祝来日!Billy Cobhamの゛Spectrum゛を改めて聞く
゛Spectrum゛ Billy Cobham(Atlantic)
11月に゛Spectrum゛ツアーと題して来日するBilly Cobhamであるが,そのツアー・タイトルとなったアルバムを久々に聞いてみた。これが1973年のCobhamの初リーダー作であるが,全編に渡って千手観音Billy Cobhamのドラミングが爆裂している。このダブル・バスドラを聞いて燃えないリスナーはCobhamとの相性が悪いと思って諦めた方がよい。
全曲がCobhamのオリジナルっていうのも凄いが,さすが初リーダー作,とことんドラムスを叩いていて,やかましいことこの上ないが,決して嫌みを感じさせないやかましさであり,私はここまで行くと爽快感さえおぼえる。かつメンツがメンツだけにどうやってもロック的になる。ギターは後にDeep Purpleに加入するTommy Bolin,キーボードはMahavishnuの同僚,Jan Hammerだからこれはロック的になっても当たり前である。ベースのLee Sklarというのはやや意外な人選とも言えるが,今やTOTOでもプレイするSklarであるから,問題なくロックをぶちかましている。だいたい゛Stratus゛なんて曲は後にJeff Beckがカバーしたというロック・チューンであるから支配的なサウンドがどんなものかは聞かずとも明らかであろう。特にシンセの響きに1973年という時代は感じさせるが,今でも十分に楽しめるヘビーなジャズ・ロックである。但し,若干異なったメンツで演じられる"Le Lis"はCTIレーベルや70年代の映画音楽のような趣もありである。まぁこれも悪くない。星★★★☆。
しかし,このアルバムだけを聞いて,Billy Cobhamをロック主体のドラマーだと思ってはならないと付け加えておきたい。Gil Evansと共演すれば,非常にサトルなドラミングを聞かせることもできるし,ノルウェーのミュージシャンたちと極めてモダンなジャズ・アルバムも作っているのである。そのことを分かった上でこのアルバムを楽しむというのがCobhamに対する礼儀である。繰り返すがCobhamは「猛爆」だけのドラマーではない。そうした意味ではDennis Chambersとも共通した部分を見出せると思う。
それにしてもである。まぁよくも叩いたり。ライブでもこういう音楽を再現してくれるなら行ってみたいような気もするなぁ。来日メンツはCobhamにTom Coster,Dean Brown,Victor Baileyらしいので,相応には期待できるが,う~む,どうしようかなぁ。困った。
Recorded on May 14-16, 1973
Personnel: Billy Cobham(ds), Tommy Bolin(g), Jan Hammer(key), Lee Sklar(b), Joe Farrell(fl, ss, as), Jimmy Owens(tp, fl-h), John Tropea(g), Ron Carter(b), Ray Barretto(congas)
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