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2009年7月19日 (日)

またまたよくできている「ディア・ドクター」

Photo 「ディア・ドクター」('09,エンジンフィルム /アスミック・エース )

監督:西川美和

出演:笑福亭鶴瓶,瑛太,余貴美子,香川照之,松重豊,岩松了,井川遥,八千草薫

惜しくも受賞は逃したが,小説が直木賞にまでノミネートされてしまった西川美和の新作である。心の機微を描いた「ゆれる」がいい出来だったので,この作品には期待をしてしまったが,この人の才能は本物だと思わせる作品をまたまた送り出してきた。

本作は「ゆれる」ほどのシリアスさはないものの,常陸太子の田園地帯を背景に,これまた人間の心理をあぶり出す純文学的作品となっている。物語のシリアスさは刑事役の松重豊の台詞の中のトゲとして表現されているとは思うが,何が嘘で,嘘に気付かずにいることのある意味での幸福感,それが崩れた時の索漠とした感覚が2時間あまりの作品によく凝縮されているではないか。

今回もオリジナル脚本で勝負する西川美和であるが,本当にこのシーンが必要だったのかと疑問符を付けたくなるようなシーンがないわけではない。それでも田園地帯の深い緑の美しさなど,印象的なシーン(風にそよぐ草のゆらめき等は芸術的)ゆえに,そんなことはほとんど気にならない。

また,この映画を印象的にしたのが八千草薫である。老人としての心の機微の表現は見事。また,余貴美子もその視線にいい味を出しているし,井川遥は近年どんどん魅力を増していて嬉しくなる。彼女たちの好演を得て,笑福亭鶴瓶もなかなか頑張っているところは認めてよかろう。

私は本作を見て,西川美和という人への期待がますます高まってきたわけだが,これを受けて,次は直木賞候補となった彼女の短編集,「きのうの神様」を読んでみることとしたい。本当に大した才能である。彼女が私の大学の後輩(学部は違うが...)というのはちょっと自慢したくなる事実である。星★★★★☆。

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コメント

西川美和、また良い出来でしたか?私も、昨年遅ればせながらJALの機内で「ゆれる」観ましたが、とても30代前半の女性とは思えない悟りというか、逆にあざとさというか(否、女性・若年蔑視ではありません、ただ今頃の30代前半の女性は、ここまで人生を洞察出来るのかと驚嘆した次第)、興味津々です。風にそよぐ稲ですか。風の名手と言えば、タルコフスキー。どこまでその境地に近付いているか見てみたいものです。しかし、この映画、脇役が渋く堅いですねえ。その辺りも、30代前半の女性と思えないなあ。

カビゴンさん、返信が遅くなりました。

タルコフスキー、その通りです。稲のゆれるシーンは「ストーカー」を思い出しました。西川美和も意識したとしか思えないシーンでした。
それにしても趣味が合いますね。ありがたや、ありがたや。

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