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2009年6月 9日 (火)

1Q84:ようやく読了。

1q84_1_2 「1Q84」 村上春樹(新潮社)

私はプロファイルにも書いているとおり,村上春樹のファンであるから,本作の発売が告知された段階から首を長くして待ちわびた読者である。よって,期待値は高いというのは当たり前なのだが,今回の本作の売れ方は私の感覚ではある意味異常だ。もちろん,世の中に村上春樹のファンは多数いることは承知しているとしても,妙に渇望感を煽る新潮社のマーケティング戦略にまんまとやられているような気がしないでもないし,また,バカ売れするのはいいが,こうしたブーム的な環境の中で,この村上春樹的シュールな世界にどれだけの読者が付いて来れるのか心配になってしまう。だって訳が分からないと言ってしまえば,その通りであるから。

ネット上のレビュー等を見ていると,否定的な意見も多く見受けられるが,私は村上春樹のメタファーがどうのこうのというよりも,この人のストーリーテリングに身を委ねるタイプの読者であるから,今回も村上春樹的なるものを十分楽しませてもらった。いろいろな批判もあろうが,これだけ私の凡庸な想像力を刺激し,ワクワクさせてくれる作家はなかなかいないことを考えれば,私にとってはやはり大した作家である。

それでもって,今回の作品であるが,私は人物の造形(主人公だけでなく,脇役も含めてである)が非常に面白い一方,説明不足で終息してしまう部分,あるいはこれからどうなるのかが読めない部分もあるから,私は本作には続編が伴うのではないかと予想している。本作が上・下巻ではなく,Book1/2という体裁なのもそれを示唆しているように思えるからである。

本作を評して,村上春樹的なパターンの踏襲を「才能の枯渇」云々と言う人々もいるが,はっきり言って村上春樹には相応のパターンがあるのは事実であり,多くの読者はそのパターンを楽しんでいるということを無視しているとしか思えず,批判は全く当たらないと言わざるをえない。別にこういうものだと思えばいいのである。目くじらを立てること自体,私には無意味に思える。確かに今回の作品,やや設定に無理があるのではないかと思わせる部分がないわけではない。しかし,重要なのはこれだけの長編を一気に読ませる彼の筆力である。途中から物語の多重構造の交錯は見えてくるわけだが,私はBook2の後半でページをめくるのを止められなくなってしまったという事実は素直に評価しなければならないとは思う。

ではこれが村上春樹の最高傑作かと言えばそうではないかもしれないが,長らくの渇望感を経ても,十分楽しませてもらったという点では評価したい。実際面白かったと思うので星★★★★☆。

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コメント

村上春樹は私も好きな作家です。
初めて「風の歌を聴け」を読んだは高校生のとき。

私のこれまでのベストは「ねじ巻き」です。これは海外旅行に持って行ったので、その楽しかった思い出で若干のプラスがあります。

bigryuさん,こんばんは。「風」をお読みになったのが高校生のときということで,だいたい年齢層がわかりますね。それはさておき...。

私は何がベストかと聞かれると,答えに困ってしまうというところがあります。多分一番好きなのは「羊」だろうけれども,小説として最も挑戦的だったのは「世界の終わり」ではないかと思います。実は一時入院しているときに「世界の終わり」を再読して,これって凄いのではないかと思った記憶があります。

そうは言っても「ノルウェイ」も「ねじ巻き」も「ダンス」もみんな好きですが。だから,ベストと言われれると困っちゃうんですよねぇ。

おはようございますです。

わたしも「村上春樹」さん好きです。
音楽狂さんがおっしゃる
「この人のストーリーテリングに身を委ねるタイプの読者...」
というのに、えらく共感してしまいました。

最初に読んだのは「宝島」に載っていた『午後の最後の芝生』で
それからin pocket(講談社)に載っている短編ものをいくつも読んでて
その後やっと、風・ピンボール・羊 と手をつけた感じです。
「鼠の心」とかも読んじゃったり:p

それから「ねじまき...」で止まってしまってましたが
一昨年あたりに「きたんしゅう」を読んでから また色々と読み出してます。
「1Q84」も、そろそろです(笑)
そんな所に音楽狂さんのブログを読んで、ちと嬉しくなって書き込みしてしまいました。


Toshiyaさん、3連発続投です!

日本にいる親友が、村上さんの大ファンで、彼女から、スプートニクの恋人という単行本をもらってこちらで読みました。

この一冊だけですが、展開が中々予測できず、スリル満点で面白く、読みやすかったです。

村上さんもジャズやクラシックがお好きなようで、作品にも少なからず、紹介していますよね。友人も影響を受けて、読み終えてからCDを購入したようです。

明日から、マヨルカ島へ一週間バカンスへ行ってきます。関東地方も梅雨に入ったようですね。こちらは、梅雨はなくても雨ばかり。。庭の芝も伸び放題で刈りたいのですが、中々刈ることができません。

Jerryさん関連の記事でのフォローアップ、とても参考になりました。有難う御座いました。

戻りましたら、また、投稿させて頂きますね。

9356さん,お久しぶりでございます。

共感してもらえて嬉しいです。やはり私は深読みするよりも文章のリズムに乗っていきたいって感じですかねぇ。そういう意味で私にとっての村上春樹の文学は音楽と一緒のような気がしています。

Laieさん,バケーションとは羨ましいですねぇ。私は国内出張続きと思ったら,再来週はロンドンにまいります。

お戻りになられてからのご投稿をお待ちしております。

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