2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

2015年おすすめ作

2015年おすすめ作(本)

無料ブログはココログ

« 2009年1月 | トップページ | 2009年3月 »

2009年2月28日 (土)

出張も間もなく終了である

今回のドイツの出張では,結局私は時差ボケを解消できぬまま,出張終了を迎えたと言ってよいかもしれない。現在,私はフランクフルトの空港にいるが,最終日になっても夜中に目が覚めたというのは私の記憶にない事態である。加齢による調整能力の低下と言ってしまえばそれまでだが,ちょっとショックである。

これから10時間以上のフライトが待っているが,今日ばかりは酒の力を借りて,眠ってしまうしかないようである。

今回の出張中はほとんどジャズから離れていた生活を送っていたので,さすがにそろそろ禁断症状が出てきたが,帰ったら通販で購入したCDが届いているはずだから,週末はそれらを聞いてリハビリすることにしよう。

と言っても,一週間後にはまた香港だしなぁ...。宮仕えは辛いねぇ。

出張中に見た映画(09/02編):その2

Photo_2 「マンマ・ミーア(Mamma Mia!)」('08,米,Universal)

監督:Phyllida Lloyd

出演:Meryl Streep, Pierce Brosnan, Amanda Seyfried, Colin Firth, Julie Walters, Christine Baranski

大ヒットしたミュージカルをそのまんま映画化したものである。あまりに舞台と変わらないので笑ってしまったし,はっきり言って他愛のない話である。それでもまぁこれは楽しめるし,見終わった後のプチ幸せ感が何とも心地よくて,私は好きである。言うまでもないが,ABBAの音楽は最高だしなぁ。

私はこの舞台を日本で見ているのだが,何も映画版もここまで舞台を踏襲しなくてもいいのではないかと思わせる部分もあるものの,おそらくはエーゲ海の美しいロケ地は,舞台では味わえないからまぁいいか。巷では「映画的にどうだこうだ」とこの映画を批判する声もあるが,芸術だとか,何だとか小難しいことを考えない限りは全く問題にならないはずである。また,ABBAの音楽に思い入れがなければどうだとか言っている方々もいるようだが,ではミュージカルでもRichard Rogersならよいのか,あるいはGeorge Gershwinならよいのかと皮肉の一つもぶつけたくなる。繰り返すが,この映画は小難しいことを言わない限りは十分入場料のもとは取れる。そういう点では私は星★★★★ぐらいには評価したいと思う。

ところで,私がこの映画を見ていて思ったのはMeryl Streepの意外なコメディエンヌぶりである。彼女と言えば,演技派中の演技派と言ってもよいだろうが,今回の役でもさまになっているのが素晴らしい。しかも結構しっかり歌っていて,出演者が皆,妙にミュージカルっぽくないところもなんとなくいいと思う。Pierce Brosnanがここに出てくるというのは予想外だったが,歌は今イチながら,それなりにこなしていて微笑ましいということも付け加えておく。

2009年2月27日 (金)

中年音楽狂 in Germany

Photo_2 今週,私はドイツへ出張しているのだが,フランクフルトをベースにいろんなところへ列車で移動することになってしまった。行ったところはダルムシュタット,ミュンヘン,ケルン経由でボンといった具合である。この中でジャズ・ファンならケルンという地名に反応するのは当たり前であるが,所詮は乗り換えのため通過しただけなので,Keith Jarrettがどこでピアノを弾いたかなんていうことはわからない。しかし,駅前(本当に笑ってしまうぐらい駅のまん前である)に何とも素晴らしい大聖堂があったので,乗り換えの時間を利用して行ってみた。

私は海外の出張時に結構いろいろな町の大聖堂に行って,結構敬虔な気持ちになってしまうのだが,このケルンの大聖堂も,前回の欧州出張時に再訪したオルレアンの大聖堂に勝るとも劣らない規模のものであった。やはりこうした西洋建築では歴史の重みを常に感じさせてくれる。ステンド・グラスも素晴らしいものであった。出張中とは言え,こういう機会があることは誠にありがたい限りである。

ミュンヘンへはほぼ24年ぶりの再訪となったが,大雪で結構えらい目にあってしまったが,これがまた何とも重い雪で,最近あまり日本で見たことがないようなぼたん雪って感じだった。時間があれば,ECMレコードの本社ってどこなんだなんて探しに行きたいところだったが,そんなことをやっている時間はあるわけないのである。何てたって,ミュンヘンはフランクフルトから特急で片道3時間もかかるのだから...。

ボンは西ドイツ時代の首都だった町だが,今のドイツの首都はベルリンに移ってしまっている。町としての活気はどうなのかなぁという感じだったが,何とも小じんまりとしたいい町だった。

ということで,移動続きの今回の仕事もあと一日を残すのみとなった。年を重ねるごとに時差ボケの調整がどんどん下手になっていく私だが,今回も毎日夜中に目が覚める状態が続いてしまったのは情けない。明日(現地時間)は夜行便で日本へ帰るのだが,酒をかっくらって,さっさと寝てしまう以外に私に残されたオプションはないようだ。

それにしてもドイツの食事は腹持ちがいいというか,ずしんとこたえる感じの食事が多いのにはまいった。いもとソーセージにはさすがにちょいと食傷気味の私である。うまいそばでも食べたいねぇ...。

出張中に見た映画(09/02編):その1

Red_cliff 「レッドクリフ Part 1(Red Cliff)」 ('08:米中日韓 Lion Rock/China Film)

監督:ジョン・ウー

出演:トニー・レオン,金城武,チャン・フォンイー,リン・チーリン,チャン・チェン,中村獅童,ヴィッキー・チャオ

毎度おなじみ出張中に見た映画シリーズである。今回はドイツ出張ということで,フライトも長時間だし,ほかに楽しみもないから映画三昧を決め込んでいた。

この映画は日本の公開時に見に行こうと思っていながら,行けなかったものなので,今回は機内で見られたのはラッキーである。話は日本でもお馴染みの三国志であるから,これをどう映像化するかが興味の焦点ではあるが,日本では二部作として公開されるこの映画を,欧米では145分版で公開というのはどうなんだろうか。三国志に対する思い入れが違うと言えばその通りだろうが,赤壁の戦いだけでも145分というのには無理があると思うのは私だけではないだろう。もちろん,三国志はこれだけの話ではないから,まぁ本当に映像化するとなったら,大変なことになってしまうわけだが...。

映画としては結構面白くできているというのが正直な感想だが,スロー・モーションの過剰な使用だとか,無理なワイヤー・アクションなど,文句のつけようはいくらでもある。それがジョン・ウーだと言ってしまえばそれまでということにもなるが,まぁやっぱり戦闘シーンが映画の中心にならざるをえないから仕方ないかもしれない。この第一部のラストを見ていると「スターウォーズ帝国の逆襲」のラスト・シーンのようだと思ったのは私だけではないだろうが,時間的には致し方がない判断であろう。まぁそれでも第二部も見たくさせると言うことも含めれば,かなり甘いが星★★★★ぐらいにしておこう。

Photo それにしても,トニー・レオンは相変わらずのカッコよさで,あまりにカッコよ過ぎてなんだかなぁって気がしないでもないが,私はこの映画を見ていて,相変わらずの美女への弱さを発揮し,今回はリン・チーリンにまいってしまった。この人,この映画の衣装やメイクでも十分美人であることはわかるが,現代的な格好の方が更によさそうだと思って画像を検索してみたので,ついでにアップする。何とも言えない美貌である。台湾も全くあなどることができないと痛感してしまった。

2009年2月26日 (木)

豪華なメンバーによるJeff "Tain" Wattsの新作

Watts "Watts" Jeff "Tain" Watts(Dark Key)

本作はJeff "Tain" Wattsの自主レーベル,Dark Keyからの新作である。本国では2月3日にリリースされているが,日本ではまだ入荷したという情報はないものの,そのうち入ってくるだろう。私はCDBabyで注文していたものが届いたものである。

メンバーを見てもらえばわかるが,基本的にはピアノレスの2管クァルテットである。私はこのメンツを見ると,アメリカ在住中にNYCのVillage Vanguardに出演していたBranfordのトリオにBlanchardがゲストで入って演奏したときのことを思い出してしまう。違うのはそのときはベースがBob Hurstだったことだけである。当時はBranfordがクラブで演奏することは少なかったので,私が予約が取れて行ったのも午前2時頃からの最終セットだったはずだが,それまで別のクラブで別のミュージシャンを聞きながら,いそいそとVanguardまで行ったら,本来はいないはずのラッパが聞こえてきて,Wyntonかなぁと一瞬思ったのだが,Blanchardであった。そのときは大いに燃える演奏を繰り広げた彼らだが,それから十数年を経過して,音楽がどう変化しているかが気になるところである。

結果から言ってしまえば,このアルバムは冒頭から,我々が期待するスリリングな演奏が展開されていて,それこそ嬉しくなってしまった。これまでのWattsのアルバムはどれも優れたものであったから,本作は参加メンバーもあるが,彼のリーダーとしての資質が大きく影響しているのではないかと思う。しかも全曲,Wattsのオリジナルである。演奏能力だけでなく,そっちの方も大したドラマーである。最近のドラマーはBrian Bladeといい,このWattsといい,本当にトータルな才能を示しているのは凄いことである。ということで,十分に星★★★★には値する。

若干,おふざけに近いSE等が挿入されて,ジャズ原理主義者はまゆをひそめるかもしれないが,Watts(あるいはBranfordかもしれないが...)独特のユーモアだと思えば,それほど腹も立たない。ただ,若干しつこいなぁと思わせる部分はあるのは事実。これをもっとシリアスにやっていれば,評点ももっと上がると思わせるのがちょっと惜しい。しかし,この演奏を聞けば,間もなく発売されるBranford Quartetの新作に期待がかかるし,演奏自体はかなりよい。それほどここでのWattsのドラミング,そしてBranfordの魅力的なサックス・フレーズが楽しめる。もちろん,BlanchardとMcBrideも好演であるが,何と言ってもBranfordのバンドには私が贔屓にするJoey Calderazzoがいるから,ここで聞ける以上の演奏をBranfordの新作には期待してしまうのである。

Recorded on July 26 & 27, 2008

Personnel: Jeff "Tain" Watts(ds), Branford Marsalis(sax), Terence Blanchard(tp), Christian McBride(b), Lawarence Fields(p on "Owed..." only)

2009年2月25日 (水)

パッケージの作りもブートぽいところが笑えるハード・フュージョン(でも好き)

Alex_machacek "The Official Triangle Session" Alex Machacek / Jeff Sipe / Neal Fountain (Abstruct Logix)

ブログのお知り合いの工藤さんが取り上げられていて,ちょっと気になったこのCDである。私はAllan Holdsworthにはあまり関心があるわけではないのだが,Scott Hendersonをはじめとするハード・フュージョンは好みである。ここでギターを弾いているAlex MachacekがHoldsworthの文脈で語られることはまぁわからないこともないが,それはさておき,これがなかなかのハード・フュージョンの佳作である。

このCD,ライナーはそれこそ紙っぺら一枚だし,そこにもバックインレイにもプロデューサーも,エンジニアも一切記述がないから,まさにOfficial Bootleg的なノリを狙っているとしか思えないが,それでも演奏がよければ許す。

このアルバムはNorth Carolina州のReleighで録音されており,そこはドラマーのJeff Sipeの地元なので,Sipe企画のセッションということになるだろうが,これは3者が結構緊密に連動したアルバムとなっている。こういうバンドのアルバムの場合,異常にメカニカルでテクニカルになってしまう(Tribal Techが代表的である)場合もあるが,このアルバムについては冒頭からシンセサイザーのような響きで,静かな幕開けを迎えるところが普通のその手のアルバムと異なる。パワー一辺倒のバンドとは異なり,静と動をうまくブレンドしたという表現が適切であろう。そういう形態であるから,70分を越える長尺でも飽きることなく聞けてしまう。

このアルバムを聞いていると確かにMachacekのギターはHoldsworth的な部分を感じさせる部分もあるが,必ずしもそれだけではないように思える。テクニックはきっとあるに違いないが,それを敢えて全面的に打ち出すような部分がないところにむしろ私は好感を抱いてしまう。全編を通じて締め上げられるような感覚は必ずしも強くはないのだが,時折挿入される強烈なテンションを持った曲により緊張感を維持する演奏スタイルは結構評価できる。ハード・フュージョンが好きなリスナーには推薦できるアルバムだと思う。星★★★★。

ところで,このAlex Machacek,日本ではマクヘイサックと呼ばれているようだが,本人のWebサイトでもどう発音するかという質問に答えて音声ファイルのリンクが張られているとおり,マハチェク(あるいはマハチェク。このフォント違いの「」のほとんど無音に近いニュアンスをご理解願いたい)と呼ぶのが本来の発音に近いはずである。このように人名の発音は難しいから,私は通常,ミュージシャン名をアルファベットで記述しているわけである。余談ついでに書けば,昔,Johnny Carsonがホストをしていた"Tonight Show"のMCを務めていたのがEd McMahonという人だが,いつまでたってもこの人の名前は日本ではマクマホンだと思われている。しかし,実際にはカタカナで書けばマクマーンが最も近いと私には聞こえる。このあたりにローマ字というわけのわからないシステムの悪影響を感じるのは私だけではあるまいが,いずれにしても名前を間違われて気持ちのいい人はいないはずなのだ。是非,こういうのは気をつけたいものである。それを言ったら,昔,Fender Rhodesをフェンダー・ローデスなんて呼んでいたライナーもあったりして,わかってないねぇと思ったこともあるなぁ。でもそれを言ったらプロレスラーのDusty Rhodesもリング・アナは「ダスティ~~・ローデス~~」なんて紹介していたからなぁ。脱線が激しくなってしまったが,私はこれからも外国人の名前は原則としてカタカナで表記することはしないのである(アジア系の人は例外ありだが...)。

Recorded Live at Lincoln Theater, Raleigh, on June 29, 2008

Personnel: Alex Machacek(g), Jeff Sipe(ds), Neal Fountain(b)

2009年2月24日 (火)

休日の仕事もはかどるBlue Mithcellの軽快なスイング感

Blue_mitchell "Blue's Moods" Blue Mitchell (Riverside)

時に仕事が忙しくて,家に仕事を持ち帰らなければならないことがある。その場合,休日に家でPC作業をするということになるのだが,私の休日の仕事の効率を上げてくれるのが,BGMである。自分のそのときどきに聞きたい音楽を流しながら仕事をしていると,意外と仕事もはかどるものである。会社ではもちろんそうはいかない。

そういう場合,BGMとしてはフリー・ジャズはありえないし,ロックも集中力をそいでしまうので今イチである。休日の仕事の生産性を上げたいと思ったら,私は軽快にバウンスする音楽を選ぶことが多いのだが,本盤もそうしたセレクションに値するアルバムと言ってよいだろう。

私はもともとトランペットのワンホーンというフォーマットが結構好きなのだが,このアルバムもMitchellのワンホーン。バックはWynton Kellyらのトリオである。このメンツからしても,まぁくつろぎあるいは適度なスイング感は保証されているようなものだ。実際にこのアルバムを聞きながら仕事をしていたのだが,キーボードの打鍵がスムーズになるように感じたのは単なる気のせいかもしれない。しかしながら,足でリズムを取りながら打鍵をしていると意外に仕事がはかどってしまった。

これは4ビートの軽快なリズムという側面もあろうが,むしろ「小難しいことを考える必要がない」ということの方が大きいように思える。彼らのスインギーな音楽に身を委ねていれば,仕事のリズムも上がってくるということである。

昔は「ながら族」は悪のように言われていたが,実は適切な音楽だけが流れていれば,それほど集中力がそがれることはないし,むしろ生産性が上がることもあることは,私がアメリカ在住中に愛聴していたスムーズ・ジャズ専門局(WQCD New York,またの名をCD101.9)で実証されている。そのステーションは会話やCMは極力抑えて,音楽を連続して流すことが多かったわけだが,家でレポーティングなんかをしているときのBGMはそのステーションと決まっていた。何も考える必要がない,ある意味で無思想なスムーズ・ジャズにはそういう効用もあったのである。

話が脱線したが,仕事をしながらプレイバックをしていて,このBlue Mithchellのアルバムにも同じような感覚を覚えてしまった。世の中に棲息するジャズ原理主義者が聞いたら怒り狂うかもしれないが,どんな聞き方をしようが人の勝手である。逆に,そうした効用を持つことを認識すれば,ジャズの聞き方にもバリエーションが増えるし,更に楽しくなるのではないかと思う。

ということで,肝心の音楽のことを何も書いていないが,このアルバムはスタンダードを基本に,オリジナルが2曲という適切なバランスも嬉しいお気軽お楽しみ盤と言ってよいと思う。もちろん,真剣に対峙してもOKだろうが,ここはやはり小難しいことは言わずにこのアルバムを楽しめばいいように思う。名盤というほどではないが,往時のジャズの魅力は十分に感じさせてくれる佳作である。星★★★★。それにしてもWynton Kellyはいつ聞いてもいいなぁ。

Recorded on August 24 & 25, 1960

Personnel: Blue Mitchell(tp), Wynton Kelly(p), Sam Jones(b), Roy Brooks(ds)

2009年2月23日 (月)

下馬評を覆した「おくりびと」

第81回アカデミー賞が発表された。その中で日本では「おくりびと」の外国語映画賞受賞というのは実にめでたいことだと報道もされているし,実にめでたい。黒澤でさえ「デルスウザーラ」での受賞はあるものの,日本映画では成しえなかった快挙であることには間違いない。

今回のオスカー選考では本命はイスラエル映画"Waltz With Bashir"だと言われてきた。この映画はドキュメンタリー・アニメーションという分野になるらしいのだが,海外のメディアでは,今回の「おくりびと」受賞を不思議がる論調が多いのも事実である。New York Times紙の読者投票によれば,63%が"Waltz With Bashir"の受賞を予想していたのである。また,New York TimesにはCarpetbaggerというブログがあるが,そこのライターも同じように予想していた。しかし,今回「おくりびと」受賞に関して"Surprising, Strange"とまでブログに書いているライターは「おくりびと」を見ていないと言っているぐらいであり,ほかのアメリカ人もこの映画を見て評価しているとは言い切れないところが,下馬評の難しいところであろう。それにしても,映画をきっちり見もしないでどうこう言うこともどうなのかねぇと思ってしまうわけだが,それでも今回の「おくりびと」受賞はアメリカでは驚きをもって迎えられているということには間違いがないのである。

尚,本番ではどうだったかはわからないが,その後のオスカーのサイトの"Thank-You.cam"において,本木雅弘が英語で謝辞を述べていたのは立派だと思った。

ついでに書いておくと,故Heath Ledgerの助演男優賞受賞は大変めでたい。あの"The Dark Knight"での演技からすれば,彼の急逝という特殊事情を差し引いても,強烈な印象を残したことは間違いない。オスカーは彼の娘さんが18歳になったときに,彼女に渡されるそうである。それも何ともいい話だと思ってしまった。

またまたユーミンである

Misslim "Misslim" 荒井由実(Express)

先日このブログで"Pearl Pierce"について書いたら,皆さんからいろんなコメントを頂き,今更ながらユーミンの根強い人気を思い知らされてしまった(記事はこちら)。それで調子に乗っての第2弾である。今回,何を選ぼうか悩んだのだが,ここは王道で本作をチョイスすることにした。

このアルバムがリリースされたのは1974年だから,もう35年も前のことだが,ここに収録された曲が今でもその魅力を失っていないというのは素晴らしいことである。私がまっとうにユーミンの音楽を聞き始めたのは大学に入ってからなので,このあたりのアルバムはリアルタイムでは聞いていない。しかし,徐々に遡るかたちでいろいろなアルバムを聞いてみて,実はこのアルバムのクォリティが最も高いかなぁと当時から思っていたのは事実である。

本作には現在でも通用する名曲が多く含まれているが,私がこのアルバムを初めて聞いたときに最も魅かれたのは「やさしさに包まれたなら」である。その当時は恋愛観云々よりも,この曲の持つポジティブな感覚が好きだったのである。伴奏も軽快だし,この曲は本当に好きだった。しかし,人生いろんなことがあると,感覚も変わる。もちろん,今でも「やさしさに包まれたなら」は好きだが,「魔法の鏡」にあるがごとく,「あれが最初で最後の本当の恋だから」なんて歌われると,しみじみしてしまうのである(あまりはっきりとは書きにくいが...)。

今や中年となり,回顧すべき人生もある程度出来上がりつつある中で,このアルバムを聞いていると,昔とは違う感覚で聞いてしまう曲が出てくる。私は同時代に聞いているときに,必ずしもユーミンの曲に共感できていたわけではないが,これだけの時間(少なくともこのアルバムを初めて聞いてから25年ぐらいは経っている)を経て,私のような人間にさえ共感させる歌詞を,当時20歳の女子大生が書いていたということ自体が驚異的と言ってもよい。

もちろん本作でバックを務めたティン・パン・アレー(キャラメル・ママ)の伴奏にも仕掛けがいっぱいだなんてことも,今にしてわかることであるわけだが,それを別にしても,なんだかんだ言ってこれは天才,荒井由実が生んだ傑作と呼んでいいと思う。やはりここは星★★★★★だろうなぁ。もはや老眼が入っている私にはCDのブックレットの文字は小さ過ぎて解読が大変だが,豪華なメンツがバックアップしているのも聞き物である。

Personnel: 荒井由実(vo),鈴木茂(g),細野晴臣(b, perc),林立夫(ds, perc),松任谷正隆(key, mandolin),斉藤ノブ(perc),吉川忠英(g),瀬戸龍介(g),駒沢裕城(g),清水万紀夫(fl),山下達郎(vo),大貫妙子(vo),吉田美奈子(vo),鈴木(矢野)顕子(vo),シュガーベイブ(vo)

2009年2月22日 (日)

豪華ゲストを迎えたTrilok Gurtuの快作

Trilok "Crazy Saints" Trilok Gurtu(CMP)

Jan Garbarek,OregonからJohn McLaughlinまで幅広い共演経験を誇るパーカッショニスト,Trilok Gurtuは多数のリーダー・アルバムもリリースしているが,その中でも最も注目されるとすれば,これに違いない。なぜならば,迎えたゲストがPat Metheny,Joe Zawinul,Louis Sclavisと脈略はないが,豪華だからである。これらのゲストは単独でのゲスト参加なのでお互いの共演はここでは聞かれないが,このアルバムの中で,適材適所と言うべき役割をきっちり果たしている。全7曲のうち,Methenyが2曲,Zawinulが2曲,Sclavisが3曲の参加であるが,中でも2曲ともオリジナルを提供したZawinulが目立つ。

Zawinulが書いた2曲のうち,"Balld for 2 Musicians"はZawinul らしい牧歌的なサウンドを聞かせる一方,"The Other Tune"はWeather Report的な世界とインド的なフレイバーを混在させた見事な演奏と言ってよく,WR好きにはこたえられない。Methenyは誰がどう聞いてもMethenyというソロを聞かせていてうれしくなってしまうし,Sclavisも好演。

このアルバムはワールド・ミュージック・フュージョンとでも呼べばいいのだろうが,これがなかなかはまると抜けられない世界を体現している。音楽はバラエティに富むものの,一貫性は維持されているので,どの曲にも違和感はない。これはアルバムの雰囲気,あるいはアンビエンスが一定に保たれているからだと思うが,これは参加ミュージシャンの数も限定的なところが,ある程度影響しているかもしれない。また,静謐さだけでなく,ダイナミズムも感じさせるところが,退屈せずに聞ける理由であろう。誰が聞いても楽しめるってもんでもないかもしれないが,私はこの作品は評価したい。星★★★★☆。

尚,本作で極めてインド的なヴォーカルを聞かせるShobha GurtuはTrilok Gurtuの母上だそうである。美しい親子愛である。

Recorded in May and June, 1993

Personnel: Trilok Gurtu(perc, ds, vo), Shobha Gurtu(vo), Pat Metheny(g, g-synth), Joe Zawinul(key, p), Louis Sclavis(cl, b-cl, ss), Daniel Goyone(p, key), Marc Bertaux(b), Ernest Reijeseger(cell)

2009年2月21日 (土)

国賊,中川昭一

この男はどこまで日本を貶めるつもりなのか。G7でのしどろもどろ会見で,世界のメディアから失笑を買い,更には辞任するにも時間を要して,潔さの「い」の字も感じさせない腐った人間性を暴露しただけではなく,今日のメディアの報道では,バチカン博物館訪問時に,触れることが禁じられている美術品に素手であれこれ触るばかりか,立入りが制限された区域に足を踏み入れ,警報を鳴らすという恥をさらしたそうである。

美術館で,美術品や絵画に触れてはならないことやなぜ立入り制限があるのかということは,小学生でもわかっているはずである。それが閣僚というポジションにある(あった)この男は理解していなかったとでも言うのか?それとも自分はルール無用の特権階級だと言うのか?

そもそもこんな腐った男を,お友達という理由だけで擁護するどこかの間抜けな首相もいたが,ここまで来ると日本の恥である。彼らはさっさと政治の世界から身を引き,人間性を磨く修行でもした方がよいだろう。

それでもこの男を擁護する有権者もいるが,支持する有権者すらも,この男を支持すること自体をもはや恥じ入らざるをえなくさせることに,彼らは何ら罪悪感をおぼえないのであれば,政治家として以前に,人間として腐っているとしか言えないい。

全く情けないこと甚だしいが,あまりに馬鹿馬鹿しくて,海外でのプレゼンではジョークのネタにでも使うしかないわ。

いろいろ批判もあるが,気持ちよいブラジリアン・フュージョン

Bahia "Larry Coryell + Live from Bahia" (CTI)

このアルバムが出た頃,CTIレーベルが一時的に復活して何枚かのアルバムを発表したわけだが,70年代のCTIが果たしたような役割には程遠いインパクトしか与えられたなかったというのがおそらくは大方の見解であろう。このアルバムについても,なんでLarry Coryellがブラジリアン・フュージョンなのかという否定的な見解も多かったように思う。

しかし,私はこのアルバムは結構好きなのである。Coryellがどうのこうのと気にしなければ,これはかなり気持ちのよい音楽である。振り返ってみれば,私は彼らがLive Under the Skyに出たときにも,そのライブを見ているが,CDでもライブでもその気持ちよさは同じだったと記憶している。

この心地よさは,ブラジル風味のフュージョンには共通のものと思うが,快適なリズムの上をDori Caymmiのヴォーカルを交えながら,各楽器のソロが展開されれば,私などは何でもOKと言いたくなってしまうぐらいである。なんてたって,ドラマーはBilly Cobhamだし。ここでも何でCobhamなんだという疑問は提示されるかもしれないが,いいドラマーは何を叩いてもうまいのだというのをCobhamは完璧に実証している。いずれにしても,ブラジル~米国の混成軍はそれなりに演奏をこなしているし,今聞いてもこれは楽しめる。大体,Coryellなんて,絶対ブラジル音楽にフィットしそうにないようにも思えるが,意外や意外の相性を示しているしなぁ。

結局のところ,この音楽をどう思うかは何らかの先入観があるかないかによって,大きく変わるように考えられる。別に私はCoryellのファンというわけでもないから,彼がどんな音楽をやったって,全然問題ないし,純粋にこの音楽を聞いて気持ちいいと思うだけなのである。

そういう意味では,ここにCoryellという役者をあてがいながら,急造のバンドの演奏をここまでに仕立てたCreed Taylorというプロデューサーの手腕を評価しなければならないのではないかと思えてくる。未聴の方はまぁだまされたと思って聞いてみてもらえばと思うし,Coryellのコアなファン以外は,「決してこんなはずではなかった」ということにはならないはずである。星★★★★。

まぁでも最高なのはやっぱり"Vera Cruz"なのだが...。また,何曲かで聞けるDori Caymmiの声のヒーリング効果は抜群である。気持ちよさの源泉はやっぱり彼なのかもしれないなぁ。

Personel: Larry Coryell(g), Dori Caymmi(vo, g), Romero Lubambo(g), Billy Cobham(ds), Donald Harrison(ss, as), Marcio Montarroyos(tp), Luiz Avellar(key), Nico Assumpcao(b), Monica Millet(perc), Tiao Oliveira(perc), Bashiri Johnson(perc), Francisco Centeno(b)

2009年2月20日 (金)

リラクゼーションたっぷりのDuskoとBasso

Dusko "The Nights of Skopje" Dusko Gojkovich / Gianni Basso (SJF)

このアルバムはもうずいぶん前のことにはなるが,馴染みのジャズ喫茶で聞かせてもらって,そのリラクゼーション溢れる演奏を一発で気に入ってしまって買ったものである。このアルバム,ここにアップしたジャケットはマケドニア盤のはずだが,これが流通量が少なくて,買った時は結構高かったように記憶している。ライナーによると,マケドニア以外の国ではEnjaが発売権を持っているようだから,何もマケドニア盤にこだわる必要はなかったわけだが,妙にこの花火のジャケに魅かれたのも事実であるから,まぁそれもよかろう。ちなみにこのアルバムの演奏は"Balcan Blue"という2枚組の一部として国内でも発売されたことがあるから,音だけでいいと言う人はそちらでも一向に問題はない。

それにしてもである。この音楽は昼に聞くのに全く適していない。これは完全にナイトキャップ向きの演奏であり,ウィスキーでも片手に聞くべき音楽である。まぁタイトルも"The Nights of Skopje"なのだから当たり前と言えば当たり前である。

このアルバムは,二人のベテランによるフロントと,だいぶ世代が違うリズム・セクションの共演であるから,当然,ベテランが立てられるような演奏となっているが,若手のリズム・セクションも楚々とした演奏で対応していて,好感度が高い。極論すれば,じいさんと孫の演奏みたいなもんであるから,「孫」たちだけがハード・ドライビングな演奏を展開しても,じいさんたちはついてこれまい。そのせいもあって,演奏には刺激はほとんどないのだが,TPOを考えれば,これはこれでたまらんという人も多くいるだろうし,私もその一人である。

一言で言ってしまえば,このアルバムの特徴は「枯れた味わい」ということになろうが,このアルバムが出た10年以上前に,本作を気に入ってしまう私は,既にその当時からオッサン趣味に入っていたということなのかもしれない。このメンツには冒頭の"Yardbird Suite"はあまりフィットしているとは思えないが,全体的には楽しめる出来ではある。哀愁たっぷりのタイトル・トラックなんて泣かせるし,Duskoとピアニスト,Peter Michelichのデュオで演奏される"Adriatica"なんてのが特によい。

いずれにしても,やはりDusko Gojkovichは日本人好みのラッパなのだろうなぁと強く感じさせる一作である。星★★★☆。

Recorded on October 29&30,1995

Personnel: Dusko Gojkovich(tp, fl-h), Gianni Basso(ts), Peter Michelich(p), Martin Gjakonovski(b), Kruno Levacich(ds)

2009年2月19日 (木)

テンション高く突っ走るSeamus Blake

Seamus_blake "Live in Italy" Seamus Blake Quartet (Jazz Eyes)

このアルバムが発売されたのは昨年の暮れのはずなので,新譜と呼ぶにはどうかという気もするが,まぁよかろう。多少気になってはいたのだが,購入するまでには至っていなかったものだが,ブログのお知り合いの皆さんが結構力強くお褒めになっているので,私も便乗して購入である。

日本での認知度はまだまだ高いとは言えないSeamus Blakeである。私も名前だけは聞き及んでいたが,アルバム単位で聞くのは今回が初めてと言ってよい(はずだ)。よくよく本人のWebサイトを見てみると,自分のバンドを4つ運営するほか,Maria Schneiderだ,Mingus Dynastyだ,Antonio Sanchezだと,その活動はかなり精力的である。本拠はSmallsやSmokeのようだから,その辺が米国でも彼のポジションはそういう感じ(即ちまだまだ決してメジャーではない)と考えてよいだろうが,それでもこれだけブッキングが入っているというのが,現地での注目度のアップを感じさせる。

このアルバムでも冒頭から切れ味鋭く気合いの入った演奏を聞かせており,これは相当に楽しめる。この人のいいところは,ワンホーン・クァルテットながら,エレクトロニクスをうまくスパイスとして効かせているところにあるように思う。そういう意味では楽器は違うが,Paolo Fresu的なところも感じさせる。テナー1本で勝負もできるのだが,それを更に活かす術を知っているというところだろうか。一曲,ドビュッシーの弦楽四重奏曲をアダプテーションしているのが変わっているが,テーマの素材として使っていても,それほど違和感はない。

本作は2枚組の大作であるが,どちらかと言えば,1枚目の方がコンテンポラリーな感覚が強く,2枚目は比較的コンベンショナルと言えばいいだろう。いずれにしても,どのようなタイプの演奏をしても,この人のテナーのフレージングは結構魅力的に響く。David Kikoskiも好演で応えていて,このバンド,なかなかレベルが高いところを実証している。冒頭の"The Jupiter Line"のように,ガンガン激しくやる曲をもう少し入れてもよかったようにも思うが,実力は十分に発揮していると思うし,アルバム全体の構成含めたプロデュースも良好。星★★★★。

Recorded Live in Feburuay, 2007

Personnel: Seamus Blake(ts), David Kikoski(p), Rodney Green(ds), Danton Bollar(b)

2009年2月18日 (水)

一時期のフュージョンを推進したBill Evans(当然サックスの方)

Petite_blonde "Petite Blonde" Bailey-Chambers-Forman-Loeb-Evans(Lipstick)

このアルバムは誰がどう見たってBill Evansのバンドのライブ・アルバムなのだが,どうしてタイトルのように5人のメンバーのコラボ・アルバムのようになったかについては全く謎である。しかし,そんなことは抜きにして,フュージョンのカッコよさが爆発したようなアルバムである。

メンバーを見れば,EvansのBlue Note東京ライブ・シリーズの2枚に参加していたメンバーの混成チームということはすぐわかる。Loeb,Chambersは1枚目,Forman,Baileyは2枚目に参加していたから,大体,この当時Evansがどういうメンツで活動していたかが想像できる。

演奏はメンツからすれば想像のできるものなので,大きな驚きはない。しかし,このクォリティを聞けば,この当時,Bill Evansがフュージョン界をある意味牽引していたことを実証するような演奏と言えないだろうか。私はBlue Note東京でのライブの1枚目を称して,「高揚感は桁はずれ」とこのブログにも書いた(記事はこちら)と書いたわけだが,そうした感覚はこのアルバムでも似たようなものがある。冒頭の"Two Price Hit"からしてそうで,Evansのテナー・ソロには特にそうした感覚を覚えてしまう。ここではテーマはソプラノで吹いているが,ソロではテナーに持ち替えるという選択は正しかった。

ということで,全編を通じて,ハードなフュージョンを楽しむことができるのだが,ちょっと惜しいと思わせるのがDennis Chambersのドラムスがやや軽く響くところであろうか。これは完全にミキシングのせいであってChambersの責任ではないが,ここにもっとChambersのヘヴィな感覚を付け加えることができれば,このアルバムはもっといいものになっていたのではないかと思われる。これによって,もっと感じられたはずの高揚感が,やや抑制されてしまう感があるのは返す返すも残念である。

まぁそれでもこれは90年代前半という時代の中で,よくできたフュージョン・アルバムとして,私は結構好きである。ということで,トータルでは星★★★★ぐらいであろう。なんだかんだと言って,私はBill Evansのライブ盤ばかりを愛聴しているような気がするが,スタジオよりもライブの方が魅力的なミュージシャンなのだろうとつい思ってしまうのである。次は"Push Live"でも取り上げることにしよう。

Recorded Live on July 4 in Neuwied and on July 14 in Humburg

Personnel: Bill Evans(ts, ss), Chuck Loeb(g), Mitch Forman(key), Victor Bailey(b), Dennis Chambers(ds)

2009年2月17日 (火)

またも温故知新:GillespieとParker

Gillespie_parker "Town Hall, New York City, June 22, 1945" Dizzy Gillespie / Charlie Parker (Uptown)

昨日のRollinsに続いての温故知新である。このアルバムは2005年にリリースされたものだが,タイトルが物語るとおり,1945年6月22日に録音されたものである。昨日取り上げた「サキコロ」がこの録音から11年後の同じ6/22に吹き込まれたことは,何とも言えない偶然の一致であった。

それにしても,本物のビバップの切れ味の凄さを感じさせてくれる演奏ではないか。SPレコーディングの呪縛なく,黄金期のバッパーたちの演奏がたっぷり聞けることに我々は感謝しなければならない。Gillespieも勢いに溢れているが,このParkerの凄さは何なのだろう。「チュニジア」のアルト・ブレイクなんて,もはや神業である。全編で飛ばしまくるGillespieとParkerの音源をよくぞ残しておいてくれたものである。彼らにバラードなんて全く必要ない。

録音が古いため,音は決してよいとは言えないし,"Bebop"の冒頭なんて,ホーンは完全にオフ・マイクで聞こえやしないという欠点もある。しかし,バップ全盛期にどういう演奏が展開されていたかということを思い知らされるという点で,このアルバムはより多くの人が耳にしなければならないと強く感じる。こうした歴史の上に現代のジャズは成り立っているということを考えれば,時にこうして故きを温ねることは凄く重要なことのように思えてくるのである。

ちなみに,1曲目の"Benop"にはテナーのDon Byasが参加しているのは,(遅刻常習犯の)Charlie Parkerが遅れたときのバックアップだと,MCのSymphonie Sidが言っているが,Parkerはちゃんと,と言うよりぎりぎり間に合ったようである。とにかく吹きまくるGillespieとParkerにしばし時の過ぎるのを忘れよう。星★★★★★。

それにしても,この演奏が録音された1945年6月と言えば,戦時中(それも終戦直前)である。海の向こうのNYCではこんな演奏を楽しんでいる人間がいたということを,当時の日本国民は知る由もなかっただろうが,これで戦争に勝てるわけないよなぁ。

Recorded live at Town Hall, NYC on June 22, 1945

Personnel: Dizzy Gillespie(tp), Charlie Parker(as), Don Byas(ts), Al Haig(p), Curly Russell(b), Max Roach(ds), Sidney Cattlett(ds)

2009年2月16日 (月)

なぜかサキコロ

Saxophone_colossus "Saxophone Colossus" Sonny Rollins(Prestige)

まさしく温故知新である。漫画家,ラズウェル細木は彼の「ときめきJazzタイム」で「今更恥ずかしくて買えないCD」として,このアルバムを取り上げていたように記憶しているが,それほど名盤としての名声(まさしくPrestigeである)を確立してしまったアルバムである。実は私もこのアルバムを店でCDで買うことにはラズウェルのように抵抗があったのだが,今聞いているのは父の遺品のCDである。モーツァルト命だった父は晩年,モダン・ジャズに結構目覚めていたのだが,よくぞこのCDも買っておいてくれたと感謝したくなってしまった。

いつも書いていることだが,新譜聞きにかまけて,こういう昔のアルバムを聞く機会が滅多になくなってしまっている。今回は仕事が間に合わないので,家人が出掛けたタイミングで家で仕事をしたときに,BGMを何にしようかと思っていて,久しぶりに聞いてみることにしたのだが,やはりこれは素晴らしいアルバムであった。

本作でのRollinsがキレまくっていることは言うまでもない。この作品の魅力はRollinsの野太いテナーのサウンドにあることは間違いのない事実である。しかし,本作を全編どこから聞いても素晴らしいアルバムに仕立てるケミストリーを生み出したのは私はMax Roachではないかと思っている。Roachのドラミングはいつもシャープで,多くの名盤を支えてきたが,"Strode Rode"のバッキングなんて思わずぞくぞくしてしまった。こりゃーよい。全編を通してよいと言っても,私にとっては明らかにLPで言えばA面に相当する3曲の方がいいと思っているが,それでもこれはあっという間に一枚を聞きとおしてしまった感覚にさせてくれるところが立派である。こういう作品には襟を正して星★★★★★を改めて謹呈する。

振り返ってみれば,まだ若い頃は小遣いも少なかったし,そんなにたくさんアルバムを買えるわけではなかったから,決して多くはない保有LPを繰り返し聞いていたのだが,このアルバムもそんな一枚に入る。フレージングもかなり記憶に残っていたぐらいだから,それだけよく聞いていたということがわかるが,最近は音楽の聞き方にそうした一生懸命さ,あるいは清貧さがなくなってきているのは反省しなければならない。だからと言って新譜買いが止まるとは思えないが,それでも,こういうアルバムはちゃんとたまに聞くべきだと思ってしまった。

尚,余談だが,最近再発されるこのアルバムのジャケにはかなりクリアにRollinsの顔が見えるようになってきている。しかし,私が初めてこのアルバムをLPで買った頃は真っ黒けで表情なんて読み取れなかったはずなのだが...。でもこの表情が見て取れる方が絶対カッコいいな。

Recorded n June 22, 1956

Personnel: Sonny Rollins(ts), Tommy Flanagan(p), Doug Watkins(b), Max Roach(ds)

2009年2月15日 (日)

Susan Tedeschi:姉御!と言いたくなる歌声である

Susan_tedeschi "Back to the River" Susan Tedeschi(Verve Forecast)

先日Derek Trucksの新譜を取り上げたばかりだが,そこでもナイスな声を聞かせていたSusan Tedeschiのアルバムも出たので,Derek Trucksの勢いで購入してしまった。このSusan Tedeschi,Derek Trucksの奥方である。この人,旦那に負けず劣らずガッツに溢れたロックを聞かせてくれて,思わず嬉しくなってしまった。

この人の魅力は何と言ってもその声にある。昔のBonnie Raittを更にパワフルにした感じと言えばいいだろうか。私はこのアルバムを聞いていて,「おぉっ,姉御,ついて行きますぜ~」的感覚に陥ってしまった。それほどここでの彼女の声は力強い。そもそもからして私のようなアメリカン・ロック好きにはこれはやはりツボに入ったとしか言いようがないのであるが,旦那のアルバムともメンツ的にはオーバーラップしており,Derek Trucksも相変わらずの鋭いスライドを聞かせていて,これはたまらん。

日本でこうした音楽がどれだけ売れるかは疑問であるが,Derek Trucksのファンならば,このアルバムは結構気に入るのではないかと思う。ただ,この人,リード・ギターは旦那や別の本職のギタリストに任せた方がいいのではないかと思わせるが,まぁそれはそれで目立ちたがりのロッカーの性ということにしておこう。星★★★★。次はヴォーカル彼女,リード・ギターDerek Trucksの夫唱婦随アルバムの制作を期待したい(離婚しなければきっと作るだろう)。

Personnel: Susan Tedeschi(vo, g), Dave York(g), Matt Slocum(p, org, key), Ted Pecchio(b), Tyler Greenwell(ds, perc), Derek Trucks(g), Doyle Bramhall II(g, vo), Gary Louris(g, vo), Brendan O'Brien(g), Josh Schwartz(g), Robert Walter(key), Kyle Newmaster(tp, fl-h), Jamie Hovorka(tp), Alex Budman(ts, bs), Robert Hardt(ts, bs), Jeremy Levy(tb), Maxine & Julia Waters(vo), David Bianco(vo), George Drakoulius(vo, perc)

2009年2月14日 (土)

情報によればClaptonとBeckはステージで共演するらしい。

先日,このブログで「果たしてEric ClaptonとJeff Beckは日本において共演するのか?」と書いたばかりだが,朝日新聞のWebサイトを見ていたら次のような記事が出ていた。長いがそのまま引用する。

『「僕がいると彼は居心地よくないんじゃないか、と思っていたことがある。だからアプローチもしなかった。だけど時がたった。彼からも声をかけてくれるし、一緒に出来るようになったんだ」

 60年代、ともに英国のロックバンド、ヤードバーズに所属。脱退したクラプトンの後を継いだのが、ベックだ。「彼が演奏したレコードが彼の脱退後に大ヒットした。それを僕が演奏したのだから、微妙なものはあっただろう。でももう関係ないよ」

 雄弁で笑顔が絶えず、マスコミ嫌いと言われる「孤高のギタリスト」の印象はない。

 「彼にはいい曲とギタープレーだけでなく、歌でマス(大衆)に訴えられた。でも、僕はマスにアピールできないんだな」。笑いながら、こんなエピソードを明かした。「以前、車の中で一緒にバディ・ガイを聞いて、彼から『こうやって歌えないとな』と言われ、歌うのは絶対無理だと思ったよ」

 2人の共演は近年、互いのライブへの出演などで何度か実現している。07年冬のロンドンのジャズクラブでのベックのライブにもクラプトンが登場。3月25日に発売予定のDVD「ライヴ・アット・ロニー・スコッツ・クラブ」(ソニー)に収録されることになった。ベックの映像は多くなく、演奏中の手元がアップで見られる貴重な作品でもある。

 アプローチしたのはベック。クラプトンが自伝の宣伝イベントをした際に、遊びに行き、休憩の時に共演を持ちかけたのだという。

 「彼も僕も大好きなEP(シングルレコード)があった。それをやらないか、と言ったらOKが出たんだ」。それがマディ・ウォーターズの「リトル・ブラウン・バード」と「ユー・ニード・ラブ」。演奏後、ベックが両手を上げて喜び、満面の笑みで抱き合うシーンが印象的だ。』

Beck ってことは,ライブDVDにも共演の模様が収録されているということになり,さいたまスーパーアリーナでも二人が同じステージに立つ瞬間を見られる確率は飛躍的に高まったということである。これには驚いたが,その場にいられる人たちはラッキーである。私はどっちにしても出張日程に重なり行けないが,皆さんどうぞお楽しみに。

ということで,私の予測は見事にはずれることになったようである。

それにしても同じ記事に載っていたBeckの写真,なんか彼のイメージとかなり違うなぁと感じるのは私だけではないだろう。Beckに穏やかな笑顔ってのは違和感ありだが,彼も64歳らしいから,人間も随分丸くなったってことかもしれない。

2009年2月13日 (金)

たまにはユーミンでも

Pearl_pierce "Pearl Pierce" 松任谷由実(EMI)

松任谷由実は今でも相応の人気を保っているが,彼女の人気が絶頂だったのは私が大学生の頃から,会社に就職した頃ではなかったかと思う。私も,彼女がニュー・アルバムを出す度に,結構苦労してチケット取りに奔走し,武道館やら神奈川県民ホールでライブを見たのも随分昔のことになってしまった。

私も何だかんだと言いながら,彼女のアルバムは結構保有しているが,アルバム単位でどれが一番好きかというと,実はこの"Pearl Pierce"ということになる。伴奏はアダルト・オリエンティッド・ロック的(というか,まんまBoz Scaggsの"Middle Man"的)で結構ゆるいグルーブなのだが,そこに乗っている歌詞のある意味での暗さとのギャップがたまらないのである。

いずれにしても,ここでの松任谷正隆によるアレンジメントは当時のAORをパクったと言っては失礼かもしれないが,相当に大きな影響を感じさせるのである。ここでの伴奏を担当したバンドは完全に"Middle Man"におけるTOTO+David Fosterのノリを目指していると思われるし,「ようこそ輝く時間へ」で聞かれるリズム・フィギュアはDave GrusinとGRP一派のようでもある。高水健司のベースなんて,まるでMarcus Millerのように聞こえてしまうし,この曲のストリングスやホーンのアレンジも私にはGRP的に聞こえる。全編を通じて聞いていても,このアレンジは間違いなく確信犯的なものとしか言えないのである。

そんなアレンジメントに乗ってのユーミンの歌は,落ち着きさえ感じさせて,今聞いてもいい感じである。彼女の声にありがちなキンキンした響きもなければ,その後のバブリーな感じもなく,この頃のユーミンは本当に魅力的だったと感じさせてくれる。他のアルバムも捨て難いが,私にとっての彼女の最高傑作はこれということで,星★★★★★。

Personnel:松任谷由実(vo),松任谷正隆(key),松原正樹(g),鈴木茂(g),高水健司(b),林立夫(ds),島村英二(ds),斉藤ノブ(perc),浜口茂外也(perc) and Others

2009年2月12日 (木)

献血離れと言うけれど...

Webサーフィンをしていたら,「現状では若年層の献血離れが進んでおり、厚労省が2008年に全国の16-29歳の献血未経験者5000人に対して行った調査では、54.1%が献血に「関心がない」と回答しているというような記述があった。

関心を持つか持たないかはそれぞれ個人の勝手というところがあるが,私などは献血がしたくてもできないという事態に陥っている。私は結構,献血回数も多くて,実は自分の健康管理のためにもせっせと献血をしてきたクチである。しかし,次のような条件に合致してしまうため,私は現在献血ができないのである。

『英国に昭和55年(1980年)から平成8年(1996年)までに1日(1泊)以上の滞在歴のある方。』

日本赤十字のWebサイトによれば,これは「近年、英国を中心に発生している変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)については、輸血による伝播に関して未知の部分が多い一方、牛海綿状脳症(BSE)との関連も強く指摘されていることから、安全が確認されるまでの間献血をご遠慮いただいています。」ということであるが,この制限が適用されてから,すでに結構な時間が経過しているはずである。しかも17年間で英国に一泊以上した人間は結構いるはずで,こうした条件が緩和されなければ,献血離れ以前に献血可能な人間が大幅な制約を受けることになってしまう。

もちろん,変異型クロイツフェルト・ヤコブ病のリスクを回避することは重要であるが,いつまでにこの制限を緩和するのか,あるいは何を以って制限を緩和するのかについて,はっきりとした情報がないように思える。私は善意の押し付けで献血をしたいとは思わないが,既に400ml献血を何度も行ってきたような人間がいつまでたっても排除されたままであることにはどうも疑問を感じてしまう。

余談だが,私は米国滞在中にも現地で一度献血をしたことがあるのだが,あっちの注射針の太さには参った記憶がある。それも今となっては遠い記憶になってしまった。私は結構気が短いので,人から「血の気が多い」と言われることも多いのだが,これも何年も献血をしていないからだと言いたくもなってしまう今日この頃である。

2009年2月11日 (水)

果たしてEric ClaptonとJeff Beckは日本において共演するのか?

来る2/21,22の両日,さいたまスーパーアリーナでEric ClaptonとJeff Beckのジョイント・ライブが開催されることは皆さんご承知のことだと思う。ブログのお知り合い,すずっくさんも参戦予定とお聞きしているが,私は本当に彼らが競演するのか(即ち,同時に同じステージに立って,ギター・バトルを展開するか)という点については,実は結構懐疑的である。

招聘元のウドーでは「2人のロック・レジェンドによる奇跡の共演が、ここ日本でのみ実現! 」なんて煽っているが,ClaptonとBeckはYardbirds出身という以外,それ以降のキャリアではほとんど接点がない。しかも,ほかのプレイヤーとの競演に熱心なClaptonはさておき,BeckはStanley Clarlkeを別にすれば,あくまでも我が道を歩んできたというイメージが強いのである。

多くのオーディエンスにとっては,今回,彼らが共演するということに大きな期待を寄せていると言うことは私としてもよく理解できる。しかし,今,彼らがやっている音楽も全然違うし,Claptonはさておき,Beckが敢えて共演を受け容れるとは思えないのであって,彼らの共演確率はかなり低いのではないのだろうか。

こんなことを書いてしまえば,期待を削ぐようなことを敢えて言う必要はないだろうというご批判は承知である。しかし,私はオーディエンスの気持ちを煽るような今回のジョイント・ライブの宣伝手法はどうなのかなぁ思う。もちろん,そんなことははなから期待してないという方もいらっしゃるかもしれないが...。

もちろん,彼らの共演が見られればそこにいたオーディエンスは千載一遇のチャンスを得るわけで,投資に見合うということになるから,結果を見て判断すればよい。私が書いているのはあくまでもネガティブな予想である。第三者の私としては私の予想がはずれることを祈るのみである。

しかしながら,敢えて共演のチャンスが多くなる場合を想定するならば,Claptonバンドが第一部に出てきて,第二部がBeckという構成ではないか。それならば,共演のチャンスはおそらく2倍以上。出演順が逆ならば,かなり厳しいのではないかと思っている。こんな妄想をしている私の発言はライブに行けない負け犬の遠吠え?確かになぁ。

2009年2月10日 (火)

事実を事実として認識できない一国の宰相

もはや絶望的である。語れば語るほど自分の首を絞めるばかりか,経済の現状を全く認識できていない一国の宰相の知能レベルの低さには言葉を失う。やることなすことに思想も思慮も全く感じられない。

内閣支持率も20%を切り(逆に言うと20%弱がまだこの内閣を支持していること自体が信じ難い),もう誰も期待してないのだから,さっさと政界を引退して,自分の会社に戻ればいいのである。それとも彼のセメント会社では一切の経済的危機を感じていないとでもいうのであろうか。まぁ多角経営で経済危機なんて知るかと開き直るかもしれんが。

そもそも件のセメント会社,"We Deliver the Best"なんてセリフを恥ずかしげもなくWebサイトにアップしている。史上最悪の宰相の出身会社なのにねぇ。よく言うわ。

私は福田康夫が突然の辞任を発表したときに"Shame on You"と書いたが,同じセリフを件の宰相,あそうたろうくんにもMultipleにして言っておく。

2009年2月 9日 (月)

予想よりはるかによかったMcLaughlin~Corea

Five_peace_band "Five Peace Band" John McLaughlin and Chick Corea (Universal)

最近はChick Coreaの企画アルバムが非常に多く,買うべきかどうか迷いつつ,結局買ってしまっている私はやはり彼のファンなのだろうと思ってしまう。

今月には来日してしまったFive Peace Bandであるが,Blue Noteに駆けつけようと思わなかった自分の意思決定を悔やむような演奏が冒頭から展開されているではないか。一曲目に入っているのは私がやたらにうるさいだけのインド人ドラマーとパーカッショニストのせいで酷評したMcLaughlinの"Floating Point"(記事はこちら)に入っている"Raju"ではないか。しかし誰がどう聞いてもこっちの方がいいに決まっている。そもそものドラマーの質が違うのだと感じさせる演奏である。Vinnie Colaiuta,やっぱりタイトでいいドラマーだ。はるかに優れた演奏に変えたのはこの人である。

いずれにしてもである。このアルバム,少なくともDisc 1はかなりよい。私が想像していたよりはるかによかった。メンツからすればもっとストレートなジャズかと思ったが,はるかにハイブラウなフュージョンなのだ。それがいいのである。Disc 2も別に悪いとは言わないが,"Dr. Jackle"はこのメンツには全く合っていないし,Herbie Hancockが参加した"It's About That Time"も冗長と言えばその通りである。カッコいいけどねぇ。

いずれにしてもである。このアルバムはかなりカッコいいので,CoreaのファンもMcLaughlinのファンも購入しても後悔はしないだろう。星としては★★★★ぐらいだが,これはかなりいいねぇ。ただ,ベースはアコースティックもエレクトリックも弾けるということでChristian McBrideになったと思うが,本来はエレキ・ベース一本でもよかったと思う。Hadrien FeraudかDominique Di Piazzaがここにいたらどうなっていただろうと妄想するのは私だけではないと思う。Chrisはちゃんと弾いているけど...。

Recorded Live in Europe between October and November, 2008

Personnel: John McLaughlin(g), Chick Corea(p, key), Kenny Garrett(as), Christian McBride(b), Vinnie Colaiuta(ds)

2009年2月 8日 (日)

入手困難と思いきや,灯台下暗しでゲットしたLabel Bleu盤

Earthcake "Earthcake" Quatre: D'Andrea-Humair-Rava-Vitous(Label Bleu)

以前,このブログで同じレーベルから出ているDaneil Humairの"Edges"について書いたことがある(記事はこちら)が,Jerry Bergonziも最高なそのアルバムに関して廃盤状態のように書いたが,何のことはない。Label Bleuのサイトで無事ゲットである。これは結構嬉しかった。そのアルバムを注文するときに,1枚では勿体ないと思い,Label Bleuの中でも抽象画ジャケット・シリーズで何かないかと思ったら,あった,あった。それがこの"Earthcake"である。

私はこのアルバムを,新橋のテナー・サックスの聖地という表現がお馴染みとなったBar D2で聞かせて頂き,一発で気に入ってしまったのだが,そのときの話から入手は難しそうだと諦め,中古で探すしかないなぁと思っていたのだが,まさに灯台下暗しである。今回はこれとKuhn~Humair~Jenny Clarkeの"Usual Confusion"というディープなHumair絡みの抽象画シリーズ計3枚を注文して,先日到着したのである。何か届いただけでも幸せ感じてしまった私である(病気?)。

私はここに参加しているRavaとD'Andreaのコンビに関して言えば,ECMの未CD化アルバム"Opening Night"でのD'Andreaのプレイぶりを酷評したことがある(記事はこちら)のだが,あの演奏は一体何だったのかと思わせるほど,ここでのD'Andreaは別人のようなナイスなプレイぶりではないか。Ravaは相変わらずいいし,Humairも鋭い。正直なところ,私はMiroslav Vitousのベースは今イチ苦手なのだが,このバンドでのVitousは悪くない。いや,むしろあのVitous独特の音もよくフィットしているように思えてしまう。それぐらいコンビネーションに優れたナイスなバンドである。

この緊張感に富んだサウンドを聞いていれば,これはかなりしびれる。またまたRavaには甘いと言われるかもしれないが,星★★★★☆。

日本でこのアルバムにお目にかかる機会はあまりないが,欲しければJazz Italianoシリーズをイタリア本国に注文したのと同様,フランスに直接注文すればいいのである。但し,コミュニケーションという観点ではイタリアのサイトの方が上ではあるが,ちゃんと届くので安心してよい。尚,このバンド,別のレーベルにもう1枚アルバムがあるようだから,そっちも聞いてみたいなぁ。

Recorded on January 7, 8 & 9

Personnel: Enrico Rava(tp), Franco D'Andrea(p), Miroslav Vitous(b), Daniel Humair(ds)

2009年2月 7日 (土)

Donnie Frittsの新作はDan Pennプロデュースによる激シブ作品

Donnie_fritts "One Foot in the Groove" Donnie Fritts(LMR)

Donnie Frittsと言えば,1974年にAtlanticに吹き込んだ"Prone to Lean"というアメリカン・ロック好きの心をつかんで離さない傑作をものにしたシンガーである。彼が豪華ゲストを迎えたセカンド・アルバム"Everybody's Got a Song"をリリースしたのが1997年のことであった。第2作もアメリカン・ロック好きにはたまらない出来だったが,それ以来のサード・アルバムとなる本作が昨年リリースされていたようである。そんなことを知る由もなかった私がこれをゲットしたのはつい先日のことである。こういうアルバムをフォローするのも大変だが,これが見逃さないでよかった~と思わせる素晴らしいアルバムである。何と言っても私が「男の中の男」と呼ぶDan Pennプロデュースである。悪い訳がないのである。

かくも長き不在を余儀なくしたのはFrittsの腎臓病のためのようである。Frittsは腎移植を2001年に受けていたとのことで,このアルバム・タイトルも術後の気分を問われたときの友人に対する答えをそのまま使っているということである。それにしてもである。このアルバムが無茶苦茶渋く,アメリカン・ロック好きが随喜の涙を流しそうなアルバムである。その昔,渋谷のBlack Hawkに通っていたその筋の方には必ずわかる感覚である。

本来であれば2008年のベスト・アルバムに入れなければならなかった作品であるが,今年のベスト作候補に早々とノミネートしてしまおう。これは本当によい。星★★★★★。

Personnel: Donnie Fritts(vo, key), Scott Boyer(g, vo), Kelvin Holly(g), NC THurman(org), Mike Dillon(ds), David Hood(b), Spooner Oldham(key), Dan Penn(vo), Tony Joe White(g, hca), James Pennebaker(steel-g), Wayne Jackson(tp), Harvey Thompson(sax), Charles Rose(tb), Mickey Raphael(hca), Brian Owens(perc), Clayton Ivey(org), John Jarvis(p), Billy Swan(vo), Buzz Cason(vo)

2009年2月 6日 (金)

Derek Trucksの素晴らしき才能

Already_free "Already Free" The Derek Trucks Band (Victor/Sony)

私はDerek Trucksを相当に評価してきたと思っている。前作"Songlines"が出た時も,彼のサイトからTシャツを仕入れてしまったぐらいである。残念ながら前回の来日公演は日程の調整がつかず見逃したが,今後のアメリカン・ロックにおいて彼が極めて重要な地位を占めるであろうことには疑問の余地はない。そのDerek Trucksのバンドによる新作が出たが,これがまた嬉しくなる快作である。

バンドとしてのまとまりは前作"Songlines"でも強く感じられたが,ここでは更にタイトさを増したバンド・サウンドを聞かせるとともに,誰もが期待するTrucks本人によるスライドが爆発している。スライドはエレクトリックだろうが,アコースティックだろうが,これが抜群の切れ味である。

曲はバラエティに富んでいるものの,基本的には渋いアメリカン・ロック路線の王道とも言うべき音楽ばかりである。この「渋さ」を増幅させているのは,Trucksのギターはもちろんだが,Mike Mattisonのスモーキー・ヴォイスと言ってよいと思う。これが何とも魅力的な声なのである。このバンドは,アメリカン・ロックの体裁は取っているものの,実はそのバックグラウンドの広さは,これまでのアルバムでも実証済みである。しかし,全編を通して聞けば,これほどアメリカン・ロックらしいアメリカン・ロックはなかなか聞けないと思わせてしまうところが,このバンドの素晴らしいところである。

いずれにしても,一曲目のDylanのカバー,"Down in the Flood"からリスナーは釘付けであろう。やや曲にバラつきが感じられるのは減点対象だが,それでも星★★★★☆に値する優れた作品である。

尚,このアルバムでナイスな声を聞かせるSusan TedeschiはDerek Trucksの奥方だそうである。何と渋い夫婦なのだ。彼らの息子はDerekさえも抜いてしまう天賦の才能を得るのか?末恐ろしい。

また,よくよくライナーを見てみると,John Snyderが一文を寄せているが,彼はDerek Trucksの最初の3枚のプロデューサーだったそうである。Horizon,Artist House等で数々の傑作(売れなかったが...)をものにしたJohn Snyderの名前をこんなところで見るとは思わなかった。世の中狭いねぇ。

The Derek Trucks Band: Derek Trucks(g, b, ds, vo), Todd Smallie(b, vo), Yonrico Scott(ds, perc), Kofi Burbridge(p, key, org, vo), Mike Mattison(vo), Count M'Butu(perc, vo)

Additonal Personnel: Susan Tedeschi(vo), Doyle Baramhall II(g, vo), Ted Pacchio(b), Oteil Bubridge(b), Tyler Greenwell(ds), Duane Trucks(perc), Bobby Tis(perc), Chris Shaw(drainage pipe, cinder block), Paul Garrett(tp), Mace Hibbard(ts), Kevin Hyde(tb)

2009年2月 5日 (木)

病気後初来日時のKeith Jarrettライブ

Yesterdays "Yesterdays" Keith Jarrett(ECM)

身体及び思考力両方が激しく疲労し、日常生活を著しく阻害するという慢性疲労症候群によりKeithが活動を停止していたのは20世紀も後半のことであった。その病気から見事に立ち直り,おなじみのトリオで来日した時のライブ盤である。このトリオの前作は2007年に出た"My Foolish Heart"であるが,そちらは2001年7月の演奏を収録したものだったが,このアルバムはそれより3ヶ月弱前の日本公演の模様を収めたものである。なぜ今頃になってこの音源が発売されるのかはよくわからないが,それにしてもなんでまた2001年なのだろうか。今でもトリオとしての演奏は継続しているのだから,もっと直近の演奏により同時代性を示して欲しいと思っているのは私だけではないだろう。

私は前作でのラグタイム・ピアノを交えたプログラムに大いに違和感があり,このブログでも結構批判的なことを書いた(記事はこちら)わけだが,このアルバムではそうした違和感はあまり感じさせないところでは前作より評価したい。特にタイトル・トラック"Yesterdays"や"Smoke Gets in Your Eyes"で見せるバラード表現は素晴らしいと思う。全体的に見ても,病み上がりとは思えないような演奏を展開しており,ファンは納得できるものと思う。

ミディアムで演奏されるHorace Silver作"Strollin'"にはやや乗りの問題を見出せないこともないが,そもそもKeithにSilverの曲が合うとは思えないわけで,これは選曲が悪かったということにしよう。"You Took Advantage of Me"なんて曲もあまり聞いたことがないが,1928年の古いミュージカルの主題歌のようである。だが,件のミュージカルは映画化もされていないようなので,マイナーでも仕方がないだろうなぁ。ただ,いずれにしてもミディアム系の曲は,私の心の琴線には訴えるところが少ないのはやや残念。Parkerの"Scrapple from the Apple"ももう少しテンポを上げて,締め上げるような緊張感を提示してくれることを求めてしまうのは,当時病み上がりのKeithには酷だろうか。このトリオにしてはちょっとルースな感覚が強いのだが,それも偏に彼らに対する期待値が異常に高いからということの裏返しなのだが。

であれば,である。今や健康上の問題もなくなった現在系のKeithの録音を聞きたいと思いたくなるのが人情である。是非次回作はよりUp-to-Dateな演奏音源をリリースしてくれることを期待したい。それでも本作は満足できる演奏集として星★★★★には値するだろう。しかし,彼らの演奏にマンネリズムをおぼえているのはきっと私だけではないはずである。もはやこのトリオ(及びソロ)がKeithのライフ・ワークとなっているのかもしれないが,老境に達する前に,新たなチャレンジをしてもいいのではないかと思ってしまう。

Recorded Live at 東京文化会館 on April 30, 2001 & オーチャード・ホール on April 24, 2001

Personnel: Keith Jarrett(p), Gary Peacock(b), Jack DeJohnette(ds)

2009年2月 4日 (水)

Enrico RavaのNYC録音は期待通りの出来

Rava "New York Days" Enrico Rava(ECM)

Enrico Ravaにとっては異色と言っていいメンツで吹き込まれたNYC録音によるアルバムであるが,私は冒頭のStefano Bollaniによるイントロを聞いただけで「これはいい」と思ってしまった。メンバーを見れば,かなり繊細なサウンドになるであろうと想定可能であるが,全くその通りで私としてはかなり嬉しくなる。それを予定調和と呼ぶならその通りである。しかし,その予定調和を期待する私のようなリスナーも多いはずである。そこにややフリーなアプローチを絶妙なスパイスときかせるところがまたRavaらしくてよい。

ジャケを見ると,共演者の中ではBollaniの扱いが一段高い(楽器編成からすれば通常ならMark Turnerの方が上にくるはずである)ところに,元レギュラーということもあろうが,RavaがBollaniに期待するところがうかがえるように思えるのは穿ち過ぎだろうか?いずれにしても,Bollaniは美的なピアノで応えているところが偉い。

全体を通して聞けば,音楽的にはメランコリックなムードが強いと言ってよいだろうが,それがRavaの個性であるし,ECMレーベルの特性の一つでもあり,このメンツであればさらに当然であろう。GrenadierとMotianというリズム隊も期待通りの働きだし,Tristano~Marsh派のTurnerも適材適所と言ってよいだろう。もちろん,もう少しメリハリをつけてもいいという指摘もあろうが,この音楽は夜,しみじみと聞けばそんなことは全く気にならないはずである。逆に言えば,朝や昼には全くフィットしない。4ビートが明確な"Thank You, Come Again"だけはやや感じが違うが...。この曲をアルバムのアクセントと言うには,その響きの軽快さにやや違和感があったのは事実である。彼らはそれをメリハリと言うかもしれないが。

いずれにしても,このアルバムを聞いていると,何となくではあるが,「死刑台のエレベーター」を聞いているような気分(あくまで気分的な問題である)になってしまった私である。Ravaに期待するレベル,音楽を実現してくれた共演者への評価も込めて星★★★★☆。なぜか私はRavaには点が甘いような気がするなぁ...。

余談だが,本作に参加のMark Turnerがアクシデントで指を2本切断してしまったようである。先日テレビを見ていたら,豚の膀胱を原料とする細胞外マトリクスなる技術を使えば,切断した指が再生した症例があるようだから,縫合手術が不成功だったとしても,そうした療法での回復と音楽シーンへの復帰を祈りたい。

Recorded in February, 2008

Personnel: Enrico Rava(tp), Stefano Bollani(p), Mark Turner(ts), Larry Grenadier(b), Paul Motian(ds)

2009年2月 3日 (火)

All Starsの名に恥じないメンツで哀愁さえ感じさせるメロディ爆発!

Casa_del_jazz_all_stars "Jazz Italiano 2008: Ommagio a Fabrizio De Andre" Casa del Jazz All Stars (Palaexpo)

2008年のJazz Italianoシリーズの第4弾である。一応,私が今回仕入れた2008年のシリーズはこれで打ち止めである。なんでStefano Bollaniが入っていないのか?という声も聞こえてきそうだが,私はEnrico Ravaとやる以外は,Bollaniはトリオでと決めているのである。それはさておき...。

このアルバムにはまさにAll Starsの名に恥じないメンツが集っているが,今回,彼らがオマージュを捧げるのは1999年に亡くなったイタリアのシンガー・ソングライター,Fabrizio De Andreである。私はあいにくこの人の音楽を聞いたことがないので,何とも言えないのだが,本作の特徴と言うべきポイントは収録曲の哀愁を帯びた曲調にあるように思える。このメンツが集まれば,イタリアン・ハードバップになっても当然だが,ここでは何とも美しくもやや物悲しいメロディ・ラインの効果もあって,演奏が派手派手しくならないのである。実はこれがすこぶるよく,これははっきり言って曲の勝利ではないかと思わせる。

逆に言えば,このメンバーらしいもっとドライブの聞いた音楽を期待する向きもあるだろうが,これは彼らのFabrizio De Andreに対するリスペクトの表れと考えればいいのではないか。それほど尊敬されるミュージシャンならば,そのアルバムにも食指が動く私である(そんなことを考えているから財務状況はますます悪化するのである)。

私としては今回購入したこのシリーズではこのアルバムが一番好きなので,星★★★★☆ということになるが,次いでFresu→Doctor 3→Gattoということになる。出来にはいろいろあるものの,このシリーズ,イタリアのジャズ状況をつかむには避けて通れないものだと思う。なかなか日本の流通経路に乗ってこないアルバムではあるが,それならばネットで本国に注文すればいいのである。ちゃんとイタリアのサイトには英語版のページ(http://www.jazzos.com/main.php?language=en)も準備してあるので心配はいらないし,発送は保険付きの書留扱いにしてくれるから,興味のある方はお試しを。

Recorded Live at Casa del Jazz, Rome on April 30, 2008

Personnel: Stefano Di Battista(as, ss), Fabrizio Bosso(tp, fl-h), Rita Marcotulli(p), Giovanni Tommaso(b), Roberto Gatto(ds)

2009年2月 2日 (月)

ようやく到着:Terje Geweltの"Oslo"

Oslo "Oslo" Terje Gewelt(Resonant Music)

ブログ界でも話題沸騰とは言わずとも,私のお知り合いのブロガーの皆さんが既に取り上げられているこのアルバムについては,私も昨年末に「耳より情報:Enrico Pieranunziのノルウェイ録音!」と言う記事をアップして注目してきた。しかし,ディスカウントを目的に発売タイミングの異なる他のアルバムと抱き合わせ注文にしたものだから,デリバリーされるのが随分と遅くなってしまった。ついでに出張も重なり,更に遅くなってしまったが,ようやく聞くことができた。

欧州ジャズにもだいぶ足を踏み入れてきた私だが,このTerje Geweltという人のアルバムはジャケなどでは認知していたものの,聞くのは多分初めてのはずである。このアルバムもピアノがEnrico Pieranunziでなければ,買っていたかどうか怪しいものである。Geweltには申し訳ないが,やはり私はPieranunzi買いということになってしまう。

一聴して,ミキシング・バランスのせいもあるかもしれないし,リーダー作だから当然なのだが,Geweltのベースが結構強く聞こえるのと,Pieranunziのいつもよりは抑制的な演奏ぶりが明らかになる。もちろん,相変わらずのPieranunziらしいフレーズも出てくるのだが,おそらくPieranunzi自身のリーダー作なら冒頭の"Blue Waltz"は違った弾き方をしているのではないかと思われる。おかしな言い方をすれば,Pieranunziにはラテン系らしからぬ「謙譲の美徳」を感じてしまうのである。

その後も,そうした印象はあまり変わることなく,演奏は進んでいく。その雰囲気が変わるのはメンバー3者の共作というクレジットがある"Trio Suite(Part 1~3)"であるが,プロデュースを兼ねるGeweltがこういうフリー・インプロヴィゼーションを入れたくなる気持ちもわからんではないのだが,静的なPart  2はさておき,その他の2曲は他の曲から浮いてしまっていないか。Pieranunziも器用なので,何でもできてしまうのはよくわかるのだが,どうせなら美的に通して欲しかった。

リーダーのGeweltはドラムスのKjellbergにもある程度の場を設定(と言ってもKjellbergは激しく自己主張はしない)し,ベーシストのリーダー作としては,音楽としてのバランスを適切に維持している方なのは好感が持てる。しかし,先述のとおり,音のバランスとしてはややベースが強いのは仕方ないとしても,私としてはややベースとしては高音域を使い過ぎかなと思わせる(あるいは弦の張りのせいだろうか)部分があって,やや好みからはずれる音使いではあるが...。

トータルに見れば十分楽しめるアルバムではあるが,Pieranunziのアルバムとして,このアルバムを最も愛聴するかと言えばそういうことにはなりそうにはないし,Pieranunzi参加のベーシストのリーダー作ということであれば,私はMads Vindingの"The Kingdom"の方が好きだなぁ。あっちはPieranunziは全然抑制していない。ということで本作に関しては星★★★☆ぐらいにしておこう。悪くはないんだけどねぇ...。

Recorded on August 12, 13 & 14, 2008

Personnel: Terje Gewelt(b), Enrico Pieranunzi(p), Anders Kjellberg(ds)

2009年2月 1日 (日)

Freddie Hubbardの燃えるライブ

Keystone_bop_2 "Keystone Bop Vol. 2" Freddie Hubbard (Prestige)

昨年末にFreddie Hubbardが亡くなったとき,マイミク兼同僚のこやぎ@でかい方さんが燃えるアルバム"Keystone Bop"を聞いて追悼すると書いていたように思う。現在,"Keystone Bop"は2枚のCDに分かれて,曲目も増えているが,さてどれぐらい燃えるのかということで,まずはこのVol.2である。なんでVol.2からなのかと言うと,その収録曲にある。だって,"One  of Another Kind","'Round Midnight","Red Clay"に"First Light"だもの。確かにこれは燃えそうである。しかも演奏時間が長いぞ。メンツもなかなかいいし,ジャケも雰囲気たっぷりで音が聞こえてきそうではないか。

一発目の"One of Another Kind"はVSOPでも激しい演奏があったが,やはりこの曲は盛り上がるよなぁ。FreddieとHutchersonがお休みの"'Round Midnight"は完全なHendersonのショーケースであるが,これが実はかなりよい。その後はまたまた"Red Clay"と"First Light"で派手にぶちかますということで,これはアルバムを通して結構楽しめるし,燃えてしまう。

ライブだけに演奏にはかなり荒っぽいところもあるのは事実だが,それもやはりFreddieらしいということで,星★★★★☆。いずれにしても,Joe Hendersonの充実した演奏もこのアルバムをよくしているのは間違いところである。

しかし,Joni Mitchellの元ダンナで,今やプロデューサー業の方が忙しげなLarry Kleinがダブル・ベースを弾いているのも珍しければ,Enrico Pieranunziの"No Man's Land"とは全然違うドラムスを聞かせるSteve Houghtonというのも実に不思議な組み合わせではある。

Recorded Live at Keystone Korner on November 27 & 28, 1981

Personnel: Freddie Hubbard(tp, fl-h), Joe Henderson(ts), Bobby Hutcherson(vib), Billy Childs(p), Larry Klein(b), Steve Houghton(ds)

« 2009年1月 | トップページ | 2009年3月 »

Amazon検索

2017年おすすめ作

2016年おすすめ作

2016年おすすめ作(本)