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2009年2月 5日 (木)

病気後初来日時のKeith Jarrettライブ

Yesterdays "Yesterdays" Keith Jarrett(ECM)

身体及び思考力両方が激しく疲労し、日常生活を著しく阻害するという慢性疲労症候群によりKeithが活動を停止していたのは20世紀も後半のことであった。その病気から見事に立ち直り,おなじみのトリオで来日した時のライブ盤である。このトリオの前作は2007年に出た"My Foolish Heart"であるが,そちらは2001年7月の演奏を収録したものだったが,このアルバムはそれより3ヶ月弱前の日本公演の模様を収めたものである。なぜ今頃になってこの音源が発売されるのかはよくわからないが,それにしてもなんでまた2001年なのだろうか。今でもトリオとしての演奏は継続しているのだから,もっと直近の演奏により同時代性を示して欲しいと思っているのは私だけではないだろう。

私は前作でのラグタイム・ピアノを交えたプログラムに大いに違和感があり,このブログでも結構批判的なことを書いた(記事はこちら)わけだが,このアルバムではそうした違和感はあまり感じさせないところでは前作より評価したい。特にタイトル・トラック"Yesterdays"や"Smoke Gets in Your Eyes"で見せるバラード表現は素晴らしいと思う。全体的に見ても,病み上がりとは思えないような演奏を展開しており,ファンは納得できるものと思う。

ミディアムで演奏されるHorace Silver作"Strollin'"にはやや乗りの問題を見出せないこともないが,そもそもKeithにSilverの曲が合うとは思えないわけで,これは選曲が悪かったということにしよう。"You Took Advantage of Me"なんて曲もあまり聞いたことがないが,1928年の古いミュージカルの主題歌のようである。だが,件のミュージカルは映画化もされていないようなので,マイナーでも仕方がないだろうなぁ。ただ,いずれにしてもミディアム系の曲は,私の心の琴線には訴えるところが少ないのはやや残念。Parkerの"Scrapple from the Apple"ももう少しテンポを上げて,締め上げるような緊張感を提示してくれることを求めてしまうのは,当時病み上がりのKeithには酷だろうか。このトリオにしてはちょっとルースな感覚が強いのだが,それも偏に彼らに対する期待値が異常に高いからということの裏返しなのだが。

であれば,である。今や健康上の問題もなくなった現在系のKeithの録音を聞きたいと思いたくなるのが人情である。是非次回作はよりUp-to-Dateな演奏音源をリリースしてくれることを期待したい。それでも本作は満足できる演奏集として星★★★★には値するだろう。しかし,彼らの演奏にマンネリズムをおぼえているのはきっと私だけではないはずである。もはやこのトリオ(及びソロ)がKeithのライフ・ワークとなっているのかもしれないが,老境に達する前に,新たなチャレンジをしてもいいのではないかと思ってしまう。

Recorded Live at 東京文化会館 on April 30, 2001 & オーチャード・ホール on April 24, 2001

Personnel: Keith Jarrett(p), Gary Peacock(b), Jack DeJohnette(ds)

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コメント

なぜこの時期に’01年録音をと思いました。ECMの一連番号が新しいので企画されたのは比較的新しいってことですよね。

でも、このレーベルにしてはただ一人好きなことをやれる(4ビートでスタンダードばかりというのは他のミュージシャンではないですからね)キースは、やっぱりたいしたものです。温度感も温かいですし。

週末にでも、同時期(同じ来日時)のインプロのアルバムと一緒に聴き直してみたいと思っています。

TBさせていただきます。

音楽狂さん、こんにちは、monakaです。
このアルバム、とてもリラックスしたところがあり、それはインプロしているコンサートとの関係あるのでしょうね。
なぜ古いアルバムなのかということは、発売を考えて録音しているものと、現在もその意味で録音しているものを比較してこちらのほうが良いのだと思います。
CD音源になればやはり比較する人が多いので、品位の落ちたものは出せないでしょう。
トリオの雰囲気が落ちているわけではないのですが、やはりテクニカルな衰えが近い公演では見えてしまいました。
たぶん次はソロ演奏(録音もしていたし、これは良かった)でしょう。

910さん,コメント,TBありがとうございます。

確かにこれだけではなく,フリーなアプローチなアルバムを聞いてこそ,彼らの真価は語れないと思えてきました。私も併せて聞いてみたいと思います。

monakaさん,コメント,TBありがとうございます。

monakaさんはKeithのライブに通っておられるはずですから,私よりはるかにビビッドな感覚をお持ちと思います。確かに次のアルバムは順番からするとソロかもしれませんね。トリオとしては前作よりははるかに好きでしたからこのアルバムはOKですが,Keithは一体どこへ行くのでしょうかねぇ。それだけが気になります。

心の病から立ち直ったとしても、今では、かつての様な創造活動は難しいのでは、と思っています。
実際、ライブより手間ひまのかかる、スタジオ録音すらない状況だし。
キースのピークは、アメリカン・カルテットだと思います。
現状を維持して、ECMのドル箱でいてくれればいいのではないでしょうか。。

東信JAZZ研究所さん,こんばんは。

確かにスタジオ盤って何年も吹き込んでいないですね。ただ,まだまだKeithには枯れて欲しくないというのがファン心理ってやつで...。

でもこの後,どうなっていくのでしょうかねぇ。

僕も前作 『 My Foolish heart 』 よりも本最新作の方が好きです。復帰後の作品群の中では 『 Whisper Not 』 が愛聴盤ではありますが。
スタジオ盤、聴きたいですよね。できれば唸り声のないキースが聴きたい。唸り声に関しては、キース教の方々からはお叱りを受けそうですが、
僕は不要だと思ってます。あと、コンサートの拍手も嫌いですし。あ~、一枚でいいからスタジオ盤作ってくれ~という感じです。
スタジオ押さえるとお金もかかるし、手間もかかるし、それならライブの時に録音しちゃえば客収入と印税の両方一度に入ってお得じゃん的スタンスが彼らにあるのでしょうかね。
スタジオでもライブでも同質の演奏が可能ならではの発想でしょうね。

crissさん,こんにちは。

最近は私は気にならなくなりましたが,私も昔はKeithの唸り声が嫌いで嫌いで仕方がありませんでした。確かにあれはなくてもいいですよね。

私もKeithにはもうひと踏ん張りを期待したいと思います。正直言って,このトリオの作品は出るたびに買っていますが,自分としてもだんだん惰性になっているのが気になっていますので。

TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。

たしかに食傷気味であることは否めないのですが..。
それでも、買ってきちゃいますし、かなりの満足感も得られているので、微妙に複雑な心境です。


とはいえ、個人的には思い入れのあるライブなので
いろいろ考えず、絶対買いではあるのですが..

oza。さん,コメント返信の順番が狂ってしまいました。すみません。他意はありませんので,ご了承下さい。

oza。さんのように現場にいらっしゃったら,当然違う感慨があるのは当然ですよね。同じ条件なら私も無条件に買っていますし,私は現場にいなくても買っています。そういうトリオなのだと思います。

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Keith Jarrettのstandardsです。 前作My Foolish Heart(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/archive/2007/10/20)が2001年、その前に 出たUp for It(未紹介)が2002年ということで2000〜2002年のライブ作品が非常に多くリリースされていることは、前作の紹介をしたときに文末に記した通りです。 -- Inside Out (July 2000;..... [続きを読む]

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