カテゴリー「ジャズ(2008年の記事)」の記事

2008年12月 2日 (火)

Pat MethenyのWebサイトにおける記述

昨日の記事で年末年始のPat Metheny GroupのBlue Note公演で「彼らが(中略)このアルバム(註:"Pat Metheny Group")からの曲を演奏するとは思えないが,もし何かをやってくれたら,私は狂喜乱舞してしまうかもしれない。今回の来日はメンバーは変われど,同じクァルテット編成だから可能性がないわけではないので,ちょっと期待しちゃうなぁ。無理か...。」などと書いたばかりだが,MethenyのWebサイトの更新通知メールが届き,アクセスしてみると,次のような記述が...。

"they will play many of the most famous PMG classics from throughout the Group's history"

ということは,ECM時代のレパートリーも含めて演奏すると勝手に解釈してしまう私である。何をやってくれるのだろうなぁ。期待しちゃうよなぁ。最近とんと聞いていない"Phase Dance"なんかをオープニングでぶちかまされたら,私はその瞬間昇天確実であろう。う~む,楽しみである。ECM時代のアルバムもおさらいせねば。まぁ"Travels"を聞いておけばいいか。

Signature_6_4 それはさておき,今回のPat MethenyのWebサイトのデザイン変更は今イチである。フォントの選択,フォント・サイズ,あるいはサイト・デザイン全般のどれをとってみても,全くおしゃれさに欠けるし,相当"Ugly"な出来である。これだったら,以前のサイト・デザインの方がはるかにすっきりしていたように思えるのだが,皆さんどうであろうか?

尚,同サイトによれば,Methenyが使用しているLinda Manzer作のギターのレプリカ・モデルSignature 6が30本限定で発売されている。私に資金的余裕があれば欲しいなぁとも思ってしまうのだが,$32,000では無理ざんす。大体そんな高いギター弾くような腕もないしねぇ。ご参考までに写真だけでもアップしておこう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月 1日 (月)

懐かしのPat Metheny Groupとの初邂逅盤

Pmg "Pat Metheny Group" Pat Metheny Group(ECM)

私が初めてPat Methenyを聞いたのがこのアルバムである。もう30年近く前のことというのが信じがたいが,ECM時代のアルバムでは私が今でも聞く回数が多いのは"Travels" とこのアルバムである。ほかのアルバムが嫌いというわけではない。このアルバムが単純に好きなのである。このシンプルなジャケットのアルバムを私がどうして購入する気になったのかは全く記憶にないのだが,ある意味この超シンプルなジャケットに魅かれたというところもあったように思う。

いずれにしてもこのアルバム,何がいいって曲のクォリティが異常に高い。どれ一つとして駄曲がないというか,長年,Methenyのライブ・レパートリーを占めてきた曲が含まれている。人気曲は冒頭の"San Lorenzo"と"Phase Dance"だろうが,その他の曲もいま聞いてもよい。私はLPであればB面に収められていた曲もどれも捨て難い佳曲だと思っているし,その魅力が全く薄れることはないのである。

このアルバムのいいところは,テクノロジーに依存しない状態での「素」のPMGのよさが表れているところではないかとも思えるのだが,まだまだそんなにテクノロジーも進化していないし,Methenyその人がブレイクする以前の段階で,いい意味での手作り感が私には魅力的に響くのである。30年を経てこの瑞々しさに敬意を表して星★★★★★である。このアルバムとの出会いがなければ,私とMethenyは縁がなかったのだと思えば,偶然であろうがなんだろうが,幸福な出会いであった。

彼らが年末年始のBlue Note公演で,このアルバムからの曲を演奏するとは思えないが,もし何かをやってくれたら,私は狂喜乱舞してしまうかもしれない。今回の来日はメンバーは変われど,同じクァルテット編成だから可能性がないわけではないので,ちょっと期待しちゃうなぁ。無理か...。

Recorded in January 1978

Personnel: Pat Metheny(g), Lyle Mays(p,, key), Mark Egan(b), Dan Gottlieb(ds)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月30日 (日)

ECMならではの組み合わせ

Solstice "Solstice" Ralph Towner(ECM)

以前,このブログでJack DeJohnetteのSpecial Editionを取り上げたときにもメンツの妙(記事はこちら)と書いたことがあるが,このアルバムもECMらしい組み合わせが楽しめる好アルバムである。そもそも私はRalph Townerのファンであるから,それだけでもOKなのだが,このアルバムはECMオールスターズと言ってもよい組み合わせであり,このメンバーならではの演奏が楽しめるから尚よい。

当時のECMは契約ミュージシャンの組み合わせをさまざまに変更することによって,レギュラー・グループとは異なるケミストリーを生み出していたと言っても過言ではないが,このアルバムもそうしたシリーズの一つと言ってよいだろうが,このアルバムが好評だったのだろう。同じメンバーで続編"Sound And Shadows"が制作されたことは珍しい事例である。しかし,それもうなずけるぐらい,ここではECMらしいサウンドが楽しめる。

相変わらず,Townerの12弦ギターの響きは美しく,Garbarekとのデュオを聞かせるクラシック・ギターでは幽玄さを醸し出している。また,Garbarekがこれだけフルートを聞かせるのも最近では例がないと言えるだろう。フロントの彼らを支えるリズムのWeber,Christensenもいかにもという伴奏ぶりで思わず嬉しくなってしまうのである。

私にとってのTownerの最高傑作は"Solo Concert"であることには間違いないが,このアルバムもプレイバック頻度がかなり高いアルバムである。ハイライトは冒頭の長尺"Oceanus"のスリリングな響きだと思うが,それだけに留まらず,全編を通じて,ECMの美学が詰まったアルバムと言うことができるだろう。星★★★★☆。やっぱりいいわ。

Recoreded in December 1974

Personnel: Ralph Towner(g, p), Jan Garbarek(ts, ss, fl), Eberhard Weber(b, cello), Jon Christensen(ds, perc)

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年11月28日 (金)

70年代Mahavishnuの最終作は...

Inner_worlds_2 "Inner Worlds" Mahavishnu Orchestra(Columbia)

このアルバムはMahavishnu Orchestraの70年代における最終作品であるが,国内ではようやく初CD化となった。Mahavishnuの場合,音数が多いのは当然なのだが,この作品は冒頭から随分と騒々しさを感じさせる作品である。とても4人編成のバンドとは思えぬ音圧ぶりである。しかし,聞き進んでいくと,どうもいつもと様子が違う。そもそも,4曲もヴォーカル曲が入っているのがこのバンドとしてはかなり異色であり,国内盤がなかなか出なかったのもそのへんが原因ではないかと想像される。

私自身はMahavishnu自体好きなバンドと言えるというか,John McLaughlinのかなりのファンだとは思っているのだが,そんな私でも彼の音楽を何でも受け入れるわけではない。インド人パーカッショニストがやたらに騒がしい"Floating Point"は酷評した(記事はこちら)ことがあるが,このアルバムも私にとってはかなり微妙(おかしな表現だ...)である。それはヴォーカル曲が成功しているとは思えないこともあるが,ここに収められた多様な音楽のどれがこのバンドの本質なのかつかみづらいという点もあるように思えてならない。例えば5曲目の"Morning Calls"は英国トラッドのような響きを聞かせるし,その次の"The Way of Pilgrim"はロック的な,あるいはJeff Beck的なアプローチのようにも思えるのである。かと思えばその次の"River of My Heart"はMcLaughlinは参加していないばかりか,このバンドらしくない甘いソウル的なバラードだし...と言った具合である。全編を通じて捉えどころがないのである。

私は多様性を否定するわけではないが,どちらかと言えばしっかり一本筋の通った一貫性のある音楽の方が好きである。よって繰り返し,多様性は必ずしも美徳ではないとこのブログにも書いてきたが,私はこのアルバムでMcLaughlinが目指そうとしたことが何だったのかがよくわからない。ということで,私はこのアルバムを聞くぐらいならほかのMahavishnuあるいはJohn McLaughlinのアルバムを聞くというのが結論の怪作と言っておこう。星★★。これは買って失敗だった。

Recorded in July and August, 1975

Personnel: John McLaughlin(g, g-synth, vo), Stu Goldberg(key), Ralph Armstrong(b, vo), Narada Michael Walden(ds, perc, key, vo)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月18日 (火)

楽器編成ゆえに山下トリオのように響くフリー・ジャズ作

Full_contact ゛Full Contact" Daniel  Humair / Joachim Kuhn / Tony Mallaby (Bee Jazz)

最近,私も年のせいか,フリー・ジャズらしいフリー・ジャズの新譜というのはあまり聞いていないが,久々にいかにもフリー・ジャズと言うべき新作を聞いた。

Daniel HumairとJoachim Kuhnは今は亡きJF Jenny Clarkとのトリオで何枚もアルバムを発表しているが,今回はブルックリン派(?),Tony Malabyを迎えてのトリオ作である。このアルバムはHumair,Kuhnのコンビネーションは既に確立しているという前提で,このTony Malabyとの演奏がどんなものになるのかが注目されるのは当然である。

私がTony Malabyを聞くのはおそらくは今回が初であるが,これが何とも言えぬパワー・テナーである。昔のDavid Murrayを彷彿とさせるという感じだろうか。フリーな・セッティングにおけるこのブイブイ感が何とも心地よいのである。

私にとってフリー・ジャズが爽快感をもたらすのは,それがあまり頭でっかちではなく,ミュージシャン同士の相互の触発が明確で,かつ彼らのパワーの爆発や疾走感が心地よい場合ということになるのだが,その代表格が山下洋輔トリオだったのである。ジャズを聞き始めた頃,あれほど毛嫌いしていた(というか全く理解できなかった)山下洋輔トリオだが,一度はまるとそれは癖になるのである。このアルバムに聞き取れるのはその山下トリオとの同質性である。これは楽器編成が同じということもあろうが,演奏のパターンというか展開方法も極めて近しいものをこの演奏を聞いていて強く感じてしまった私である。

Humair,Kuhnという既にエスタブリッシュされたミュージシャンに比べて,Tony Malabyの知名度は圧倒的に低いが,ここでの演奏は彼らと互角に渡り合っていて非常に心地よい。冒頭にも書いたとおり,私がフリー・ジャズを聞く機会はどんどん減っているが,このアルバムは何度もリピートして聞いてもいいと思わせるものであった。

こういうアルバムは誰かが認知度を高める努力をしなければ,そのまま埋もれてしまう可能性が高い。Humair,Kuhnが演奏しているので,比較的このアルバムは認知されやすいものではあろうが,より幅広い,特にハイブラウな演奏を好むオーディエンスに対しては強く推奨して耳に届く機会を増やせたらと思う。確かに万人向けではないので,フリー・ジャズに耐性のないリスナーは買ってはならないと思うが,間口の広い方々には一度聞いてみて欲しいアルバムである。星★★★★。

Recorded in January, 2008

Personnel: Daniel  Humair(perc), Joachim Kuhn(p), Tony Mallaby(ts)

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2008年11月16日 (日)

名曲"Kiss from a Rose゛にやられるJulia Hulsmann

End_of_a_summer_2 "The End of a Summer" Julia Hulsmann (ECM)

何ともECMテイストに溢れた新作ピアノ・トリオの登場である。Julia Hulsmannというピアニストは初めて聞いたが,ドイツの女流ピアニストとのこと。このサウンドが彼女の音楽性の本質なのかどうかはわからないが,ECMというレーベル・カラーにフィットしたサウンドには嬉しくなるECMファンが多いのではないだろうか。

全10曲中,6曲がリーダー,1曲がベースのMuellbauer,2曲がドラムスのKobberingのオリジナルで,それらもそれなりに聞き応えはあるのだが,私が参ってしまったのがSealの名曲゛Kiss from a Rose"である。この曲が映画゛Batman Forever"で使用され,グラミーを受賞したのは1995年のことになるが,しばらくぶりにこの曲を聞いて,曲の力を再認識した次第である。Sealのボーカルは若干くせがあってやや好き嫌いはわかれるが,インストで演奏されるとこれはたまらん。正直言ってほかの曲がかすんで聞こえてしまった。これはやはりこの曲の持つメロディ・ラインの魅力に依存するところ大である。しばらく前のヒット曲であるこの曲をなぜHulsmannが今になって取り上げたのは謎だが,このアルバムの魅力を高めるのにこの選曲は少なくとも私にとっては貢献したと言ってよい。

゛Kiss from a Rose"ばかりほめているようだが,実はこのアルバム,冒頭にも書いたとおり,ECMテイストはかなり強い(即ち,本質的にはクールで静謐であり,ダイナミズムを求めてはいけない)から,この筋の音楽好きは"Kiss from a Rose"がなくても気に入るはずである。私としては最近のECMレーベルのアルバムではかなり好きな部類のアルバムである。星★★★★。でもやはり゛Kiss from a Rose"にやられた私である。

Recorded in March 2008

Julia Hulsmann(p), Marc Muellbauer(b), Heinrich Kobberling(ds)

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2008年11月13日 (木)

Bireli Lagreneのフュージョン作:1曲目の軽さに戸惑う

Bireli_lagrene ゛Electric Side゛ Bileri Lagrene(Dreyfus)

結構前に入手していたのだが,アップするのに随分と時間が掛かってしまったアルバムであるが,まだ新譜扱いとしてよかろう。私はBireliのアルバムはVic Jurisとのアコースティック・デュオぐらいしか持っていないのだが,お知り合いのブロガーの皆さんが取り上げられているのにつられて購入したものである。

そのアコースティック・デュオとは全く趣の異なるエレクトリック・アルバムなのだが,このアルバム,1曲目゛Hips゛のあまりにポップで軽い乗りに幻惑されて,私は結構戸惑ってしまったのである。このメロディといい,ギターのカッティングといい,ちょいと古臭過ぎやしないか。表現は悪いが,まるで80年代のライト・フュージョンのようなのだ。この1曲が私にとってはこのアルバムのイメージを悪くしているような気がしてならないのだが,その後は持ち直してくるのでまぁいいか。

Bireli Lagreneという人は決してハード・フュージョンにはならないし,ハイブラウという感じでもない。やはり全体的な乗りが軽い。この軽さはドラムスの録音具合にもよるような気もするが,欧州系レーベルのフュージョンというのは,こういう軽い感じが多いようにも感じるなぁ。それでも皆さんも注目するベースのHadrian Feraudの参加によって,このアルバムはベースを聞いていると,ほかのことがあまり気にならないという何とも不思議な効果をもたらしている。Bireliには悪いが,ついついHadrian Feraudのベース・ラインに耳が行ってしまうのである。速射砲のごときフレーズやきめきめのユニゾンでプレイされれば,そりゃそうなるのが人情である。おそらくはFeraudの参加なかりせば,このアルバムはそんなに注目を集めなかったのではなかろうか。ベーシストが一番注目されてしまうというのはどうなのよという気がしないでもないが,このアルバムの聞き方としてはそれが一番楽しめるかもしれない。

ということで,音楽全体を聞いているのか,Feraudのベースだけを聞いているのかよくわからないが,そのせいでAndy Narrellの影が薄いこと甚だしいと言っては言い過ぎか。また,どうせDJを入れるならば,もう少し徹底してヒップホップしてもらいたかった。なんか文句ばかり言っているようだが,それでもHadrian Feraudは聞き物なのである。全体の評価としては星★★★ってところだろう。でもやはり1曲目は...と微妙な私である。

Recorded on January 9 -12, 2008

Personnel: Bireli Lagrene(g), Hadrian Feraud(b), Franck Wolf(ss, ts), Andy Narrell(steelpans), Daniel Schmitt(ds), DJ Afro Cut-Nanga(DJ, turntables, samples, FX), Michael Lecoq(key)

| | コメント (3) | トラックバック (3)

2008年11月12日 (水)

意欲作=傑作とは限らない

Doctor_3 "Jazz Italiano Live 2007" Doctor 3

ブログの世界ではこのDoctor 3についてお書きになっている方が多数いらっしゃるが,私には縁のなかったバンドである。しかし,先日書いたGiovanni Tommasoと同じタイミングでこのアルバムを輸入盤屋で発見し,購入したものである。Tommaso盤はメンツ買いだったのだが,このアルバムを買ったのはなぜかというと,その収録曲ゆえである。

このアルバム,なんと大胆にもThe Beatlesの"Sergeant Pepper's Lonely Hearts Club Band"をアルバムごと曲順も同様にアダプテーションしたものなのである。実は私はその理由がありながら,期待と不安が入り混じった感覚を覚えていた。私はBeatlesも好きなので,あのアルバムをピアノ・トリオで演じるとどんなことになるのだろうという気持ちと,曲の印象が強過ぎるから,アダプテーションは無理ではないのかという気持ちが相半ばしていたからである。

結論から言うとこのアルバムは,意欲作であることはわかるが,その意欲が曲の魅力(あるいは単なる力と言ってもよい)を上回ることはできなかったということになると思う。私は世間で言われるほど"Sergeant Pepper's"をアルバム・レベルでは高く評価していない。それは強烈な魅力を放つ曲と,そうでない曲のギャップが大きく,アルバム全体としては???な部分があるからにほかならないが,それでもこれらの曲は私の頭に深くすり込まれてしまっていることは否定できない。それをアダプテーションするならば,それなりの覚悟,あるいはそれなりの取組みが必要なはずだが,彼らの演奏には全く驚きがなく,全く面白みを感じないのである。普通にやっていては曲の力に勝てるわけがないのだから,もっとチャレンジすべきところを彼らは無難にやり過ぎたため,私は欲求不満に陥るのである。

私はこの音楽に取り組むならば,性根がロックなE.S.T.の方がはるかによかったのではないかと思うが,誤解だろうか?いずれにしても,意欲作とは評価できても凡作に終るという典型的な作品である。おそらくはBeatlesファンなら同じ感覚を抱くと思うのだが,私としては星★★程度にしか評価不能である。これは完全に買って失敗だったが,彼らの名誉のために言えば,アドリブ・フレーズとかは結構いいから,おそらくはオリジナルで勝負した方がいいバンドなのだろうと思う。

Reoorded Live at Casa del Jazz, Rome on March 12, 2007

Personnel: Danilo Rea(p), Enzo Pietropaoli(b, loop), Fabrizio Sferra(ds)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月11日 (火)

Jerry Bergonziかくあるべし!

Edges_2 ゛Edges゛ Daniel Humair(Label Bleu)

痛風の発作がまだ完全におさまっていないので,今日は手短に。私がある方からこのCDをお借りして聞いたとき,ここでのJerry Bergonziは最高だと思った。ほかの人はどう思うのかと考え,このアルバムに関して,Bergonziに関しては誰もがその道のプロと認める新橋゛Bar D2゛のマスターにご意見を伺ってみた。曰く,Bergonziでも5本の指に入りますとのご意見。

何がいいって,これだけハード・ドライビングなJerry Bergonziを近年聞くことは出来ない。私としてはこのサウンドがJoey Calderazzoとの共演盤のようだというのもマスターと一致した意見であったのは嬉しかった。私もBergonziに注目したのはこのアルバムが吹き込まれた当時の1990年代初頭であったはずだから,この頃のBergonziはこういうスタイルだったということであろう。星★★★★★。とにかくたまらん。

こんな演奏が廃盤とはまさしくもったいないの一言である。誰か再発してくれないものか。それが駄目なら自分で再発交渉でもするか(嘘)。

Recorded on May 1 and 2, 1991

Personnel: Daniel Humair(ds), Jerry Bergonzi(sax), Aydin Esen(p), Miroslav Vitous(b)

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2008年11月 9日 (日)

私も参加メンバーでイタリア・ジャズを買うようになってしまった

Tommaso "Jazz Italiano Live 2007" Giovanni Tommaso

輸入盤屋をふらついていたら,Jazz Italianoシリーズが並んでいた。このシリーズ,今年はRosario Giuliani盤を既に取り上げたことがあるが,ほかのアルバムについては全くノーマークだったので,いい機会と思い,購入したのが本アルバムとDoctor 3盤である。後者については改めて記事を書こうと思うが,なんでこのアルバムを買ったかと言えば,それはメンツである。リーダーのTommasoには悪いが,Daniele ScannapiecoとBebo Ferraのクレジットを見つけなければ,このアルバムは買っていない。自分がこんなことを言うようになるとは私としても想定外だが,ブログ上のお知り合いの皆さんのおかげで私も欧州ジャズの深みにはまってしまったということである。いずれにしても,特にPaolo Fresuとの共演ぶりがあまりにもカッコよかったBebo Ferraへの期待は非常に高かったわけだが,その期待は決して裏切られることはなかった。

編成としては比較的オーソドックスと言ってもよかろうが,収められた演奏はジャケのTommasoの写真とは異なるかなりコンテンポラリーな響きが強い。その雰囲気に貢献しているのがおそらくはFerraのギターである。この人の多彩さ,間口の広さは日本で言えば渡辺香津美的と言ってよいかもしれない。私はこのFerraに参ってしまったので,このアルバムは自然と評価したくなるのである。

また,このアルバムの好感度を上げる理由の一つが,リーダーTommasoが参加メンバーに適切なソロ・スペースを与えて,メンバーを立てていることである。こういうリーダーだとメンバーのモチベーションも高まろうというものだ。人間が出来ていないとこうはなるまい。それに各メンバーも好演で応えており,イタリア・ジャズのレベルの高さを実証している。星★★★★。

このシリーズ,日本のCDショップでは入手がなかなか面倒なのが難点だが,イタリアの通販サイトhttp://www.jazzos.com/で購入可能である。円高のご時世であるから,今のうちにゲットしておいても損はない。ちなみにこのサイト,英語のメニューもあるので心配する必要はない。まだまだ2007年のシリーズは在庫が豊富なようだが,2006年のシリーズはほとんど在庫切れ(Bebo Ferraも参加したPaolo Fresu盤は私はオークションでゲットした)となっているので,購入するならなるべく早めにした方がいいだろう。

Recorded Live at Casa del Jazz, Rome on March 21, 2007

Personnel: Giovanni Tommaso(b), Daniele Scannapieco(ts, ss), Bebo Ferra(g), Claudio Fillippini(p), Anthony Piciotti(ds)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月 7日 (金)

Rip Rig + Panic:ファンクとフリー・ジャズの折衷

I_am_cold ゛I Am Cold" Rip Rig + Panic (Virgin→Progressive Line)

私はパンク・ロックというものに昔も今もほとんど関心がない。よってSex PistolsもSlitsもPop Groupも全く聞いたことがないと言っても過言ではない。例外はClashぐらいだろうか。Pop Groupについては大学時代のサークルの先輩が聞いていて,何とも不思議な音楽だと思っていた記憶があるが,それでも主体的に聞く気にはならなかった。

このRip Rig + PanicはそのPop Groupから派生したグループであり,そういう意味では私も買ったことがあるPig Bagと同系列である。Pig Bagも結局のところ,ファンク・ミュージックをベースにしていた記憶があるのだが,いかんせん何年も聞いたことがないし,もはや手許にもないので何とも言えない。このRip Rig + Panicも基本はファンクにフリー・ジャズのフレイバーを加えた音楽と言ってよいのだろうと思う。

ここまで書いて,では私がなんでこのアルバムなのかが不思議なわけだが,実はこのアルバム,先日,中古で拾ったものである。私はこのピカソによるジャケが長年気になっていたこともあるのだが,このアルバムを購入した最大の要因はDon Cherryの参加である。このグループにはDon Cherryの娘,Neneh Cherryが所属している縁でDon Cherryも参加となったものと思われるが,このDon Cherryがかなりよい。この人はECMでのユニットCodonaではかなり民族音楽的なアプローチも見せれば,このアルバムのようにファンク・アプローチにも溶け込んでしまうという幅広さを持ち合わせていて,このアルバムは結構楽しめてしまった。

私が購入したのはオーストラリアで再発されたボーナス・トラック入りのものだが,これももはや廃盤らしい。今聞いても,彼ら,あるいはA Certain Ratioのようなブリティッシュ・ファンク的な乗りの音楽は楽しめるだけに,マーケットから消えてしまうのは惜しいようにも感じるし,ここではやはりDon Cherryの演奏を楽しみたい。今の私ならば,パンク・ロックに関心がなくても抵抗なく受け容れられる音楽となっている。再発を期待して星★★★★☆としよう。

それにしてもこのグループ名があるから,その元ネタであるRoland Kirkと私はずっと縁がないまま来てしまったのかもしれないなぁ...。反省。

Personnel: Gareth Sager, Mark Springer, Bruce Smith, Sean Oliver(composers, producers), Don Cherry(tp), Neneh Cherry(vo), Jez Parfit(bs), Flash(sax), David De Fries(tp), Andrea Oliver(vo), Giles Leaman(perc), Steve Noble(ds), Sarah Sarahandi(viola), Debbile(cello), Alph Wait(tb)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月 4日 (火)

コレクターはつらいよ(5)

Ample_sampler ゛Ample Sampler゛ (Warner Brothers Promotional CD)

久々の「コレクターはつらいよ」である。このプロモCD,Brad Mehldauの参加アルバムを集める上で,かなり苦戦をしたというか,非常に入手に時間が掛かってしまったアルバムであるが,めでたくこの度eBayでゲットした。

Warner Brothersがプロモーションで配給している"Ample Sampler゛にはもう一種類,ほぼ同じデザインで,ブルーの゛Ample Sampler゛があることはわかっており,そちらはeBayにも結構出品されることはあった。しかし,Brad Mehldauの未発表曲を収めたこのオレンジの゛Ample Sampler゛は全くと言ってよいほどお目に掛かることがなかったものである。今回,最後の最後に値を吊り上げられたのは想定外(安くはないとは言え法外な値段ではなかったのが幸い)だったが,ようやく入手できたことをまずは喜びたい。

このCDで重要なのはピアノ・ソロで演じられるNick Drake作゛Things Behind the Sun"である。この曲はその後,すみだトリフォニーでのライブでも再演されることになるが,ここでは゛Largo゛録音時のアウトテイクだという記述がカバーにはある。しかし,゛Largo゛の曲とこのピアノ・ソロには関連性があまり感じられないので,まぁこの曲はBradが手慣らしで弾いた演奏か,セッション終了後にちょっと弾いたかのどちらかと思って差し支えあるまい。

そうは言ってももともとが魅力的な曲だから,それをソロで弾かれては悪いわけはない。この一曲のために大枚はたくのはどうなのよという気もするが,コレクターなのだから仕方がないとしても,この演奏は結構よかった。まぁすみだトリフォニーでのライブとそんなに大きな違いはないかなという気もするが,今回はこのCDをゲットしただけでよしとしよう。

あとはまだ対応していないNonsuchサイトでのVanguard LiveのMP3版をさっさとゲットせねば。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月 3日 (月)

市場から消えたCD:中小レーベルは倒産に注意である

Jay_epsten "Long Ago" Jay Epstein (IGMOD)

以前はしょっちゅう見かけたのに,気がついてみると店頭から消えているCDというのがたまにある。このアルバムをよく見かけたのは私がある銀行に出向していた頃である。夕方,仕事に疲れると夕食休憩を装って,近場のCDショップに行っては新譜を眺めていたのは今から10年以上も前のことである。よって,このアルバムが世に出た頃と考えてよかろう。

このアルバム,Jay Epsteinというドラマーのリーダー・アルバムであるが,よく「幻」本にも取り上げられているようである。私は「幻」本の類の紹介にはほとんど関心がないので,私の脳裏に残っていたのはこのアルバムのジャケットである。カバーの色,写真は悪くないのに,使っている文字のフォントがいただけないなぁとずっと思っていた。それでも市場から消えてからも気にはなり続けていたのは事実である。中古盤屋で久し振りに本盤に再会し,購入に至ったのはピアノが先日のDave Douglas盤でも誉めたBill Carrothersだし,曲もスタンダード中心で悪くなさそうだったからである。

全体を通してみると,まぁこれは悪くないトリオ・アルバムなのだが,中盤で演奏される゛The Dark Suite゛と称される3曲がどうも特異なイメージが強くて微妙ではある。この3曲がある意味では流れを分断してしまっていて,私としてはなくてもよかったのではないかと思うのだが...。この3曲を合わせても10分強,このCDがトータルで65分強であるから,この3曲を取っ払っても55分。CDの尺としてはこちらの方が適切である。逆にEpsteinはメリハリをつけるためにこの3曲を入れたのかもしれないが,私がプロデューサーならば,この3曲はスキップしていただろう。

ということで,文句のつけようはあるとしても,トータルで言えば,現代的なピアノ・トリオとして好感の持てるアルバムではある。Bill Carrothersはフレージングに限ってはDave Douglas盤の方が好みではあるが,ここでもなかなかのプレイぶりで安心して聞ける。このアルバム,今年には入って一時的にマーケットにも出回っていたようだが,またいつ入手が難しくなるかもしれないので,見つけた時には探していた人は取り敢えず買っておいてもよいだろう。但し,私の感覚では非常識な高値を払ってまで買うほどのものではないと言っておく。星★★★☆。

Recorded on May 14 & 15, 1996

Personnel: Jay Epstein(ds), Bill Carrothers(p), Anthony Cox(b)

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年11月 2日 (日)

Kenny Burrell:ジャズ界のアベレージ・ヒッターである

Burrell_2 ゛Kenny Burrell゛ Kenny Burrell(Prestige)

Kenny Burrellと言えばブルージーなサウンドと言っても過言でないぐらい,ブルース・フィーリング溢れるプレイでファンも結構多い。その一方で,突出したリーダー作がないという点では,ジャズ界のホームラン王でも首位打者でもないのだが,常に2割7~8分の打率を残しているアベレージ・ヒッターという感覚が強い。そういうプレイヤーってのは所謂玄人受けするとも言われるが,まぁそういう感じと言っても当たらずと言えども遠からずってところだろう。

このアルバムはBurrellが26歳の頃にPrestigeに吹き込んだアルバムだが,とてもその年齢とは思えない,ある意味老成したプレイを聞かせており,ここでも平均点を上回る演奏を残している。ここではバリトンのCecil Payneを除いてデトロイト出身のミュージシャンで固めているが,デトロイトのミュージシャンは結構こういうのが多いように思う。どうせならバリトンもデトロイト出身のPepper Adamsにすればいいようにも思うが,それではBethlehemレーベルの"Motor City Scene゛のようになってしまうからやめたのかもしれない。それでも私はPepper AdamsよりCecil Payneの方が好みなので,この選択はOKである。

また,本作には若き日のElvin Jonesが参加しているが,後のポリリズムをびしびし決めるという感じではない。ブルージーでリラクゼーションたっぷりの演奏だから当たり前だと言えば当たり前のことではある。

私はこのアルバム全体については可もなく不可もなくという評価が妥当とは思うが,バックではTommy Flanaganがいいフレーズを連発していて,Flanaganのアベレージの高さを実証している。さすが名盤請負人と呼ばれるだけのことはあるわ。それにしてもバリトンとギターというのはどうしてこうサウンド的な相性がいいのだろうか?これはやはりブルースの感覚が強ければ強いほどそう感じるのかもしれないが,やはりこの音は魅力的だと思う。酒の友として決して邪魔にならないアルバムであり,私にとっては使い勝手のいいアルバムである。なんかKenny Burrellの参加アルバムってそんな感じばかりだなぁって気もするが...。ということで星★★★。

Recorded on February 1, 1957

Personnel: Kenny Burrell(g), Cecil Payne(bs), Tommy Flanagan(p), Doug Watkins(b), Elvin Jones(ds)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月 1日 (土)

祝来日!Billy Cobhamの゛Spectrum゛を改めて聞く

Spectrum ゛Spectrum゛ Billy Cobham(Atlantic)

11月に゛Spectrum゛ツアーと題して来日するBilly Cobhamであるが,そのツアー・タイトルとなったアルバムを久々に聞いてみた。これが1973年のCobhamの初リーダー作であるが,全編に渡って千手観音Billy Cobhamのドラミングが爆裂している。このダブル・バスドラを聞いて燃えないリスナーはCobhamとの相性が悪いと思って諦めた方がよい。

全曲がCobhamのオリジナルっていうのも凄いが,さすが初リーダー作,とことんドラムスを叩いていて,やかましいことこの上ないが,決して嫌みを感じさせないやかましさであり,私はここまで行くと爽快感さえおぼえる。かつメンツがメンツだけにどうやってもロック的になる。ギターは後にDeep Purpleに加入するTommy Bolin,キーボードはMahavishnuの同僚,Jan Hammerだからこれはロック的になっても当たり前である。ベースのLee Sklarというのはやや意外な人選とも言えるが,今やTOTOでもプレイするSklarであるから,問題なくロックをぶちかましている。だいたい゛Stratus゛なんて曲は後にJeff Beckがカバーしたというロック・チューンであるから支配的なサウンドがどんなものかは聞かずとも明らかであろう。特にシンセの響きに1973年という時代は感じさせるが,今でも十分に楽しめるヘビーなジャズ・ロックである。但し,若干異なったメンツで演じられる"Le Lis"はCTIレーベルや70年代の映画音楽のような趣もありである。まぁこれも悪くない。星★★★☆。

しかし,このアルバムだけを聞いて,Billy Cobhamをロック主体のドラマーだと思ってはならないと付け加えておきたい。Gil Evansと共演すれば,非常にサトルなドラミングを聞かせることもできるし,ノルウェーのミュージシャンたちと極めてモダンなジャズ・アルバムも作っているのである。そのことを分かった上でこのアルバムを楽しむというのがCobhamに対する礼儀である。繰り返すがCobhamは「猛爆」だけのドラマーではない。そうした意味ではDennis Chambersとも共通した部分を見出せると思う。

それにしてもである。まぁよくも叩いたり。ライブでもこういう音楽を再現してくれるなら行ってみたいような気もするなぁ。来日メンツはCobhamにTom Coster,Dean Brown,Victor Baileyらしいので,相応には期待できるが,う~む,どうしようかなぁ。困った。

Recorded on May 14-16, 1973

Personnel: Billy Cobham(ds), Tommy Bolin(g), Jan Hammer(key), Lee Sklar(b), Joe Farrell(fl, ss, as), Jimmy Owens(tp, fl-h), John Tropea(g), Ron Carter(b), Ray Barretto(congas)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月31日 (金)

ノリが全てと言わんばかりのCannonball Adderley

Mercy ゛Mercy, Mercy, Mercy" The Cannonball Adderley Quintet (Capitol)

まぁ何とも楽しいアルバムである。1曲目が゛Fun゛で2曲目が゛Games゛というのはジョークのようでもあるが,冒頭から強烈なノリでぶちかますCannonballのライブ盤である。

昔のジャズ喫茶には小難しい顔でフリー・ジャズを聞いている連中もいたが,そういう人種はこういう音楽が掛かると顔をしかめていたものである。やれ哲学がない,やれ思想がない。まぁ言いたいこともわからんではないが,楽しいだけのジャズがあってもいいじゃんと私は思う。それがCannonballの哲学であり,思想なのである。

そもそもジャズという音楽の間口が広いのだから,いろんなタイプのジャズがあって当たり前であるし,自分の嗜好に合わないからと言って見下すかのような態度を示すのは大人げない。別にそうした音楽が聞きたいなら自宅で聞いていればいいのだ。ジャズ喫茶はあくまでも「公共の場」なのだから,どんな音楽が掛かろうと文句が言えた筋合いではない。まぁジャズ喫茶そのものが死滅寸前のものとなって久しいが,そういう人種もだんだん減ってきてはいるかもしれないが...。

閑話休題。゛Fun゛に゛Games゛ときて,次がタイトルトラック「お慈悲を,お慈悲を,お慈悲を」というのがまたまた笑える展開である。こういう音楽は堅苦しく考えず,踊ったもん勝ちって気もするがどうだろうか?この曲を書いた人間が゛Directions゛を作曲したのと同じ人間とは到底信じ難いが,もしかして,Joe Zawinulって二重人格傾向を示すAB型か?冗談はさておき,このスローなファンク・チューンを聞いて乗れなければ,どんな音楽で乗るというのだろう?「人形は顔が命」とは人形の吉徳のキャッチコピーだが,この五重奏団にとってはノリがいのちなのである。

まぁここまでやると行き過ぎじゃないかという気がしないでもないが,これでいいのだ(バカボンのパパのようである)。聴衆のノリもいかにも黒人的。オーディエンスが白人中心だったら,゛Sticks゛に聞かれるが如きゴスペルチックな手拍子は叩けまい。聴衆もこのアルバムを熱い(あるいはむさ苦しい)ものにした一つの要因である。こんなもんをしょっちゅう聞いていたら頭がおかしくなりそうだが,たまのストレス解消には効くという点では私にとってはハードロックと同じ効果を持つ不思議なジャズ・アルバムである。星★★★☆。ちなみにこのアルバムは亡父の遺品である。父もストレスがたまっていたのだろうか?

Recorded Live in July, 1966 at "The Club"

Personnel: Julian Cannonball Adderley(as), Nat Adderley(cor), Joe Zawinul(p, key), Cictor Gaskin(b), Roy McCurdy(ds)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月30日 (木)

懐かしのMiles Davis@オープンシアターEast

Quiet_elagance ゛Quiet Elegance゛ Miles Davis(Legendary Collection)

いました,私。この時のよみうりランド,オープンシアターEast。そういう意味で非常に懐かしい。日頃から私はブートレッグはできるだけこのブログでは取り上げないようにはしているが,そういう懐かしい音源の場合は別である(と一貫性がない)。これはブートながら,ゴールド・プレスCDという珍しいパターンだが,結構中古盤屋で安値だったので買ってしまった。

このときはMilesがGil Evans Orchestraとのダブルビルのライブで来日した時である。そのときのGil Evans OrchestraにはBilly Cobhamも参加した強烈なもので,どちらかというとGilの方が記憶に残ってはいるものの,このMilesバンドもカッコよかったということは覚えている。しかし音源として改めて聞き直してみるとどうか?

Milesは元気にラッパを吹きまくっているが,どうもリズムがしっくりこないのである。Al Fosterのドタバタしたドラムスはこういうファンクネス溢れる音楽にはもう無理が出てきているように思えるし,Tom Barneyのスラッピング・ベースの切れが悪くてどうにも居心地が悪いのである。また,Mike SternとJohn Scofieldの2ギターも威力を発揮しているとは思えないのである。

私はこの後も80年代はMilesのバンドが来日するたびにできるだけライブに足を運んだが,Bob Bergがいた頃がライブは一番楽しめたかもしれない。この頃の演奏は若干過渡期的な感覚が強いので,演奏としてのそんなに無茶苦茶悪くはないとしても決して高くは評価できないなぁ。そもそも゛Hopscotch゛とか゛Star on Cicely゛って曲が面白くないし。ということで,このアルバム,ライブの場にいたという事実だけで記憶には留めるべきだが,これを聞くならほかの"Decoy゛あたりの公式盤を聞いている方がずっと乗れる。ということで星★★★。

それにしてもこのブートのタイトル,何とかならんものか。メガディスク系のブートはタイトルがどうもねぇ。全然QuietでもElegantでもないのに,どうしてこういうタイトルになるのかそのセンスは私の理解を越えている。

Recorded Live at オープンシアターEast on May 29, 1983

Personel: Miles Davis(tp, key), Bill Evans(ss, ts, fl, el-p), John Scofield(g), Mike Stern(g), Tom Barney(b), Al Foster(ds), Mino Cinelu(perc)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月29日 (水)

Jack DeJohnette New Directions:これぞメンツの妙

New_directions ゛New Directions゛ Jack DeJohnette(ECM)

今や私もかなりのECMレーベル・オタクとなってしまった。もちろん,コンプリートではないし,New Seriesも一部自分の好みの音楽以外は買っていない。大体どれぐら保有しているのかも正確には把握していないが,それでもカタログの半分ぐらいはあるかなって感じではある。そんな私がジャズ・キャリアの中でもかなり早い時期に入手したECMレーベルのアルバムがこれだが,なんでこれだったのかっていうのははるか昔のことでもはや記憶が曖昧である。昔は背伸びをしてジャズを聞いていたのも事実だから,当時はこのアルバムもよくわからなかったというのが曖昧ながらも私の記憶の片隅に残っている感覚である。このメンツ,サウンドであるから,キャリアの浅い若造が理解できなくてもそれはある意味当たり前なのだが,今にしてこれを聞けば,このメンツの妙がよくわかるというものだ。

DeJohnetteとAbercrombieにはGatewayというバンドがあったから,2人については意外性はない。しかし,そこにECMのレーベル・カラーとは異なるEddie Gomezが加わるのがまず「ヘェ~」である。私は正直言ってGomezのベースの音があまり好きではないのだが,ここではECM的サウンドにより,いつものGomez的な音が控え目になっているのは私にとっては助かるし,ここでのGomezは実際悪くない。

しかし,このアルバムを更に凄いと思わせるのがLester Bowieの参加である。私は今も昔もArt Ensemble of Chicagoというバンドの魅力が理解できないのだが,その中ではLester Bowieは例外的に好きである。当時,Bowieがこういうスペシャル・ユニットで演奏するということは珍しかったと思うが,Bowieが見事な演奏でこのアルバムを優れたものにしていることに感銘を受けてしまうのだ。このアルバムはBowieが参加したことで明らかに緊張感が増している。サウンドとしての個性は,現在ならBill Frisell的とも言えそうな,アタック感を敢えて消したAbercrombieのギターに負うところも大だろうが,鋭さの根源はやはりBowieである。

もちろん,DeJohentteはDeJohnetteでシャープなドラミングでバンドを煽っていてこれまたたまらない。この音,誰がどう聞いてもDeJohenetteのものである。この個性は大したものだし,2曲のメンバー共作を含めて,全ての作曲に関わっている彼の作曲能力も同様に大したものである。

今でもECMは立派な作品を出し続けているが,この頃のECMレーベルの作品というのはレーベル参加者によるスペシャル・ユニット的なものも多かったように思う。そうしたテンポラリーな組合せにもかかわらず,こうした優れた音楽を作り出していたということは凄いことだと思わせる。最後をDeJohnetteがピアノを弾く"Silver Hollow゛で締める構成の妙も含めてプロデューサーManfred Eicher恐るべし。久々にこのアルバムを聞いたが,録音後30年を経過した今でも刺激に満ちたアルバムであった。私の嗜好にバッチリあってしまったので星★★★★★。

Recorded in June, 1978

Personnel: Jack DeJohnette(ds, p), John Abercrombie(g, mandolin), Lester Bowie(tp), Eddie Gomez(b)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月28日 (火)

Pat Metheny Group年末年始にBlue Note東京に登場!

Pat Pat Metheny Groupが年末年始のBlue Note東京に出演するそうである。公演は12/30からスタートし,大晦日にはカウントダウンをやった上,元日,2日を休んで1/8までの連続出演ということである。う~む,それにしてもPatも稼ぐねぇ。

今回はPMGとは言ってもPat,Lyle,Steve,Antonioのクァルテットであるから,いつものPMGとは性格は大分違ってくるだろうし,場所柄バリライトを使うという訳にもいかないだろうが,それでも彼らのライブをクラブで見られるというのは千載一遇のチャンスと言えばそのとおりである。大昔,まだメジャーになる前に中野の「いもはうす」に出たことがあるはず(ECMフェスティバルで1979年にJohn Abercrombie,Egberto Gismontiと来た頃?)だが,グループとしてはそれ以来ホール(or野外)でしかやっていないのではないだろうか?

しかしチャージは強烈に高いので,厳しいと言えば厳しいが,それでも行きたいなぁ。つくづく罪作りなお方である。ところで,PMGとしての新作はいつ出るんだろうなぁ。そっちもよろしくと言っておこう。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年10月26日 (日)

これはいい!:吉田美奈子と渡辺香津美のデュオ・アルバム

Nowadays ゛Nowadays゛ 吉田美奈子/渡辺香津美(ewe)

これは素晴らしいアルバムである。吉田美奈子のヴォーカルと渡辺香津美のギター(多重録音あり)のデュオで演じられたロック,ジャズ・フィールドにまたがる曲の数々が何ともスリリングな響きを醸し出している。

この編成だからと言って静謐な響きを予想すると,軽く裏切られる。何てたって冒頭はDoorsの゛Light My Fire゛である。これまた吉田美奈子のディープ・ヴォイスが魅力的に響き,それを香津美の適確なバッキングが支えている。そしてDuke Ellingtonの゛Sophisticated Lady゛をはさんで演じられる3曲目のHarace Silver作゛Opus De Funk゛は吉田のスキャットにユニゾンでかぶさる香津美のギターがカッコよ過ぎで,ここで私は悶絶した。その後も次から次へと展開されるめくるめくデュオ・ワールドである。これはたまらん。

このアルバムのよいところは,渡辺香津美が時ににディストーションをぶちかまし,ヴォリューム・ペダルもうまく使いながら,単なるデュオ・アルバムに終らせていない点である。ギターとヴォーカルと言えばJoe PassとEllaか,Jack WilkinsとNancy Harlowかという感じだが,このアルバムは全く違うオリジナリティを感じさせる。

選曲としてはDuke Ellington関係の4曲というのが突出しているが,Joni Mitchell関係も2曲(゛Both Sides Now゛と゛Goodbye Pork Pie Hat゛)をやっていて,吉田美奈子の声を聞いていると,煙草の吸い過ぎでディープな声になってしまったJoni Mitchellその人を想起させると言ってはほめ過ぎか。

私はこのアルバムを全面的に支持するが,一点だけ問題があるとすれば,吉田美奈子の英語の発音である。彼女は子音が連続すると(F-R等が典型的),途端にカタカナ英語のように母音がさし込まれるように聞こえてしまうのが難点である。これさえなければ満点でもよかったが,そこを減点して星★★★★☆。しかし,私の中では間違いなく今年のベスト・アルバム候補の一つとなった。ジャズ,ロック,ポップス等を幅広く聞いている人は確実に気に入るタイプの音楽と思う。

Recorded on July 6, 7, 8, 9, 28, 29 and 30, 2008

Personnel: 吉田美奈子(vo),渡辺香津美(g)

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年10月25日 (土)

Dave DouglasによるJoni Mitchellへのオマージュ?

Dave_douglas_moving_portrait "Moving Portrait" Dave Douglas (DIW)

日米でこれほど評価,知名度に違いがある人は珍しいと言ってよいDave Douglasであるが,以前にも書いたが彼をフリー・ジャズにカテゴライズしている限り,日本で人気が沸騰することはあるまい。単に彼はフリーもできるというだけであり,本質的にはフリーの方が比率としては低いにもかかわらずである。そんな彼がまだデビューしてそれほど時間が経っていない時期に,DIWレーベルにワンホーン・アルバムを吹き込んでいるとは全く知らなかったが,中古盤屋でたまたま見つけて即ゲットである。これが予想以上によい。

このアルバムのライナーにはDave Douglas本人によるJoni Mitchellへのシンパシーが記述されており,事実ここでもMitchell作品が3曲("Roses Blue", "My Old Man", "The Same Situation"という渋いセレクション)演奏されているが,Mitchellと音楽性を同じくするという感じではない。むしろミュージシャンとしてのリスペクトに溢れた演奏と言う方が正しいだろう。いずれにしてもDouglasとJoniというのはあまり結びつかないわけだが,Dave Douglasのようなミュージシャンからも尊敬されるJoniというのはやはり凄い人なのだということがわかるような気がする。

演奏としては新主流派的な響きが支配的であり,ここでも全然フリーではないDouglasが聞ける。リズム・セクションとの相性もよく,これは私はかなり気に入ってしまったのだが,中でもピアノのBill Carrothersが主役のDouglasを食わんばかりの快演を展開しているのが素晴らしい。Herbie Hancockが好きな人なら,ここでのCarrothersは間違いなく気に入るだろう。総体的に見れば,もっと激しい展開もあってよかったようにも思うが,そもそもトランペットのワンホーンが好きな私は星★★★★☆を謹呈してしまうのである。Dave Douglas,コンベンショナルな路線でも若い頃からイケていたのだ。

今にして思えば,Douglasにこんなレコーディングの機会を与えたDIWレーベルは大したものだが,Douglasをフリー・ジャズにカテゴライズしているのがこのレーベルを運営するレコード・ショップだというのがどうにも解せない。一体何を考えているのやら。こういうこともできるのだと認識されれば,Douglasの日本における人気はもっともっと上がるはずなのになぁ。

Recorded on December 29 and 30, 1997

Personnel: Dave Douglas(tp), Bill Carrothers(p), James Genus(b), Billy Hart(ds)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月23日 (木)

゛Last Date":DolphyにとってのSwan Song

Last_date "Last Date" Eric Dolphy (Fontana)

何とも懐かしいアルバムである。私が最初に聞いたDolphyのアルバムは"Out to Lunch"だったが,その頃は私もジャズを聞いて日が浅く,何がいいのかよくわからなかった(今では好きだが...)。しかし,そんな私にもDolphyってのは凄いと思わせたのがこのアルバムである。即ち人生で2枚目のDolphyのアルバムが本作であったわけだが,私はこのアルバムをずっとLPで聞いてきたから,ジャケとしては写真(上)のものよりも,イラスト版の方に親しみを感じるので,ついでにそっちもアップしてしまおう。いずれにしても"Out to Lunch" は??だった私を,「Dolphyファンこそ必聴のColtraneのVanguardボックス」という記事をこのブログに書かせるまでのファンに仕立てた発端はこのアルバムなのである。

Last_date_2_2 このアルバムについては既に語り尽くされているので,何を書いていいのか困るが,いずれにしても,この演奏の約一ヵ月後に亡くなるとは信じがたいDolphy畢生の名演であることは間違いない。このアルバムを聞いていて思うのは,Dolphyがバスクラ,アルト,フルートの全ての楽器において名人の領域に達していたということである。中でも"You Don't Know What Love Is"のフルート演奏は慄然とする美しさであり,私にとってはこの曲こそが本盤のハイライトと言ってもよい。あとづけになるがこういうのを「白鳥の歌」と呼ぶのではないか。逸話によれば,Dolphyは本当に練習熱心だったということであるから,その研鑽の賜物がこうした名人芸につながっていると考えるべきであろう。Chico Hamiltonのバンドにいた人間がこんなになってしまうなんてのはある意味驚きだが,人間はこうして長足の進化を遂げられるのである。もちろん天賦の才能もあっただろうが,誰にとっても努力は重要なのだということをDolphyは実証している(説教臭い?)。

Dolphyはモダン・イディオムとアバン・ギャルドの中間をうまく行き来できる稀有なミュージシャン(でも完全にフリーにはならない,あるいはなれない)であったが,そういった特性がこのアルバムにもうまく記録されていて,ややクセがあると思ってDolphyを敬遠している人でも受け容れやすいものとなっているのではないか。普通,バンド・メイトにMisja MengelbergやHan Benninkの名前を見つけただけで身構えるが,な~に,このアルバムでは心配無用である。彼らもちゃんと4ビートに徹し,フリーにはならない演奏をしている。

そして最後を締めるのがあのDolphyの名セリフである。゛When You Hear Music, after it's over, it's gone in the air and you cannot capture it again." けだし名言である。しかし,音楽をCaptureはできなくても心に留めることはできる。そうした心に留まることができるのがここに収められた演奏である。やっぱDolphyはいいわ。星★★★★★。

Recorded Live in Hilversum. Holland, on June 2 1964

Personnel: Erc Dolphy(as, b-cl, fl), Misja Mengelberg(p), aque Schols(b), Han Bennink(ds)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月17日 (金)

話題沸騰:Jesse Van Rullerを聞いた

Silk_rush "Silk Rush" Jazz Orchestra of The Concertgebouw Featuring Jesse Van Ruller (55 Records)

ジャズ関係のブログのお知り合いの皆さんが絶賛しているアルバムがこれである。私もブログのお知り合いであるすずっくさんから「これは聞いていないの?」と聞かれて,素直に「はい,聞いてません」と答えた(爆)ものの,それから気になっていろいろな皆さんのコメントを拝見し直すに及び,これはやはり聞いておかねばなるまいと一念発起(大袈裟なっ!)しての購入と相成った。

私はJesse Van Rullerについては名前はよく知っているし,Fleurineのバックで演奏している彼の演奏も聞いたことがあるにはあったが,これまでちゃんと聞いたことがあるわけではない。言い訳がましく言えば,何らかのトリガーでもない限り,追い切れない,即ち私の中でのプライオリティは決して高いとは言えないミュージシャンの部類に入っていたのである。

まぁそんなところに,今回は格好のトリガーというか,すずっくさんからの突っ込みが入ったおかげでこのアルバムを聞いたのであるが,一言で言えば見事なソロ・フレーズの構成力と言うことができる。テクニックは十分あるし,これだけフレージングの妙を聞かせられれば,いかに私がヘボなギタリストの端くれと言えども,Jesse Van Rullerの実力はよくわかった。こういう人にちゃんと注目してこなかった自分の不明は恥じねばならないが,だからと言って今から追いかけるというのは彼のアルバム枚数からするとかなり厳しい。まずはこのアルバムをしっかり聞いた上で,次に何を買えばいいのかは皆さんにアドバイスを求めることとしよう。

いずれにしても,ビッグバンドの作品,かつライブで全面的にギタリストをフィーチャーしたアルバムというのは記憶にないが,これだけでもかなりチャレンジングな企画である。しかもJesse Van Rullerのオリジナルばかりというのも,当人としてはプレッシャーもかかるところであろうが,それをものともしないこの人の技術は本当に大したものである。アレンジャーは他人に任せたというのもおそらくは正解で,そこまでやってはソロに集中できなかったであろうと思わされる。

アレンジメントも結構モダンな響きを打ち出すのに成功しているし,このビッグバンド,オランダという国がジャ