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2008年11月30日 (日)

ECMならではの組み合わせ

Solstice "Solstice" Ralph Towner(ECM)

以前,このブログでJack DeJohnetteのSpecial Editionを取り上げたときにもメンツの妙(記事はこちら)と書いたことがあるが,このアルバムもECMらしい組み合わせが楽しめる好アルバムである。そもそも私はRalph Townerのファンであるから,それだけでもOKなのだが,このアルバムはECMオールスターズと言ってもよい組み合わせであり,このメンバーならではの演奏が楽しめるから尚よい。

当時のECMは契約ミュージシャンの組み合わせをさまざまに変更することによって,レギュラー・グループとは異なるケミストリーを生み出していたと言っても過言ではないが,このアルバムもそうしたシリーズの一つと言ってよいだろうが,このアルバムが好評だったのだろう。同じメンバーで続編"Sound And Shadows"が制作されたことは珍しい事例である。しかし,それもうなずけるぐらい,ここではECMらしいサウンドが楽しめる。

相変わらず,Townerの12弦ギターの響きは美しく,Garbarekとのデュオを聞かせるクラシック・ギターでは幽玄さを醸し出している。また,Garbarekがこれだけフルートを聞かせるのも最近では例がないと言えるだろう。フロントの彼らを支えるリズムのWeber,Christensenもいかにもという伴奏ぶりで思わず嬉しくなってしまうのである。

私にとってのTownerの最高傑作は"Solo Concert"であることには間違いないが,このアルバムもプレイバック頻度がかなり高いアルバムである。ハイライトは冒頭の長尺"Oceanus"のスリリングな響きだと思うが,それだけに留まらず,全編を通じて,ECMの美学が詰まったアルバムと言うことができるだろう。星★★★★☆。やっぱりいいわ。

Recoreded in December 1974

Personnel: Ralph Towner(g, p), Jan Garbarek(ts, ss, fl), Eberhard Weber(b, cello), Jon Christensen(ds, perc)

2008年11月29日 (土)

開店休業

海外出張のあとは国内のイベントと多忙な日々が続き,音楽を聞いている余裕もあまりなく,本日は記事をアップすることが難しそうである。

本日中にでも体力が回復すれば記事を書きたいが,今のところちょっとむずかしいかなぁ。

明日以降は通常営業に戻りたい。

2008年11月28日 (金)

70年代Mahavishnuの最終作は...

Inner_worlds_2 "Inner Worlds" Mahavishnu Orchestra(Columbia)

このアルバムはMahavishnu Orchestraの70年代における最終作品であるが,国内ではようやく初CD化となった。Mahavishnuの場合,音数が多いのは当然なのだが,この作品は冒頭から随分と騒々しさを感じさせる作品である。とても4人編成のバンドとは思えぬ音圧ぶりである。しかし,聞き進んでいくと,どうもいつもと様子が違う。そもそも,4曲もヴォーカル曲が入っているのがこのバンドとしてはかなり異色であり,国内盤がなかなか出なかったのもそのへんが原因ではないかと想像される。

私自身はMahavishnu自体好きなバンドと言えるというか,John McLaughlinのかなりのファンだとは思っているのだが,そんな私でも彼の音楽を何でも受け入れるわけではない。インド人パーカッショニストがやたらに騒がしい"Floating Point"は酷評した(記事はこちら)ことがあるが,このアルバムも私にとってはかなり微妙(おかしな表現だ...)である。それはヴォーカル曲が成功しているとは思えないこともあるが,ここに収められた多様な音楽のどれがこのバンドの本質なのかつかみづらいという点もあるように思えてならない。例えば5曲目の"Morning Calls"は英国トラッドのような響きを聞かせるし,その次の"The Way of Pilgrim"はロック的な,あるいはJeff Beck的なアプローチのようにも思えるのである。かと思えばその次の"River of My Heart"はMcLaughlinは参加していないばかりか,このバンドらしくない甘いソウル的なバラードだし...と言った具合である。全編を通じて捉えどころがないのである。

私は多様性を否定するわけではないが,どちらかと言えばしっかり一本筋の通った一貫性のある音楽の方が好きである。よって繰り返し,多様性は必ずしも美徳ではないとこのブログにも書いてきたが,私はこのアルバムでMcLaughlinが目指そうとしたことが何だったのかがよくわからない。ということで,私はこのアルバムを聞くぐらいならほかのMahavishnuあるいはJohn McLaughlinのアルバムを聞くというのが結論の怪作と言っておこう。星★★。これは買って失敗だった。

Recorded in July and August, 1975

Personnel: John McLaughlin(g, g-synth, vo), Stu Goldberg(key), Ralph Armstrong(b, vo), Narada Michael Walden(ds, perc, key, vo)

2008年11月27日 (木)

SSWの鑑と呼ぶべきアルバム

Bobby_charles "Bobby Charles" Bobby Charles (Bearsville)

下記のパーソネル情報を見れば,音が想像できてしまいそうなアルバムである。アメリカン・ロック/SSW好きにはこれはたまらん。このアルバムはその世界では決定的名盤として認識されているが,やはりこれだけ「歌よし,曲よし,伴奏よし」の三拍子が揃ったアルバムというのはなかなかあるものではない。記事のタイトルにも書いたとおり,シンガー・ソングライターのアルバムとしてはこれはまさに「鑑」と呼んでよいアルバムである。素晴らしい。

まぁ,これだけのメンツである。しかもプロデュースはCharles本人とThe BandのRick Dankoそれに数多くの名アルバムを制作したJohn Simonである。これで悪くなるはずはない。そして展開される適度にレイドバックした感覚。極論すれば,このアルバムを聞いていいと感じられないリスナーにはSSWの世界に深くはまり込むことは難しかろう。それぐらい私にとってはSSWのひな形となってしまったアルバムである。もちろん,SSWのアルバムにはほかにも優れたアルバムはいくらでもあるが,私の中では確実に上位に置かれるべき作品である。

やはりこういうアルバムはLPで聴く方が味わいがあるように思うが,アルバムを引っ張り出してくるのも大変なので,最近はもっぱらCDで聞いているが,媒体の違いなんて問題ではないのである。いいものはいい。最近,Bearsvilleは紙ジャケながら\1,500という結構リーズナブルな価格で国内盤が再発されたから,未聴の方には是非とも聞いて頂きたいアルバムである。もちろん,今の若い人にこの魅力がわかるかというとちょいと微妙なのだが,それでも私にとっては永遠のエヴァーグリーンなのである。星★★★★★以外の評価はありえない。最高である。私の保有するアルバムには4曲ボーナス・トラックがついているが,そんなものなしでも最高である。

Recorded in December 1971

Personnel: Bobby Charles(vo), Jim Colegrove(b), Rick Danko(b, tb), Amos Garrett(g), Levon Helm(ds), Garth Hudson(org, accor, ts), Ben Keith(pedal steel, dobro, b), Harry Lookofsky(vln), Richard Manuel(p), Buggsy Maugh(b), Geoff Muldaur(g), Billy Mundi(ds, perc), Bob Neuwirth(g), Joe Newman(tp), Mac Rebbenack(org, p, g, perc), David Sanborn(as, bs), Herman Sherzer(as), John Simon(p, tb), N.D.Smart II(ds), John Till(g)

2008年11月26日 (水)

iPhoneが絵文字をサポートした

日本国内でのiPhoneのセールスが伸び悩む理由としてはいろいろ考えられるが,メルアドの変更を迫られることに加えて,絵文字が使えないことも結構ネックになっていたと思われる。まぁ私が絵文字を使うわけではないので,それはどうでもいいのだが,やはりお若い方にとっては絵文字が使えないというのは致命的な欠陥ということになるのだろう。

今回リリースされたソフトのバージョン2.2では絵文字がサポートされ,少なくともソフトバンク・ユーザ間では絵文字が使えるようになったようである。これでiPhoneの売り上げが大幅に伸びるとも思えないが,多少は影響が出るかもしれない。

しかしながら,携帯の機種変更がなかなか進まない昨今において,今回の対応が吉と出るか凶と出るか。いずれにしても相変わらずハングアップしたり,バグも残存するiPhoneであるが,ソフトのメンテナンスも大変だろうなぁと思わず考えてしまう。

私も最近ではずいぶんと使い慣れてはきたのだが,文字の変換にはまだまだ改善の余地があるように思える。少なくとも日本語変換は,他のソフトバンク3G携帯と同様のレベルまでは引き上げて欲しいものである。

まぁ頑張ってソフトの更新に努めて欲しいものである。

2008年11月25日 (火)

出張中に見た映画:08/11編(4)_最終回

Photo_2 「6年目も恋愛中(Love of 6 Years)」(’08,韓国)

監督:パク・ヒョンジン

出演:キム・ハヌル,ユン・ゲサン,シン・ソンロク,イ・ジンソン,チャ・ヒョンジョン

出張中に見た映画の最終回である。帰りの便は結構疲労困憊ということもあり,映画は一本しか見られなかったが,それで見るのが韓国のラブコメというのも,私の疲労困憊度を示している。

こういう映画をたわいない映画というのだが,こういうまぁくっついては離れ,離れてはくっつきみたいなありきたりの展開で,2時間近くというのも馬鹿馬鹿しいと言えばその通りであるが,この何も考えないで見られる映画というのも,時として必要ではある。

主役のキム・ハヌルはラブコメの女王という話もあるようだが,確かにそういう感じの顔だよなぁと思いつつ,相手役のユン・ゲサンの普通さ加減にはある意味驚かされる。どうも韓国で人気のある俳優には美男もいるが,こういう普通な感じの役者が人気があるのかなぁとも思わされる。

いずれにしても,上述のとおり,たわいない映画なので,私としては韓国の女優たちの顔ばかりに気が行ってしまった。最近はめっきり韓国出張の機会もなくなってしまってしまったが,やはり韓国の女優というのは日本人好みの美女が多くて,それだけで私は2時間満足してしまった。映画としては星★★★程度であるが,ユン・ゲサンを誘惑するバイト役の女の子は可愛かったなぁ(何を考えているのやら...)。

2008年11月24日 (月)

積年の課題の解決:新PCがやってきた

私はこれまでDellのWindows 98マシンを長年使ってきたのだが,さすがにスペックの衰えは著しく,決して快適なPC環境を過ごせなくなっていた。よって,PCの買い替えは積年の課題だったのだが,Vistaが出たら買い換えようとか言っているうちに,またまた時間が経過してしまった。

今回,PCの買い替えとともにプリンターもリニューアルしたが,今までいらいらしていた自分に嫌気がさすほど環境が激変した。確かに今までの98とVistaではインターフェースに結構違いがあるのでまだまだとまどうことも多いが,まぁそのうち慣れるだろう。プリンターなんて,オフィスの複合機のような感じになってしまっているし,時代が変わったものだ。

それにしても,チップのスピードが変わると,こんなにも違うものかとある意味びっくりしてしまった。これでブログの更新もさらに楽しくなるかも...(そんなわけないか)。

ということで,時差ボケも解消しないうちから,PCのセットアップに悪戦苦闘した私であった。いったい何時間掛ったのだろうか。そんなことする暇あるなら休養しろよと反省。

2008年11月23日 (日)

最近巷で耳にする機会の多いBee Gees

Number_ones ゛Number Ones゛ Bee Gees(Polydor)

昨日無事アメリカ出張から帰国したのだが,行きの飛行機でも荷物のディレイに見舞われたことは既にこのブログにも書いた。1回だけならよくあることと,笑って済ませるが,驚いたことに帰国便でも荷物がディレイしていると成田の地上係員から話があった。シカゴのトランジットは2時間弱あったはずで,ラゲージの積み替えに支障があるとは思えないのだが,一体,シカゴの空港のオペレーションはどうなっているのか?いくら何でも往復で荷物がディレイするというのはあってはなるまい。全く困ったものである。私も出張回数は決して少ない方ではないと思うが,こんな目にあったのは初めてである。航空会社には苦言を呈さざるをえまい。

閑話休題。久々に音楽ネタである。最近,巷で何かとBee Geesの音楽を耳にするのはホンダのオデッセイのCMに゛Styin' Alive゛が使われているせいだと思うが,当初バージョンはイントロだけの使用で,George Clooneyも画面には登場していなかったと思うのだが,Clooneyが出ている現在のバージョンで,歌をかぶせるというのはなかなかうまいよなぁ。自動車の売上げが伸び悩む中,Bee Geesと同時代を過ごしたオジサンたちの購買意欲を刺激するところまではいかずとも,耳目は集めるだろう。

まぁ,Bee Geesと言えば懐かしい存在である。私は゛Saturday Night Fever"のサントラがメガヒットする前の゛Masssachusetts゛や「小さな恋のメロディ」における゛Melody Fair゛の方にむしろ思い入れがあるが,それでも゛Stayin' Alive゛等は当時,本当に集中的にエアプレイされていたから,やはり懐かしい曲ではある。

私が現在保有するBee Geesのアルバムはここに取り上げたベスト盤であるが,これとて,580円だか,780円という破格の安値でなければ買ったかどうか疑問はあるものの,久々に取り出して聞いてみるとやはり懐かしい。打からと言ってしょっちゅう聞きたくなるかというとそうでもないが,ナツメロは琴線を刺激するのだ。帰りの飛行機の中でも1960年代から80年代の歌謡曲のプログラムをずっと聞いていた私である。そういうのってあまりに懐かしくて思わずカラオケで歌いたくなってしまったではないか。Bee Geesの場合,彼らのハイトーンはとても真似できないから,まぁ聞くだけにしておこう。ディスコ調の曲もよいが,ミディアムあるいはスロー・チューンにも佳曲が多いと再認識させられた。星★★★★。

彼らはMaurice Gibbの死によってグループとしての活動には終止符を打ったわけだが,音楽はきっちり生き残るということを示した好例である。Gibb兄弟と言えば,末弟のAndy Gibbも゛Shadow Dancing゛等を大ヒットさせながら,88年に急逝をとげており,人の人生わからんものだと言わざるをえない。

Greatest 尚,蛇足であるが,今日紹介したアルバムは本年,若干曲を入れ替えて再発されているようである。そちらのジャケットはグレー基調らしい。また,昨年Rhinoレーベルから゛Greatest゛と題し2枚組ベストが発売されている(ジャケをアップしておく)が,収録曲数には大差がないので,私のような人間には1枚もので十分である。

2008年11月22日 (土)

出張完了

今回はオーランドでの滞在型出張だったのだが,それも無事終了である。あとは日本に帰るだけだが,シカゴの天候に問題がないことを祈るだけである。この記事がアップされる頃にはわかっているだろうが,今回の出張中の記事のアップはこれを最後とするために,公開日時指定のアップなので,どうなるかはわからない。天気予報によれば,シカゴが大雪ということはなさそうなので,おそらくは予定通りの日本への帰国となるはずである。

フロリダと言えば,基本的には避寒地であるから,冬でも暖かいのだが,今回の出張中はちょっと様子が違った。最低気温はずっと摂氏5~10度だったし,最高気温も20度を越えることはなかった。通常は比較的温暖なシャーロットでも氷点下だったようだし,どうもこちらはグローバル・ウォーミングと言うには様子が違うのが不思議であった。

出張前は私はずっと半袖で過ごせるのではないかと思っていたが,ずっとジャケットなしではいられないというのはどうもフロリダらしくなかった。朝なんて部屋に暖房を入れるという考えられないことも起こってしまった。まぁそうは言っても遊ぶ時間があるわけではないし,ずっと巨大なコンベンション・センターの中にいたので,気候はほとんど関係はなかったが...。ただ,天気はずっと雲ひとつない快晴続きであった。

既に記事としてアップしたが,帰りの飛行機でもろくな映画を見られそうにないので,持って来たDVDでも見ながら帰ることにしよう。その前に報告書を仕上げねば...。やっぱり出張はつらいのだ。

2008年11月21日 (金)

Mr. Asshole

仕事で海外に出ていたとしても,日本の動静が気になるのは当然であるが,昨今の日本の首相の迷走ぶりにはもう黙っていられない。

そもそもKY(漢字が読めない)アソー等と言われること自体が恥だが,高学歴の官僚出身の国会議員諸君は,私が感じるよりもはるかに不愉快に思っているだろう。おバカ・キャラはバラエティでは許されても,一国の宰相には許されるものではあるまい。漢字が読めないのはマンガの読み過ぎだと笑ってごまかせても,この男の大衆迎合,あるいは無思慮な発言は看過しがたい。

今となっては自民党の議員諸君からも批判を浴びているようだが,議員諸君の投票が大きくこの男を総裁に選んだことに影響していることを忘れているかのような発言も不愉快である。自分の人を見る目をそもそも疑ったらどうなのだと強く言いたい。

そもそも毎夜毎晩ホテルのバーに現れて,その他の一般客の邪魔をするぐらいなら,さっさと首相官邸なり私邸に帰って日本の行く末について沈思黙考でもしたらどうなのだとこの男には言っておきたい。麻生太郎には"Mr. Asshole"の呼び名こそ相応しいであろうが,これ以上日本の恥をさらすのはやめにしてもらいたいものである。自分では英語がお得意とお感じのようだが,それだったら全て通訳抜きで対応すればいいのだ。全てにおいてやることが中途半端,全てにおいてええかっこし。全くボンボンには思慮というものがないのだなと実感させられる今日この頃である。さっさと選挙で大敗すれば,いやでも辞任を強いられるのだが,それがこわくて解散もできないのだろう,Mr. Asshole?

出張中に見た映画:08/11編(3)

Xfile 「X-ファイル 真実を求めて("X-Files: I Want to Believe")」('08,米,Fox)

監督:Chris Carter

出演:David Duchovny, Gillian Anderson, Amanda Peet

私はTVシリーズのX-ファイルを見たこともないのだが,その劇場版の第2弾を飛行機の中で見た。全く思い入れもないので,冷静に見ることができたが,これが何とも色調の暗い映画である。

これは背景となっているヴァージニア州の冬景色のせいもあるだろうし,夜のシーンが多いせいもあるのだが,とにかく暗いのである。もちろん,飛行機の中の小型スクリーンということもあるが,あんまり高揚感がないなぁというのが第一印象である。

こう言ってはなんだが,所詮はTVシリーズの拡大版であるから,多くを期待していたわけではないのだが,この映画の決定的な弱点は説明不足の脚本ということになろうかと思う。TVシリーズを見ている人間ならば,説明不要の部分もあるというのはわかるが,とにかく脚本の書き込みが中途半端で,尻切れトンボ感が強いのである。だいたいなんでサイキックが血の涙を流すのか,それでサイキックが信頼に値すると考えるという理屈が私には到底理解できないし,その他もろもろケチをつけようと思えば,ケチはつけられる。

まぁそれでもちゃんと人手で作っているところは評価するとしても,特に何の感慨もおぼえない映画だった。基本的にはTVシリーズのファンだった人々向けということになるのだろう。星★★☆。

2008年11月20日 (木)

出張中に見た映画:08/11編(2)

Hancock 「ハンコック("Hancock")」 ('08,米,Columbia)

監督:Peter Berg

出演:Will Smith,Charlize Theron,Jason Bateman

出張中に飛行機で見た映画の2本目だが,1本目の「ウォンテッド」同様にくだらない映画を見てしまった。

これまた荒唐無稽甚だしい映画である。ここまで来ると批評する気にもなれない。オスカー女優,Charlize Theronが出なくたっていいだろうというような映画である。最近は役者も出演作を選ぶのにポリシーがなくなったということであろうか。

まぁ話は「くずれた」スーパーマンものであるが,これもバックグラウンドの設定が無茶苦茶なので,全くと言って感情移入も何もできないのである。Will Smithは"I am Legend"も相当にくだらなかったが,それと同様,あるいはそれを上回るくだらなさである。前回の「ウォンテッド」に続いて完全に時間の無駄。飛行機だからしょうがないが,もう少し真っ当な映画をエンタテインメントとしてちょいすできないものか。星★。

ちなみに監督のPeter Bergは役者出身らしいが,金だけ掛けた大作を撮る以前の監督としての修行が足りんだろう。CG頼みの映画はもう飽きた。

2008年11月19日 (水)

出張中に見た映画:08/11編(1)

Wanted 「ウォンテッド(Wanted)」 ('08,米,Universal)

監督:Timur Bekmambetov

出演:James McAvoy, Morgan Freeman, Angelina Jolie, Terence Stamp

毎度おなじみ出張中に見た映画シリーズである。実は今回の出張においては,JALのエンタテインメント・リストを見ていて,どうも食指が動かないなぁということで期待していなかったのだが,結果は追々明らかにしていくとして,今日はその一本目である。

この「ウォンテッド」,日本ではここに掲示したポスターの如く,Angelina Jolieが主役のような扱いだが,この映画の主役はあくまでもJames McAvoyである。まぁそれだけでは集客が難しいかもしれないが,いずれにしても,それなりの役者は揃っている。何てたって,私が結構ひいきにしているTerence Stampまで出ているのだ。

しかし,映画としてははっきり言って,これはくずのような映画である。話は無茶苦茶,映像はまるでルパン3世のアニメの世界を実写にしたような荒唐無稽具合である。あれはアニメだからいいのであって,実写でやられてもさめるだけである。そもそもの話が漫画的というか,こういうありえない世界ばかり描いているようでは,米国の映画がどんどん駄目になっていっていることを明らかにするだけのように思えてならない。

この映画を見て,面白いという人間がどれぐらいいるのかまったくわからないし,Angelina Jolieも全然魅力的に見えないし,いつものセクシーさにも欠ける。大体Morgan FreemanやTerence Stampまで揃えてこれかいっ!と悪態の一つもつきたくなるような大愚作。大体何を好んでこの役者たちはこんな愚作に出るのを承知したのだろうか。こんな作品は星★で十分である。それにしてもくだらない。ロシア人と思しき監督も今後無視してよかろう。完全な時間の無駄。

2008年11月18日 (火)

楽器編成ゆえに山下トリオのように響くフリー・ジャズ作

Full_contact "Full Contact" Daniel  Humair / Joachim Kuhn / Tony Mallaby (Bee Jazz)

最近,私も年のせいか,フリー・ジャズらしいフリー・ジャズの新譜というのはあまり聞いていないが,久々にいかにもフリー・ジャズと言うべき新作を聞いた。

Daniel HumairとJoachim Kuhnは今は亡きJF Jenny Clarkとのトリオで何枚もアルバムを発表しているが,今回はブルックリン派(?),Tony Malabyを迎えてのトリオ作である。このアルバムはHumair,Kuhnのコンビネーションは既に確立しているという前提で,このTony Malabyとの演奏がどんなものになるのかが注目されるのは当然である。

私がTony Malabyを聞くのはおそらくは今回が初であるが,これが何とも言えぬパワー・テナーである。昔のDavid Murrayを彷彿とさせるという感じだろうか。フリーな・セッティングにおけるこのブイブイ感が何とも心地よいのである。

私にとってフリー・ジャズが爽快感をもたらすのは,それがあまり頭でっかちではなく,ミュージシャン同士の相互の触発が明確で,かつ彼らのパワーの爆発や疾走感が心地よい場合ということになるのだが,その代表格が山下洋輔トリオだったのである。ジャズを聞き始めた頃,あれほど毛嫌いしていた(というか全く理解できなかった)山下洋輔トリオだが,一度はまるとそれは癖になるのである。このアルバムに聞き取れるのはその山下トリオとの同質性である。これは楽器編成が同じということもあろうが,演奏のパターンというか展開方法も極めて近しいものをこの演奏を聞いていて強く感じてしまった私である。

Humair,Kuhnという既にエスタブリッシュされたミュージシャンに比べて,Tony Malabyの知名度は圧倒的に低いが,ここでの演奏は彼らと互角に渡り合っていて非常に心地よい。冒頭にも書いたとおり,私がフリー・ジャズを聞く機会はどんどん減っているが,このアルバムは何度もリピートして聞いてもいいと思わせるものであった。

こういうアルバムは誰かが認知度を高める努力をしなければ,そのまま埋もれてしまう可能性が高い。Humair,Kuhnが演奏しているので,比較的このアルバムは認知されやすいものではあろうが,より幅広い,特にハイブラウな演奏を好むオーディエンスに対しては強く推奨して耳に届く機会を増やせたらと思う。確かに万人向けではないので,フリー・ジャズに耐性のないリスナーは買ってはならないと思うが,間口の広い方々には一度聞いてみて欲しいアルバムである。星★★★★。

Recorded in January, 2008

Personnel: Daniel  Humair(perc), Joachim Kuhn(p), Tony Mallaby(ts)

2008年11月17日 (月)

出張はつらいよ:オーランド編

久しぶりに米国フロリダ州オーランドに出張でやって来た。オーランドに来るのはこれで5~6回目になると思うが,毎度毎度仕事なので,オーランドならではのアクティビティを楽しんだ試しはいまだかつてない。今回も通常通り,お楽しみは一切ない。

今回の目的は業界のコンベンション出席であるから,出張期間ずっとオーランドに滞在するという私にとっては珍しいパターンである。大体私の米国出張の場合,移動に次ぐ移動で,無茶苦茶ハードなスケジュールのことが多いが,それに比べれば今回は楽勝である。

ではなぜ「出張はつらいよ」なのか?今回,シカゴでトランジットして,オーランド入りしたのだが,オーランドの空港で待てど暮らせど荷物が出てこない。地上係員曰く,シカゴで荷物の積み入れにディレイが発生し,到着したとしても今夜22時着の便だそうである。全く困ったものであるが,ぶつくさ言っても仕方がないので,滞在先のホテルにデリバリーを頼んだが,果たしてちゃんと届くことやら...。

こういうことは結構ないわけではないが,私にとっては初めてである。全くAmerican Airlinesはどういうロジスティクスをしているのか。実はこの事象,空港で見ている限り,私だけでなく,JAL便でシカゴまで来てトランジットしたほとんどの日本人ビジネスマンは同じ目に遭っている模様である。ということはこれは明らかにシカゴのオペレーションがおかしいということである。これはオーランド便をコードシェア運行しているJALの責任と言われても仕方あるまい。

しかし,スーツケースが遅れると,着替えをしたくてもできないという辛い目に遭いながらこの記事を書いているのだが,とにかくこちらの今夜,ホテルにスーツケースが届くことを祈るのみである。

ところで余談であるが,日本人はオーランドというと,軽いアクセントを「オ」に置く場合が多いと思うが,オーランドはそのスペルはOrlandoであるから,アクセントは"a"に置くのが正しく,日本語的に書けば,オーランドーと呼ぶ方がしっくりくる。アクセントはあくまでも「ラ」にあるので,それも注意しないと,アメリカ人には通じない。皆さんも旅行の時はご注意を。まぁこれを日本でやると嫌味になるが...。でも郷に入らば郷に従いましょう。

2008年11月16日 (日)

名曲"Kiss from a Rose"にやられるJulia Hulsmann

End_of_a_summer_2 "The End of a Summer" Julia Hulsmann (ECM)

何ともECMテイストに溢れた新作ピアノ・トリオの登場である。Julia Hulsmannというピアニストは初めて聞いたが,ドイツの女流ピアニストとのこと。このサウンドが彼女の音楽性の本質なのかどうかはわからないが,ECMというレーベル・カラーにフィットしたサウンドには嬉しくなるECMファンが多いのではないだろうか。

全10曲中,6曲がリーダー,1曲がベースのMuellbauer,2曲がドラムスのKobberingのオリジナルで,それらもそれなりに聞き応えはあるのだが,私が参ってしまったのがSealの名曲"Kiss from a Rose"である。この曲が映画"Batman Forever"で使用され,グラミーを受賞したのは1995年のことになるが,しばらくぶりにこの曲を聞いて,曲の力を再認識した次第である。Sealのボーカルは若干くせがあってやや好き嫌いはわかれるが,インストで演奏されるとこれはたまらん。正直言ってほかの曲がかすんで聞こえてしまった。これはやはりこの曲の持つメロディ・ラインの魅力に依存するところ大である。しばらく前のヒット曲であるこの曲をなぜHulsmannが今になって取り上げたのは謎だが,このアルバムの魅力を高めるのにこの選曲は少なくとも私にとっては貢献したと言ってよい。

"Kiss from a Rose"ばかりほめているようだが,実はこのアルバム,冒頭にも書いたとおり,ECMテイストはかなり強い(即ち,本質的にはクールで静謐であり,ダイナミズムを求めてはいけない)から,この筋の音楽好きは"Kiss from a Rose"がなくても気に入るはずである。私としては最近のECMレーベルのアルバムではかなり好きな部類のアルバムである。星★★★★。でもやはり"Kiss from a Rose"にやられた私である。

Recorded in March 2008

Julia Hulsmann(p), Marc Muellbauer(b), Heinrich Kobberling(ds)

2008年11月15日 (土)

Mavis Staplesの新作は熱いライブ盤

Mavis "Live: Hope at the Hideout" Mavis Staples(Anti‐)

音楽の秋である。次から次へと気になる新譜が発売されて,財布の紐がゆるくなり,気がついてみれば財政難に陥りがちな今日この頃であるが,本日はMavis Staplesである。

Mavis Staplesと言えば,前作"We'll Never Turn Back"は昨年のベスト・アルバムにも挙げた大傑作(前作のレビューはこちら)であった。それに続く新作とあれば当然期待が高まってしまうのだが,結果はどうか。

Mavis Staplesだけに当たり前と言えば当たり前なのだが,これが非常に熱い。そしてバックバンドのギター・トリオはかなりの実力者で,特にギターのRick Holmstromは大技とかギミックはないのだが,ツボをおさえた伴奏は大したものである。このバンドは聞き物である。

しかしである。ライブ盤だけに熱い演奏というのはまぁ予定調和と言えばその通りであって,この盛り上がり具合はライブハウスという環境をしても当然である。ただここでのMavis Staplesの気合は逆に考えれば力み過ぎってことにはならないだろうか。そんなにこぶし回さなくたっていいじゃないかとも思ってしまうのである。演奏としては結構楽しめはしても,ちょっとここまでやられると疲れるというのが正直なところである。

Mavisはここまで力まなくてもちゃんと歌えることは前作でも立証されているのだから,そうした余裕というかレイドバック感を感じさせてくれれば,このライブはもっといいものになっていたように思えてちょっと惜しい。ちょっと甘めの星★★★☆。

Recorded Live at the Hideout on June 23, 2008

Personnel: Mavis Staples(vo), Rick Holmstrom(g), Jeff Turmes(b), Stephen Hodges(ds), Yvonne Staples(vo), Donny Gerrard(vo), Chavonne Morris(vo)

2008年11月14日 (金)

Jeff Beckの新作はまたまたライブだが,前作と何が違うねん?

Beck ゛Performing This Week: Live at Ronnie Scott's" Jeff Beck (Eagle Rock)

Jeff Beckの新作がいきなりの登場であるが,ロンドンの名門ジャズ・クラブ,Ronnie Scott'sでのライブというのにまず驚かされる。クラブでBeckを見られるなんていいよなぁ。日本ではそもそも考えられないではないか。そこでのライブの模様を収めたものであるが,これがちょいと微妙である。

何分,Jeff Beckの日本における前作は"Official Bootleg USA '06"(前作のレビューはこちら)であるが,それはそもそもコンサート会場やWebサイトで販売されていたものをマーケットに出したものである。よって,そんなに流通量はないのかもしれないが,それでも今回の新作は前作との曲のかぶりがあまりに多過ぎるのである。確かにベーシストはThe WhoでもプレイするPino Palladinoから小柄ながらエネルギッシュなベースを弾くTal Wilkenfeld嬢に代わっているが,演奏のトーンや雰囲気に大きな違いはないので,前作を買ってしまったファンにとっては,敢えてこれをまた買うかというとこれはかなり微妙であろう。Vinnie Colaiutaは前作よりずっとタイトでいいと思うが,録音のバランスがギターに偏り過ぎで,そのパワーの全貌を捉えられているかというとそれもちょっと微妙である。

まぁこのアルバムの演奏の模様はDVDでも発売されるようだから,敢えてこのCDを買うならば,DVDを購入した方がよいだろう。このバンド,特にJeff BeckのカッコよさはCrossroad FestivalのライブDVDでのたった2曲の演奏だけでも実証されているから,彼らだけの演奏をフルに楽しめるなら私もDVDを買ってもいいかなと思う。ということで,演奏そのものはかなり荒っぽいところもあるが,相変わらずのカッコよさで,音源としてだけ考えれば,前作同様星★★★☆ぐらいだろう。しかし,消費者の弱みにつけこむような音源のリリースの仕方は糾弾したくなるよなぁ。

Recorded Live at Ronnie Scott's in London between November 27 and December 1, 2007

Personnel: Jeff Beck(g), Tal Wilkenfeld(b), Vinnie Colaiuta(ds), Jason Rebello(key)

2008年11月13日 (木)

Bireli Lagreneのフュージョン作:1曲目の軽さに戸惑う

Bireli_lagrene "Electric Side" Bileri Lagrene(Dreyfus)

結構前に入手していたのだが,アップするのに随分と時間が掛かってしまったアルバムであるが,まだ新譜扱いとしてよかろう。私はBireliのアルバムはVic Jurisとのアコースティック・デュオぐらいしか持っていないのだが,お知り合いのブロガーの皆さんが取り上げられているのにつられて購入したものである。

そのアコースティック・デュオとは全く趣の異なるエレクトリック・アルバムなのだが,このアルバム,1曲目゛Hips゛のあまりにポップで軽い乗りに幻惑されて,私は結構戸惑ってしまったのである。このメロディといい,ギターのカッティングといい,ちょいと古臭過ぎやしないか。表現は悪いが,まるで80年代のライト・フュージョンのようなのだ。この1曲が私にとってはこのアルバムのイメージを悪くしているような気がしてならないのだが,その後は持ち直してくるのでまぁいいか。

Bireli Lagreneという人は決してハード・フュージョンにはならないし,ハイブラウという感じでもない。やはり全体的な乗りが軽い。この軽さはドラムスの録音具合にもよるような気もするが,欧州系レーベルのフュージョンというのは,こういう軽い感じが多いようにも感じるなぁ。それでも皆さんも注目するベースのHadrien Feraudの参加によって,このアルバムはベースを聞いていると,ほかのことがあまり気にならないという何とも不思議な効果をもたらしている。Bireliには悪いが,ついついHadrien Feraudのベース・ラインに耳が行ってしまうのである。速射砲のごときフレーズやきめきめのユニゾンでプレイされれば,そりゃそうなるのが人情である。おそらくはFeraudの参加なかりせば,このアルバムはそんなに注目を集めなかったのではなかろうか。ベーシストが一番注目されてしまうというのはどうなのよという気がしないでもないが,このアルバムの聞き方としてはそれが一番楽しめるかもしれない。

ということで,音楽全体を聞いているのか,Feraudのベースだけを聞いているのかよくわからないが,そのせいでAndy Narrellの影が薄いこと甚だしいと言っては言い過ぎか。また,どうせDJを入れるならば,もう少し徹底してヒップホップしてもらいたかった。なんか文句ばかり言っているようだが,それでもHadrien Feraudは聞き物なのである。全体の評価としては星★★★ってところだろう。でもやはり1曲目は...と微妙な私である。

Recorded on January 9 -12, 2008

Personnel: Bireli Lagrene(g), Hadrien Feraud(b), Franck Wolf(ss, ts), Andy Narrell(steelpans), Daniel Schmitt(ds), DJ Afro Cut-Nanga(DJ, turntables, samples, FX), Michael Lecoq(key)

2008年11月12日 (水)

意欲作=傑作とは限らない

Doctor_3 "Jazz Italiano Live 2007" Doctor 3

ブログの世界ではこのDoctor 3についてお書きになっている方が多数いらっしゃるが,私には縁のなかったバンドである。しかし,先日書いたGiovanni Tommasoと同じタイミングでこのアルバムを輸入盤屋で発見し,購入したものである。Tommaso盤はメンツ買いだったのだが,このアルバムを買ったのはなぜかというと,その収録曲ゆえである。

このアルバム,なんと大胆にもThe Beatlesの"Sergeant Pepper's Lonely Hearts Club Band"をアルバムごと曲順も同様にアダプテーションしたものなのである。実は私はその理由がありながら,期待と不安が入り混じった感覚を覚えていた。私はBeatlesも好きなので,あのアルバムをピアノ・トリオで演じるとどんなことになるのだろうという気持ちと,曲の印象が強過ぎるから,アダプテーションは無理ではないのかという気持ちが相半ばしていたからである。

結論から言うとこのアルバムは,意欲作であることはわかるが,その意欲が曲の魅力(あるいは単なる力と言ってもよい)を上回ることはできなかったということになると思う。私は世間で言われるほど"Sergeant Pepper's"をアルバム・レベルでは高く評価していない。それは強烈な魅力を放つ曲と,そうでない曲のギャップが大きく,アルバム全体としては???な部分があるからにほかならないが,それでもこれらの曲は私の頭に深くすり込まれてしまっていることは否定できない。それをアダプテーションするならば,それなりの覚悟,あるいはそれなりの取組みが必要なはずだが,彼らの演奏には全く驚きがなく,全く面白みを感じないのである。普通にやっていては曲の力に勝てるわけがないのだから,もっとチャレンジすべきところを彼らは無難にやり過ぎたため,私は欲求不満に陥るのである。

私はこの音楽に取り組むならば,性根がロックなE.S.T.の方がはるかによかったのではないかと思うが,誤解だろうか?いずれにしても,意欲作とは評価できても凡作に終るという典型的な作品である。おそらくはBeatlesファンなら同じ感覚を抱くと思うのだが,私としては星★★程度にしか評価不能である。これは完全に買って失敗だったが,彼らの名誉のために言えば,アドリブ・フレーズとかは結構いいから,おそらくはオリジナルで勝負した方がいいバンドなのだろうと思う。

Reoorded Live at Casa del Jazz, Rome on March 12, 2007

Personnel: Danilo Rea(p), Enzo Pietropaoli(b, loop), Fabrizio Sferra(ds)

2008年11月11日 (火)

Jerry Bergonziかくあるべし!

Edges_2 "Edges" Daniel Humair(Label Bleu)

痛風の発作がまだ完全におさまっていないので,今日は手短に。私がある方からこのCDをお借りして聞いたとき,ここでのJerry Bergonziは最高だと思った。ほかの人はどう思うのかと考え,このアルバムに関して,Bergonziに関しては誰もがその道のプロと認める新橋"Bar D2"のマスターにご意見を伺ってみた。曰く,Bergonziでも5本の指に入りますとのご意見。

何がいいって,これだけハード・ドライビングなJerry Bergonziを近年聞くことは出来ない。私としてはこのサウンドがJoey Calderazzoとの共演盤のようだというのもマスターと一致した意見であったのは嬉しかった。私もBergonziに注目したのはこのアルバムが吹き込まれた当時の1990年代初頭であったはずだから,この頃のBergonziはこういうスタイルだったということであろう。星★★★★★。とにかくたまらん。

こんな演奏が廃盤とはまさしくもったいないの一言である。誰か再発してくれないものか。それが駄目なら自分で再発交渉でもするか(嘘)。

Recorded on May 1 and 2, 1991

Personnel: Daniel Humair(ds), Jerry Bergonzi(sax), Aydin Esen(p), Miroslav Vitous(b)

2008年11月10日 (月)

発作(その2)

今回の痛風発作だが、一度おさまったと思ったら週末にそれを上回る激痛に襲われた。医者にも行けず、ひたすら安静にしていたが、まだダメである。さっさと薬をもらってこよう。あ〜あ。

2008年11月 9日 (日)

私も参加メンバーでイタリア・ジャズを買うようになってしまった

Tommaso "Jazz Italiano Live 2007" Giovanni Tommaso

輸入盤屋をふらついていたら,Jazz Italianoシリーズが並んでいた。このシリーズ,今年はRosario Giuliani盤を既に取り上げたことがあるが,ほかのアルバムについては全くノーマークだったので,いい機会と思い,購入したのが本アルバムとDoctor 3盤である。後者については改めて記事を書こうと思うが,なんでこのアルバムを買ったかと言えば,それはメンツである。リーダーのTommasoには悪いが,Daniele ScannapiecoとBebo Ferraのクレジットを見つけなければ,このアルバムは買っていない。自分がこんなことを言うようになるとは私としても想定外だが,ブログ上のお知り合いの皆さんのおかげで私も欧州ジャズの深みにはまってしまったということである。いずれにしても,特にPaolo Fresuとの共演ぶりがあまりにもカッコよかったBebo Ferraへの期待は非常に高かったわけだが,その期待は決して裏切られることはなかった。

編成としては比較的オーソドックスと言ってもよかろうが,収められた演奏はジャケのTommasoの写真とは異なるかなりコンテンポラリーな響きが強い。その雰囲気に貢献しているのがおそらくはFerraのギターである。この人の多彩さ,間口の広さは日本で言えば渡辺香津美的と言ってよいかもしれない。私はこのFerraに参ってしまったので,このアルバムは自然と評価したくなるのである。

また,このアルバムの好感度を上げる理由の一つが,リーダーTommasoが参加メンバーに適切なソロ・スペースを与えて,メンバーを立てていることである。こういうリーダーだとメンバーのモチベーションも高まろうというものだ。人間が出来ていないとこうはなるまい。それに各メンバーも好演で応えており,イタリア・ジャズのレベルの高さを実証している。星★★★★。

このシリーズ,日本のCDショップでは入手がなかなか面倒なのが難点だが,イタリアの通販サイトhttp://www.jazzos.com/で購入可能である。円高のご時世であるから,今のうちにゲットしておいても損はない。ちなみにこのサイト,英語のメニューもあるので心配する必要はない。まだまだ2007年のシリーズは在庫が豊富なようだが,2006年のシリーズはほとんど在庫切れ(Bebo Ferraも参加したPaolo Fresu盤は私はオークションでゲットした)となっているので,購入するならなるべく早めにした方がいいだろう。

Recorded Live at Casa del Jazz, Rome on March 21, 2007

Personnel: Giovanni Tommaso(b), Daniele Scannapieco(ts, ss), Bebo Ferra(g), Claudio Fillippini(p), Anthony Piciotti(ds)

2008年11月 8日 (土)

久々の発作である

しばらく投薬で尿酸値を抑えていて,痛風の発作からは解放されていたのだが,遂に来てしまった。

確かに先週は地方出張で暴飲暴食の限りを尽くしたから,そろそろやばいかなぁと思ってはいたのだが,やはりである。今回は膝の裏側に症状が出て,膝が全く曲がらない状態である。階段の昇降が最も辛い。

というような状態なので,音楽を聞いて楽しめるような状態ではない。開店休業申し訳ございません。こういうときは米国の大統領選の結果でも書こうかとも思ったが,その気力もなしである。発作が出て思う,「痛風はつらいよ」。

2008年11月 7日 (金)

Rip Rig + Panic:ファンクとフリー・ジャズの折衷

I_am_cold "I Am Cold" Rip Rig + Panic (Virgin→Progressive Line)

私はパンク・ロックというものに昔も今もほとんど関心がない。よってSex PistolsもSlitsもPop Groupも全く聞いたことがないと言っても過言ではない。例外はClashぐらいだろうか。Pop Groupについては大学時代のサークルの先輩が聞いていて,何とも不思議な音楽だと思っていた記憶があるが,それでも主体的に聞く気にはならなかった。

このRip Rig + PanicはそのPop Groupから派生したグループであり,そういう意味では私も買ったことがあるPig Bagと同系列である。Pig Bagも結局のところ,ファンク・ミュージックをベースにしていた記憶があるのだが,いかんせん何年も聞いたことがないし,もはや手許にもないので何とも言えない。このRip Rig + Panicも基本はファンクにフリー・ジャズのフレイバーを加えた音楽と言ってよいのだろうと思う。

ここまで書いて,では私がなんでこのアルバムなのかが不思議なわけだが,実はこのアルバム,先日,中古で拾ったものである。私はこのピカソによるジャケが長年気になっていたこともあるのだが,このアルバムを購入した最大の要因はDon Cherryの参加である。このグループにはDon Cherryの娘,Neneh Cherryが所属している縁でDon Cherryも参加となったものと思われるが,このDon Cherryがかなりよい。この人はECMでのユニットCodonaではかなり民族音楽的なアプローチも見せれば,このアルバムのようにファンク・アプローチにも溶け込んでしまうという幅広さを持ち合わせていて,このアルバムは結構楽しめてしまった。

私が購入したのはオーストラリアで再発されたボーナス・トラック入りのものだが,これももはや廃盤らしい。今聞いても,彼ら,あるいはA Certain Ratioのようなブリティッシュ・ファンク的な乗りの音楽は楽しめるだけに,マーケットから消えてしまうのは惜しいようにも感じるし,ここではやはりDon Cherryの演奏を楽しみたい。今の私ならば,パンク・ロックに関心がなくても抵抗なく受け容れられる音楽となっている。再発を期待して星★★★★☆としよう。

それにしてもこのグループ名があるから,その元ネタであるRoland Kirkと私はずっと縁がないまま来てしまったのかもしれないなぁ...。反省。

Personnel: Gareth Sager, Mark Springer, Bruce Smith, Sean Oliver(composers, producers), Don Cherry(tp), Neneh Cherry(vo), Jez Parfit(bs), Flash(sax), David De Fries(tp), Andrea Oliver(vo), Giles Leaman(perc), Steve Noble(ds), Sarah Sarahandi(viola), Debbile(cello), Alph Wait(tb)

2008年11月 6日 (木)

Loudon Wainwright III:素晴らしいアルバムを見逃していた

Loudon ゛Recovery゛ Loudon Wainwright III(Yep Roc)

Loudon Wainwright IIIと言えば,現在ではRufas,Marthaの Wainwright兄妹のオヤジとして認識されることの方が多かろうが,私にとっても正直言って本作を聞くまでは過去の人だったと言っても過言ではない。しかし,Joe Henryのプロデュースによる本作は,Loudonの過去のレパートリーを再吹き込みするということで,自らカバーすることと,「復活」を掛けてこのタイトルになったと想像されるが,これが何とも素晴らしい出来なのである。これぞSSWの真髄というか,オルタナ・フォークかくあるべしというか,この手の音楽が好きなリスナーは一発で参ってしまうこと請け合いである。

Loudon Wainwrightは1946年生まれであるから,当年とって62歳の大ベテランであるが,このアルバムに聞かれる彼の声はまだまだ現役,ある意味ロック魂さえも感じさせる若々しさである。私は彼の曲に詳しいわけではないが,ここに収められた曲はどれもが魅力的であり,それが過去のレパートリーだったとしても,魅力的な曲を書く人であったということはすぐにわかる。それらの曲がJoe Henry人脈のバックバンドで演奏されるのだから,これは悪いはずがない。曲がよい,歌唱がよい,演奏がよいの三拍子揃ったアルバムであり,私の今年のベスト・アルバム候補の一つとなった。ついでにBill Frisellの客演もバッチリである。星★★★★★。

このアルバムは今年の8月に発売されていたものだが,2ヶ月半もその存在,あるいは素晴らしさに気が付かなかった私の不明を恥じざるをえない。去年もMavis Staplesのアルバムで同じようなことがあったが,やはり自分の審美眼だけではこうしたアルバムに出会うことは不可能であり,情報収集の重要性を再認識した次第である。

それにしてもJoe Henryである。現在,私にとって最も信頼の置けるプロデューサーはJoe Henryと言ってよい。彼本人のアルバムを含めて,最近はやられっぱなしである。Loudonの前作もHenryプロデュースらしいから,遅れ馳せながら早速購入に走ることにしよう。

Personnel: Loudon Wainwright(vo, g), Greg Leisz(g, steel-g, mandolin, mandola), Patrick Warren(p, key), David Piltch(b), Joe Bellrose(ds, perc), Joe Henry(g), Bill Frisell(g), Eric Gorfain(vln), Daphne Chen(vln), Lear Katz(viola), Richard Dodd(cello)

2008年11月 5日 (水)

John Legend:より広範なリスナーへの訴求を狙った新作

John_legend_2 "Evolver" John Legend(Columbia)

私は現代ソウル/R&Bの王道を突き進む存在としてJohn Legendを高く評価してきた。このアルバムはスタジオ録音としては久々になるが,今年の春には素晴らしいライブ"Live from Philladelphia"(紹介記事はこちら)が発売されていたので,渇望感はそれほどなかった。とは言え,今後のソウル界を担う存在であること間違いない彼の新作が出たということ自体めでたい。

今回もこれまで通り,Kanye Westとの共同総合プロデュースではある。しかし,これまでとジャケットの雰囲気が違っているので,店頭で見たときはJohn Legendとは思わなかったぐらいだが,音も随分これまでと感じが違う。よくよく見てみるとプロデューサーは山のようにいる。今回収められている曲が悪いというのではないのだが,かなりポップなイメージが強くて,音楽のタイプも雑多なのである。これは更なるポピュラリティの確保を図ってのことだと思うのだが,私としてはポップさやコンテンポラリーな響きでなくてもこの人は勝負できると思っているだけにやや微妙である。確かにタイトル「進化する者」というのには偽りはないとしてもである。これは完全に好みの問題である。

私はやはりこの人にはダンス・フロア向きの音楽よりも,スイートなクルーナー路線を歩んで欲しいのである。これが彼の次なる「進化」への一つの糧だとして考えればいいのであろうが,それでもこれはちょっと行き過ぎのような気がする。アルバム後半は比較的これまでの路線に近いところもあるから,私としては後半ばかりを聞くことになりかねないアルバムである。ただ,このアルバムをプレイバックするなら私はライブ盤の方を優先するだろう。まぁ次作に期待するということにしようということで,星★★★。

それにしてもブックレットのミュージシャンのクレジットは文字が小さ過ぎて私の目では全く対応できない。虫眼鏡を使わないと見えないようなクレジットってのはちょっと問題があるなぁ。私が年を取り過ぎたせいもあるのかもしれないが,もう少し消費者のことを考えて欲しいものである。よって,いつもは書いているPersonnelについては記述不可能である。

2008年11月 4日 (火)

コレクターはつらいよ(5)

Ample_sampler "Ample Sampler" (Warner Brothers Promotional CD)

久々の「コレクターはつらいよ」である。このプロモCD,Brad Mehldauの参加アルバムを集める上で,かなり苦戦をしたというか,非常に入手に時間が掛かってしまったアルバムであるが,めでたくこの度eBayでゲットした。

Warner Brothersがプロモーションで配給している"Ample Sampler"にはもう一種類,ほぼ同じデザインで,ブルーの"Ample Sampler"があることはわかっており,そちらはeBayにも結構出品されることはあった。しかし,Brad Mehldauの未発表曲を収めたこのオレンジの"Ample Sampler"は全くと言ってよいほどお目に掛かることがなかったものである。今回,最後の最後に値を吊り上げられたのは想定外(安くはないとは言え法外な値段ではなかったのが幸い)だったが,ようやく入手できたことをまずは喜びたい。

このCDで重要なのはピアノ・ソロで演じられるNick Drake作"Things Behind the Sun"である。この曲はその後,すみだトリフォニーでのライブでも再演されることになるが,ここでは"Largo"録音時のアウトテイクだという記述がカバーにはある。しかし,"Largo"の曲とこのピアノ・ソロには関連性があまり感じられないので,まぁこの曲はBradが手慣らしで弾いた演奏か,セッション終了後にちょっと弾いたかのどちらかと思って差し支えあるまい。

そうは言ってももともとが魅力的な曲だから,それをソロで弾かれては悪いわけはない。この一曲のために大枚はたくのはどうなのよという気もするが,コレクターなのだから仕方がないとしても,この演奏は結構よかった。まぁすみだトリフォニーでのライブとそんなに大きな違いはないかなという気もするが,今回はこのCDをゲットしただけでよしとしよう。

あとはまだ対応していないNonsuchサイトでのVanguard LiveのMP3版をさっさとゲットせねば。

2008年11月 3日 (月)

市場から消えたCD:中小レーベルは倒産に注意である

Jay_epsten "Long Ago" Jay Epstein (IGMOD)

以前はしょっちゅう見かけたのに,気がついてみると店頭から消えているCDというのがたまにある。このアルバムをよく見かけたのは私がある銀行に出向していた頃である。夕方,仕事に疲れると夕食休憩を装って,近場のCDショップに行っては新譜を眺めていたのは今から10年以上も前のことである。よって,このアルバムが世に出た頃と考えてよかろう。

このアルバム,Jay Epsteinというドラマーのリーダー・アルバムであるが,よく「幻」本にも取り上げられているようである。私は「幻」本の類の紹介にはほとんど関心がないので,私の脳裏に残っていたのはこのアルバムのジャケットである。カバーの色,写真は悪くないのに,使っている文字のフォントがいただけないなぁとずっと思っていた。それでも市場から消えてからも気にはなり続けていたのは事実である。中古盤屋で久し振りに本盤に再会し,購入に至ったのはピアノが先日のDave Douglas盤でも誉めたBill Carrothersだし,曲もスタンダード中心で悪くなさそうだったからである。

全体を通してみると,まぁこれは悪くないトリオ・アルバムなのだが,中盤で演奏される゛The Dark Suite゛と称される3曲がどうも特異なイメージが強くて微妙ではある。この3曲がある意味では流れを分断してしまっていて,私としてはなくてもよかったのではないかと思うのだが...。この3曲を合わせても10分強,このCDがトータルで65分強であるから,この3曲を取っ払っても55分。CDの尺としてはこちらの方が適切である。逆にEpsteinはメリハリをつけるためにこの3曲を入れたのかもしれないが,私がプロデューサーならば,この3曲はスキップしていただろう。

ということで,文句のつけようはあるとしても,トータルで言えば,現代的なピアノ・トリオとして好感の持てるアルバムではある。Bill Carrothersはフレージングに限ってはDave Douglas盤の方が好みではあるが,ここでもなかなかのプレイぶりで安心して聞ける。このアルバム,今年には入って一時的にマーケットにも出回っていたようだが,またいつ入手が難しくなるかもしれないので,見つけた時には探していた人は取り敢えず買っておいてもよいだろう。但し,私の感覚では非常識な高値を払ってまで買うほどのものではないと言っておく。星★★★☆。

Recorded on May 14 & 15, 1996

Personnel: Jay Epstein(ds), Bill Carrothers(p), Anthony Cox(b)

2008年11月 2日 (日)

Kenny Burrell:ジャズ界のアベレージ・ヒッターである

Burrell_2 ゛Kenny Burrell゛ Kenny Burrell(Prestige)

Kenny Burrellと言えばブルージーなサウンドと言っても過言でないぐらい,ブルース・フィーリング溢れるプレイでファンも結構多い。その一方で,突出したリーダー作がないという点では,ジャズ界のホームラン王でも首位打者でもないのだが,常に2割7~8分の打率を残しているアベレージ・ヒッターという感覚が強い。そういうプレイヤーってのは所謂玄人受けするとも言われるが,まぁそういう感じと言っても当たらずと言えども遠からずってところだろう。

このアルバムはBurrellが26歳の頃にPrestigeに吹き込んだアルバムだが,とてもその年齢とは思えない,ある意味老成したプレイを聞かせており,ここでも平均点を上回る演奏を残している。ここではバリトンのCecil Payneを除いてデトロイト出身のミュージシャンで固めているが,デトロイトのミュージシャンは結構こういうのが多いように思う。どうせならバリトンもデトロイト出身のPepper Adamsにすればいいようにも思うが,それではBethlehemレーベルの"Motor City Scene゛のようになってしまうからやめたのかもしれない。それでも私はPepper AdamsよりCecil Payneの方が好みなので,この選択はOKである。

また,本作には若き日のElvin Jonesが参加しているが,後のポリリズムをびしびし決めるという感じではない。ブルージーでリラクゼーションたっぷりの演奏だから当たり前だと言えば当たり前のことではある。

私はこのアルバム全体については可もなく不可もなくという評価が妥当とは思うが,バックではTommy Flanaganがいいフレーズを連発していて,Flanaganのアベレージの高さを実証している。さすが名盤請負人と呼ばれるだけのことはあるわ。それにしてもバリトンとギターというのはどうしてこうサウンド的な相性がいいのだろうか?これはやはりブルースの感覚が強ければ強いほどそう感じるのかもしれないが,やはりこの音は魅力的だと思う。酒の友として決して邪魔にならないアルバムであり,私にとっては使い勝手のいいアルバムである。なんかKenny Burrellの参加アルバムってそんな感じばかりだなぁって気もするが...。ということで星★★★。

Recorded on February 1, 1957

Personnel: Kenny Burrell(g), Cecil Payne(bs), Tommy Flanagan(p), Doug Watkins(b), Elvin Jones(ds)

2008年11月 1日 (土)

祝来日!Billy Cobhamの"Spectrum"を改めて聞く

Spectrum"Spectrum"  Billy Cobham(Atlantic)

11月に"Spectrum"ツアーと題して来日するBilly Cobhamであるが,そのツアー・タイトルとなったアルバムを久々に聞いてみた。これが1973年のCobhamの初リーダー作であるが,全編に渡って千手観音Billy Cobhamのドラミングが爆裂している。このダブル・バスドラを聞いて燃えないリスナーはCobhamとの相性が悪いと思って諦めた方がよい。

全曲がCobhamのオリジナルっていうのも凄いが,さすが初リーダー作,とことんドラムスを叩いていて,やかましいことこの上ないが,決して嫌みを感じさせないやかましさであり,私はここまで行くと爽快感さえおぼえる。かつメンツがメンツだけにどうやってもロック的になる。ギターは後にDeep Purpleに加入するTommy Bolin,キーボードはMahavishnuの同僚,Jan Hammerだからこれはロック的になっても当たり前である。ベースのLee Sklarというのはやや意外な人選とも言えるが,今やTOTOでもプレイするSklarであるから,問題なくロックをぶちかましている。だいたい"Stratus"なんて曲は後にJeff Beckがカバーしたというロック・チューンであるから支配的なサウンドがどんなものかは聞かずとも明らかであろう。特にシンセの響きに1973年という時代は感じさせるが,今でも十分に楽しめるヘビーなジャズ・ロックである。但し,若干異なったメンツで演じられる"Le Lis"はCTIレーベルや70年代の映画音楽のような趣もありである。まぁこれも悪くない。星★★★☆。

しかし,このアルバムだけを聞いて,Billy Cobhamをロック主体のドラマーだと思ってはならないと付け加えておきたい。Gil Evansと共演すれば,非常にサトルなドラミングを聞かせることもできるし,ノルウェーのミュージシャンたちと極めてモダンなジャズ・アルバムも作っているのである。そのことを分かった上でこのアルバムを楽しむというのがCobhamに対する礼儀である。繰り返すがCobhamは「猛爆」だけのドラマーではない。そうした意味ではDennis Chambersとも共通した部分を見出せると思う。

それにしてもである。まぁよくも叩いたり。ライブでもこういう音楽を再現してくれるなら行ってみたいような気もするなぁ。来日メンツはCobhamにTom Coster,Dean Brown,Victor Baileyらしいので,相応には期待できるが,う~む,どうしようかなぁ。困った。

Recorded on May 14-16, 1973

Personnel: Billy Cobham(ds), Tommy Bolin(g), Jan Hammer(key), Lee Sklar(b), Joe Farrell(fl, ss, as), Jimmy Owens(tp, fl-h), John Tropea(g), Ron Carter(b), Ray Barretto(congas)

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