市場から消えたCD:中小レーベルは倒産に注意である
"Long Ago" Jay Epstein (IGMOD)
以前はしょっちゅう見かけたのに,気がついてみると店頭から消えているCDというのがたまにある。このアルバムをよく見かけたのは私がある銀行に出向していた頃である。夕方,仕事に疲れると夕食休憩を装って,近場のCDショップに行っては新譜を眺めていたのは今から10年以上も前のことである。よって,このアルバムが世に出た頃と考えてよかろう。
このアルバム,Jay Epsteinというドラマーのリーダー・アルバムであるが,よく「幻」本にも取り上げられているようである。私は「幻」本の類の紹介にはほとんど関心がないので,私の脳裏に残っていたのはこのアルバムのジャケットである。カバーの色,写真は悪くないのに,使っている文字のフォントがいただけないなぁとずっと思っていた。それでも市場から消えてからも気にはなり続けていたのは事実である。中古盤屋で久し振りに本盤に再会し,購入に至ったのはピアノが先日のDave Douglas盤でも誉めたBill Carrothersだし,曲もスタンダード中心で悪くなさそうだったからである。
全体を通してみると,まぁこれは悪くないトリオ・アルバムなのだが,中盤で演奏される゛The Dark Suite゛と称される3曲がどうも特異なイメージが強くて微妙ではある。この3曲がある意味では流れを分断してしまっていて,私としてはなくてもよかったのではないかと思うのだが...。この3曲を合わせても10分強,このCDがトータルで65分強であるから,この3曲を取っ払っても55分。CDの尺としてはこちらの方が適切である。逆にEpsteinはメリハリをつけるためにこの3曲を入れたのかもしれないが,私がプロデューサーならば,この3曲はスキップしていただろう。
ということで,文句のつけようはあるとしても,トータルで言えば,現代的なピアノ・トリオとして好感の持てるアルバムではある。Bill Carrothersはフレージングに限ってはDave Douglas盤の方が好みではあるが,ここでもなかなかのプレイぶりで安心して聞ける。このアルバム,今年には入って一時的にマーケットにも出回っていたようだが,またいつ入手が難しくなるかもしれないので,見つけた時には探していた人は取り敢えず買っておいてもよいだろう。但し,私の感覚では非常識な高値を払ってまで買うほどのものではないと言っておく。星★★★☆。
Recorded on May 14 & 15, 1996
Personnel: Jay Epstein(ds), Bill Carrothers(p), Anthony Cox(b)
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コメント
こんばんは。
私もこのCDを1年前に入手しましたが、アーティスト自身の自主制作とのことで、新品ながら1,600円と安かったのは良いのですが、CD-Rでした。音はさほど悪くないのですが、耐久性は疑問符が残るところです。
投稿: Marty | 2008年11月 5日 (水) 23時00分
Martyさん,コメントありがとうございます。
ミュージシャンとしては自分のCDが廃盤になってしまえば,当然何とかかたちとして残していたいという欲求はあるでしょうから,CD-Rでも...という思いなのでしょう。しかし,私も世に形を残すならプレスするのが当然だとは思います。でもそれもコスト見合いですしね。難しいところです。
投稿: 中年音楽狂 | 2008年11月 8日 (土) 11時02分