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2009年6月 4日 (木)

David Darling:環境音楽としてのECM

Cello_2 "Cello" David Darling(ECM)

David Darlingによるソロ・チェロ(!)によるアルバムである。世界広しと言えども,世の中のジャズ・レーベルでソロ・チェロのアルバムを作れるのはECMをおいて他にあるまい。しかし,そんなことは別にしても,このDavid Darlingという人のチェロの響きは癖になる。

私が,この人のチェロを初めて認識したのはWim Wendersの"Until the End of the World"のサウンドトラックだったかもしれないし,ECMのアルバムにおいてだったかもしれない。ただ,私に強い印象を残したのは明らかに前者であり,サウンドトラック(コンピレーション)ながら,アルバムが非常に強い統一感を持つアルバムの中での,Darlingのチェロが非常に魅力的に響いたと記憶している。今でもそのアルバムは取り出しやすい場所に置いてあって,結構好きなアルバムという位置を占めているのは,サウンドトラックとしては極めてまれな事象である。

それはさておき,本作に収められた音源はもはやジャズでは決してない。本来ならばECM New Seriesでの発売が適切ではないのかというタイプの音源である。しかし,これこそECMのキャッチフレーズ,"The Most Beautiful Sound Next To Silence"という感じのサウンドではないのかと思う。即ち,これはもはや環境と同化したアンビエンスを生み出すものであって,私には環境音楽として捉えるのが最も適切のように思えるのである。

私は,ストレスフルな現代人にとって,こうした音楽を必要とする時があると考えており,ECMのジャズ・レーベル以外の存在意義として,こうしたタイプの音楽をかなり早い時期からリリースしていたことを挙げなければならないと常々考えてきた。

もちろん,こうした音楽を聞いて,映画のBGMのようではないかというリスナーがいてもそれは不思議なことだとは全く思わない。しかし,そんなリスナーでも世界にはこうした音楽を求めている人間がいることは認めなければならないとも思う。映画のBGMには相応の意義があるし,各ジャンルの音楽も同様のはずである。よって,この音楽は,何ら前提条件をつけることなく,ただ自然に音楽に身をゆだねればよいというのが私の感覚である。好き嫌いはあって当然だが,音楽と環境が同化してしまえば,この音楽が常に流れていても,私には苦痛とはならないのである。

一方で,これを批評的に眺めるのはすごく難しいのも事実であり,環境音楽は容易ではないとついつい考えてしまった。環境と同化しているのであれば,音楽としての評価は不要になるはずなので,星での評価対象からはずすが,気持ちのいいCDであることは間違いない事実である。

Recorded in November 1991 & January 1992

Personnel: David Darling (cello, 8-string electric cello)

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コメント

中年音楽狂さん、こんにちはmonakaです。
David Darlingはというよりかcelloの響きが好きなので、かなり聴いています。
ECMのあとアメリカに移って活躍していると思いますが、私の大好きな一枚をTBさせていただきます。
これが出会いで、コーリン・ウォルコットのシタール、キューンのピアノ、ガルバレックのソプラノと心をつかみ、なおかつやさしく包んでくれたアルバムで、この頃とても疲れていたのがずいぶん癒されました。一押しです。

monakaさん,こんばんは。

TBして頂いたアルバム"Cycles"はいかにもECMらしいオールスターと言ってよいものですよね。あのアルバムも保有しておりますが,久しく聞いていませんので,久しぶりに聞いてみたくなりました。こういうのをTBの効能と言いますね。ありがとうございました。

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