楽器編成ゆえに山下トリオのように響くフリー・ジャズ作
゛Full Contact" Daniel Humair / Joachim Kuhn / Tony Mallaby (Bee Jazz)
最近,私も年のせいか,フリー・ジャズらしいフリー・ジャズの新譜というのはあまり聞いていないが,久々にいかにもフリー・ジャズと言うべき新作を聞いた。
Daniel HumairとJoachim Kuhnは今は亡きJF Jenny Clarkとのトリオで何枚もアルバムを発表しているが,今回はブルックリン派(?),Tony Malabyを迎えてのトリオ作である。このアルバムはHumair,Kuhnのコンビネーションは既に確立しているという前提で,このTony Malabyとの演奏がどんなものになるのかが注目されるのは当然である。
私がTony Malabyを聞くのはおそらくは今回が初であるが,これが何とも言えぬパワー・テナーである。昔のDavid Murrayを彷彿とさせるという感じだろうか。フリーな・セッティングにおけるこのブイブイ感が何とも心地よいのである。
私にとってフリー・ジャズが爽快感をもたらすのは,それがあまり頭でっかちではなく,ミュージシャン同士の相互の触発が明確で,かつ彼らのパワーの爆発や疾走感が心地よい場合ということになるのだが,その代表格が山下洋輔トリオだったのである。ジャズを聞き始めた頃,あれほど毛嫌いしていた(というか全く理解できなかった)山下洋輔トリオだが,一度はまるとそれは癖になるのである。このアルバムに聞き取れるのはその山下トリオとの同質性である。これは楽器編成が同じということもあろうが,演奏のパターンというか展開方法も極めて近しいものをこの演奏を聞いていて強く感じてしまった私である。
Humair,Kuhnという既にエスタブリッシュされたミュージシャンに比べて,Tony Malabyの知名度は圧倒的に低いが,ここでの演奏は彼らと互角に渡り合っていて非常に心地よい。冒頭にも書いたとおり,私がフリー・ジャズを聞く機会はどんどん減っているが,このアルバムは何度もリピートして聞いてもいいと思わせるものであった。
こういうアルバムは誰かが認知度を高める努力をしなければ,そのまま埋もれてしまう可能性が高い。Humair,Kuhnが演奏しているので,比較的このアルバムは認知されやすいものではあろうが,より幅広い,特にハイブラウな演奏を好むオーディエンスに対しては強く推奨して耳に届く機会を増やせたらと思う。確かに万人向けではないので,フリー・ジャズに耐性のないリスナーは買ってはならないと思うが,間口の広い方々には一度聞いてみて欲しいアルバムである。星★★★★。
Recorded in January, 2008
Personnel: Daniel Humair(perc), Joachim Kuhn(p), Tony Mallaby(ts)
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ダニエル・ユメール、ヨアヒム・キューンのベテランと、ニューヨークでは気鋭のトニー [続きを読む]
受信: 2008年11月26日 (水) 08時09分

















コメント
こんにちは。
TBを試みたのですが当方のサーバーが混み合っていてエラーが出てしまうので、もし入っていなければ、明朝再トライします。
ヨアヒム・キューンというとジャン・フランソワ=ジェニー・クラークのベースを含めたトリオにかなり衝撃を受けていた(’80年代後半だっったかな?)のですが、ベースの彼が亡くなった今、ベースレスと言う形でもこういうフリーが聴けて良かったです。相手の呼吸が読めてしまうような反応の仕方は素晴らしいと思います。ただやっぱりフリーなので、聴く人を選んでしまうところはあるでしょうね。なぜか新譜なのに通販で入手困難になって発売日からしばらく待たされてしまいました。
投稿: 910 | 2008年11月25日 (火) 17時08分
910さん,こんにちは。コメント,TBありがとうございます。
フリーにもいろいろありますが,こういうタイプのフリーなら私は歓迎したいと思います。それにしてもJF Jenny Clarkは懐かしいですし,いま聞いてもいいですよねぇ。
こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2008年11月26日 (水) 13時05分