これはいい!:吉田美奈子と渡辺香津美のデュオ・アルバム
これは素晴らしいアルバムである。吉田美奈子のヴォーカルと渡辺香津美のギター(多重録音あり)のデュオで演じられたロック,ジャズ・フィールドにまたがる曲の数々が何ともスリリングな響きを醸し出している。
この編成だからと言って静謐な響きを予想すると,軽く裏切られる。何てたって冒頭はDoorsの゛Light My Fire゛である。これまた吉田美奈子のディープ・ヴォイスが魅力的に響き,それを香津美の適確なバッキングが支えている。そしてDuke Ellingtonの゛Sophisticated Lady゛をはさんで演じられる3曲目のHarace Silver作゛Opus De Funk゛は吉田のスキャットにユニゾンでかぶさる香津美のギターがカッコよ過ぎで,ここで私は悶絶した。その後も次から次へと展開されるめくるめくデュオ・ワールドである。これはたまらん。
このアルバムのよいところは,渡辺香津美が時ににディストーションをぶちかまし,ヴォリューム・ペダルもうまく使いながら,単なるデュオ・アルバムに終らせていない点である。ギターとヴォーカルと言えばJoe PassとEllaか,Jack WilkinsとNancy Harlowかという感じだが,このアルバムは全く違うオリジナリティを感じさせる。
選曲としてはDuke Ellington関係の4曲というのが突出しているが,Joni Mitchell関係も2曲(゛Both Sides Now゛と゛Goodbye Pork Pie Hat゛)をやっていて,吉田美奈子の声を聞いていると,煙草の吸い過ぎでディープな声になってしまったJoni Mitchellその人を想起させると言ってはほめ過ぎか。
私はこのアルバムを全面的に支持するが,一点だけ問題があるとすれば,吉田美奈子の英語の発音である。彼女は子音が連続すると(F-R等が典型的),途端にカタカナ英語のように母音がさし込まれるように聞こえてしまうのが難点である。これさえなければ満点でもよかったが,そこを減点して星★★★★☆。しかし,私の中では間違いなく今年のベスト・アルバム候補の一つとなった。ジャズ,ロック,ポップス等を幅広く聞いている人は確実に気に入るタイプの音楽と思う。
Recorded on July 6, 7, 8, 9, 28, 29 and 30, 2008
Personnel: 吉田美奈子(vo),渡辺香津美(g)
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コメント
吉田美奈子と渡辺香津美のDUOですか。これは悪いはずはないとまず直感的に思いました。某ダウンロードサイトで売っているので週末にでも聞いてみたいと思います。やはり一度でもライブを経験しているとその人に対する思い入れは強くなるようですね。どっちらも10年以上前に一回行ったきりなのですが、やはり気になります。
英語の発音ねえ。こんなことを言われると某赴任国のカラオケで英語の歌をうたえなくなっちゃうな。
(単純に比較している自分が怖い)
そういう意味では日本人向け?のカラオケやさんに
白人が来るとなんとなく英語の歌を歌いにくくなったりして、、というほど向こうは気にしていないのでしょうかがね。
投稿: こうぞう | 2008年10月27日 (月) 18時14分
こうぞうさん,コメントありがとうございます。
このアルバム,私は自信を持ってご推奨です。是非聞いてみて下さい。
英語の発音はあまり書くと嫌味になりますが,発音はさておき,イントネーションが間違っていると全く意味を取り違えられるということを英語教育ではきっちり言わないといけないでしょうね。音楽の場合はイントネーションは多分大きな問題にはなりそうにないので,発音を大事にすべきなんだと思います。
私もカラオケで英語曲を歌うことはありますが,泥酔しない限り正しい発音を心掛けておりますが,人のことは言えないかもしれませんねぇ。でも歌手はプロですからね。でも吉田美奈子の英語は私が酷評した倉木麻衣や高樹レイよりははるかにましですので念のため。
投稿: 中年音楽狂 | 2008年10月28日 (火) 07時59分