っているものである。買ったことはわかっていても,聞かないまま放置していると,いつ買ったんだっけなんてことになるのは日常茶飯事である。このアルバムはピアニスト,アレンジャー,島健が日本の様々な歌手陣(及びDJ)と共演したものであるが,中古だから買うものであって,新品なら多分買ってはいまい。また,買った主たる理由は今井美樹と中島美嘉が聞いてみたかったからである。

中島美嘉はRon Carterもバックに参加した"Fever"をうたっているのだが,これは気だるい雰囲気を出していてなかなかよい。彼女の歌いっぷりがこの曲に合っているということであろうし,バックの島健のRhodesもよい。今井美樹は意外にも"Come on-a My House"をミディアム・スローで歌っているが,これも成功。ということで,私の関心のあった2人の歌手はちゃんと期待に答えてくれた。

しかし,このアルバムを聞いていて一番驚いたのは平原綾香である。彼女の歌う"Black Coffee"は低音を中心にブルージーにこなしており,完全に「ジュピター」の平原綾香のイメージを覆している。実はこれがなかなかいけているのである。平原綾香~??なんて最初思っていた私が悪かったと言わざるをえない。予断はいかんのである。

逆にがっくりくるのがゴスペラーズによる"Chattanooga Choo Choo"である。これが何とも平板で,驚きもなければ,スイング感があるわけでもないというもの。りんけんバンドとの"Smile"もこれが微妙である。沖縄音楽とのコラボにこの曲がフィットしていると思えないのは私だけだろうか。また,DJ Krushとの"Well You Needn't"は演奏自体はスリリングでかなりいかしているのだが,このアルバムは歌手との共演というのが本来の制作の目的だったはずのところに,この1曲だけが明らかに浮いてしまっているのが勿体ない。この路線なら,個別にやればいいのであって,敢えてここに入れる必要はない。これは明らかにプロデュースの失敗である。これでアルバムの雰囲気が確実に分断されているのは残念と言わざるをえない。

そのほかの曲についてはまぁ驚きもないと言えばそのとおりだし,破綻もないと言えばそのとおり。矢野顕子についても敢えてほめるほどのものではない。彼女ならこれぐらいは朝飯前だろう。ということで,玉石混交なアルバムなので,トータルとしては平均点の星★★★。私にとってはやはり今井美樹と中島美嘉と平原綾香を聞けばいいって感じのアルバムである。

Personnel: 島健(p, key),Ron Carter(b),コモブチキイチロウ(b),納浩一(b),渡嘉敷祐一(ds),山木秀夫(ds),Mataro(perc),金原千恵子ストリングス & Horns with bird(vo),中島美嘉(vo),平原綾香(vo),ゴスペラーズ(vo),今井美樹(vo),島田歌穂(vo),DJ Krush(remix),矢野顕子(vo, p),りんけんバンド(vo & other instruments),森山良子(vo)

2009年8月19日 (水)

未聴盤の山の中から:本日はMichel Petruccianiである。

Estate_2"Estate" Michel Petrucciani(IRD/DIW)

うず高く積まれた未聴盤の山の中から本日取りだしてきたのはMichel Petruccianiである。私は実はMichel Petruccianiに関してはほとんど縁がなかったと言ってよい。私が保有しているのはConcordレーベルに吹き込んだVillage VanguardのライブとMarcus Millerとの"Dreyfus Night"だけである。特に意図的なものではないのだが,本当に縁がなかったいうことに過ぎない。

このアルバムは先日,中古盤屋で拾ったものだが,時期的にはPetruccianiがCharles Lloydとの共演でシーンに登場してきた頃のものであるから,キャリアとしては比較的初期のものであるが,私がこのアルバムを手にした理由は実はバックの2人だったのだから,はっきり言って動機は不純で会った。しかし,ここではBill Evansの影響だけではくくりきれないコンテンポラリーな響きを持つ演奏が展開されていて,結構嬉しくなってしまった。Petruccianiと言えば,Bill Evans的な部分もライブ盤では感じさせたものの,後にはAnthony Jackson,Steve Gaddとのトリオで演奏もしているし,より現代的なアプローチなのだろうと想像していただけに,そうした響きもむべなるかなという印象である。また,Petruccianiのオリジナル"Maybe Yes"は明らかに"Giant Steps"のヴァリエーションであり,色々なPetruccianiの特性が聞けるアルバムと言ってよい。私はこの手の演奏は結構好きなので,演奏そのものに文句はないのだが,このアルバムの最大の弱点はこのしょぼい録音であろう。

このアルバムが録音された1982年と言えば,もはやレコーディング技術はかなり進化していたはずであるが,ここでのピアノを聞いていると,安っぽいアップライト・ピアノでも弾いているのかと思わせるぐらい響きが軽いのである。音楽的に重厚なものではないので,これでも絶対に許せないってものではなかろうが,それでもこれは惜しい。LPだったら違ったのだろうかとも思うが,それにしてもである。

とは言いながら,実力者2人のサポートを受け,Petruccianiのピアノは快調である。音のしょぼさを気にしなければ,相応に楽しめるアルバムと思う。星★☆。ところで,このアルバムを聞いて驚いたのはAldo Romanoっていい曲を書くのねぇということだったが,優秀なドラマーは作曲能力に優れた人が多いという最近の共通的な特徴を再確認した次第である。

Recorded on March 29, 30, April 16 & May 5, 1982

Personnel: Michel Petrucciani(p), Furio Di Castri(b), Aldo Romano(ds)

2009年8月18日 (火)

不安は杞憂に過ぎなかった:Hersch Plays Jobim

Hersch_plays_jobim"Fred Hersch Plays Jobim" Fred Hersch(Sunnyside)

このアルバム発売の告知を見たとき,Fred HerschとAntonio Carlos Jobimの曲の相性について,実はどうなんだろうと疑問を感じていたのが正直なところである。よって,このアルバムがデリバリーされて,初めて聴くときに一体どのような演奏なのかと若干不安だった私である。しかし,一聴して,何ともHerschらしい演奏が展開されていて,私は嬉しくなってしまった。

この演奏を聞いて,どこがJobim集なのだと言う方もいることは否めないだろうし,こうした演奏に違和感をおぼえる人がいても,それも不思議ではない。ここではほとんどの曲が,あくまでもHerschの演奏の素材として機能しており,一般的なボサノバ,あるいはブラジル音楽集としての趣はほとんどないからである。Herschもライナーで自ら次のように語っている。

"As a pianist - - and not a Brazilian - - I have attempted to retain the essence of the Jobim's music while filtering it through my own perspective."

まさしくその通りである。これはあくまでもHerschによる解釈,インタープリテーションの世界なのだ。私のようなHerschのファンはこれで大いに結構。よりリアルなブラジル音楽を聞きたければ,本家やほかのアルバムを聞けばいいだけの話であり,Herschがどのように演奏するかこそが,注目のポイントだったわけだから。"Desafinado"のように,ある程度リズミックに,ボサノバっぽく演奏される曲もあるものの,大方はHerschの美学によって,変容を遂げたJobimの曲が聞けるアルバムである。

これはある意味,予想を大きく覆されたと言ってもよいが,演奏に驚かされるとともに,やっぱり私はHerschのハーモニーの感覚や奏法が相当に好きなのだということを再認識させられてしまった。多少贔屓目もあるが,星★☆。でもこんな演奏を好きだと言ってしまったら,「だからあんたはネクラと言われるのだ」という声が飛んできそうである。だからと言って,一向に気にするつもりはないが。やはりFred Herschはいいのである。Herschファンなら,怖がらずに入手すべき好盤。尚,パーカッションは6曲目のみの参加。

Personnel: Fred Hersch(p), Jamey Haddad(perc)

HMVの検索ツールをつけてみた

これまで,私のブログではアマゾンの検索ツールをページ右側に載せていたのだが,それに加えてHMVの検索ツールもサポートしてみた。ご承知の通り,この2つのサイト,CD購入時に価格差が大きい場合もあるので,両方サポートしておいた方が少しでも価格の安い方を買えるだろうというところもある。

しかし,このHMVの検索ツール,幅が広すぎて,一般のブログのサイド・バーからは普通はみ出してしまうのではないかと思うのだが。私のブログでも右側が切れてしまっていて,見栄えはよくないが,アマゾンの検索エンジンよりもカテゴリー・オプションが付いているので,使いやすいと言えば使いやすい。

ちなみに私の感覚では,サイトとしてのHMVとアマゾンでは,欧州系のCDの品揃えはHMVの方がよく,また,マルチバイの場合の値引き率もかなり魅力的。しかし,発送方法については,箱の無駄遣いが多く,ちょっとねぇというところもあり,双方いいところも悪いところもあり,比較は難しいところである。私は両方で価格を比較しながら購入というパターンなので,両サイトのユーザであるわけだが,皆さんはどうなんだろうか。最近のアマゾンの何でもありの品揃えには驚くことも多々あるのも事実であり,私はサイクリング・グッズなんかも仕入れたりしているが。

いずれにしても,これらのエンジンについて,どれぐらい利用者がいらっしゃるかはわからないが,取り敢えずのお知らせでした。

2009年8月17日 (月)

追悼,Les Paul

Les_paulLes Paulが8/13に亡くなった。94歳だったそうである。Les Paulは毎週月曜日にNYCのIridiumにレギュラーで出演していたのだが,最近,妙にStanley Jordanやらトラが多かったので,これは本人の体調が悪いのだろうと思っていた矢先のことであった。

私もヘボとは言え,ギタリストのはしくれだが,私のエレクトリック・ギターはテレキャスターなので,Gibson Les Paulに思い入れがあるわけではない。しかし,ロックのアルバムにおいてGibson Les Paulが使われたレコーディングは多数聞いてきたし,ジャズ/フュージョン界では何と言ってもAl Di Meolaの"Elegant Gypsy"にとどめをさす。つまり,プレイヤーとしてではなく,リスナーとして間接的にLes Paulにはお世話になってきたわけだ。また,ギターだけでなく,オーバーダブやフェイザー等もLes Paulが始めたらしいから,後のレコーディングに大きな影響を及ぼしたことは間違いない偉人であった。

今は亡きFat Tuesday'sでNYCでは毎週,Les Paulを見られるようになり,同クラブが閉店後はIridiumに移ったLes Paulだったが,死の直前まで現役を貫いていたことは,ギタリストとしてはある意味幸せな人生だったのではないかと思う。偉大なる先達に敬意と哀悼の意を表したい。

R.I.P.

これもやっと聞いたLars Janssonの新譜

Lars_jansson "In Search of Lost Time" Lars Jansson Trio (Spice of Life)

今回,未聴盤の山から引っ張り出してきたのがこれである。おぉっ,よく見たら「失われた時を求めて」なんてタイトルだったのねぇ。先日聞いたOve Ingemarssonとのアルバムが,かなりハードなLars Janssonだったものだから,こちらはどうなんだろうと思っていたが,出てきた音はLars Janssonのイメージから大きくずれたものではなかったので一安心である。

このアルバム,Larsのオリジナルばかりから構成されているが,1曲あたりの演奏時間が比較的短い曲が集まっており,14曲も収録されている。だが,全編を通じて,Janssonらしい曲と演奏が展開されていて安心して聞けるのが何よりである。逆に言うと,演奏に大きな変化がないので,起伏に乏しいという考え方もあるが,これは好みの問題である。リスナーがJanssonに何を求めるかというところによって,このアルバムへの評価は変わるはずである。まぁ,全く変化がないわけでもなく,12音技法による"One Hand Clapping"やKjellbergが激しく叩く"Gods Who Shit"等が他の曲とは違う個性を打ち出しているから,面白く聞きとおすことができるのは間違いない。結局はJanssonのファンも納得する出来ではないだろうか。ラストにひっそりとソロで演じられる"Hilda"なんて美しいものである。さすが孫に捧げただけはあるわ。星★★★★。

しかし,それにしてもこのジャケットは何なのかねぇ。Lars Janssonがアーチスト,Mimmo Paladinoとのコラボのごとく,彼のアルバム・ジャケットをPaladinoに任せるのはよくわかるのだが,これを見て購買意欲をなくす人もいるのではないかと思うのだが。だが,これもJanssonの美学に基づくものなのだとすれば,文句は言えないなぁ。凡人にはわからぬ世界もあるのだろうってことにしておこう。

Recorded in March, 2009

Personnel: Lars Jansson(p), Christian Spering(b), Anders Kjellberg(ds)

2009年8月16日 (日)

Astor Piazzolla:哀愁あふれるメロディ・ラインにやられる

La_camorra"La Camorra" Astor Piazzolla (American Clave/Nonesuch)

このブログで,Piazzolaの"Tango: Zero Hour"を取り上げたのが今年の6月のことであった(記事はこちら)が,同アルバムが物凄い緊張感に溢れたアルバムであった。

このアルバムは"Tango: Zero Hour"の2年後に吹き込まれたものだが,メンバーは全く同じ,プロデューサーもKip Hanrahanのままなのだが,雰囲気がだいぶ違っており,
こちらのアルバムは哀愁に満ちたメロディ・ラインを聞かせるものになっていると言えばいいだろうか。冒頭の"Soledad"から静謐な出だしで,映画音楽のようにさえ感じさせる。どちらが好きとは言えないのだが,"Tango: Zero Hour"は緊張感が強過ぎてしょっちゅう聞く気にはなれないのに比べれば,このアルバムの方がまだ気楽に聞けそうに思えるようなものである。

だが,Piazzollaの透徹な音楽はここでも健在であり,決してのんべんだらりとした音楽だと言っているのではない。あくまでも"Tango: Zero Hour"と比べれば気楽に聞けるというだけであって,音楽のレベルはここでも極めて高く,タンゴという音楽が奥行きが深く,芸術性に満ちた音楽であるということを再認識させられる一枚である。組曲で演奏されるタイトル・トラック"La Camorra"なんて哀愁だけではなく,ちゃんと激しさも持ち合わせている。

いずれにしてもこのNew Tango Quintetというバンドは,タンゴという音楽を確実に新しい次元にまで引き上げたものと思うが,それにしてもである。Piazzolla恐るべし。美しくも,切なく,心を刺激する音楽である。星★★★★☆。私は"Tango: Zero Hour"には5つ星をつけたのだが,両作の比較としてトータルで見ればこちらを半星落とさざるをえないとは言え,あくまでPiazzollaの音楽としての比較であり,通常なら5つ星でも全然かまわないと思えそうな素晴らしい作品なので,念のため。

ただ,正直言って,この2作のどっちから聞くのがいいのかはよくわからない。こっちから聞いた方が次も聞きたいと思う人は多いのではないかと思う。それぐらい"Tango: Zero Hour"はテンションが高過ぎるとも感じられると言っては言い過ぎか。

Recorded in May 1988

Personnel: Astor Piazzolla(bandneon), Pablo Ziegler(p), Fernando Suarez Paz(vln), Horacio Malvicino Sr.(g), Hector Console(b)

2009年8月15日 (土)

未聴盤の山の中から:今日はOve Ingemarssonである

New_blues"New Blues" Ove Ingemarsson Quartet(Spice of Life)

ちょっと早い夏休みなどを取ってしまって,そのしわ寄せが仕事に出てくるとなかなかゆっくりと音楽を聞いている時間がなくなってしまった。その一方で,聞く時間を上回るペースで届く注文済みのCDや新たに仕入れてくる中古盤ということで,完全にオーバーフローしている感も強い。その結果,未聴盤はうず高くつまれることになってしまう。徐々にそうした状態を解消しなければならないのだが,なかなかそうもいかないというのが実態である。Egberto Gismontiの新譜なんか早く聞かねばと思いつつ,ずっと聞けないままである。

そうした中で取りだしたのがこのアルバムである。私は欧州ジャズは聞き始めて時間が短いので,ほとんどのアルバムは後付けで聞くことになっているが,このアルバムは中古盤屋で見つけて,バックのメンツで買ってみたものである。よくよく見てみると,ブログのお知り合いの皆さんはとっくにこのアルバムを取り上げられていて,これまた何を今さらだが記事にしてみることにした。今も継続されているスカンジナビア・コネクション・シリーズの第13回開催時,2002年青山でのライブである。

Ove Ingemarrsonは私はこのアルバムで初めてというわけではないのだが,まともに聞いたことがあるとは言い難い。世の中ではMichael Brecker度の高さが言われているようであるが,まぁそう言われてみればそう聞こえるのは事実であろう。音色やフレージングのそこかしこにそういう感覚は確かにある。それよりも私が驚いてしまったのはLars Janssonのハードな伴奏ぶりである。Janssonも私は大して聞いているわけではないが,Janssonと言えばまず思い出すのは"Hope"(これも記事にしていないなぁ...)である。そこで聞かれたJanssonのイメージ(美旋律ってやつだ)とは本作はかなり違うのである。Janssonのオリジナル(特に導入部)にそういう瞬間がないわけではないが,やはりここでのJanssonはメロディアスでありながらもハードである。この人,Bob Berg~Mike Sternと共演した時は超ハードなフュージョンもやっていたが,つくづく間口が広い人だなぁと思ってしまうような演奏である。Enrico Pieranunziはフュージョンはやらないが,彼にも間口の広さを感じる私としては,欧州のピアニストってのはそうなのかとも思わせるような演奏である。

全編を通じて,演奏は快調そのものであり,ここでもやはりスウェーデン・ジャズのレベルの高さを認識させられるのだが,その思いを更に強く感じさせるのが曲のクォリティではないかと思う。このアルバムは,最後の"Softly"を除いて参加メンバーのオリジナルであるが,一聴して彼らの書く曲の魅力を感じてしまうものである。大したものだと言いたい。星★★★★。

Recorded Live at 青山ボディ&ソウル on August 6, 2002

Personnel: Ove Ingemarsson(ts), Lars Jansson(p), 森泰人(b), Anders Kjellberg(ds)

2009年8月14日 (金)

世評高く,集客もよい「湖のほとりで」だが...

Photo 「湖のほとりで("La Ragazza del Lago")」('07,伊,Indigo Films)

監督:Andrea Molaioli

出演:Toni Servillo,Omero Antnutti,Valeria Golino,Fabrizio Gifuni,Alessia Piovan

巷の評判も高く,10年に1本の逸品等という話を聞いて,この映画を見に行った。そういう評判を聞いてか,単館ロードショーの割に,物凄い客の入りようである。地味な映画なのに,これは驚くべきことである。

この映画は,「湖のほとりで」見つかった美しい死体の殺人を犯した犯人探しのドラマであるが,出てくる人物像が一筋縄ではいかない。あまり詳しく語ってしまうと,ネタばれになってしまうので,ここでは避けるが,とにかく全ての登場人物が何らかの(心の)傷を抱えている。よって,見ていて楽しめるストーリーではないし,展開も淡々としていて,私は睡魔に襲われる瞬間が何度かあったことは告白しておかなければならないだろう。

しかし,これが本当に10年に1本の逸品かというと,それは私にとっては看板倒れの感が強い。確かに人間心理の描き方等,なるほどなぁと思わせる部分はあるのだが,後半に向けての犯人捜しにちょっと無理を感じさせるのも事実である。確かに,映像は美しいし,役者もうまい。また,美しき死体を演じたAllessia Piovanは素晴らしく美しい。だが,心理ドラマとて,もう少し描き方があるのではないかというところもあって,私は最後まで没頭することができなかったのである。

確かにハリウッド製の映画が失ってしまった部分を補って余りある部分もあろうが,それだけでこれだけの客入りを実現できるとは思えないのである。結論からすれば,この映画を見て絶賛をする人は相当スノビッシュだと言いたくなるのである。決して悪い映画ではない。静かな中に,このストーリーをよく描いているとはいうものの,見終わって,どっと疲れが出てしまった。余韻としても今イチだしなぁ。ということで,心理劇を見たいならば,私は先般レビューした「ディア・ドクター」の方をはるかに高く評価したいと思う。星★★★☆。

Photo_2 こうした映画の中で,最も評価したいのはある意味で女神のメタファーとしてのAlessia Piovanだと思うのだが,この人の魅力を伝えるためには,私は原版のポスターの方がいいと思うのは私だけだろうか。でもこれじゃ,高齢者は惹きつけられないかもなぁ。そういう意味では,映画のヒットが「マーケティングの勝利」の結果みたいになってしまっているところが,ちょいと気に食わない私である。本来ならば彼女が演じた「美しき死体」はもっと知られて然るべきである。

2009年8月13日 (木)

新作を聞く前に,Tinariwenの前作を改めて聞く

Tinariwen"Aman Iman" Tinariwen (World Village)

砂漠のブルースというカテゴリーがあるらしいのだが,全く私は聞いたことがなかった。しかし,さまざまなところで,このアルバム「水こそ命」が大絶賛をされており,ちょっと気になっていたのも事実である。数か月前のことになるが,中古盤屋で見つけて本盤をゲットして,一聴してこれはいいわと思ったので,新作も買わねばと思いながら買い逃してきていた私だが,ここにきてようやく注文と相成った。その新作が届く前に,この作品を改めて聞いてみた。

彼らはサハラ砂漠の遊牧民,トゥアレグ族出身ということなのだが,確かにメロディ・ラインはそういう感じかなぁと思わせつつ,私がまいってしまったのは,このバンドのギターによって生み出される何とも言えないグルーブなのである。ディストーションが軽くかかったようなうねりを感じさせるギターに乗って,アフリカ的なフレーズが展開されるというこのミクスチャー感がたまらないのである。歌詞をよくよく読めば,プロテスト・ソング的な響きが強いが,そもそも歌詞を無視しても,このグルーブに身を委ねれば気持ち良くなること必定である。

私はワールド・ミュージックに強い関心を寄せているわけではないが,そんな私でも新作は買いたくなってしまうようなバンドということは,今までこうした音楽を聞いたことがないリスナーの皆さんにも結構受け入れられる可能性が高いのではないかと思う。本作をプロデュースしたJustin Adamsという人はRobert Plantのバンドのギタリストだから,ややロック的なフレイバーが強いのかもしれないが,それでもこのバンドの魅力は普遍的なものではないかと思う。とにかく心地よく時が過ぎていく素晴らしきアフリカ的グルーブである。星★。

新作も期待しちゃうよなぁ。

Personnel: Ibrahim Ag Alhabib (g, vo), Abdallah Ag Alhousseyni (g, b, vo), Alhassane Ag Touhami (vo, g, handclaps), Mohammaed Ag Itlale 'Japonais' (vo, g), Eyadou Ag Leche (b, vo, handclaps), Said Ag Ayad djembe (perc, handclaps, vo), Elaga Ag Hamid (g, vo, handclaps), Abdallah AG Lamida 'indianao' (g, vo), Wonou Walet Sidati (vo, handclaps), Kesa Walet Hamid backing (vo, handclaps), Mama Livio (vo), Manakji Diallo Yousyous (vo), Justin Adams (vo, g), Salah Dawson Miller (perc)

2009年8月12日 (水)

エンタテインメント性溢れるDave Valentinのライブ盤:踊らにゃ損,損

Dave_valentin "Live at the Blue Note" Dave Valentin(GRP)

これは懐かしくも楽しいアルバムである。このブログにおいて,私が在米中にスムーズ・ジャズ専門FM局,WQCD-FMには世話になったと書いたが,このアルバムに含まれる"Marcosinho"がよくエアプレイされていた頃からずっと気になりつつも,買うところまではいかなかったものである。

しかし,先日中古盤屋でこの盤を見つけ,やっぱり聞きたいなぁということでゲットしてしまったのだが,これが本当に楽しい作品となっているのである。まさにさまざまな笛の類を駆使しながら,Dave Valentinのややギミックとも思える技の数々である。これではライブの場にいた聴衆が盛り上がるのも無理はない。まぁこれもこの人のラテンの血がそうさせるのだろうが,もともとサルサもやっていただけに,客の盛り上げ方はよくわかっているということであろう。いずれにしても乗りは素晴らしい。

だが,このアルバム,そうした盛り上がりだけというよりも,"Footprints","Afro Blue"のような曲もやっているし,Beatlesの"Blackbird"をかなりのスピードを上げてアダプテーションしていたりして,これが面白いのである。こうした選曲もあって,私はこのアルバムを通じて楽しめたのだが,全部が全部素晴らしいというわけでもなく,大したことのない曲も含まれているのも事実である。そうした難点はありつつも,夏に聞くとやはりこれは燃えるというか,非常に爽快なライブ盤である。

トータルで言えば,やや甘めながら星★程度ということになろうが,これだけ乗せてもらえば,私としてはハッピーである。このアルバムを掛けていると,また娘に「パパ,乗ってるし...」と言われるのが関の山であろうが,乗れるものは仕方ないだろう。それも人間の本能である(と,開き直る)。

Recorded Live at Blue Note New York on May 31 and June 1, 1988

Personnel: Dave Valentin(various fl, pan pipes, whistles), Bill O'Connell(key), Lincoln Goines(b), Robert Ameen(ds), Giovanni Hidalgo(perc)

2009年8月11日 (火)

Steve Grossmanのワンマンショーのような...

Clinica_21 "The Clinica 21 Concert" Giampaolo Ascolese Trio Featuring Steve Grossman (Philology)

Steve Grossmanにはたまによくわけのわからん音源があって,フォローするのが簡単なのか,そうでないのかよくわからない人と言ってよいかもしれない。このアルバムもそんな一枚だが,ブログのお知り合い,すずっくさんは以前記事にされている。さすがに鋭いと妙に感心してしまった。

それでもって,Grossmanのアルバムにはよくあることだが,まさしく「手垢のついたような」超有名スタンダードを,Grossmanが吹きまくっているではないか。しかもピアノレスである。これではリーダーの名前は違っても,Grossmanのアルバムであることは誰が見ても明らかである。よくやるわ。

Grossmanのテナーは好調そのものであるが,マイクがややオフ気味になったり,突然オンになったりと落ち着きのない録音ということもできるが,Grossmanが動き回っていたため,そうなったのだろうということにしておこう。

いずれにしても,表のリーダーAscoleseはほとんどダシにされたような存在と言ってよいが,そんなことは関係なしにGrossmanのファンは必聴と言ってよいだろう。このフレージングはやはり魅力である。星★★★★。

Orvieto 全くの余談だが,このアルバムが録音されたClinica 21はOrvietoという町にあるらしいのだが,写真で見ると非常に魅力的な町に見える。また,白ワインの産地としても有名らしい。こんなところなら演奏もよくなりそうだが,イタリアってのはなかなか魅力的な国であることよと思わず感じてしまった私である。しかし,なんでこの町の姉妹都市が前橋なのかは,全くもって謎である。まぁどうでもいいが...。

Recorded Live at Clinica 21on December 5, 1999

Personnel: Giampaolo Ascolese(ds), Gianluca Renzi(b), Steve Grossman(ts)

2009年8月10日 (月)

世界進出を図ったIvan Linsのアルバムだが,これは完全なオーバー・プロデュース

Love_dance "Love Dance" Ivan Lins(Reprise)

このアルバムはIvan Linsが世界進出を狙って,ほぼ英語詞で勝負したアルバムである。そのことに私は文句はない。いろいろなミュージシャンが世界進出を目指すことは悪いことだとは思わない。

しかし,このアルバムが大して売れたという話は聞いたことがない。それはこの音楽がIvan Linsの本質ではないという理由からではないかと思う。Ivan Linsのオリジナルを集めたアルバムであるから,曲のクォリティに問題があるわけではなく,まさしく名曲の数々である。だが,ここでの音楽は,普通のAORっていう感じなのである。これはバックの演奏が,世界市場を意識して,ある意味普遍的なものになってしまったことに大きな問題があるように思える。

Ivan LinsのファンはAORを聞きたいと思って,アルバムを買っているわけではなかろうし,AORを聞きたいリスナーはこのアルバムでなくても,世の中にはAORのアルバムは沢山存在する。よって,敢えてこのアルバムを購入する必要はないのである。

結局,マス・オーディエンスをターゲットとすることが,Linsの音楽を広める上でよいことではなかったと考えることもできるが,それにしても勿体ない。このアルバムが出た80年代後半ということを考えれば,このプロダクション方式は仕方がなかった部分もあろうが,結局,どっちつかずの音楽になってしまったことがこのアルバムの敗因である。

Linsの歌唱,バックの演奏にはほとんど問題はない。バックの演奏はかなり装飾過剰とは言え,本当に質の高いAORである。しかし,この音楽をLinsに求めているのかと言われれば,Ivan Linsのディープなファンではない私でもそれは違うだろうと言いたくなるような一作である。星★★★。

しかし,Linsの名誉のために言っておくが,これは本当に心地よいアルバムである。巷では結構な高値で取引されているようだが,私は中古盤屋で1,000円でゲットしたものである。その値段なら,まぁいいかってところだろう。

Personnel: Ivan Lins(vo, key), Larry Williams(key), Heitor T.P.(g), Michael Landau(g), Artur Maia(b), Ivan Lins(vo, key), Larry Williams(key), Heitor T.P.(g), Michael Landau(g), Artur Maia(b), Paulinho Braga(ds), John Robinson(ds), Lenny Castro(perc), Brenda Russell(vo)

2009年8月 9日 (日)

出張はつらいよ:中年音楽狂、灰にまみれる

Photo 「出張はつらいよ」とはいつも海外出張の折に書いてきたが、今回は国内ネタである。

先日、鹿児島に出張した折のことだが、打合せ先への移動中、桜島から噴煙らしきものが上がっているのを目撃した。そのときは別になんてことはなかったのだが、会議が終わって外に出てみると、なんだか硫黄くさい。更に車には写真のように灰が積もっている。

鹿児島には何度も来ているが降灰に遭遇したのは初めてである。口の中はなんだかジャリジャリした感じだし、目は痛い。更に硫黄のにおいで頭痛はするわとこれにはまいった。

考えようによっては珍しいものを見たってことにもなるが、こうした自然と共存していく県民の皆さんは大変なんだろうなぁと思ってしまった。車に積もった灰は水で洗い流すしか手がないそうである。ワイパーはガラスが傷つくので使えないらしいし、大変なのである。

一泊した後には更に灰が積もっていて街は煙っていたようになっていたが、まるで黄砂が降ったときのソウルのようだった。

まさに大自然の驚異である。凄いねぇ。

2009年8月 8日 (土)

祝!大西順子完全復活

Musical_moments 「楽興の時」 大西順子(Somethin' Else)

11年振りの新作だそうである。大西順子が長い沈黙に入る前に発表したのは"Fragile"だったが,私はそのサウンドは悪くないと思いながらも,巷では賛否両論渦巻いたのは間違いない事実である。しかし,なぜ彼女がかくも長き不在となっていたのかの本当の理由は藪の中である。いろいろなゴシップ話もあったが,まぁそんなことはどうでもよい。彼女がシーンにカムバックしてきたこと自体が日本のジャズ界にとってはめでたいと言っておきたい。

だがこれだけ長期間沈黙していると,一体彼女の音楽はどうなっているのかと考える,あるいは一抹の不安を感じるのが人情である。しかし,冒頭の"Hat And Beard"(Dolphyの曲を持ってくるところが彼女らしい)からして,ゴリゴリの大西順子は健在だったと安堵するとともに,思わず嬉しくなってしまった私である。ソロ・チューンには以前にないソフトなタッチも感じられないわけではないが,トリオでの演奏はまさしく彼女のファンのみならず,ジャズ好きが求める強烈なものであり,スリル満点と言ってもよい。

大西順子の登場とともに,日本ジャズ界には多くの女性ピアニストが現れてきたわけだが,久々のこの演奏を聞いても,彼女がいまだに一歩頭抜けた存在であることは実証されている。これははっきり言って「久々の」という要素を差し引いても,きっちり評価しなければならないかなりの傑作である。

9曲目までのトリオだけでもしっかりした演奏が聞けるわけだから,演奏はいいとしてもボーナス・トラックはなくてもよいような気がする。その方が"Smoke Gets in Your Eyes"の静かな余韻が利いてくるように思うのは私だけだろうか。まぁそれでもそんなことを言うのが野暮だと思えてくる胸をすくような快演集。大西順子よ,あなたはやはり凄かった。もう雲隠れはしないで,自分の道を突き進んで欲しいものである。星★★★★☆。

Recorded on April 30 & May 1, 2009 and Live at Blue Note東京 on September 14(⑩ only)

Personnel: 大西順子(p),井上陽介(b),Gene Jackson(ds),Reginald Veal(b),Herlin Riley(ds)

2009年8月 7日 (金)

Matthew SweetとSusanna Hoffsのカバー・アルバム第2弾,3年振りに登場!

Under_the_covers2 "Under the Covers Vol.2" Matthew Sweet & Susanna Hoffs(Shout! Factory)

またの名をSid 'n Susie と名乗るMatthew SweetとSusanna Hoffs(Banglesのである。懐かしいねぇ)が"Under the Covers Vol.1"をリリースしたのが2006年。そのアルバムがVol.1という以上,続編が出ることは既定路線だったと思うが,結局第2作が出るまで3年も掛ってしまった。

前作は60年代の曲を非常にポップな感覚でカバーしたナイスなアルバムだったのに対し,第2作のターゲットは70年代である。これがまた,前作同様にポップな演奏,歌唱で楽しくも嬉しくなってしまうような出来である。元来,優れた曲を,それなりのシンガーが歌えば,悪くなるわけはないのだが,そこに彼らのポップ・センスが十分に活かされてくれば鬼に金棒と言ってもよいだろう。私は年代的に70年代の曲の方が馴染みがあるだけに,今回の確信犯的選曲には参ってしまった。それに加えてゲストに元歌の関係者を迎えるのが何とも微笑ましくも嬉しいのである。Fleetwood Macの"Second Hand News"にはLindsay Buckingham,Yesの" I've Seen All Good People: Your Move/All Good People"にはSteve Howe,George Harrisonの"Beware of Darkness"にはGeorgeの息子,Dhani Harrisonと言った具合である。まったくよくわかってるねぇと言いたくなる。

ただ,今回のアルバムは,結構オリジナルに忠実に演奏をしているようにも思えるため,そのあたりが評価の分かれ目になるかもしれない。これは彼らの楽曲へのリスペクトと考えることもできるが,もう少しひねりを入れてもよかったかもしれない。だが,私はこうしたアプローチが嫌いではないのは,曲の力が強ければ強いほど,過剰なインタープリテーションの方が鼻についてくるように感じているからである。よって,ここには進取の精神のようなものはないかもしれないが,多くの人が明るく楽しめるポップ・ソングが散りばめられていると思えばいいのではないかと思う。ということで,私はこのアルバムが個人的に気に入ったので星★★★★としよう。

ここまでやったなら是非70年代後半から80年代前半あたりをカバーしたVol. 3の制作を期待したくなってしまうが,さてどうなることやら。久しぶりにVol.1も聞いてみることにしよう。

Personnel: Matthew Sweet(vo, g, b, key, perc), Susanna Hoffs(vo, g, perc), Greg Leisz(g), Ric Menck(ds), Lindsay Buckingham(g), Peter Phillips(g), Evan Peters(clap), Natlie Byrd(p), Steve Howe(g), Dhani Harrison(g)

2009年8月 6日 (木)

S&G:武道館公演に触発されて,久々にセントラル・パークを

Sg_central_park "The Concert in Central Park" Simon & Garfunkel(Columbia)

このアルバムを聞くのは何年振りだろうか。先日のS&G武道館公演の感動がなければ,このアルバムを聞く気になっていたかどうかわからないが,いずれにしてもLPははるか昔に売り払ってしまったものなので,本当に久しぶりの再会である。日頃出没している中古盤屋でまぁ手頃な価格で紙ジャケ盤があったので,この度めでたく再購入である(何回,こういうことをやっているのやら...)。

いずれにしても活動を停止していたS&Gが久々にライブを行うということで,大きな話題になったのももう四半世紀以上前である。その後,彼らは来日もし,私も後楽園球場で,豆粒のような彼らを見たのも懐かしい。まぁ活動を停止していたとは言え,70年代半ばには"My Little Town"をリリースし,Saturday Night Liveでも共演していたのだが,それでも公的なライブは本当に久しぶりということで盛り上がるのもまぁ当然である。

音源としては四半世紀以上前ということで,S&G二人としては歌手としては脂が乗っている時期だけに,声も何とも若々しい。武道館での彼らも悪かったわけではない(と言うより,予想よりはるかによかった)が,声の張りが違うのは当たり前だろう。曲はS&Gとしてのレパートリーと,各々のソロ・チューンが混在しているが,後者でもちゃんと共演しているように聞こえる(映像で確認しなければ...)。

それを支えるのが豪華なバックバンドであるが,どこから聞いてもRichard Teeという彼のピアノとどこから聞いてもSteve Gaddという彼のドラミングが特に光る。ただ,Michael Breckerの不在は痛く,おそらくはそれゆえに"A Heart in New York"がサックス・ソロなしで終わってしまうのである。これってやっぱり私には違和感があったが,昔は全然そんなことは感じていなかったはずである。う~む,私も音楽の聞き方が結構変わったということか。まぁ,それは置いておいても,バックはタイトな演奏で的確にバックアップしているので,彼らの演奏も聞きものである。

歌唱も大いに楽しめるが,「明日に架ける橋」の後に「恋人と別れる50の方法」という曲順はどうなのかなぁとも思う。その点,先の武道館公演は,ショーとしての盛り上げ方を考えた曲順になっていたのとは異なる。私はやはり「明日に架ける橋」をピークに持っていくという演出の方が好みであるが,まぁそれは趣味の問題である。

ただ,本当に久しぶりにこのアルバムを聞いた割には,内容をよく覚えていた(それだけ,よく聞いていたということだ)し,今聞いても,よくできたライブ盤だったということを認識した次第である。これからはたまに聞いて,先の武道館公演を思い出すこととしよう。懐かしさも込みで星★★★★☆。

Recorded Live at Central Park, NYC on September 19, 1981

Personnel: Paul Simon(g, vo, triangle), Art Garfunkel(vo), David Brown(g), Pete Carr(g), Richrd Tee(p, key), Anthony Jackson(b), Steve Gadd(ds, perc), Grady Tate(ds, perc), Rob Mounsey(synth), John Gatchell(tp), John Eckert(tp), Dave Tofani(reeds), Gerry Niewood(reeds)

2009年8月 5日 (水)

HerschとFrisellによる穏やかな会話

Songs_we_know "Songs We Know" Fred Hersch + Bill Frisell (Nonesuch)

これぞタイトルに偽りなしである。誰もが知っているスタンダード曲ばかりを演奏したアルバムである。違うのはHerschとFrisellのデュオだという点に尽きる。このアルバム,Nonesuchのカタログには載っているのだが,CDは米国のみデリバリー可能という不思議な状態になっているし,ネット・ショップでも結構入手困難になっていて,私は前々から興味はありつつも,なかなか入手できずにいた。しかし,先日ふらっと立ち寄った中古盤屋で本作を発見し,即購入である。聞くにあたっては,Herschがスタンダードを弾くことにはそれほど違和感はないものの,日頃はアンビエントなFrisellがこういう曲を弾くとどうなってしまうのかに私の興味は集中したことは言うまでもない。

一聴して,ここではいつものアンビエントなFrisellというよりも,ややクリーンなトーンで楚々とした演奏を展開していて,あぁ,この人もJim Hallの影響下にあるのだなぁと強く感じさせる演奏になっている。敢えて言うとすれば,音数を少なくしたJim Hallのようである。そう言えば,HallとFrisellは共演アルバムも出していたし,このブログでも記事を書いたのだった。それを考えれば,私がJim Hallっぽいと感じてもそれは当り前のことである。

それでもってHerschとFrisellというのは,音楽的な指向は多分近いのではないかと思っているのだが,そのせいもあってか,ここでは丁々発止というよりも,二人が穏やかな対話を繰り広げるという感じになっている。よって,ジャズ的なスリルとか高揚感というようなものは感じられないが,話し上手な二人の会話を楽しむというような感覚と言えばいいだろうか。時に山下洋輔の音楽も取り上げる私が,こんなアルバムも聞いているというのは分裂症のように思えないわけではないが,多くの人に見破られているとおり,結構ネクラな私にはこういう音楽も必要な瞬間があるのである。こういう音楽はやはり夜中に膝を抱えながら聞きたいものである。決して通勤途上で聞いてはならんタイプの音楽。いずれにしても,この二人の対話はなかなかにユニークかつ面白いものであり,ファンは聞いて損はない。だが,この二人ならではの相乗効果が出ているかというと若干疑問もあるし,"My Little Suede Shoes"は選曲としてはちょっと余計だったということで,半星減点して星★★★。一番気に入ったのは"Wave"だろうか。いずれにしても,私がHerschを聞くならば,このアルバムではなく,別のものをチョイスするだろうなぁ。

Personnel: Fred Hersch(p), Bill Frisell(g)

2009年8月 4日 (火)

山下洋輔トリオ:モントルーでの映像はたまらん

Brilliant_moments 「Brilliant Moments ~栄光の山下洋輔トリオの軌跡」 (JamRice)

先日開催された山下洋輔トリオ復活祭を記念して制作されたCD/DVDセットである。私は残念ながらライブには足を運ぶことができなかったのだが,DVDに収められた映像を見て,それを思わず悔やみたくなってしまった。

CDは改めてレビューするとして,今回はDVDをお題にするが,この映像,あの"Montreux Afterglow"(同アルバムについての記事はこちら)のときのライブ映像である。但し,曲はそのアルバムに収めらていない"Clay"と「ミナのセカンドテーマ」というのが,好き者の心をそそる。"Clay"は途中からの収録に見えるし,画像にもあらい部分はあるが,何せ30年以上前の映像である。残っているだけでもよしとするべきだろうが,これが全くもって素晴らしいというか,笑えるというか,私は大いに楽しんでしまった。

まず,当たり前の話であるが,当時のトリオのメンバーが若い。映像的に言うと,洋輔のひじ打ち,こぶし打ち,手のひら打ち等の荒業がきっちり収められているのは当然として,私が何より笑ってしまったのが小山彰太のトランスぶりである。完全に別の世界へ行った人の目ではないか。このドラミング映像を見るだけでも大いに楽しんでしまった私である。更には洋輔から滴り落ちる汗を見れば,この時の演奏の激しさが簡単に見て取れるというものである。

音だけ聞いていても,彼らの演奏は爽快で楽しめるが,映像があると私には笑いの要素が加わって更に楽しめてしまったということである。これだけの演奏をすれば,現地の聴衆にも受けるのは当然だと思いたくなるような映像である。どうせなら"Montreux"所収の2曲の映像もあればと思うが,それはないものねだりということにしよう。

いずれにしても,これは山下トリオ・ファンは必見の映像である。少なくとも,私はこれを見ていれば日頃の憂さを忘れることができるだろう。最高である。星★★★★★。そこまではという方は,再発された"Montreux Afterglow"を買いましょう。

今にして思えば,このトリオを毛嫌いしていた高校生の頃の私は何だったのかと思いたくなる(恥)。まぁ,昔はKeith Jarrettも嫌いだったし。人間は変わるのである(言い訳)。

Recorded Live in Montreux on July 9, 1976

Personnel: 山下洋輔(p),坂田明(as,cl),小山彰太(ds)

2009年8月 3日 (月)

Dave Douglas:オマージュとはこういうものである

Stargazer "Stargazer" Dave Douglas(Arabesque)

以前にも書いたとおり,私はDave Douglasには後追いではまったクチである。2007年末に出た彼のバンド"Keystone"のアルバムが素晴らしかったのがその契機だった(記事はこちら)わけだが,それ以降,私の中で一気に評価が高まった人である。

そうした経緯もあって,Douglasの旧作にはあまり私は触れていないのだが,ブログのお知り合いcrissさんがこのアルバムを絶賛されているのを拝見し,気になっていたアルバムである。しかし,既にこのアルバム,廃盤化しており(DouglasのサイトでMP3ダウンロードは可能だが...),マーケットでも結構高値なので,まぁ様子を見ながらと思っていたのだが,某海外サイトで,比較的リーズナブルな価格で発見し,即オーダーした次第である。

これも以前に書いたことだが,Dave Douglasは日本のショップではフリー・ジャズのコーナーに置かれていることが多く,それが彼の日本での人気や知名度を抑圧する結果になっているのは誠に残念と言わざるをえないが,このアルバムを聞いて,フリーだと思うリスナーがどれだけいるだろうか。それはKeystoneのアルバムでもそうだし,このブログで取り上げた"Moving Portrait"でも全くフリーではないのである。たかだかショップのカテゴライズがおかしいだけで,こんな素晴らしいミュージシャンの音楽に触れる機会が減るなんて言うのは実に勿体ないことではないか。

それはさておき,このアルバムには"Music by & for Wayne Shorter"というサブタイトルが付いているが,まさしくその通りのアルバムとなっている。全9曲中,Shorter作品は3曲のみ,その他はDouglasのオリジナルなのだが,どこから聞いてもWayne Shorter的な感覚に満ちているのである。それは新主流派的演奏もそうだし,Douglasのオリジナル曲そのものもShorter作品と言われればそう思ってしまいそうな曲が揃っているのである。これがまさしく,巨人Wayne Shorterへのリスペクトを率直に示し,きっちりオマージュを捧げたものだと言いたくなる。

私はWayne Shorterのファンでもあるので,このアルバムに横溢するこの雰囲気がたまらなく好きである。今までこんなアルバムを未聴のままにしてきたことは恥じ入らざるをえないが,今回,crissさんの記事を拝見したのはまさにラッキーだった。どこかの国の下らないジャズ誌(私が件の雑誌を買うのをやめてもう1年になるが,全く困ったことはない)ではお目に掛ることもなかったであろうから,持つべきものは信頼すべき情報ソースである。

いずれにしても,このアルバムは曲がよい上に,参加しているミュージシャンの実力も相俟って,非常にスリリングな演奏が展開されていて,私は本当に嬉しくなってしまった。ピアノ・トリオのメンバーは今でも最前線での活躍が目立つ人たちだが,Douglasとフロントを構成するChris Speed,Joshua Rosemanは不勉強にして動きを追えていない。しかし,埋もれさせるには惜しい実力者である。世の中にはまだまだ優れたジャズが多数存在することを痛感させられたアルバムである。更なるDave Douglasへの注目度アップへの期待も込めて星★★★★★。

ところで,バック・カバーの写真でBroadwayの66丁目に佇んでいるのはWayne Shorterその人のように見えるのは私だけだろうか。

Recorded on December 30, 1996

Personnel: Dave Douglas(tp), Chris Speed(ts, cl), Josh Roseman(tb), Uri Caine(p), James Genus(b), Joey Baron(ds)

2009年8月 2日 (日)

コレクターはつらいよ(7):Brad Mehldauの映像現る(でも1曲だけ...)

Jazz_in_burghausen "The Best of Jazz in Burghausen Vol.3" Various Artists (Challenge)

久々の音楽ネタかつ「コレクターはつらいよ」シリーズだが,今回は映像である。ドイツのBurghausenで開催されている国際ジャズ週間のライブ映像を集めたこのDVD,1曲だけであるが,Brad Mehldauトリオの映像が含まれている。曲は"Kurt Vibe"というMehldauのオリジナルである。これまでのアルバムには含まれていない曲なので,これは結構貴重ではあるが,このときのMehldauの演奏映像そのものは既にブートレッグでも出回っているようである。

とは言え,オフィシャルに発売されているのだから,これは買わない訳にはいかなかった私だが,まぁはっきり言ってしまえば,Mehldauトリオの演奏ぶりが映像的に映えるということはなくて(少なくとも"Kurt Vibe"ではそうだ),やはりこれはコレクター的心情故の購入ということになる。だからこそコレクターは辛いのである。ほかの人からすれば,アホちゃうかって感じだろうなぁ。

映像は完全プロ・ショットで,アングルなどなかなか面白いところもあるが,Mehldauトリオの演奏としてはまぁ可もなく不可もなくってところか。Grenadierはなかなかよい。星★★★。

ところで,この映像集にはBobby Watson,Chico Freeman,Eddie Henderson入りのThe Leadersとか,Ben Monderが参加したTim RiesのStones Project,更にはDirty Dozen Brass Bandなんかも入っているので,ご関心のある方はどうぞ。ただ,映像のセレクションのポリシーはよくわからんというのが正直なところである。

Recorded Live at Jazz in Burghausen on March 5, 2008

Personnel: Brad Mehldau(p), Larry Grenadier(b), Jeff Ballard(ds)

2009年8月 1日 (土)

何食食ったか,八重山そば

Photo 今回の八重山諸島への旅ではいろいろなところでそばをいただいた。竹富島の竹の子,石垣島の明石(あかいし)食堂,その他もろもろ。どこで食べてもまぁそれなりにうまいのだが,ことソーキに関しては明石食堂のトロトロに煮込んだソーキがうまかったなぁ。他の店とは明らかに味付けが違うのである。

滞在先のホテルのスタッフの推奨に従って,私が食したのは野菜そばにソーキをトッピングしたものであったが,決して交通の便のいいところではないこの店に,多くの客が訪れるのを納得させる味わいであった。私はたっぷりコーレーグースをかけたのだが,ソーキの味付けがそばのつゆに溶け込んで,そこへピリッとした辛みが交わって,く~っ,たまらん。

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