最近のトラックバック

2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

2015年おすすめ作

2015年おすすめ作(本)

無料ブログはココログ

« 2009年2月 | トップページ | 2009年4月 »

2009年3月31日 (火)

たまに聞きたくなるBoston

Boston "Greatest Hits" Boston(Epic)

今日本でBostonの音楽を聞こうって人がどれぐらいいるのかはよくわからないが,本国では結構ツアーなんかもやっているようであるから,現役と言えば現役のバンドである。しかし,やはりBostonと言えばデビュー作と2作目"Don't Look Back"だけでいいんじゃないのって気がしないでもない。私もその2枚は保有しているが,もっぱら聞いているのはこのベスト盤である。

アメリカン・プログレ・ハードなるカテゴリーがいかなる意味を持つかは私は知らないが,ある意味,誰が聞いてもBostonだという音像を作り上げていたことは今にして思えば凄いことである。Tom Scholzのギター・サウンドがこのバンドの個性を作り上げていることは間違いないが,まぁこのサウンド,いま聞いていても私のような中年には楽しめる。

今だったら,エフェクターでツイン・リードのような音も簡単に出せるが,当時はまだまだテクノロジーの発展途上であったため,初期にはScholzとBarry Goudreauという二人のギタリストでこのサウンドを作っていたというのが微笑ましい。しかし,MIT出身の秀才Tom Scholzにとって,テクノロジーの進化とともに,それを活かしてワンマン・バンド化していったことは必然であったように思う。

このベスト盤でさえ発売されてからもう12年も経過しているので,やはり音には古臭さを感じるようになってきたものの,それでも"More Than a Feeling"を聞くとついついボリュームを上げてしまう私である。まぁ,私の年代にとっては懐メロってことで,過ぎ去りし日を懐かしめばいいのである。星★★★★。でもこのバンド,ジャケットの趣味に関しては全く悪趣味であった。こればかりは手がつけようがない。

余談だが,デビュー間もない頃の山咲千里が,出演中のNHKの朝の連ドラ「鮎のうた」の楽屋で"Don't Look Back"を聞いていた姿が懐かしい(我ながらマニアックなネタである)。

Personnel: Tom Scholz(g, b, key, ds, perc, vo), Brad Delp(vo, g, perc), Barry Goudreau(g), Fran Sheehan(b), Sib Hashian(ds, perc), Jim Sasdea(ds), Fran Cosmo(vo), David Sykes(vo),Curly Smith(hca)

2009年3月30日 (月)

脱力王:Michael Franks

Michael_franks "The Art of Tea" Michael Franks(Warner Brothers)

私は結構Michael Franksのファンなのだが,このブログでは記事にしたことはなかった。このアルバムはそのMichael Franksのメジャー・デビュー作である。私はリアルタイムでFranksの音楽を聞いてきたわけではなく(もちろん,ラジオで掛っているのやらジャズ喫茶では聞いたことはあるが自発的ではなかった),私がアメリカ在住の頃から後追いで聞いているというのが正直なところである。但し,ライブに関しては,Dave Grusinが武道館でドリーム・オーケストラという大ライブ・イベントをやった時にMichael Franksはゲストで登場したのを見ている。あれは1982年だったはずだが,そこでのFranksはガチガチに緊張していて,とても見られた(聞けた)ものではなかったという悪印象を残した。それ以来,私の中ではFranksに対してはかなりネガティブなイメージが生まれてしまったのである。

しかし,私は米国在住中は家ではもっぱらスムーズ・ジャズのFMステーションを流しっ放しにする生活を続けていて,そこからしょっちゅう流れてくるMichael Franksの音楽を聞いて,おぉ結構いいじゃんということで,彼の音楽を見直したというのが実態である。当時は彼は"Blue Pacific"というかなりエレクトリック・ポップ色の強いアルバムを出した頃で,私はBeacon Theaterのライブにも行ったのだが,結局オーディエンスに一番受けていたのは"Sleeping Gypsy"からの曲だったことからして,やはり"Blue Pacific"のような過剰な装飾を施した音より,本作や"Seeping Gypsy"で聞かれるシンプルな音の方が彼のイメージに相応しいということになるだろう。

本作はTommy LiPumaのプロデュースにより,バックはほぼCrusadersのメンバーで固定し,そこに何人かのゲストが加わるという形態である。このアルバムが人気なのはそのゲストで加わるDavid SanbornやらMichael Breckerのソロが受けている(ちなみに本作ではSanbornの勝ち)からという説もあるが,それ抜きでもこの脱力系サウンドはくせになる。とにかく流れていても何の邪魔にならないという点では環境音楽ではないかという誹りも受けそうなのだが,気持ちよいのだから文句はない。"Sleeping Gypsy"のような人気曲はこのアルバムにはないが,それでもJoe SampleのRhodesを筆頭に何とも心地よいサウンドである。もちろん,バックのメンバーもよいのはもちろんだが,こうした曲を書いたFranksを評価しなければならないとは思うが。いずれにしても,私生活が忙しくなればなるほどこうした音楽に癒されたいと思うのはきっと私だけではあるまい。ということで,このアルバムには結構世話になっていることもあり,星★★★★☆。また,一発録りで録音されていることも特筆してよい事実だと思う。

Recorded Live on May 22, May 27 and June 9, 1975

Personnel: Michael Franks(vo), Joe Sample(key), Larry Carlton(g), Wilton Felder(b), John Guerin(ds, perc), Michael Brecker(ts), David Sanborn(as), Larry Bunker(vib), Jerry Steinholtz(perc), Nick De Caro(string arr)

2009年3月29日 (日)

埋もれていたCDの発掘

Urlo "URLO" Furio Di Castri & Paolo Fresu (YVP)

家人が旅行に出掛けた合間をぬって,「積んどく状態」になっていたCDの整理をした。 私はスライド書棚をCDラックにしているのだが,基本的にジャンル別に,ミュージシャンのアルファベット順に並べているので,比較的整理はしやすい状態に保っているとは思う。しかし,収納スペースはもはや限界に達しており,スライド書棚にはもうこれ以上入らない状態となっている。よって,そこから溢れたCDの保管は別のスペース(敢えてどことは書かない)で行うことになるのだが,よく聞くものはスライド書棚,そうでもないものは別スペースに入れ替えられる。一度別スペース行きとなってしまったCDは聞く頻度ががくんと落ちるのだが,この入れ替えのタイミングで,埋もれていたCDを発掘することになることがよくあるのも事実である。今日のアルバムもそんな一枚。

この二人,ブログのお知り合いのすずっくさんの二人のダーリンである。この人たちのアルバムに冷たい仕打ちをしたら,すずっくさんに怒られそうだが,まぁ埋もれていただけで,売ってはいないから,ご勘弁願いたいところである。このコンビにJohn Taylorを加えた"Contos"というアルバムもあって,そちらも静謐なアルバムで,根暗の私にはぴったりであるが,このアルバムは輪をかけて地味である。しかも60分強の収録時間に全27曲である。この曲数だけ見ると,まるでJohn ZornのNaked Cityのようだが,音楽は対極である(当たり前だっ!)。

こういう音楽をいつ聞くのがいいのかという疑問はあるが,私の主なリスニング時間である通勤時間には絶対合わない。これは家人が寝てから,一人で膝を抱えながら聞くのが最適と思しき音楽である。「膝を抱えながら」であるから,酒さえ受け付けないということである。う~む。これは暗い。Fresuはいつものようにエレクトロニクスも使っているが,まるでアンビエント・ミュージックのような響きさえ生み出しているではないか。こういう音楽を聞いていると,これがどれぐらい売れたのだろうとつい思ってしまうが,もはやこれも入手は容易ではなさそうだ。明らかにこれでは売れなかっただろう。

私はこのCDを中古で拾ったはずだが,まだ欧州系に開眼する前のことだと記憶している(なぜ買う気になったかはよくわからないが,編成につられたかもしれない)。まだまだ欧州系への嗜好も固まっていないところに,こういう音楽だから,当然のことながらしょっちゅう聞きたいとは思わず,別スペース行きとなったことは想像に難くないのだが,今回発掘後に聞いてみても,やはりこれは頻繁に聞きたいとは思わないなぁ。本日この記事を書いたら,また暫く別スペースにてお休み頂くこととしよう。根暗な私は嫌いではないが,それでもこれはちょっと...ということで,星★★★。

Recorded on January 31 and February 1, 1993

Personnel: Furio Di Castri(b), Paolo Fresu(tp, fl-h, electronics)

2009年3月28日 (土)

John McLaughlin & 4th DimensionのDVDが出るようだ

Mclaughlin_4th_dimension もう皆さん,ご承知かもしれないが,4月にJohn McLaughlin & 4th DimensionのライブDVD"Live at Belgrade"が発売されるようである。そもそも私がMcLaughlinの結構なファンということもあるが,ここでは,McLaughlinは勿論なのだが,ベースのDomique Di Piazzaの動く姿も気になるところである。

このバンドの音源は正式には発売されていないが,私はこのバンドのドイツのライブの模様を収めたブート4枚組(!)で聞いている。5 Peace Bandとどっちがいいかと聞かれると微妙な部分もあるが,まぁそれはそれってことで。それでもって,このブートが音がサウンドボード録音の割に分離等が今イチで,音もややモコモコしているため,このDVDではよりクリアな音を聞かせてくれるものと期待してしまう。いずれにしても,最近の私はハイブラウなフュージョンはMcLaughlinってな感じになっているから,このDVDには大いに期待している私である。早く来い来い発売日(4/21予定)。

2009年3月27日 (金)

セッションマンによる隠れたナイスなロック・アルバム

Bfd "BFD" BFD (Iguana)

このアルバムは中古で拾ったものだが,てっきりフュージョン系のアルバムかと思ったら,完全なロック・アルバム,しかも曲のクォリティが結構高いアルバムだったのには驚いてしまった。

ここでプロデューサーも兼ねるJoe Caroと言えば,日本では渡辺香津美の"To Chi Ka"への参加によって記憶されているというのが大方のところではないか。しかし,ここではギターのほか,ヴォーカルに加えて,ほとんどの曲のソング・ライティングまで担当しているのである。曲調はインダストリアル・ロック的と言ってもよいが,ポップな感覚を持った佳曲が多い。私はちょっと一時期のRichard Marxを思い出してしまったが,それぐらいいい曲を書いている。セッション・ミュージシャンの間口の広さ恐るべし。それに加えて,やはりセッション/フュージョン畑の人たちなので,Brecker BrothersやDavid Sanbornが参加して,ちゃんとそれなりのソロを繰り広げているところがこれまたこのアルバムの魅力を高めている。

そもそもこのバンド名称が何を意味するのかもわからないし,結成の経緯もわからない(矢野顕子レコーディング出自説あり)が,それでもこうした結構レベルの高いアルバムが忘れられているのは何とも寂しい限りである。同じようなサウンドで言えばBoy Meets Girlの"Reel Life"もどうしてこれが売れないのかというぐらい素晴らしいアルバムだったが,彼らはまだ"Waiting Star to Fall"というシングル・ヒットがあったからまだよい。このBFDなんて,バンド名すらほとんど知られていないと思うが,売れなかったのはこのジャケットのせいか,あるいはほとんどプロモーションもかからぬマイナー・レーベルからの発売だったからか。

もはやこのアルバムが改めて陽の目を見ることはなかろうが,より多くの人に認知してもらうことを祈り,点数も甘くなり星★★★★☆。こういうのを隠れた名品と言う。本当に感心してしまった。

Personnel: Joe Caro(g, vo), Will Lee(b, vo), Steve Ferrone(ds, vo), Chris Palmaro(key, vo), Michael Brecker(ts), Randy Brecker(tp), David Sanborn(as), Paul Shaffer(org), Ralph McDonald(perc), Carol Steel(perc), Legs Larry Smith(hca), Frank Simms(vo), Jon Fiore(vo), Lani Groves(vo), Vivian Cherry(vo), Kyle Gordon(vo)

2009年3月26日 (木)

Bob Malachの"After Hours"は選曲は渋いが,演奏は...

Bob_malach "After Hours" Bob Malach(Go Jazz)

昨日Bill Carrothersの"After Hours"というアルバムを取り上げたときにもその名前を挙げたBob Malach版の"After Hours"であるが,こっちはCarrothers盤とだいぶ雰囲気が違う。

同じリズムを従えたアフター・アワーズ・セッションと言っても,バラード集だったCarrothers盤よりも,こちらのアルバムは結構威勢がよい。選曲もスタンダードと言えるのは"All or Nothing At All"だけで,そのほかは著名ミュージシャンの超メジャーではない(が,どこかで聞いたことがある)オリジナルばかりである。

ピアノ・トリオと違って,テナー~ベース~ドラムスという編成はテナー奏者のMalachにとってもかなりチャレンジングだったはずだが,ここに収められている音源が1986年の録音ということもあり,Malachにとってはどちらかというと習作に近い感覚ではないかと思われる。よって,アフター・アワーズと言っても,Carrothers盤のような雰囲気は作り出せていないのが残念。例えばHorace Silver作"The Jody Ground"なんてベースのバッキングの趣味が悪くて落ち着かないこと甚だしいのである。このアルバムの雰囲気を全体で壊しているのはベースのBilly Petersonだと言ってもよいだろうから,それはMalachだけの責任ではないが,もう少し雰囲気を考えた演奏をしてもよかったと思うし,何もこのテイクを収録する必要はないと思う。Quincy Jones作の"Stockholm Sweetnin'"のような演奏の方が,ずっとこのアルバムにはフィットしていると思うが,そこでとどまれないあたりが若気の至りだったということか。星★★。

ところで,Bob Malachと言えば一時期Mike Sternのバンドでブイブイ言わせていたが,最近は名前を聞く機会も減っているし,そもそもWebでも新しい情報が仕入れられない状態になっている。最近はどうしているのだろうか。ちょっと気になってしまった。

Personnel: Bob Malach(ts), Billy Peterson(b), Kenny Horst(ds)

2009年3月25日 (水)

アメリカ人をも感動させたWBC決勝戦

WBC決勝戦は私は仕事の関係上試合を見ることはできなったのだが,ゲームの経過だけは携帯で確認していた。試合中からこれは死闘だと思わせるものであったが,この試合に対するアメリカのメディアの評価が極めて高いことには日韓の両チームは胸を張ってよいと思う。

ESPNのEric Neel記者は"I hope you saw Japan 5, Korea 3 for what it was: A great night of baseball, a great night for baseball."と書き,USA TodayのDavid Leon Moore記者は"Playing baseball. And it was a classic. The World Baseball Classic, indeed."とまで書いている。

ここまで日韓の決勝戦が高く評価されてしまうと,当然のことながらアメリカ・チーム(あるいは非協力的なMLB各チームのオーナーたち)へ批判の刃が向けられるわけで,MLBとしても次回のWBCではシステムの変更に加えざるをえないだろうし,そもそも次回はアメリカという国の威信を問われることになるだろうから,これは大変な見ものになるのではないかと思う。

いずれにしても野球の母国のアメリカをも感動させたこのゲームは,結果的に歴史的な意義を持つことになると想像している。

タイトル通りの"After Hours"セッション

Bill_carrothers "After Hours" Bill Carrothers(Go Jazz)

Bill Carrothersという名前は結構聞くし,私も当ブログで彼が参加しているJay Epstein盤やDave Douglas盤を取り上げたことがあるが,ピアニストとしての立ち位置は結構よくわからない人である。

このアルバムはBen Sidranが主宰していた(まだあるかもしれないが...)Go Jazzレーベルの"After Hours"シリーズ第4弾として発売されたものであるが,このシリーズにどんなものがあって,第何弾まで続いたのかはよくわかっていない。しかし,David Hazeltine盤があるらしいし,そう言えば,私もBob Malachの"After Hours"というアルバムも持っていたなぁ。

それはさておき,中古盤屋をうろついていて,選曲はスタンダードばかりだし,ちょっと聞いてみたいと思ったので購入したものだが,これが結構当たりであった。何がいいかと言うと,まさにタイトル通りの「アフター・アワーズ」的な雰囲気にほかならない。ライナーによれば,ここに収められた演奏は午前2時から午前5時の間に,ミュージシャンが仕事帰りに立ち寄ったところをレコーディングしたものを集めたものらしいから,さもありなんである。そういう時間のけだるさっていうのも感じられてしまう。昔ならNYCにあったBradley'sにクラブ・ギグ帰りのミュージシャンが立ち寄ってひそやかにジャムっていった感覚である。Bradley'sのよかったところは,そういう時間に相応しい演奏をミュージシャンが展開していたことだが,このアルバムも同様である。そうしたアンビエンスから生み出される音楽は結構静謐な雰囲気が強く,一聴したところ,欧州系のピアノと思われるかもしれない部分があると言ってもよいだろう。でも,結構これは多くの人に受けるのではないかと思う。

結局のところはアフター・アワーズ・セッションであるから,あまり小難しいことを言うべき音源ではないとしても,ジャズの側面としての雰囲気を醸し出していて,これはこれで楽しめるし,ナイト・キャップともどもであれば,更に雰囲気は倍増するだろう。そうした環境を作り出しながら聞けば,星★★★★は行ってしまう音楽である。

尚,ベースのBilly Petersonがプロデュースを兼ねていて,そのせいかベースのミキシングが一般のピアノ・トリオよりは強いように思うが,決して邪魔にはなっていないので問題はない。

Personnel: Bill Carrothers(p), Billy Peterson(b), Kenny Horst(ds)

2009年3月24日 (火)

久しぶりに聞いた"Spaces"

Spaces "Spaces" Larry Coryell(Vanguard)

このアルバムは,私がジャズを聞き始めて間もなく買ったことがある。当時はキング・レコードから1,500円で廉価盤のLPとして出ていたはずである。まぁこのアルバムを買ったのは「メンツが凄い」という惹句につられてのことであったと記憶するが,どうも私はLarry Coryellとは若い頃は相性が悪く,買ったレコードも大学時代にはほとんど売り払う羽目になっていた。新しいレコードを買うために,古いレコードやあまり聞かないレコードを売り払うという悪循環を若い頃は結構やっていたものである。

そんな事情もあり,私がこのアルバムを聞いたのは久しぶりのことなのだが,今回は中古盤屋でまぁまぁ手頃な価格の同じメンツによる未発表曲入りのCDを見つけたので,再入手した上でのことである。よくよく考えるとこういうことはよくやっているなぁ。Larry Coryellで言えば,Steve Khanとのデュオ作"Two for the Road"もそうだったし...。

私の記憶の中では,このアルバムはCoryellやMcLaughlinのギター・フレーズというよりも,Miloslav Vitousのベース音の方が鮮明だった。今も昔も私はVitousのベースの音は得意ではないが,そうした初期体験を与えたアルバムがこれだったのかもしれない。

久々に聞いてみてどうだったかと言うと,私もその後いろいろな音源を聞いてきたので,別にこの程度では驚かないという感覚か。昔よりは随分と「普通」に感じられた。それでもジャズ・ロック的なタッチがあるかと思えば,アコースティック・デュオがあり,Bill Evansの"Gloria's Step"がありと,まぁ何とも欲張ったつくりと言うこともできるかもしれないが,どちらかと言うと思ったよりもコンベンショナルな作りだったというのが正直な感想である。ジャケのCoryellの横顔や眼鏡を見ても,かなり時代を感じさせるが,まぁこれはこれで時代の断面と言うこともできるだろう。まぁ古臭いと言ってしまえばそれまでだが,私は結構楽しめた。そもそも私は結構McLaughlin好きだしなぁ。だからと言って,このアルバムがどの程度の歴史的な価値を持つのかは甚だ疑問だが,ギター好きは聞いて損はない。星★★★☆。

尚,Chick Coreaの参加している曲はボーナス・トラック曲含めて全8曲中2曲だけなので,過大な期待は禁物である。

ところで,このアルバムの邦題は「スペイセス」だったはずである。"Spaces"のどこが「スペイセス」だというのだろうか。こんなものを若者が信じてしまったら英語の発音なんてうまくなるわけはないよなぁ。辞書で発音記号を見れば,こんなタイトルにはならないはずなのだが。「ビッチェスブリュー」と同レベルのひどさだと言っておく。

Personnel: Larry Coryell(g), John McLaughlin(g), Chick Corea(el-p), Miloslav Vitous(b), Billy Cobham(ds)

2009年3月23日 (月)

WBCを見ていてどうしても気になってしまうJourney

Frontiers "Separate Ways (Worlds Apart)" Journey(Columbia)

世の中World Baseball Classicで盛り上がっているが,なんだかんだと言って私も中継を結構見てしまっている。やはり国別対抗戦というのは人間に潜むナショナリズムを表に引き出してくる効果があるようで,どうしても日本を応援してしまう。

そのWBCのTBSでの中継を見ていると,いろいろな局面で掛っているのがJourneyである。あれだけ掛っているってことは,今回のTBSのWBC中継のテーマ曲ってことになるのだろうが,この"Seperate Ways"は懐かしい。私がリアルタイムで買ったJourneyのアルバムは後にも先にも"Frontiers"だけだが,その冒頭を飾ったハード・ドライビングなナンバーがこの曲だったからである。

このアルバム,ハードなロックンロールと,バラードをうまくミックスさせた好アルバムだったと思うが,アルバム全体のカラーを支配したのがこの曲だったと言えると思う。TBSがなぜ今この曲を採用したのかは定かではないが,WBCの主たる視聴者がこのアルバムと同時代の中年オヤジということではないかと思ってしまう。このアルバムが発売されたのが1983年,当時20歳の男子は,45~6歳になっている。お昼時に家電量販店に中継を見に行っている人々にもそれっぽい人が多いし,かく言う私もその年代に極めて近いからである。だとすれば,ターゲティングとしては適切なのかもしれないし,これでまたJourneyに注目が集まるならそれはそれでよしである。

ただ,私はこのアルバム自体はとっくの昔に売り払ってしまったので,この曲はまたベスト盤で聞くことにしよう。エバーグリーンとまでは言わないが,今聞いても結構カッコいい曲である。

2009年3月22日 (日)

動と静の絶妙なブレンド

Branford "Metamorphosen" Branford Marsalis Quartet(Marsalis Music)

先日Jeff Wattsの新譜が出たときに,それが結構よかったものだから(記事はこちら),本作への期待が高まると書いた。私は現在のBranfordのバンドはジャズ界では現代最強のレギュラー・バンドの一つだと思っているので,彼らが期待を裏切ることはまず考えられないのだが,これまたぞくぞくするような出来のアルバムを届けてくれた。

このアルバムはMonk作の"Rhythm-a-Ning"とW.C. Handy作の日本盤のボーナス・トラックを除き,バンド・メンバーによるオリジナルで占められている(Branford作は1曲のみで最も少ない)が,私は曲そのものは記憶に残る感じではなく,その出来はあまり感心できなかったものの,それを帳消しにする演奏の素晴らしさや録音のよさは認めなければならないだろう。

冒頭の"Return of the Jitney Man"はWattsのオリジナルだが,前述のWattsの新作の冒頭も飾っていたものである。発売タイミングの近い2枚のアルバムが,同じ曲で始まるというのも結構珍しいのではないかと思うが,本作のこの曲も強烈である。これが動とすれば,2曲目のCalderazzoのオリジナル"The Blossom of Parting"はクラシカルな響きが強く,静のイメージである。このアルバムはこうした動と静がブレンドしながら進んでいき,勢いだけではなく,落ち着きも兼ね備えていて,よくプロデュースされていると思う。でもやっぱり,私としては奔馬のごとき勢いのよさってのが,彼らの特性には合っているとは思うが...。

いずれにしても,私にとっては,このアルバムは現代ジャズの最高峰と言ってよいレベルの「演奏」を楽しむべきものということになる。ここで,Branfordのオリジナルが一番少ないということは,Branfordのバンド・メンバーへの高い信頼の裏返しということも可能であり,このバンドの結びつきはますます強くなっていると考えてもいいかもしれない。曲には文句は言いつつも,大いに楽しめた一枚である。星★★★★☆。ちなみにタイトルは「変容」だが,彼らはそんなに「変容」しているわけではない。「なんでやねんっ!」と思わず突っ込みを入れたくなってしまった。

Recorded in August, 2008

Personnel: Branford Marsalis(ts, ss), Joey Calderazzo(p), Eric Revis(b), Jeff "Tain" Watts(ds)

2009年3月21日 (土)

それにしても凄いタイトル:"For How Much Longer Do We Torelate Mass Murder?"

Pop_group "For How Much Longer Do We Torelate Mass Murder?" The Pop Group(Rough Trade)

このアルバムは私が人生で聞くのを避けてきた音楽かもしれない。でもPigbagは抵抗なかったし,Rip Rig & Panicもよかった。ってことはThe Pop Groupを聞いても問題ないはずだ,とは思ってみても,ジャケットが印象的な本盤(CD)はずっと廃盤のままで,中古でもあまりお目に掛からない。前回,中古盤屋で見掛けたときは買うのを躊躇したものの,やっぱり買おうと思って同店を再訪したら既に売れていた(よくある経験である...)。

今度見つけたら買おうと決意しても,なかなかブツには遭遇しない。そんなこんなで時間が暫く過ぎたところで,近所のショップで発見である。私が買ったのは94年盤(リマスターされた96年盤というのもあるらしいが,そちらはなぜか1曲カットされているとのことなので,私はこちらでOK。買った時にはそんなことは全く知らなかったが...)。ちょっと財布には痛かったが,これも仕方あるまい。

でもまだ怖くて聞けないでいる私である。だってタイトルが凄過ぎるんですもの。「これ以上どれだけ大量殺戮を許すのか?」ときたもんだ。怖過ぎるのである。近いうちに記事をアップすることにしたいが,私の購入の選択は吉と出るか,凶と出るか。

2009年3月20日 (金)

花粉症がひどい

私は花粉症持ちだが,今年はピーク,あるいはその直前のシーズンに海外出張の機会が多く,あまり花粉の影響を受けなかったようで,比較的症状が出ないままここまできていたのだが,ついに爆発である。

とにかく目がかゆい,くしゃみが止まらない,鼻水がずるするの三重苦である。これは厳しい。私は花粉症が悪化すると,喉の粘膜がかゆくなってくるという症状も出るのだが,そこまではいかないとしても,この目のかゆさは何?重症である。

と言っても助けてくれる人はなし。目薬でも買ってくるしかあるまい。知り合いに私が花粉症持ちだと言うと,「へぇ~っ,意外~」とかいう反応を受ける場合が多々あるのだが,人は見かけによらず繊細な場合があるのだ。それにしてもたまらん。

実家にてお宝発掘:"Peek a Boo"

Peek_a_boo "Peek a Boo" Jerry Bergonzi (Label Bleu)

先日,所用で実家に帰る機会があったのだが,実家にはあまり聞かなくなった(あるいはあまり聞いていなかった)CDが保管してある。そんなCDの中には,どうしてこのCDをちゃんと聞いていなかったのかと思うようなCDもあれば,本当の駄盤まで様々である。しかし,そうしたものをよくよく眺めていると,今の私にはこれはええわと思わせてくれるものもたまに含まれている。

この"Peek a Boo"はLabel Bleuに残されたJerry Bergonziのリーダー作であるが,このCDを保有している記憶はあったのだが,まともに聞くことなく置き去りにされていたものである。しかし,Daniel Humairのリーダー作"Edges"でのBergonziが凄くよかったため,このアルバムも聞きたいなぁと思ったので,発掘作業を開始したところ,ようやく発見である。1曲を除いてBergonziのオリジナルで占められている。

何と言ってもこのアルバム,メンツがいいよなぁ。Bergonziを支えるリズムはKuhn~Dave Santoro~Humairである。そこにタイガー大越まで加わってしまうのだから何をか言わんやである。このアルバム,録音はBergonziの地元ボストンで行われており,大越はおそらくボストン人脈ということだろうが,これがなかなかのスリリングな出来である。

私が特に気に入ってしまったのが,BergonziとHumairのデュオで始まる"Idiosyncrasies"のぞくぞくするような演奏である。これはBergonziの特質が凄くよく出ている演奏だと思う。私はこういうBergonziが大好きである。唯一のKuhn作である"Manipulations"もモーダルなアプローチがかなりかっこいい。正直なところ,大越抜きのワンホーンだったらもっとよかったかもなぁなどと大越には失礼なことを思ってしまったが,私にとってはやはりBergonziはワンホーンでこそ最も光るのである。まぁそれでも大越も好演しているし,文句は言うまい。このアルバムをないがしろにした自分への反省を込めて星★★★★☆。ごめんね,Jerry...(何のこっちゃ)。

尚,このアルバムは現在,ジャケ違いで再発されているはずなので,入手そのものは難しくなかろうが,やはりLabel Bleuの抽象画(?)ジャケット・シリーズで愛でたいものである。他にも埋もれているアルバムがありそうで恐い。

Recorded on October 9 and 10, 1992

Personnel: Jerry Bergonzi(ts), Tiger Okoshi(tp, fl-h), Joachim Kuhn(p), Dave Santoro(b), Daniel Humair(ds)

2009年3月19日 (木)

サウンドはThe Bandそのものという感じだが...

Angel_serenade_2 "Angels Serenade" Helm, Hudson & McCoy (Blues Boulevard)

The BandのLevon HelmとGarth HudsonのコンビがTommy McCoyなるボーカリスト/ギタリストと共演したアルバムである。録音はウッドストックにあるLevonのスタジオで行われたようである。

このアルバム,リリースされたのは最近のことだが,もともとはCD Baby等のサイトで別掲のような体裁で発表済みだったものを,いかにもThe Bandのファンを囲い込むために,ジャケットを変えて発売したもののようである。確かに購買意欲をそそるという点では今回のものの方がよいだろう。ただし,The Bandに興味も関心もないリスナーにはどっちでもよいだろうし,このジャケのどこがいいのだという声が飛んできそうではあるが。

そうした裏の事情はさておき,音源としてはどうだろうか。さすがにHelm~Hudsonの御大二人がいるだけで,サウンドはかなりThe Band的であり,長年のファンもこのレイド・バックした感覚は嬉しいものだろう。しかし,このTommy McCoyの声が何ともカントリー的というか,The Bandの感覚からはかなり乖離しているのが惜しい。ある意味,声がきれい過ぎて,私などは落ち着かないのである。どうせならここはLevon Helmの声が欲しかったところと言ってはMcCoyには酷だが,正直そうなのだから仕方がない。むしろ,もう一人のボーカリスト,Doug Thomasの方がはるかに私の耳には心地よいものであった。しかし,このアルバムがもともとはMcCoyのバンドのアルバムであるということを認識すれば,私の論点は当たらないことになる。それにしてもなのである。

Tommymccoy1 こうしたボーカルにおける違和感さえなければ,このアルバムはもっと楽しめたのだろうが,むしろ,このアルバムを聞いていて,やはりDanko,Manuel,そしてHelmの声あってのThe Bandだったのだと痛切に感じられてしまった。この時代にこうした音楽がちゃんと生き残っているということは誠にめでたいのだが,これを改めて聞くぐらいなら,The Bandのアルバムを聞いちゃうだろうなぁというのが正直なところである。まぁ,そんなことははなからわかっていたことなのだが...。やはりここは一つThe Bandのアルバムでも取り出して温故知新とすることにしよう。星★★★。

Personnel: Tommy McCoy(vo, g, mandolin), Levon Helm(ds), Garth Hudson(key, accordion, sax), Jimmy Bennett(g), George Tricomi(p), Mark McCoy(b), Robert Parker(b), Peter Bennett(b), Steve Connelly(pedal steel), Branson Welch(g), Gary McCoy(g), Anastasia(bells), Doug Thomas(vo), Justin Till McCoy(vo), Amy Helm(vo), Tim Eddy(horns)

2009年3月18日 (水)

出張中に見た映画:09/03編(その2)

K20 「K-20 怪人二十面相・伝」('08,東宝)

監督:佐藤嗣麻子

出演:金城武,松たか子,仲村トオル,鹿賀丈史,國村隼,高島礼子

香港出張の帰りに飛行機で見た映画である。何分,飛行時間が短いので,往復で2本が限界であったが,この映画,日本映画には珍しい活劇チックなノリであった。映画を見ていて思ったのは,CGやら何やらが「三丁目の夕日」みたいだなぁと思っていたら,「三丁目」の監督,山崎貴もスタッフに名前を連ねているからさもありなん。VFXのスタッフも踏襲しているらしい。

ストーリーはかなり荒唐無稽なので,多くを語る必要はない。しかし,どうせ荒唐無稽にするならば,シナリオを絞り込んで,もう少し短い上映時間の中で何とかするのが,脚本を兼ねた監督,佐藤嗣麻子の役割ではなかったのか。中間部の中だるみ感はいかんともしがたい。結局のところ,私は最近の映画の大型化(長時間化)にはかなり否定的であり,基本的に映画は2時間以内に収めて欲しいと思っている。この映画が137分というのは明らかに長過ぎるのである。どうも私にはシナリオ・ライターそのものが話を絞り込めなくなっているのではないかという疑念があるのだが,この程度の映画であれば,100分程度で十分なはずである。

まぁ小難しいことは言わず,松たか子のコメディエンヌぶりを楽しんでいればいいのだろうが,それにしてもやっぱり長い。また,CGを使って出てくるシーンは,まるでアニメ,それも「カリオストロの城」の焼き直しのような感覚が強かったが,私ならこの映画を再見するより,「カリオストロの城」を何度も見た方がよいと思うという程度の映画である。ということで,活劇っぽさは貴重ではあるが,映画としては星★★☆程度。それにしても,金城武,諸葛孔明と全然違う役で,笑ってしまった。

ところで,この映画,飛行機で見ていて困ったのは,暗い場面が多く,飛行機のモニターではよく画面が見えないシーンが結構多かったことであろうか。機内エンターテインメントだから仕方がないし,文句を言えた筋合いではないが。

2009年3月17日 (火)

歌詞は青臭いと言われるかもしれないが,この声は魅力である

Photo 「みちしるべ」 フィルハーモユニーク(Oorong)

先日のドイツ出張の折に見た映画「イキガミ」の主題歌として使われていたのがこの曲である。映画の中で金井勇太が歌ったストリート・ミュージシャン出身という設定の「田辺翼」バージョンのこの曲も捨て難いが,映画のラストで流れる本家フィルハーモユニーク版が,この映画の締めくくりにはふさわしいものであったと思う。あの映画を見てから,どうにも気になって仕方がなかったのだが,結局シングルを買ってしまった私である。

この曲,いくらでも文句はつけられる。小林武史の仰々しいストリングス,ありきたりな感じのバックのアレンジメント,青臭いと言われても仕方がない歌詞などである。それでもいいではないか。ここで聞かれる五郎川陸快(ごろうがわたかよしと読むそうである)の声に免じて許す。彼の声は,結構ハスキーな感じを持ちながら,アメリカン・ロックが好きな人間は,実にはまってしまいそうなJohn Mayer的ロック声なのである。

プロデューサー,小林武史が絡んであろうストリングスに対して私は否定的なので,五郎川のJohn Mayer的声を活かすならば,この曲は完全弾き語りバージョンの方が魅力的なのではないかと思っているクチである。いずれにしても,私が近年稀なほどはまってしまった曲であることは間違いのない曲である。あんまりはまってしまったので,キーは私にはちょいと合わないが,カラオケでキーを変えて歌ってみることにしよう。

ちなみに私が知らないだけなのかもしれないが,彼らがメジャー化したという話はあまり聞いたことがない。しかし,この曲は埋もれさせるにはちょっと勿体ないと思うので取り上げた次第である。私としてはミスチルやらマイリトルラバーやらよりもはるかに心に響いた音楽だと言っておこう。

2009年3月16日 (月)

Keithの影響濃厚なYaron Hermanだが,タッチはそこまではいかず。

Yaron_herman "Piano Solo Variations" Yaron Herman (Laborie / Videoarts)

国内盤新譜なのに破格の1,000円という価格で発売されたアルバムである。Yaron Hermanというピアニストは聞いたこともないし,ピアノ・ソロだけにはずれるとどうしようもない。しかし,ブログのお知り合い,monakaさんもほめてらっしゃるし,まぁ1,000円なら授業料としては安いということで購入してみた。

monakaさんをはじめ,ほかのブロガーの皆さんもお書きになっているが,やはり一聴してKeith Jarrett的な響きが感じられる美しいピアノである。しかし,私はこのアルバムを聞いていて,実はKeithのピアノ・タッチの強力さということを再確認させてもらったような気がするのである。このYaron Hermanという人のピアノは,私が聞いている限りはタッチが繊細,あるいは線が細いという感じで,これに比べれば,Keithって特に左手って凄く強力なのだなと思ってしまったのである。

私としては,美的な感覚としてはこの人のピアノは決して嫌いではないし,"Summertime"のバリエーションで結構持たせてしまうというのは大した才能であると思う。しかし,やはりピアニストとして見てみると,Keithの美点ばかりが浮かび上がってしまうというちょっと不幸なアルバムとは言えないだろうか。

ただ,やはりこの1,000円という価格は魅力であるし,十分に元は取れるだけのコスト・パフォーマンスは保証できる。ピアノのサウンドもクラシカルな響きが相当濃厚であるが,いろいろな層のリスナーに受け入れられるだけの素地は持つものであると思える。よって,価格を含めて星★★★★。

出張先でよく眠れないときに,このアルバムを聞いていたら,あっという間に眠れたという効能があったことも追記しておこう。もちろん,鑑賞にもたえうるものであるということは,Hermanの名誉のために書いておきたいと思う。

Personnel: Yaron Herman(p)

2009年3月15日 (日)

出張中に見た映画:09/03編

Spirit 「スピリット("Fearless")」(’06,中国,Warner Brothers)

監督:ロニー・ユー

出演:ジェット・リー,中村獅童,スン・リー,原田眞人,ドン・ヨン,コリン・チョウ

今回の香港への出張に当たっては珍しくキャセイ・パシフィックを使った。短い飛行時間の中,機内エンターテインメントとして何を見ようか迷ったのだが,気楽に見られるのがいいかと思って選んだのがこれである。機内のエンタテインメント紹介誌によると,この映画は「ジェット・リー最後の武術映画」だそうである。しかし,ジェット・リーってそのあと,「ドラゴン・キングダム」とか出ていたし,どういうことなのか混乱してしまった私である。

話は相変わらずの他愛無さであるが,ここでは中村獅童が相当の儲け役である。アクションは全部自分でやっているのかはわからないが,だとすれば,結構な健闘ぶりである。この後,中村は「レッド・クリフ」にも出るので,中国に受けがいいキャラなのだろうかと思ってしまう。

いずれにしても,この映画の見ものは格闘シーンだが,ワイヤーも使いながらも,これは完全にコリオグラフィの世界である。ミュージカルの振り付けを見るがごとき,アクションの連続であり,まぁこればかりを見せられても飽きるんではないかとも思ってしまうが,それほど長くはないフライトの退屈しのぎにはまぁまぁよかった。だからと言って映画としての評価は星★★☆ぐらいのものだが。

2009年3月14日 (土)

High Five来日時の記録

High_five "Live for Fun" High Five (Blue Note)

香港から戻ったので,音楽系の記事に戻りたい。

私もできることなら行ってみたかったHigh FiveのBlue Note東京におけるライブ盤である。ちょうどこのときはフロリダに出張していて見逃したのだが,こうして音源として追体験できるのは大変ありがたい。私も期待を持ってこのアルバムを聞いた。

結論から言えば,いつも通りのHigh Fiveのラテン系らしい熱っぽい演奏が楽しめることは間違いない。しかし,私はこのアルバムを聞いていて,何とも言えない「軽さ」に違和感を覚え続けていたのである。これはおそらく,冒頭の"Passion Dance"からして明らかだった。"Passion  Dance"と言えば,"The Real McCoy"におけるMcCoy Tyner~Joe Henderson~Elvin Jonesという重量級の演奏こそが似合うわけであるが,それがヘビー級だとすれば,High Fiveの演奏はせいぜいウェルター級って感じなのである。

ラテン系のプレイヤーに黒人同様の情念的なプレイを求めることに無理があるのは承知しているが,それでもこの軽さはやはりちょっと気になってしまう。テクニックは十分だとしても,どうにも軽い。この違和感が,私がこのアルバムを評価するときの最大の問題となってしまったのである。

もちろん,Bossoはロング・トーンも炸裂させ,大向こうを唸らせる熱演を示してはいるが,彼らとしては,この軽さを補うだけの,もう一歩の「暑苦しさ」ぐらいが必要だったのではないかと思う。繰り返しになるが,演奏はそれなりには楽しめる。ただ,やはり私はライブよりもスタジオ盤での彼らの演奏を楽しむ方がいいのではないかと思えてしまったのも事実なので,星★★★☆。これは彼らへの期待の大きさの裏返しだとも言えるのだが,ラテン的な「熱さ」だけの演奏からの脱却を図らないと,彼らは飽きられてしまうおそれがあるように感じられてならない。

Recorded Live at Blue Note東京 on November 18 & 19, 2008

Personnel: Fabrizio Bosso(tp, fl-h), Daniele Scannapieco(ts), Luca Mannutza(p), Pietro Ciancaglini(b), Lorenzo Tucci(ds)

2009年3月13日 (金)

中年音楽狂 in 香港(2)

Img_0139 せっかく香港に来たのだから食を楽しまない手はない。と言っても,この土地では所詮ストレンジャーの私であるから,ある程度土地に詳しい人に依存せざるをえないが,今回は出張先でご一緒させて頂いたいろいろな国(シンガポール,英国×2,スウェーデン,そして私)の人と食事に出掛けることができた。

さすが中国4千年の歴史である。何を食してもうまかったが,スープ一つ取ってもこれがうまい。キヌガサダケと椎茸?(日本のものとは随分違っており,むしろマッシュルームに近い感じ)のスープがほかの食事のおまけで付いてきたのには驚いてしまった(キヌガサダケを一個食べてから撮影したので,見た目は今イチだが...)。このほかに食したのはアヒルの炒め物,牛肉とピーマンのピリ辛炒め,生け簀にいた白身魚を蒸したものであったが,どれも結構うまかったなぁ。その後,飲み過ぎたことは毎度のことながら反省。

う~む。香港,奥が深い。と言ってもこの記事がアップされる日には帰国の途につく私である。次はいつ来れることやら。仕事でない機会でまた来てみたいものである。

ところで,ソウルや香港に来て思うのが,最近,セブンイレブンの進出が目立つなぁということである。少なくともソウルはこれまではファミマの天下のような感じだったのが,前回ソウルに行ったときはセブンイレブンが結構店の数が増えていた。コンビニの便利さは万国共通かもしれないが,日系のコンビニ恐るべしというところである。これがNYCならデリがあるから無理だろうが...。そのデリもほとんどの場合,韓国人がオーナーだったが,やっぱりアジア系はよく働くってことなんだろうなぁ。私がNYC在住中に結構利用していた近所の八百屋も韓国系だったと懐かしく思い出してしまった(その店は火事で燃えてしまったが,その後私は食材を手に入れるのに結構苦労したことも,全然関係ないがついでに思い出してしまった)。

2009年3月12日 (木)

中年音楽狂 in 香港

Img_0130 本ブログにおいて,「中年音楽狂 in どこそこ」といろいろ書いていたら,一体お前の職業は何なんだと聞かれてしまいそうであるが,私は一介のサラリーマンに過ぎない。しかし,仕事の関係上,出張が多いのである。今回は香港であるが,前回香港に来たときは,目的地が深センだったため,通過しただけだった。しかし,今回はコンベンション出席のため,香港のダウンタウンに4泊である。

香港と言えば思い出すのは映画「慕情」であるが(古い!),今回宿泊しているホテルは映画にも出てきたヴィクトリア・ピークの正面に位置している。ホテルから撮った写真もいかにもの風景であるが,それにしてもよくもこんなところににょきにょきと高層の建物を建設するものである。しかも記憶によれば,地震がないものだから,建つのが異常にはやい。足場もよくあんなもんで作業ができると思わせるようなものである。

Img_0146_2 ついでなので,もっと下世話な雰囲気を醸し出す夜の香港の街の写真もアップしてしまおう。この通り,今回のコンベンションで知り合ったシンガポールの人に連れて行かれたのだが,通りにある何件ものバーにはほとんどローカルがいないという不思議なところであった。しかし,それでも十分に香港の雰囲気は表れていると思う。もちろん,もっときらびやかな場所もあったのだが,この"Lost"という看板が,今の私を示しているようなので,この写真にしておこう。(続く)

2009年3月11日 (水)

Baptiste Trotignon, NYCへ行く

Baptiste_trotignon "Share" Baptiste Trotignon (Naive)

Baptiste Trotignonと言えば,今も昔も"Fluide"である。あのジャケの強烈な緑のイメージは今も鮮烈に記憶に残っている。私自身はアルバム自体は最近はあまり聞いていないが,音も強い印象を残したことは間違いない。よって,私はStefano Di Battistaのアルバムで彼がハモンドを弾いていたり,Aldo Romanoとロック畑の曲を演奏したりしても,やはり相応の注目はしてきた(記事はこちらこちら)。それでもやはり彼に求めてしまうのはやはり"Fluide"の世界であったことは否めない事実である。

そのTrotignonが今回は単身NYCに乗り込んで,米国のミュージシャンと共演したのがこのアルバムである。これがTrotignonの美的なセンスと,アグレッシブな部分をうまく共存させてなかなかよい。"Dexter"なんて,Trotignonのイメージを覆すハード・ドライビングなスインガーである。

その中で,このアルバム中,私が最高だと思ったのはTom Harrellとのデュオ,"Blue"である。Trotignonの美しいピアノに,Tom Harrellのメロディアスなフリューゲル・ホーンが乗っかるわけだが,「これよ,これよ,これなのよ」ってな世界である。Tom Harrellは自分のクインテットでもこういう世界でやって欲しいと思うのは私だけではあるまい。これはたまらん。

もちろん,全編をトリオ演奏でまとめるという選択肢もあっただろうが,HarrellとTurnerというゲストの選択は,Trotignonの音楽性を考えれば,かなり適切な人選と言えるのではないかと思う。ドラマーが2人参加しているが,結構個性には違いがあって,どうしてこういう選択になったのかは不明であるが,これはこれで楽しめる。いずれにしても,Baptiste Trotignonというピアニストは,この作品を契機に更にメジャーな存在に飛躍するのではないかと思わせる佳作である。星★★★★。

Recorded in June 2008

Personnel: Baptiste Trotignon(p), Matt Pennman(b), Eric Harland(ds), Otis Brown III(ds), Tom Harrell(fl-h), Mark Turner(ts)

2009年3月10日 (火)

Tom Harrellの新作はRhodesによるグルーブは心地よいのだが...

Tom_harrell "Prana Dance" Tom Harrell (High Note)

前作"Light On"から約1年半ぐらいのインターバルで発売されたTom Harrellのレギュラー・クインテットによる第2作である。Harrellはこの間,来日も果たしているし,客演も随分と多く,久しぶりっていう感じはしないのだが,ここに来て創造力が溢れてきているということと解釈したい。

私はTom Harrellの大ファンというわけではないが,彼のメロディ・センスについては大変素晴らしいものがあると思う。よって,彼のオリジナル曲である"Sail Away"にしろ,"Baffalo Wings"にしろ,"Moon Alley"にしろ,多くの人に愛されているということはよくわかる。よって,私が本作に期待するのも,Harrellによる優れたオリジナルと歌心溢れるソロということになる。

しかし,このアルバム,演奏が悪いというわけではないのだが,本作に収められた彼のオリジナル曲にHarrellらしいハッとするようなメロディを見出せないのは誠に残念である。私はHarrellが枯れる年齢だとは思わないし,ソロでメロディアスなフレーズを連発できるのだから,こんなものではないはずだと感じてしまう。いずれにしても,アルバムを聞いていて,どうもHarrellらしさに欠ける曲のテーマにいかんともし難い違和感を覚えてしまったのである。

だからと言って,このアルバムを駄盤だと言うつもりは毛頭ない。特にDanny GrissettがRhodesを弾いている曲での何とも言えないグルーブは気持ちのよいものである。Wayne Escofferyのソロも結構レベルが高いし,それはそれで聞き所はあるのである。また,Johnathan Blakeの叩き出すリズムはちょっとたとえはおかしいかもしれないが,PMGの"We Live Here"のような感覚を思い出させるのである。よって,これは結構コンテンポラリーな響きを狙ったものだということはよくわかるのである。

だが,私にとってはやはりHarrellに期待するものが違うのである。Harrellとしては,レギュラーによるバンド・サウンドにこだわったと見てもよいかもしれないが,それでもHarrellにはもっといいメロディが書けるはずなのである。そこが大きな減点材料となるため,星★★★☆とする。演奏がいいだけにこれは何とも惜しい。また,私としては上述のとおり,Rhodesのサウンドによるグルーブが気持ちよかったので,どうせならGrisettには全曲でRhodesを弾いて欲しかったように思う。

Recorded on May 29 and June 10, 2008

Personnel: Tom Harrell(tp, fl-h), Wayne Escoffery(ts, ss), Danny Grissett(p, el-p), Ugonna Okegwo(b), Johnathan Blake(ds)

2009年3月 9日 (月)

何とも初々しいJoni Mitchellの映像

Intimate_performance "An Intimate Performacne" Joni Mitchell(Immortal)

馴染みのCDショップをうろついていたら,見たことのないJoni MitchellのDVDを販売していたので,即購入である。本作は英国BBCに出演した時のソロ・パフォーマンスの模様であるが,ここでは何とも初々しいJoniの姿が見られる。また,若い頃の演奏だけあって,声もまだまだ可憐さをたたえた美声ではないか。

時は1970年9月9日,Joniが26歳のときの映像であるから,初々しいのも当然か。この映像が貴重なのは,Joniが"California"をダルシマーで弾き語る姿が残されていることだが,そのほかにもJoni得意の変則チューニングの様子も収められていて,これまた貴重である。

収録曲は全7曲,時間も30分程度と短いが,音声もDTS処理も施されており,これはJoni Mitchellファン必見の映像,音源と言っておく。この場にいられた英国人がうらやましい。星★★★★★。

Recorded Live at the BBC Television Theater on September 9, 1970

Personnel: Joni Mitchell(vo, g, p, dulcimer)

2009年3月 8日 (日)

ようやくリリース:Marc CoplandのNYトリオ・レコーディング・シリーズ第3弾

Copland_nt_trio_3 "Night Whispers" Marc Copland (Pirouet)

リリースが遅れていたMarc CoplandのNYトリオ・レコーディング・シリーズの第3作がようやく発売となった。タイトルはつけもつけたり「夜の囁き」(Phil Collinsかっ!)であるが,そのタイトルのイメージを裏切らない,まさしくCoplandらしい作りで,私はうれしくなってしまった。

従来のシリーズとの違いは,ベースがGary PeacockからDrew Gressに代わっていることであるが,CoplandとGressと言えば,あの"Haunted Hearts & Other Ballads"(及び"Some Love Songs"という作品もあり,これもよい)のコンビであるから,私としてはPeacockに恨みはないが,この人選は大歓迎である。このアルバムの曲目を見ていてJohnny Mandel作の"Emily"が3回収録されていることも,"Haunted Hearts & Other Ballads"に"My Favorite Things"が同じく3回収録されていることとも重なり,おぉっ,これはあの世界の再現か!と思わず期待値が高まるのである。

結果は,ファンも納得,毎度おなじみのCoplandの美的な世界が展開されていて,なんの躊躇もなく,いろいろな人に推薦してしまおう。私はドラムスのBill Stewartには思い入れはないが,リーダーに合わせた繊細なドラミングを聞かせていて,これも評価したくなる。それにしてもシンバルに特徴のある人だと感じるのは私だけだろうか?

いずれにしても,Coplandって,いつもいつもこんな感じでいいのかという批判もあろうが,この世界がいいのだというリスナーにとっては,これがCoplandに期待するものなのだから何の問題もない。このメンツで"So What"は不思議なセレクションのような気がするが,前作でも"All Blues"をやっていたことだし,CoplandにもMilesへのシンパシーがあるということか?サウンド的にはあまり関連性が見出せないが,これはこれでまぁよかろう。さすがにこの曲はほかの曲と違って,ややハードな感覚が強い。

ということで,ファンの弱みというのもあるが,私はこの作品も気に入ってしまったのである。本作を聞いて,やはりCoplandはトリオに限るというのが私の結論。星★★★★☆。

ところで,本作のエンジニアはJason Seizerという人が務めているが,この人はPirouetのレーベル・メイトで,サックス・プレイヤーのSeizerその人だろうか?そうだとすれば,いろいろな才能があるものである。

Recorded on June 8 & 9, 2008

Personnel: Marc Copland(p), Drew Gress(b), Bill Stewart(ds)

2009年3月 7日 (土)

やっと007の新作を見た

007_2 「007 慰めの報酬("Quantum of Solace")」('08,米英,MGM)

監督:Mark Forster

出演:Daneil Craig,Olga Kurylenko,Judi Dench,Giancarlo Giannini,Jeffrey Wright

私は007映画が結構好きで,前作「カジノ・ロワイヤル」も劇場で見て,Daniel CraigのJames Bond像はかなり気に入っていた(映画はちと長かったが...)。よって,Craigによる第2作の本作も,公開を楽しみにしていたのだが,出張続きでなかなかそれもかなわなかったが,ようやく見ることができたって具合である。

Daniel Craig版の007はとにかく肉体派である。基本的にハイテク装備に頼ることがないところが人間臭くてというか,非常にリアルでいいと私は思っている。しかも今回は1時間46分という適切な尺で,集中力も切れることなく,大いに楽しめた。

ストーリーについて語るのは野暮でなので避けるが,やはりDaniel Craigの魅力に負うところが大きいのは仕方なかろうが,演出,脚本,アクションのどれをとっても結構よくできた映画である。監督のForsterにとってはアクションでの初仕事のはずだが,手慣れたもので破綻がない。うまい人は何を撮ってもうまいということであろう。脚本には前作に続いてPaul Haggis(「クラッシュ」の監督である)が絡んでいるが,この事実はHaggisが007好きな証拠のようにも思える。みんなやりたいのである。ということで,私は結構この映画を評価してしまうので,星★★★★☆。次回はどういうかたちの映画に仕上げてくるのかが今から楽しみである。

Olga_3ところで,今回のボンド・ガールを務めるOlga Kurylenkoは,よくよく調べてみると,先日,私が酷評した「マックス・ペイン」にもジャンキーなねぇちゃんの役で出ていたが,それとはまったく異なる魅力的な役で,やりゃできるんだと思わせる。今回はボリビア人役ということもあり,メイクでエキゾチックな感じになっているが,元はウクライナ出身の白人美人である。ここにアップする写真と,ポスターでのイメージのギャップには結構笑えるが,なかなかの美人である。元モデルだけに身長178cmというのはひぇ~って感じだが,美人なので許す(きっぱり)。今年で30歳らしいが,離婚歴2回ってのもなぁ...。それも関係ないので許す(重ねてきっぱり)。

2009年3月 6日 (金)

Ralph Towner入りギター三重奏!

From_a_dream "From a Dream" Muthspiel / Grigoryan / Towner (Which Way Music / Material)

このバンド,またの名をMGTとも言うようである。頭文字を取るバンドはEL&Pだ,BB&Aだとロック畑と大体相場が決まっているが,このアルバムはRalph Towner入りだから,当然ロックではない(当たり前だっ!)。それにしてもTownerがギター三重奏とは驚きである。TownerにはこれまでデュエットはJohn Abercrombieとのものがあるが,トリオは初めてではないだろうか。ジャズ界でギター・トリオと言えば,スーパー・ギター・トリオであるが,それ以外ではLarry Coryell~John Scofield~Joe Beckのトリオによる"Tributaries"ってアルバムもあったなぁ。それはさておき,本作はレーベルはWolfgang Muthspielのアルバムを結構出しているMaterialが制作に関わっているから,これはMuthspielの音頭で録音したものと考えてよいかもしれない。

Muthspielはほとんどで,エレクトリック・ギターを弾いてはいるが,サウンド的にはクラシカルな響きが強いのはTowner師匠を立てたゆえとも思えるが,Ralph Townerファンならば納得のいく響きである。また,Townerファンにはおなじみでかつ極めてTownerらしい"Beneath an Evening Sky"や"Icarus"のような曲が入っているのも嬉しくなる要因である。

その中で唯一ジャズ的なフレイバーが強まるのが"Nardis"である。さすが名曲,曲の力で空気も変わるって感じである。この曲はTownerとMuthspielのデュオで演じられているが,テーマは最後に出てくるだけで,それまで両者による結構スリリングなアドリブ・デュオが展開されており,こりゃええわぁと思わせる。

もう一人のギタリスト,Grigoryanがクラシック系のギタリストなので,私としてはTownerにはもう少し12弦を弾いてもらって,サウンドの違いを明確にした方がよかったのではないかとも思う(私はTownerの12弦が好きなのだ)のだが,12弦ばかりでもサウンドがパターン化するという判断もあったのかもしれない。しかし,そうしたことは抜きにしても,このアルバムはTowner好きには堪えられないものである。Townerのアルバムはそんなしょっちゅう出るわけではないので,私はしばらくこのアルバムを聞いて楽しむことになろう。ちょっと甘いが星★★★★☆。

しかし,なんでこのアルバムがオーストラリア録音なのやら。ちなみに私が買ったのもオーストラリア盤である。

Recorded on December 3 - 5, 2007 in Melbourne, Australia

Personnel: Wolfgang Muthspiel(g, el-g), Slava Grigoryan(g, baritone g), Ralph Towner(g, 12 string-g)

2009年3月 5日 (木)

淡々としながら楽しめるセッション・アルバム

Auditorium_session "The Auditorium Session" Harrell / Giammarco / Zeppetella / Deidda / Sferra (Parco Della Musica)

出張により映画関係の記事が続いていたが,久々の音楽系の記事である。

本作はイタリアのミュージシャンたちがTom Harrellを迎えて録音したセッション・アルバムであるが,一聴して,ハードに燃えるとか,格闘技とかいう感覚は全く感じられない。何とも淡々としているのである。1曲目からユル~くスタートしているし...。しかし,Tom Harrellというラッパの特性を考えると,これって結構いいのではないかと思わせる。

セッション・アルバムとは言え,リズム隊を構成する3人はAudio Slang Trioという名前で演奏もしているようだから,コンビネーションはある程度確立されている。よって,フロントとの相性がよければ,まぁそこそこのアルバムはできると約束されたようなものである。

それでもって,サックスのGiammarcoは剛腕という感じではなく,ラテン系ながら比較的ソフトな演奏に終始し,これがメロディ・ラインが重要なHarrellといい感じのコンビネーションになっているから,これはやはりファンにはたまらないのではなかろうか。しかもベースは全編エレクトリックということもあり,曲によってはかなりコンテンポラリーな響き(3曲目"Sei in Sei"が最も顕著)も示しており,私はどちらかというとこういう路線は支持したいクチである。必ずしもHarrellに合っているかというと,若干微妙であるが...。

まぁそれでもHarellの歌心は十分感じられるし,ギターのZeppetellaも結構な実力者と聞いた。このギタリスト,作曲家としてもいろんなタイプの曲を書いているし,引出しの広そうな感じなのはBebo Ferraと似たような感じかもしれない。何だかんだと言ってもイタリア・ジャズの実力を感じさせる一作である。星★★★★。

ところで,このアルバム,EGEAを通じて配給されているので,そう簡単には廃盤になることはなかろうが,そうは言ってもそれほど売れる類のアルバムではなさそうだから,ファンはなるべく早めに入手しておいた方がよかろう。ライブ盤"Sail Away"のようになっては大変である。

Recorded on April 13, 2005

Personnel: Tom Harrell(tp, fl-h), Maurizio Giammarco(ts, ss), Fabio Zeppetella(g), Dario Deidda(b), Fabrizio Sferra(ds)

2009年3月 4日 (水)

出張中に見た映画(09/02編):その6

Photo_2 「ゆれる」('06,シネカノン)

監督:西川美和

出演:オダギリジョー,香川照之,真木よう子,新井浩文,伊武雅刀,蟹江敬三,木村佑一,田口トモロヲ,ピエール瀧

出張中に見た映画は今回は結局6本であった。ということで,今回はこれで打ち止めであるが,私が飛行機で最後に見たのがこの「ゆれる」である。

ある意味,これは心理劇と言ってもよいだろうが,これは結構よくできた映画であった。この年最も評価された作品は「フラガール」だったはずだが,「フラガール」なかりせば,おそらく各賞の1位を取っていたのではないかと思わせる。この2作を評して,新井満は「フラガール」を大衆文学,「ゆれる」を純文学に例えていたが,さすがうまいことを言うものである。

話は心理劇に近いということで,かなり地味である。真木よう子をはさんでの兄弟の微妙な心理というのはある意味ありがちな展開である。それもその兄弟を演じるのが香川照之とオダギリジョーなのだから,どういう役割分担かは最初からわかりきっているようなものである。ということで,脚本には弱点もあるのだが,そうした中で,こうした地味な映画をちゃんと最後まで見させる西川美和という監督の手腕は認めなければならないだろう。でも私は大衆文学の方が好きかなぁ。ということで星★★★★。

Photo_3 毎度,毎度のことで恐縮だが,本作を見ていて,私は憂いを含んだ真木よう子の表情にまいってしまった。決して演技がうまいとは言わないが,こうした憂いの表情は何とも言えないものがあった。この人については,今まで全く意識したこともなかった(というか全然知らなかった)が,今後も活躍して欲しい人である。

2009年3月 3日 (火)

出張中に見た映画(09/02編):その5

Photo 「イキガミ」('08,東宝)

監督:瀧本智行

出演:松田翔平,柄本明,笹本高史,劇団ひとり,金井勇太,塚本高史,りりィ,風吹ジュン,佐野和馬,山田孝之,成海璃子,井川遥

マンガを原作とする映画だそうである。現在ではまったくコミックスの類に関心のない私は当然のことながら,原作については知る由もない。いずれにしても,この映画は国家繁栄維持法と言うわけのわからない法律が存在して,「イキガミ」を受け取った24時間後に死亡するとしたら,その間に何をするかというのがテーマである。こういうのって所謂病魔モノが極端化したものだと思うが,かなり無茶な設定であるところが結局はマンガなのである。

もし,私に残された時間が24時間しかないとすれば,一体何をするのかというのは非常に難しい質問である。何するんだろうなぁ?自分の死にフィットする音楽は何だろうとあれこれ聞き直しているうちに,24時間ぐらい経ってしまいそうだが...。

映画としては,ひとつのストーリーで映画を持たせるのは難しいと判断したらしく,3つのエピソードが続けて出てくるので,ある種のオムニバス映画を見ているようでもあり,一話完結の連続ドラマを見ているようでもあった。それが映画としてはどうなのかという疑問にもつながる。監督の瀧本智行は前作「犯人に告ぐ」でなかなかの手腕を見せたが,本作もまぁ出来としてはそんなに悪くないとは言え,そうした疑問を解消するほどのものとは言えまい。この映画はやはりTVドラマの延長線上でとらえられてしまうところがある意味不幸だが,そういう脚本にしかできなかったのだから仕方ない。役者としては相応なところを揃えているだけに,ちょっともったいないような気もした。星★★★。

役者の中では,劇団ひとりがもうけ役。私の関心事である若い女優は出番があまりないのが残念だが,成海璃子は楚々として可愛いのが大変よかった。彼女の眼ヂカラはかなり強烈で,オジサンはどきどきしてしまった。りりィもよかったねぇ。

2009年3月 2日 (月)

出張中に見た映画(09/02編):その4

Max_payne_2 「マックス・ペイン("Max Payne")」 ('08,米,Fox)

監督:John Moore

出演:Mark Wahlberberg, Mila Kunis, Beau Bridges, Chris O'Donnell

見る前から下らないだろうなぁ と思っていて,案の定下らなければ,その映画を見ることを選んだ自分の責任であるが,これまた無茶苦茶なハード・アクション・ムービーである。まぁもともとがゲームだそうだから,荒唐無稽具合には文句は言えないが,それにしてもまぁよくもこんなしょうもない映画を作ったものである。

以前も出張中に見た映画で"Shoot 'em Up"という下らない映画について書いたことがあるが,下らなさという点では双璧と言っても過言ではない。そもそもシナリオに無理があり,結局はゲームに基づくアクション・シーンを撮るためだけに映画が進行していくようなものである。こんな映画が公開週には全米第一位を獲得するということ自体が信じられないが,これはやはりいかん。

そもそもこんなバイオレンスだらけのゲームを作っていいのかというそもそもの疑問も感じてしまったが,この映画を選択したこと自体を悔やんだ1本。星★。存在全てが下品である。日本では本年4月に公開だそうだが,こんな映画を見るぐらいならほかに見る映画はいくらでもあるはずだと言っておく。

2009年3月 1日 (日)

crissさんのブログ閉鎖を惜しむ

その知識の豊富さ,的を得た批評で,多くのファンを持たれていたはずのcrissさんのブログ「雨の日にはジャズを聴きながら」にアクセスしたところ,「思うところあって、突然ですが終了します。今まで長い間ありがとうございました。」というヘッダーとともに,コンテンツがすべて消去されていたのには驚いた。

昨年をブログをFC2Blogへ移行され,更に有効な情報をご提供頂けると思っていたところの突然の出来事には一瞬言葉を失ってしまった。

この背景にはご自身としていろいろなご事情がおありになったのだろうと推察する以外にはないが,ジャズ系ブログにとって,これは大きな損失と言わざるをえない。私たちは極めて有益な情報源を失うこととなってしまったからである。それでも,crissさんのこれまでのブログ上での活動は多くの人の記憶に残っていくはずであるから,ここに謹んで感謝の意を表したいと思う。

いつの日か,crissさんがこの世界に高らかに復活宣言をされることを期待しつつ,crissさんのご意思を尊重して,残念ではあるが,当方ブログのリンクからcrissさんのブログを外させて頂くこととする。

最後にcrissさんへ私からのメッセージ:crissさん,復活の暁には是非連絡して下さい。ご自身のブログは終了されても,気が向きましたら,たまにはコメントでも入れて頂ければ幸いです。

出張中に見た映画(09/02編):その3

Photo_3 「ドラゴンへの道("Way of the Dragon")」('72,香港,Golden Harvest)

監督:Bruce Lee

出演:Bruce Lee, Nora Miao, Chuck Norris, Bob Wall

以前,出張中に「燃えよドラゴン」を見て,暇つぶし感を堪能したわけだが,またまたBruce Leeものである。本作はBruce Leeが監督,脚本,主演を務めた作品であるが,冒頭のコミカルとさえ思わせるBruce Leeがアクションに入った瞬間,全く別の人間のように見えてしまうのが何とも笑える映画である。そもそもローマでのロケを多用しており,出てくる場所は,「ローマの観光映画かっ!」と突っ込みさえ入れたくなるような場所ばかり出てくる。

まぁそれはさておきである。ストーリーははっきり言って無茶苦茶なので,ここで注目されるのはアクション・シーン(だけ)ということになる。ヌンチャクも棒術も怪鳥音もありだから,Bruce Leeとしては「燃えよドラゴン」のプロトタイプは既に完成している。更にここではChuck Norrisとの対決シーンが見ものとなるわけだが,この当時はまだまだChuck Norrisは映画スターとしての地位は確立しておらず,この映画から,その後の彼のポジションが上がったということからすれば,彼はBruce Leeに感謝をしなければならないだろう。

しかし,ここでのChuch Norris,体重がかなり重そうで,アクションも鈍重,また胸毛が気持ち悪くて,これがその後のアクション・スターになるとは思えないところがこれまた笑える。

Nora_2 まぁこの映画に難しいことを言ったってそれはまた野暮ということである。私としては気の強そうなNora Miaoが結構可愛かったが,今や彼女も50代のオバサマになってしまった。それでもこの頃はやっぱり可愛いのである。ということで,彼女の写真もアップである。現在の私の美人趣味からすれば,彼女は必ずしもタイプではないし,この写真ももっと笑えばいいのにと思ってしまうが,こういう子が同級生とかにいるとうれしいよねぇ。ということで,映画と全然関係ないことばかり書いてしまったが,私としては星★★☆が精一杯で,その程度の映画である。Bruce Leeのファンにはきっとそんなことはないのだろうが...。

« 2009年2月 | トップページ | 2009年4月 »

Amazon検索

2016年おすすめ作

2016年おすすめ作(本)