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2009年5月 3日 (日)

前期Weather Reportの方が私は好きである

Weather_report "Weather Report" Weather Report (Columbia)

先日,東信JAZZ研究所さんが取り上げられていて,私も懐かしくなって久しぶりに聞いたアルバムである。

Weather Reportの人気が最高潮に達したのはJaco Pastorius在籍期だとは思うのだが,あれはあれで悪くないとしても,ときにポップ過ぎたことは否めないし,Shorterの出番が減っていったことも私としては残念だった。今となって振り返れば,Wayne Shorterを楽しめ,ジャズ的なスリルを楽しめるという点では,私は前期のWRの方が好きなのだろうということになってしまう。また,プレイバックの回数も,最近では前期のアルバムの方が圧倒的に多いというのも事実なのである。

このWRのデビューアルバムは,1971年という時代の中では,当時の最も先進的な音楽の姿を示しているようにも思えるのだが,本作が難しいところは実は1曲目の"Milky Way"にあるのではないかと久々に聞いて思えてきてしまった。ご存知のとおり,この冒頭の1曲目はスペイシーなZawinulのキーボードだけで演奏が展開される中,Shorterの「ぷっ」の一音がそのスペースを引き裂くという変わった演奏で,これを聞いただけで何じゃこりゃと思ってしまうリスナーも多いのではないかと思う。実は私もこのアルバムを初めて聞いた時,この一曲でおかしな印象を持ってしまい,その後の展開をちゃんと聞けていなかったのではないかと考えてしまう。

しかし,このバンドの本当の魅力は2曲目の"Umbrella"のような激しい曲調にあるのではないかと思うのである。決して混沌としているわけではないのだが,かと言ってReturn to Foreverが指向した音とは全く違うこのスリル感こそがこのバンドの魅力だったのではないか。少なくとも私にとってはそうである。そしてそうしたスリルを打ち出す曲にVitousが関与していたという事実は,彼のこのバンドでのポジションを物語っているようで興味深い。

私は後付けでこの音楽を聞いてきたので,同時代性というのは評価できないのだが,今にして思えば,ここに収められた演奏は,エレクトリック期のMiles Davisの音楽,更に言えば一部ではLost Quintetの凶暴性と極めて同質性が高い。Milesも激しい演奏ばかりでなく,"In a Silent Way"では牧歌的なところを示したような構成が,このアルバムにも感じられる。"Orange Lady"やら"Morning Lake"なんて,新しい"In a Silent Way"のようにも思えてきてしまう。"Morning Lake"はVitous作なので,そうした方面にも彼は指向が合っていたということもわかる。

結局のところ,このアルバムが素晴らしいのは,Shorter~Zawinul~Vitousの三者のバランスが均衡していた(オリジナルの提供曲数もそうだ)ことによるもののように思えるのだが,そのバランスが崩れたときに,前期WRは瓦解を始め,それとともにバンドとしての特性も変化したというのが実態であろう。

いずれにしても,今聞いてもこのアルバムのもたらすスリル感は健在であり,これからも長きに渡って聞かれるに値する傑作として星★★★★★。ただ,かなりハイブラウな演奏だから,しょっちゅう聞きたいというものではないかもしれない。かつ,昔の私にとってそうだったように,この作品,ジャズ初心者の皆さんには最初は厳しいんだろうなぁとは思いつつ,この世界はまると抜けられませんな。

Recorded in February and March, 1971

Personnel: Joe Zawinul(key), Wayne Shorter(ss), Miloslav Vitous(b, el-b), Alphonso Mouzon(ds, vo), Airto Moreira(perc), Barbara Burton(perc)

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コメント

偶然私も土曜の夜にこのアルバムを聴きました。
coltrane1964birdlandさんが、
『ミロスラフ・ヴィトウスが「WRは僕とショーターが始めたのにジョー・ザビヌルがでしゃばってきた」と言ってましたが』と書いていました。
そのとうりこのアルバムを聴くと、初期WRがビトウスとショーターのバンドだった事が分かります。

そして、ビトウスと商売が下手で、ザヴィヌルは商売上手だということも。

こんにちは。Vitousのこの逸話よく聞きますよね。

確かにVitousってZawinulよりはまじめな感じしますもんね。まぁどちらがいいとは敢えて言いませんが。

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